〜聖女意思疎通大作戦⑥〜
ジュリエッタとメイド達にキャッキャ、ウフフ言われながら身体中を磨かれ、どこの匠ですか!という手捌きでジュリエッタにドロドロになるまでマッサージされた私は、肌はツヤツヤ、心はピカピカ、体調までいい気がする!
「さぁ、マヤ様。今晩は辺境伯領主主催の晩餐会という名の夜会です。辺境伯のご親戚、ご近所の男爵子爵が参加するこぢんまりとした会ではありますが…見た目は大切です。ドレスは女の武器です。さぁさぁ」
ジュリエッタとその仲間達にクローゼットの方に追い詰められ、物理的に詰め込まれた。
…これ決めないと出してもらえないやつ。
「ど、ドレスなんて着たことなくて…えっと…ローブじゃ…」
「「「ダメです!」」」
「ですよね…えっと…じゃあコレにしようかな」
指を指したのは胸から裾にかけて黒から薄い水色へとグラデーションになっている宇宙のようなドレスだ。
胸の部分にはふんだんに細かなアメジストがあしらわれていて、腰から裾にかけてはチュールになっている。王道中の王道プリンセスラインのドレスで乙女心と厨二心をくすぐる逸品。
「とても良い選択です」
ジュリエッタはそれはそれは嬉しそうに頷いている。
そうしてクローゼット監禁から解放された私は胃腸が弱いとお聞きしましたので緩めにしておきますと言われながら、ギチギチにコルセットを締め付けられ、息も絶え絶えの中いつのまにか化粧を施され、あっという間にドレスを着せられていた。
「マヤ様の黒髪は大変美しいですね。指通りも滑らかでよく手入れされてるのがわかります」
「「「マヤ様、お髪はそのままでよろしいかと」」」
仲良しメイドズのハモリが響いたところで、部屋の扉がノックされた。
「マヤ様、ご準備は整いましたか?今夜はこのダリキスがエスコートさせていただきます」
「ドウゾオハイリクダサイ」
カタコトになったのは仕方ない。駄犬が悪い。馬を見るだけでしばらく身体が震えそうだ。いや、馬は可愛いのだけど。ポニーとか。
そうして入ってきた男に私は不本意ながら見惚れてしまった。
黒のモーニングコートに黒のトラウザーズ、細いストライプのシャツに黒の蝶ネクタイ。
モーニングコートの裏地はアイスブルーの髪と合わせたのだろう薄い水色で、厨二っぽさが漂っている。
だかしかし、着ている人間は芸術作品が如く顔の整った男である。
普段は上げている銀髪を下ろすとボブヘアーのまごうことなき天使!
ぼーっと見惚れていると
「マヤ様…そのドレスを選んでいただいたのですね」
天使がにっこりと笑った。
うん、鼻血出さなかった私を心の底から褒めたい。
なかなか聖女が言葉を理解するところまで辿りつきません…まだ序盤の序盤です。おかしいな。すでに1万字を超えたのにな。笑
作者の好きを詰めに詰めていく予定ですので
しばしお付き合いくださいませ。