冒険者ギルドの意味
平成最後の新年の初投稿w
…申し訳ないです(-人-;)
「…って感じで襲われたんですが、ウィルがあっさりと倒してくれたので事なきを得ました」
「そーですか。幼体とはいえ流石グリフォンですね」
ここはギルド内にある契約や取引などで密に話をすることの出来る個室。採取依頼の達成報告をした際に倒した魔物を一緒に提出したのだが、どうやら通常のウルフではなかった様で、詳しい経緯等を話す為に通されたのだった。
「ブラックウルフ。ウルフの上位種とはいえ、この辺りではほぼ見ることの無い種類ですので調査は必要です。が、幸いにも他の新人冒険者に被害が出る前でしたので事前の注意勧告も出来ますので本当に助かります」
「それは良かったです」
ほのぼのとした感じで話が終わったので、ティナは別の事をこの場で伝えてきた。
「それでですね、今回の事で階位が1つ上がりIになります」
「えっ、ですが…」
「はい。タツヤさんは本日成り立ての新人冒険者ですので知識はもちろん経験が無い事もわかっています。ですので明日からの5日間、ギルドから指定以来を発行します。それらを達成していけば最低限の知識と経験は補えると思います」
「…何故そこまでしていただけるのでしょうか?」
「何かおかしな事でもありましたか?」
新人冒険者に対するきちんとしたマニュアルなのだとしても、余りに丁寧な応対と龍也に対しての過保護すぎる扱いに些かの疑問を覚えた。なぜなら、数多いる冒険者の中でも新人冒険者の数は決してすくなくない。にもかかわらず龍也以外の新人に対して、同じ様にしているのを見たこともましてや聞いたこともないからだ。
「…やはりここまで他の方と違うと気付かれますよね」
問われた事に言葉を発せずティナの眼を見つめることで真意をはかっていた龍也に対し、諦めのため息とともに観念したようにティナは言葉をこぼした。
「理由はタツヤさんが転生者だからです」
「っ!?」
続く言葉を待っていた龍也にとって、その言葉はあまりにも衝撃だった。
「…なぜ転生者だということが?」
「門での手続きの際、水晶に触らされたと思いますがあれの反応です。本来ならあの水晶は犯罪歴のある場合赤く光り、なにもなければ青く光ります。光り輝くだけ…というよりも強く光りを発するというのはステータスに転生者を持つ者にだけ起こる事なのです」
ティナの説明を聞いて己の迂闊さを悔い、奥歯を噛み締めた。
問題なく入れたと思っていたのに、なんの事はない。最初から眼をつけられていたのだ。
「誤解がないようにいいますが、我々は決して利用する為でも、ましてや害を為す為でもありません。」
今後どうやって乗り切るかを考えていた龍也の耳に、まだ話があるのだと力強い視線と言葉に意識を向けさせられた。
「冒険者ギルドはどんな時でも中立の立場でなくてはならず、如何なる権力にも屈してはならない。なぜなら、何時如何なる時も護らなければならない者があるからです。…それが転生者。タツヤさんのような方たちです」
「それはどういう事ですか?」
「残念ながらこの国、世界と言ってと良いでしょう。どの範囲であったとしても一枚岩というわけにはいかないのです。それ故悪意を持つ者達もいるというわけで、少なくとも冒険者ギルドを訪れた方に関しましては庇護の対象となってます。その為、独自の機関として確立しているんです」
ティナの真摯な説明を龍也は真剣に聞くのだった。