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死体漁り


 新たな死者が出たその日の夕方、俺とハナが五目並べをやっているとブザーが鳴った。

 何事だろうか。池でまた誰か死んだのか?


「えっと、池には問題なさそうだ」

「わかった、フマウン方面のこのモニターちょっと見て」

「どれどれ……?何だこのいかにもガラ悪そうな連中」

「すごい大きな袋持ってるね」

「あー……分かったかも」


 この大きな袋、これは死体を入れるためのものじゃないのかと推測する。

 彼らは死体漁りではないだろうか。

 野生のモンスターに襲われた冒険者たちの死体を漁り、彼らの所持金や所持品を漁る……。


 彼らがちゃんと調査してしまうと、このトンネルに発生している死体がどこかに消えるのがバレてしまう。

 彼らのレベルは11前後ぐらい。殺してしまえばまぁまぁ美味しい経験値になる。

 うーん……。


「どうする?」

「殺っちゃおうか」


 下手に生かしても良い事は無いと判断。

 恐らく鬼姉妹とコボルド達の手を借りるまでもないだろう。

 さぁ、死体漁り達よ。俺たちの養分になってくれ。


「他の冒険者は大丈夫か?」

「大丈夫、今はあの三人以外誰もいない」

「よし、じゃあへきへき借りてくぞ」

「あいよ」


 さて、行くか。





 死体漁り達の前に、一匹の白い猫?狼?のようなものが突如現れた。

 何だ?こいつ。こんな奴の報告は受けてないぞ?

 そう思いながら仲間に指示を出そうとする。

 しかし、その一人はまるで糸の切れた人形のように崩れ落ちる。


 その直後、背後から何者かの襲撃を受ける。

 仲間の一人は体勢がなぜか崩され、二本の棍棒を持った男に殴り殺された。

 残された最後の一人はこう思った。くそっ賊か!


 彼は逃げた。

 懸命に。一心不乱に。

 彼が白い玉を握りしめ、向かった先。

 そこには、見た事もない大きさのカエルが何匹も……。


 トンネル内に、断末魔が響き渡った。



 ■ ■ ■ ■ ■



「おぉ、これか!これが《ロックオン》か!」

「えぇ、そこからスキルを込めるようにして留めて……」


 死体荒らしを暗殺した際、俺はとうとう《戦闘レベル》が15になった。

 《器用さ》を25に、残った5ポイントは《ゴーレム召喚》に使った。

 理由は単純、大鷲戦の時に助けられたのが凄い嬉しかったからだ。

 一応俺は土カードを五十枚までスタックできるので、一度に召喚できるゴーレムの数がハナの五倍というのも理由ではある。


 そして、今現在俺はタマから《ハードショット》の放ち方をレクチャーしてもらっている。

 短剣を使った投擲でもいいが、弓矢の練習も兼ねている。

 タマはちゃんと練習の間だけ自分の弓矢を貸してくれた。

 ポチと違ってな!ポチと違ってな!


「違います!ロックオンに頼らない!まずは自分で狙い通りの場所を射抜けるように……」

「は、はい!」


 ……ヤバい、どんどん指導に熱が入って来てしまった。

 ありがたいんだけどちょっと怖いというか……。

 あ、ハナだ!様子を見に来てくれたんだ!


「お、ハナ!」

「こんにちは、ハナさん」

「やっはろー」


 思わず助けてくださいと言いたくなるが我慢我慢。

 ハナ、俺の意図をくみ取ってくれ!


「あのさータマ」

「何でしょう?」

「いまやってる修行の事なんだけど、もっと厳しくしちゃっていいよ。マスターだからって気にしないでさ」


 な、何を言うだー!


「え、でも……」

「大丈夫だよ。俺だって生き残る技術ならいくらでも身に着けたいし」

「……分かりました、では遠慮なく行かせていただきたいと思います」

「おう!」

「がんばれー」


 つい便乗してかっこいい事を言ってしまった……。

 ハナが立ち去った後、タマの目が変わった。

 おぉう、そんな鞭なんかどっから持ってきたんですか……。




 ちなみに、各冒険者の持っていた武器等は現在ハイコボルド達が選んでいる。

 コボルド達はもうあらかた良い武器が手に入っているしな。

 棍棒使いのジャンだけは冒険者から入手できないので、ハナが《強棍棒》を合成して手渡しした。

 その時「お前にサンが救えるのか」とかよく分からないことを口走っていた。

 というか何で冒険者に棍棒使いがいないんだ!俺もジャンも良い武器が欲しい!


 あ、余計な事考えるなって?はい、わかりました。姿勢ですね、何とかしたいと思います。



 ■ ■ ■ ■ ■




 五時間にも及ぶみっちりとしたタマのレッスンが終わった後は、ようやく《ゴーレム召喚》を試す時間にすることにした。

 とはいえ、一応何かあったら怖いので一体だけ召喚してみる。


「うお、むっず……!」


 カロリーナは柔らかい泥のような素材にしたりしていたが、そんなもんではない。

 一体のゴーレムに使う土の量は一定のようだ。

 しかし、その裁量の中ではなら身長、体の太さ、硬さ、何だったら表情とかまで好きに設定できるよになっている。

 だが、コレが逆に操作を難しくしている原因な気がする。

 右腕をあげろという操作をしたつもりが身長が高くなったり。

 走れという操作をしたつもりが頭がぐるぐる回ったり。

 些細なミスが動きに大きな影響を与えてしまうようだ。


 それと同時に、自動という機能もあるそうだ。

 自動に設定すると、ゴーレムが指示した内容に忠実に従いながら、自分で考えて行動してくれるとかなんとか。

 しかし、これは見た目より使えない。

 なんで出せる指示が英語だけなんだよ!

 最悪ゴーかバックだけでなんとかなるかな……。


 とりあえず、練習して手動である程度は動かせるようになった。

 しかし、今は一体。いつか五十を同時に動かせるようになるようがんばろう。

 自分用にカスタマイズも考えないといけない。 

 稼働時間もあるのだろうか。有限ならその限度を知っておいた方がいいかもしれない。

 こいつは出しっぱなしにしてしばらく置いておこうかな。



「さて、これからについて相談しようか」

「外に出たい!」


 言うと思った。

 だが、冒険者たちの隠し扉への認識の低さを考えると何か大丈夫な気もしてくる。

 うーん、正直いざとなったらコボルド達と鬼姉妹で十分耐えられそうな気がするんだよなぁ。

 ものは試しだ。少しダンジョンを留守にしてみよう。一泊二日ぐらい。


「で、どこ行くの?」

「あー、そうだなぁ」


 フマウンの冒険者掲示板を少し見たい。

 しかしフマウン自体はあんまり好きじゃないんだよなぁ。

 そうだ、もう一個町があったな。確か。


「じゃあさ、トーノに行かないか?」

「トーノ?どこだっけ」

「あのーフマウンの西の」

「あー」


 アミサガン大陸は西部エリアは砂漠になっている。

 そして西部と北部のちょうど真ん中にあるのがトーノだ。

 砂漠までは行かないと思うが、まぁ様子見も兼ねて。


 話がまとまった辺りで一度モニターでゴーレムの様子を見る。

 ゴーレムは土の塊になっていた。

 大体一時間ぐらいか。結構長持ちだなぁ。

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