第21話 ゴーレム大暴走
ある日の夜中。
私は、夢を見ていた。
(敵だ……! 魔物!)
夢の中の私は、やけに強い。
「ゴーレム召喚!」
――どうやら、それを寝言で言ってしまったらしい。
◆
ムクムク……。
床から、小さなゴーレムたちが次々と出現する。
「エミリア……寝てる」
「寝相……悪い?」
「布団……かける」
数体のゴーレムが、私に布団を掛け直した。
「ひま〜」
「ひま〜」
沈黙。
「……たんけん?」
「短剣?」
「……探検!」
「いこう!」
「おう!」
こうして――
真夜中のゴーレム行進が始まった。
◆
「我ら〜」
「エミリア様の〜」
「子分〜」
ぞろぞろと進む百体ほどのゴーレム。
「前方〜」
「騎士団宿舎〜」
「……襲う?」
「襲う〜」
◆
その頃、騎士団宿舎。
「伝令!!」
夜番の騎士が駆け込んだ。
「ゴーレムの大群です!」
「数、およそ百!」
「この宿舎に向かって突進してきます!」
「全員、戦闘配置!!」
「寝てる者も叩き起こせ!!」
団長の怒号が飛ぶ。
「くっ……!」
「敵、想像以上に強いです!」
「弱音を吐くな!」
「何としても制圧する!」
「火炎魔法、放て!!」
――だが。
「効かない!?」
「なんだこの防御力は……!」
「任せて下さい!風と雷の精霊よ。我に力を!
上級魔法!爆風雷神!………な!」
「じゃあ俺行きます!双刀無双斬り!…くっ…」
騎士たちは必死に応戦するが、
ゴーレムたちは倒れない。
◆
一方その頃。
夢の中の私は、満足そうだった。
(うん。敵は倒したわね)
(もう良いわ)
「……土に帰れ」
◆
その瞬間。
ムクムク……。
ゴーレムたちは一斉に崩れ、
まるで最初から存在しなかったかのように消えた。
◆
「団長!」
「ゴーレムたち……消えました!」
「……全員、無事か?」
「はい……」
「なんとか……」
騎士団宿舎には、
深夜とは思えない疲労と沈黙が残された。
これが女神エミリア様の力か、我々では抑えきれんかもしれん。
◆
その夜。
私はぐっすり眠っていた。
――何も知らずに。




