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三つ巴

 とうとうダンジョンの入口を解放する日がやってきた。

 入口になる部分に立ち、ハナに合図を送る。

 とにかく何が起きるか分からない。

 ハナが決めてある座標に向けてダンジョンの入口を出現させる。

 後で聞いた話だが、ダンジョン解放のキーを押す際に何度も何度も「よろしいですか?」みたいな確認があったらしい。


 俺の目の前の壁が光り輝く。

 輝きが収まると、目の前はまさしく待ち望んでいた外だった。

 てっきり日中かと思ってたが、外は真っ暗でありまさしく真夜中だった。

 湿った空気がダンジョンの中に入り込む。

 ずっとダンジョン暮らしだったせいで、外の感覚は久しぶりだ。後でハナと代わってやろう。


 とはいえ今はやるべきことがある。

 まずは周辺の安全を確認しなければならない。

 ダンジョンの出現した位置は崖の下であり、前が森で覆われている。

 近くに村が二つあるとはいえ、すぐに発見されることは無さそうだ。


 ダンジョン内はある意味光る壁さえ気を付けていればよかったが今は違う。

 いつどこにどんな脅威があるか分かったもんじゃない。

 こういう時、このスキルが本当に役に立つ。

 《警戒》でコウモリ四匹が一斉に森の中へ散って行った。

 すぐにそのうちの一匹が戻ってくる。

 どうやら敵を見つけたらしい。

 有能過ぎる。


 50メートル程進んだところで、何やら明かりを見つける。

 コータに《警戒》を任せてそちらを注視する。

 最初人間か……?と思ったがどうやら違うらしい。あれはゴブリンだ。

 どうやら二体でたき火を焚いて休んでるらしい。


 隙があるといえばあるが、気になる点が一つ。

 ゴブリンは防具をつけていた。皮製のではあるが、割と立派なものだ。

 《二刀流》はタイマンでは強いが、スキルの硬直の関係上多対一は得意ではない。


 うーんと考えていたら、コウモリの一匹が危険信号を発した。

 咄嗟に木の陰に隠れる。木にカっという音が響く。

 この音は…弓か!

 矢が木にささっていた。


 矢が飛んできた方向を見ると影が三つ。

 一人が弓を構えている……アレはコボルトだろうか。 他にも二体ほど見える。

 コボルド三体にゴブリン二体か……。

 見ようによっては挟み撃ちされる形になっている。

 これは……ピンチなんじゃなかろうか。



 ■ ■ ■ ■ ■





 ゴブリンはまだこちらに気づいていない以上、コボルドをどうにかするのが先決だろう。

 牽制するだけして、最悪の場合は《ハイジャンプ》連打で逃げればいい。

 その際弓矢には十分気をつけないといけないが。


 コボルドはゴブリン程いい装備はしていなかった。

 前衛二人と言っても《短剣》より劣るような脆そうなナイフを持っているだけだ。

 しかし、よくよく見ると手入れだけはされているようだ。

 防具らしい防具は装備していない。


 弓矢がもう一発準備される前に前衛をどうにかしようと思った時、少し顔の引きしまった方のコボルドの足が光る。

 ……《ハイジャンプ》か。


 初見では反応が厳しそうな《ハイジャンプ》だが、俺は見た事も使った事もあるので大体どの程度の性能か予測できる。

 そのまま切りかかって来るのを受け流しながら、もう一体の方へ注意を向ける。

 ガタイの良い方のコボルドも思ったより足が速い。

 このまま交戦になるのは厄介か。コータに《錯乱》させて少し時間を稼ぐ。

 急にコウモリに襲われたコボルドは足を止める。


 すぐさま引きしまった方のコボルドに《クイックヒット》を打ち込む。

 《ハードヒット》では技の時間が長く、硬直も長い為弓矢の餌食になると考えたからだ。

 コボルドの腹部に棍棒を打ち込み、ナイフを打ち上げる。

 ナイフは遠くまで飛ばされる。武器を無力化するだけでも十分だろう。


 コータが何かを伝えたいように聞こえる。

 分かってる。弓矢の二発目が来るのだろう。

 《クイックヒット》の硬直が終わり次第、《ハイジャンプ》で全力で飛ぶ。

 これで矢は避けれるはず……。


「……なっ!」


 タイミングはばっちりだった。

 完全に避けたと思っていた矢は俺の右腕をカスる。

 非常にいい勘をしていたのか……?と思ったがそうではないらしい。

 目の前の木に突き刺さっている矢はあわい光りを放っていた。

 ……スキルか。強い誘導をするとかそういう効果なのだろうか。


 たしか《器用さ》で投擲の威力が上がったはず。

 弓を扱うのも《器用さ》だとしたら、《器用さ》を25にするとこの技が使えるのだろうか。

 ハナが25になっていたら、このスキルを警戒したのだが。


 とはいえ弓矢の奥の手を防ぎ、コボルドの一人を無力化出来た。

 かなり有利なはず……。


 ふと見るとコータが騒いでいる。

 何事かと思ったら、ゴブリンがこちらに向かって走ってきている。

 五対一は流石にマズいか……?と思っていると、予想外の事が起きた。

 ゴブリンは手に石を持ち、それをコボルド(・・・・)の方へ投げ始めたのだった。



 ■ ■ ■ ■ ■




 石は痩せたコボルドに投げられるも、コボルドは回避。

 ゴブリンはようやくコータの《撹乱》を抜け出したガタイの良いコボルドにタックルをかます。

 助けてくれるのか?と思いきやもう一方のゴブリンは俺に切りかかってくる。

 あまり上等とは言えないが、相手は防具持ちな上コボルドも気になるので迂闊にスキルが出せない。


 コボルドはそれまでの態度を一変。まず痩せたコボルドはナイフを回収すると仲間を救助。

 即座に撤退を始めた。ゴブリンは追撃を入れようとするが、弓矢のコボルドが仲間の撤退をサポート。

 俺もゴブリンを倒してもいいのだが、パワーバランスが崩れるとコボルドが一転してまた攻撃してくる恐れがある。

 乱戦は望むところではないので、《ハイジャンプ》でコボルトとは別方向に逃げることにした。

 適当に《撹乱》をゴブリンに放って追撃を諦めさせる。



 両方の姿が見えなくなり、追撃がないのも確認してから足を止める。

 コータは何気にちゃんとついてきた。《ハイジャンプ》何度か使ったのに凄いなこの子。

 乱戦である程度立ち回れているのはコータのおかげと言っても過言ではない。


 まず状況を整理してみる。

 今のところ発見したのはゴブリンとコボルド。

 コボルドのあの引き際の速さから見て、ゴブリンから攻撃される事は初めてではないのだろう。

 日常的にこの両者はある程度対立をしていると思われる。


 ゴブリンの方が良い装備をしていた一方、コボルドはスキルと連携、戦術でカバーしているように思える。

 今思えばゴブリンの皮の鎧はサイズが合ってなかった気がする。

 まぁオーダーメイドで作るわけでも、店頭で合うサイズを買っているわけでも無いだろう。

 おそらく冒険者を襲って入手したのだろうか。


 コータに《警戒》させる。今度はすぐに反応は無かった。

 崖の周辺の探索に切り替えることにする。


 どうやらこのあたりで人が立ち入った形跡はない。

 一方で野生動物らしき足跡もある。

 これがモンスターなのか動物なのか判断はできないが。

 崖沿いに歩く事数分。穴が開いている事に気づく。

 洞窟か……?



 その時電撃に撃たれたような衝撃の感覚に襲われる。

 洞窟?そんな甘い考えではダメだ!

 これが仮にただの洞窟ならそれでいい。

 だがこれがもし、もしダンジョンだとしたら。

 これがプレイヤーによって作られたダンジョンだとしたら…。


 コータの《警戒》によるコウモリが一匹中に入って様子を見る。

 そしてすぐに戻ってくる。何かをアピールしている。

 何が言いたいのかすぐに分かった。中に何かがいるのだろう。

 どうするか……。よし、行くか。

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