プロローグ
大海原のように広大に広がる青い空。
太陽光を直に受け深々と生い茂る草原。
そして地上を低く飛びかう雲……。
「また……、あの夢か」
半開きの瞼をこすりながら、いつものように呟き人気も無い、見渡す限り、青と白と緑しかない入り混じらない広大な草原の世界。
いつからこの夢を見るようになったのかは自分でも覚えていない。
そもそも、ここは夢なのか?
やたら現実味あふれる場所だし……。
人気も感じられな――。
『お願いっ! わたしたちの世界を救って』
!
反射的に後ろを振り向いたが後ろには誰もいなかった。
「今のはいったい……。ただの耳鳴りでもないし。それに『救って』って言われてもいったいどこを―…」
頭を掻きながらしばし困り果てるも、この世界には少なくとも人がいることが分かっている。
このSOS信号を唱える声の主に俺は会ってみたい。
なんて素朴な願望を抱いて再び草原にゴロンッと寝っ転がり静かに目を閉じた。
サァ―サァ―と、冷たい風が緑で溢れ返る草原をなびらせ雲の間を掻き分けて走る。そして、風が行きつく先では空色に染まった純度の高いクリスタルの柱を四本立てた石碑の前で一人の金髪セミロングの少女が手を合わせ、祈りをささげその場から姿を消した。