4.トゲの幽霊
トゲトゲの幽霊は小刻みに震えだした。この天使の力を理解しているのかもしれない。
「流石最上級だな。この力が分かるとは。まあ、分かったところでどうしようもないとおもうけどな!」
天国への扉を開いて幽霊の近くまでワープする。そして、天使化した右腕で幽霊の体をえぐった。
「ピィィィィィッ!!!」
「はは、幽霊のくせに声をあげるなんてな」
えぐられた箇所から幽霊の体は崩壊し始めた。天使の力は理を破壊する力。幽霊はもはや体を保つことができなくなってしまった。
「ヒュー、やるねえ」
「ば、化け物じゃないの!?あれが天使!」
人を化け物呼ばわりとは。酷いなあ。
「ピッ!ピヤァァァ!」
追い詰められた幽霊が、体のトゲを全て俺の方に伸ばして攻撃してきた。まあ今の俺には効かないが。
「全部右腕で叩き落としてやるよ」
一斉に襲ってくるトゲを一つ一つ叩き落としていく。といっても力はそんなに入れていない。触れるだけでトゲは崩壊するのだ。
「ピッピッピィィイ」
「もう叫ぶ元気もないか?じゃあトドメ刺してやるよ」
手を開いた右腕を幽霊に向け、思いっきり手を握って幽霊の体をぶっ潰した。
最初から握りつぶすこともできたのだが、ある程度崩壊が進んでからの方が消費エネルギーが少なくて済むのでこうすることにした。
仕事をし終えたので、天使化を解除する。
「ふう、結構疲れるな。これが天使の力か」
「悪魔の要素も入ってるけどな」
「ええ、理を破壊する天使の力と理を構築する悪魔の力。右腕が再構築したのはまさに悪魔の力の一端ですね」
悪魔の力がなければ、すでに右腕は崩壊し始めていただろう。だが、そんなことにはならず、力を解除すると元の右腕に戻った。
「あんた!強すぎない!?」
「サキも結構強かったぞ?あのでかい幽霊に銃でよくあそこまでいけたな。おかげで楽に倒せた」
お世辞でもなんでもなく事実だ。爆裂する弾は非常に強烈だからな。
「そ、そう!そうよね!私は強いわよね!」
「ああ、強いぞ」
俺の方が強いけどな。




