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〜聖女意思疎通大作戦①〜

「今の話を聞く限り聖女は魔力を使いすぎて、この国の言葉が理解できないのよね?」

わたしが尋ねるとマリウスが頷いた。

「結界が広すぎるのよ!!!どんだけ聖女に頼ってんの!!!そして人の命と人生をなんだと思ってるの!!!」大声で怒鳴ると

「結界が広すぎる…」マリウスがまた瞳をこぼれ落ちそうにさせていた。


祐華が不思議そうな顔でこちらを見ていたので

あらかたの説明をしたら、命懸けで元の世界に返してた…辺りで顔が真っ青になってしまった。

大丈夫。お姉ちゃんに任せなさい。

帰る方法も、言葉が通じるようになる方法も、考えてあげるからね!


すぐさま王様が呼ばれてマリウスが、結界が広すぎて聖女と意思疎通ができず、魔術師団長が無駄死にしていた話をする。


「…しかし、国土を小さくするわけには…」

王様が戯言をおっしゃるので指摘することにした。

「お言葉ですが、国土を縮小するのではなく結界を縮小するのです。聖女の結界は王都のみ、その他の4地域にはそれぞれ優秀な魔術師がつけばいいのです。境目には綻びがでるでしょうからそこを守る騎士も必要です」

「外の森を巡回する騎士はそれぞれ辺境伯が持っておるが…魔術師は…しかもそれだと領どころか館からも出れなくなるのではないか」

「魔力を貯めておく石とかないんですか?」

なんとなく結界石とかファンタジックなものを想像してマリウスに聞いてみる。

「魔石は魔物から取れますが領全土に結界を張れるほど大きなものは…いや、待てよ、補助として使えば…領内の移動くらいはできるかも。魔石に結界を貼る術式を描くのではなく…魔石にただ魔力を貯めておき、その魔力を使って術者が結界を張ればその場に留まらなくてもよくなりますね」

おお!なんと言ってみるものだ。

「しかしなにもないとは言い切れん。やはり滞在は必須だな。うむ。希望者を集めよう。魔力が高く志の高いものが居ればよいが…」

陛下の言葉に

「それでしたら役職を作ればいいのです」

…銀髪が喋った。

中性的で可愛らしい声。これで顔が整ってるとか…モテそう。


「すぐにそのように手配しよう」


こうして聖女意思疎通大作戦は始まった。


ゆっくり休んでくれと陛下に言われて、サリーに案内された部屋はファンタジー!って感じで恐縮するどころか楽しくなってしまった。

天蓋付きの4人は寝れそうなベッドに猫足のキャビネット、テーブルにはピンクのティーセットと輝かしいお菓子…ザッハトルテにチーズケーキに飴のようなものが入ったクッキー、スコーン…と盛りだくさんだ。

クローゼットの中には色とりどりのドレスが入っていて、祐華と一緒に一旦閉じた。

化粧台には明らかに大きすぎるルビーやらサファイアやら見えたけど見えなかったことにした。


サリーが入れてくれたお茶を飲みながら妹としみじみと語り合う。

「本当にお姉ちゃんがいてくれてよかった」

「いやー、そもそも私がいなければゆーちゃん帰れてたかもよ?マリウスは死んでたかもしれないけど」

「それは…嫌…」

「悠介さんのことは…いいの?もちろんマリウスが死なずに返せる方法を探すけど」

「ゆうさんなら大丈夫。きっと私がいなくても…でも、お姉ちゃんは違うでしょ?」

「…え?」

「お姉ちゃんは頭も良くて要領もいいのに…絶対に弱音を吐かない優しい人だもん。お父さんとお母さんが死んだときも、おばあちゃんが死んだときも…わたしばっかり庇って、あとで部屋でこっそり泣いてたの知ってるからね!」

「ゆーちゃん…」

「今だってそう、私のことばかりじゃなくていいんだよ。私が結婚すればお姉ちゃんも自分を大切にしてくれるかと思ったけど…」

「ゆーちゃん…ありがとう」


妹にここまで思われていたとは気がつかなかった。妹はいつも守るべき存在で、1番に幸せになってほしかった。

涙が頬を伝っていったけどそれを隠すことはしなかった。

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