居合?あれ……居合?
「せいやっ」
掛け声とともに斧をツタに食い込ませる。
慣れてきたせいか、最初より多くのツタを切る事に成功した。
これで7割と言ったところか、もうすぐだ。
『あ、もう大丈夫よ。あたしに任せて』
「え?」
『まぁ見てなって。そりゃ!』
ハナが《ファイア》を、俺が今まさに切っていたしっぽツタに命中させる。
一発、二発、三発。おぉ、《連射》か!
ファイアによって押されたしっぽツタは、体を大きく傾ける。
しかし、俺が切った場所は少ない量のツタしか地面とつながっていない。
結果、しっぽツタは自重を支えられず、ギリギリと音を立てながら倒れて行った。
轟音を立てて周囲に砂煙が上がった後、光となって消えた。
やったぜ。
「よーし、まずは一本だな」
『おっけー。こっからはプランBに移行するわ』
「メーシャ!カロリーナ!プランBだって!」
メーシャがこくりと頷き、カロリーナが遠くから「了解やー」と返事した。
プランB、それはカロリーナが敵をひっぱる作戦だ。
まず緑の騎士に適当にちょっかいを出し、逃げる。
次にドラゴンの目の前にあるしっぽツタにちょっかいを出し、逃げる。
そして俺たちに対して横向きに座っているドラゴンの反対側まで逃げる。
そうするとどうなるか。
緑の騎士の一部、およびしっぽツタは、カロリーナを追いかけるようにドラゴンを挟んで反対側へ向かう。
こちらを三人でなんとかしなければならないが、のこる1体のしっぽツタを倒せば解決だ。
ふと、遠くからコータが走ってくるのが見える。
正確にはへきへきの背中に乗ってだ。
へきへきよ、お前いつのまにコータのペットになったんだ。まぁいいや。
「コータもソレやりたい!」
「ソレ?」
「ズバーってやつ!」
「まさか《居合切り》か?」
「うん!」
え、これモロ近接用のだけど大丈夫か?
『あたしがやったらどう?って言ったのよ』
「へ?なんでだ?」
『居合切りってスキルを練りこめるんでしょ?』
「うん」
『じゃあコータがスキルを練りこんで切ったらどうなるの?っていう』
「えー、流石にそれは無理でしょ」
「コータ!やってみたい!やってみたい!」
以前タマが試した時は、《クイックヒット》と《ロックオン》を両立させるということが出来たらしい。
この場合、刀が凄い速い特性、凄い誘導する特性を持つ。
相手がちょっと動いた程度では、一瞬で切られるという。
だが威力はあんまない。
その理論だと、コータは凄いいっぱい面白そうなスキルを持っている。
《幻惑》切り。《撹乱》切り。《天地逆転》切り。
《毒攻撃》切りは理解できる気がする。
しかし、そんな魔法剣みたいな真似が出来るのか?
コータがやりたいと言うなら、ちょっと試してみるか。
「コータ、居合切りのやり方は分かるな?」
「うん!分かる!なんとなく!」
まぁ、上出来か。
《居合切り》と《短剣》をコータに渡す。
すると、短剣に鞘……というよりはカバーのようなものが現れる。
コータは見よう見真似で構え、短剣に力を入れる。
そしてスキルを練りこむように……。
あ、見事に剣が光ってる。成功じゃないか?これ。
「できる!できるよ!」
「マジかよ。ちなみにどんなスキル練りこんだ?」
「えっとね、《撹乱》と《幻惑》」
「つよそう」
何だろう、俺の知っている居合切りのイメージが崩れ去ってゆく。




