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シーン4

 

 「せーや! お風呂あがったよ~!」

 扉越しの立夏の声に「ああ!」と答えた俺は、リモコンを取ってテレビを消すと立ち上がった。 それから着替えを持って部屋を出ると、そこにはパジャマ姿の立夏がまだいた。

 「……ん? どうしたんだ?」

 「え……あーーえ~とぉ……せーやってさ、四季ちゃんと一緒にお風呂入った事ってあるのかな~って?」

 一瞬何を言ってるんだと呆気にとられた後、「……なんだよりゃ?」と首を傾げた。

 「あ……あはははは……何となくね?……で、どうなの?」

 「そりゃ……あったと言えばあったが……」

 それでも小学校に入ったくらいの時期だ、だから別にやましい行為をしていたという風には思わない。 だから「ふ~ん……そうなんだぁ……?」という立夏の反応に溜息を吐いた。

 「言っとくけどな……本当に子供の頃だぞ? やましい気持ちとかあるわけないだろう?」

 「あ……うん、分かってるよ? うん……」

 自分でも何を言っているんだろうと思っているような様子に見える、実際のところ何をどうして立夏がこんな事を聞いてくるのかさっぱり分からない。 

 「……えっとね? ほら……ボクもさ、子供の頃にせーやと一緒に住んでたら一緒にお風呂で遊んでみたかったかな~~って?」

 「ああ、そういう事か……まあ、それも悪くはなかったかもな」

 今と違い、小さい子供の頃は風呂も遊び場の一つではあったと思う。 中学にもなった今では流石にいけないだろうが、その当時なら幼なじみのみんなで大きな風呂で遊ぶのもありだったとは思う。

 「……と、いつまでも話し込んでもいられないか……じゃあ、俺も風呂に言ってくるわ……」

 「う、うん……」

 その立夏の返事を背に、俺は風呂場へと向かった。


 縁側に座り涼んでいる永遠さんを僕……星空 四季は黒猫のアインさんの中から見上げていた。

 『夏かぁ……』

 何気なく呟いてみる、死んでいる身では暑いとか寒いとか感じる事もないし、それも当たり前になって久しい……でも、いざなくなると物足りないというか寂しいと言うか……これって贅沢なのかな?

 「今年の夏は暑くなるかねぇ……」

 ピンクから緑に変わって久しい庭の桜を見つめながら独り言のように永遠とわさんが呟くと、「私は暑いのは好きではありませんからね、そうならないといいです」と相槌を打つアインさん。

 寒い冬には猫はこたつで丸くなるとは言うけど、あまりに暑いのも苦手なのかな?

 まあ、アインさんの黒い身体は熱をよく吸収しそうだけど……。

 「そうなのかい? 何だったらクーラーでも買うかい?」

 「それはそれで嫌ですね……今こうして自然の風で涼んでいるのに比べてクーラーの機械的な涼しさはどうにも不自然で好きになれません」

 そう、この家には扇風機はあってもクーラーはない。 これまでの夏を、永遠さんもアインさんも平然……とは言えないけど、暑さに参るというような様子を見た事ない。

 まあ、その気になれば魔法で何とにでも出来るのかも知れないけど。

 そういえば、永遠さんは魔法が必要なら使っても、楽したり怠けたりするために魔法を使う事がないような気がした。 だから、どうしてなの?って聞いてみる。

 「……魔法……いや、便利な力に頼りすぎるとニンゲンは衰え堕落してしまうものさね、出来るからやればいいというもんでもないのさ」

 例えば、魔法で瞬間移動出来るからといって日常的に使っていると自分の足で歩く力が衰えてしまい、もしも魔法が使えなくなったらどうにも出来なくなる。 更に目的地まで行くまでに歩きながら景色を眺めるなどの楽しみもなくしてしまうのだと、永遠さんは言う。

 そう言われてみれば、僕もそんな風に思えてきた。 

 


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