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第4話 土に帰る かわいいゴーレム達

このまま――

ゴーレムたちを連れて、街に入っていいのだろうか。


 


私は、街の門を遠くに見ながら、振り返った。


 


「ねぇ……」


 


足元で揺れているゴーレムたちに声をかける。


 


「あなたたちも、街に入れる?」


 


「なーい!」


「なーい!」


 


元気な否定だった。


 


「……行ったことがない、ってこと?」


 


「わー!わー!」


 


どうしよう。


 


私は、門とゴーレムを交互に見た。


 


この子たちが目立つのは、間違いない。

そもそも、百体もいる。


 


困っていると――


 


一体のゴーレムが、前に出た。


 


「つちに、かえる」


 


「……え?」


 


その瞬間だった。


 


そのゴーレムの体が、さらさらと崩れ、

土のように溶けて消えた。


 


「……え?」


 


驚く間もなく。


 


一体、また一体と、

同じように土へと還っていく。


 


「ちょ、ちょっと待って……!」


 


慌てて声をかけるが、止まらない。


 


最後に残った一体が、私を見上げた。


 


「しょうかん!」


 


小さな手を振る。


 


「また、しょうかん!」


 


そして――

その姿も、消えた。


 



 


ひとりぼっちになった。


 


森の入口に、私だけが立っている。


 


「……」


 


少し、胸がきゅっとした。


 


「……召喚、ね」


 


私は小さく呟いた。


 


「うん。

 また、よろしくね」


 


返事はない。


 


でも、なぜか不安はなかった。


 


私は、街へと足を向けた。


 



 


手持ちは少ない。


 


ベッドの下に置いていたバッグひとつ。


中身は、女性の必需品。

ハンカチとティッシュ。

簡単な化粧品。


 


それから――

ほぼ役立たずのスマホ。


 


念のため、赤い果物も一つ入れてある。


 


(近くに見えたけど……)


 


歩いてみると、意外と遠い。


 


「……疲れた」


 


それでも、しばらく歩いて。


 


やっと、街にたどり着いた。


 



 


門の前で、門兵に声をかけられる。


 


「旅の者か?」


 


一瞬、頭が真っ白になる。


 


(え、なんて答えるのが正解……?)


 


考える前に、口が動いた。


 


「……はい!」


 


すると、あっさり。


 


「通っていいぞ」


 


拍子抜けするほど簡単だった。


 



 


街の中。


 


賑やかだった。


 


商人の声。

行き交う人々。

屋台の匂い。


 


宿屋も見える。


 


騎士のような装備の人。

体格のいい大男。

熊みたいな人。

虎みたいな人……?


 


(……すごい)


 


この世界、本当にすごい。


 


スマホを見る。


 


14時。


 


「……お腹すいた」


 


でも――

お金がない。


 


「……どうしよう」


 


街の真ん中で立ち止まっていると。


 


「迷子なの? お嬢ちゃん」


 


声をかけられた。


 


振り向くと、少し年配の女性。


 


(……お嬢ちゃん?)


 


(18歳ですけど。

 身長だって155センチあるし……)


 


内心でむくれつつ、口に出す。


 


「いえ……

 ただ、お金もなくて、困っていて」


 


女性は、少し考えるように顎に手を当てた。


 


「そうねぇ。

 何か仕事はできる?」


 


「できるか分からないですけど……

 料理とかなら」


 


その瞬間、女性の顔が明るくなった。


 


「それは助かるわ」


 


「私は、この宿屋――

 『グリデン』をやってるの」


 


宿屋を指差す。


 


「働いてみる?

 寝床と、ご飯は用意するわよ」


 


胸が、少し熱くなった。


 


「……はい」


 


「お願いします」


 



 


その日から、私は働くことになった。


 


仕事は、

料理の補助。

部屋の掃除。

雑用いろいろ。


 


大変だけど――


 


(寝る場所と、ご飯がある)


 


それだけで、十分だった。


 


私は、エプロンをつけながら思う。


 


(異世界生活……)


 


(なんとか、なりそう)


 


そう。


 


この時の私は、まだ知らなかった。


 


あの森で出会ったゴーレムたちが、

これから何度も、

私を助ける存在になることを。


 


――つづく。

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