劇情版Zinnia's Side Story 「The Something Just Like This」A part
千刃花!!2周年!!!
そして総選挙リナリア1位!!
ジニア、ソープワイト2位!!おめでとう!!
沢山のご応募ありがとうございました。
リナリア1位か!!驚きましたね笑
さて、今回は一年待たせたね!
ジニアのサイドストーリー!!
怪盗Z時代のお話!!
屈指の人気キャラだから
楽しみにしてた人沢山いるよね!!
でもね!描くの大変だった!!
緻密なスケジュールで笑
じゃあ読んでもらおうじゃあないか!!
では!楽しんで!!
アナ▶︎▶︎▶︎N
N
ここは9つの国が1つとなり
政治と民意で成り立つサルバドル共和国。
それぞれの役割を以下の様に分担しており
各セクターが供給し合っている。
政治セクター 第1地区
教育セクター 第2地区
文化セクター 第3地区
軍部セクター 第4地区
遊楽セクター 第5地区
工業セクター 第6地区
商業セクター 第7地区
農地セクター 第8地区
酪農セクター 第9地区
各セクターの境界線は鉄の壁で仕切られているが
行き来は自由である。
また、サルバドル共和国人は
有色人種と呼ばれ国民の多くは肌が黒く
屈強な肉体を持ち
様々な部族が入り混じっている。
その為か多様性と個を重んじており王を置かずに
各セクターの長と民意で国が成り立っている。
何よりその国土は横に広く
他国との脅威に晒されているが
ラミオラス、ナーベルク、
エルドーラ、アザジェノス
それぞれ4つの国と
和平協定を結ぶ唯一の中立国である。
貿易も盛んに行われており
各国の商品が買えるのも
サルバドル共和国の魅力の一つである。
そして、現在
文化セクターである第3地区にて
国立記念美術館 創立100年を記念し
ナーベルク帝国から国宝級の絵画
銀嶺 の少女を
取り寄せ展示する予定になっていた。
モンティ
「ハァ!!ハァ!!
目標までもう少しだ!!!
そうすりゃ天井裏から抜け出せる!!
中腰で!!走るのも!!これで最後だ!!
にしても... クンカクンカ
なんか焼き焦げた変なニオイがするな...」
ジニア
「ハァ!!ハァ!!
確かになんやこのニオイ...」
ふみ子
「ゼェ!!ゼェ!!腰イタッ!!
あたい!!走れない!!!」
ジニア
「来る前に飯食って来るからやろ!!!」
ふみ子
「ハァ!?日付け変わる前に食べなきゃ
太るって言ってんでしょ!!」
モンティ
「あのな...日付け変わる前じゃなくて
夕方以降食べない方が良いって
何回も言ってんだろうが!!」
ふみ子
「何よそれ!!
あたいに食べるなって言ってんの!?
殺す気!?」
ジニア
「0時前に食べて太らん訳ないやろ!!
大体!!晩飯食ったやないか!!!」
ふみ子
「え!?」
ジニア
「初耳みたいな顔すな!!」
モンティ
「ステーキ何枚食べたんだよ!」
ふみ子
「ステーキ!?そんなもん食べる訳ないでしょ!
豚ブロック5キロだから!!!」
ジニア
「豚ブロック!?しかも5キロて!!!
全部食べたんか!?」
ふみ子
「食べる訳ないでしょ!!!!
あんたバカにしてんの!?!?
こういう時の為に...ほら!!
ポッケに入れてんのよ!!食べる?」
ジニア
「誰が食うかい!!!
しもとけ!!!!」
モンティ
「お前かよ!!焦げたニオイさせてんの!!」
ふみ子
「ダイエットしてんの分かってんでしょ!?
分食してんのよ!!!」
モンティ
「ダイエットの意味調べてこい!!」
ふみ子
「はあ!?意味ぐらい知ってるわよ!!
ぶっ飛ばされたいの!?」
モンティ
「ちょっと待て!!ここの角を左だ!!」
ジニア
「OK一旦止まれ。
作戦通りに行くで。」
ふみ子
「ハァ...ハァ...本当にあるんでしょうね?」
モンティ
「下見に行ったろ!!」
ジニア
「ようさん居るとえぇな!!」
モンティ
「いるだろ!!
わざわざ犯行予告出してんだからな!!
なんの意味があんだよ!」
ジニア
「意味?そんなもん...
カッコイイからに決まっとるやろ!!」
ふみ子
「夢もロマンも無い男ね。
その敢えての手間に意義があんのよ!!」
モンティ
「へいへいへい。
分かった分かった。
好きにしろよもう。」
N
ジニア達は更に身をかがめて
床に寝そべると
天井の隙間から真下を見下ろした。
ジニア
「おーおーおー...わんさか居るやないかい!!
しっかし間近で見ると綺麗やなぁ銀嶺 の少女」
モンティ
「バカ!!声落とせよ!!」
ふみ子
「ひー ふー みー こー かー わー いー いー
ザッと8人はいるわね。」
モンティ
「どんな数え方だよ!
もっと居るよ!!」
ジニア
「うっさいやっちゃなぁ!!
ほんで、ソーサリーJ。...いけるやろな?」
モンティ
「当たり前だろ。準備万端だからな!
消灯まで残り5秒。4、3..」
ふみ子
「2、1...」
ジニア
「行くで...」
N
突然、バンッッと美術館全体の電源が全て落ちた。
すると警備が慌ただしく騒ぎ始め
警報が鳴り始める。
ジニア
「あっ。俺らも見えへんやん!!」
モンティ
「Fレディガールが赤外線スコープ持ってくるって
言ってたよな!?」
ふみ子
「怪盗Zが持ってくるって言ってたじゃない!」
ジニア
「俺?ゆーてへんゆーてへん!!!
ソーサリーJやろ?そういうのんは!!
どないすんねや!!!」
モンティ
「なんで俺なんだよ!!」
ふみ子
「ぐちぐち言ってないで無いものはない!!
行くよあんた達!」
ジニア
「真っ暗やんけ!!どうしろっちゅーねん!!
ったく!!用意しとけゆうたやろ!
この変態仮面付けとると余計見えへんのに...」
N
ジニアは渋々3人分のワイヤーを
シュルシュル下ろすと
銀嶺 の少女の真上にゆっくり降りていった。
すると、暗がりの中で
少しずつ目が慣れていったジニアは
必要以上に揺れるワイヤーに違和感を感じていた。
ジニア
「ちゃうちゃうちゃうちゃう!!!
な、な、な、何してんねん!!
それ俺のワイヤーやんけ!!!!
何で3本ワイヤー下ろしてんのに
俺のワイヤー1本で降りてんねん!!
チギれるやろ!!!」
N
そしてブチっとワイヤーが切れた。
モンティ・ふみ子
「え?」
N
その瞬間、3人は落下してしまった。
ジニア
「アホーーーーーー!!!!!」
N
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作者 REN’sJackson
劇情版
ー千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜ー
2nd Anniversary Special Edition
Zinnia's Side Story
【 The Something Just Like This 】 A part
※音楽がある場合鳴り止むまで待つ
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ジニア・モンティ・ふみ子
「アタタタタタ...」
N
すると砂塵が巻き上がりジニア達を包んだ。
ジニア・ふみ子・モンティ
「グッ!!」
ジニア
「な、なんやなんや!!」
N
すると紫色の髪の男が砂塵の中から
ユラッと出てきた。
ポルター
「初めましてやなぁ怪盗Z」
ジニア
「誰やねん!!って!!!!!げぇ!!」
N
ジニアは思わず声を上げてしまった。
明らかに動揺している様子が見てとれた。
ポルター
「〜帝国特務戦闘部隊〜千刃花
三刃花隊隊長ポルター。
俺のことは知らん...」
モンティ
「マジかよ...鞘花がなんでここに!!」
ポルター
「わけ無いか」
モンティ
「ナーベルクの" 砂漠霊"...だろ?」
ポルター
「光栄やな。ポルター" 砂漠霊"やろ?
ポルターとかけ過ぎてて好きやないねんその異名。」
モンティ
「どこからともなく
砂の様に現れる亡霊だろ?
俺はセンスあると思うぜ?」
ポルター
「ホンマか?
まぁぇえわ。俺を知っとるなら
逃げられんことくらい...分かるやろ?」
ふみ子
「暗闇でも分かるぐらいの超絶イケメン!!!
そうだ!!嫁に貰って!!!!!!」
モンティ
「マズイぞ怪盗Z!!
流石に鞘花は分が悪い!!」
ジニア
「しゃーないやろ!!!」
ポルター
「フフッ。噂には聞いとるで。
ナーベルクでもラミオラスでも
随分 派手にカマしてくれとるみたいやな。
今夜はそう簡単に行かんで」
N
するとジニアは突然
標準語で話しはじめた。
ジニア
「遂に俺らも千刃花が
相手してくれるようになったって事か!!」
ふみ子
「ん?怪盗Z?」
モンティ
「黙ってろ!!」
ポルター
「オモロい奴やわぁ。
この状況でよう言えるなぁ
銀嶺 の少女は渡さへん。
3人諸共、捕まえて終いにすんで」
ふみ子
「お願い!!結婚してあげるから
他の2人は肉なり焼くなりして!!」
モンティ
「どんな交渉してんだよ!!!
しかも"煮るなり"だろうが!!」
ふみ子
「ちょっと男子は黙ってて!!」
ポルター
「えらい騒がしいなぁ
実力は俺の耳までようさん届いとる。
せや。オモロい話しあるんやけど、どや?」
ジニア
「興味ねーし。」
ポルター
「千刃花に入らへんか?」
ジニア
「誰が入るかよ!!
国の為に働くなんてまっぴらごめんだっつーの!」
ポルター
「悪い話しやないと思うで?
千刃花って名前もかっこええやろ?
ヒーローになれるで?」
ふみ子
「確かにそうね。その代わり」
ポルター
「なんや?」
ふみ子
「結婚して!!!!」
ジニア
「アホか!!!」
モンティ
「やめろって格好つかねーだろーが!!」
ポルター
「プッ...ハッハッハッ!!!
オモロい奴らやな!!!
せやから話したい思ててん。」
モンティ
「なるほど...
通りでガバガバなセキュリティな訳だ。」
ポルター
「ガバガバ。か。んな訳あらへん。
予想通り、手順通りに誘き寄せたって訳や」
ジニア
「なんだと?」
ふみ子
「そうよ!!あたいは
超キツキツなんだからね!」
ジニア
「そっちじゃねーだろ!!」
モンティ
「クックック...なら、問題大あり。だな。
ガバガバの意味分かってねーんだからよ」
ポルター
「余裕やなぁ。」
ふみ子
「あたいはいつだってーー」
ジニア
「アホ!!バチン!」
ふみ子
「イタッ!!何すんのよ!!!!」
ポルター
「漫才はもうええよ。
さぁ、これからどないしよか。
千刃花隊士前じゃ
手も足も出ぇへんやろ?」
モンティ
「舐められてんなぁ」
ふみ子
「イケメンだからって
あたいらを見くびらないでよね!」
ポルター
「そうか。
どう逃げるか見ものやね。パチン」
ふみ子
「逃げる?結婚の間違いーー」
N
ポルターが指を鳴らすと
美術館全ての電源が付いた。
しかしジニア達はその場を動かなかった。
ポルター
「ん?逃げへんの?
かけっこ楽しも思てたのに。
残念やなぁ。
さすがに20人も居る中じゃ
逃げられへんか。
怪盗の名もこれまでやな。
千刃花に入るか
それとも一生臭い飯 食うか
好きな方ぉ選び。」
N
そう言ってポルターが
ジニアの肩に触れようとした瞬間
微かに電磁波の揺らぎを感じた。
ポルター
「なん...や...これ...」
N
ポルターは手を伸ばすも
スルッとジニアの肩をすり抜けた。
ポルター
「ホログラム!?!??!?刃術か!?」
ジニア・ふみ子・モンティ
「フハハハハッッ!!!!!」
N
すると、2階の踊り場から3人の声が聞こえた。
ポルターは目を向けると
3色のスポットライトがジニア達を照らした。
ポルター
「なんの真似や」
ジニア
「巻き起こす旋風!!
神出鬼没の大泥棒!!K .T Z!!
華麗に参上!!」
ふみ子
「 ブチュッ
ある時は美少女!!またある時は美女!!
電光石火の 圧倒的暴力 !!
F. L. G!!優雅に参上!!」
モンティ
「迸るパルス!!
この世の 機密警護なんて
俺にかかれば少数派 !!
疾風怒濤の天才ハッカー!!
S. C. Jこと俺参上!!」
N
3人はそれぞれポーズをバッチリ決めると
その脇にはしっかりと銀嶺 の少女が置いてあった。
ポルター
「何やと!?銀嶺 の少女!?
いつの間に!!!」
ジニア
「引っ掛かったな!!
とっくにそれも
ぜーんぶホログラムなんだぜ!?
ナッハッハッハッハッ!!!」
ふみ子
「ごめんね!ポルターきゅん!!!
またお姉さんとあ、そ、び、ましょ?」
モンティ
「言ったろ?セキュリティが
ガバガバってよ!!!!」
ジニア
「千刃花諸君!!!
銀嶺 の少女は
この怪盗Zがいただいた!!!!!!
わざわざナーベルク美術館から
持って来てもらってご苦労!!!
お陰で盗みやすくなったぜ!!!」
N
ジニアはカードをポルター目掛けて投げつけた。
ポルター
「グッ!!」
N
ポルターは犯行予告が書かれたカードを
バシッと掴むと
そこに書かれていた最後の文言を見た。
ポルター
「今夜もZが盗りに来る...怪盗Z。」
ジニア
「そう言う事だ!!さらば!!」
N
ジニア達は銀嶺 の少女を手に取って
走り去っていった。
ポルター
「何ボーッとしてんねん!!追わな!!
あの3人を逃したら給料抜きやぞ!!!
追わんかい!!!!!」
N
ポルターの掛け声で千刃花隊士達は
次々と刃術を繰り出し
ポルター自身も後を追っていった。
タンジー▶︎▶︎▶︎N
N
が、実際は逃げた方が
ホログラムであり
本物のジニア達はワイヤーから
降りて尻もちをついていた方だった。
ジニア
「ふぅーーー。しんどッッ!!」
モンティ
「変態仮面 発明した俺に
感謝する日が来たろ?」
ジニア
「せやな!!あとは名前のセンスだけやな!!」
モンティ
「うるせー!文句言うなら返せ!!」
ジニア
「やーだね!」
N
説明しよう!!
怪盗Zの変態仮面には
透VEMという機能が付いている。
それは2秒間だけ肉体と触れた物を
透過する事ができる装置である。
厳重に守られた箱の中の物や
どんなセキュリティでも透過すれば
突破する事ができる代物だ!!
モンティ
「ったくよぉ。
それより...どうした?ポルターが現れてから
なんか変だったぞ?」
ジニア
「そ、そうか?」
ふみ子
「ぁあーー!!ポルターきゅん
かっこよかったぁあ!!」
ジニア
「さぁ、銀嶺 の少女持って
ズラかるで!!!!!!」
ポルター▶︎▶︎▶︎N
N
一方、一部始終を遠くから
刃汽を抑えながら
見ていた2人組がいた。
パシェリハ
「ねぇ、見たかい?タンジー」
タンジー
「そうすっねぇ。
あれが銀嶺 の少女すか。
遠くからでも綺麗だって分かるもんすねぇー
ってか先越されちゃいましたよ?イデッ!!」
パシェリハ
「悠長な事言ってんじゃねぇよ!!」
タンジー
「す、すんません!!!」
N
パシェリハはタバコを口にくわえると
タンジーはすかさず火をつけた。
タンジー
「うっす!!」
パシェリハ
「ふぅーー。
せっかくサルバドル共和国に来たってのに
おめぇが腹痛くなるから
出遅れたじゃねぇかよ!!!」
タンジー
「イダッッ!!!
この国の水が合わなくて!!」
パシェリハ
「気合い足んねーんじゃねーの?
ヤキ入れてやろうか?あん??」
タンジー
「さーせんした!!!」
パシェリハ
「チッ...なんでこんなガキ
私が連れていかなきゃなんねぇんだよ。」
タンジー
「ロージア様の命令なんだから
仕方ないっすよ!!!」
パシェリハ
「ロージア様じゃねぇから。
ベロニカ様の命令だよ。」
タンジー
「ベロニカ様!?
会ったことあるんすか!?」
パシェリハ
「ベロニカ様はお忙しいお方だ。
会えるはずねーだろうが。」
タンジー
「そ、そうすよねー。
で、ねぇさん。どうしましょうか。」
パシェリハ
「覚えときなタンジー。
銀嶺 の少女は
純度100パーセントで出来た銀を画材として
使って描かれてんのよ。」
タンジー
「そ、それが妖精蜂の星屑すか!?」
パシェリハ
「そう。その価値があんたに分かるかい?」
タンジー
「興味ねぇーすね!!
銀より金の方が良くないすか?」
パシェリハ
「そりゃあそうだけどよ。
問題はそこじゃねーんだわ。」
タンジー
「え!?」
パシェリハ
「B級 魔獣生物 である妖精蜂が舞う度に落ちる粉が
妖精蜂の星屑。
だからそれを用いて作られた銀嶺 の少女は
別格に美しい。
そして私にこそ相応 しい。」
タンジー
「そ、そうすか。
ちなみに...ねぇさんは
妖精蜂見たことあるんすか!?
絵本の妖精っすよね!?!?
御伽噺すよ!?」
パシェリハ
「火のないところに煙は立たないもんよ。」
タンジー
「じゃあ...」
パシェリハ
「そう。妖精蜂は存在する。
そして、妖精蜂の星屑は脆く剥がれやすい。
怪盗Zがいた付近には必ず妖精蜂の星屑が落ちてるはず。
それを辿って行けば...逃げた方角は分かる。」
タンジー
「流石っす!ねぇさん!!!!
それを辿って銀嶺 の少女を
盗んじまおって魂胆っすねー!!
あの場にいたら
三刃花隊の隊長とも
ヤリ合うハメになってやしたから
結果オーライじゃねぇっすか!!!」
パシェリハ
「おいタンジー。
私が負けるとでも?」
タンジー
「ち、違うっすよ!!!
あんなと所で解放されたら
銀嶺 の少女もオダブツじゃないすか!!」
パシェリハ
「そんな事ポルターも分かってんだよ。
それにあくまでも、銀嶺 の少女は
鍵だからね。」
タンジー
「鍵?」
パシェリハ
「こぞって欲しがるには
それなりの理由があるもんさ。
千刃花も私らも怪盗Z達もね。」
タンジー
「ナーベルクの国宝級だからじゃないんすか?
だからサルバドルも特別に千刃花の護衛を
許したんじゃないすか?」
パシェリハ
「サルバドルねぇ。
あの九龍連が
ナーベルク特殊部隊の入国を許したとは驚きだよ。
私らと違って正式に。ね。」
タンジー
「千刃花隊士を護衛として
付けるのが
銀嶺 の少女を貸す条件なんじゃないすかね。」
N
九龍連 とは
正式名称を
サルバドル共和国軍 九族 龍装連合部隊
通称 九龍連
サルバドル共和国が世界に誇る特殊部隊である。
タンジー
「良かったっすよ。 九龍連まで出てくるんじゃ
たまったもんじゃないすから」
N
タンジーはそう言うとグッと背伸びをした。
タンジー
「ぁー。ねみっ。
三刃花隊が戻ってくる前に
俺らも行きましょうぜ。イダッッ」
パシェリハ
「私に命令すんなんて百万年早いんだよ!!」
タンジー
「すんませんした!」
パシェリハ
「さっさと銀嶺 の少女かっぱらって
ラミオラスに帰るよ。」
タンジー
「へい!!!」
N
ーージニアサイドーー
国立記念美術館から一夜明け
3人は潜伏先として選んだ遊楽セクター
第5地区にある汚いモーテルに泊まっていた。
ふみ子
「1万21!! 1万22!! 1万23!!」
N
ふみ子は日課であるスクワットをしていた。
ジニア
「おーおー元気やなぁ!!!」
ふみ子
「1万27!! 1万26!!」
N
ジニアはコーヒー片手に
テレビをつけた。
すると、昨晩の事件がニュースになっていた。
ジニア
「さっそくニュースになっとるやん!!
ほれ!見てみ!!ふみ子!!」
ふみ子
「1万30!! 1万31!!」
ジニア
「聞こえへんのか?おーい!!ふみ子!!
ニュースになっーーブヘッッ!!
な、何すんねん!!!!」
ふみ子
「うるっさいわねぇ!!
どこまで数えたか忘れちゃったじゃ無い!!」
N
ふみ子に殴られ吹き飛んだジニアは
頬を抑えながらふみ子を見た。
ジニア
「まだ16回ぐらいやったで!」
ふみ子
「え!?まだ16!?!?
嘘でしょ!?4時間かけて16!?!?」
ジニア
「せやでー。まだッッイッデッッ!!!!」
ふみ子
「んな訳ないだろうが!!!」
N
そしてそこにピザを片手に
モンティが帰ってきた。
モンティ
「飯買って...」
ジニア
「忘れたゆーから
どこまでやったか教えたってんねんぞ!!」
ふみ子
「4時間かけて16って
それほぼやってないじゃ無い!!」
ジニア
「じゃあどこまでやっててんか
覚えとるんですかぁー??
ほれ、言ってみ?ほれ!ほれ!!」
ふみ子
「そもそもあんたが話しかけるのが
悪いんじゃ無い!!!!!」
ジニア
「なんで話しかけたらアカンねん!!
忘れる方が悪いんじゃ!!このハゲ!!
まだまだ修行が足りませんなぁ!!」
ふみ子
「なるほどね。あたいが悪かった。
はい。仲直りの握手。」
ジニア
「な、なんや...妙に素直やなぁ...
ま、まぁ、ええか。分かればそれでよろーー」
ふみ子
「からの一本背負い!!!!!」
ジニア
「アギャァァァ!!!!」
ふみ子
「からの袈裟固め!!!
チェストォォォォ!!!!!!!」
ジニア
「オゴゴゴゴ!!!!!!!」
モンティ
「ハァ。朝からうるせぇ奴らだな
飯要らねーなら俺が食うぞぉー」
ジニア・ふみ子
「食べる!!!!」
N
ーー30分後ーー
モンティ
「ピザ4枚完食かよ...」
ジニア
「はぁーー食った食ったぁ」
ふみ子
「食べ過ぎちゃった...ゲップッッ」
モンティ
「そうだ!!
お前らに渡すもんがあったんだった。」
ジニア
「なんや?」
N
モンティはポケットから
三つのデジタル時計を取り出した。
ふみ子
「え?プレゼントにしては...ダイヤモンドが
散りばめられてないじゃないのよ!」
モンティ
「ちげーよ!!
これはなAssistant Navigation A.I
通称、ANAウォッチだ。
試作品だからちょっと試したくてな。
お前ら壊すなよ??
壊したら二度と作れないからな!!」
ふみ子
「ふり?」
モンティ
「本当にやめろ!?
もう部品も金もねーんだからな!!」
ジニア
「ただのナビならMangoroid で
充分やろ」
モンティ
「とりあえず着けてみろって」
N
そう言うとジニアとふみ子はそれぞれ利き腕とは
反対の腕にハメた。
モンティ
「俺に続いてくれ。
まずは時計をタップ。」
ジニア
「うぉ!!」
ふみ子
「光った!!」
モンティ
「よし、3人をペアリングする。
横のボタンを押してくれ。よし、そうだ。
次は顔認証の登録する。
じっと見つめて動くなよ...おしっ。
それで次はANAの音声を選ぶ。」
N
モンティがそう言うと
ANAウォッチから文字が飛び出た。
そこにはこう書いてあった。
1番 可愛い声
2番 カッコイイ声
3番 色っぽい声
4番 変な声
ジニア
「な、なんやこれ?必要か??」
ふみ子
「えー!ふみ子迷っちゃうぅー!」
モンティ
「遊び心は大切だろ?
さぁ、ジニア選んでくれ。」
※番号を選びその声に従って下さい
ジニア
「よし......決めたで!!!!○○番!!!」
N
すると、ANAウォッチから
機械音がピピピピッッと鳴り始めると
丸いロボットの映像が飛び出した。
間
アナ
「こんにちわ 怪盗Z
Fレディガール ソーサリーJ
僕は腕時計型 人工知能ナビゲーション ANA
よろしくお願いします」
ジニア
「ぇえ!!!なんやこれ!!!!!!」
ふみ子
「と、と、飛び出したぁ!!!!」
モンティ
「すげーだろ???
Mangoroid やPinphone だと
なかなか改造が難しいからな。
俺たちの居場所を把握するのに
アナさえいれば効率いいだろ?
こいつは最高のアシスタントになる。
世界中の情報をハッキング出来て
辞書も地図もいらないって訳だ。
アナと呼んでから用件を伝えるのが
コツだぞ。」
ジニア
「ほんまか?それ。」
モンティ
「試してみるといいさ。」
ジニア
「アナ Fレディガールの正体は?」
アナ
「ふみ子= 姫詩苑
元・上位 十士族
姫詩苑 家の現当主。
上位 十士族 廃止を機に
父が自殺し母も他界
道場に付いていたスポンサー達も引き上げ
更には多数いた門下生も見切りをつけた事により
生活は困窮する。
それでも戦争孤児である子供達の面倒を見ながら
道場を続けて来たが
土地の利権を金持ち達に奪われ
道場と家と土地を失う。
そんな中、更なる武を求めて山籠りをしている時に
ジニアと出会い現在に至る。
奪われた物を取り返す為に
Fレディガールとなって世界をまたにかけている。
以上さ!!」
モンティ
「そうだったの...ふみ子」
ジニア
「ふみ子...お前」
ふみ子
「ちょっと!!
父と母まだ生きてるんだけど!!」
アナ
「土地も家も道場も無いんじゃ
死んだも同然だね!!」
ふみ子
「今すぐぶっ壊してやろうか!?」
ジニア
「だ、大丈夫なんか?これ」
モンティ
「作ってる最中に愚痴ばかり言ってたら
ひねくれちゃったみたいでよぉ」
ジニア
「まぁええわ。アナも居ることやし
ちょうどええ。銀嶺 の少女について教えてもらおか」
N
そう言ってジニアは黒い布に包まれた
銀嶺 の少女を
大きなカバンの中から取り出すと
椅子に立てかけた。
アナ
「スキャンします。...スキャン完了
銀嶺 の少女 本物だね!!
6割妖精蜂の星屑を使って
銀色の景色を描いてるよこれ!!」
ジニア
「ほーん。分かんのはそれだけか?」
アナ
「ムムッッ。五百年前に誰かが描いたとされる
銀嶺 の少女は
B級 魔獣生物 妖精蜂から生み出される
純度100パーセントの銀
通称 妖精蜂の星屑を使って描かれた。
その景色は 銀ノ箱庭と呼ばれる
妖精蜂の世界をモチーフにしているんだよ。
全てが銀で出来た幻の都さ。
更には満月の夜
月明かりに照らされた銀嶺 の少女は
銀色に輝き妖精蜂達を呼び寄せる。」
ジニア
「そう言うことや」
ふみ子
「え?まさか...」
モンティ
「銀嶺 の少女を使って
妖精蜂を捕まえるってことか?」
ジニア
「半分正解で半分不正解。
アナ、妖精蜂はどんな 魔獣生物 か
教えてくれるか?」
アナ
「妖精蜂
B級 魔獣生物 で体長10センチ
時速300キロで飛行する人型 魔獣生物
突然現れては消えていく。
人間に捕まえる事は到底出来ないよ?」
ふみ子
「あたい小さい頃
はたき落とした記憶あるんだけど!!
ハエにしては大きいし銀色の鱗粉撒いてたから
妖精蜂かも!」
アナ
「僕言ったでしょ?人間にはって」
ふみ子
「モンティ!!!バグよこれ!!」
モンティ
「アナの言う事あながち間違ってねーだろ」
ふみ子
「どういう意味よ!!」
ジニア
「アナもゆーてたやろ?
時速300キロの飛行物体やぞ?
おいそれとは捕まえられへん。」
アナ
「もしかして怪盗Z
銀ノ箱庭に行く気かい!?」
ジニア
「正解や!!!」
モンティ・ふみ子
「ぇええ!!」
モンティ
「ちょ!ジニア!!幻の都なんだろ??」
ふみ子
「あんた最初からそのつもりだったの!?」
ジニア
「 銀ノ箱庭は確かに存在すると
俺は思うで。
よう考えてみぃ?いつも妖精蜂は
どこからともなく現れる。
街の中でも地下でも。
いつもその近くには
妖精蜂の星屑で作られたアクセサリーがあってん。
せやから妖精蜂は妖精蜂の星屑に
引き寄せられとるんやないかなーってな」
ふみ子
「引き寄せられてるって
じゃぁどこから来るのよ?」
ジニア
「それを調べるのに
盗み出したんやろ?
んで、まだ目的はある!!
アナ!!妖精蜂の上位 魔獣生物 は何か分かるか?」
アナ
「女王妖精蜂
A級 魔獣生物
妖精蜂を従える金色の妖精蜂。
体長50センチで時速1500キロで飛行し
純度100パーセントの金粉を生み出す事ができる。
その女王妖精蜂の星屑と呼ばれる金粉の価値は計り知れない。
一攫千金も夢じゃ無いね!」
ジニア
「そう言うこっちゃ。ええか!!
今回のミッションは終わってへん!!
銀ノ箱庭へ行って
女王妖精蜂の星屑を手に入れる事や!」
ふみ子
「金銀財宝ザックザクじゃないの!!」
モンティ
「てっきりいつもみたいに
金持ちに売りつけて
私腹を肥すのかと思ったぜ」
ジニア
「ひ、人聞き悪い事言うな!!
俺には待っとる小さい子供らがおんねん!!」
ふみ子
「名乗りもせずに寄付だけしちゃってさぁ!!
このカッコつけマン!!!」
ジニア
「汚い金で飯食うとるって
分かったら嫌やろ。
子供達にはそんなん関係あらへんからな。
知っとるやろ?
奴隷制度が廃止されてからも
差別は変われへんかったんやぞ
その後の生活は戦争孤児よりヒドイもんやった。
だから俺が助けなあかんねん。
どんな手を使ってもな。」
N
ジニアの言葉に一同は静まり返った。
ジニア
「さ!辛気臭い話になってもーたな!!
ええか!!満月は今日やぞ!!」
ふみ子
「そうね。どこで銀嶺 の少女に
月明かり浴びせるのか決まってんの?」
モンティ
「第3地区の時計塔がいいんじゃねぇか?
1番高いし街ハズれだから
あまり人も来ねーしな。」
ジニア
「そやな!!!アナ!!
月明かりが1番眩しい時間は何時なん?」
アナ
「サルバドル共和国では午後9時がピークさ!」
ジニア
「おし!!決まりやな!!
じゃあ次の仕事の支度すんでぇ!!!
5分後に外で待ち合わせな!」
ふみ子
「あたい化粧なおしてくる!!」
N
そう言ってジニアは
モーテルの外へ
ふみ子は化粧室へと行った。
モンティ
「はぁーー。いつにも増して
なんか神妙だったな。
ポルターとなんかあったのか?
ってアナに聞いても分かる訳ねーか。」
アナ
「元奴隷って所は一緒だね!!」
モンティ
「ふーん。元奴隷ねぇ...ん?
ジニアが元...奴隷?」
アナ▶︎▶︎▶︎N
N
ーーパシェリハサイドーー
探せど探せど銀嶺 の少女は見つからず
2人は遊楽セクター第5地区にある
グルメタウンにて
サルバドル共和国のご飯を食べていた。
タンジー
「石トカゲのスライス美味いっすね!!
ねぇさんも食べます!?!?」
パシェリハ
「いらねーよ!そんなゲテモノ!!」
タンジー
「そんな事言わずに1匹どうすか?」
パシェリハ
「いらねーって言ってんだろ!
気色わりぃから見せんな!!」
タンジー
「なかなかうまいんすけどねー!!!
それで?ねぇさんが食べてるのは...」
パシェリハ
「エビコオロギの煮付けだよ。うめーぞ。」
タンジー
「うぇーーーーー。
そっちの方がゲテモノじゃないすか!!!」
パシェリハ
「そっちよりマシだろ!!!!」
タンジー
「ねぇさん。変わんないっす。」
パシェリハ
「ハァ。さっさと食べちまいな。
別部隊が動いてるっつーのに
飯食ってんのバレたらドヤされんだろ?」
タンジー
「でもグルメタウン行くって言ったの
ねぇさんすよ?」
パシェリハ
「バカじゃねーの。
腹が減ったら飯食いに来るだろ?」
タンジー
「流石はねぇさん!!!」
N
すると巨大な刃汽が
やってくるのを感じた。
パシェリハ
「タンジー...この刃汽。」
タンジー
「ねぇさん...あれは」
ポルター
「なんやぁサルバドル共和国のグルメ
楽しも思ててんけど
ほとんど満杯やないか。」
N
パシェリハ達は刃汽を抑えて
少し離れた所でポルターを見ていた。
タンジー
「ナーベルクの隊服着たまま来るなんて
度胸ありますね。」
パシェリハ
「変な奴に絡まれるよかマシだろ。
ここはスリも多いからね。」
ポルター
「どっか空いて無いやろか。」
N
するとガラガラと屋台を引いた矢鱈うるさい
男達がやって来た。
ジニア
「美味しい美味しい♪
タコの抜き焼き♪
タコ抜き焼きはいかがすかぁ♪」
ふみ子
「子宝、厄除け、交通安全
万能料理のタコ抜き焼き!!」
モンティ
「今のは全部嘘でーす。
普通のタコ抜き焼きでーす。」
ふみ子
「ちょっと!!!
身内が営業妨害してどうすんのよ!!」
モンティ
「そんな効果どこにもないだろ!!」
ジニア
「やかましい2人も骨抜きタコ抜き
いかがすかぁーーー!
食べな損やで!!タコ抜き焼きぃぃ!!!」
パシェリハ
「なんなのあれ。
タコ抜き焼きなんて聞いたことねぇーんだけど
ウケる。」
タンジー
「食べてみたいっすね!!!
行きましょうよ!!!」
パシェリハ
「大人しくしてな!!」
タンジー
「大丈夫っすよぉー
俺らは知ってても
向こうは絶対知らねぇーっすから!!!
入隊して間もないすからね!俺たち!!」
パシェリハ
「そういう問題じゃねーんだよ」
N
するとジニア達は屋台を止めて
のぼりを立てた。
ジニア
「ナーベルク南部!!庶民の味!!
タコ抜き焼きやで!!!」
ポルター
「タコ抜き焼きやと?
ケチくさい商売しとるやん。」
ジニア
「へい!!いらっしゃーーー」
ポルター
「お!?ジニアやんけ!!!」
ジニア
「ポ、ポ、ポルター!?!?」
ふみ子
「お客さん?ウチはイケメン以外...
イケメン!!!!!!」
モンティ
「...知り合いか?」
パシェリハ
「なんだ?
おい、タンジー見てみろ...タンジー!?」
タンジー
「タコ抜き焼きなんて珍しいっすねぇ!!」
N
パシェリハが止める間も無く
タンジーは屋台の席に付いていた。
タンジー
「一個くれよー!!!」
ふみ子
「お客さんうちはイケメン以外
立ち入りーー」
モンティ
「バカバカバカバカ!!!
いらっしゃい!!一つでいいですか?」
パシェリハ
「あの...バカ!!!」
ポルター
「久しぶりやないか!!!
元気してたんか!?」
ジニア
「そ、そやな!!何年ぶりやろか!!」
ポルター
「ガキん頃以来やなぁ
なんでサルバドル共和国におるん?」
ジニア
「まさかここで会うと思わへんかったな!!」
ポルター
「何の因果やねん。サブイボやばいなぁ!!」
ジニア
「ま、まさか。ここでって感じやな!!
俺はなぁ旅しながら店構えよ思てんねん!!
世界中回ってんねんで?」
ポルター
「料理屋やっとるとは以外やな!!
にしてもタコ抜き焼きは無いわぁ」
ジニア
「食うてみ??
タコ無いぶん安いやろ?
8個入り300バドル!!」
※日本円にして300円
ポルター
「嘘やん!!めっさ安いやないか!!!」
ジニア
「せやろ?
な!食うてみ!!
今なら500バドルでええで!!」
ポルター
「上がっとるやないか!!」
ジニア
「言い値で買わんかい!!」
ポルター
「何でやねん!!」
ふみ子
「あたいなら一晩300バドル!!」
モンティ
「お前は水さすな!!」
ふみ子
「何?あたいと300回バトルしたいの?」
N
ふみ子とモンティをよそに
ポルターは久々の再会を喜んでいた。
ポルター
「なんや楽しそうやな。
せやかて冒涜にならへん?これ」
ジニア
「まぁまぁまぁ食うてみ食うてみ。
ほら、ふみ子何してんねん!!
タコ抜き焼き一個や!
ネギ増し増しにしたってな!!」
パシェリハ
「お兄さん私にも1つちょうだい。」
タンジー
「ねぇさん!!??」
パシェリハ
「黙んねーとぶっ殺すぞ」
タンジー
「へ、へい」
モンティ
「いらっしゃい!!
2人ともサルバドル人じゃないねぇ!!」
パシェリハ
「まぁな。」
タンジー
「そうなんすよ!!実は俺たーーイデッ」
パシェリハ
「新婚旅行で来てんだよ」
モンティ
「そうなんだねぇ!
サービスしてやるよ!!」
ふみ子
「どうもぉ〜
ここの看板娘 兼 用心棒のふみ子ですぅ
よろしくぅうう!!!!」
N
ふみ子はそう言うと
ポルターに水とホカホカのタコ抜き焼きを出した。
ポルター
「よ、用心棒?
看板娘にも違和感あんねんけど用心棒て
情報量多すぎやろ」
ジニア
「気にせんといて!!
こいつ妄想癖があんねん。」
タンジー
「すんません!俺にも水くれよ!!」
ふみ子
「ツバでも飲んでな!!!」
タンジー
「そんな!?」
モンティ
「すんませーん!!
コイツ昨日5万6千回目の失恋して
気が立ってるんですよ。
幸せそうな人見ると...ついね。
肩の傷が疼くみたいで
許してやってくださいねぇ。はい、水
奥さんも水どうぞ。」
タンジー
「5万!?!?」
パシェリハ
「肩の傷!?何があったんだよ」
ふみ子
「モンティ!!何言ってんのよ!!」
モンティ
「アホか!!お客さんなんだから
ちゃんと接客しろよ!!!!」
ふみ子
「す、すみませんねぇ
爪でエグられちゃって...」
パシェリハ
「爪で!?相手はクマかなんかか!?」
ポルター
「お!!美味いやん!!」
ジニア
「せやろせやろ?
もっと言ったって!!!」
ポルター
「美味いやん!!天才やな!!!」
ジニア
「ほ、ほんで何しに来てん
サルバドル共和国まで」
ポルター
「どや!この隊服!!カッコええやろ?」
N
ポルターは隊服のエリをビシッと持って
ジニアに見せつけた。
ジニア
「そやなぁ。夢叶えたんか。」
ポルター
「そやねん。ヒーローになったで。
おまけに隊長やぞ?
凄すぎてかなわんやろ?な?」
ジニア
「そやなぁ。ほんま凄いわ。」
ポルター
「俺は世界を変えよ思てんねん。」
ジニア
「何ゆーてんねん。変えられるやろ。
変えられるだけの能力があるやないか。」
ポルター
「世界は広いんやで。まだまだや俺なんて」
N
するとパシェリハはポルターを 睨 んだ。
パシェリハ
「自分に酔ってんじゃねーよ。」
ポルター
「酔わなやってられんやろ?」
タンジー
「いや、これ美味いな!!もう一個!」
パシェリハ
「ナーベルク人はいつもそうなんだよ。
常に人を見下してる。
自分がまるで世界の覇者の様にね。
鞘保有国はナーベルクが圧倒的だけど
鞘だけが兵器じゃねぇーんだよ軍人さん。」
ポルター
「なんや?まるでラミオラス人みたいなこと
ゆーてはるなぁ。
鞘は兵器やない。
意思のある神の刃やで?」
パシェリハ
「鞘花がもたらした被害は甚大。
その血塗られた刃に
神の意思があるのかよ。
神ってのは残酷だねぇ随分 と。」
ふみ子
「ちょっとあんたなんなの??
さっきから!!
ポルターきゅん困ってるじゃない!!!」
ジニア
「お前なんのつもりやねん」
タンジー
「もう一個頼もうかな...」
モンティ
「まぁまぁまぁ熱くなりなさんなって!!」
パシェリハ
「あんたらナーベルク人だろ。
ナーベルク人は仲間意識が強いからねぇ
反吐が出る。せいぜい傷でも舐め合ってな。」
ジニア
「なんやと!?」
ポルター
「その傲慢さ...いかにもラミオラス人やなぁ。
クサくてたまらんわぁ。卑怯者のニオイが
プンプンするで?」
パシェリハ
「なんだと?今ここでぶっ殺してやろうか?」
タンジー
「ね、ねぇさん?」
パシェリハ
「大体なんで私らがラミオーーーー」
N
するとパシェリハのPinphone が鳴り響く。
パシェリハ
「チッ」
N
Pinphone のメールを確認すると
パシェリハは席を立った。
パシェリハ
「行くよ。タンジー。帰る」
タンジー
「へ、へい!!!!」
ポルター
「喧嘩売っといて帰るんか?」
パシェリハ
「喧嘩の続きはいつか買ってやるよ。
三刃花隊隊長
いや、ポルター" 砂漠霊"」
ポルター
「俺を知って喧嘩を売る...か。
オモロいなぁ。
天王空軍ウラノース 五大星・ 第五星
パシェリハ=マジョルテ」
ジニア・ふみ子・モンティ
「何!?」
パシェリハ
「そのクソみたいな顔
次見たら殺す。」
N
そう言ってパシェリハとタンジーは
フッと消えてしまった。
ジニア
「あ!!金!!!!」
ポルター
「フフッ。やられたなジニア!!」
ジニア
「あの連れ何個食うたん!?」
ふみ子
「6個だから48個は食べてたわね!!!」
ジニア
「くそぉお!!!!
絶対回収したろ!!!!!」
ポルター
「サルバドル共和国でも
無銭飲食は罪やからなぁ。
まぁしかし、なんでここにおったんやろな」
モンティ
「追いかけなくていいのか?」
ポルター
「ここで暴れられたら
サルバドル共和国に迷惑かかるやろ?
殺すなら隠密にやらんとな。知らんけど」
ジニア
「立場上ええんか?」
ポルター
「うーーーん。
微妙なとこやな!!」
ジニア
「能天気やなぁ」
ポルター
「お前がゆーのも笑ろけてくるわ!!
そや、もう行かなあかんねん。
これ、渡しとくわ。」
N
ポルターはそう言うと
連絡先と金をモンティに渡した。
ポルター
「寂しそうな顔すな。
また会えるで。」
ジニア
「はぁ!?そんな顔しとらんわ!!」
ふみ子
「ポルターきゅん!!また会える!?」
ポルター
「お、おう」
モンティ
「ポルター。金のゼロが2つ多いんだが」
ポルター
「いらんわ。
これでも隊長やぞ?
金だけは死ぬほどあんねん。
出店祝いや!!もろとき。」
ジニア
「なんやそれ。いらんわ!!」
ポルター
「兄貴からの気持ちやぞ?
恥かかすなアホ。」
N
そう言ってポルターは
砂に包まれて消えていった。
モンティ
「兄貴!?!?」
ふみ子
「これからはあたいの事
お姉さんって呼んで!!!!」
ジニア
「誰が兄貴じゃアホ。」
ポルター▶︎▶︎▶︎N
N
するとジニア達のANAウォッチに
一通のメールが入った。
アナ
「銀嶺 の少女が盗まれた!!
盗まれたよ!!!!!!!」
ジニア
「なんやと!?!?」
アナ
「椅子に立てかけたままだったからだよ!!」
モンティ
「やべぇーー!!!仕舞い忘れた!!」
ふみ子
「何してんのよ!!!!」
ジニア
「そんな事はええ!!!
映像映せるか!?!?」
アナ
「むりだよ!!
モーテルの部屋にはカメラはないから!!」
ふみ子
「モーテルの外は!?!?」
アナ
「今やってみる!!」
モンティ
「待て待て待て待て!!
銀嶺 の少女に発信機は付けてある
それを追った方が早い!!」
ふみ子
「そんな用心深い事すんなら
ちゃんと仕舞っときなさいよ!!!!」
ジニア
「あかん!今何時や!!アナ!!」
アナ
「午後8時前だよ!!」
ジニア
「あと1時間しかないやんけ!!」
モンティ
「とりあえず店畳んで
追っかけるぞ!!!!
アナ!!今銀嶺 の少女はどこにある?」
アナ
「街ハズレのヤーレスの丘だよ!!」
ジニア
「考えんのは同じかい!!
時計塔の近くやんけ!!!!」
N
ーーパシェリハサイドーー
文化セクターの街ハズレ
ヤーレスの丘を駆け上がる2人
パシェリハ
「怪盗Zもバカじゃねぇーの?
モーテルに普通に置いとくなんてさ。」
タンジー
「そうすっねぇ!!
ってか...追っ手だるく無いすか?」
N
2人は千刃花隊士達から追われていた。
パシェリハ
「別動隊は全滅しちまったし。
時計塔着くまでにぶっ殺すしかないね。
タンジー!!銀嶺 の少女よこしな。
後ろのバカ共をぶっ殺してくるんだよ!」
タンジー
「へい!!」
N
タンジーは銀嶺 の少女を渡すと
踵を返して
千刃花隊士に突っ込んでいった。
タンジー
「こんなん!!余裕っすよお!!!!」
『『咲け•肉芽 !!』』
アナ/機械音 兼任
ーー声紋認証 完了ーー
ーーー対鞘花特殊魔装兵器ーーー
ーーー起動しますーーー
タンジー
『『潰せ・鉄頭鉄尾!!』』
タンジー
「ウォォオラァアッ!!!!」
N
タンジーの背中から
ガチャガチャと音を立てて
鎖に繋がれた5メートルほどの巨大な鉄球が
召喚されると千刃花隊士達を
次々と押し潰していった。
タンジー
「逃げんなよ!!!
この鎖はどこまでも伸びて
お前らを追うんだから...よ!!!」
N
千刃花隊士達の刃術も虚しく弾かれ
ヤーレスの丘が血に染まっていった。
パシェリハ
「ほら、遊んでねーで行くぞ!!!」
タンジー
「へい!!!」
パシェリハ
「モタモタしてると9時になっちまうよ!!」
N
猛スピードで駆け抜けていく2人は
鉄頭鉄尾に乗って
時計塔の前まで一気に移動した。
モンティ
「アイツら...ちょっとヤバくね?」
アナ
「あの2人はラミオラス帝国兵みたいだね!」
ジニア
「みたいだねって昼間の新婚さんやないかい。
ってかガッツリ人殺しとるやんけ!!」
ふみ子
「あたいらも行かないとまずいんじゃない?」
モンティ
「どう見ても行った方がまずいだろうーよ!!」
ジニア
「しかもなんなん!?あの武器!!
ヤバない!?!?!?」
アナ
「対鞘花特殊魔装兵器。
ただの殺人兵器らしいよ!!」
ジニア
「どんなテンションでゆーてんの!?」
ふみ子
「ほら!!行くわよ!!!」
ジニア
「頼もしすぎるやろ!!!」
ふみ子
「仕方ないじゃない?
拳が沸るだけよ!!!」
モンティ
「死にに行くよーなもんじゃねぇかよ!!」
ふみ子
「心配しないでよ!
あたいにはあたいが付いてる!!」
ジニア
「頭イっちゃってんの!?!?」
モンティ
「ジニア...諦めた方がいい。
奴らはヤバすぎるって!!」
アナ
「これを逃したら
銀嶺 の少女を手に入れられる確率
0パーセントだよ!!
無駄な努力だったね!!」
ジニア
「なんや?腹立つ時計やな!!
電源切ってまうぞ!!」
ふみ子
「あっ!!」
モンティ
「バカバカバカバカ!!
声おっきいんだよ!!!!!」
ジニア
「バレたらどないすんねん!!!」
アナ
「満月まであと20分だよ!」
ジニア
「ウソやろ!?!?」
ふみ子
「ほら!見てあれ!!」
アナ▶︎▶︎▶︎N
パシェリハ
「やっぱいるよねぇー。」
タンジー
「おいコラ!!ドケよ雑魚が!!」
N
時計塔の前に立ちはだかっていたのは
ポルターだった。
ポルター
「さっきぶりやね。」
パシェリハ
「そのクソみたいな顔
次見たら殺す。って私言ったよね?
覚悟出来てんの?」
タンジー
「おう!おう!兄ちゃんよぉ!
俺らとヤるってのかい??」
ポルター
「覚悟?フフッ笑ろてまうわぁ。
こんだけ部下殺されて
まさか敵に覚悟問われると思わんやろ。」
タンジー
「何だと!?!?」
ポルター
「こっちの台詞やで...
覚悟。出来とるんやろな?
生きて帰さへんぞ。」
N
強烈な刃汽を放つポルターは
パシェリハとタンジーに
殺意を込めた冷たい目で 睨 んでいた。
パシェリハ
「やっちまいな!!!!!」
タンジー
「へい!!!」
ジニア
「ちょっと待ったぁああ!!!!」
パシェリハ・タンジー・ポルター
「ッッ!?!?」
N
一同が振り向くと月明かりに照らされ
ジニア達のシルエットが浮かび上がった。
タンジー
「木の上か!!!」
ジニア・ふみ子・モンティ
「トウッッ!!!!」
ジニア
「ぁあ!!風が泣く!!
誰かが俺を呼んでいる!!」
パシェリハ
「誰だお前ら!!!」
ジニア
「巻き起こす旋風!!
神出鬼没の大泥棒!!K .T Z!!
華麗に参上!!」
ふみ子
「人生山あり谷間あり!!
拳が斬り裂く夜の蝶!!!」
ポルター
「蛾やろ」
ふみ子
「 ブチュッ
ある時は美少女!!またある時は美女!!
電光石火の 圧倒的暴力 !!
F. L. G!!優雅に参上!!」
モンティ
「安月給!!遅寝早起き社畜の所業!!」
タンジー
「なんて会社なんだ!!」
モンティ
「迸るパルス!!
この世の 機密警護なんて
俺にかかれば少数派 !!
疾風怒濤の天才ハッカー!!
S. C. Jこと俺参上!!」
アナ
「ANAもいるよー!!」
ポルター
「...怪盗Z」
モンティ
「返してもらうぜ
銀嶺 の少女!!!」
ふみ子
「迎えに来たわよポルターきゅん!!」
ジニア
「金返せぇええ!!!!!!」
ふみ子
「え!?そっち!?!?」
モンティ
「バ、バカ!!」
パシェリハ▶︎▶︎▶︎N
N
----------------------------
作者 REN’sJackson
ー千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜ー
2nd Anniversary Special Edition
Zinnia's Side Story
【 The Something Just Like This 】 Aパート(完)
※音楽がある場合鳴り止むまで待つ
----------------------------
N
おまけ
配役変更一覧
----------------------------
アナ▶︎▶︎▶︎ヤマホ伯爵夫人
ふみ子▶︎▶︎▶︎ユズリハ
パシェリハ▶︎▶︎▶︎フローラ
タンジー▶︎▶︎▶︎ジバリ伯爵
モンティ▶︎▶︎▶︎N
----------------------------
N
時は大きく遡る。
サルバドル共和国には
表には決して出ないセクターが存在していた。
それは地下労働場
正式名称は労働セクター第10地区。
地上では様々な機械や技術が発展しているが
裏では奴隷による労働が国の経済を支えていた。
各国から戦争孤児や有能な子供を
人身売買や誘拐で奴隷を増やし続け
労働セクター第10地区に押し込め働かせていた。
ジバリ伯爵
「ようこそ!!サラザール家へ!!!
君達は今日から私の家の奴隷だ!!
思春期を迎えた働き盛りの君達は
幸せ者だね!!!
奴隷船での旅は楽しめたかな?」
N
奴隷船から降ろされた後
少年と少女は首輪に鎖をつけられ
目隠しを取られると
目の前にはシルクハットを被った男と
ドレスで着飾ったふくよかな女と少女
首輪に繋がれた青年が立っていた。
ジニア
「グッ...なんやここ」
フローラ
「ここ...どこなの?」
N
ジバリは2人の反応もよそに
新たな奴隷に向かって話し続けた。
ジバリ伯爵
「お前達はこれから第10地区で
労働を強いられる。
私は第10地区を仕切る31人の1人
ジバリ=サラザール伯爵だ。
奴隷を扱えるのは貴族の特権でね。
労働以外でも使える奴隷は
3人までと決まっているんだ。
ここにいるポルター、そしてジニア、フローラ
お前達は特別に第10地区と
工業セクター第6地区にある我が家を
行き来出来る様になっているんだよ。」
N
すると隣に居た
ふくよかな女が口を開いた。
ヤマホ伯爵夫人
「ホッホッホッ!!!
汚い豚ね!!!消毒するザマス!!
可愛いユズリハちゃんまで
汚れてしまいそうよ!!」
ユズリハ
「ユズリハ臭いの嫌い」
ヤマホ伯爵夫人
「そうよねぇー!!
ここは臭いザマス!!
何ででしょう!!!
あら??豚がいるからだわ!!
ホッホッホッ!!!」
ジバリ伯爵
「息を吸うのを思わずためらってしまうね!」
N
するとジニアはサラザール一家を
キッと 睨 んだ。
ジニア
「息吸わんとそのまま死んでまえ。」
ヤマホ伯爵夫人
「見た目も汚ければ口も汚いザマスね!!」
ジバリ伯爵
「ジニア。」
ジニア
「何やねーーーガハッッ」
フローラ
「ッッ!!」
N
ジバリ伯爵はジニアを蹴り飛ばした。
鎖がジャラジャラと音を立てて
ジニアは壁にぶつかった。
ジバリ伯爵
「私はお前を買った。
お前は私の所有物だ。
所有物は所持者に口答えなどしない。」
ジニア
「ゴホッゴホッゴホッ」
フローラ
「...ジニア」
ユズリハ
「嫌だ。咳してる。汚い」
ヤマホ伯爵夫人
「汚いザマスね!!お口塞いで
消毒しましょうねぇ」
N
ジバリは蓄えたヒゲをイジりながら
不気味な笑みを浮かべると叫んだ。
ジバリ伯爵
「ポルター!!!
コイツらに仕事を教えてやれ!!!」
ポルター
「はい。」
ヤマホ伯爵夫人
「しっかり教えないと...分かってるわよね?」
ポルター
「はい。ヤマホ伯爵夫人」
ヤマホ伯爵夫人
「本当顔が良いザマス。
ブスな弟で嫌気がさしても
殺したりしたらダメザマスよ?」
N
ポルターがコクっと頷くと
少年と少女の手を引いた。
ジニア
「触んな!!このハゲ!!何が弟やねん!!」
ヤマホ伯爵夫人
「お兄ちゃんの言う事聞くザマス!!」
ポルター
「行かなあかん。」
ジニア
「触るなゆーとるやろ!!!!」
ヤマホ伯爵夫人
「まぁ!!生意気ザマスね!!
しかもナーベルクの南部 訛りじゃない!!」
ジバリ伯爵
「仕方ないだろ?
ナーベルク南部の人間は
口は悪いがよく働く。
だからわざわざイサンカ出身の奴隷を
買ったんだ。ポルターがそうだろ?
よく働くじゃないか。」
ヤマホ伯爵夫人
「まぁ!優しいのねあなた!!
ポルターの事も考えて買ったザマスね!!」
ジバリ伯爵
「安かったからね。
イサンカの人間は物分かりが良くていい。
金さえ積めば我が子でさえも
売ってくれるからね。」
N
その言葉を聞いたジニアは
ただただ 俯 くだけだった。
ヤマホ伯爵夫人
「それで?この小娘は??」
ユズリハ
「なんか嫌。この女。」
ジバリ伯爵
「見た目がいいだろ?
白い肌に細い髪...グフフフッ
ほら、喋るんだフローラ」
フローラ
「あ...あの...家に返して下さーー」
ジバリ伯爵
「テメェの家は!!!
ここ!!!なんだよ!!!」
フローラ
「アガッッッ」
ジニア
「何してんねん!!
まだ子供やぞ!!!!」
ヤマホ伯爵夫人
「うるさいガキ!!汚らわしいザマス!!」
ジニア・フローラ
「ウグッッ!!アガッ!!ガハッッ!!」
N
腹を殴られ蹴飛ばされ続けるフローラとジニア
しかし、ポルターはジッと眺めているだけだった。
フローラ
「ご、ごめんなさい。
ゴホッゴホッゴホッ」
ジバリ伯爵
「爪。」
フローラ
「え?」
ジバリ伯爵
「爪を寄越せと言っているんだ。」
フローラ
「そ、そんな...」
ジニア
「グッ...なんやと?」
ジバリ伯爵
「私は爪を寄越せと言っている。」
ヤマホ伯爵夫人
「ホッホッホッ!!!
いい事?一つ逆らえば爪一つ
罪を犯せば指一つ。
使えなくなれば犬のエサにするだけザマス。
理解出来たかしら?だから爪を寄越しなさい。
特にジバリは女の子に厳しいザマスから」
N
するとフローラは泣きながら懇願した。
フローラ
「ご、ごめんなさい!!
もうしませんから!!!許してください!!
お願いします!!お願いします!!」
ジバリ伯爵
「うるさい!!!!!!」
フローラ
「やめっーーーーー
イヤァァア!!!!!」
N
ジバリはフローラの腕を掴んで
爪をベリッと剥がそうとした。
ジニア
「やめろぉおお!!!!!」
N
しかしジニアがその手を掴んで
自分の爪を歯で2枚剥がした。
ジニア
「ウガッッッ!!!!!!!!」
ジバリ伯爵
「なんの真似かね?」
ジニア
「グッッッ」
ヤマホ伯爵夫人
「なんて野蛮ザマス...」
ジニア
「ハァ...ハァ...これでえぇやろ?
爪...2枚やぞ。」
フローラ
「そ、そんな...」
ポルター
「嘘...やろ...」
ジバリ伯爵
「ヤマホ!!見たか?
何とたくましい子だろうか!!!」
ヤマホ伯爵夫人
「期待できるザマス!!!」
ユズリハ
「ただのイキがりよ。
もう行きましょ。パパ、ママ」
ジバリ伯爵
「ポルター。面倒を見てやれ。
あと、奴隷船のニオイがひどい
風呂に入れてこい。」
ポルター
「はい。」
N
サラザール家
サルバドル共和国切っての富豪である。
奴隷を使い自身の工場を拡大し富を築いた。
サルバドル共和国の奴隷制度には風習があり
自分の家の奴隷と言うことを証明し誇示する為に
飼い主の姓をミドルネームとして登録する。
一度登録されればその名は消える事がなく
他国に行ったとしても成人し改名手続きを行うまで
一生奴隷としての烙印を押される事になる。
ポルターもジニアもフローラも
例外なくサラザールの名が刻まれていた。
ーー数日後ーー
フローラ
「ごめんね。私の為に。まだ痛む?」
ジニア
「お前こそ痛むやろ?
あの後何回も殴られたんやからな」
フローラ
「ううん。私は大丈夫。」
ジニア
「嘘ぬかせ。」
ポルター
「何もゆーたらあかん。
ひたすらゆー事聞いたらええ。」
ジニア
「腰抜け」
ポルター
「何やと?」
N
3人は第10地区行きの列車の中で
手錠をかけられたまま話していた。
基本、奴隷は移動する時に
手錠をハメなければならないという決まりがあった。
ジニア
「腰抜けが。何も出来ん臆病者が」
ポルター
「噛み付くしか能がない犬やんけ。
賢く生きなアカンくらい分からへんの?」
フローラ
「やめて。同じ故郷なんだから
仲良くしようよ。」
ジニア
「ちゃうし。」
フローラ
「え?」
ポルター
「ジニアはナーベルク南部にあるイサンカの西
カサオって所で
俺は東のトーヨキ。品があるか無いかの差やで」
ジニア
「ようゆーわ。
トーヨキは嫌味ったらしくて有名やからな」
ポルター
「な?品が無いやろ?」
ジニア
「何やと?」
フローラ
「私にはちょっと分からないなぁ。
同じに聞こえるけど」
ポルター
「ガサツやろ?見てみぃ口は悪い頭も悪い
おまけに治安も悪ぅて救いようが無いねん。」
ジニア
「ゆーとけドアホ。話しかけんな。」
N
すると、列車が停車した。
ポルター
「着いたで。早よ降り。」
ジニア
「なんでやねん。」
ポルター
「腕切り落とされるで。」
フローラ
「は、早く降りよ!!」
N
ここは労働セクター第10地区
ランプの灯りと酸素の薄い地下の労働場。
炭鉱からネジまで様々な物を作り出し
地上へと出荷される。
ジニア達は手錠を解かれ首輪についた鎖を
引っ張られながら労働場所へと向かっていった。
ジニア
「なんや邪魔くさいな!!この首輪!!
外したろかな!!」
ポルター
「やめとけ。爆発すんで。」
フローラ
「え!?そうなの?」
ポルター
「当たり前やん。
奴隷が簡単に逃げ出せたら赤字やろ」
フローラ
「じゃ...じゃあどうすればいいの?」
ポルター
「ゆーたやろ。
何もゆーたらあかん。
ひたすらゆー事聞いたらええって」
ジニア
「一生ここに居なアカンやん。」
ポルター
「仕方ないやろ。死んでもーたら意味ないやん。
後、外に出てもサラザール家の名は
俺らの戸籍に刻まれとる。
一生背負って生きなあかんねん。」
ジニア
「こんなん外したらええやん」
ポルター
「出来たらとっくにしとるわ。
名前だって戸籍に登録されてまう。
逃げられへんのや」
ジニア
「名前なんてどうでもええやろ。」
ポルター
「何やと?」
ジニア
「でもな...」
N
するとジニアは何かを考えていた。
フローラ
「どうしたの?」
ジニア
「俺とポルターは機械製造の担当やろ?」
ポルター
「一応な」
ジニア
「俺がちょっとずつ機械製造から部品盗んで
この首輪解除したる。」
ポルター
「アホ抜かせ」
ジニア
「こう見えても手先は器用なんやで?」
N
それからジニア達は
毎晩、毎晩死ぬ気で働いた。
来る日も来る日も少ない飯に
18時間労働。
帰ってくれば檻に入れられ
理不尽な理由で罰せられる。
それでもジニア達は懸命に働いていた。
ポルター
「ん?ジニア。ネジ落ちたで。」
N
ポルターはジニアが落としたネジを拾い
作業台に置いた。
しかし、ジニアは夢中になっており
ポルターの言葉は聞こえなかった。
ポルター
「...シカトかい。
拾ってもろてお礼も言えへんの?」
間
ポルター
「もうええわ。」
ジニア
「ここの...ネジは...ここで
いや、アカン。そもそもこの設計に
無理あんねんて。
こっちのがええやろ。」
N
労働セクター第10地区にある
工業セクターラインでは
ベルトコンベアから運ばれてくる部品を
流れ作業の様に素早く組み立て
仕上げるという工程を繰り返していた。
ポルター
「何してんねん。」
ジニア
「こっちの配列組み替えたら
もっと早く出来んねんて。」
ポルター
「言われた事やったらええねん。
余計な事すな。
お前言う事聞けへんのか?」
ジニア
「難儀なやっちゃなぁ。真面目か。
見てみ?ここをな...こうしてーーー」
ポルター
「ええ加減にせぇ。
伯爵に報告されたらどないすんねん!!」
ジニア
「せやからゆーとるやろ!?」
N
すると近くにいた見張り役が
ジニアをムチで叩いた。
ジニア
「グアッッッ!!!!」
ポルター
「ジニア!!!」
N
ポルターはすぐに駆け寄り
身体を張ってジニアに覆い被さった。
ポルター
「すんません!!すんません!!
まだコイツよう分からんくて!!!」
ジニア
「ポルター!!何してんねん!!」
ポルター
「黙っとれ!!
すんません!!すんません!!」
N
見張り役はジニアを庇うポルターを
ジニアの代わりに何度も何度もムチで叩いた。
ポルター
「グアッ!!ウグッ!!ガァッッ!!
す、すんません!!すんません!!」
N
ポルターの背中の服は破け
血が滲み、皮フが裂けていた。
ジニア
「ポルター!!!」
ポルター
「黙っとれゆーとるやろ!!!
グアッ!!ウガッ!!!!
すんません!!すんません!!」
N
見張り役は気が済んだのか
ポルターにツバを吐きかけてその場を去った。
ポルター
「グッ」
ジニア
「ポルター...何で...」
ポルター
「お前が...追放されたら...
この首輪...どないすんねん...」
ジニア
「血が...」
ポルター
「早よ...戻らな...」
ジニア
「ありがとう」
ポルター
「フフッ。お礼...言えるやんけ」
N
そしてこの事件をキッカケに
ジニアとポルターは仲良くなっていった。
ジニア
「行くでポルター!!」
ポルター
「今日は怒られへん様にしとかな!!」
ジニア
「わーとるっちゅーねん!!」
フローラ
「最近仲良しだねー。」
ジニア
「どこがやねん!!」
フローラ
「前よりよく話してるイメージあるよ?」
ポルター
「コイツが勝手に話しとるだけやで?」
フローラ
「そうなの!?」
ジニア
「んなわけないやろ!!!」
N
ーーそして数ヶ月後ーー
真夜中の叫び声でジニア達は起きた。
ジニア
「何や!!今の声!!」
ポルター
「この声は...ユズリハ!!!」
ジニア
「ユズリハ!?あんなんどうでもえぇやろ!
ん?そう言えば...フローラもいーひんやん!!」
N
フローラは時折
ヤマホがいない夜に
ジバリに呼びつけられ朝まで帰って来ない事があったが
ポルターの口から出たユズリハの名前に驚きを隠せなかった。
すると、地下室の扉がギギーッと開き
血だらけになったフローラとユズリハが
ジニア達のいる檻に押し込まれた。
ジニア
「フローラ!!」
フローラ・ユズリハ
「ガハッッ」
ジバリ伯爵
「私の命令に背くなど!!!
この生意気な女共が!!!」
N
そう言ってジバリは扉をガンッと閉めた。
ポルター
「ユズリハ!!!」
ユズリハ
「グッ...ポルター...私...無理だったよ」
ジニア
「フローラ!!何があったんや!」
フローラ
「...もう...耐えられないよ」
ポルター
「ユズリハはサラザール家の子やない。
俺たちと同じ奴隷や。」
ジニア
「何やと!?」
ポルター
「波風立てへん様にゆーこと聞いとっただけやぞ。
サラザール夫妻に子供は出来へんかった。
せやからユズリハを子供に見立てて
家族ごっこしてたって事や。
せやのに...ジニアは毎度毎度ジバリを怒らせてからに!!
ジバリの機嫌を損ねたらこの2人が
夜どんな目に遭うてるか知らんやろ!!」
ジニア
「...ホンマか?フローラ...ユズリハ...」
N
すると、フローラは服を脱ぎ始めた。
ジニア
「ちょ!!何してんねん!!」
ポルター
「やめろ!!フローラ!!」
ユズリハ
「フローラ!!」
フローラ
「いいよ。」
N
フローラは服を脱ぎ捨てると
一同は驚愕した。
その身体はピアスだらけで
血が滲んでいたからだ。
ポルター
「フローラ...」
ユズリハ
「もう...やめてよ。」
ジニア
「もう...ええから。」
N
ジニアはそっとフローラに服を着せると
額の血を拭った。
ジニア
「ユズリハ...お前もか?」
ユズリハ
「私は...」
ポルター
「えぇやろ。やめたれジニア。
男は肉体労働、女は慰み者。
それが奴隷の基本や。」
ジニア
「金持ちはクソやな。
逃げるで。この国から。」
ユズリハ・フローラ
「え?」
ポルター
「俺とジニアはこの数ヶ月
ずっと準備してきたんや」
ユズリハ
「そうなの??」
フローラ
「じゃぁ...」
ジニア
「せや、部品はもう揃った。」
ポルター
「あとはその日程だけやな」
ユズリハ
「もう...怖い思いしなくていいんだね。」
ポルター
「そや。よう頑張ったな。」
ユズリハ
「...うん。」
フローラ
「帰れるの?」
ポルター
「帰したる。」
ジニア
「ジャジャーン。
ジニア特製 変換帯域拍車機器 変帯伯爵や!!」
フローラ
「へ、変態伯爵!?」
ジニア
「ちゃうわ!!変帯伯爵や!!」
ポルター
「変わらんやんけ!!」
ジニア
「やかましい!!
そんなんどーでもええわ!!
とにかく、この首輪は音の帯域で
ロックをかけとるのが分かった。
せやけど、普通に暮らしてる中じゃ
高音帯域なんかそこら辺に無いやろ?
だから外れる事は無かったんやけど
ジニア様の変帯伯爵は
普通の帯域の高音域をブーストさせる。
今からでも外せるで!!!!」
フローラ
「すごい!!すごいよジニア!!」
ジニア
「ちなみに、ここのカギも!!ほれ!!」
N
ジニアは檻のカギをガチャガチャといじると
扉がガチャッと開いた。
フローラ
「これで私達ーーーーー」
N
ドーンッとフローラの首輪が爆発した。
ポルター・ジニア・ユズリハ
「...え?」
N
さっきまでフローラだったモノは
ただの肉塊になった。
ジニア
「フローラァァァァァァア!!!」
ヤマホ伯爵夫人
「ホッホッホ!!!
生意気で!!淫乱な小娘!!!!」
ポルター
「ヤマホ!!!!!!!」
ヤマホ伯爵夫人
「な!?扉がなぜ!!!」
N
怒りに満ちたポルターは
檻の扉を蹴飛ばしてヤマホに襲いかかった。が。
ヤマホ伯爵夫人
「いいザマスか?
ユズリハの首も同じ事になるザマスよ?」
N
そう言って人数分の起爆スイッチを
ジャラジャラと見せつけた。
ジニア
「相変わらずやな!!ヤマホ!!
可愛がってんとちゃうんか!!!!」
ヤマホ伯爵夫人
「可愛がる...ねぇ?ジバリ?」
N
ヤマホがそう言うと
首輪をしたジバリがヨロヨロと入ってきた。
ポルター
「ど...言う事やねん」
ユズリハ
「...どう言う事?」
ジニア
「お前ら頭おかしいんか。」
ジバリ伯爵
「す、すまない...ヤマホ様...私は...私は!!」
ヤマホ伯爵夫人
「調子に乗るなザマス!!!
お前の夫としての役目は終わったザマス!!!!」
ジバリ伯爵
「そ、そんな!!
どうか!!お許しを!!!」
ヤマホ伯爵夫人
「私がいない所で好き放題やるなんて
愛への裏切り!!!!!!
私を愛するという役目を全う出来ないなら
用済みザマス。」
ジバリ伯爵
「やめっ!!!お許しを!!!
ヤマホ様!!どうーーー」
N
ドーンッとジバリの首が吹き飛んだ。
ヤマホ伯爵夫人
「さぁて。ポルター
私はお前を息子の様に可愛がって来たザマス
その精液まみれの小便娘の代わりに
私の本当の息子になるザマス」
ユズリハ
「そ、そんな!!私は!!ママーー」
ヤマホ伯爵夫人
「うるさい」
ユズリハ
「やめーーーー」
N
そして、ユズリハの首が吹き飛んだ。
ジニア
「ユズリハァァァァァァア!!」
ヤマホ伯爵夫人
「ぁあ汚いわね。
ジニア。掃除するザマス。」
ポルター
「ユズリハ...」
ヤマホ伯爵夫人
「さぁて。ポルター?
私の息子になるザマーーー」
ポルター
「ヤマホ伯爵夫人!!!!
私はあなたの息子になります!!」
ジニア
「正気か!?ポルター!!」
N
するとヤマホは大きな腕を広げて
ポルターを抱きしめた。
ヤマホ伯爵夫人
「なんて可愛い子なの!!!!
これでこそ!!私の息子ザマス!!」
ポルター
「私こそ嬉しいです。」
ヤマホ伯爵夫人
「見た目も性格もいいザマス!!!
思い切って夫の役目をポルターにーーー」
N
カチッと首輪を嵌める音がした。
ヤマホ伯爵夫人
「え」
ジニア
「これなーんや。」
ヤマホ伯爵夫人
「なんで首輪が外れてるザマス...」
N
その瞬間、ポルターはヤマホ伯爵夫人の腕を折った。
ヤマホ伯爵夫人
「アギャァァァ!!!!!」
N
ポルターはヤマホ伯爵夫人の指から
起爆スイッチを奪った。
ポルター
「汚い手で触らんといて。」
ヤマホ伯爵夫人
「ポルター...ポルターちゃん?
良い子だからそのスイッチをーー」
ポルター
「くだらん家族ごっこもこれで終いや」
N
その瞬間。
カチッと
起爆スイッチを押した。
ヤマホ伯爵夫人
「イヤァァァァァァア!!!」
N
ふくよかな身体は風船の様に破裂し
血の雨を降らせた。
ジニア
「ポルター...」
ポルター
「これで...終いや」
N
ポルターはユズリハの身体を
ギュッと抱きしめた。
ポルター
「ごめんなぁ...ユズリハ
一緒にここ出る約束したのに...」
N
そこでジニアは全てを悟った。
ポルターはユズリハを守る為に
逆らわずにいた事を。
ジニア
「いったんここ出るで。
フローラもユズリハも連れて行かれへん。
バレるのも時間の問題やろ。」
N
しかしポルターは動かなかった。
ジニア
「ええ加減にし。
戻らんもんは戻らんて」
N
それでも動かなかった。
ジニア
「ハァ。先行くで」
ポルター
「待たんかい。」
ジニア
「何や?」
ポルター
「工業セクター 第6地区からは
国外に出られへんぞ。
せやから商業セクター 第7地区に行かなアカン。
そこなら4カ国全ての食材や物品が集まる。
ナーベルク帰るんやったら
ナーベルクの商人の貨物用魔進に乗らなアカン。
忍び込むんやったら1人じゃ無理やぞ。
そもそもどこ行くつもりなん?」
ジニア
「何や?急に行く気ぃになったんか?
俺はカサオに帰らへん。
どうせ帰った所で俺を売った親しか居らんからな。
ルシファンブルク行って金稼ぐわぁ。
んで稼いだ金ばら撒いて
俺みたいに売られる子ぉ助けたる。
全ては金やぞ!!!金があれば幸せになれる。
いや、なれる確率が上がんねん。」
ポルター
「そうか。金かぁ。」
N
ポルターはゆっくりと立ち上がって血を拭った。
ジニア
「もうえぇんか?」
ポルター
「ぁあ。」
N
その後、2人は奴隷用の服を脱ぎ捨て
ジバリの服に着替え
早朝の列車で工業セクター 第7地区へと向かった。
ジニア
「ナーベルクの魔進はどれや!!」
ポルター
「あったで!!
俺が気引いたるから乗り込め!!」
ジニア
「サンキュー!!」
ポルター
「あ!!!泥棒!!!!
積荷が持ってかれた!!!」
N
その声を聞いたナーベルクの商人は
指差した方角へと走っていった。
そしてその隙に2人は
隣で走り出したルシファンブルク行きの
巨大貨物魔進の荷台に乗り込んだ。
ポルター
「ふぅーー。やったな。」
ジニア
「余裕やったな...
ほんで、ポルターはどうする気ぃや?」
ポルター
「俺か?俺はナーベルクの軍人になろ思てん。」
ジニア
「ハァ!?」
ポルター
「そんな驚く事ちゃうやろ。」
ジニア
「な、何でなろ思てん」
ポルター
「カッコええやん。
死ぬ気で頑張ったら
千刃花ゆうヒーローになれるんやぞ?」
ジニア
「しょーもな。
何やねんヒーローなんてダサいわ。」
ポルター
「ヒーローになったら
変えられる気せぇへんか?」
ジニア
「何がやねん。」
ポルター
「この世界を」
ジニア
「世界??アホか
簡単に変わらへんやろ。」
ポルター
「変えられへん思たら
一生変えられへん。
それに、護りたいもんを護れる力が欲しい。」
ジニア
「フローラと...ユズリハの事か?」
ポルター
「そやな...護りたくても護れへんかった時
もう後悔したくないからな。
なぁジニア!!鞘花って知っとるやろ?」
ジニア
「な、何やねん急に」
ポルター
「千刃花に選ばれて
隊長ゆーもんになったら
鞘花になれるんやで!!」
ジニア
「へ、へぇ」
ポルター
「そん中でも 金色木乃伊が
カッコええねん!!」
ジニア
「砂の鞘神...やったっけ?
いっちゃんダッサイやつやん!!!」
ポルター
「アホか!!護りに関しては
最強なんやで!!!!!!」
ジニア
「もっとえぇのあるやろ。炎とか雷とか風とか
俺やったら絶対選ばんわぁー」
ポルター
「何ゆーてんねん。選ぶんちゃうで。
選ばれたもんが鞘花になるんやで」
ジニア
「どーでもえぇわ。」
ポルター
「そや、ジニア。
俺もお前もサラザールの名前ミドルネームになってんねん。
どないする気ぃや?」
ジニア
「俺は変えへん。
戒めみたいでええやろ?」
ポルター
「ホンマか?
サラザール家の奴隷って分かるもんには分かんねんで?」
ジニア
「よう考えてみ?
サラザール家は途絶えたやろ?
俺が終わらしたみたいでカッコええやんけ!!」
ポルター
「俺もおるやんけ。」
ジニア
「お前は名乗ったらアカン!!
カッコつかへんやんけ!!」
ポルター
「なんやそれ。
まぁ初めっから名乗る気ないけどな。
サラザールっていかにも悪そうやん。
ヒーローに相応 しくないやろ?
成人すれば手続き出来るやろし
そん時、速攻変えたるわ。」
ジニア
「ヒーローに相応 しくない。かぁ。
そやな、お前はヒーローで
俺は大泥棒にでもなるか!!
楽に稼げそうやし!!!」
ポルター
「フフッ。ほんなら
そん時俺がジニアを捕まえたるわ。」
ジニア
「何ゆーてんねん。今日も見たやろ?
俺は捕まらへん。天才やからな!!」
ポルター
「好きにゆーとけアホ。 ん?」
N
するとポルターが突然、荷台の隙間から外を眺めた。
ポルター
「ジニア!!見てみ!!」
ジニア
「何や?」
ポルター
「もう国境を越えたで!!!
ここはナーベルクや!!!!」
ジニア
「ほんまか!?」
ポルター
「ほんまやぞ!!」
ジニア
「 スゥーーー
二度と来るか!!こんな国!!!!!」
ポルター
「 スゥーーー
二度と来ーへんわ!!!こんな国!!」
ジニア・ポルター
「プッ...プハハハハハハ!!!!」
N
荷台が揺れる
故郷へ誘なう風が吹く
1度別れたその道も
ぐるっと回れば再び交わる
まるで歯車の様に
まるで運命の様に
全ては運命の終末の輪が...儘に...
ジニアは奴隷だったのさ。。。
そして、書ききれなかったのさ。
冒険はまだまだ続く!!!!!笑
また来月会おうザマス!!!
ホッホッホ!!!!