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シーン6



                  ――7月11日――


 土曜の午前中、のんびりとテレビを見て過ごしていると廊下から少し慌てたような足音が近づいてきた。 そしてノックもなしにドアが開いて「大変だよ、せーや!」と立夏が飛び込んできた。

 「…………ど、どうしたんだよ?」

 「水着がないっ!!」

 俺は「……は?」と素っ頓狂な声を上げてしまった。

 「水着って……あるじゃないか?」

 体育の授業ではちゃんと水着に着替えて泳いでるはずだ……ひょっとして洗濯して干しておいたのを盗まれたとか何だろうか?

 「違う~! 学校の水着じゃなくて海とかに行く用の水着だよ!……向こうにおいて来ちゃったんだぁ……」

 向こうと言うのは立夏の実家の事だ。 両親は外国へ仕事に言っているから電話して送ってもらうわけにもいかないだろう、そうなると立夏が取りに行くしかないが時間や手間や旅費を考えると……。

 「学校の水着でいいんじゃないのか?」

 ……と思った、実際俺も学校以外のプールに行くときも学校の海パンを使っている。

 「あのね~~! せっかく遊びに行くのに学校の地味な水着とか嫌でしょう……っていうか! 一人だけ学校の水着なんて恥ずかしいよ!」

 確かにニュースの映像とかで見ると子供でも学校の水着とかはいないな、それにどうせなら可愛いものを着たいというのも女の子の心理なのか。

 「なら……新しいのを買うしかないんじゃないか?」

 「だよねぇ……」

 立夏が無念そうに肩を落としたのも一瞬の事、次の瞬間には嬉しそうな笑顔に変わり……。

 「……じゃ、一緒に買いに行こ?」

 ……と言ってきたので、「……は?」となってしまった。

 「何でそうなるんだ? 別に一人で行けばいいだろう?」

 「いいじゃん。 どうせ暇なんでしょう?」

 そう言われると言い返せないのだが、普通に服ならまだしも水着だぞ? 男の俺が一緒に行くというのもどうかと思うのだが……。

 「行くなら春香でも誘えばいいだろう?」

 「それもいいけどね、今はせーやを誘いたい気分かなぁ~?」

 「気分ってなんだよ……ったく……」

 気は進まないものの全力で断りたいというわけではないし、不都合があるわけでもなかったので、「……しゃあないな、行くか……」と俺は立ち上がった。



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