表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/16

スキルで何ができる?

 異世界ホッフルグへと転生したのは良かったものの、なぜ俺の体が動かないのか。

 理由は簡単。俺が盾だったから。それに気づいたのは、つい先ほど。え?どうやって気づいたかって?

それも簡単。転生の際にもらった、<一体化>のスキルを使ってみた結果だ。なんか、自分のことが知りたいー、なんて念じてみたら、勝手に発動してできたのだ。

どうやら、このスキルというものは、魂に刻まれる力のことらしく、地球のように頭と体の学習によってもたらされる能力とは別物らしい。実に異世界っぽい。


 とはいうものの、俺自身スキルとはなんなのか、まだわからない。あくまで、俺がそう考えると分かりやすい、という理解の程度だ。これ以上考えても、おそらくわからないままだろうから、もう考えないことにする。


 で、問題はこれからだ。俺はどうやら、謎の金属でできていて、形は五角形だ。縦はだいたい50センチ、横は30センチくらいだろうか。イメージとしては、ゲームでよく見かける、片手武器と併用して使う一般的な盾だろう。装飾は全くなく、あえていうなら、古戦場に落ちていそうな古めかしい印象だな。


 自分のことはおおよそ分かったので、次は周囲の確認だ。目が無い俺がどうやって周囲を確認するのかって?考える間でもない。スキルを使えばいい。


 人間は目から入った情報を脳に伝え、脳がその情報を元に判断することで見えるようになる・・・だったはず。

 ならば、目から入る情報のかわりに、スキルから入る情報を取り入れれば・・・ほら、あっという間に周囲が見えました、とさ。超便利。


 多分、ここまで複数の行程があったと思うが、考えるのはもうやめた。そういうものだと思うことにした。考え出したら負けだ。


 さて、改めて周囲を確認するが、どうやら俺がいる場所は、どこかの遺跡っぽい。大昔はかなり発展したであろう建物の残骸が、風化によってボロボロになって打ち捨てられている。


 そういえば、スキルの便利さに気づいてちょっと試したいことがある。


 この遺跡に<一体化>するとどうなるのかな。もしや、俺自身が遺跡になれるんじゃね?


・・・と思って挑戦したところ、予想通りできなかった。


いや、スキル上はできそうなのだが、俺自身があまりの情報の量に耐えきれず、断念したのだ。

 だって、地面の成分やら空気中の成分やら、柱の一本一本の素材やら、壊れ具合やら、全て把握しなきゃならないんだぜ?元人間だった俺には無理じゃん。今は盾だけど。


 結論。このスキルは確かにチートだけど、俺自身が使いこなせるよう成長しなきゃ無理。


 とはいえ、このスキルについてわかったことも増えた。おそらく、発動には二種類ある。念じるだけで発動するが、できることが少ない【感覚型】と、意識して発動し、情報を自分で処理して効果を発揮する【マニュアル型】。効果は後者が高いが、負担も大きい。あまり多用はできそうにない。


 まぁ、人間だった頃の日常生活で無意識に行っていた行為、つまり、見る・聞く、くらいは感覚型でできそうだ。話す、は、生物ではない以上、声帯が無いから自分で意識して発動しなければならないマニュアル型でなければ無理だな。


 ひとまず、今はできることをやるしかない。


 そう、<一体化>の訓練だ。


 第一目標は、この場から動けるようになること。こんな遺跡に人が来る可能性は少ないだろうから、自力で移動しなければならない。


 動くためには、動ける体が必要だ。ただし、盾が勝手に動いているのを見た人は、おそらく化け物だと勘違いする可能性が高い。だから、できるだけ人の姿にならなければなるまい。


 一応、算段はついている。


 俺の体は謎の金属でできている盾。ならば、その金属を伸ばしたり縮めたりして、人体に似せて変化させればいいはず。

 もしくは、俺を運ぶ人形のようなものと<一体化>するか。

 とはいえ、そこまでの道のりはかなり遠い。そのためにも、スキルを使いこなせるよう努力しなければなるまい。


 手始めに、【感覚型】の効果発動を、【マニュアル型】で発動できるように訓練しよう。


 どうせ、盾である俺には時間が無限にあるだろうし。


 と思って、やり始めたが、すぐにはできない。


 何度もチャレンジし、失敗し、改善点をあげていき、ようやく見る、という効果をマニュアル型で発動できるようになった頃には、既に転生してから体感で100年くらい経っていた。


・・・俺の盾生って、ほんと時間感覚がおかしくなってね?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ