天才画家、準備する
今日は自分の力について調べたいこともあるし冒険者ギルドにでも行って適当な依頼でも受けてみるか。
そう決心し、今俺は冒険者ギルドにいる訳だがどうやって依頼を受けたらいいか聞いてないな・・・昨日の受付嬢にでも聞くか。
おっいたいた。
「すまないが初めて依頼を受けるんだ。なので勝手が分からなくてな。教えてくれないか。」
「え?ですが登録したときに担当した受付嬢から聞かされるはずですが?」
お前が受付しただろうが!と怒鳴りたいがまぁ俺は寛大だからないちいち些細なことで怒鳴りなどしない。
「はっ!昨日自分で受付した者を忘れるとはな。」
「えっ!申し訳ありません!私が担当していたのでしょうか?まだ受付嬢になったばかりで!今から説明いたします!」
「なら仕方がないか・・・ミスは誰にでもあるからな。次から気を付けろよ。」
「はい!ありがとうございます!では説明いたしますね!まず冒険者ランクというものがあり、FからSまであります。基準としてはCで一人前、努力次第では多くの人が到達できるレベルです。Bからはある程度の才能が無いとなれません。
Aくらいになると、とてつもない才能と努力が必要です。Sは人外や化け物レベルと言われています。
依頼の受け方は受付横のボードに貼ってある物をこちらに持ってきていただければ受付させていただきます。
自分のランクのひとつ上のランクしか受けることができません。
依頼には難易度によってポイントが割り振られており、ポイントが一定数を越えるとランクが上がる仕組みとなっています。
以上で説明は終わりですが質問はありませんか?」
「いや、十分だ。ではこのゴブリンの討伐を受けたいのだが。」
「かしこまりました。ゴブリン5体の討伐ですね。気を付けていってきてくださいね!」
よしそうと決まったらまず武器を買わなければな。
俺の《芸術創造》で作ってもいいが絵を描いてる隙に攻撃されても面白くないからな。
確か近くに武器屋があったな。行ってみるか。
ふむ。武器屋についたはいいが良い武器が分からないな。
とりあえず扱い易そうな片手剣でいくか・・・
「すまない。これをくれ。」
「あぁ5000ユピテルだよ。」
ユピテルというのはこの国の通貨らしい大体
銅貨一枚100ユピテル
銀貨一枚1000ユピテル
金貨一枚10000ユピテル
となるつまり今回は銀貨5枚ということだ。
特に今は高い武器が欲しいわけではないからなこれくらいでいいだろう。
「お前さん。防具は?」
確かにこのままだと少し危険かもな。
「なるべく動きやすいやつを頼む。」
「なら皮鎧だな。4500ユピテルだ。」
「分かった。」
言われるがままに皮鎧を買って着てみたが案外悪くないかもな。
だが俺にはまだ欲しいものがある。それは筆だ。
《芸術創造》を使うときに指で描いていたがそれでは流石に描きにくいからな。
筆には妥協しない。
くっいろいろな雑貨屋を回ってみたが中々良い筆が見つからない。
まだ回ってないところがあるか聞き込みでもしてみるか。
回りを見渡すといつのまにか人が居なくなっていた。
そして正面には見るからに怪しいオーラを醸し出している店があった。
だが逆にその怪しげな見た目にナオヤの好奇心が反応した。
店の扉を開けるとそこは・・・どう考えても店の見た目より広い空間が広がっていた。
所々に商品らしきもの外が陳列されている。
少しの間商品を眺めているといかにも魔女というような老婆が話しかけてきた。
「よくここまで来たねぇ。ほとんどの客は店を見たら逃げ出すか入ってきた瞬間にここの広さに驚き腰を抜かしたりするんだがねぇ」
「おいおい婆ぁさん。俺をそこらの一般人と一緒にするんじゃない。ところで筆を置いていないか?もちろん上質な物をだ。」
「ひひ、それは悪かったねぇ。筆かい?それならそこの棚のなかだよ。」
老婆の指した棚を開けるとそこには・・・
「おい!婆ぁさん!これはなんだ!何て良い筆なんだ!俺は絵を描くときにどんな筆だろうが素晴らしい絵を描くことができる。弘法筆を選ばずっていうやつだ!しかしこの筆を前にするととても他の筆を持つ気にはなれない!言い方は悪いがさっきまでの雑貨屋で売っていた筆が歯ブラシに見えてくるぞ!」
「ひひ、当たり前さねその筆は古龍の髭と骨で作ってあるからねぇ文字通りものが違うって訳さ。」
「婆ぁさん!この筆はいくらだ!」
「そうさねぇ。あんたとは案外長い付き合いになる予感がするし、大物の雰囲気を感じる・・・値下げして金貨75枚でどうかね。」
「買った!今のなしとかは聞かないからな金貨75枚で良いんだな。」
「毎度あり。ひひっ」
実に良い買い物をした。
よし。そろそろゴブリン討伐に向かうか。