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水を奉る港 トレイサー


 トレイサーを一言で言うと『水』である。

 強力な海軍を有し、この世界では珍しい程に上下水道が充実している。

 しかしこの町の素晴らしい点はそこだけではない。


 この港は戦力が充実している。

 その為、周辺に生息するモンスターへの対策は万全なのだ。

 根こそぎ狩られ、王都と並びモンスターに襲来される可能性が低い町と言えよう。


 そういう訳でこの地域では非常に広い土地が畑や水田として活用できる。

 特に名産となるのがお米であり、現実の日本で食べられるレベルのものが作られているとか。

 以上、ハナとカロリーナからの情報だ。


「うわぁ、明るいなぁ」

「マスター!きれい!きれいだよ!」


 トンネルを抜けると、そこはまだ日の出前なのに非常に明るかった。

 照明器具が至る所に設置されている。

 日本の夜景を思い出した。


 水田や畑にも等間隔でガス灯のようなもので明かりが確保されている。

 町中は特に顕著だ。

 なるほど、これではモンスターも夜襲をかけられない。


 そして流石というべきか、こんな時間なのにもかかわらずちらほら人影が見える。

 フマウンやナフィでも浮浪者やならず者が歩いていたが、ここは違う。

 冒険者がパトロールをしていたり、水田で農家の人が既に作業をしていたりするのだ。

 個人的な感想だが、ここは良い町だ。

 一応コータに偽りの帽子を被せる。

 へきへきはフマウンやトーノでこのまま町中であくびしてたけど問題視されなかった。

 多分大丈夫だろう。


「あー、ちょっと不安だったけど大丈夫そうだな」

「何が?何が?」

「収穫時期だよ。コータにはちょっと難しいかもしれないな」


 この世界には春夏秋冬はどうやらあるらしい。

 しかし、旬というものが存在しない。

 成長したら刈り取られ、すぐに新しいものが成長する。


 それに気づいたのはフマウンでの事だ。

 大根が取れたての野菜として売られていた。

 冬が収穫時期の野菜なのでなんでだろう。

 そう思い調べてみたら、驚いた。

 大根は年に4回収穫できる野菜と書いてあったのだ。

 冷静に考えて限られた土地の中で生産してたら、食糧は高騰するよなぁ。

 海に塩がないのと同じく、この世界の変わった法則だと思っておこう。


 今回お米をこの時期に買いに来た理由もそれだ。

 カロリーナの話によると、ナフィにお米を売りに来た商人がいた。

 これはこちらで大量にお米が出回っている為、値崩れしないナフィに売りに行ったのだろうとのこと。

 事実高く売れたわけで。

 つまり、この時期でも収穫されるお米があるということだ。


 日本ではありえない光景だが、田んぼによって稲の生長が違うのが面白い。

 まだ水を張って成長を待っている稲。

 青々と育っている稲。

 黄金色となり、頭を垂れている稲。

 それが隣り合っているのだ。非常に奇妙な光景だが、面白い。


「コータ、ちょっとそこの農夫さんに話かけてくれないか?」

「分かった!何て言ったらいい?」

「お米を買いたい、ってとりあえず切り出してくれ」

「分かった!分かった!」


 稲の収穫作業をしようとしている農夫に声をかける。

 何か緊張してきたな。頑張らないと。

 英語で一生懸命話しているコータが噛みまくっている。

 俺より緊張しているな。

 ちょっと和んだ。

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