第2話 ちっちゃなゴーレム観察してみた
今回はシリアス展開はない物語にしますので、良かったらどうぞ。
みていて、飽きない。
本当に、飽きない。
私のベッドの周りを、ちょろちょろと動き回る小さなゴーレムたち。
跳ねる。
転ぶ。
起き上がる。
また跳ねる。
「……かわいい」
思わず、声に出ていた。
一体がこちらを見上げて、胸を張る。
別の一体は、意味もなくぐるぐる回っている。
二体で同時に転んで、なぜか誇らしげ。
「ねぇ、みんなぁ」
私はベッドの上であぐらをかいて、手を叩いた。
「整列してみてぇ」
一瞬の沈黙。
次の瞬間――
「わー!」
「わーわー!」
「えみー!」
わらわら、わらわら。
……結果。
「……うん、うまくいかないね」
縦一列になったと思ったら、途中で詰まって将棋倒し。
円になったと思ったら、なぜか中心で一体が踊っている。
「もう、いいや」
苦笑しながら、私は質問を変えた。
「ねぇ、ここって、どこなの?」
ゴーレムたちが、ぱっとこちらを向く。
「おうこく〜」
一体。
「みなみ〜」
別の一体。
「もり〜」
三体目。
「……なるほど?」
全然、分からない。
「王国の、南の、森……?」
「わー!」
即肯定。
「そっかぁ……」
私は辺りを見渡した。
どこを見ても、森。
高い木、低い草、土の匂い。
「じゃあさ」
少し真剣な声になる。
「私は、これからどうしたらいいの?」
ゴーレムたちが、一瞬だけ黙る。
そして――
「がんばれ〜」
「おうえん〜」
「えみ、だいじょうぶ〜」
「……励ましなんだ」
悪くはないけど、解決はしない。
私はベッドから降りて、立ち上がった。
パジャマ姿。
でも、幸いにも部屋着に近いデザインだったのが救いだ。
短パンに長めの上着。
森の中でギリギリ許される……気がする。
「持ち物は……」
ポケットを探る。
スマホ。
……圏外。
それから、枕元に落ちていた一冊。
『異世界に呼びだされた私』
「……これ、読みかけだったんだよね」
表紙を見て、思わず遠い目になる。
「もしかして……これ読んでたから?」
ゴーレムたちが、なぜか一斉に首を傾げた。
「……まあ、いいか」
今さら原因を考えても仕方ない。
私は、ふうっと息を吐いた。
「……ねぇ」
少し、遠慮がちに言う。
「喉、乾いたんだけど」
ゴーレムたちの動きが止まった。
次の瞬間。
「わーっ!!」
一斉に、森の奥へ走り出す。
「え、ちょっと、待って!」
止める間もなく、全員いなくなった。
「……え?」
一人。
森。
ベッド。
「……置いてかれた?」
少しだけ、不安になる。
――でも。
ガサガサ。
すぐに、音が戻ってきた。
ゴーレムたちが、何かを抱えて戻ってくる。
「わー!」
差し出されたのは――
大きな葉っぱに溜まった、透明な水。
「……水?」
私は恐る恐る覗き込む。
匂いは、ない。
澄んでいる。
「……飲める、のかな」
ゴーレムたちが、いっせいに頷いた。
「……ありがとう」
一口。
「……おいしい」
冷たくて、すっと喉を通る。
その様子を見て、ゴーレムたちが誇らしげに胸を張った。
「……君たちさ」
私は、思わず笑った。
「もしかして、すごく頼りになる?」
「わー!」
即答だった。
どうやら。
この森での私の生活は――
この、かわいすぎるゴーレム百体と一緒に、始まるらしい。
ちょっと不安で。
でも、ちょっと楽しみで。
私はもう一度、水を飲んだ。
――つづく。
とりあえず、書き始めてみたんですけど、需要ありそうですか?




