4.変調 (2)
* * *
その日は、微妙な空気のまま目的地に向かった。時折休憩を挟みながら、会話もそこそこに道を進んでいく。結局、四人の間で生まれた微妙なヴェールは払拭できぬまま、この日の夜は野宿することとなった。
森の中で適当な場所にシェルは地面に円陣と何かの文字列を描いて、四方に魔物除けの魔法道具を置いていく。そうして出来た円の中心に焚き火を作り、エンナとローズ、スラッツは火を囲って座った。シェルは、また一人で周囲の見回りに行ってしまっている。
「シェル様とリューリ様のこと、誤解なさらないで下さいませね」
揺らめく炎越しにローズはエンナに話しかけた。
「何よ、いきなり」
急に話し出した話題が二人のことで、エンナは不機嫌に眉根に皺を寄せる。それをちらっと見て、ローズは視線を火の頂上へ戻した。
「あのお二方が何も仰らないのは、貴女を守ろうとしてのこと」
「でも、何も教えてくれないのもどうかと思うわ。わたしにも知る権利があるのよ」
「そうですわね」
「ねぇ、アンタ達も事情は知ってるんでしょ?」
「勿論ですわ」
「教えては……くれないか、やっぱり」
「えぇ、申し訳ないですけれど。わたくし達がここで明かすということは、お二方の思いを踏みにじること……それは、お二人を、そしてあの方を裏切るも同然。できませんわ」
ローズは目を伏せて首を横に振る。
それは、完全な拒否反応。
「そうよね」
エンナは虚しさを覚えて、枝が赤い熱で軽く弾けて踊るのを瞳に映した。
なんとなく、ローズなら教えてくれるかもしれない、と淡く期待していたのだ。出会ったのはつい昨日のこと。彼女のことを知っているわけではないが、なかなかに周りに気配っていること、世話焼きなことは一日でよくわかった。今だって、エンナのことを気に掛けて言ってくれたのと同時に、リューリとシェルのことを思い違いしないように配慮している。
「別にオレは教えてやってもいいと思うけどな〜」
エンナはその言葉に勢いよく顔を上げた。ローズは驚愕の表情で無責任なことを口走るスラッツに視線を走らせる。
「だってそうだろ? エンナはその身を狙われているんだ。何も知らないってのは酷だ」
「スラッツ!」
厳しいローズの声が焚き火の炎を揺らした。
「貴方、本気で言っておりますの……」
ローズは眉睫を吊り上げて、下から険しくスラッツを睨め付ける。
「うん。知るも知らないも、どっちを選ぶかはエンナが決めることだとオレは思うね。そして、当の本人は知りたいって言ってる。エンナにも教えてやるべきだ」
「それこそ愚行ですわ」
「愚行? どっちが愚行なんだか。本人が選んだことにどうこう言う権利はオレ達にはないと思う。エンナの行為を阻むオレ達の方こそ、愚かなことしてんじゃないの?」
二人の間にピリッとした緊張感が駆ける。どちらか一方が口を開いたら、それを合図に一戦を起こしそうな雰囲気だ。
エンナは何も言えず、息を呑んで二人のことをただ見守る。今、エンナが割って入っても、火に油を注ぐようなものだろう。
「やめんか、愚かな人の子らよ」
そこへ、上空から声が降ってきた。聞いたことのない声にエンナは首を傾げるが、ローズとスラッツは我に返ったようにハッとなって上を見上げる。
「トゥグル!」
スラッツが驚いたように声の主の名を呼ぶ。エンナは、「え゛」っと目を点にさせた。トゥグルは、確かシェルの精霊、大鷹の名ではなかったかと。
スラッツに呼ばれたトゥグルは、大きな翼を羽ばたかせて三人の傍に降り立った。
「全く、シェルの心配した通りだ。シェルが様子を見てこいと言うから来てみれば、案の定とは……」
呆れたようにやれやれと首を左右に振るトゥグル。ローズとスラッツはばつが悪そうに顔を背けた。
「鳥が喋ってる!?」
一方、エンナはこの信じられない光景に身体を震わせた。
鳥が喋っている。しかも流暢に。
世の中には、確かに喋れる種類の鳥は存在する。しかし、それはオウム返しというものだし、鷹は喋る鳥の種では決してない。なのに、目の前の大鷹は喋っている。
驚きに自分を見ているエンナをトゥグルは呆れたように鼻を鳴らした。
「契約を交わした精霊は、人語という言葉を理解し、更にそれを操れるようになるのだ。ワタシの場合は契約云々に関係なく人語を操れるがな……ふん、そんなことも知らないのか、小娘」
馬鹿にしたように口角、ではなくこの場合嘴角と言えばいいのか、兎に角吊り上げてトゥグルは笑った。
上から目線で、しかもこの言い方。
エンナの気持ちが驚きから苛立ちに変わり、どうしてローズがトゥグルのことをあんな風に言ったのかわかった瞬間だった。
成る程、確かにこれはむかつくかもしれない。
「あーなんか思いっきり気が削がれたー。オレもう寝よ」
スラッツは頭をがしがし掻いた後、エンナ達に背を向けて横になってしまう。まだ話は終わっていないとローズが気色ばむが、スラッツはそれにひらひらと手を振って答えるだけで、それ以上の反応は示さなかった。
そのスラッツの態度にこれは駄目だと諦めたらしく、ローズは深い溜め息をついて切り上げる。
「貴女、この話はここで終わりですわ。何度聞かれても、それにお答えできることはありません」
エンナは頷くことしかできなかった。
きっとこの話はシビアなのだ。あの二人が話さないのも、ローズとスラッツが言い争うのも、そういうことなのだろう。それに余計不安を覚えるが、この話題はもう出さない方が良さそうだ。またこの二人が喧嘩でも始めたら、こちらもたまったものではない。
ローズは立ち上がって、彼女の馬に近付いて言った。
「わたくし達も寝ることに致しましょう」
* * *
エンナは、目をそっと覚ました。
まだ、日は昇ってはいない。薄闇が森を支配している。
早起き体質とはいえ、まさかこんな早くに起きてしまうとは。かといって、二度寝する気にもなれず、エンナはローズから借りた寝袋から這い出た。肌寒い外気に触れて身体が身震いする。
ローズとスラッツの方を確認すると、二人はまだ夢の中のようだ。シェルは、見回りをずっと続けているのか姿がない。
これからどうしようかと考えて、エンナは少し辺りを散策してみることにした。この時刻なら、危険な魔物もそんな活発に活動してはいない。万が一、何かあったらここに駆け込めばいいだろう。寝ている二人には申し訳ないが。
そうと決まれば行動あるのみ。エンナは歩き出す。朝露に濡れた雑草の絨毯を踏んで、木々の間を通っていく。少し進むと、せせらぎの音が耳に入ってきた。そちらへ足を向けて低木の垣根を越えれば、小川に辿り着いた。さらさらと水が流れて、心地良く耳を擽る。
「誰だ?」
エンナが情緒に浸っていると、小川の上流から声を掛けられた。ハッとなってそちらに目を向ける。そこには、全身黒尽くめな上、髪まで黒い青年が一人片膝をついていた。この川の水を飲んでいたのだろう。口から顎にかけて水で濡れてしまっている。彼は、濡れていない手の甲でぐいっとそれを拭った。
そして、彼は立ち上がってエンナに近付いてくる。エンナは驚きのあまりその場にがちっと固まってしまって、身動きができなかった。
「あぁ、お前は……」
彼はじっとエンナを見た。水色の硝子玉の中に銀盤を器用に入れたような、不思議で綺麗な瞳をしていた。そんな目で見つめられたものだから、エンナはもっと身を固くする。そして、彼はふっとその整った顔に優しげな微笑みを浮かべた。
「まさかこんなところで会えるとは。これも巡り合わせか。偶然とは恐ろしいな」
「あの、アナタは……」
「私か? 私は、自由の人、とでも言うところか」
訳がわからない。エンナが訝しく眉根を寄せると、青年は可笑しそうに笑った。
「そうだな、リベラとでも名乗っておこう」
「リベラさん?」
「あぁ、“さん”はいらない。あんまり畏まった呼ばれ方は得意じゃないんだ。できれば呼び捨てで呼んでくれ、エンナ」
リベラと名乗った青年は肩を竦めた。
エンナは自分の名前を呼ばれたことに目を剥く。
「あの、わたしとアナタって初対面のはず、ですよね。どうして、わたしの名前を……」
「さぁ、どうしてだろうな」
リベラは悪戯っぽく笑う。はぐらかされたエンナは、落胆して肩を落とした。
「アナタもそうやって隠すのね……」
エンナは、何だか哀しくなって俯いた。
あの四人も、初対面の人でさえこうして自分に蔽う。どうしてこんなに秘め事が多いのだろうか。皆が必死になって秘し隠す程、まさか自分は危険な存在なのだろうか?
自分は……一体何者なのだろう。
悶々と自分の中に引き籠もっていると、リベラの焦ったような声が上から降ってきた。
「気を悪くさせてしまったようだな、すまない。私は自分の身をあまり大っぴらに言えないんでな」
リベラは、少し困った顔で微笑んだ。
「そうなんですか?」
「あぁ、だから気にしないでくれ」
と言われても、余計に気になってしまうのが人間の性というものだ。
「もしかして、エンナが過敏になっているのは、あの精霊騎士四人が原因か?」
浮かない顔でいると、リベラが問いかけてくる。
エンナは目を数回瞬かせた。
「リューリ、シェル、ローズにスラッツのことだろう?」
驚いた。
エンナは誰と一緒にいるかなんて話してもいないのに、リベラはそれをピタリと言い当てた。
どうしてわかったのだろう。事情を知っていなければ知り得ないことだ。リベラは敵なのだろうか。そうでなければ、リューリ達の仲間か。
いや、しかし、リベラはスラッツのことまで知っていた。スラッツは飛び入り参加のようなものだったし、事前に知っている関係者でもこれは知り得ない情報だろう。それを知っているということは、ずっと見られていたということになる。まさか尾けられていた?
不信感が募り、警戒してリベラを見つめる。身構えるエンナを見てリベラは笑んだ。
「安心しろ。別に怪しい者じゃない」
「色々と十分怪しいんですが」
エンナは目を据えて、不信の視線をリベラに向ける。
言葉を返されたリベラは、確かにな、と声を抑えて笑った。何が可笑しいのかとエンナは口を曲げる。
「なぁ、エンナ」
一頻り笑い終えて、リベラはエンナに優しい微笑みを向けた。
「エンナには何か信念にしているものはあるか?」
突然そのようなことを聞かれても思い付くはずもなく、エンナは眉間に皺を寄せた。
「騎士の連中、特に精霊騎士達はそれぞれ強い信念を持っている。一体どんな信念を胸に秘めているかはわからないが、リューリ達は忠誠心が強い上、“守りたい”という念が人一倍強い者の部類なんだ」
「そうなんですか?」
思わず聞き返すとリベラは点頭した。
「でも、他者を守るというのは、その対象が一人であったとしても困難なことだ」
片膝を着いて、リベラは小川に手を晒して話を続ける。
「どんなに細心の注意を払っていても、この水のように指の間を擦り抜けていってしまう」
川の水を手で掬って、澄んだ水がリベラの指の間から流れ出て川に戻っていく様子をエンナは目で追った。
「大きな力を手に入れてもそれは変わらない。いとも簡単に自分の手から離れてそして……儚く行ってしまう」
最後の言葉を口にした時、リベラの瞳が少し憂いに揺れた気がした。過去に何かあったのだろうか。遠くを見るような目で自分の掌に視線を注いでいる。
「だからとは言わないが、ほんの少しでも良い、彼らを信じてやってくれ。特にリューリとシェルは、この件についてどれ程の思いで事を進めていることか……心中察する」
「そんなに?」
「あぁ、きっと思い悩んでいたはずだ。それは勿論今もな。どうやったら一番エンナに良いのか、そして守れるのか」
それを聞いてエンナは疑問に思う。
だとしたら、どうして彼らが自分にそこまでするのだろう。
確かに“とある方”の命令があるからかもしれないが、それにしたって彼らが自分に何かを配慮する義理はない。
「でも、あの二人がそこまでする理由って何? 普通、突然知り合ったような相手に思い入れるようなことってないと思うんですけど」
「……本当に?」
「え?」
「本当にあの二人とは面識がないのか?」
二人の間に微風が通り抜けていく。髪が、服の裾が、僅かに揺れ動いた。
まるで誰かがエンナに、リベラと同じく本当に? と静かに問いかけているような。
「何言って……そんなの当たり前じゃないですか」
そう、あの二人とは今回初めて会ったのだ。記憶の中を探ってみても、思い当たる節はない。第一、あんな美形な二人と以前に会ったことがあるとしたら、印象に残って覚えていそうなものだ。
エンナがうんうん唸りながら考え込んでいると、上空から地鳴りのような咆哮が轟いた。
エンナはぎょっとなって空を見上げる。
青が戻りつつある空に黒い点が一つ、動いていた。それは遙か天空を飛んでいるようで、姿形がはっきりとはわからないが、鳥の形に似ている気がする。が、それにしては尾の部分が随分と長い。
「迎えが来てしまったか」
リベラも黒い点を目で追いながら呟いた。
「エンナ、お前もそろそろ戻った方がいいだろう」
そう言ってリベラはエンナの腕を掴む。エンナは驚いたが、リベラは有無を言わさずに何かを掌に乗せてぎゅっと握らせた。
「これは餞別だ。会えたことを記念して」
エンナは掌をそっと開いてみた。それは黒くて硬い、鱗のような形をしていた。表面が艶やかで、傷が一つもなくとても綺麗だ。
「ペンダントヘッドにでもして身に着けておくと良い。何かの役に立つだろう」
それだけ言って踵を返し、リベラは森の中へ去って行こうとする。
エンナはそれを呼び止めた。
「あのっ」
「いつかまた、こうして会えることもあるだろう。それまで、さらばだ」
リベラは外套を翻す。
その時、リベラの前髪で隠れていた額が見えた。髪の合間から垣間見えた額には、黒い模様が描かれているようだった。一瞬のことだったので、どういう形だったかまではわからなかったが。
そうして、リベラは木々の向こうへと姿を消していく。
リベラの後ろ姿をただ呆然と、エンナは見送るのだった。
* * *
「エンナ、エンナ」
揺蕩う意識の中で軽く肩を揺さ振られ、エンナは薄く目を覚ました。まだ夢の中に浸っていたいエンナは、不機嫌に自分を現実へと引き戻そうとする犯人を探して目を動かす。
探す間もなく眼前一杯に広がるスラッツの顔。そして一瞬、彼の肩に何か、黒い何かが乗っていたような気がした。
「ぎゃっ」
夢現を行き来していたエンナは、それに吃驚して目を見開く。休んでいた頭も覚醒を果たし、意識が一気に現実へ帰ってきた。
「おっ、起きた起きた」
目を覚ましたエンナに満足して、スラッツは満面の笑みを向けた。
「エンナ、もう朝だぞ。そろそろ出発するみたいだから準備しないと」
「えっ!」
スラッツの肩にいた黒い何かのことを頭から吹き飛ばすくらいに驚いてエンナは飛び起きた。
陽は大分昇っているようで、地上に朝の優しい光を降り注いでいる。
こんな時間まで眠りこけてしまうなんて、正直久方ぶりだ。教会でもこんなことは一、二回程度のことで、寝坊なんてしたことはなかったのに。不覚だ。
スラッツはエンナが完全に目を覚ましたとみて、ローズ達の方へ出発の準備を手伝いに行ってしまう。
スラッツの後ろ姿を追いながら、エンナは早朝リベラという青年に会ったことを思い出した。
今思うと、現実味を帯びている感じがしないのだ。どうにも記憶が変に曖昧で、思い出す会話も何故か反響している。幻想的な世界へ迷い込んでしまったような、そんな風にさえ思った。
もしかしてあれは、リューリ達に対する不信感から生み出した自分の夢だったのだろうか。
エンナは夢なのかそうでないのか考え込んで、頭を抱えようとしたその時、掌から何かが地面に転げ落ちた。「あっ」と声を漏らす。それは、あの青年から貰った黒いペンダントヘッドだった。これがあるということは、つまり……
夢じゃなかったんだ。
* * *
エンナが起き出すと、四人は早々に野営を後にした。朝食は軽く馬上で済ませる。
四人の間にあった気まずい空気もなく、この日は平和な旅路であった。
昨日のこともあり、エンナは特にスラッツとローズのことが気掛かりだったが、二人共そのことについてはすっかり良いようだった。昨日の出来事などまるでなかったかのように、みんなに向かって楽しそうに喋るスラッツにローズが突っ込みを入れている。こうしていると、なかなかの良いコンビである。
只、道中気になったのは、シェルがエンナに誰かに会わなかったかと聞かれたことくらいだ。
エンナは思わず、会っていないと答えた。そうやって言い切ってしまうと、あとで訂正するのもし辛いもので、訝しむシェルにエンナは会っていないと言い通す。
やはり、シェルはそれで納得がいかなかったようだ。確かめるようにエンナを見る。が、やがて諦めたのか、彼はそうかと呟いた後は何も聞いてはこなかった。暫しの間思案を巡らせている様子ではあったが。
嘘をついたことでエンナは少しの罪悪感を覚え、馬に揺られながら悶々と物思いに耽った。基本的に正直者なエンナ。人を欺いたりするのは苦手だし、彼女自身誰かに嘘をつくのは好きではなかった。それは子供の頃、『嘘つきは泥棒のはじまりだ』と神父様に言い含められたせいもある。子供心に泥棒と呼ばれるのは嫌だったので、努めて正直であろうとしていた。勿論それは今も。それ故に、嘘をついてしまった自分自身にエンナは叱責する。
いや、しかし彼らも自分に隠し事をしているのだ。だから、これくらいの嘘は許されて当然、お相子だと思うことで、自分のついた嘘を正当化させる。
割合のんびりと平穏な旅路を進みながら、立ち寄った町でエンナはこのままでは忍びないと服と靴を購入して貰った。気が進まなかったが、今着ているのはローズの借り物であるし、これをずっと身に纏っているのも悪い気がしたのだ。何より、如何にも高級そうで汚してしまったらと思うと怖くて仕方なかった。その点、今の服装ならそこまで気を遣わなくて良い上、何より動きやすい。
そうして、この日はリューリとの合流に備え、辿り着いた宿場町で宿を取った。月が夜空に浮かんでいる内に出発するということで、夕陽が沈む時刻にはシェル以外、皆早々に床に着くこととなったのだ。
しかし、次の日、リューリとの待ち合わせ当日、それは来た。
「なんてことですの……」
ローズは、その事態に言葉を失って口を押さえた。
呆気にとられてエンナは只気の抜けたような顔でいる。
起きてみたらエンナは見えるようになっていたのだ。
実体を持たない、精霊という存在を。