表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/3

第1話 ありがちな転生


僕はなろう系の小説が好きだ。


だからこそ、なろう系でありがちな流れは断ち切りたい。


でも現実世界では、それほどうまくいかない。


そんなこと、僕も分かっている。




その日は何の変哲もない普通の日の朝だった。


ただ、僕の体は連日の残業で疲れていた。

朝日が毒に感じられる程、僕は眠りを必要としていた。

でもそんな疲れ切った体でも、そのとき起こした行動は無意識だった。



僕の目の前には登校中の子供たちがいた。


同級生と談笑しながらグループで登校する沢山の子供たち。

僕はあるグループの先頭に立つ小さな女の子が目に止まった。

その女の子はおそらく班長なのだろう。

後ろをちらちら振り返りながら、不安げに子供たちを先導していた。



通学路は車通りが多い地域だった。

だからその小さな班長は、自分の役割をしっかり果たそうと頑張っていた。

交差点の横断歩道付近ではグループの子供たちに注意を払い、彼らが赤信号を無視して走り出さないように何度も確認していた。



信号が青に変わる。

彼女はグループの子供たちに横断歩道を渡りましょうと合図をした。

僕はその光景を微笑ましく眺めていた。



人生には、いくら万全の備えをしていても防げない事故がある。

このときもそうだったと思う。

大型の車が信号無視をして突っ込んできたのだ。

そして、その少女のグループはちょうど横断歩道の真ん中にいた。



テレビでたまに見かけるニュースが思い浮かんだ。

通学路で信号無視の車が子どもの列に突っ込む。死傷者多数。

まさにそんな状況だった。



グループの真後ろにいた僕には、咄嗟の事で動けない子供たちがよく見えた。

なぜ、僕にそんな余裕があったのかは分からない。

車の突っ込む位置から僕は安全圏にいた。

だから客観的に見れたのかもしれない。

僕が感心していた班長であろう女の子も、突然の事態に目を見開くばかりだった。



行動は無意識だった。

僕は勢いよく駆け出す。


まず、グループの手前で慌てふためく子供たちを無理やり後ろに追いやった。

驚きで動けない班長の女の子が目に入る。

彼女は身が竦んでいるのか、微動だにしなかった。


車は目の前まで来ていた。

僕は走り出し、女の子を突き飛ばした。

乱暴な助け方しちゃったね、ケガしてたら本当にごめん。

そう思いながら、僕はあっという間に車に跳ね飛ばされ、宙を舞った。






……



………



あれ…

ここは…?


目覚めたか。レント。


誰ですか、あなたは?


ワシはお主の世界ではゼウスと呼ばれておる。


ゼウス?

(なんだこのおっさん。

てかなんだここ?)


そうじゃ。


ゼウスって確か神様…

(神々しさが凄い…本物?)


そう。

じゃが、ただの神ではない。

全知全能の神じゃ。


全知全能?

そんな人がなんで僕の目の前に?


その説明をする前に。

お主は自分がここに来る前の出来事を覚えておるか。


覚えてないです…

いや、そういえば誰かのイメージが強く残ってる。

あれは…



……


小さな女の子。

そうだ。

僕は小さな女の子を助けようとしていた。

そして車に轢かれたんだ。


記憶は失われとらんようじゃな。


失われていない?

どういうことです?


ふむ。

順を追って説明してしんぜよう。

まず、お主は死んだ。

そしてその魂は別世界、お主たちの世界でいえば神の世界に招かれた。


神の世界?

だからあなたがいるのですか?

(これって、ありがちな転生モノじゃない?)


そういうことじゃ。

そして、ワシはお主の水先案内人という訳じゃ。


水先案内人…


そしてお主は神となった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ