女子高生 巨大化事件(2)
ノッシン。ドッスン。
動く足音が、地鳴りのように鳴り響く。
「やめてー」
「いやー」
「お願い、なにもしないからー」
上空の飛行機から、たくさんの網や縄が投げ込まれる。
動きを止めるためだ。
地上からたくさんの警察官や自衛隊が盾を持って陣形を作っている。
進行方向を足止めするためだ。
拡声器が響き渡る。
「怪物に告ぐ。怪物に告ぐ。無駄な抵抗はやめて、ただちに拘束されなさい(男1)」
「隊長。これ以上暴れるなら、武力行使もやむを得ません!(男16)」
駅のど真ん中で、女子高生 三枝 和美は、泣いていた。
なぜなら、巨大化してしまったから。
2時間前。
和美は、祖父母の家に向かっていた。
和美は、LGBTである。ただし、祖父母には隠していた。そして運悪く、「赤」のターゲットになってしまった。
異世界から来た、ヴァンパイア「赤」は、その能力で、主人公の住んでいる都市、X県「胚乱市」で、「ヴァンパイア七つ道具」の一つ「美少女ルーレット」によって選ばれた女子高生を、巨大化させた。
ヴァンパイア七つ道具も、LGBTまではわからなかったらしい。
赤は、主人公の抹殺命令を受けて現れたようだ。
しかし、そのやり方が汚い。罪のない人を犠牲にするなんて許せない。
それはさておき。
「・・・私、三枝君が女の子なんて知らなかったよ~!!」
主人公の精神状態をも破壊することを計算していたのか。
抹殺するなら、内から。
「『赤』、恐るべし!」