表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/39

第9話 私は絶対に悪くないと思うんです

神父が倒れた、という噂は、思った以上に早く広まった。


 


なぜか泡を吹いて倒れていた神父。

私は回復魔法なんて使えない。


 


……なぜ?


 


それから一時間ほど。


私は、どこかへ行ってしまった同年代の女の子のことは気にしつつも、

神父さんの様子を見ていた。


 


すると――


 


「ここか!

 悪魔の魔女め!!」


 


教会の扉が、勢いよく開いた。


 


騎士団らしき人たちが、二十名ほどなだれ込んでくる。


 


「どこだ!

 魔女はどこにいる!!」


 


槍を構えた騎士が、私に詰め寄った。


 


「い、いえ……その……」


 


「魔女では、ないです……」


 


「そこの可愛らしい娘よ!」


 


「魔女はどこへ行った!」


 


「だから、その……

 私、魔女じゃ……」


 


そのときだった。


 


「……う、うむ……」


 


神父が、目を覚ました。


 


「なんですかな……この騒ぎは……?」


 


(あんたが言うのかい!!)


 


神父は、ゆっくりと体を起こす。


 


「いやいや、もう歳ですからな。

 少し、気を失っただけです」


 


「この少女には、よくしてもらいましたぞ」


 


騎士たちが、ざわつく。


 


神父は続けた。


 


「ここの巫女見習いがですな、

 騎士団に通報したようで」


 


「なんでも、“悪魔の魔女が現れた”と」


 


「……そのような事実は、ありません」


 


騎士団長らしき人物が、眉をひそめる。


 


「では……この娘は?」


 


神父は、はっきりと言った。


 


「この娘は――

 土の女神の生まれ変わりです」


 


 


「え?」


 


「え?!」


 


「……ええええっ!?」


 


空気が、完全に止まった。


 


騎士団は、一斉に膝をつく。


 


「……大変、失礼いたしました」


 


「上には、そのように報告いたします」


 


そう言い残し、嵐のように去っていった。


 


 


私は思った。


 


私は悪くない。

絶対に。


 


そんな一日だった。


 


 


――ただ。


 


私が本当に気になっていたのは、

岩盤浴だった。


 


 


宿屋に戻り、自室に籠もる。


 


(よし……)


 


私は、静かに宣言した。


 


「岩盤浴!」


 


……反応はない。


 


「あれ?」


 


「いざ!岩盤浴!」


 


「現れよ!岩盤浴!」


 


……ダメだった。


 


 


(あ、そうか)


 


「ゴーレムは、

 ゴーレム召喚だったよね……」


 


私は考え直す。


 


「……じゃあ」


 


「岩盤浴召喚!」


 


 


次の瞬間。


 


部屋の周囲に、ドーム状の結界が張られた。


床一面が、岩盤に変わる。


 


じんわりと、熱。


 


体感で……五十度くらい?


 


「……おお……」


 


私は服を脱いだ。


 


しばらく、お風呂にも入れていなかった。

水浴びばかりだったから――


 


「あぁ……最高……」


 


至福だった。


 


 


一時間後。


 


「……ちょっと、暑い?」


 


喉が渇いてきた。


 


二時間後。


 


「……暑すぎない?」


 


 


「岩盤浴、終わり!」


 


変わらない。


 


「岩盤浴、やめる!」


 


……何も起きない。


 


(え?)


 


「岩盤浴、停止!」


 


「岩盤浴、やめてください!」


 


……変わらない。


 


 


(やばい)


 


ゴーレムたちが言っていた言葉を、思い出す。


 


――土に帰る。


 


 


「……土に帰れ!」


 


 


その瞬間。


 


結界が消え、

私は元の部屋に戻っていた。


 


 


――そのとき。


 


「……あんた」


 


扉の前に、女将が立っていた。


 


「裸で、何やってるの?」


 


 


私は悟った。


 


今日は――

本当に、長い一日だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ