第36話 ドラゴン討伐
王国最北部――グレイスト山脈。
今年は、ドラゴンの産卵期に当たっていた。
それも前回より気性が荒く、すでに近隣の街や村で被害が出ているらしい。
王城・作戦会議室。
イスペリア王国第十五代国王、
ハインリッヒ・フォン・シュヴァルツェンベルクは、重々しく告げた。
「これより、ドラゴン討伐軍を編成する」
選ばれたのは、王国屈指の精鋭。
クレイストン、ベラムス、ナターシャ、サイモン、ベッカー。
そして――
「念のため、我が娘アステリア。
それから、エミリア殿にも協力を願いたい」
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その話をカイルから聞いた瞬間、私は叫んだ。
「絶対に嫌!」
……のだけど。
その直後、アステリアから魔法通信が入ってきて、
結局、断れなかった。
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当日。
無理やりカイルも同行させた。
帝国からは騎士三名、魔法使い二名。
それと、アステリア。
今回は馬車を断った。
だから――私の出番。
「地面交換」
「地面交換」
「地面交換」
「地面交換」
あっという間に、目的地へ到着。
冷たい雪解け水が流れる、静かな山間。
わさびが自生してそうな、ああいう感じの場所。
「行くわよ、エミリア」
アステリアが前に出る。
「これ以上、民の犠牲は出したくない。終わらせましょう」
……歩いた。
普通に歩いた。
疲れた。
「ねぇ、カイル〜。おんぶして」
無言で背中を向けるカイル。
(どうせ私が逃げると思ってるんでしょ。
ふっ……笑止)
⸻
一時間後。
黒龍の住処に到着した。
……二匹いる。
「ねぇ。どうやって倒すの?」
三人の騎士が、同時に答えた。
「我々が誘導します。
外に出たところを、魔法でお願いします」
(……ちょっと可哀想だけど、被害が出てるなら仕方ないよね)
「ちょっと待って。ドラゴンって空、飛ぶよね?」
「もちろんです!」
……嫌な予感しかしない。
⸻
「ゴーレム召喚!」
わらわらと現れるゴーレムたち。
「10番代は上空警戒」
「50番代は騎士さんの援護」
「他は臨機応変にね」
「わーわー!」
「殺すー!」
……後で叱ろう。
⸻
「来るぞ!」
アステリアの水魔法が空を裂く。
王国魔法使いの爆炎と爆風が、山を揺らす。
――無傷。
ドラゴンブレス。
「防御障壁!」
アステリアの水の牢獄が絡みつき、
ようやく、わずかなダメージ。
……えっと。
「じゃあ、基本魔法で」
私は、イメージした。
尖った岩。たくさん。無限に。
次の瞬間――
大地から、無数の石の杭が噴き出した。
止まらない。
終わらない。
ドラゴンは、悲鳴を上げる間もなく――
肉塊になった。
……。
「え?」
「え?」
「……なんなの?」
私は首を傾げた。
「えっと、基本魔法です」
誰も、何も言えなかった。
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巣の奥には、黒く光る卵が二つ。
騎士たちは、それを大切そうに回収した。
帝国ではすでに孵化例があるらしいけど、
まあ……私には関係ない。
⸻
山を降りる間、
私はずっとカイルにおんぶされていた。
「ハイヤー!ハイヤー!」
……帰りは当然、地面交換。
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王城。
ハインちゃんから、金貨を山ほどもらった。
最近、あまり働いてない理由?
……これです。
「じゃあね、ハインちゃん!」
(王だ!
王と呼べ!
陛下でもいい!
何がハインちゃんだ!!)
カイルが胃を押さえていたけど、
私は知らない。
いつもお読みくださりありがとうございます。
文才はないのですけど、頑張ってます。
これからもどうかよろしくお願いします。




