社会人生活のスタート
新人の仕事は、開店から閉店まで、店頭でのお客さまの案内と決まっている。閉店後は、日締めの手伝い、ATMのメンテナンス、日誌の作成、電話取りだ。
普通預金、通帳、定期預金、キャッシュカード、クレジットカード。わかる。少なくともわかる気がする。総合預金、当座預金、貯蓄預金、通知預金、入金帳、小切手。よくわからない。
電話はあちらこちらからかかってくる。
「硬貨の両替で伺いたいのですが」
「通知預金の延長をしたいんです」
「小切手帳を注文したいのですが」
それぞれ、窓口の大先輩に聞くと、
「東日本運送さんね、大口の両替先で週に1度いらっしゃるのよ。券種だけ聞いておいて。あるとはおもうけど」
「大丈夫だからわかりましたと伝えておいて」
「何冊?、まだ聞いてないの?聞いておいて」
このようなかたちで1つ1つ解決する。
実際に何が起こったのか、詳しい解説を受けられないことも珍しくない。ただ、同じことを2度聞くのはご法度。1度で覚えなければならない。1つ1つ、日誌を書きつつ、商品設計書を確認する。日誌に『暗唱番号』と書いてしまって、課長に『暗証番号』と修正されたのもこの頃だ。
普通預金の金利が0.001%、定期預金もほぼ期間によらず0.02%、貯蓄預金も通知預金も0.01%か。毎日、株価・各種預金金利・為替をメモする。ただ、店頭の表示で毎日変わるのは、外国為替くらいだ。
これまでに気にしたことがなかったこと。毎月25日は、多くの会社の給与日でATMが混雑する。ATMから現金が引き出されるわけで、あらかじめ十分に現金を入れておかなければならない。夜間の引き出しも勘案して、夕方の時点である程度搭載しておく。
そして、隔月15日は年金受給日で、受給者がなぜか通帳記入に多く訪れる。必ずしもお金を引き出しするわけではない。自分の祖父母よりも年上とも思わしきおじいちゃん、おばあちゃんがATMや通帳記入機で入金があったことを確認して、ホッとした顔で帰っていく。
大先輩ともなると、お店が繁忙する給与日、年金受給日はあらかじめ肌身をもって感じられるらしい。
ただ、支店での主な関心事は、普通預金や給与日の混雑ではなかった。クレジットカードやカードローンの販売と、日本版金融ビッグバンから少しずつ解禁された投資信託や投資型年金の販売だ。
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今日から新しい投資信託がラインアップに加わります。ノーロード型です。