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〜ピクニックと姉の特技〜

「マヤ様、こちら我が領の騎士団長を務めますテンレス・オルディスです。オルディス、こちらが我が領の聖魔術師様であり、あの結界を張られたマヤ様だ」

ジェラード様に紹介していただきオルディス騎士団長に挨拶をする。

「初めまして。ご紹介に預かりました聖魔術師マヤと申します。この度は私が張った結界を調べてくださるとこのと大変感謝いたします。またこの地を魔物よりお守りいただきありがとうございます!」

カーテシーはまだできないので直角にお辞儀をする。

「オルディスだ。あの摩訶不思議な結界を張られたのはあなただったか。あれは非常に便利そうだ」

「便利…ですか?」

「あぁ。魔物の素材を集める際、生け捕りにしなきゃいけない時がある。あの結界は柔らかいから、結界の方に追い詰めればネットのように使えるだろう。生け捕りが数倍楽になるさ」

「なるほど。そんな使い方があるんですね」

「え、考えて張ったんじゃないのか?他の領にもそれぞれ独特な結界が張られたってことで、てっきりあんたのアイデアなのかと」

「独特な結界?どこからの情報ですか?」

私とオルディス団長の話に割り込んできたのはダリキスだ。

「今朝、光の粒が飛んできて、うちのテーブルに陛下からの手紙が彫られたんだよ。あのテーブルは一族継承もんの宝になるぞ」

その後スマホについて質問攻めにあった私とダリキスが解放されたのは太陽が高く登り、燦々と輝き始めた頃だった。


「お、お腹すいたー」

部屋に帰ってきてソファーに突っ伏す。

「マヤ様、天気もいいですし、ウェーズ湖の辺りでブランチなどいかがですか?」

ダリキスにしてはまともな提案だ。だからなぜ人の部屋にいるのかとは聞かないであげておく。 

「そうしよう!ピクニック!ピクニック!」

「早急に準備して参ります」

駄犬は颯爽と駆けていった。


「ジュリエッタ、この世界には絵の具はないの?」

「ございますよ。マヤ様は絵をお描きになるんですか?」

「趣味程度だけどね」

「そ、早急に準備して参ります!ジュリエッタは嬉しゅうございます。勉強ばかりのマヤ様がこの世界でもご趣味を楽しんでいただけるよう全力で手配いたします」

ジュリエッタもまた音もなく駆けていった。

「…勉強ばかりって…ラノベみたいで面白くて本読んでただけなのに。解せぬ」

私の独り言はウェールズの伝統的な模様のクッションに吸い込まれていった。


それから10分くらい経っただろうか?

私が魔術学の本を読んでいるとジュリエッタが音もなく入ってきて、ドサドサドサっと机に、瓶に入った色のついた粉を置ていく。

「マヤ様、絵の具をお持ちしました」

「ありがとう。これは…どうやって使うの?」

粉の入った瓶をサラサラと揺すってみるがどう見ても粉である。

「マヤ様の世界と違う絵の具でしたか?こちらにありますグルーに粉を溶かして使います。色を重ねることで濃淡を表現できるんですよ」

ジュリエッタは小皿に赤い粉を出し、グルーで溶いていく。溶かし終わったものは地球の絵の具と遜色ないように見えた。

「なるほど、日本画に使う絵の具と同じようなものね」

1人納得していると、なにかお描きになりますか?とジュリエッタが絵の具と木の板を差し出してきた。


木の板全体を埋めるように赤を塗る。その上から白を重ねてみる。

お、思ったとおり濃い色に薄い色も重ね塗りができるみたい。

サラサラと筆を動かしていき赤と白の2色で描き上げたのは夕日の沈むウェーズ湖だった。


「うん、仕上げはピクニック会場でしよう!ね!ダリキス」

私が描いている間に、戻ってきたダリキスは話しかけず辛抱強く待っていてくれた。

すでに太陽は傾きあと1時間もすれば日が沈むだろう。せっかくならガラス越しじゃなく、目の前で夕日を見たい。

「お腹空いたでしょう?行きましょう。マヤ様」

手を差し出されたので、素直に手を重ねた。


ダリキスが用意してくれたブランチ(もはや夕食だが)ボックスを持って、ウェーズ湖の辺りに移動する。

すでに辺りには毛布が敷かれており、クッションが並び更には膝掛けまで用意されていた。


「さ、マヤ様、たんとお食べください」

ダリキスに差し出されたボックスには

色とりどりのサンドイッチに揚げ鳥、ローストビーフに、サーモンみたいな魚の燻製とチーズが入っている。

サンドイッチの一つを手に取り口に運ぶ。

「あ!ポテトサラダだ!美味しい」

「どれ?うん!うまいな」

食べかけのサンドイッチを手ごと奪われたと思ったらダリキスが一口で食べてしまった。

「だ、駄犬のバカ!自分で食べなさい!」

指に残るダリキスの唇の感覚に顔が赤くなるのを感じる。

ニヤリと笑ったダリキスの顔はこの世のものと思えない程、綺麗だ。


どうしても自分の手から食べさせたいダリキスと自分で食べたい私は必死の攻防を繰り広げた。結果としては私が負け、ひたすら無心でダリキスの餌付けを受け入れた。

なぜ負けたって?耳元で「早くしないと日が沈んでしまいますよ?」って囁かれてフリーズしてる間に負けたのよ。


そうしているうちに太陽は傾き、ウェーズ湖の辺りも赤く染まり始める。

ジュリエッタから絵を受け取り最後の仕上げに白を足し、サインを入れると

「素晴らしい才能です」ダリキスに耳元で褒められた。

か、顔が赤いのは夕日のせいだから。

そう言い訳して沈みゆく夕日を2人静かに見守った。

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