第30話 晩餐会と第二王女
その日の晩、王宮では盛大な晩餐会が開かれた。
一通りの挨拶を終えると、次々と料理が運ばれてくる。
前菜。
豚の血と油を使った赤いソーセージ。
肉を詰めたヒバリ。
各種野菜の盛り合わせ。
続いて――
うなぎと玉ねぎの赤ワイン煮込み。
(……鰻あるんだ?)
メインは子牛の丸焼き。
香辛料をたっぷり使い、切り分けられてテーブルへ。
さらにサブメイン。
鯉の辛子煮込み、付け合わせ添え。
(鯉がいるなら、洗いもできるじゃん……)
最後はデザート。
クレープに季節の果物と生クリーム。
……蜂蜜酒、飲みすぎたかも。
「……美味しかったです」
国王
「それはよかった」
第二王女が、にこやかに声をかけてきた。
「ねぇ、エミリアさん。
あなた、土魔法が得意なのよね?
明日にでも見せてもらえないかしら。
私、水魔法が得意なの。見せっこしましょう?」
「は、はい……いいれすよ」
――呂律が回ってない。
「ふふっ。楽しみにしてるわ」
⸻
翌日。
王宮近くの訓練場。
「ここなら大丈夫そうね。じゃあ、私からいくわ」
第二王女アステリアは、軽く手を振った。
「ウォーターボール・テン」
空中に、テニスボールほどの水球が十個浮かび上がる。
それらは指の動きに合わせて操られ、すべて的へ直撃。
威力も精度も、見事だった。
「すごい……!」
「一応、水魔法はSランクなのよ。
じゃあ次は、SSSランクの土魔法を見せて?」
「はい。じゃあ……」
「ゴーレム召喚!」
ムクムク……
いつも通り、百体のゴーレムが現れた。
最近は身長が伸び、五十センチほどになっている。
「私は一号です!」
「私は三号です!」
「私は五郎左衛門です!」
(誰よそれ)
「お初にお目にかかります。アステリア様。四十三号ですわ」
「はい! 挨拶はもういいから!」
「全員、整列!」
わーわー!
「我らエミリア様の子分!」
「我らエミリア様の子分!」
「エミリア様の恥は、我らの恥!」
「……もういいから、静かにしなさい」
アステリアは楽しそうに笑った。
「ふふっ、面白いわね。
この子たち、魔法無効なんでしょう?
騎士団より強いって聞いたわ」
「そ、そんなことないですよ……」
「ねぇ、武器を持たせたら、もっと強くなるんじゃない?」
「どんな武器がいい?」
「剣です!」
「弓です!」
「杖がいいです!」
「盾がいいです!」
「妻が欲しいです!」
(……今の誰!?)
「あははっ! 本当に面白いわ。
王宮鍛冶師にドワーフの職人がいるの。
今度、武器を作ってあげる」
「完成したら、一緒に冒険に行きましょう。エミリア様」
「ぼ、冒険ですか……?
わたし、ゴブリンとか苦手で……」
「大丈夫よ。そんなのすぐ倒せるわ。任せて!」
こうして、互いに魔法を見せ合いながら、楽しい時間は続いた。




