Season 4 There are wheels within wheels
オール新キャラ!!!
いつも難しい難しいと言われる千刃花ですが
(俺は全く思わない)
今回は更に難しいのではないかなと思います。
世界観や背景や新たな用語満載!!
いつもと違うお話しパターンですが
新たな発見があると思います。
では、楽しんで!!
N
作者 REN’sJackson
ー千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜ー
煉獄 冥府大監獄篇
Season4
There are wheels within wheels
N
広大な国土を誇るナーベルク帝国
その首都は樹海の要塞に囲まれた
帝都ルシファンブルク
そして、大きな滝が流れるその中央には
巨城ダリアと各隊舎と繋がる8本の橋がかかっており
外部から巨城ダリアに行くには
各隊舎のいずれかの門を通る必要があった。
一見、古風な城に見えるが
城内は最新鋭の機器が揃っており
ナーベルク帝国の科学と刃術の粋が集められていた。
更に地下を合わせるとその高さは
ナーベルクで一番高い建物となる。
そして城の最深部には
ナーベルク帝国軍 軍司令部蔦があり
常に敵国の情報や自軍の進捗、
作戦、編成、軍備、管理を担っていた。
正にナーベルク帝国の中枢機関が
集結していると言っても過言では無かった。
その軍司令部蔦にある
神々しく厳格で荘厳な玉座には
帝国軍の最高指揮官 皇帝ヨシムネが鎮座していた。
ヨシムネの前には大理石で出来た円卓があり
"華四百花"と呼ばれる
ナーベルク帝国軍トップの四人と皇帝である
ヨシムネが座る場所があった。
N
帝国軍の作戦、編成を統べる華四百花ヴァンビ
ヴァンビ
「おい、急に呼び出すたぁ
遂にボケたかジジィ」
N
敵国と自国の情報を統べる華四百花クリシャンテ
クリシャンテ
「黙れ小僧が。
個人情報ばら撒かれたいのか。」
N
軍備、兵器の管理、教育を統べる華四百花プラム
プラム
「おじ様達、皇帝の御前近くです。
お静かに」
N
帝国特務戦闘部隊"千刃花"を統べる
華四百花オルケイディア
オルケイディア
「早く扉を開けろ。
そして口喧嘩するくらいなら殺し合え」
N
"華四百花"とは
年齢、身分問わず
各分野のエキスパートが
集められ構成されている。
"華四百花"に選ばれるということは
偉人として歴史に名を残すことができ
ナーベルク帝国民にとって誉れ高き栄誉である。
そして、ナーベルク帝国軍においては
皇帝に継ぐ最高位であり
有事の際には指揮も執り
ナーベルク帝国の紋章を左胸につけることを
皇帝以外に許された四人の偉人達の称号である。
ヴァンビ
「失礼致します。」
N
ヴァンビは重い扉を開けた。
ヴァンビ・クリシャンテ・プラム・オルケイディア
「皇帝」
N
四人はひざまずくと下を向いた。
ヨシムネ
「面を上げろ。」
ヴァンビ・クリシャンテ・プラム・オルケイディア
「ハッ」
ヨシムネ
「お主達の顔を四人…勢揃いで見るのは
久方ぶりだ。
変わりはないか。クリシャンテ、プラム」
クリシャンテ
「勿体なきお言葉で御座います。」
プラム
「最近は騒がしさのあまり
顔を出せず申し訳ありません。」
ヨシムネ
「国の為、奔走しているのは
分かっておる。」
クリシャンテ
「悩みの種は千刃花、、
ラミオラス帝国との戦が続いたせいか
悩みが尽きぬ部隊です。
失礼な事はありませんでしたかな」
ヴァンビ
「あやつらは生意気な上に
平然と文句を垂れる。」
ヨシムネ
「そう言うでない。
何度も国を救われておるのだ。
千刃花無くして
ナーベルク帝国の安寧はあり得ぬ。」
クリシャンテ
「確かにそうですな。
しかし、如何んせんクセが強いものばかり、、」
N
クリシャンテはオルケイディアを横目に
あきれた声で言った。
オルケイディア
「チッ。要件はなんだ。クリシャンテ
まさか部下の愚痴を聞かされる為に
私をわざわざ呼び出したのか??」
ヨシムネ
「とりあえずかけろ。」
N
四人は円卓へと腰をかけると
ヨシムネも腰をかけた。
ヨシムネ
「して、今日は何用だ。」
クリシャンテ
「私から報告がございます。」
ヨシムネ
「何だ。申せ。」
クリシャンテ
「ハッ。
おそらく、オルケイディアの耳には
すでに入っている情報ですが、
一刃花隊の飛行戦闘魔進悶々雅・Aが
墜落したとの一報が入りました。」
プラム
「墜落?」
ヴァンビ
「なんだと!?
なぜ、悶々雅・Aなんだ!
亜那魂蛇Iではないのか!?」
クリシャンテ
「私も分からぬ。
予定では亜那魂蛇Iと
聞いていたのじゃが」
プラム
「それは…確かなのですか?」
クリシャンテ
「確かだ。」
プラム
「そもそも何故、墜落したのですか?」
クリシャンテ
「ラミオラス帝国の攻撃によるものじゃと
私は報告を受けた。」
プラム
「しかし、我が国の空域圏内で
そんな事が起こり得るのでしょうか?」
クリシャンテ
「いや違う。
ラミオラス帝国の空域圏内で起きたんじゃ」
ヴァンビ
「なんだと!?
国境付近で着陸する予定だったはずだろうが!」
クリシャンテ
「結果的にそうではなかった。」
ヴァンビ
「一体何が起こってんだ、、」
オルケイディア
「くだらん。
そんな事でいちいち集めたのか。私は帰る」
プラム
「オルケイディア様!!」
ヴァンビ
「フフッ…おいおい、お前の部隊だよな?
千刃花はお前が大隊長を務めているのを
忘れたんじゃねぇだろうな?」
オルケイディア
「だから何だ」
ヴァンビ
「フンッ。相変わらずだな。オルケイディア。
千刃花は毎度毎度
問題を起こしてばかり。
その度に"だから何だ"とお前は言う」
オルケイディア
「現場を知らぬ物言いだ。
歴戦の猛者の言葉とは到底思えぬ。
どうやら髪と一緒に牙も抜かれたようだ。」
ヴァンビ
「貴様、、俺を愚弄するのか?」
オルケイディア
「事実。
この私がそんな老兵に教えてやろう。
任務とは流動的。
隊長達も些細な事など
いちいち私に報告しない。」
ヴァンビ
「何だと…そもそも貴様は遊ばせ過ぎなんだよ。
もっと国が誇る軍人らしーーー」
プラム
「そんな事どうでもいいです。」
N
プラムはピシャリと言葉を遮り
その場を制した。
プラム
「今はそんな事など
どうでもいいです。」
ヴァンビ
「オルケイディア…
相変わらず胸糞ワリィ女だ。」
プラム
「ヴァンビ様?」
ヴァンビ
「はぁ。」
N
ヴァンビは大きなため息を吐くと
プラムの方を向いた。
ヴァンビ
「それはそうとプラム、お前んとこの弟も
乗ってるのは知ってたか?」
プラム
「いいえ、知りません。
ジジからは何も聞いておりません。」
オルケイディア
「当たり前だ。
直前、ヨシタダから連絡が入ったからな。」
クリシャンテ
「何じゃと?
報告義務を怠たるではない。
オルケイディア」
オルケイディア
「まだ60分も経っていないのに
報告義務もクソもあるか。
何か不都合なことでもあるのか?
クリシャンテ」
クリシャンテ
「不都合?報告義務は速やかに。
決定したその場で迅速に。
新人隊士にいう言葉を
まさか華四百花にするとは、、」
ヨシムネ
「よせ。くだらぬ問答などいらぬ。
結果が全てだ。
過去の話などいらぬ。
未来の話をしろ。
それに案ずる事はない。
あやつらは我が国が誇る最高戦力。
鞘花である以上
死ぬなどということはまず無い。」
オルケイディア
「皇帝の仰るとおりだ。」
クリシャンテ
「それと、、
ラナンキュラスとアキレイも
一緒にいるそうじゃな。」
ヴァンビ
「おい。オルケイディア。
貴様知っていたな?」
オルケイディア
「何をだ。」
ヴァンビ
「一緒に乗ることをだ。」
オルケイディア
「一緒に乗ってなどいない。
やつらは休暇をとりバカンスへ行くと
私に言っていた。
急に決まったのであろう。
可愛い部下が休みが欲しいと言ったのだ。
断ることなど私には出来ぬ。
それにアキレイがいるのであれば
亜那魂蛇Iを使うのは
ごく自然な事だと思うが?」
プラム
「バカンス、、フフっ
アキレイとラナンらしいですわね!!」
ヴァンビ
「何を笑うか!!」
クリシャンテ
「この時期にバカンスなど、、
一体、誰の許可を得て、、」
オルケイディア
「私以外に誰が許可するのだ。」
ヴァンビ
「何!?
ラナンキュラスと、アキレイめ!!
バカンスなどと嘘をつきおって!!!
オルケイディア!!
亜那魂蛇Iから
悶々雅・Aへ変更するならば
すぐに報告しろ!!
今回はジニア捜索キキョウ救出という
鞘花二人を救う大事な作戦だろうが!!」
オルケイディア
「ならば、何故ヨシタダの提案を破棄した。
今回の任務はヨシタダを主軸に
一刃花隊が遂行する。
その隊長であるヨシタダが
負傷していない隊長格以外全員と言ったであろう?」
プラム
「破棄?破棄したのですか?
ヨシタダ様の意見は今回の任務の重要性を
考えれば妥当な作戦です、、」
クリシャンテ
「他隊との連携を嫌うヨシタダ様が
そうまで言うたのか?」
ヴァンビ
「グッ…仕方ねぇだろうが!!
これは国防に関わる話だ!
残った隊長には
帝国の守護に就いてもらわねばならん!
お前達も知ってんだろう!!
先月の様にもし強襲されたりすれば
鞘花は一人でも多くいた方が良い。
最小限に抑える為に
任務失敗した事がないヨシタダ率いる
一刃花隊に行ってもらったんだ。」
プラム
「そもそも千刃花は
独立した特務部隊。
全権はオルケイディア様にあるはずです。
形式だけの許可を却下するなんて。」
ヴァンビ
「鞘花の所属は
千刃花。
しかしナーベルク帝国軍の兵士でもある。
国力、国防の面を考えた上での判断だ。
戦える鞘花がいないのでは
話にならん!!」
オルケイディア
「クーワもアナスタシアもレンゲイもいる。
重症だろうがなんだろうが知ったことか。」
プラム
「フフッ。相変わらず鬼ですね、、」
オルケイディア
「零華を破壊した代償だ。」
クリシャンテ
「しかし、ルシファンブルクが強襲された際は
鞘花三人でもやっとであった。」
プラム
「確かにそうですね、、
報告にあった十鬼槍と呼ばれる部隊が
もし襲ってきたら、、」
ヨシムネ
「もう良い。オルケイディア。
報告しなかったのは
何か理由があるのか?」
N
オルケイディアはしばらく間を空けると
ゆっくりと口を開いた。
オルケイディア
「皇帝。まだ調査段階なのですが
どうやら色々なところで
情報が漏れているようです。」
プラム
「、、、どういうこと?」
クリシャンテ
「オルケイディア
言葉に気をつけろ。」
ヴァンビ
「引っ込んでろジジィ。」
プラム
「お二人ともお静かに。」
ヨシムネ
「申せ。」
オルケイディア
「どうやら軍内部にスパイがいるようです。」
ヨシムネ
「まことか?
オルケイディア。
その言葉の意味を分かっているのか?」
オルケイディア
「これは憶測ではなく確信です。
私と一刃花隊で
調べた結果、恐らくゲイジュが
この国の情報を横流し
していたのを はじめ
何人か紛れ込んでいると思われます。」
ヴァンビ
「なんだと!?」
クリシャンテ
「いや、オルケイディアは間違っていない。
ここ最近は全ての動きが読まれている。
ジニアとキキョウの今回の一件
マーベラスやルシファンブルク強襲
ポセドニア のダンジョン攻略、
数年前のスゴウ平野の戦いから全てじゃ」
N
重々しい空気が流れ
皆、しばらく口を開かなかった。
ヨシムネ
「オルケイディア、誰がとまでは
分からぬのか?」
オルケイディア
「分かりません。
亜那魂蛇Iには
あえて乗らず悶々雅・Aに
乗ったとしても攻撃を受けました。
恐らく待ち伏せされていた。」
プラム
「でも、逆を言えば好機です。
悟られなければ泳がせる事が出来ます。」
クリシャンテ
「では。偽情報を流し
炙り出せば良いのじゃな」
ヴァンビ
「そう簡単に尻尾掴めるかよ。
ヨシタダじゃなくて
お前んとこの秘蔵っ子に任せたらどうだ?
全てを伝授したって噂じゃねぇか。」
クリシャンテ
「どの秘蔵っ子の事を言っておるんじゃ
私が教えた生徒は千を超えておる。」
ヴァンビ
「無理やり入隊させた奴だよ。
あのよく喋るカサオの小僧だ。
覚えてねぇのか?ジジィ」
クリシャンテ
「フン…あやつが生きていれば
とっくにそうしておるわ」
プラム
「ジニアなら上手くやってくれそうですが。」
オルケイディア
「ぁあ。やってくれた。
だから恐らく待ち伏せされた。」
クリシャンテ
「やはり、、そうか。」
ヴァンビ
「やっぱり一筋縄じゃぁいかねぇか、、」
プラム
「何か掴んでいたのですね。」
オルケイディア
「今回はしてやられた。
しかし、見つけ出せば分かる。
ジニアを早急に見つけ出さなければ」
プラム
「ヨシタダ様がいれば
何も心配はいりません。」
クリシャンテ
「とても優秀な鞘花へと
成長してくれた。」
ヴァンビ
「確かに奴なら情に流される事はねぇか。」
ヨシムネ
「、、、そうか。」
オルケイディア
「墜落など物ともしない。
いらぬ世話だクリシャンテ」
プラム
「心配性は昔から直ってませんね。
ヨシタダ様の事となるといつもそうです。」
ヴァンビ
「作戦を練り直せねばならなくなった!!」」
プラム
「無駄ですよ。
一度、動けば止まらないのが千刃花です。
ね?オルケイディア様」
オルケイディア
「ぁあ。止まらんな。」
ヨシムネ
「分かっておる。
あやつらに全てを任せるとしよう。
もう下がれ。」
ヴァンビ・クリシャンテ・プラム・オルケイディア
「ハッ」
N
ヨシムネがそう言うと
四人とも立ち上がり部屋から出て行った。
するとヨシムネは玉座へと再度、腰をかけると
ヴォンッという音と共にヨシムネの姿が消えた。
ーー最上階 神の社ーー
ヨシムネ
「仰っていた通りでした。
いかがなさいましょうか。」
N
ヨシムネはそこで何かに跪いて
話していた。
ヨシムネ
「皇帝陛下」
N
ー千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜ー
煉獄 冥府大監獄篇
Season4
There are wheels within wheels
N
おまけ
配役入れ替え
N▶︎▶︎▶︎少年ヨシタダ
オルケイディア▶︎▶︎▶︎サクラ
ヴァンビ▶︎▶︎▶︎N
プラム▶︎▶︎▶︎幼少期ヨシタダ
※椿と鍔騎のイントネーション要注意
椿▶︎ツバキ (歌舞伎のイントネーション)
鍔騎▶︎ツバキ (普通のイントネーション)
N
椿ナーベルク 義統と
その正室である椿ナーベルク 紗倉には
長らく子がいなかった。
そして十余年、
側室である文女との間に
ようやく男の子を授かることができ
国を上げて誕生を祝った。
クリシャンテ
「皇帝。おめでとうございます。
皇子誕生を心より祝福申し上げます。」
N
怪訝そうなサクラの顔色を伺いながら
クリシャンテはヨシムネに言った。
サクラ
「私の前でよくもそんな事を」
ヨシムネ
「やめろサクラ。」
サクラ
「フン。所詮は妾の子」
N
サクラはそう吐き捨てると
部屋を出て行ってしまった。
ヨシムネ
「椿家もこれで安泰だ。
帝国民には長らく待たせてしまった。」
クリシャンテ
「念願の皇子誕生です。
今日は忘れられぬ日となりましょうぞ。」
ヨシムネ
「ぁあ。アヤメにもお礼を言わねばな。」
クリシャンテ
「国民も安堵したことでしょう。
それはそうと
ルシファンブルク家をはじめとする
六大貴族から更なる繁栄と祝福を込めて
祝いの品が届いております。
そして、我ら華四百花からも
送らせていただきました。」
ヨシムネ
「城に運ばせておいてくれ。」
クリシャンテ
「もう、その様に手筈を整えております。
では皇帝閣下、時間でございます。」
ヨシムネ
「分かっておる。」
N
クリシャンテがそう言うと
大きな段幕を降ろした。
その瞬間、ヨシムネの目の前には
ダリア城の広間に集まった国民達の姿が見えた。
そして盛大な拍手喝采で迎えられた。
ヨシムネはマイクを持ち国民の歓声に
手を上げて答えた。
ヨシムネ
「「ナーベルク帝国の者たちよ
今日は祝いの日だ。
皇子の誕生を心より嬉しく思う。
我が息子には
椿家の義の字と
この国に忠す心を持つよう
義忠と名付けた。
我等ナーベルク帝国は
この勢いに乗り
国土を拡大しつつ近隣諸国
そして世界にナーベルク帝国有りと
共に知らしめようではないか!!」」
N
ヨシムネがそういうと
帝国民は更に更に歓声で応えた。
ーー5年後ーー
椿ナーベルク 義忠5歳
ヨシタダの母であり
ヨシムネの側室であるアヤメが
突然の病で逝去する。
幼少期ヨシタダ
「お母様、、」
サクラ
「パシン!!
その名で私を呼ぶな!!汚らわしい!!!!」
幼少期ヨシタダ
「申し訳、、ありません、、サクラ様」
サクラ
「母が死んでも泣かぬのか?
気味の悪い子だよ。
二度とその名で呼ぶんじゃないよ!!」
幼少期ヨシタダ
「はい、、、」
N
しかしヨシタダは
毎晩、毎晩泣いていた。
幼少期ヨシタダ
「ウグッ、、お母様に、、
会いとうございます、、」
クリシャンテ
「ヨシタダ様、、
皇子たるもの人前で泣いてはなりませぬ。」
幼少期ヨシタダ
「分かって、、います、、
でも、、会いとうございます!!」
クリシャンテ
「会えませぬ。会えませぬが
このクリシャンテが
おそばに居ますゆえ安心して下さい。
ヨシタダ様」
N
アヤメが逝去した後も
ヨシムネはヨシタダを
たいそう可愛がっていた。
瓜二つの二人の顔は誰が見ても
ヨシムネの息子だということが
ハッキリ分かるほどよく似ており
自分に似ているヨシタダを
ヨシムネは溺愛していた。
幼少期ヨシタダ
「お父様!!
ヨシタダはこの国の皇帝となるのですか?」
ヨシムネ
「ぁあ。そうだ。
この国を導き、この国の顔となるのだ。」
幼少期ヨシタダ
「はい!!
お父様の様な偉大な皇帝に
ヨシタダはなりとうございます!!
どうすればなれるのですか?」
ヨシムネ
「そうか。そうか。良い子だ。
まず皇帝となるには
皆の見本とならなければならない。
規範と規律を守り
誰よりも正しいことをするのだ。」
幼少期ヨシタダ
「少し、、難しいです、、」
ヨシムネ
「そうだな、、じゃあ、、
神様の話をしてあげよう。」
幼少期ヨシタダ
「神様ですか?神様とは誰ですか?
鞘花と呼ばれる人たちのことですか?」
ヨシムネ
「鞘花を知っているのか
鞘花は神様ではない
神様の力を持つ強い人の事を言うのだ」
幼少期ヨシタダ
「神様の力を持つ強い人、、
カッコ良いです!!!
ヨシタダも鞘花になりとうございます!!
強くなってお父様のお近くでお父様を
守りとうございます!!」
ヨシムネ
「強くはなれる。
だがヨシタダは鞘花にはなれぬ。」
幼少期ヨシタダ
「何故ですか?」
ヨシムネ
「この国の鞘花は
私やヨシタダを守る役目があり
人にはそれぞれ役割りがある。
鞘花は人を守り
皇帝は国を導く。
ヨシタダは国を導かなければいけない。
だから鞘花にはなれぬ。」
幼少期ヨシタダ
「そうなのですね、、ではお父様
強い人と神様はどう違うのですか?」
ヨシムネ
「人は死んでしまうが
神様は姿形を変えて生き続ける。
死ぬことなど有りはせぬ。
そして何より神様は一番偉い。」
幼少期ヨシタダ
「一番偉いのは皇帝である
お父様ではないのですか?」
ヨシムネ
「少しだけ違っている。
さぁ。その話はまた今度にしよう
もう寝なさい。ヨシタダ。」
幼少期ヨシタダ
「はい!!わかりました!!
おやすみなさいませお父様!!」
ヨシムネ
「ぁあ。おやすみ。」
N
ヨシタダはそう言ってお辞儀をすると
最後にヨシムネの顔を見て言った。
幼少期ヨシタダ
「ヨシタダは鞘花には
なれませぬが鞘花のように
強い人になりお父様の様な立派な皇帝に
なりとうございます!!」
ヨシムネ
「頼もしい限りだ。
強くなれ。ヨシタダ」
幼少期ヨシタダ
「はい!!」
N
そしてヨシムネの部屋を後にした。
ーー3年後ーー
椿ナーベルク 義忠 8歳
帝国が沸き立つほどの大ニュースが舞い込む。
サクラ
「どうかしたのか?クリシャンテ」
クリシャンテ
「皇帝、、、本当ですか?」
ヨシムネ
「それが法というもの。
この先何があるか分からぬ
子同士に皇帝位を巡り
殺し合いをさせるわけには行かぬ。」
N
クリシャンテはしばらく間を開けると
ようやく口を開いた。
クリシャンテ
「おめでとう、、ございます。
サクラ様のご懐妊
心より祝福申し上げます。」
サクラ
「フフッフハッハッハッ
いらぬ!あの忌々しいガキなどいらぬ!」
N
正室であるサクラとの間に
男子が生まれると
側室の子であるヨシタダは皇帝を継ぐ事が
出来なくなってしまった。
優先されるのはあくまでも正室の子
ヨシタダは本家である椿家から
分家の鍔騎家へ行くことになった。
大好きだった父と離れることとなり
もう椿を名乗れなくなってしまった。
幼少期ヨシタダ
「お父上!!お父上!!
ヨシタダはお父上と
離れとうありませぬ!!!
このヨシタダが何かいたしましたか!?
お父上!!お父上!!」
サクラ
「黙れ!!皇帝に向かって
お父上とは何事じゃ!!!!
パシンッ」
幼少期ヨシタダ
「グッ、、、」
クリシャンテ
「皇后様!!!」
サクラ
「なんじゃ、、その生意気な目つきは!!」
N
ヨシタダはサクラを
キッと睨んでいた。
ヨシムネ
「やめろサクラ。まだ子供である。」
サクラ
「貴様の顔など見たくもないわ!!」
N
そう言うとサクラは
ヨシタダを突き飛ばし
部屋から出ていった。
ヨシムネ
「ヨシタダ。お前は今日から分家である
鍔騎家の者となる。
後継は二人といらぬ。」
幼少期ヨシタダ
「そんな、、、」
クリシャンテ
「さぁ、参りましょうヨシタダ様」
幼少期ヨシタダ
「行きとう有りませぬ!!」
クリシャンテ
「本家の椿家、分家の鍔騎家
そしてルシファンブルク家は
このナーベルク帝国を作った一族でございます。
鍔騎は剣となり
ルシファンブルクは盾となる。
ヨシタダ様はきっと皇帝に似て
素晴らしい戦士となりましょうぞ。
さぁ、、鍔騎家の者が待っています。」
N
そしてヨシムネはクルッと背を向けて
歩き出すとヨシタダは泣きながら叫んだ。
幼少期ヨシタダ
「お父上!!!!!!!!」
N
ヨシムネはその声に反応し一度足を止めた。
そして振り向きもせず
ヨシタダに向かって言った。
ヨシムネ
「強くなれ。義忠」
N
しかし、ヨシタダが鍔騎家へ養子に
出されてから半年後
鍔騎家の一族全員が暗殺されてしまった。
ヨシタダはいち早く
陰謀に気付いた家臣の手により
ルシファンブルク家へ匿われた為
命は助かった。
ーー3年後ーー
鍔騎ナーベルク 義忠 11歳
立派な鍔騎家当主として
先を見据えていた。
少年ヨシタダ
「クリシャンテ。
鍔騎家は惨殺され
屋敷も焼き払われ
一刃花隊隊長を除けば
残された者は避難した女、子供ばかり。
母は幼い頃に病死し
もはや顔すらも覚えておらぬ。
しかし、クリシャンテ
病ではなかった事だけは鮮明に覚えている。」
クリシャンテ
「ヨシタダ様、、
一体何を、、申すのですか?
どこでそんな事を、、、」
少年ヨシタダ
「お前だけが私をずっと支えてくれていた。」
クリシャンテ
「そんなことはございませぬ。
ジジ様やプラム様も
おそばにいてくれたでは有りませぬか」
少年ヨシタダ
「ぁあ。同い年だが
あの双子の事を弟や妹の様に思っている。
だが、私にとってお前は特別だクリシャンテ。
これからもよろしく頼みたい。
この先大きく時代が動くであろう。
有望で才能豊かな戦士が沢山出てくる。
その時、まだ未熟な私を支えてほしい。」
クリシャンテ
「もちろんです。ヨシタダ様。
そう言えば優秀な者が
すでに同世代で沢山いるそうですな。
バンジャマン家の次男様は
すでに刃術を
いくつか使えると聞いておりますし
マーティン家の長男様は
めっぽうケンカが強いとか
プラム様もジジ様も神童と
言われているほど卓越した頭脳と才能を
お持ちである。
ヨシタダ様の剣技も素晴らしいと
耳に聞いておりますぞ。」
少年ヨシタダ
「バンジャマンとマーティン、、、
二人とも話した事はないが
噂には聞いている。」
クリシャンテ
「才能豊かな世代でございます。
次代を担うでしょうな。
頼もしい限りです。」
少年ヨシタダ
「そうだな。
しかし私はその中でも頂点を目指す。
そして、いつか鞘花となり
この国の全てを正す。
そして、、」
クリシャンテ
「、、、どうかなさいましたか?」
N
すると、ヨシタダは深く沈んだ瞳で
クリシャンテをまっすぐ見て呟いた。
少年ヨシタダ
「義統を殺す。」
(完)
重い、、ひたすら重いです。
シーズン4は重い話しになるのは
決まっていたのですが
流石にツバキ可愛そうだな思いました。
でも描きたかったから良かった。
ちなみにおまけ挿絵 所要時間5分