あるモデルの苦悩
「光」企画 に勝手に参加
企画者:東野雪華 様
期間:10月19日〜11月3日
参加方法は、キーワードに 「光」企画 を入れるだけ。
パシャッ パシャッ
シャッター音が木霊する。撮影の光が閃く。
皆がモデルたちを可愛いと言い、撮影をするため構えてついついボタンを押してしまう。
そんな魅力を持つ者たち。
光り輝くモデルたちの世界。
皆が同じように撮影されていく。
その中で同じように撮影されてもその写真があまり飾られない不遇のモデルがいた。
艶やかな黒い毛先。
眉も黒く長く凛々しく。
唇も黒かった。
全身もこれでもかというぐらいには黒く、その中で口元の牙だけが白く輝いていた。
幼い頃には青かったその虹彩も今では黄色く染まっている。
撮影の現場、身近では他のモデルたちと区別なく持て囃されていた。
にも拘らず、そのモデルの写真は、特にアップの画像は軒並み捨てられてしまっていた。
撮影技術を持たない者たちの腕ではそのモデルの姿を上手く写し切れなかった。
明度や彩度などの調節も出来ず、失敗という一言で切り捨てられる。
あるときのこと。撮影した写真を比べているときのことだ。
写真を選んでいる一人の言葉だった。
「なんだこれ。真っ黒じゃないか。失敗か。こっちのキジトラの寝顔のアップは可愛いな」
失敗とされたのがそのモデルの寝顔のアップ写真だった……
黒猫モデルの苦悩は続く。