シーン2
――???年前――
「……ほしぞら しき……ちゃん?」
晴夜から新しい家族になったと紹介された女の子の名を口にしながら、春香はその顔を見つめると、「よ、よろしくです……」とおどおどした様子であいさつをしてきた。
「立夏にも紹介したかったんだけどな……お母さん達と出かけてるならしゃーないな……」
「うん……僕もその立夏ちゃんにも会いたかった……」
「まあ、また今度な?」
晴夜と四季の仲の良さそうな様子は、まるで自分達と同じように昔からの友達だったかのようだと春香には見えた。 それは、晴夜に妹がいたらきっとこういうものなんだろうと思わせる。
もっとも、どうやら自分達と同い年らしいとは最初に聞いたが、姉という風でもないし、やはり妹が正解な気がした。
「……んじゃ、三人で遊ぼうか?」
その晴夜の言葉は、春香には聞きなれたものだったが、今日は少し違って聞こえた。
そう、四季ちゃんは晴夜君の新しい家族でわたし達には新しいお友達だった。
でも、新しい家族って何なんでしょうか? 四季ちゃんは晴夜君のお姉さんでも妹でもありません、当然お母さんやお婆ちゃんでもない……なら、いったい何なんのかな?
言葉として形になる程に明瞭なものでなくても、きっとこの時のわたしはそんな事を感じていた。 男の子のお家にやってきた女の子の新しい家族、晴夜君の一番近くにいたはずのわたしより近くに立てる女の子……。
羨ましかった……のではなく、わたしの大好きなお友達である晴夜君を彼女が独り占めにしてどこかへ連れて行ってしまうのではないか? 立夏ちゃんには感じた事のない漠然とした不安が、この時のわたしにはあった……。
ただ、それでも……時間と共に四季ちゃんもわたしにとって晴夜君や立夏ちゃん同様に大事なお友達に、間違いなくなっていった……。