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魔王指定

「お、マスターだ!おかえり!」

「ただいまー。ってあれ?もう帰ってるのか?」

「マスターが帰ってくるまでに結構時間かかったよ!」


 気が付くと布団を被っていた。

 目を覚ましたと言った方がいいかもしれない。

 眠っていたのか?


 外を見ると少し暗くなっていた。

 朝早くにダンジョンを出たはずなので、半日ぐらい経過していそうだ。

 ハナと会ったのは、やっぱり夢だったんだろうか。


 ふと見上げると、部屋の中央に例の文字が浮かび上がっていた。

 これはハナの言っていた通りか。やっぱりアレは夢じゃなかった。

 えっと……ダメだ読めない。コータに通訳を任せよう。





 今回の運営からのお知らせは2つあった。

 『マスターカード5枚おめでとう!』と『緊急メンテナンスについて』の2つだ。

 まずは先のお知らせから読んでもらう。




 マスターカード5枚獲得おめでとうございます!

 このカードを消費をする事で、様々な特典を得る事が出来ます!


 5枚  好きなスキルを取得

 10枚 ペットモンスター新規取得

 15枚 プレイヤー1人を蘇生(本人のカードが別途必要)


 ………………

 …………

 ……


 25枚 ゲームクリア!あなたは帰還する事ができます!



 ……なるほど。

 こういう大事なものは最初に説明しろよ!

 このゲームは根本的に説明不足にも程があるだろ!

 いや、説明書を読んでなかった俺が悪いんだけど。


 恐らくこの表示はマスターカードとやらを、報酬に最低限必要な5枚集めたら初めて出てくるんだろう。

 だからこそ、蘇生の方法を知っているダンジョンマスターがいた。

 ついでに現実世界に帰還する方法も分かった。

 25枚か。俺とハナで2人。それにハナの復活に15枚、

 合計65枚。確かダンジョンマスターって合計30人ちょっとぐらいしかいなかったんじゃ?あれ?無理じゃね?


 いや、考え方を変えよう。

 ダンジョンマスターがあまりにいないとこのゲームは成り立たない。

 何か、補完する方法はあるはずだ。

 それより、今はハナを蘇生する事に専念しよう。


「で、コータ。もう1つの緊急メンテナンスについては?」

「えっと、とあるダンジョンマスターが王都を襲撃し壊滅。これにより……」


 これにより、襲撃したダンジョンマスターを『魔王』と指定します。

 この『魔王』は討伐するとマスターカードを3枚落とし、単体よりその効果も強く設定されます……。


「ってこれ俺にとってデメリットしかねぇじゃねーか!」

「いや、そうとも限らないと思うで」

「そうか?ただでさえハナの為にマスターカードを集めないといけないのに……ってカロリーナ!?なんでここにいるんだ?」

「やぁ、カロリーナ様だよ」


 いつの間にか俺の椅子にカロリーナが座っていた。


「コータたちが帰ってきてすぐに来たので、お招きしておきました」

「お、おう……」

「いやーあんちゃんも無茶するわなー。別に王都攻めろなんてひとっことも言ってないんやけど。まぁ面白かったからええわ」

「そ、そうか。って、カロリーナはこの蘇生条件とか知ってたのか?」

「ウチを誰やと思っとるんや。ま、知ったのは極最近やけどな」


 そう言いながらピーナッツを齧るカロリーナ。

 ちなみに東部エリアの北の方の町の特産品だそうだ。


「で、あんちゃんは何枚カードを持っとるんや?」

「まだ5枚しか」

「そか、まぁそんなもんやろうなぁ」

「……で、カロリーナは何枚持ってるんだ?マスターカード」

「17枚や」

「じゅ……」

「何や急にカード持ちが挑んで来る機会が増えてなぁ。ウチがカードいっぱい持っとる事、噂で流れてるみたいやねん」

「……それでマスターカード持ちが更に来ると」

「せや」


 ……流石カロリーナだ。

 俺達に出来ない事を平然とやってのける。


「で、ここからが本題や」

「本題?」

「コレを見ぃや」


 カロリーナは1枚のカードを取り出した。

 それは金色のカード、マスターカードだ。

 そこには『Nanaka Kurashima』と書かれていた。


「こ、これは……」

「ウチのダンジョンに挑んできた命知らずが持ってたカードや。あんちゃんには必要なもんやろ?」

「あぁ……」

「ウチもこれはタダではやれへん。ウチも帰還したいからな」

「……そうだな。何と引き換えなら譲ってるんだ?」

「引き換えなんて眠たい事言わず、奪い合いしようや。戦いでな」


 そういえばこいつはこいつで戦闘狂だったな。

 なるほど、俺はこの戦いを勝たないといけないのか。


「模擬戦か。ルールはどうするんだ?」

「模擬戦?だからあんちゃん何眠たい事言うとるんや?」

「は?」

「ウチの持ってる枚数は知ってるんやろ?」

「17枚だろ?」

「ほんで、あんちゃんが負けたら何枚カードをくれるんや?」

「そりゃあ俺は5枚しか持ってないから5枚だろ」

「……だから、何を言うとるんや」


 カロリーナは立って、椅子を蹴とばした。

 手には見た事もないような見事な日本刀を持っている。


「ウチの目の前には、律儀に『魔王』なんて3枚カードを落とす奴がいるんやで?」


 そしてカロリーナは、何の躊躇いもなく手の日本刀を振るってきた。

 俺が先ほどまで眠っていたベッドが、真っ二つに叩き折られた。

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