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父親

 ここで父親の事を少し書いておこうと思う。

父親の名前は「義孝」という

義孝は三重県のH市で4人兄弟の末っ子として生まれた

初めて生まれた男の子だった。

3人の女子ばかりで諦めていたところの男の子だったので

両親は非常に喜んだらしい。

当時、義孝の父親は工場の経営、母親は料理屋を営んでいて

経済的には恵まれていたそうだ。

かなり、義孝を甘やかして育てた。


 祖父は、戦時中の無理がたたって早くに亡くなったが

工場をたたんだお金と、料理屋の経営で

4人の子供たちを母親一人で育てたと聞く。

母親は仕事が忙しく、あまり義孝にはかまってあげられなく

お金を渡して


「これで遊んできてね。」


と、なんでもお金で解決したということだった。

義孝が中学に上がるころには

お店のお金を勝手に持ち出ししばらく帰ってこないことも

そんな、義孝がまともに育つはずも無いのも無理はない事だ。


 中学を卒業したら、高校へは行かず店の手伝いをしていたらしいが、

浪費癖は治らなかったようで

店のお金を持ち出しては遊び歩いていた。

そんな義孝だったが、母親は注意するどころか怒りもしなかった。

なにかにつけ「義孝ちゃん」「義孝ちゃん」と甘やかし放題で

ますます調子に乗りやりたい放題だった。


 義孝が二十歳になったとき、名古屋へ働きに出た。

その時に熊本から働きに出てきた母親と知り合ったらしい。

どんな経緯で知り合い、付き合いだしたのかは分からない

名古屋で働きだした義孝であったが、仕事が長続きするはずもなく、

一年後には実家へ帰ってきた


 ほどなくして、大きなお腹を抱えた母親が義孝を訪ねてきた。

熊本から一人働きに来た母親を置いて、とっとと帰ってきた義孝

妊娠したことも分かっていたのに、なんとも薄情なものである。

母親はお腹が大きくなりかなり不安だった事と思う

右も左も分からない知らない土地に一人きり

唯一頼れるのは義孝一人、なのに母親を置いて帰ってしまった。

その時の母親の気持ちを考えるとやり切れない想いだ


 訪ねてきた母親に、義孝の母、姉達は冷たくあたった

「誰の子供か分かったものじゃない」

「義孝の子供であるはずがないじゃない、お金が目的!?」

と冷たい言葉を浴びせかけられた。

しかし、そんな祖母達であったが人の心は持ち合わせていたらしく、

子供が生まれるまでは家に居ることになった。

そして孝之が生まれる。

生まれた孝之が義孝にそっくりだった事もありようやく

祖母も義孝の子供だと納得したらしい。

そして籍を入れて二人は結婚した、式は挙げてない

母親は、祖母の料理屋で働くこととなった

ただ、姉たちの苛めは終わる事が無く

事あるごとに苛めは続いた。


 父親は、仕事もせず、お店から持ち出したお金でどこかへ出かけていた

しばらく帰ってこないこともざらだった

母親と、孝之はほったらかしである。


孝之が2歳なったころ

母親は義孝と離婚し実家のある熊本へ孝之を連れて帰ることになる。


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