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ハリセン二刀流

 リザードマンとの戦いで活躍した秘策その一、フェイントはハナとのハリセンでの殴り合いによって発見された。

 新しいスキルやカードを得た今、試さないでいられようか!

 前回は《カウンター》の検証だった為殴られ続けたけど、今回はカウンターの条件は分かってる訳だ。

 へっへっへっ……たっぷりいたぶって……あ、何でもないです。



 ハナとハリセンを持って向かい合う。

 二刀流の効果の実験も兼ねているので、俺はハリセンを二本持っている。

 横ではパタパタと羽ばたくコータ。

 とはいえサイズがサイズなので、そこまで目立った音は立てていない。

 とりあえず何を試そうか。


 まずは危険性が低そうな《警戒》からやってみる。

 「警戒! 」と念じると、耳元で何やら急にコータの周辺が騒がしくなった。

 何かと見たら、コータ……じゃなくてコウモリが五匹ほどパタパタしている。

 うっとうしいわ!と思ったら、コータを残してパッと散って行った。

 そして部屋の出入り口を中心に、入念に巡回(?)している

 お前らどこから来たんだよとかツッコミどころ満載だが、これで索敵してくれるのだろう。

 一応超音波を使って、離れた相手がわかるのだろうか。

 とはいえ今は特に危険も無いので戻しておく。



 《ハイジャンプ》の実験をしてみる。

 「飛べ!」と念じると、リザードマンがやっていたように長距離飛ぶ事ができた。

 ダンジョンだから上方向へは怖かったのでやっていない。屋外では立体的な戦いが出来るのか?


 《ハイジャンプ》の検証すると、思っていた以上に凄いスキルだと言う事が分かった。

 起動条件は「足が地面にくっついている事」だったようだ。

 移動距離は助走込みで五メートル近く、助走なしでも三メートル弱の幅跳びが可能。

 動きやすい程移動できるのだろう。


 しかし恐ろしいのはその条件。

 ハナの提案で試しに地面に仰向けになって寝て起動してみると、一メートル程ジャンプした。

 足がついていれば何でもいいのだろうか。

 物理法則もあったものではない。

 ハナは「ハイジャンプなら横じゃなくて縦のジャンプが正しいんじゃ……」と妙な点に首をかしげていた。


 ちなみにもっと厳しい条件ではどうかとハナが危機…嬉々としてバスタオルを持ってきた。

 足を拘束してみたらどうかという実験のようだ。お前拘束したら絶対何かするだろ。


「私が使ってるバスタオルだよ? 興味ない?」

「影でこっそり買った新品のバスタオルだろこの野郎」

「ちぃっ」


 ちなみにこのバスタオルは、コータの休むベッドの部品に流用することになった。


 《二刀流》の実験もする。

 まずは《クイックヒット》を出してみる。

 ハナは流石に早さについて行けなかったらしく右のハリセンでの突きがヒット。

 そして即座に左のハリセンがハナの手を打った。

 ハナのハリセンが飛ばされてスキルが終了。

 相手の武器無効化か、つよっ。


 最後に《撹乱》を試してみる。

 ハナに向かって放つと、再びコータの周辺に突如としてコウモリが四匹出現。

 どれが本体か一見分からない。分身の術か。ジャパニーズニンジャか。


 コータ以外の四匹がワラワラと飛びながらハナの周辺にわーっと群がった。

 頭の周辺で四匹のコウモリに群がられるハナ。

 堪らずきゃーきゃー言いながらマスタールームへ逃げて行く。

 強いかどうかは別として、かなりうっとおしいなコレ。

 というか、コータは仲間にばかり任せてないで自分でちょっとは働けよ!

 まぁ本体の体力は低そうだから、安全なスキルならそれに越したことはないのだが。



 ■ ■ ■ ■ ■



 ハナは俺に比べて《採掘》の効率が格段に良い。

 俺が計画の四割弱程度しか進んでいないのに対し、ハナは七割近く進めている。

 ボス部屋等はハナの負担が多めになっているので、実際は倍以上のペースと言える。

 俺は直線で採掘しているのに対し、ハナは若干脇道を作ったりしてダンジョンっぽくしているので凄い。

 俺もレベルが上がったので当初よりは進みが早くなっているが、やはり《知性力》の差は大きいらしい。

 採掘そのもののペースも早い。つい最近スキルで採掘を高速化させるスキルを最初に取得したと教えられた。

 もはや《採掘》に関してはハナ担当と言っていいだろう。

 その分戦闘で役に立ちたいところだが。


 ハリセンでの修行の後、俺とハナは二人で《採掘》をとにかく行うことにした。

 理由はハナのレベル上げだ。恐らくあと一、二体倒せば上がるだろう。

 ハナ曰くどうやら目ぼしいスキルは最初にとったらしい。

 俺が《敏捷力》で25になってスキルを覚えたように、恐らく《器用さ》でも何かスキルが体得できるのではないだろうか。

 今後は《器用さ》を25にして《知性力》に特化していく方針を決めてある。


 俺は戦闘レベルが5になったらステータスに振るポイントが5もらえた。

 そうすると、ハナも同様と考えると《知性力》にも5ポイント振る余裕が出てくる。

 30から一気に35になれば、《採掘》の効率はさらに上昇するだろう。


 俺がまったりコータと一緒に採掘をしているときだった。

 ハナが息を切らせて駆け寄って来た。

 あまりそういうことはしないやつなのに珍しい。


「どうした? 」

「はぁ、はぁ……。光る……壁が……」

「おぉ、出たか。」

「三つ……密集して出た」

「おぉう……」



 ハナが言うには、《採掘》で吹き飛ばすと目の前のとその先の二発分飛ぶときがあるらしい。

 今回もその影響で二発分吹っ飛ばしたところ、通路の右側に二体、左側に一体分の光る壁が現れたと。

 《土》を使えば左右のは分断できるが、右にある二体分の壁は完全に隣接しているとか。

 二体の敵が埋まっているのか、それとも実は強力な敵が埋まっている事を意味しているのか。

 二発分吹っ飛ばさなければ分からなかった事実ではある。


 一度帰って装備を整える。

 打ち合わせをしつつ少し時間を潰す。とりあえず右は危険なので、左の一体の方を攻撃することに。

 《採掘》でかなりMPの残量が減っているので、少し回復しておく必要がある。


 小一時間休憩を取った後、現場へと向かう。

 まず土で左右を分断。現場は非常に狭い通路なので、少し《採掘》で空間を開けておく。

 この作業はハナに任せた。俺は装備カードが棍棒二本、二刀流、コータで埋まっている。

 ハナは前回同様に土、採掘、杖とファイアだ。


 ちなみにこのように作った空間は、ダンジョンの一部として後々利用する。

 わざわざ土で埋めるのも面倒だし、一直線だけな通路というのも味気ない。

 待ち伏せや罠にも使えるしな。


 とりあえず戦えるだけの空間を確保して、ハナを安全なところで身を隠すように言う。

 光る壁を触る瞬間は、いつでも緊張する。

 心なしかコータも緊張してるようにパタパタしている…気がする。

 そういえば、これがお前の初陣か。

 まだ《戦闘レベル》0だ。怪我させないようにしないと。



 ハナとアイコンタクトと取る。ハナは杖を取り出していた。

 棍棒を二本出し、壁を刺激する。

 周囲が強い光で満たされる。

 そこに残ったのは……。


 モグラ?

 とはいえ二足歩行で結構でかい。俺ぐらいある。

 鋭い爪を持っているようだ。《クイックヒット》で武器叩き落としは諦めよう。

 うーん。とりあえずモグラ男(仮)としておくか。



 ■ ■ ■ ■ ■



 

 今までモンスターを何度か相手にしていて思うことがある。

 光る壁の発動直後、モンスターは必ずしも警戒はしていない。

 モンスター自身もなぜここに現れたかの状況確認ができておらず、出現直後は隙を晒している。

 つまり……先手必勝!


 《ハイジャンプ》とほぼ同時に《ハードヒット》、一気に仕留めにかかる。

 戦闘レベル5の《ハードヒット》の《二刀流》。

 レベル4の時ですら、コボルドを一撃だったのだ。

 クリーンヒットすれば雑魚敵なら倒しうるだけの威力が、今の《ハードヒット》にはある!


 俺は完全にモグラ男の背後を取った……!

 と思ったが、モグラ男はまるで見ているかのように、その腕で《ハードヒット》を受け止めた。

 モグラ男の腕は決して太くは無いが、それなりに鍛えられている。


 しかし俺は《二刀流》、この攻撃は一撃では終わらない……!

 と思ったが、二撃目は発生しなかった。

 何故だ……?もしやクリーンヒットしないと連続攻撃は成立しないのか。


「痛っつぅ…。」


 スキルの使用後は硬直が発生する。

 硬直が終わってすぐに後ろに回避したものの、左腕に爪がカスる。

 幸い傷は浅そうなので戦闘に大きな支障は無さそうだ。

 ベッドで寝れば治るだろう。


 後でハナに聞いた話だが、モグラは常に土の中で生活している為視力が衰えている。

 その代わり、嗅覚や特に聴覚と言った部分が発達している。

 背後を取ったからと言っても相手から正確な位置はバレているということか。


 しかしこちらの手はこれで終わりではない。

 行け!コータ!……の分身!

 《撹乱》!


 コータの周辺にどこからともなく四匹のコウモリが出現する。

 そしてわーっとモグラ男に襲いかかる。

 それにしてもこいつらどこから出てくるんだろう。完全に召喚されているとしか思えない。

 とりあえず攻撃して行った順に、コウモリAからDと名付けよう。


 コウモリの突撃に、モグラ男は目に見えて動揺し始めた。

 これもまたハナから聞いたことだが、コウモリはもしかしたら超音波を発しながら突撃しているのではないかとのこと。

 なまじ聴覚の優れているモグラ男は、コウモリの超音波で完全に状況がわからなくなっていると。


 モグラ男は(感覚を狂わされているせいで)焦りを覚え、周囲にぶんぶんと爪を振り回している。

 まさに《撹乱》は大成功のようだ。

 《ハイジャンプ》から右の棍棒、続いて左の棍棒で一度ずつ殴り、そこから《ハードヒット》をつなげる。

 確実に仕留めることができるだろう。

 よし、《ハイジャンプ》だ!


 と思っていたら、モグラ男の振り回していた爪がコウモリの一匹に当たる。

 コウモリは小さな悲鳴を上げ、消えていった。

 コウモリBイイイイイィィィィィ。


 モグラ男は両手一撃ずつからの《ハードヒット》で問題なく倒れた。

 落ちたカードを拾う。モグラ男が倒れた際、《撹乱》していたコウモリ達は戻って行った。

 試しに《撹乱》を何もないところに放ってみたらちゃんと四匹出てきた。

 良かった。本当に良かった。


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