第27話 初めて見る魔物、ゴブリン
私は今、宿の自室に引きこもっている。
何よ……ゴブリンって……。
怖すぎでしょ……。
⸻
――昨日の帰り道。
「さぁ、皆んな帰るわよ」
荷物を確認して、私は魔法を使った。
「地面交換!」
森の入り口に戻る。
「あ、そうだわ」
「少しキノコを取って帰りたいんだけど……いい?」
「ああ」
そう言われて、
私は楽しくキノコを採取していた。
――その時。
出たの。
緑色の、
ゴブリンとかいうやつ。
「きゃああああ!!」
怖くて、
私は無我夢中で走った。
「待つんだ、エミリア!」
カイルの声が後ろから聞こえる。
「くっ……ここはお前たちに任せる!」
「は!」
「ぎゃああああ!」
走る私。
追いかけるカイル。
「止まれエミリア!」
「ゴブリンが来たぁぁ!!」
「誰がゴブリンだ!!」
――ドン。
私は、何かにぶつかった。
顔を上げる。
「ひぃぃぃ!!」
あまりの恐怖に、
私は……その……。
周囲に、小さな水溜まりができていた。
「エミリア!!」
カイルの声が低くなる。
「すぐ助ける」
「身体強化」
「超迅速」
「――双刀斬り!」
一瞬。
目の前にいた魔物――
オークは、静かに倒れていた。
⸻
それから。
私は、落ち込んでいる。
……バレてるよね。
絶対、気づいてるよね。
何も言われなかったけど。
コンコン。
ドアがノックされた。
「エミリア、いるか?」
「俺だ」
「……はい」
「入るぞ」
「……うん」
カイルは、いつも通りの顔だった。
「元気そうだな」
昨日のことには、
一切触れずに。
「昨日のことは、誰にも言わない」
「だから――」
「ちゃんと、食事を摂ろう」
私は、こくんと頷いた。
「……うん」
優しさって、
こういうことなんだと思った。




