花火
目が覚めたのは深夜の事だった。
治療は上手くいき、弾丸の摘出をした後包帯でぐるぐる巻きにして無理矢理眠った。
気絶したのか、コータがこっそり《幻惑》をかけてくれたのか分からない。
たしかコータと俺は同じレベルなので、少しの効果なら効いたはずだ。
ふと隣を見ると、コータが一緒のベッドで眠っていた。
今日はへきへきにもコータにもいっぱい迷惑をかけてしまったなぁ。
ふがいないマスターで悪かったな。
「……ふぇ?あ、マスター!おはよう!」
「悪いな、起こしちゃったか?」
「んーん、コータの事よりマスターは足大丈夫?」
「悪い奴も取り出せたし、傷も塞がって少しなら歩けそうだ」
「良かったー」
にへへーと笑うコータ。
本当に申し訳ない事をした。
そういえばへきへきはずっと廊下で眠ってたのかな。
流石に大丈夫だろう、部屋の中に連れてきてもらおう。
それから女将さんにおにぎりを作ってもらった。
特製の漬け物が入ったものだった。うめぇ。
それから二日間、丸々養生に当てた。
その際、へきへきに必死でお願いしたことがある。
ハナには黙っててくれ。
美味いジャーキーやるから。
「ねぇ、マスター。外で何かやってるよ?」
「どれどれ……」
「あれ?歩いて大丈夫なの?」
「まだ傷がちょっと残ってるけどな。激しい動きじゃなければ大丈夫だ」
「そっか」
「あ、アレは花火だな。ちょっと行ってみるか」
宿屋の裏の通りで、子供達が花火をやっていた。
あとから聞いた話では、この町でやっていた祭りは花火のものだったらしい。
皆で大きい花火、小さい花火を一斉に上げて楽しむという。
祭りが終わった後という事で、安く花火が売られている。
せっかくなので1セット買ってみた。
「日本にあるものと一緒みたいだな」
「コータもやる!やる!」
「まーまー慌てるな、やらせてやっから」
ロウソクに火をつけ、コータに一本渡す。
花火を火に近づける。
ちなみにバケツは花火屋のおっちゃんが貸してくれた。
この町の住人、なんていい人たちばっかなんだ。
「わー!きれい!きれい!」
「そうだなー」
パチパチと弾ける火花を眺める。
本当にリアルだ。
まるで本物の世界かと勘違いしてしまいそうだ。
いや、もしかしたら本当にどこか別の世界とか星とかだったりしてな。
まぁ、ステータスが開ける時点でそんな訳ないんだが。
花火が終わり宿に戻ると、女将さんと遭遇した。
ちょうどいい、今のうちにお金の足りない分を払ってしまおう。
ちょっと色を付けて払おうとしたら、思ったよりガッツりとられた。
うん。商売人としては正しいね。うん。
この町の住人はいい人ばかりというのは、ちょっと保留にしよう。うん。




