新たな旅立ち、そして…
「さて、これからどーするか…。ウィルは此処から近い、人が住んでる集落か街がどこにあるかわかるかな?」
〈うん、わかるよ~。飛んで半日くらいにあるよ~〉
「飛んで半日…」
ウィルから人の住む圏内が近いことに安堵するが、その距離に少しの不安を滲ませる。
「ふむ、考えるよりも向かってみるか。案内してくれるか?ウィル。」
〈もちろんだよ、ご主人。〉
こうして龍弥の新たな世界での冒険が始まった。
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「おぉ~、リアル外壁すごい迫力だな~」
途中危険な事もなく、日が暮れる前に街へと辿り着くことが出来た龍弥は日本では見たことが無かった西洋風の壁に感動の声をあげる。
そんな上京したての田舎者状態の龍弥に近づく人影があった。
「そこのお前、その側にいるグリフォンはどーした!」
「へ?」
掛けられた声の大きさに驚きながらも、聞こえてきた方へと顔を向けた。
「え?あの、どーしたとは??」
「どこから連れてきたんだ!幼生体のグリフォンなんてどんな外道な手段を使ったんだ!」
「えぇ!?ウィルってこれで幼生体なの!?」
〈そーだよ~まだ大人じゃないよ〉
槍を構えた門番の兵士と思われる男からの問いに、変なところに龍弥は反応し驚いてしまった。
「それで、外道な手段と言われても森で会って、ウィルから仲間になってくれたので、道具を使ったりはしてないです。特別なことをしないと仲間にするのって難しいんですか?」
兵士の口振りから何やら不穏な事を感じ取ってしまったので、自身の無実を証明しようと経緯を口にする。
しかし、それだけではどうにも信じてもらえない感じがした龍弥は気になった事を逆に聞き返した。
「そんな事も知らずに仲間にしただと?…ならば、疚しいことが無いと言うんだな?」
「はい、ありません。」
「…では真実かを調べたいので私に着いてきて貰おうか。」
そう言って門の方に来るよう促しながら、兵士は歩き出すのだった。