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どんCの夏のホラー  作者: どんC
1/6

夏のホラー2018 ~ 下水道の人魚 ~

「下水道に人魚が居るんだって」


「えっ? ワニじゃなくて?」


「人魚だよ」


「どうして下水道に人魚が居るの? 誰がそんなことを言ったの?」


「ああ。ほら、三組のジョニー・ライデンだ」


「ジョニー? じゃガセだね」


「何でガセだと決めつける?」


「だってあいつほらふきだもの」


「兎に角確かめに行こう」


「ちょ……手を引っ張らないでよ」


「早く早く。今夜は満月で満ち潮だからきっと人魚は居る」


「え~嫌だわ。下水なんて臭くて汚いわ。仮に人魚が居てもその人魚も臭くて汚いわ」


「人魚は臭くも無いし!! 汚くも無い!!」


「何をそんなにムキになっているの? どうしてそう言い切れるの?」


「実は僕……人魚に会った事があるんだ」


「……」


「あ~そのこいつ頭可笑しいんだなって顔はやめい!!」


「おかしいのは顔だけにしてよね」


「僕の顔はほっとけよ」


「で……人魚に会ったんでしょ。何処で会ったの?」


「信じてないな。まあいいや。僕が子どもだった頃、ヨットの事故で両親は死に僕だけが生き延びた。君は信じないだろうが、僕は人魚に助けられた。そうして人魚にまた会う約束をした」


「冗談よね」


「本当の事さ」


「で……人魚は貴方に会いに下水にいると……」


「そう……高校の地下室は下水に繋がるドアがあるんだ。そこからなら楽に人魚の所まで行ける」


「詳しいのね」


「色々調べたのさ」


「どうして私を連れて行こうとするの?」


「君は宇宙人や不思議が見たいって言ってたじゃないか。だから人魚を見せてあげる」


「……本当にそれだけ? (本当は私に惚れた?)」


「えっ? 何か言った」


「なんでもないわ。いいわ。付き合ってあげる。でも……人魚がいなかったら。高級レストランでおごってよ。(親の遺産で金持ちなんだから色々おごれ。婚約指輪でもいいわ)」


「分かった。分かった」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「もうかなり歩いたわね疲れたわ……あら? 変ね。塩の香りがするわ」


「ほら。たぶんここだ」


「うそ……本当に人魚がいた」


「ごめんね」


「えっ? ひっ!!」


「人魚姫。約束どうり連れてきたよ」


「~♪~~~~♪~~~」


「ああ……死んでない。スタンガンで気絶しているだけだ」


「~~♪~~~~~♪」


「約束したね。女の子を食べれば人間になれるって」


「~~~♪~~~~♪」


「ああ……彼女は孤児でおまけに嫌われ者だから居なくなっても誰も気にしない。ゆっくりおたべ僕の人魚姫」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「おいアロー」


「なんだい? ジョニー」


「お前アレクサを知らないか?」


「この前僕に纏わりつくな!! って言ってから見てないよ」


「うわ~ひで~。そんなに悪い子じゃないよ。そうか。ふったのか……」


「また。何処かの男に付いていったんじゃ無いかな。惚れっぽくて。飽きやすいから。里親からの脱走も一度や二度じゃないだろう」


「まあそうなんだけど」


「アロー。ここにいたの。探したわ」


「お……おい。この美人は誰だ!!」


「こんにちは。私はターピア」


「お……おれ……い……いや私はジョニー・ライデンだ。よろしく。こんな凄い美人と何処で知り合ったんだ?」


「子どもの頃。ヨットが転覆して両親が亡くなり。僕も海の藻屑になる所を彼女に救われたのさ。こないだ再開してね」


「ふ~ん。まるで王子を助けた『人魚姫』だな」


「おとぎ話の人魚姫は海の泡になるけど僕の人魚姫は王子と結婚するんだよ」


「へっ? 結婚!! 早くないか? 学生結婚なんて」


「遅すぎるぐらいさ。僕も彼女も一目惚れでさ~。一日千秋の思いで待ってたのさ」


「あ~だからお前女に冷たかったのか。女に興味ないからホモの噂があったんだが」


「マジか!! 勘弁してくれ」


「兎に角。おめでとう」


「ありがとう。結婚式の招待状は後で送るよ」


「しかし……うらやましいな。22歳になったら親の財産が手に入るんだろ。しかもこんな美人の嫁さんをもらうなんて。ちきしょう~。リア充爆発しろ!! じゃまたな」


「行ったわ。面白い人ね」


「ターピア。大学に入学する前に式を上げよう」


「嬉しいわ。ずっとこの日を待っていた。でもあの人が言っていた『人魚姫』ってどんなお話なの?」


「助けた王子に恋をした人魚姫は美しい声と引き換えに魔女に人間してもらうけど、王子と結婚出来なければ海の泡となって消えてしまうんだ」


「どうして王子は人魚姫と結婚しなかったの?」


「バカだから本当に大切な人が誰なのか分からなかったんだろう」


「クスクス。貴方が馬鹿じゃなくて良かったわ」


「君の為ならどんな犠牲を払ってもいい。例え世界を敵にまわしても」


「ありがとう。大好きよ」


「僕も愛してる。僕の人魚姫」


       



         ~ Fin ~



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 

 2018/7/15 『小説家になろう』どんC

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最後までお読みいただきありがとうございます。

不定期更新です。気長にお待ちください

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