ルシファンブルク強襲編
読んでくれようと(笑)してくれて
ありがとう。
初めて書く僕の処女作です。
厨二病が爆発してる作品なので
超能力バトルが大好きな人には
気に入ってもらえる思います。
思わず声に出したくなるような技名を
意識して考えてるので
声に出して読んでくれたら
格好良さは倍増です。
また、声劇の題材としても
利用してもいいので
台本としても是非使ってください。
僕が、10年くらいずっとあたためて来た
この世界を
是非楽しんで下さい。
2020/1/22
ブックマークと
沢山のご来場ありがとうございます。
とても励みになっていて
もっと頑張ろうと思いました!!

作者 REN’sJackson
千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜
ルシファンブルク強襲編
N
ここはナーベルク帝国
華々しい街並みと樹海の要塞に囲まれた
帝都"ルシファンブルク"
そこから少し離れた樹海で
右往左往と逃げる男が一人
ゲイジュ
「はぁ …はぁっ…はぁ
うわああ!!!
また、花がぁあ!」
N
悲痛な叫びが こだまする
アナスタシア
「あら?
もう逃げるのはお終いかし…らっっ!」
ゲイジュ
「アァアッツ!」
N
体を見えない何かに押し潰され
息も絶え絶えにキッと
ゲイジュはアナスタシアを睨んだ
アナスタシア
『剋刃 四十六•閻魔縄々』
「これで貴方はもう逃げられない」
N
大地から漆黒の鎖が無数に召喚され
ゲイジュに絡みつき這いつくばる様に
大地に縛り付けられた。
ゲイジュ
「くそッ!!離せ!離せ!!」
アナスタシア
「力を失った貴方に出来ることはもうないの。
せめてもの慈悲よ。
潔く死になさい。」
N
そういうとアナスタシアは自分の胸に手を当て
静かに口上を唱えた。
すると空間が歪み周りの木々が次々と
まるで鉄の塊が降ってきたように
押しつぶされていった。
アナスタシア
『『天輪•咆哮 鉄の錫杖
一手•二手と神の御手 強奪•脈拍 •朽ちる御心
天地を仰ぎ 地に堕ち逆巻け!!!!』』
『『黒雨 烈刃•黒雛』』
N
真黒な刀身が
鈍く輝き重々しい気を放っていた。
ゲイジュ
「ハハッ…なんでだ…
なんでなんだよ!!友達だろ?
僕らは友達だったろう?
答えろ!!アナスタシア!!」
アナスタシア
「今、自分で言ったじゃない」
ゲイジュ
「…、何を」
アナスタシア
「友達だった って」
ゲイジュ
「…地獄に堕ちやがれ」
アナスタシア
「堕ちるのは貴方よ……ゲイジュ」
N
そしてアナスタシアはズズズズズッと
刃を振り下ろした。
間
アナスタシア
「戻りなさい 黒雛」
N
ゲイジュがいたであろう場所には
地獄まで続いているかのような
底の見えない深い穴が出来ていた。
アナスタシアはしばらくその場所を
見つめた後 寂しげに空を見上げる
アナスタシア
「ホント…バカな子」
N
時は遡り数時間前
城内は警告音と
兵士たちの呻き声で
溢れかえっていた。
上空からは飛行戦闘魔進
地上からは陸上戦闘魔進に攻められていた。
この緊急時、任務で離れている
隊長達を除き城内にいた隊長達は
作戦本部に緊急招集されていた。
リナリア
「ちょっと!レンゲイ!
アンタ!!分かってんの??
破壊しても破壊しても
効かない魔進を相手にしてんのよ!??
この緊急時に呼び出してといて
その意味が!!
それがどういう意味かって
分かってんの!?」
レンゲイ
「分かってますよ!!!
分かってるから言ってるんです!!
僕の隊も表で命がけで戦ってるんです!
その上で言っているんですよ!
スゴウ平野の戦いから始まり
ニヘルダム合同作戦も全て…
全て罠だったんですよ!!!」
リナリア
「嘘言わないで!!」
アキレイ
「リナリア!!」
リナリア
「兄さん…」
アキレイ
「取り乱すな。
それに、いくらお前の方が
先輩だからといって
レンゲイは鞘を継承した
立派な鞘花であり
今は隊長でも在るんだ。
もっと敬意を払え。いいな?」
リナリア
「はい。すみません」
アキレイ
「レンゲイ
うちの副隊長が失礼な態度を
取ってしまった。すまない。」
レンゲイ
「いえ、大丈夫です。
それよりもっ」
アキレイ
「ぁあ。
レンゲイの報告が本当なら
全て辻褄が合う。
スゴウ平野の伏兵も
ニヘルダム合同作戦の失敗も
全て…全てな!!」
レンゲイ
「僕はこの目で見ました。。
アナスタシアさんが…
アナスタシアさんが…」
ゲイジュ
「レンゲイ隊長!!
アナスタシアがいません!!!」
レンゲイ
「やっぱり…ですね!
アキレイさん!!
すぐに追わないと!!
ゲイジュさん!!リナリアさん!!
追いますね」
アキレイ
「待て!!!!」
N
リナリアとゲイジュとレンゲイの3人は
アキレイの言葉に足を止めた。
アキレイ
「落ち着け。
俺たちは帝国特務戦闘部隊"千刃花"
勝手な行動は出来ん。
それにもし、仮に裏切者が隊長だとしたら
なおの事、勝手に動いてはいけない。
オルケイディアをはじめ他の華四百花も
千刃花の他の隊長格が
全員 揃ってもいないこの状況下で
無闇に動くのはよすんだ。
リナリア!!他の部隊状況はどうなってる?」
リナリア
「はい!
別任務の一刃花隊
三刃花隊
四刃花隊
八刃花隊
城外で戦っている七、五、六と
隊長格不在の二刃花隊
緊急招集で集まった隊長格は
七刃花隊副隊長ゲイジュ
五刃花隊隊長レンゲイ
六刃花隊隊長の兄さん
そして副隊長の私…だけ」
ゲイジュ
「悠長な事を!
アナスタシアが我々を裏切ったんだ!
すぐにでも追わないと!」
リナリア
「アナスタシアさんが裏切るわけないわ!
アナスタシアさんは誰よりも
鞘花としての誇りを持ってた!!
覚えてるでしょ!?兄さん!!
私たち鞘花は
世界の為に刀を振るう。
心に在るこの刀は
己の為に決して振るってはいけない
全ては守る為の力だ って
みんなに教えてくれたのは
アナスタシアさんだよ!?」
アキレイ
「リナリア…」
ゲイジュ
「アキレイ隊長だって
分かってるさ。
分かってるからこそだよ。
俺たちで隊長を止めるんだ」
レンゲイ
「アキレイさん
ここずっとアナスタシアさんは
様子がおかしかった。
コソコソと動き回っていました。」
アキレイ
「それは俺も感じていた。
いや、違和感というべきか。
任務以外は研究室にこもりっぱなしだった。」
リナリア
「ゲイジュ…アンタ
アナスタシアさんの様子は
どうだったの?」
ゲイジュ
「話してみると特に普段通りだった。
ただ、たまに俺に隊を預けて単独行動を
していたがそれは鞘花としての
修練かと思ってたんだ。
昔はよく一緒に稽古をしていたしね。
でも、ニヘルダム合同作戦のとき
五刃花隊と
迎えた2日目の夜
レンゲイ隊長から話を聞いた。」
間
ゲイジュ
「ラミオラス帝国とアナスタシア隊長…いや…
アナスタシアが会っていたって。」
レンゲイ
「だから僕はその日の夜
それを逆手に取って
五刃花隊だけで
かんこう令をしいて
独自に動く作戦を立てました。
もちろんゲイジュ副隊長や
七刃花隊の
皆さんには内密にして悪いと思いましたが。」
アキレイ
「そして、それも失敗したと。」
リナリア
「なぜかしら…それもバレていた。
かんこう令はあくまでも口約束
五刃花隊の中にも
裏切者がいた…」
レンゲイ
「それはないです。」
アキレイ
「なぜ言える」
レンゲイ
「僕の能力を使ったからです。」
リナリア
「どういう事?」
レンゲイ
「まず、当初の作戦を1と考え次の作戦を2と
その次の作戦を3としました。
隊士には2と3を伝え3を決行すると
伝えて、かんこう令を出しました。
ですが僕の隊士には複数の種を
あらかじめ持たせてあります。
まず咲かせたのは青いバラ。
この青いバラは近年、花言葉が
不可能から夢を叶えるに変更されました。
故に、青いバラの持つ暗号は変更。
そして次に咲かせたのは わすれな草。
花言葉は私を忘れないで。
故に、2番目に咲かせた私を忘れないで
という暗号になります。
僕は、この暗号を隊に
3の作戦決行中に送りました。
だから実際に五刃花隊が
遂行したのは2の作戦だったんです。」
アキレイ
「五刃花隊特有の暗号か。
直前ならともかく決行中であるなら
漏れるのは考えづらっ
グッ!!なん…だと!?」
N
辺り一面に土煙が舞う
陸上戦闘魔進70体が
作戦本部を襲ってきたのである。
アキレイ
「くっ…これほどまでに…散れ!!!」
レンゲイ・リナリア・ゲイジュ
「了解!!」
敵
「ギギギギッギギッギギッ」
アキレイ
「貴様ら…
城のどこから沸いたゴキブリか知らんが…
消し炭にしてくれる」
N
アキレイは静かな怒りを胸に
陸上戦闘魔進を睨みつけ
口上を唱えた。
すると辺り一面に熱風が渦巻き
燃え上がるーーーー
アキレイ
『『天輪 •永久•牙成る心臓
絶えず揺らめく八岐の灯篭
滅せ•滅せ•紅と化せ!!』』
『『紅蓮滅刃•紅大蛇!!』』
N
真紅の刀身が周囲の空気を喰らう
そして男はゆらりと一閃
真横に刀を振るうと
太陽に焼かれたように
陸上戦闘魔進が焼け溶け
姿形も灰と化した。
アキレイ
「大蛇の火炎に呑まれて消えろ」
リナリア
「アッツゥゥウ!!
って兄さん!!!
危ないでしょうが!!!
こんな所で解放しないでよ!!
お城がなくなっちゃうじゃない!!」
N
アキレイは周囲にある
熱気と炎を刀で吸いとりながら歩いてきた。
アキレイ
「ちゃんと抑えられたじゃないか
紅大蛇よくやった。戻れ」
リナリア
「城内は解放禁止なんだけど!!」
アキレイ
「それはアナスタシアが言ってるだけだ。
一刃花隊からは
正式には通達はない。
だいたい、散れと言ったのに
何故、行かなーーーーん?」
リナリア
「兄さん…気づいた?」
アキレイ
「あぁ」
リナリア
「目的は?」
アキレイ
「ラミオラス帝国と同じだろうな」
リナリア
「鞘ね…
でも、この力もしかして」
N
場面変わり
ーーレンゲイサイドーー
レンゲイ
「くっ…おかしいですね。
こんな数の魔進が一体どこから…」
敵
「ギギッギギギギ」
レンゲイ
「60体はいますか…」
ゲイジュ
「そうみたいですね。
隊長、いけますか?」
レンゲイ
「神の刃を身に宿す僕ら鞘花の身体は
刀の鞘の如く頑丈です。その身体を
容易く傷付けることなど出来やしない。
そうそう、僕ら鞘花に
傷を付けることはできませんよ。」
ゲイジュ
「魔進の皆さーん聞いてるかぁあ?
ナーベルク帝国にはなぁ!
鞘花が何人いると思ってんだ!?
ここはダリア城の!!ど真ん中だぞ!!
ただで済むと思ってんのか!?
ってレンゲイ隊長…
魔進にそもそも人って
乗ってるんですか?」
レンゲイ
「乗ってませんね!
なので手加減無用です!」
N
レンゲイはそういうと
胸に手を当てて
口上を唱えた。
辺り一面に暖かな光が差し込むように
次第に木々が生い茂るーーーー
レンゲイ
『『天輪 •波濤•恵の鉤爪
芽吹•花咲•枯り落つ贄木
巡れ生命よ 深淵に染まれ!!!』』
『『散桜突刃 •桜雌鹿』』
レンゲイ
「何!?
アナスタシア…さん!?」
N
少し離れた所に突然アナスタシアが現れた。
しかし、アナスタシアはゆらっと消えてしまった。
レンゲイ
「なに!?…」
N
すると背後から銀色の刃が
レンゲイの腹部を貫いて現れた。
アナスタシア
「レンゲイ!!!」
N
二階の踊り場から
息を切らしたアナスタシアが叫ぶ声がする。
しかし、振り返ると自身を貫いた者も
アナスタシアだった。
レンゲイ
「アナスタシア…さん…グハッッッ
血??鞘花の身体を…
貫くとは…まさか…
グッ…貴様…その…刀は…」
N
銀色の刃が
勢いよく引き抜かれると
レンゲイの傷口から血がドバドバと吹き出した。
レンゲイ
「ゲイジュゥゥゥウ!!!!!!」
N
アナスタシアの姿が霧の様に消えると
そこに現れたのは不敵に嗤う七刃花隊副隊長
ゲイジュ•アダミーシン•アダモフであった。
レンゲイ
「まさか…キスツスを…
僕の…ウグッ…人を…
殺したのかァァア!!カハッッ」
N
ブンッと拳を振ると
またもや霧の様にゲイジュの姿が消えてしまった。
ゲイジュ
「ヌフッ
そぉっちぃじゃぁ!!なぁあぃよぉお!
ヌフフフッッヌハハハハハッ!!!
レンゲイ…お前はよくやってくれた!!
本当に。笑いが…笑いがァァァァ
止まらないヨォォォォオ!!!
バカみたいに動いてくれたおかげで
今日この日を迎えることが出来た!!」
N
ゲイジュは全く別の場所から現れ
瞳孔を開きながら叫んでいた。
レンゲイ
「なん…だと!?
ふざけるッッッーー」
アナスタシア
「レンゲイ
あなただけ少し離れた所に飛ばす」
レンゲイ
「ヴッッ!!アナスタシアさん!!」
アナスタシア
『黒是波無』
ゲイジュ
「させるかぁあ!!!
アナスタシアァァァァ!!!!」
アキレイ
『八岐ノ双璧』
ゲイジュ
「くっ!?
十六壁の炎…これは」
アキレイ
「リナリア!!
レンゲイを頼む!!」
リナリア
「任せて!!
レンゲイ!!!
アナスタシアさんの
無重力結界でこのまま水平移動する!」
レンゲイ
「リナリア…さん…キスツスが…」
リナリア
「ぇえ。二刃花隊隊長…キスツスさんの鞘を
ゲイジュが持ってた。
あのクズ野郎…。
銀狼の力で
レンゲイや兄さん、そしてこの城みんなに
幻を掛けて騙してた。」
レンゲイ
「リナリア…さん…僕ら…鞘花は…
鞘が身体から無くなると……」
リナリア
「えぇ。分かってる。
分かってるわよ。
今はいい。アンタは桜雌鹿の力で傷を癒しなさい。
兄さんとアナスタシアさんに
今は任せるの。」
レンゲイ
「そう…、ですね」
N
場面変わり
ーーアナスタシアサイドーー
アナスタシア
「気付くのが遅い」
アキレイ
「ぁあ。
レンゲイから報告受けた俺の隊と
三刃花隊は秘密裏に
お前を調べていた。が
それも全てミスリード…
まんまと騙されたってワケだ。」
アナスタシア
「いいえ。私の事を考えて
秘密裏に動いてくれてたの分かってる。
だけど少し遅かったようね。」
アキレイ
「許せアナスタシア。この借りは返す」
アナスタシア
「いらないわ。
返された試しないもの」
アキレイ
「フッ…言ってくれる」
アナスタシア
「さて、実際この場に10機しかいないわ。
ほかの場所も見えてる数と実際の数は
大きく異なる。全てね。」
アキレイ
「ぁあ、これは銀狼の光の力だ。
より精密に、より現実に
幻を映し出す。
正直、俺の目にはまだまだ
魔進が沢山見えている。」
ゲイジュ
「おっかしぃいいなぁぁ!!
なんでアナスタシアが見えてるんだぁ?
何度やってもお前の周りだけ
光が曲がらない…一体…
ナニヲォォシタァア!!!!」
アナスタシア
「呆れるわ。
あなた…この数年
私の何を見て来たの?」
ゲイジュ
「そうやって、お前
いつもいつもいつもいつも
いつもいつもいつもいつも
いつもォォォオ!!!
俺を見下すのが
ムカつくんだよぉお!!」
アキレイ
「アナスタシア!!!下がれ!!」
アナスタシア
「違う!!私じゃない
アキレイの方!!」
アキレイ
「何!?」
アナスタシア
「アキレイ!!!」
アキレイ
「グッッ」
ゲイジュ
「ただの陸上戦闘魔進だと思うなよ…
対鞘花戦闘魔進KARE8だ。
八人の隊長を殺す為に殺傷力を上げた
我が国最高傑作だ!!
貴様らなんか鞘花としての資格などない!
何が千刃花だ!!!
その気取った部隊名も
全て…全てぇぇ!!終わらせてやる!!!
死ねェエ!! 千刃花!!!!」
アナスタシア
「アキレイ違う!!
そっちじゃない!!!」
アキレイ
「分からん…一体…どっちだ…」
ゲイジュ
「こっちだよ」
アキレイ
「グァァァア!!!」
ゲイジュ
「トドメだ…やれ!
KARE8!!
ん!?
ウグッッッ身体…が…重い…
これは…まさか」
アナスタシア
『黒の審判』
アナスタシア
「指定した範囲内の重力場を自在に操作する
そしてその影響で歪んだ空間は
光さえもあなたが思うように曲がらない。
今までは私の周りだけを操作していただけ。
それをこうやって」
ゲイジュ
「何!?
KARE8が!!動かない!!」
アナスタシア
「あなたもよ」
ゲイジュ
「アギッ」
アキレイ
「軽い…
だが見えたぞ。
お前さえ見えれば
攻撃が当たる!」
ゲイジュ
「さ…せ、る、早い!!」
アキレイ
「ォォォオ!!!!
『炎蛇招来•八岐ノ咆哮!!』
N
真紅の炎より
八つの巨大な蛇が生まれ咆哮を放った。
ゲイジュ
「カ、KARE8が!!灰に…
うっ…、ギヤァォァ!!!!
熱い!!熱い!!」
アキレイ
「さすが鞘花の肉体を
手に入れただけはあるな…
燃えがイマイチだ…」
ゲイジュ
「グッ…熱い…熱い…
熱いよォォォオ!!
クソがクソがクソがぁ!!
しかぁし!!
アキレイ!!その傷では
貴様はもう動けまい!!
そしてぇえええ!
黒の審判は長くは使えない。
知ってるぞ…
知ってるぞ!!!」
アナスタシア
「アキレイ…奴の言う通り
黒の審判はもう長くないわ。
使った後は鞘を一旦
納めなければならない。
だから残りの時間を使って
奴をこの場から離す。
銀狼の影響しない遠くまで!
アキレイ!熱風を起こして!!」
ゲイジュ
「させるかぁああ!!」
『十六夜魔天楼!!』
N
銀狼を横一線に振り抜くと
半透明のカーテンが徐々に広がっていった。
アナスタシア
「させないわ!!何!?
重力場が弱い??
長く使いすぎたかっ!!」
アキレイ
「なんだコレは!!グッ
な…何ィィイ!?!?!?
塔の上に立っている!!」
N
嬉々としたゲイジュの声だけが
城内に響き渡る。
ゲイジュ
「アナスタシア…
お前の重力場より強い光を
作り出したまでだ。これ以上
自身の周りの重力を強くしたら
お前が動けないからな!
ヌハハハハッ!!!
さぁて…余興は終わりだ。
俺はどこにいるかな?
そこから一歩でも動けるかヌァア?
怖いだろぅ!?怖いだろオオオウ?」
アキレイ
「所詮は幻だ!」
ゲイジュ
「ほう…パチン」
アキレイ
「なんだこれは!!
視界が…世界が
回ってルウゥ
景色が走馬灯の様に…
平衡感覚がとれない!!」
アナスタシア
「これは…、た、立てない、
グハッ!!!」
ゲイジュ
「どんなに俺の周りの重力場を重くしようが
貴様自身さえ弱まれば
重力場は軽くなっていく。
そして貴様らの所まで這っていく
時間さえあれば
貴様らに幻を見せて
刀で切れるんだよぉぉお!!
ウラララララァァアィィイ」
アキレイ
「グアッ!!!」
ゲイジュ
「終わりだぁあ!!」
アキレイ
「!?コレは!?
幻が消えていく!!
いや、光が呑まれていく!!」
ゲイジュ
「アナスタシア!!!貴様!!」
アナスタシア
『黒渦の陣』
「お前の作る光を
この世界の光を
全て吸収する。よってお前はもう無力だ。」
ゲイジュ
「空間系 侵略領域の技を
2つ同時に発動させるだ…と!?
一体、どこにそんな力が!!
空間系を二重詠唱するなど
出来るはずがない!!!!」
アナスタシア
「見誤るなよ。
私は千刃花
七刃花隊隊長アナスタシア
お前とは生まれた時から格が違う。
アキレイ!!」
アキレイ
「ぁあ!!」
ゲイジュ
「なん、だと!!!?!!」
アキレイ
「お前はぶっ飛ぶんだよ!!
燃え盛れ!!紅大蛇!!!!」
アナスタシア
『黒是波無』
アキレイ
「うおおおおおお!!!」
ゲイジュ
「クソヤロォォォ!!!」
N
帝国外れの樹海
ゲイジュ
「はぁ…はぁ…はぁ…
クソが…まだ…
黒是波無の効力が…」
アナスタシア
「ゲイジュ
銀狼を返してもらうわ」
ゲイジュ
「ヒィッ!!
俺の鞘を…返せ!!返せ!!!」
アナスタシア
「キスツスにも同じ事をやったな?
あの女が簡単にやられるわけがない
こんなゴミに。
一体どんな卑怯な手を使っ…たっ!」
ゲイジュ
「ガッァ」
アナスタシア
「あやつの弱みでも!!握ったのか!!」
ゲイジュ
「ガッァハッ」
アナスタシア
「心身共に衰弱したとしても
命より重い鞘を渡す事など…
するはずがない…」
ゲイジュ
「フフッ」
アナスタシア
「ラミオラス帝国で拷問にでも
かけたのではあるまいな?
鞘花の身体はそう簡単には
傷付かない。」
ゲイジュ
「貴様はいつもいつもおごりが過ぎる…
昔からだアナスタシア
なぜ、千刃花だけが鞘花と呼べる?」
アナスタシア
「バカな子ね
鞘はこの100年我が国が継承し守り続けた
もし、発現したとしたなら
私たち鞘花に共鳴反応が起こり、分かるはず。
私の研究室を覗いてたなら、分かるでしょうに。
生きる為の嘘。
利用価値が有ると思わせる嘘
仮にも銀狼を持っていたなら
もっと魅せる嘘を付きなさい。」
ゲイジュ
「バカにしやがって!!」
アナスタシア
「そういえば私、知ってるのよ
試した事もなければ
どうなるかも予測がつかない
でも、方法は知ってる」
ゲイジュ
「何のだ!!」
アナスタシア
「バカね…
強制解除をよ」
ゲイジュ
「な…何故…それを…
ヒィッ嫌だ…嫌だ!!」
アナスタシア
「さて、鞘花自身の胸に
契約した鞘の刃を他者が突き立て
貫くことにより鞘花と鞘の契約を
強制的に解除する。
解除された刀と鞘花の末路は
お前でどうなるか確認するとしよう。」
ゲイジュ
「やめっ…やめろォォォオ!!」
アナスタシア
「人類のため、はたまた世界の為
鞘花の研究の役に立つじゃあないか。
研究者の端くれとして
お前も誇りに思うだろ?」
ゲイジュ
「たのむ!たのむよぉお!」
アナスタシア
『『強制解除』』
ゲイジュ
「グアアッッッッ!!!」
N
アナスタシアは銀色に輝く刀で
ゲイジュの胸を貫いた。
すると、ゲイジュから命を吸い取る様に
輝きを増しその場で散り散りになった。
ゲイジュ
「ウッ」
アナスタシア
「あら?
すぐには死なないのね。残念
気分はどう?」
ゲイジュ
「ヒィッ!!!!!」
アナスタシア
「ふふっ」
ゲイジュ
「助けてくれ!!
アナスタシア!!」
アナスタシア
「あら?発動限界ね。
一度戻りなさい…黒雛」
N
アナスタシアは漆黒の刀を胸の中に
そっと仕舞った。
アナスタシア
「ゲイジュ
あなたは未熟
人としても
研究者としても
学者としても
鞘花としても。
本来、鞘花であれば
鞘を解放しなくても
修練によって鞘の力を
僅かに使える。こんな風にね!」
ゲイジュ
「グアッ!!」
N
アナスタシアはゲイジュに向かって
片手を振り下ろした。
するとゲイジュは片膝をつき
地面に手をついた。
ゲイジュ
「アッググッ…
花纏捧君…」
N
花纏捧君とは
修練により精度の差はあるが
鞘花が未解放状態のまま
鞘の力の一端を使用することを指す。
アナスタシア
「鞘花じゃなくても
刃術なら
あなたや隊士たちも使えるでしょ?
鞘花の力を使えない人々が
鞘花の技を真似て、独自に進化し
編み出した古の秘術の数々。
刃術の才は誰よりもあった。
刃術を駆使すれば
あなたは鞘花にだって劣らなかった。
銀狼に頼らなければ
おそらくこんな事にはならなかった」
ゲイジュ
「黙れ!!貴様は!!
千刃花の七刃花隊隊長であり!!
そしてナーベルク帝国の大貴族
ブルダニア家の女当主!!
俺はその使用人の息子だった!!!!!
貴様には…貴様には分からない!!!
全てを手に入れてる貴様には!!!」
アナスタシア
「フフッ…全てを?
ホントにバカな子。
こんなにも、長くいてまだ分からないの?
ゲイジュ…なぜ研究者としての
私がいると思うの?
なぜ、私が鞘花について研究していると思うの?
....欲しいものがあるからよ!!」
ゲイジュ
「黙れ黙れ黙れ!!!!俺は名声!!
権力!!圧倒的な力!!
叡智!! 全てを手に入れたい!!
鞘花として歴史をつ——」
アナスタシア
「まだそんな事いってるの?
私はあなたが小さいころから
危険な思考であることに気付いてた。
先に帝国特務戦闘部隊"千刃花"に入隊し
隊長になっていた私は見張れるように
あなたを近くに置いた。
そして、副隊長にあなたを任命した」
ゲイジュ
「なん…だと!?
選んだのは俺の方だ!
着任拒否だって出来たのに!!」
アナスタシア
「でもしなかった。
それは千刃花の隊長の中で
私が最も鞘の造詣が深いと
知っていたから。そうでしょ?
あなたは初めから
隊舎に鞘花考古学研究所が隣接されてる
この七刃花隊に
配属希望を出していた。
私を利用するつもりでね。フフッ」
ゲイジュ
「黙れ!!
今や!!この俺の方がお前よりも詳しい!!
より鞘花として深淵に近づいたのだ!!」
アナスタシア
「深淵?
笑わせるわ。
私の研究室で文献を読み
私の研究資料から
強奪する方法を思いついたに過ぎない。
所詮、あなたは私に到底及ばないクズよ。」
レンゲイ
「そうです…、」
N
すると後ろの方からレンゲイの声がする。
アナスタシア
「レンゲイ…大丈夫なの?あなたたち」
リナリア
「レンゲイのおかげで
兄さんはもう大丈夫です。」
レンゲイ
「アナスタシアさん
すみませんでした。」
アナスタシア
「気にしなくていいわ」
アキレイ
「幻も消え城内を一掃してきた。
フン。半壊してしまったがな」
リナリア
「ちょっ…兄さん!!」
ゲイジュ
「貴様…ら」
アキレイ
「動くな!!!」
レンゲイ
『花葬輪廻』
ゲイジュ
「ぐっ…なんだコレは!!!!」
レンゲイ
「逃げてもいいぞ?
だが、ゆっくりと貴様の命を
吸いながら体内で花が咲き
やがては身体を貫き
内臓をぶちまけて出てくる。
そして吸った命を使い治癒をし
また体内で花を咲かせる。
徐々に弱まる治癒の力
最後は死がお前を待つ
輪廻の花が黄泉への手向けだ」
間
レンゲイ
「ゲイジュ …貴様、苦しまずに…
死ねると思うなよ」
アキレイ
「諦めろゲイジュ
レンゲイの花葬輪廻を食らったが最後
もう生きることは出来ない」
ゲイジュ
「許さない、許さない…
許さなぁあい!!!
ぁあ!!ロージア様!!ロージア様!!
お助けをどうか私をお助けを!!!!!
見ているのでしょう!!?!?」
N
ゲイジュは泣き叫びながら樹海を
駆け抜けた。
リナリア
「追う?」
レンゲイ
「どうせ数刻の生命です。」
アキレイ
「アナスタシア
お前の隊の副隊長だ。
始末をつけるんだ。」
アナスタシア
「元よりそのつもりよ。」
N
ーーそして、時は巻き戻り現在ーー
レンゲイ
「アナスタシアさん」
アキレイ
「終わったのか?」
リナリア
「私…まさかゲイジュが…ゲイジュが…」
アナスタシア
「リナリア…
少し、ことの顛末を話すわ。
私は奴に鞘花への異常なまでの執着心と
異常なまでの野心を感じてた。
ずっと警戒していたの。
そして先のニヘルダム合同作戦の戦いのとき
おそらく奴は他者から鞘を奪う方法を発見した。
そしてラミオラス帝国と共謀し
二刃花隊隊長キスツスと
副隊長を殺害した。
あの作戦は見事だったわ。
分からなかった。防げなかった。
レンゲイ…本当に…」
レンゲイ
「キスツスがやられる作戦です。
誰も防げないでしょう…、」
アナスタシア
「ぁあ。用意周到ね。本当に
奴は私を嵌める為に
幾重もの罠を仕掛けた
女、子供老人、国、土地
二刃花隊に
ラミオラス帝国の兵を忍ばせて
情報を 撹乱していた。」
リナリア
「そしてゲイジュは銀狼の力で
レンゲイの隊を 撹乱した。
アナスタシアさんの幻を見せて」
アナスタシア
「そうみたいね…」
アキレイ
「銀狼の力は幻を見せるより
魅入らせるに近い力がある。
強力な陶酔に近い」
アナスタシア
「そうね。目で見る世界を
現実より強い説得力で
脳を錯覚させる強力な一振り…」
レンゲイ
「目で見てるはずなのに
匂いや音さえもあるように
感じる様に錯覚しますからね…」
リナリア
「でも、ゲイジュはどうやって
キスツスさんから鞘の力を?」
アキレイ
「鞘花になる方法は大きく分けて3つだ。
1つは"ダンジョン化"
鞘花が死んだ時すぐに命が途絶え
鞘は霧散し世界のどこかに迷宮が生まれる
その迷宮の奥底に刀は次に収まる鞘を待つ。」
レンゲイ
「2つ目は"継承"
鞘花自身の意思により
新たな鞘花に鞘を託す。
継承後、鞘花は結晶化して死ぬ」
アナスタシア
「3つ目は "発現"
コレはまだ不明だが
何らかの影響、環境により
新たな鞘が生まれ鞘花となる」
リナリア
「でも、その方法だと…」
アナスタシア
「ゲイジュはどれも該当しない。
奴は4つ目を発見した。」
リナリア
「4つ目??」
レンゲイ
「4つ目があるんですか??」
アキレイ
「聞いたことはない。。」
アナスタシア
『強制解除』
リナリア・レンゲイ・アキレイ
「!?」
アナスタシア
「これは秘匿すべき外法 。
コレを話すにはまだ調べることが
沢山あるが強制的に鞘を奪う方法よ。」
レンゲイ
「奴は…奴は死んだ後に
ダンジョン化したんですか?」
アナスタシア
「鞘は霧散し
地中何万キロと沈めてやったが
分からない。」
アナスタシア
((奴は鞘が霧散してから
すぐには死ななかった。
果たしてダンジョン化はしたのか?))
アキレイ
「強制解除…か
俺たち鞘花にとっては危険な話しだな。
アナスタシア、詳しく調べといてくれ。
そして、この事に関し
かんこう令をしく」
レンゲイ
「そうですね。。
それに、もう一つ気になる事が」
アナスタシア
「そうね。
ロージアとは一体…、」
アキレイ
「それは千刃会議の時に話そう。
城の建て直しが終わり次第
飛び回ってる隊長格 全てに強制招集する。」
リナリア
「癖の強い隊長たちが
集まるのかぁあ…はぁ。」
レンゲイ
「今はそんなことよりも
キスツスの隊葬の準備をしないと」
リナリア
「えぇそうね。」
アキレイ
「城の片付けもあるしな」
リナリア
「兄さんが半分壊したんでしょうが!」
アキレイ
「だからうちの隊が
率先してやるしかあるまい」
リナリア
「もうーーー!」
アナスタシア
「私は強制解除について
もう少し調べてみる」
アキレイ
「片付けと隊葬が終わったら
二刃花隊の連中に
ロージアを探らせる。
キスツスたちの為に
あいつらも頑張るだろうよ。」
レンゲイ
「そうですね。」
アキレイ
「俺たちの
戦いはまだ終わってはいない。
次の戦いまで気を抜かない方がいい。」
リナリア
「でも、今晩はもう寝よう!
私、疲れちゃったぁ!!」
レンゲイ
「フフッ、相変わらずですね。
リナリアさん」
アキレイ
「はぁ。」
リナリア
「ではではぁーーこれにて解散!!」
間
アナスタシア小声で
「レンゲイちょっといい?」
間
レンゲイ
「まさか…」
N
千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜
ルシファンブルク強襲編(完)
N
おまけ
ゲイジュ幼少期
「アナスタシアおねえちゃーん!!」
アナスタシア幼少期
「もう!またこんな怪我して!!」
ゲイジュ幼少期
「だってね!隣の奴が
またマリーを虐めてたんだ!
だからやっつけてやった!!」
アナスタシア幼少期
「ヒーローぶっちゃってさっ
バカなやつ!!フフッ」
ゲイジュ幼少期
「俺いつかこの国で鞘花になって
世界の為に刀を振るうんだ!!
だって鞘花の力は
守る為に使うだろ??」
アナスタシア幼少期
「そうだね!
ゲイジュならきっとなれると思う!
ううん!なれるよ!」
完
次回は新しい隊長格が出て来ます。
日常回になりますが
飽きずに読んでくれると嬉しいです。