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JKブラックアウト  作者: 胡桃藍藍
第二章
8/14

来訪者

 神無は玄関に駆け寄り、ドアに付いている小さな窓から外の様子を見た。

 そこにいたのは喪服を着た男性。

 茶色のフレームの丸メガネをかけている。色素の薄い髪は後ろでゆるくハーフアップしてまとめ、穏やかで優しそうな顔立ちである。歳は二十代後半だろうか。

 神無は警戒しながら小さな声で返事をした。

 「......はい、どちら様でしょうか......」

 「あ、こんにちはー、突然の来訪お許しください。私、相模叶夢さがみかなむと申します。谷崎喜助さんの件で少しお話したいことがございます」

 突然聞こえた父の名前に心臓がざわりと鳴った。

 この人は、私の父を知っているのか。なぜ殺されなくてはいけなかったのかとか、誰が父を殺したのかとか。そういった情報を一つでもこの男が持っていれば真実に近づける。

 しかし......、この男が父を殺した奴らの一人だったら?口封じに私も殺すのか。ドアスコープ越しに男を見たところ危険な感じはしないが、油断は大敵だ。喪服の裏に父を殺したものと同じ銃が隠されているかもしれない。それで私は殺されるかもしれない。

 神無は父の死について知りたい気持ちとドアを開けるのは怖いという気持ちでごちゃまぜになる。

 「......警戒されてますよね、きっと......。そりゃあそうですよね、不審すぎますもんね私。でも、これだけは信じていただきたい。私はあなたの味方です、谷崎神無さん」

 私の名前を知っている。それはそれでとても恐ろしいが、小さな穴から見えるこの男はとても嘘をついてるようには見えない。家から追い出された寂しそうな子犬のような目をしている。くぅーんという鳴き声まで聞こえてきそうだ。

 神無はこの犬のような男を可哀想に思えてきてドアを開けることを決意した。チェーンは忘れずにかけている。

 「......はい、どういったご要件ですか......?」

 「あっ!ドアを開けてくださりありがとうございます......っ!お父様のお線香をさせていただきたく伺いました。それから、神無さんのお父様の死について気になっていることをきちんとお伝えしたくて......!」

 少しの隙間から見える男は胸に手を当てて、神妙な面持ちで神無を見ている。

 神無はゆっくりとチェーンを外した。

 「お邪魔します」

 「父の遺品の片付けが終わったばかりで少し散らかってますけど、適当に座ってください。お茶でいいですか?」

 「はい、恐れ入ります」

 家の中に入った男・相模叶夢は父の仏壇の前に座って線香を上げた。

 長い間手を合わせた後、父の遺影を見てほろりと涙をこぼした。

 「......え」

 「あ、も、申し訳ございませんっ!喜助さんの遺影の笑顔を見ると生前を思い出してしまい、つい......。こんな大人の男が泣くなんてみっともないですね、お恥ずかしい」

 「え、いえ、大丈夫ですよ。こちらをどうぞ」

 神無は目の前の男にティッシュの入った箱を渡した。

 「ありがとうございます......」

 ずびぃー

 神無はこの男は本当に犬なのではないかと思い始めた。

 涙を拭き取り少々落ち着いた男は神無に向き直して真面目な表情で喋りだす。

 「改めまして、私は相模叶夢と申します。お気軽に”かなむん”とお呼びください」

 「は、はぁ......」

 「あ、カナブンはだめですよ。虫は大の苦手なので」

 顔は真剣なのに言っていることが不真面目な感じがして神無は困惑した。

 この男は犬ではなくて一周回ってミーアキャットかもと神無は思い始める。しかしミーアキャットはイヌ科ではないしネコ科でもない。マングース科である。やはり人を動物に例えるのは難しい。

 神無も真剣な顔をしているが頭の中でいつも考えているのは大抵そういうことだ。人のことは言えない。

 「普通に叶夢さんと呼ばせていただきますね.......」

 「あ、そうですか......」

 叶夢はどこか寂しそうな顔をした。そんなに”かなむん”と呼ばれたいのかこの男は。目には見えないが確かに犬の耳と尻尾が垂れ下がっている。

 「えーっと、気を取り直して本題に入りましょう。神無さんのお気になさっているであろう私と喜助さんの関係についてお話させてください」

 「お願いします」

 寂しそうな雰囲気を切り替えて叶夢は話し始める。

 「実は私、神無さんのお母様である谷崎晶たにざきあきらさんの従姉妹の子どもの友達です。よくその子の家に転がり込んではお菓子などを食べていた近所のガキでございます。」

 「いや、それ、他人でしょ」

 「バレてしまいましたか......くふふ」

 不敵な笑みを浮かべ、神無が出したお茶をずずずと飲む。

 神無は目の前の男を警戒して三歩後ろへ下がった。

 「あああ、じょ、冗談ですよー。そんなに警戒しないでくださいよぉー、ちょーっと悪役みたいなことを言いたかっただけですってぇー」

 それでも自分から離れてしまう神無に叶夢は目を白黒させて焦る。

 「......そんなに不真面目ならこの家から追い出しますよ......?」

 神無は叶夢を少し脅してみた。すると案の定、

 「そ、それだけはご勘弁をっ!追い出されたとあの方にお伝えしたら私の首がっ!首があぁっ!!」

 「お、落ち着いてくださいっ!」

 「うわああぁぁ!!許しでぇぇ!!虫だけはっ!虫だけは近づけないでぇぇぇっ!!」

 「(......ぷちん)い・い・か・げ・ん・に!!鎮まれええぇぇぇい!!!」

 「ヒイィィィ」

 堪忍袋の緒が切れる音が聞こえた。神無はついにブチギレる。自分でもこんな声が出せるとは思っていなかった。

 目の前の男は、顔を真っ赤にしている神無に怯えて身を小さくさせた。

 一言でいうとカオスである。

 


 


 


 

 

宇山さおり(18)

・4月24日生まれ

・背が低め

・女バスのレギュラーメンバー

・陽キャで友だちが多い

・可愛いものが好き

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