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〜お祭りがしたい姉〜

「坊ちゃん…」

栗毛の少女は不思議そうに呟く。

「ダリキス・ウェールズだ。貴方の名前は?」

「ナリサです…」

「ナリサ、私の大切な人が君の作品を気に入ったようなんだ。買わせてくれるかな?」

ダリキスが横目で合図する。

そこには目をキラキラさせながら、花柄のキルトでできたテディベアを見るマヤの姿があった。

「ダリキス!今気がついたの!私お金持ってない!」

マヤがテディベアを差し出しながらいう。

「僕が払います」

駄犬の幻の尻尾は嬉しそうに振られている。

「ありがとう」

マヤは眩しい笑顔で笑った。


ダリキスに買ってもらったテディベアを見ながら私は考えた。このまま無一文ではまずい。

お金を稼がなければ!!!

と言ってもこの世界で私が稼ぐ方法なんて限られている。

力があるわけでもなければ、裁縫ができるわけでもない。

だが、私には胸を張って言えることが一つだけある。営業成績トップの名と日本で培った経験。商業の街、ウェールズにピッタリなものがあるじゃない!


「ダリキス!私に出資してちょうだい!」

「出資…ですか?マヤ様には聖魔術師として国とウェールズから一生の衣食住の保証と贅沢三昧できるほどの予算がついていますよ?なにか欲しいものがあるなら僕が…」

「え、なにそれ。ダメ人間製造システム?魔石に魔力込めるだけで一生遊べる…って違う、違うのよ!私は自分で稼ぎたいの!」

「そういうことでしたら、わたくしの商会が出資いたしますわ」

鈴の音のような声が後ろから降ってきた。

「マリー様!!!」

そこには黄色いドレスに身を包んだ猫目のご令嬢が立っていた。


「で、マヤ様、なにをお作りになりたいのですか?どんな摩訶不思議な魔道具ですか?」

マリーは目をキラキラさせながら聞いてくる。

「ふふふ、違うわ!祭りを開こうと思うの!」

「祭り…場所を変えて詳しくお聞かせ願いますか?マヤ様」

マリーの目の色が明らかに商売人のものへと変わる。


こちらへと案内された建物はウェールズの街並みと同じ水色と白の建物だった。

他の建物よりも古く白い壁もくすんでいる。平屋の多い街並みでは目立つ3階建てだ。屋根の下には "マリーゴールド" と書かれた木目の看板が掲げられている。


「ここは元々は図書館だったんです。辺境伯が新しく建て直すとのことで、こちらをわたくしがお借りすることにしました。歴史ある建物だから勿体無いと思いまして」

マリーの説明を聞きながら通されたのは応接室だろう。赤色の絨毯に白のテーブルとソファーが置かれた部屋だった。

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