3メートル縄跳び
目の前の緑の騎士は、次々に光となって消えた。
一気に殲滅した為、ドラゴンが新しく生み出している騎士たちはまだ少し離れた位置にいる。
攻めるなら今だろう。
「よしゃ、じゃあ先に行くで!」
「おう、気を付けてな」
カロリーナはそういうと、ター君の背中に乗り込み空からしっぽツタの元へと向かう。
理由は囮だ。
俺たちが地上から攻めた場合、ある問題が浮上する。
しっぽツタのかなり回避難易度の高いある攻撃だ。
それは地表スレスレに薙ぎ払うようにしてツタを振り回す単純なものだ。
しかしツタは長さだけでなく太さもある。
大体2メートル強から3メートル。
さきほどまではここまで太くなかった気がする。
これはツタ自体が意識的に太くしたのか、それとも雨の影響なのか。
そんなものが地表スレスレで薙ぎ払ってきたら簡単に回避できる訳がない。
そこで、カロリーナが上空で囮になりつつハナがファイアで牽制する。
俺とメーシャでしっぽツタの根本まで走り抜け、無理矢理切り落とす。
こういう作戦だ。
後続の緑の騎士たちがたどり着く前に何とかしたい。
「メーシャ、準備はいいか?行くぞ?」
俺がそういうと、メーシャはコクリとうなづいた。
ハナが《ファイア》を撃つのを合図に、一気に走り出す。
「うお!かっけぇ!」
上空では、カロリーナがター君に乗ってしっぽツタと激戦を繰り広げている。
何というか、男心をくすぐる大立ち回りだ。
しっぽツタが何度もター君を捉えようとその体を振り回すが、紙一重でかわし続けている。
恐らく、背中に乗っているカロリーナが的確に指示を出しているのだろう。
しかしそれも長くは無かった。
しっぽツタは俺たちが接近しているのに気づくと、モグラたたきの如く俺たちを潰そうとしてきた。
とはいえ体が大きいせいで、モーションも大きくならざるをえない。
《ハイジャンプ》でなんとか避けれる範囲だった。
問題はあの薙ぎ払いだけだ。
「……メーシャ!来るぞ!」
ツタの根本まであと15メートルというところで、薙ぎ払い攻撃が来た。
3メートルの壁のようなものが猛スピードで迫ってくる。
仕方ない。飛ぶか。
俺は《ゴーレム召喚》を使った。
さっき緑の騎士をゴーレムごと吹き飛ばした際、ゴーレムは一度全て消して作り直した。
その数は57体。残りの3体はこの為にとっておいた。
3体のゴーレムを土下座させて、ピラミッドのように重なる状態で召喚する。
それを一気に駆け上がり、上の1体に足をかけた瞬間に《ハイジャンプ》。
俺個人の《ハイジャンプ》の性能では3メートルには届かないが、これを利用すれば何とかなる。
そして、念の為に上空にいるター君を標的として《クイックヒット》を発生させる。
技によって僅かに高度が稼げる。これで何とか3メートル。
一応最高高度で足を曲げて少しでも高さを稼ぐ。
《クイックヒット》を発生させる関係上顔は真上になるので、足元で轟音を響かせながら通り過ぎる巨大なツタは見えなかった。
ただし足場となってくれたゴーレムが、悲しい音を出しながらどこかへ吹き飛んで行ったのが妙に印象的だった。
風圧で体を持って行かれそうになるが、何とか体勢は崩さずに済んだ。
駅のホームで立っていたら電車の風圧で転びそうになった時の事を思い出した。
ちなみにメーシャは《ハイジャンプ》をした状態で《キャンセル》をし、その上にまた《ハイジャンプ》をすることで3メートルを跳ぶことができる。
うーん、やっぱり羨ましいなぁ。《敏捷力》特化。




