少年たちの戦い
「ハナ、大変な問題が起こった」
「どうした?」
「彼ら、名前が無いから指導がちょっと面倒」
「あー」
そういえばアリサといい鬼姉妹といい、名前が無かった。
犯罪を犯した者はその前まで持っていた名前があったようだが、捨てられた名前であり、この世界の価値観では恥なんだそうだ。
生まれた時から名前の無い子も多いが。
というわけで20人分の名前を考えなければいけない。
俺が。もしくはハナが。
アカン、俺らが付けるのは可哀想だ。
コータに付けさせるのも何かなぁ。
「じゃあ、本人たちにつけさせたら?」
「……ハッ!」
その発想は無かった。
確かにそれが良いかもしれない。
「と、いうわけで名前を今晩まで決めておいてくれると助かる」
「はい」
「とはいえ、急に言われると困ると思うから、これを」
「はぁ……」
ハナが買っておいた英語の辞書だ。
何かの参考になると良いが。
ちなみに、戦闘班は俺らの伝統に従いハリセンしばき合いを行っている。
ホーガン語を話せる子を含んだ女の子組は昼飯の準備だ。
中に家事として従事していた子が二人いた為、料理に関しては問題なさそうだ。
頭脳担当となったのは、この中で一番年上の少年だった。
彼は手先が器用で、装置のある部分に強い衝撃を与える事で停止する事を発見した張本人でもあるらしい。
そして何より、彼はステータスが25を超えているものがある唯一の人物だった。
《器用さ》であり、当然持っているスキルは《ロックオン》と《幸運》だ。
装置を壊す手段を見つけたのは、幸運のおかげだったりしてな。
彼にはまたも俺たちの恒例となる、後衛の司令塔になってもらう。
ただし彼は転送を使えない。
奇襲の出来そうなポイントを頭に叩き込んでもらう。
ちなみに今ハナは裏でいろいろと細工をしている。
少年たちを鍛えるためのものだ。
まぁ、仕掛けとしては簡単なものだ。
あ、そこの少女や。魚の開き方分からないならおじさんが教えてあげよう。
彼らの昼食が終わり次第、戦闘班のメンバーと司令塔君を呼び出す。
ダンジョン内ではコマンドが開けないので一度外に出てもらい、武器カードを装備。
コボルド達の旧居住スペース跡に集合する。
通訳担当としてコータも呼び寄せる。
「さて、君たちには実力が足りない。それは分かるな?」
頷く少年たち。
「では、今からモンスターを呼び出す。君たちの力を合わせて、ソイツをやっつけてくれ。いいな?」
まさか俺がモンスターを呼び出せるとは思ってなかった少年もいたが、大半はコータの正体を薄々気づいていたらしく司令塔君は動揺がなかった。
がんばってねーと声をかけて俺とコータはマスタールームへ転送される。
入れ替わりに、少年たちの前に現れたのはリザードマンだ。
一応念のため、出てくる時に手に持っている《短剣》は取り上げてある。
しかし、それでもモンスターはそれだけで脅威だ。
司令塔君の指示で、その場にいた他の4人の少年が散開する。
頑張って貰いたいものだ。
まあ、危なくなりそうだったら助けに入るけどね。




