Petunia's Side Story 「The Skinny Love」
※こちらの物語は
ネタバレを多く含まれております
4章season 29まで
読んだ方向けになっております。
ご注意下さい。
私はこの前書きを
誕生日当日に書いております。
なんか予定あるだろーなっ。
と思って休みを取ったのですが
うん。
何もなかった。だが!!!
ペチュニアズサイドストーリーを
完成させる事が出来た!!
何故なら、29日に校正があり
(※複数人での誤字脱字発見作
業)
間に合わなかったので
休みとって良かったぁあ!!と
文字通りこの作品を書き上げました。
まるでその事を予見していた過去の私
マジでグッジョブ。
という事で
今回は人気キャラ
ペチュニア=サンサ=アルマーニの
サイドストーリー。
テーマは『葛藤と決意の物語』
何故、ペチュニアがラミオラス帝国にいるのか
その心情が垣間見えると思います。
どちらが正しいか。
それぞれ意見が分かれると思いますが
どうかペチュニアの決断を
応援して下さい。
では、楽しんで。
♪1
ペチュニア
私が視る世界は限りなく灰色だ。
それは止めどなく流れる雨のようで
溢れ出す千切れた薔薇のようで
私の胸にそっと、帳を降ろす。
※音楽がある場合 鳴り止むまで待つ
♪2
----------------------------
ペチュニア
作者REN'sJackson
千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜
番外篇 Petunia's Side Story
【THE Skinny Love 】
----------------------------
ペチュニア
目覚めたら知らない部屋だった。
耳障りな心電図の音
不敵に嗤う不快な声
鉄と鉄が擦れ合う不協和音
声を発しようとも閉ざされた唇
走馬灯のように駆け抜ける兄と妹の影
あの日から私の視る世界は
感情を殺した。
----------------------------
※音楽がある場合 鳴り止むまで待つ
コリス
「#0038到着致しました!!」
ラベンド
「#0047到着致しました。」
ペチュニア
「#0051到着致しました。」
サフィニア
「#0052到着したよー!!」
ペチュニア
「コラ!!サフィ!!」
サフィニア
「あ、ごめーん!!」
ペチュニア
兄と引き裂かれてから数年
悍ましいほどの人体実験や投薬の日々
仲間とも呼べるか分からない実験体達の死
自分が何をされているのかさえ
把握しきれていない中で
私は唯一第7 魔装研究所に来て
分かった事がある。
それは逆らってはいけないという事。
満点を取れと言われれば
取らなければならない。
指を落とせと言われれば
落とさなければならない。
それがココの法則
そして、それが私の居場所。
サラセニア
「ンフフフ♪
時間ぴったりですねぇー!!!
よろし!!!!!
まずは皆さーん。楽にしていいですよ。
はい。コングラッチレーション!!鬼ノ子 !!
運命的な選別の儀から数年!!
あなた達は素晴らしい成績を収め
OGA 計画の最終段階まで生き残りました!!」
ラベンド
「さ、最終段階...ですか?」
サラセニア
「そう!最終段階です!!
山あり谷あり君主あり!!
そして生き残れたのは...
たったの4人!!まさに神のお導き!!
後の者は死ぬか"堕天"するかでした。
長い旅路でしたねぇ。
しかし!!それも今日でお別れです!!
さぁ!!皆で歌いましょう!!!
この!! 讃美歌を!!
スポットラーーライッ!!カモン!!
ビリビリボーイ、ビリビリボーイ
ビリビリボーイ、ビリビリボーイ
ビリビリボーイ、ビリビリボーイ
ワチュガナドゥッ!
ワチュガナドゥ!!ヘッ!!
ビリビリボーイ、ビリビリボーイ
ビリビリボーイ、ビリビリボーイ
ビリビリボーイ、ビリビリボーイ
ワチュガナドゥッ!
ワチュガナドゥ!!ヘッ!!
ふぅー...さて!!
内容は伝わったと思います。」
ラベンド
「はい。」
ラベンド
((いや!!分からないけど!!))
サフィニア
「えー。分かんッーー」
ペチュニア
「サフィニア!!黙ってて!!」
サラセニア
「ん?今、なんと?」
コリス
「つまり、呼び出されたのは
最終試験の詳細を教えていただける。
ということでしょうか。」
サラセニア
「そうです!!流石は#0038!!
そういう事です!!
では、話していきましょう。
あっ。その前に
大事な事を言っておきます。
この試験であなた方が死んでも
私めは構いません。
その程度の者はこの先...
要りませんからね。ンフフフ」
ラベンド
「...はい。
必ず突破して見せます。」
サラセニア
「#0047...そうですねぇ。
大好きなマリガルドに
会えなくなりますからねぇ。
私めは一向に構いませんが!!
ンフフフ!!」
サフィニア
「僕にかかれば
そんな任務すぐ終わるよね!
みんな殺せばいいんでーーガッ」
サラセニア
「終わる...よね?ンフフフ
#0052何度言えばよろしいのですか?」
サフィニア
「ガッッ...アッ」
ペチュニア・コリス
「サフィニア!!!!」
ペチュニア
「サラセニア様!!
どうか!!お許しを!!」
コリス
「だめだ!!ペチュニア !!」
ペチュニア
「だって...サフィが...」
コリス
「我慢するんだ。今は」
サラセニア
「私めとあなたは友達ですか?
私めがここに来てから数分
あなたは2367回も無礼を働いていますよ?
ねぇ?#0052??」
サフィニア
「違っ...アガッッ...ガッ」
サラセニア
「上席に敬語も使えぬのですか?
何度言えば分かりますか?
その頭蓋をカチ割って
直接書いて差し上げましょうか?
ナイフでゆっくり...と。」
サフィニア
「サラ...セニア様...申し訳...ありま...せん」
サラセニア
「ンフフフッ。
分かればよろしいのですよ!!」
サフィニア
「ゴホッ...ゴホッ...」
ペチュニア
「無礼をお許しください!!
サラセニア様!!!」
サラセニア
「ンフフフッ。
次はありませんよ?」
サフィニア
「申し訳ありません...でした。」
サラセニア
「ンフフフ。
では、まず...
これを見てもらいましょう。パチン
今回は...」
間
サラセニア
「ーーという内容になってます。
そう!!チャハールにて反乱分子の殲滅!!!
とってもシンプルですね!!!!
着陸次第データを送りますので
満点を期待していますよ。ンフフフ!!
成功すれば三軍いずれかに配属され
ラミオラス帝国軍いや!!
君主!!いや!!
君主ッッッッの為に
働く事が出来るのです!!!
もちろんその対価として
今よりも自由を手にする事が出来ます!
さぁ!!準備にとりかかりなさい!!」
ペチュニア・サフィニア・コリス・ラベンド
「ハッ!!!!!!!!」
サラセニア
「#0051」
ペチュニア
「はい。」
ペチュニア
((#0051...
コイツは私たちの名前を番号で呼ぶ。))
サラセニア
「期待していますよ」
ペチュニア
((クソ喰らえ))
ペチュニア
「...はい。」
サラセニア▶︎▶︎▶︎N
N
数時間後ペチュニア達は
飛行戦闘魔進 5-武鱗の中にいた。
ペチュニア
「スースースー」
サフィニア
「お姉ちゃんお姉ちゃん
お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん
お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん
お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん
お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん!!」
ペチュニア
「ぅっ... ふぁ〜
え!?何!!??」
サフィニア
「ほら!!外見て!!キレイだね!
あっ!!もうすぐ着くよ!!」
ペチュニア
「...そう。」
N
上空から外を眺めてみるとカラフルな屋根に
朽ちかけた建物の数々が見えた。
コリス
「すごいよなぁー
見てみろよサフィニア!!
一軒一軒がくっついてるぞ!!」
サフィニア
「すごーーい!!
あんなに密集してるんだね!!
ねぇねぇ!!見てみて!!
色んな色の屋根!!
よく出来てるね!お姉ちゃん!!」
ペチュニア
「...そうね。」
コリス
「あっちも見てみろサフィニア!!
でっかい工場がいくつもあるぞ!!」
サフィニア
「え!?どれどれ?
うわぁー!!すごーい!!
みんな潰せばいんだね!!」
N
ここはナーベルク国境近くにある
労働と工場の町チャハール。
人口5000人の低所得者が集まる貧しい町。
缶詰め工場を主産業としており
様々な食物を缶詰めに加工して
ラミオラス各地に輸出している。
しかしその実態は
ラミオラス帝国に対する反乱分子が
多く集まっていると噂されている町だった。
コリス
「あれ?ラベンドは寝てんのか?」
サフィニア
「ん?寝てるのかな??
ほら、ラベンドも起きろぉぉ!!
僕の声聴こえるだろ??
ラベンドってばぁ!!!」
ペチュニア
「サフィ。
イヤホンしてるから聴こえてないって」
サフィニア
「ねーねー!!
ラベンドってば!!」
コリス
「おーい!!もう着くぞぉお!!」
ラベンド
「ん?何か言いました?」
サフィニア
「だからぁ!!
もう着くよ!!」
コリス
「あと数分でな!!!」
ラベンド
「...まだなんですね。
着陸したら教えてください。」
N
ラベンドはそう言って
再びイヤホンを付けようとしたが
ペチュニアがそれを静止した。
ペチュニア
「ラベンド。」
ラベンド
「...何ですか?」
ペチュニア
「今回の任務分かってる?」
ラベンド
「任務と試験。
どちらの側面もあるって話しですか?
ちゃんと分かってますよ。
チャハールに潜んでる
反乱分子の殲滅ですよね?
それに合格すれば第7 魔装研究所から出られる。
皆さんくれぐれも僕の足は
引っ張らないでください。
成績に響きますから。」
ペチュニア
「あら?相変わらず生意気な子ね。
私のセリフなんだけどそれ。」
サフィニア
「いつもみたいにやればいんでしょ?
あーあ!!僕1人でもいいのに!!!」
ラベンド
「いつもみたいにって
実地訓練は初めてじゃないですか。
それに、サフィニアさんに任せたら
余計な仕事まで増えるんで
勘弁してもらいたいです。
大人しくしててください。
僕1人でやりますから。」
ペチュニア
ラベンド
ラミオラス帝国兵の中でも屈指の武闘派と名高い
マリガルドに拾われた寵児。
冷静なのか臆病なのか分からない奴
私から言わせれば
ただのガキね。
コリス
「まぁまぁ落ち着けって。
ピリピリすんなよ。
サラセニア様も言ってただろ?
今回は反乱分子の殲滅が
出来ればいいってさ。
だから満点は任務完遂。
難しい話しじゃないさ!」
ラベンド
「相変わらず能天気で
馬鹿みたいに前向きですね。
1番年長のコリスさんなら分かると思いますが
失敗は...許されない。許されないんです。」
コリス
「大丈夫!!上手くいく!!
今までだって生き抜いて来たんだから!!
まずは死なない事だけを考えよう!!」
サフィニア
「って言っても
僕たちなかなか死なないけどね!!」
コリス
「あ、そうだ。
一応、言っておくけど
鬼人化はするなよ??」
サフィニア
「ぇえ!!ダメなの??」
ペチュニア
「ダメよ。
コントロールも出来ない鬼人化なんて
ただの迷惑だわ。」
サフィニア
「ぇーー。お姉ちゃんは
鬼人化出来ないだけでしょー??」
コリス
「...確かにペチュニア。
何で鬼人化しないんだ??
ソープワイト様もサラセニア様も
何も言わないなんておかしいよな。」
ラベンド
「鬼人化なんてケダモノに
成り下がるだけですよ。
なっていい事なんて何もありません。」
コリス
「だからラベンドも鬼人化しないのかぁ
鬼人化状態は記憶ぶっ飛ぶもんなぁー」
サフィニア
「鬼人化楽しいのに!!!
終わった後の楽しい!!
って、気持ちだけが残るの好きなんだよねー!」
ラベンド
「相変わらず狂ってますね。サフィニアさん。
僕は...必要であれば手術しますよ。」
コリス
「まぁ、とにかく
鬼人化なんてしたら試験も任務も
関係なくなるからな!!」
ペチュニア
「...そうね。
ちゃんと終わらせましょう。」
サフィニア
「ちぇーー!!」
コリス
「これが終わったら...自由だ。
案外すぐ終わるかもな!!」
ペチュニア
コリス。
第7 魔装研究所の中で1番長くいる鬼ノ子
ソープワイト様とサラセニア様のお気に入り
正義感が強くていつも目がキラキラしてるけど
時折見せる虚な目は
まるで何かを思い出したかの様に
どこか寂しげだった。
ラベンド
「確かにそうですね。
今回は対鞘花特殊魔装兵器もあるんです。
すぐ終わりそうですね。」
コリス
「その意気だラベンド!!」
ラベンド
「ちょっ!!
いきなり叩かないでください。」
サフィニア
「僕楽しみだなぁ!!!!
逃げ回る人達を
グチャグチャに掻き回してやろーっと!」
ペチュニア
「はぁ。分かってると思うけど
別にこの町を破壊するわけじゃないの。
それに今回、私達が埋め込まれたのは
擬似肉芽なのよ?
24時間後に体外へ排出される偽物。」
サフィニア
「でも本物と変わらないって言ってたよ!?」
コリス
「魔装兵器を使った実戦でのテストも
兼ねてるみたいだからな。」
ラベンド
「仮想シュミレーターを使った模擬訓練で
僕たちに適合する魔装兵器が
選ばれたんです。
何度もその結果に基づいて
シンクロテストをクリアしたんですから
そこは問題無いと思いますけど。」
ペチュニア
「でも、今回の任務が失敗したら...
魔装兵士に相応しくないと判断されたら...
その末路は...想像つくでしょ?」
ラベンド
「...末路ですか?」
ペチュニア
「サラセニア様は死んでも
構わないと言った。」
N
するとラベンドはしばらく考えた後
みるみると血の気が引いていった。
ラベンド
「...やっぱりそうか。」
コリス
「ぁあ。恐らく失敗すれば粛正される。
つまり俺らは用済みって事だ。
あまりにも身勝手すぎる。」
サフィニア
「え!?そうなの!?!?」
ペチュニア
「そうよ。サフィ。」
ラベンド
「僕らには後がありません
成功させるしかないんです。
僕は死にたくない。
ただ、マリガルドさんといたい...
それだけなのに。」
サフィニア
「...ラベンド。
ブラコン!?アヒャアヒャアヒャ!!」
ラベンド
「違いますよ!!!」
サフィニア
「顔真っ赤だよ!?
アヒャアヒャアヒャアヒャ!!!」
コリス
「大切な人がいる。
それだけで幸せだと思うぜ。
マリガルドさんは俺たちにも優しいし
本当に兄貴みたいだよな!」
ペチュニア
大切な人...。
サフィニア...。
本当の兄...。
本当の...兄
なんだか...懐かしい。
サフィニア
「ん?お姉ちゃんどうしたの?
顔色悪いよ?
もしかして...高所恐怖症??
アヒャアヒャアヒャアヒャ!!」
ペチュニア
「何でも...ないって。」
コリス
「これが終われば晴れてラミオラス帝国兵だ。
サラセニア様も言ってたじゃないか!
何不自由ない生活が出来るって!!
みんなで、頑張って合格しようぜ!!
なぁ?サフィニアもそう思うだろ?」
サフィニア
「そうだね!!実験も投薬も無くなるし
ナーベルク兵も沢山殺せるし!!」
コリス
「そうだね。
俺らは立派なラミオラス帝国兵になれる。
毎日苦しい思いなんてしなくていい!!
今日で終わらせるんだ!!」
サフィニア
「...うん。」
ラベンド
「もうあんな地獄は...嫌だ。」
N
するとペチュニアが静かに口を開いた。
ペチュニア
「地獄...
面白い事を言うのねラベンド。」
ラベンド
「何がですか?
やっと終わらせられる。
抜け出せられる。
そう思う事の何が可笑しいんですか?」
N
するとペチュニア は窓の外を眺めながら
寂しげに言った。
ペチュニア
「この先もこれからも
どの道を選んだとしても
私達に待っているのは
地獄に決まってるじゃない」
サフィニア▶︎▶︎▶︎N
N
場面変わり第7 魔装研究所
モニタールームにて
サラセニア
「ンフッフーン♪
ンフッフーン♪
ガリガロファスタウェイ♪フゥーッ!!
ンフッフーン♪
ンフッフーン♪
パラリロジャッスタウェイ♪イェー!!」
N
奇抜な 緑髪に
黄金に輝く歯を剥き出し
男はモニターを見ながら
キーボードを叩いていた。
サラセニア
「さぁーーて。
#0051
#0052
#0047
#0038
4人ともバイタルは安定。
まぁ、少し脈はブレたりしましたが
許容範囲!!!!!
長年のテストが
ようやく終幕を迎えましたねぇンフフフ!!
私めに見初められたあの日から
今日この日までが選別の儀!!
いくつもの試練や試験を突破し
厳選された種が今日!!!
ようやく花開くわけですよ!!!
ンフフフッッ!!!!
そして!!!!
完全なる第三世代が生まれる!!
全ては君主の!!
シナリオ通り!!!まさに愛!!」
N
サラセニアは嬉々として立ち上がり
両手をバッと広げた。
サラセニア
「さぁ!!チャハール全土を蹂躙しなさい!!
選ばれし鬼ノ子 達よ!!!
...あっ。もしもし?モンティですか??
私めがコーヒーをご所望ですよぉ。
え!?もう淹れて...
んなまさか!!そんな事があるわけ...
ハッッッ!!!!! ズズッッッゴクリ
どこにも無いですけど?」
N
ーーペチュニアサイドーー
サラセニア▶︎▶︎▶︎N
N
次々と5-武鱗から降りていく4人
そして、目の前に映し出された風景に
一同は圧倒されていた。
ペチュニア
「...そんな」
ラベンド
「これって...」
サフィニア
「さぁ!どっから行く!?」
コリス
「待って。サフィニア」
ペチュニア
「コリス...
今回のターゲットって...」
コリス
「サラセニア様が
到着してからデータを送るって言ってたけど...
あっ。もう来てた。」
ラベンド
「コリスさん!!
サラセニア様から頂いたデータを
今すぐ見せて下さい!!」
コリス
「ぁ、ぁあ。」
N
コリスはPinpad mini を
タップすると地図が浮かび上がってきた。
ラベンド
「...そうか。」
N
そこに浮かび上がっていたのは
赤くマーキングされたチャハール全域だった。
コリス
「これは...
チャハールの殲滅...
地図から消せって意味なのか...」
ペチュニア
「他に何も書いてないなら」
ラベンド
「そう言う事ですね。」
N
任務内容とは裏腹に
4人が目にしたのは
ありのままの日常だった。
買い物に行き交う人々
子を連れる母、遊び回る子供達
そこには4人が憧れる自由そのものが
広がっていた。
ラベンド
「今から僕達がこの人達を...」
サフィニア
「だってそれが試験でしょ?
なら仕方ないんじゃなーい??」
コリス
「...どう足掻いたって
反乱は国家反逆罪だ。
俺達は俺達の目的の為に。」
ペチュニア
「...任務を全うするしかない」
N
すると、4人の前にコロコロと
ボールが転がってきた。
ラベンド
「...あっ」
コリス
「ラベンド拾うな。」
N
無垢な笑顔で
近づいてくる子供は
そのボールを拾おうとしたが
サフィニアがそのボール踏み潰した。
ペチュニア
「サフィニア!!」
サフィニア
「あーそぼっ」
N
そして、サフィニアはその子供の首を
ゴキッと へし折った。
ペチュニア ・ラベンド・コリス
「...グッ」
サフィニア
「お姉ちゃん。
今更後戻りなんて出来ないよ。
さっき言ってたじゃん。
任務を全うするしかないって。
僕は1人でも殺るよ」
N
事態にざわつくチャハールの住民達
鳴り響く警告音
そして銃を持つ人々が続々と集まってきた。
その中には武装した女、子供が入り乱れ
確かな殺意と銃口をこちらに向けていた。
コリス
「女と子供まで...クッ!!」
ラベンド
「やるしかありません。
訓練通りに!!!!」
ペチュニア
「サフィニア...」
コリス
「行くぞ!!」
N
そして4人に向かって一気に銃撃が放たれた。
ペチュニア ・サフィニア・コリス・ラベンド
『『咲け•肉芽 !!』』
N/機械音
ーー声紋認証 完了ーー
ーーー対鞘花特殊魔装兵器ーーー
ーーー起動しますーーー
ペチュニア
『『嘲嗤え•死面装仮!!』』
サフィニア
『『皆狂え•双死想哀!!』』
ラベンド
『『哭け•豪糸断弾!!』』
コリス
『『侵せ・胞咽暴触!!』』
N
ペチュニアは天女の様に空を舞いながら
黒い布で人々をなぎ倒し
次々と撃ち込まれる銃弾を
布で防いでいた。
ペチュニア
『輪舞輪舞輪!!』
「こっちは任せて行きなさい!!」
ラベンド
「ありがとうございます!!」
『糸跳!!!!』
N
ラベンドはピンッと糸を弾き
高速で移動すると
すれ違った人々の首を
次々とハネていった。
サフィニア
『始まる恋• と 終わった恋!!!』
「アヒャアヒャアヒャアヒャアヒャ!!
ぎんもちぃぃぃぃい!!!!
死ねぇ!!死ね!!!
みんな死んじゃえ!!」
コリス
「バカッ!!
光線を乱射しすぎだサフィニア!!!」
N
両腕が銀色に変わりその掌から
光線を発射するサフィニアは
見境なく撃ち殺していく。
サフィニア
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!」
ペチュニア
「サフィニア!!!!」
コリス
「ったく!!ラベンド先に行っーー
ゴハッッ!!!」
ラベンド
「コリスさん!!」
ペチュニア
「何してるの!!サフィニア!!」
N
サフィニアに撃ち抜かれたコリスは
その場で膝をついた。
サフィニア
「邪魔だっての。」
コリス
「グッ...大丈夫...だ。」
『生奪吸引!!』
N
コリスは腕から生えた白い触手で
近くの死体を包むと
みるみる傷が塞がっていった。
コリス
「俺の魔装兵器は細胞を取り込み
自分の能力へと昇華する!!
だから、もちろん!!
こういう事も!!出来る!!!」
N
コリスはポケットから
血の入った小瓶を取り出し
白い触手で体内へと血を取り込んだ。
すると、コリスの身体が大きく変化し
鋭い爪と牙、そして鬣が生えていく
コリス
『 与奪強化・獅子爆誕!!』
ペチュニア
「ライオン...いや人獣に変わった...
相変わらず面白い能力ね。」
コリス
「ガルルルルッ...ガラァ!!!」
N
武装した民間兵を牙と爪で
次々と引き裂いていくコリス。
コリス
「チッ!!!数が多すぎる!!!
何!?!?!?」
ラベンド
「皆さん!!伏せてくだーー」
N
ドーーーンッと上空からミサイルが発射され
着弾した瞬間、一気に吹き飛んだ。
全員
「グッ!!!」
ペチュニア
「小癪な!!
町の人々ごと吹き飛ばすなんて!!」
ラベンド
「あちらサイドも本気ってことですね。」
サフィニア
「アヒャアヒャアヒャアヒャ!!
楽しくなってきたぁあ!!!!」」
コリス
「4方向に散るぞ!!!
A地区にペチュニア !!B地区にラベンド!!
ここはサフィニアに任せる!!」
ペチュニア ・サフィニア・ラベンド
「了解!!!!!」
コリス▶︎▶︎▶︎N
N
ーーサラセニアサイドーー
サラセニア
「首尾は良さそうですねぇー。
元々、チャハールは
逃亡した反乱軍のコミュニティ。
何よりも武器の宝庫だと聞いています。
裏で手を引くのはナーベルクの誰か。
誰でしょうねぇ。
オルケイディア辺りが妥当でしょうか...。
長年バレずに 虎視眈々と
勢力を拡大してきたようですが。
それもここまでですよ!
しかし!!! 鬼ノ子 達には
申し分の無い大舞台です!!!
泳がせていた分
利用させてもらいましょう!!
その狡猾さと
その意地らしさ!!!
そして!!!希望という名の!!
愛の脆さを!!
ンフフフ!!ンフフフ!!!
ンフフフ!!!」
N
ーーラベンドサイドーー
チャハールB地区 第2工業地帯にて
ラベンドは武装した民間兵による銃撃の嵐を
豪糸断弾で弾いていた。
ラベンド
「町中がみんな!!
敵!!じゃないか!!!グッ!!」
『奏爪槍雨!!』
N
無数に集まった糸の束が人々を
巻き込み貫いていく
ラベンド
「グッ!!キリがないですね!!」
N
ラベンドは路地に入ると
兵士と見られる武装集団に出くわした。
ラベンド
「本物の兵士!?」
N
血相を変えた兵士達が撃ち込む銃弾を
ラベンドは糸の跳躍で素早く避けていく。
すると、兵士達は下がりつつ真っ暗な工場へと
逃げていった。
ラベンド
「逃すか!!!」
『糸跳!!!』
N
兵士を追いかけ
広い工場内に入っていくと
足音と声が反響し
工場内全体に響いていた。
ラベンド
((もしかして、罠?
んなわけないか。だって
僕らの奇襲大成功だもんね。
足音も聞こえないって事は
隠れてるのかなー?))
ラベンド
「といっても...無駄ですけど...ね。」
『糸界悶場!!』
N
ラベンドは豪糸断弾を
地面に這わせると
蜘蛛の巣の様な結界を織り成し展開した。
ラベンド
「1.2.3.4....12人ですか。
聞こえますよ。
糸界悶場の前では
隠れても無駄です。
それが例え暗闇でもね。
残念ながらあなた方の呼吸から何まで
全て糸の振動となって伝わってきます。」
N
ラベンドはそう言って
ゆっくり前へ歩いていくと
辺りを見渡した。
ラベンド
「フフッ。信じませんか??
では実際に教えてあげますよ。
上に3人奥に2人後ろに3人
左右に2人ずつ。です...よね?」
N
ラベンドは立ち止まると
しゃがんで隠れていた兵士の顔を見下ろした。
ラベンド
「そんな怯えた顔しないでください。
暗闇で良かったじゃないですか。」
間
ラベンド
「仲間の死に顔を見なくて済む。」
N
そう言ってラベンドがピンッと糸を弾くと
隠れていた兵士全員の身体が
グシャっと崩れ、ボタボタと工場内に響いた。
ラベンド
「何度聞いても...この音は...嫌いだ。」
N
そう言うとラベンドは
Pinphone を取り出して
3人に連絡した。
ラベンド
「こちらラベンド
B地区の制圧にかかります。
死にたくなかったら
入ってこないでくださいね。」
ペチュニア ・サフィニア・コリス
「了解!!」
N
ラベンドは高い塔を見つけて
軽快に登っていくと
豪糸断弾を空に向け
手を振り上げた。
ラベンド
『『狂音祭!!!!』』
N
豪糸断弾から
無数の糸が飛び出し
B地区全域を糸の結界で包み込むと
ラベンドは操作に集中する為に目を閉じた。
ラベンド
「範囲が広い...
標的と結界範囲をもっと広げて
頸椎に糸を通す。
そして...神経を繋ぐ。よし。
銃弾を交わして中央に糸跳。
それを繰り返す。
銃弾を交わして中央に糸跳。
銃弾を交わして中央に糸跳。
中央に糸跳。
糸跳。糸跳。
糸跳。糸跳。」
N
狂音祭とは
豪糸断弾が織り成す糸の結界である。
それに加えて結界範囲内の死体を
簡易的に操ることができる。
ただし、結界の規模の大きさに比例し
精度は下がるため、操作精度を上げるには
操作だけに集中する必要がある。
今回、ラベンドは
B地区の武装した兵の死体を操り
即席の軍隊を作り上げた。
ラベンド
「...僕らは...正しい。」
N
鳴り響く銃声と怒声
子供の泣き声
大人の叫び声
あまりにも悲惨な旋律に
一度、目を開け町を見下ろすも
ラベンドはその光景から目を逸らした。
ラベンド
((本当にこれでいいのか?
僕は間違ってないのか?
いや、生き残る為だ!!!
生き残る為には他者を殺さなきゃいけない!!
その為なら子どもだって
殺さなきゃいけない!!
コイツらはラミオラスの反乱分子なんだ!!
ラミオラスの反乱分子!!
ラミオラスの反乱分子!!!!
僕は正しい!!!
正しいことをしてるんだ!!!
僕は間違ってなんかない!!!
ねぇ、そうでしょ?マリガルドさん!!))
サラセニア▶︎▶︎▶︎N
N
ーーペチュニアサイドーー
チャハールA地区第1工業地帯にて
ペチュニア
((工場が稼働してない。
...今日は休みなのね。
だから、子供が多い))
N
ペチュニア は次々と迫り来る銃弾を
死面装仮で
全て受け止めていた。
ペチュニア
((最終試験...反乱分子の殲滅))
ペチュニア
「滑稽ね。...笑える」
N
民間兵は見たこともない黒い布の兵器に
恐れ、戸惑い、逃げ回っていた。
ペチュニア
「あなた達は
国家反逆を冒した謀反人
いつか、こうなる事くらい予見してたでしょ?
それが1年後か半年後か今日かの違いだけ。
国が嫌なら戦おうとせずに
逃げれば良かったじゃない。
そうでしょ?」
ペチュニア
((そう、逃げればよかった。
そうすれば今日死ぬことは無かったのに))
ペチュニア
「もう遅いわ。
死面装仮から逃げられない。」
N
ペチュニアは死面装仮で
民間兵を1箇所にまとめて捕縛した。
そしてシュルシュルと音を立てながら
それぞれの首に布を巻き付けると上空に打ち上げた。
ペチュニア
「怖がることないわ。
死ぬ時は...みんな一緒よ。」
『嬉遊心中曲』
N
そして民間兵が落下すると同時に
ガクンと止まり
一斉に首を吊った様な光景が広がった。
ペチュニア
「...あっ」
N
ペチュニアが見た目線の先には
幼い男の子が幼い女の子2人を守るように
震える手で拳銃をペチュニアに向けていた。
その隙を見て幼い女の子達は男の子を置いて
泣き叫びながら逃げていった。
ペチュニア
「...死にたいの?」
N
男の子はガタガタと震えながらも
後退りもせず
ペチュニアの前に立っていた。
ペチュニア
「あの2人は妹?...そう。妹なのね。
フフッ...幼い妹達を守る兄...か。
もしかして...オトリにでもなったつもり?
滑稽ね。死になさい。」
N
ペチュニアは死面装仮を
幼い男の子に向けて放った。が。
喉元ギリギリで止めた。
ペチュニア
「ねぇ。銃口を向けるって事は
殺す覚悟があるのよね?」
N
幼い男の子は足を震わせ
泣きながらペチュニアを見ているだけだった。
ペチュニア
「...あるの?無いの!?
答えなさい!!!!!!!」
N
男の子は首を横に振った。
ペチュニア
((ムシズが走る))
N
ペチュニアは生き別れた兄が
脳裏に浮かんでいた。
ペチュニア
((ムシズが走るッ))
((ムシズが走るッッ))
((ムシズが走るッッッ!!!))
ペチュニア
「人を殺す覚悟もないくせに!!
メソメソ泣いてるくせに!!
本当は怖いくせに!!!
殺される覚悟も!!
殺す覚悟も無いくせに!!
人を守ろうとするな!!!!!」
N
ペチュニアは拳銃をはたき落とすと
男の子の胸ぐらを掴んだ。
ペチュニア
「何故、逃げないの!!!
私はあなたを殺すと言ってるの!!」
ペチュニア
((私...何言ってるんだろう))
ペチュニア
「あなたが死んだら妹達はどうなるの!?
誰があの子達を守るの!?!?
今は戦争中なのよ!?
あなたがいなくなったら
どんな目に遭うか分からないの!?!?
辱められて、自由も無くして!!
捕らえられて!!
毎日!!毎日!!毎日!!毎日!!
苦しくても!!ツラくても!!!
逃げ出したくても!!
どこにも居場所なんてない!!!!!
私は...強くなるしか無かった。
妹を守るために嘘をつくしか無かった。
どんなに...ツラくても耐えた。
言う事を聞くしか...無かった。
人を殺すしか...無かった!!!!
ただ...迎えに来てくれる事を...
願うしか...無かった。」
N
そして、ペチュニアは膝から崩れ落ちた。
ペチュニア
「...今すぐ逃げなさい。
ここから遠くへ。
妹たちを連れて...どこか遠くへ。
いいわね?早く!!!!」
N
男の子は震える身体を抑えながら
強く頷くと妹達が逃げた方向へ
走っていった。
そして、男の子は振り返り
ペチュニア に向かって手を振った。
ペチュニア
「バカ!!早く行きなさーーー」
N
その瞬間
男の子の頭が吹き飛んだ。
ペチュニア
「...そんな!!」
サフィニア
「アヒャアヒャアヒャアヒャ!!!
お姉ちゃーん!!逃げられちゃってるよ??」
ペチュニア
「サフィニア!!!
どうして!!!!」
サフィニア
「C地区はもう殺す人がさぁ!!
いなくなっちゃってさ!!!
こっち側に来ちゃった!!!
僕が手伝ってあげるよ!!!!」
ペチュニア
「...サフィニア
女の子2人を見なかった?」
サフィニア
「うーん。覚えてないや!!
多分、殺したんじゃないかな!!」
ペチュニア
「...そんな」
サフィニア
「ねぇ、お姉ちゃん!!
そんな事より早く終わらせてさ!!
今日もティンティンの所に行こ!」
N
サフィニアはそういうと
双死想哀を空に向けた。
サフィニア
「はぁ...試したかったんだぁ。この技!!
お姉ちゃん見ててね!!
本当にすごいんだから!!!」
N
キュイィィィンッと双死想哀が
赤く光り始めた。
サフィニア
「降り注ぐ光の雨!!!」
『終わらない夜にしがみつくの!!!!』
N
双死想哀から放たれた無数の赤い光線が
A地区全体に降り注いだ。
サフィニア
「ね!?綺麗でしょ??」
ペチュニア
「...うん」
サフィニア
「あ!!僕、町のみんな見てくるね!!
どんな顔してるか気になるからさ!!
アヒャアヒャアヒャアヒャアヒャ!!」
ペチュニア
「...サフィニア。お姉ちゃんね...」
サフィニア
「ん?お姉ちゃん今日なんかおかしいよ?」
ペチュニア
「...そうかな?別に普通だけーー」
ラベンド
「避けてサフィニアさん!!」
サフィニア
「え?」
ラベンド
『糸跳!!!』
N
激しい土煙が上がりその中から
サフィニアがラベンドに抱えられ
ペチュニア の元に移動してきた。
ラベンド
「...間にあった!!!」
サフィニア
「何してんのさ!!」
ペチュニア
「グッ!!ラベンドどう言う事!?!?
ってその傷!!!どうしたの!!
銃弾なんて私達に効くわけーー」
ラベンド
「今はそんな事話してる場合じゃーー」
コリス
「ガルルルルッ!!」
ペチュニア
「コリス!?」
サフィニア
「待ってお姉ちゃん!!」
ペチュニア
((早い!!))
N
人獣化したコリスが
ペチュニア達に襲いかかってきた。
ペチュニア
「死面装仮!!!!!
グッ!!!どう言う事!?コリス!!」
ラベンド
「ペチュニア さん!!」
コリス
「ペチュニア !!」
間
ラベンド
「離れて!!!奴は敵です!!」
ペチュニア
「え!?」
サフィニア
「お姉ちゃんから...離れろ!!!!」
『怒りを力に変えて!!』
コリス
「チッ。追尾光線か!!!早いな。
なら...これならどうだ!!」
『 与奪強化・疾豹爆誕!!』
N
コリスはガレキを乗り越えながら
血の入った小瓶を
白い触手で取り込むと
雄々しいライオンの様な姿から
長い手足に細身なチーターの様な姿へと変わった。
コリスは素早く光線を躱し
他の建物に光線を着弾させた。
コリス
「サフィニア。さっきの光線の雨はお前か?」
サフィニア
「だから何?」
コリス
「やっぱりか。」
ペチュニア
「コリスどう言う事!!」
ラベンド
「僕の狂音祭の糸も
全て断ち切られました。
様子が変だと思って見に行けば
コリスさんが...」
ペチュニア
「それでその傷なのね。
コリス。あなた何してるか分かってるの?」
コリス
「...ペチュニア 。
何してるか分かってる...ってか?
お前達こそ何してるか分かってんのか?
無実の人を巻き込んで殺してる。
その自覚はあるのか!!!!」
ラベンド
「それは!!!
分かって...ますよ。」
サフィニア
「サラセニア様にバレたらヤバいねコリス。
その前に僕が殺してあげるよ。」
コリス
「サフィニア。
俺たちは自由になれるんだ。
もう、この町を
町の人々を殺さなくていいんだ。
みんなでラミオラスから逃げよう。」
ペチュニア
「何を...言ってるの?
これが任務なのを忘れた?」
コリス
「忘れるわけ無い!!!!
任務?試験!?そんなの俺には関係ない!!」
ラベンド
「やめてください!!コリスさん!!!
そんなことしても!!
殺されるだけです!!無意味だ!!」
コリス
「無意味なんかじゃ無い!!!
無意味なのはお前達だ!!!!
嫌じゃなかったのか!?!?
ツラくなかったのか!?!?
身体をイジられて脳も掻き回されて!!
昨日まで生きてた奴が
試験を失敗しただけで殺される!!!
そんな毎日を送って嫌じゃ無いのか!!」
ペチュニア
「仕方ないじゃない!!!
そうするしか生きていけないんだから!!
そうするしか道がないから
私達はここにいるの!!!!!」
コリス
「俺は嫌だ!!
そうする道なんて選びたくない!!!
俺は...俺は...何をすればいいのかさえ!!
顔色を伺って指示がないと
動けなくなったんだ!!!!」
ラベンド
「...それは」
コリス
「そうだろ?ラベンド!!
分かるだろ??お前なら分かるだろ!?
下手なことをすれば殺される!!!
拘束されたり閉じ込められたりするのは
時間が経てば解放されるかもしれない!!
だけど!!!
俺たちは心の自由まで奪われたんだ!!」
ラベンド
「そんなこと...分かってますよ!!!!
だけど、選択肢が無い事も
分からないんですか!!
自分達が死んだら何の意味もない!!」
コリス
「死んだ方がマシだ!!!!!!
そんなの生きてないのと変わらない!!
世界はもっと自由で...
やりたい事を選べるんだよ。
だから...みんなで逃げようよ」
サフィニア
『始まる恋• と 終わった恋』
N
コリスの肩を光線が貫いた。
コリス
「ガハッッ」
サフィニア
「僕は知ってるよ。
コリスみたいな奴はすぐ死ぬんだって」
ペチュニア
「サフィニア!!!」
サフィニア
「僕は間違ってないよ。
このまま逃せば残った僕らが殺される。
例え逃げたとしても
すぐ見つけ出されて殺される。
生きる方法は1つしかない。」
コリス
「じゃあいいのか!!!
俺たちが生き残って
他の人が死んでも!!!!!」
サフィニア
「構わない。
お姉ちゃんと一緒にいられれば
僕はそれ以上何もいらない!!!!」
ペチュニア
「...サフィニア」
コリス
「何...だと?」
ラベンド
「...おかしいと思いました。
警報の鳴る早さ。
武装した民間人。
平日なのに稼働してない工場。
前から計画してたんですね」
コリス
「ぁあ、そうだ。
俺たち4人が逃げられる為に
ずっと前から準備してきた。
なのに...どうして!!!!!!」
ペチュニア
私の心は大きく揺れていた
心の中でコリスが正しいかもしれない
私も一緒に逃げたいと
そう、思っていたから。
ラベンド▶︎▶︎▶︎N
----------------------------
N
時は遡り1年前
第7 魔装研究所にて
サラセニア
「ンフフフッ!!!鬼人化。
凄まじい身体能力や刃汽の上昇率!!
流石!!君主のなせる技ですね!!」
サフィニア・ペチュニア
「アガッッ...ガガッ...ガガッ」
サラセニア
「しかし、中々...
コントロール出来ないものですね。
同じ双子なのに結果が異なる。
それは何故でしょうか。
遺伝的情報は全て同じなのに。
違いと言えば...性格ですかねぇ。
んーー。やはり感情の制御というものが
深く関わってるような気もします。」
N
するとサラセニアは
サフィニアの手首を折った。
サフィニア
「ギャァァァァァァア!!!!!!」
ペチュニア
「サフィニア!!!!
お願いです!!サラセニア様!!!
もう!!!妹は!!!」
サラセニア
「ふむふむ。なるほど、なるほど」
ペチュニア
「どうか今日は休ませーー
ガガガガガガガガガガガガ」
サフィニア
「お姉ちゃん!!!!!!
離せ!!!離せ!!!!!!
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!
お姉ちゃんに手をーー」
サラセニア
「なるほど」
サフィニア
「ガガガガガガッ」
N
サラセニアは電気を流し
双子の反応の違いを見ていた。
サラセニア
「やはり数値が良いのは
#0051 ですね。
ただ、上昇率は#0052ですが
どちらも捨てがたい」
ペチュニア
「サラ...セニア...様」
サラセニア
「あっ。」
サフィニア
「ガハッ」
N
サラセニアは電気を止めると
見向きもせずに言った。
サラセニア
「もういいですよ。
帰ってよろしい。」
ペチュニア
「はい。...おいでサフィ」
サラセニア
「私めてっきり天鵞絨 牛鬼の拒否反応かと
思って調べていたのですが
そうでは無さそうですね。」
N
ブツブツと言うサラセニアに頭を下げて
ペチュニア はサフィニアと共に実験室を出た。
コリス
「よ。」
N
そこに現れたのは
少し年上のコリスだった。
ペチュニア
「何。私急いでるの」
コリス
「サフィニア。少し痛むッゾ!!」
サフィニア
「アギャァァァ!!」
N
サフィニアは叫んですぐ気を失ってしまった。
ペチュニア
「何してるの!!!!」
コリス
「おーおーおー
そんな怒るなって骨を戻したんだよ。
こうしておけば
サフィニアならすぐ治るだろ。
包帯も巻いてやろうか?
...いや。軽く鬼人化して治した方がいいな。
明日も折れた所をイジられたら嫌だろ?」
ペチュニア
「軽くって。サフィニアは
コントロールできないの。無理よ。」
コリス
「ふーん。サフィニアは。ねぇ。」
ペチュニア
「何。
話しかけないで。
何で毎回、そこにいるのよ
邪魔なんだけど」
コリス
「あっ。ちょっと来いよ!!」
ペチュニア
「見てわかんないの?
サフィニアが怪我してるから!!」
コリス
「いい奴がいるんだよ!
見せてやるよ!!」
ペチュニア
「いい奴を見せる?
どう言う事?」
サフィニア
「ゥッ...お姉ちゃん。」
ペチュニア
「サフィ!!
早く戻ろうね。」
コリス
「お!サフィニア!!
お菓子食べるか?」
サフィニア
「お菓子...食べる」
コリス
「な?食わせてやるから
ついてこいよ!!」
サフィニア
「行く」
ペチュニア
「ちょっとサフィ!!」
N
そう言ってコリスは
研究所内の倉庫へと入っていった。
ペチュニア
「何よここ。備品室だけど?」
コリス
「待っとけ...っと
おーあったあった。
ほれ、サフィニア」
N
コリスはお菓子が沢山入った箱を
サフィニアに渡した。
サフィニア
「えー!!全部食べていいの??」
コリス
「全部はダメだ!!
俺の分も残しとけよ?
あと、ペチュニアの分もな!!」
サフィニア
「はーい!!!」
N
サフィニアは勢いよくお菓子を食べ始めた。
ペチュニア
「これどうしたの!?!?
こんなのバレたら...」
コリス
「実はな...」
N
コリスは1番下の棚の段ボールをどかした。
そこには通気口がありフタを外すと
子供1人が通れるほどの穴があった。
コリス
「ついてこい!静かにな!!」
N
ペチュニアとコリスは通気口に入り
少し進むと小窓が見えた。
そこをこっそり覗くと
1人の男がコーヒーを飲む姿があった。
コリス
「アイツだ。」
ペチュニア
「...あっ」
コリス
「見たことあるだろ??モンティって言うんだ。
俺は"変態おじさん"って呼んでる」
サフィニア
「え?ティンティン??...あっ」
N
男は突然コーヒーを吹き出し、むせ始めた。
コリス
「静かにしろよ!!!」
ペチュニア
「バレたじゃないの!!!」
N
男はめんどくさそうに
小窓に向かってお菓子を投げ入れた。
そのお菓子にはメモが付いていた。
コリス
「あーー。相手できない時は
お菓子だけくれるんだよ。
メモには何て書いてある?」
ペチュニア
「客が来るって書いてある」
サフィニア
「え?見せて見せて!!」
コリス
「やべーな!戻ろ!」
N
コリスは備品室に戻ると
平らげられたお菓子に驚いていた。
コリス
「おい!サフィニア!!
全部食ったろ!!」
サフィニア
「え?」
コリス
「え?じゃねえーよ!!
あっ!!さっきモンティからもらったお菓子も
全部食べやがったのか!!!」
サフィニア
「えへへへ。」
ペチュニア
「もう、サフィったら」
サフィニア
「あ、そう言えば
メモの裏にちっさく書いてあったよ!
デートするなら
もっとマシな所連れていけって!!
...デートって何?」
N
するとペチュニア とコリスは
顔を真っ赤にしてあたふたしていた。
コリス
「え!?で、で、でぇと?」
ペチュニア
「や、やめてよ!!
ふ、不謹慎!!!」
サフィニア
「あと、アオハルかよって書いてあったよ!
アヒャアヒャアヒャアヒャアヒャ!!」
コリス
「それセイシュンって読むんだぜ?」
コリス・ペチュニア
「プフッ...アハハハハ!!」
サフィニア
「ん?」
ペチュニア
「本当、サフィニアってバカね!」
コリス
「...ペチュニア が笑ってるの初めてみた。」
ペチュニア
「え?」
コリス
「結構、可愛いじゃん」
ペチュニア
「え!?」
サフィニア
「ムゥ!!お姉ちゃんは渡さないぞ!!」
コリス
「何だよそれ!!」
N
それからペチュニアとコリスは
拷問の様な日々の中
2人きりでちょくちょく備品室で
会うようになった。
コリス
「でな!!モンティが言うんだよ!!
所長!!今日の寝癖もパないっすねって!!
知ってた?あれ寝癖なんだって!!」
ペチュニア
「え!?そうなの!??
変な頭だもんね!!!」
コリス
「あ、もう行かないと!!
じゃあおやすみ!!バレんなよ!!」
ペチュニア
「うん。」
N
そう言って立ち去るコリスを
ペチュニアは寂しげに見つめると
自身の部屋に帰っていった。
すると、そこにはサフィニアが待っていた。
サフィニア
「んーー??お姉ちゃん
また今日も備品室??」
ペチュニア
「はい。お菓子」
サフィニア
「やった!!!!
これだからユスリはやめられないね!」
ペチュニア
「ちょっと!!
そんな言葉どこで覚えたの??
あ!!またモンティでしょ??」
サフィニア
「だってお前らは俺をユスってんのか!
って言ってたから意味聞いたんだもーん!」
ペチュニア
「はぁ。ろくな大人じゃないわね。」
N
そしてある夜の備品室
そこにはコリスとペチュニア がいた。
コリス
「...あのさペチュニア 」
ペチュニア
「どうしたの?急に」
コリス
「俺達がこのままラミオラス帝国軍に
入隊したらその後どうする?」
ペチュニア
「うーーーん。
ラミオラスの為に尽くすんじゃないかな?
まだ分かんない。」
コリス
「そっかぁ。
俺はもっと世界を見てみたいなぁ。
自由に生きてさ!!自由に笑って
自由に寝る!!それで...自由に」
ペチュニア
「自由に?」
コリス
「人を好きになる。」
ペチュニア
「...え?」
コリス
「やべ!!
もう戻らないとな!!!
俺もう行くわ!!」
ペチュニア
「あ、う...うん。」
コリス
「あ、ペチュニア !!」
ペチュニア
「どうしーーえ?」
N
コリスは去り際
ペチュニアの唇に
そっとキスをした。
コリス
「考えといてなー!!!」
ペチュニア
「え?考えといてって...何を!?」
コリス
「おやすみ!!ペチュニア !!」
N
そう言って
コリスは備品室を出ていった。
ペチュニア
「...おやすみ。コリス」
----------------------------
※音楽がある場合 鳴り止むまで待つ
サラセニア▶︎▶︎▶︎N
N
そして時は巻き戻り
コリスとの思い出と
突きつけられた現実の狭間に
ペチュニアは囚われていた。
コリス
「...ペチュニア!!一緒にーーー」
ラベンド
「分からない!!!
僕には何が正しいか分からない!!!
だけど今!!コリスさんと
一緒に逃げ出したら!!
今までの行いを!!!
人を殺した事実を!!
否定することになる!!
だから!!!正しいと思うしかない!!!」
コリス
「今ならまだ償える!!!
まだ間に合うんだラベンド!!!」
サフィニア
「グダグダうるさいなー。
殺ッちゃえばいいじゃん!!
手引きしてた裏切り者でしょ?
そんな奴に着いて行って
また裏切らない保証なんてないじゃん?
だから僕と戦おうよ!!コリス!!!」
コリス
「なん...だと?
俺は!!!お前らの為に!!!」
サフィニア
「自分の欲求の言い訳に
他人を使うんじゃねーよ。もう死ねって」
『始まる恋• と 終わった恋!!』
コリス
「サフィニッッガハッ!!
ウグッ...サフィ...ニア...」
ラベンド
「コリスさん
国を裏切ったので...あれば...やむを得ません。
僕らは...こうするしか...ない!!」
『糸縛糸愛死!!』
N
豪糸断弾の糸が
コリスの身体に巻き付き拘束した。
ラベンド
「ペチュニアさん!!今です!!!
何してるんですか!!!
ペチュニアさん!!!」
N
ペチュニア の思考回路は渦を巻いていた。
ペチュニア
((逃げたい。
でも逃げられない。
サフィニアをどうするの?
今のままのサフィニアを連れて逃げるなんて
無謀すぎる。
もしバレたら?サフィニアが殺される!!
私がコリスを止められなかったら?
4人とも殺される。
サフィニアを傷つけられたくない
世界にたった1人の妹だから。
でも...コリスも傷つけたくない...だって))
ラベンド
「ペチュニアさん!!!!
グッ、力が強い!!抜け出されます!!」
サフィニア
『始まる恋• と 終わった恋』
「終わった恋!!
終わった恋!!!!
終わった恋!!!!
終わった恋!!!!
終わった恋!!!!
アヒャアヒャアヒャアヒャアヒャアヒャ!!」
ペチュニア
「...コリス...
コリスウゥゥゥウッ!!!!」
サフィニア
「アヒャアヒャアヒャアヒャアヒャ!!
死ね!!!死ね!!!死ね!!
死んでなくなれぇええええ!!!」
ラベンド
「...すみません。コリスさん!!!」
『奏爪槍雨!!』
コリス
「グァァァァア!!!!」
ペチュニア
「...コリス」
N
サフィニアによる光線の連射
ラベンドによる糸の槍の数々
土煙の中で確かに聞こえる叫び声
雁字搦めになった感情が
ペチュニアの動きを止めていた。
サフィニア・ラベンド
「はぁ...はぁ...はぁ」
ラベンド
「これで...終わりました...ね。」
サフィニア
「案外、楽勝だったね!!ラベンド!!」
ラベンド
「そうです...ね。ん?」
N
突如、ドーーンッと爆発が起こった。
ラベンド・サフィニア・ペチュニア
「ッッグッ!!!!!」
N
重く
そして、鈍く
押し潰された刃汽が
一気に解き放たれるように
土煙の中から禍々しい刃汽が
溢れ出していた。
サフィニア
「どう...して」
ラベンド
「嘘だ...嘘だ嘘だ!!!!」
サフィニア
「...あれ?...口上も...
唱えてない...のに...」
ラベンド
「これは...」
ペチュニア
「鬼人化!!!!」
N
赤い肌に2本の黄金のツノ
両腕から生えた刃に白髪
紛れもなく
鬼人化の姿だった。
コリス
『『我...艶鬼...ナリ』』
「グォオオオオオオオオ!!!!」
ペチュニア
「逃げて!!サフィニア!!ラベンド!!」
サフィニア
「お姉ちゃーーーー」
N
刹那、サフィニアが吹き飛んだ。
ペチュニア
「サフィニア!!!」
ラベンド
「鬼人化なんて...相手にしたら...」
ペチュニア
「私達じゃ太刀打ち出来ない!!」
ラベンド
「それに...人型」
ペチュニア
「人型に近ければ近いほど...強い。
これは...勝てる気が...しない...わね」
ラベンド
「グッ!!掴まってペチュニアさん!!」
『糸跳』
N
ラベンドは糸を弾いてペチュニア と共に
サフィニアが吹き飛ばされた方角へ跳んだ。
ラベンド
「こんなことになるなんて!!!
口上も言ってないのに!!」
ペチュニア
「サフィニア!!!」
サフィニア
「ウグッッ...お姉...ちゃん
僕は大丈夫...だよ」
ペチュニア
「...傷は大丈夫。浅い。
ラベンド!!一旦引く!!」
ラベンド
「分かりましーーーグッアッ!!」
ペチュニア
「早い!!」
コリス
「ジユウ...ニ...ナロ...ウ...
ジユウニィィィイ!!!!!」
ペチュニア
『輪舞輪舞輪!!!』
N
黒い布がコリスに襲いかかる。
刃で応戦するコリスだが
死面装仮には通らなかった。
ペチュニア
「コリス!!!目を覚まして!!!
そのままだと堕天するわ!!!」
コリス
「ジユウ...ニ...ナーーー」
ラベンド
『奏爪槍雨!!』
サフィニア
『始まる恋• と 終わった恋!!』
コリス
「ガッハッッ!!!グアッァァア!!
ジユウニ!!ジユウニ!!
ナルォォオオオオオオ!!!」
N
黒い布の隙間から
無数の糸の槍と光線がコリスを貫いた。
しかし、コリスは怯むことなく
突進してきた。
ペチュニア
「接近戦は不利!!
距離をとって応戦する!!!」
コリス
「ペチュニアァァア!!!」
ペチュニア
「死面装仮!!」
『輪舞輪舞輪!!!』
N
コリスは軽々と避け
ペチュニアを斬りつけた。
ラベンド
『糸縛糸愛死!!』
「させませんよ!!ググッ!!
力が強すぎ...る!!!
すぐに突破されます!!サフィニアさん!!」
サフィニア
『始まる恋• と 終わった恋!!』
コリス
「アガッガッッッッッ」
ラベンド
「効いてない!?!?マズイ!!
糸縛糸愛死が切れます!!」
N
ラベンドが叫んだ瞬間
すでに三人は切り裂かれていた。
ラベンド・ペチュニア ・サフィニア
「グハッッッ」
コリス
「ジユウ...ナロ...ウ...ミンナ...デ」
ラベンド
「ガハッ...未熟で...中途半端な...
僕らが...グッ...
逃げたところ...で...自由なんて...
...ありませんよ」
サフィニア
「サフィニア...ちゃん...
怒った...もん...ね」
コリス
「ジユウ...ニ!!!ナル!!」
サフィニア
『『前略、あの人へ!!!!』』
N
超特大級の光線がコリスを包んだ。
コリス
「グァァァァァァァァア!!!!」
ペチュニア ・ラベンド
「ッッッ!!」
ラベンド
「やりました...か...」
コリス
「ハァ...ハァ...ハァ!!
ジユウニ!!ジユウニ!!ジユウニ!!
ジユウニ!!!ジユウニィィィイ!!!」
ペチュニア
「まだ生きてる...の!?!?」
サフィニア
「ハァ...ハァ...おもしろっ」
N
身体の半分を抉られたコリスは
両腕の刃を地面に突き刺した。
コリス
「ジユウニナルゥゥウッツ!!」
ラベンド
「何か...する気です!!
ウグッ...止めなきゃ!!」
ペチュニア
「何を...するの」
サフィニア
「あれ?...力が入ら...ない」
N
するとコリスの傷が
みるみる塞がっていった。
ペチュニア
「マズイ!!!死面装仮!!」
N
ペチュニア はとっさに
死面装仮で自分と
サフィニアとラベンドを上空へと運んだ。
ラベンド
「グッ...助かりました。
今のうちに僕の糸で傷を縫合します!!」
N
ラベンドは豪糸断弾で
ペチュニア とサフィニアの傷を
縫合し始めた。
サフィニア
「何が...起こって...」
ペチュニア
「見て...町の木々や森が枯れてる!!」
ラベンド
「まさか...生命力を吸ってるんですか!?」
サフィニア
「だから僕もさっき力が抜けたんだ...」
ラベンド
「でも...それって...」
ペチュニア
「この町の人々の生命力も吸ってる。
って事よね。」
サフィニア
「アヒャアヒャアヒャアヒャ!!
結局、自分が1番殺してるじゃん!!」
ラベンド
「皮肉ですね。
彼が言っていた自由とは
人の屍の上に立つ事で
成り立とうとしている」
N
するとペチュニアが寂しげな表情で
コリスを見ながら静かに口を開いた。
ペチュニア
「バッカみたい...
やっぱり私達はどの道を選んでも
幸せになんて...なれないのよ。」
サフィニア
「僕はもう行くね!!」
ラベンド
「ちょっ!!サフィニアさん!!」
N
サフィニアはそう言うと
コリスに向かって突撃した。
ペチュニア
「待ってサフィ!!!」
サフィニア
「ねぇねぇねぇ!!
殺し合おうよ!!!コリスゥ!!
アヒャアヒャアヒャアヒャ!!」
コリス
「サフィニアァァァァァァア!!」
N
コリスとサフィニアは
目にも止まらぬ速さで
攻防戦を繰り広げていた。
サフィニア
「ウラッ!!!グッ!!オラァッ!!」
コリス
「ガッ!!ジユウ!!ニ!!ナル!!」
サフィニア
「ドォリャァ!!!ガハッ!!ハァァッ!!」
コリス
「ガッ!!ジユウ!!サフィニアァァァ!!」
ラベンド
「サフィニアさん...凄い。
鬼人化したコリスさんと...」
ペチュニア
「サラセニア様が言ってた。
口上を詠唱する事により発動し
驚異的な刃汽の増加と
身体能力の大幅な上昇
それに伴う容姿の変容と
鬼人化以前と解除後の傷の回復
急激な変化に意識が混濁し
意思疎通もままならなくなる。って。」
ラベンド
「ッッ!!じゃぁ、あの傷の回復は...」
ペチュニア
「そう...鬼人化を解けば
ある程度傷は回復するけど
鬼人化状態のままでの傷の回復は
鬼人化の能力にはない。
明らかに他の理由が起因してる。」
ラベンド
「他の細胞を取り込んで能力にする
...胞咽暴触 の 生奪吸引なら
それが出来るって事ですね。」
ペチュニア
「...つまり。
対鞘花特殊魔装兵器 は
鬼人化との親和性が高い。」
ラベンド
「...それって」
ペチュニア
「元々、鬼人化を想定して造られたって事よ」
N
ペチュニアは拳をグッと握りしめ
コリス達を見つめていた。
サフィニア
『怒りを力に変えて!!』
コリス
「グォォォォォオオオオオオ!!
ジユウニ!!!!!!」
ペチュニア
「サフィ!!!!」
ラベンド
「マズイ!!加勢します!!!!」
ペチュニア
「待って!!!」
ラベンド
「何を今更!!!
このままじゃサフィニアさんが!!
それにコリスさんは意識がままならない!!
このままじゃ堕天する!!!
もう二度と鬼人化状態から
戻らなくなるんですよ!!??」
ペチュニア
「分かってる!!!」
ラベンド
「じゃあなんで!!!!」
ペチュニア
「分からない!!!
分からないけど!!!!」
ラベンド
「ッッ!!くだらない感情なんて
今は要りませんよ!!!!!!」
『奏爪槍雨!!!』
N
ラベンドは糸を収束した無数の槍を
コリスに向かって放った。
ペチュニア
「ラベンド!!!」
サフィニア
「邪魔だっての!!!!」
ラベンド
「1人じゃ無理です!!」
コリス
「ラベンドォオオ!!サフィニアァァ!!」
ラベンド
「僕が地面をひっくり返して
足場を奪います!!!
サフィニアさん!その隙に!!!!」
『大地鳴糸!!』
サフィニア
「アヒャアヒャアヒャアヒャ
コリスゥゥウッ!!あーそぼ!!!!!」
『始まる恋• と 終わった恋』
「終わった恋!!終わった恋!!」
コリス
「ガハッッッ
ジユウ...ニ...ナル!!!
ジユウニィィィイ!!!!!!」
サフィニア
「ヤバっーーー」
ラベンド
「サフィニアさぁあぁあん!!」
N
コリスの刃が2人を貫いた。
サフィニア・ラベンド
「ガハッッッ
ゴホッゴホッゴホッゴホッ」
N
そしてザクッザクッと
何度も刺していく。
ラベンド・サフィニア
「ガハッッッグッアッ
グッ!!ゴホッゴホッグァァッッ」
ラベンド
『糸跳!!!!!』
N
ラベンドは糸を弾いて
サフィニアを抱え後方に跳んだ。
サフィニア
「グハッッ...ゴホッゴホッゴホッ!!!」
ラベンド
「まだ...迷ってるんですか...ゴホッゴホッ
傷が...深い...サフィニア...さ...ん」
サフィニア
「まだ、鬼人化が...あ...る!!」
ラベンド
「ダメ...だ!!!使ったら...
戻れ...なくなる...リスクの方が高いです!!」
サフィニア
「それでも...死ぬ...くらい...なら!!!」
ラベンド
「僕が治します...から!!!」
サフィニア
「うるっさい!!ラベーーーーー」
ラベンド
「ッッ!!これは...」
コリス▶︎▶︎▶︎N
N
ペチュニアはこの時
サラセニアとの会話を思い出していた。
----------------------------
サラセニア
「#0051
何故、鬼人化を頑なに拒むのですか?」
ペチュニア
「申し訳...ありま...せん。」
サラセニア
「#0052は
嬉々として鬼人化したがる反面
双子の片割れがこうも拒むのも
とても興味深い反応ですね。
出来ない訳ではなく。しない。
本当に双子なのかと疑うくらいですよ。
こちらを見て下さい。」
N
そう言うとサラセニアは
データが記された紙を渡してきた。
ペチュニア
「これは...」
サラセニア
「これは鬼人化した際のデータです。
以前、仮想シュミレーターで
擬似肉芽を使った実験を
覚えていますか???」
ペチュニア
「はい。」
サラセニア
「前提として言っておきますが
魔装兵士として最低限のシンクロ率は48%
この基準はとある魔装兵士...
名前は伏せますが
スズーラ= ◯モンを基準としています。
それを踏まえた上で見て下さい。
こちらは#0052のデータです。
通常開放時のシンクロ率は77%
そして、鬼人化後のシンクロ率は89% 。
なぜ、魔装兵器と鬼人化の数値を
話してるかと言うと
シンクロ率はそのまま
刃汽、身体能力の向上値と同義だからです。
ちなみに、神滅ではない
魔装兵器のシンクロ率の上限は89%
#0052は
とても優秀な魔装兵士という事です。」
ペチュニア
「...そうなんですね。」
サラセニア
「対して#0051
あなたの開放時のシンクロ率は89% 」
ペチュニア
「え!?」
サラセニア
「意味が分かりますか?
スタートラインが頭打ちなんですよ。ンフフフ
という事は?」
ペチュニア
「鬼人化したら...」
サラセニア
「そう!!!!!!
こんなデータは見たことありません!!!
何と素晴らしい!!ビリビリガール!!!
#0051!!あなたは特別な鬼ノ子!!
そう!!神に!!!いや!!君主に!!
いや、君主ッッッッに!!
選ばれた選別の儀の奇跡!!
分かりますかぁ??聞こえてますかぁ??
私め達は無理矢理にでも鬼人化させる事も出来た!
追い詰めて!!追い詰めて追い詰めて!!!
だがしなかった!!!!
それは何故か分かるでしょーうか!!
ハイッそこのビリビリガール!!」
ペチュニア
「え、えっと...それはそのーー」
サラセニア
「ハイッ正解、ワチュガドューヤ!!
私めを含めた神滅適合者のシンクロ率は
90% 以上です。
なぜ100% じゃないのか!!!
それは、それ以上、計っても無意味だからです。
80% までなら努力で上げることは出来ます。
89% までは才能に左右されます。
そして!!90% からは神の領域。
自分でどうこう出来るレベルではないのです。
仮にもし、あなたが鬼人化して
コントロールが効かない場合
私めも殺す気で止めなければいけない。
殺さぬ様に屠るのは大変なのです。
ましてや、研究所も破壊しかねませんからね。」
ペチュニア
「...はい。」
サラセニア
「なので、改めて言う為に呼んだのです。」
ペチュニア
「改めて?」
サラセニア
「鬼人化を拒み続けても構いません。」
ペチュニア
「え?」
サラセニア
「ただし...」
----------------------------
N
ーーそして現在ーー
サラセニア▶︎▶︎▶︎N
ペチュニア
「愛した者を殺すとき使いなさい」
コリス
「ジユウニ!!!ナル!!!!!!」
ペチュニア
コリスを見れば
楽しかった日々を思い出す。
コリスを見れば
自由になりたいと願ったあの日を思い出す。
コリスを見れば
胸が苦しくなって泣きたくなる。
コリスを見れば
手を伸ばしたくなる。
サフィニアとは違う
触れていたくなる様な苦しい気持ち。
だから私は
何も出来ずにいる。
傷つけるのが怖い
コリスに傷つけられるのが怖い。
だから終わらせよう。
もう...愛なんて
いらない。
ラベンド
「...身体が...震える...これは...寒気...?」
サフィニア
「...寒い...よ」
ラベンド
「違う!!これは...畏れ...
莫大な刃汽が
町を呑み込んでる...
一体!!何が起こってるんだ!!!」
サフィニア
「お姉...ちゃん?」
コリス
「ペチュニアァァァァァァア!!」
ペチュニア
『身降ろし身降ろし
袖ツリ墓場
灯しべ灯しべ堕つべき仲間
捧げし捧げし我が子の命
我が此の命....』
『『我...隠形鬼ナリ!!』』
サフィニア▶︎▶︎▶︎N
N
場面変わり第7 魔装研究所
モニタールームにて
サラセニア
「ンフフフッッ
ンフフフッッッッ
ンフフフッッッッッッッッ!!!
素晴らしい!!!!!
何と素晴らしい!!!!!!!
これが!!!!#0051の鬼人化!!」
N
サラセニアはまたもやキーボードを
カタカタと鳴らしていた。
サラセニア
「シンクロ率!!!やはり90% 以上!!!
君主!!!!
君主!!!!!
しかも...ハッ!!!
自我を保てている!!!!!!
完全に!!!!
コントロール下に置いている!!!
遂にやりました!!!君主!!
いや!!!君主ッッッッ!!!
第三世代鞘花計画 OGA !!
超科学と天鵞絨 牛鬼の能力で
鞘花に匹敵する兵器を
作り上げられました!!!
全てはこの日の為に!!!
ンフフフッッ!!
よくやりましたね。#0038
あなたの裏切りとその幼稚な計画
そして、くだらぬ感情!!!
全て利用させてもらいましたよ。
ンフフフッッッンフフフッッ
たまには見て見ぬふりして
実験体同士の戯れに
付き合ってみるもんですねぇーー!!
まさに愛!!故なのです!!!
ンフフフッッンフフフ!!!!!」
N
ーーペチュニアサイドーー
サラセニア▶︎▶︎▶︎N
ラベンド
「ペチュニア ...さん?」
サフィニア
「お姉ちゃん...それ...鬼人化」
N
黒い肌に白い瞳
紫色に伸びた美しい髪
迸る刃汽はまるで
圧倒的に君臨する女王そのもの
故にラベンドとサフィニアは
畏しく感じた。
辺り一面に広がる黒薔薇の香りでさえも
生命を鎖す
死の香りに感じた。
ラベンド
「ぺ、ペチュニアさん?」
サフィニア
「お、お姉ちゃん?」
ペチュニア
「...ラベンド。サフィニア。下がってなさい。」
ラベンド
「自我がある!!
サフィニアさんここは下がりましょう!!」
サフィニア
「そんな!!お姉ちゃんばっかズルーー」
サフィニア・ラベンド
「グッ!!!」
ペチュニア
「邪魔よ。」
N
ペチュニアは死面装仮で
サフィニアとラベンドを吹き飛ばした。
ペチュニア
「これ以上...サフィニアを
傷つけないでもらっても
いいかしら?コリス」
コリス
「ジユウ...ニ!!ナルノハ...オレダ!!」
N
一瞬で消えたコリスは
ペチュニアに斬りかかるも
簡単に避けられ死面装仮で
嬲られていた。
ペチュニア
「一辺倒の斬撃。」
コリス
「ガァッ」
ペチュニア
「一辺倒の動き。」
コリス
「ガッッッ!!」
ペチュニア
「一辺倒の台詞。」
コリス
「ガハッ」
ペチュニア
「もう聞き飽きたの。」
コリス
「グァァァッッ!!!!」
ペチュニア
「あなたはただ自由になりたいと言うだけ。
恐らく全てサラセニア様の手のひらの上。
簡単に踊らされて他人を危険に晒す。」
コリス
「ジユウニィィィイ!!ジユウニィィィイ!!」
ペチュニア
「まだ分からないみたいね。
あなたにも私にも力が足りない。
力が無いから支配されるの。
力が無いから利用されるのよ。」
コリス
「オレハ...ジユウニ!!!」
ペチュニア
「挑む敵の力量を測り損ねたわね。
私は私自身が選んだこの道で
サフィニアを守っていく。」
コリス
「ペチュニアァァァァァァア!!!」
N
コリスは刃を振り回しながら
突進してきた。
ペチュニア
「私が開放してあげるから。」
『襲終曲!!!!!』
コリス
「ォォオオオオオオ!!!!!!」
ペチュニア
((これでいい。
これでいいんだよね。
お兄ちゃん。))
N
天を覆い尽くす死面装仮
コリスの動きが布に封じられると
無明の闇が握り潰すかの様に
コリスに向かって一気に収束し
コリス
「ペチュニア ...イッショ...ニ...
ジユウ...ニ...ナロ...ウ...」
N
グシャッとコリスの身体を押しつぶした。
ペチュニア
「...コリス!!!」
N
その声も虚しく血で染まる大地
ペチュニアは空を見上げ
収束した死面装仮と
ペチュニア自身の鬼人化を解いた。
ラベンド
「...ありがとうございます。
ペチュニアさん。」
サフィニア
「お姉ちゃーーーん!!」
ペチュニア
「サ、サフィ!!」
N
サフィニアはペチュニアに抱きついた。
ペチュニア
「ちょっ!!ちょっと!!!」
サフィニア
「凄かったねぇ!!!
あっという間だったよ!!!」
ラベンド
「...本当に助かりました。」
コリス
「ゴホッゴホッゴホッゴホッ」
ペチュニア・サフィニア・ラベンド
「ッッッッ!!!!!」
ラベンド
「鬼人化後の回復!!!」
ペチュニア
「いいえ。無理よ。
あれだけのダメージを負ってるもの
なんとか人の形を保てるくらいにしか
回復しないわ」
サフィニア
「トドメさしてくるね!!」
ペチュニア
「待ってサフィニア!!」
サフィニア
「何??」
N
ペチュニアはサフィニアとラベンドを連れて
コリスの元へと向かった。
コリスの身体は半分鬼人化を保ち
半分人の姿に戻っていたが
おぞましいほどの血で染まっていた。
コリス
「ゴホッゴホッゴホッ...ペチュニア
サフィニア...ラベンド...俺...町のみんなを」
ラベンド
「...コリスさん」
コリス
「町のみんなを...殺しちまった...
俺...俺のせいで!!!」
ラベンド
「記憶が...あるんですね。」
ペチュニア
「断片的によ。」
コリス
「ペチュニア ...俺...お前に...伝えーーー」
サフィニア
『始まる恋• と 終わった恋』
N
サフィニアはコリスの眉間を撃ち抜いた。
サフィニア
「うるさい」
ラベンド
「サフィニアさん!!!」
ペチュニア
「...もういいの。これでいいの。」
サフィニア
「ねー!!お姉ちゃん今日変だよ?」
ラベンド
「それは...」
ペチュニア
「ううん。大丈夫だよサフィ。
もう帰ろう。任務も終わったし。」
ラベンド
「そうですね。」
サフィニア
「はぁー!楽しかった!!」
※音楽がある場合、鳴り止むまで待つ
コリス▶︎▶︎▶︎N
N
ーー数時間後ーー
チャハール殲滅を終えた3人は
第7 魔装研究所 所長室にいた。
ラベンド
「#0047到着致しました。」
ペチュニア
「#0051到着致しました。」
サフィニア
「#0052到着した...あっ。致しました!!」
サラセニア
「見ていましたよぉ!!
素晴らしい結果が出ていました!!
私めの期待に応えた舞台になりましたね!」
ラベンド
「しかし、サラセニア様。
コリスの裏切りがあり」
サラセニア
「ん?私めは何と言いましたか?」
ラベンド
「と、言うと...」
サラセニア
「チャハールにて反乱分子の殲滅!!!
はい、反乱分子とは!?」
ラベンド
「チャハールの民間兵...と住民...です」
サラセニア
「とぉ???」
ラベンド
「...コリス!!!」
サラセニア
「ご名答!!!!!!」
ラベンド
「では...サラセニア様は!!」
サラセニア
「自由への渇望!!!!!
自由への熱望!!!!
そして、それを叶える為に整えた舞台!!
それが手からすり抜ける感覚は快感!!
まさにミュージカル!!!!
しかし立派に仕事をしてくれたのも事実。
ねぇ?そうでしょ??」
N
サラセニアはチラッと
ペチュニア を見てウィンクをした。
サラセニア
「そして!!敬意を表し
これから#0038を
不自由への招待と呼ぶ事にしました!!
これぞ!!まさに愛!!!!
さて、本題ですがあなた方は
今日この日をもって卒業です。
ぁあ。もうこんな時期なんですねぇ。
春というのは切ないです!!!!
約束通り、地位と権限を差し上げましょう!!
ミュージックスタート!!!!」
N
すると音楽が流れた
サフィニア
「やったぁあ!!!!」
ラベンド
「よしっ!!」
サラセニア
「辛い治療や改造、投薬に透析
厳しい訓練に眠れない日々。
我が国ラミオラス帝国は
頑張った者には対価を払います。
まずは対価として一般の兵と同じように
住居や自身の時間を与えます。
それに有り余る富もです。
過ごせなかった時間を取り戻しなさい。」
ペチュニア ・サフィニア・ラベンド
「ハッ!!!」
サラセニア
「次に地位ですが
ラミオラス帝国では
新たな特殊部隊を新設します。
その名を対鞘花特殊魔装機動部隊"十鬼槍"
鞘花を敵に想定した部隊です。
そもそもこの戦争を仕掛けたのは
ナーベルクの悪魔の血族!!!!
根絶やしにするのです!!!」
サフィニア
「十鬼槍...
カッコいいね!お姉ちゃん!!」
ペチュニア
「...そう?」
サラセニア
「#0047!!
いや、ラベンド=アレン
あなたを天王軍直下
黒四葉部隊の副隊長に任命します。」
ラベンド
「ハッ!!!」
サラセニア
「そこの隊長はマリガルドですよ?」
ラベンド
「本当ですか!?!?
あり難き幸せ!!!!」
サラセニア
((...ルビウスとマリガルドめ!!
私めが手塩にかけた者を横取りした事は
許しませんよ。))
サラセニア
「#0052!!
いや、サフィニア=トッド=アルマーニ!!
あなたは海王軍直下である
黒百合部隊の副隊長に任命します。
隊長は...ぇえ。名前を呼ぶのも悍ましいので
割愛させていただきます!!」
サラセニア
((トギリとスイセめ!!!
どんな根回しをすれば!!クソッッ!!
ハッ...!!ジギタリアスかぁあ!!
まぁしかし...良いでしょう
何故なら!!!!!))
サフィニア
「トギリんとこだぁー!!やったー!!
ヒーゲッ!!ヒーゲッ!!ヒーゲッ!!」
サラセニア
「#0051!!
いや、ペチュニア =サンサ=アルマーニ
あなたは冥王軍直下の黒薔薇部隊の隊長に
任命致します!!!」
ペチュニア
「え?...サフィ...と離れ...」
ラベンド
「良かったじゃないですか!?
隊長ですよ???
やはりすごいです!!!!!!」
サラセニア
「副団長と隊長というのは
ほぼ!!ほぼ!!ですが!!
ほぼ!!!!同じ地位と変わりませんので
ほぼ!!ですが!!
まぁ、良かったですね!!ほぼ!!」
サフィニア
「お姉ちゃん...」
サラセニア
「残念でしたねー。
これでも引き離さないように
トギリのバカに言ったんですけど!!
ぁあ!!可哀想に!!!
姉妹が離れ離れ!!!!!!」
サラセニア
((さぁ!!来なさい!!))
ペチュニア
「お待ちください!!
私が隊長であるのであれば
副隊長を任命する権利もあるのでは!?」
サラセニア
「もう決まった事ですよ??
私めの一存では...
まぁ...そんなに言うのであれば!?
私めが掛け合っても!!
構いませんが!!!!」
ペチュニア
「お願いします!!
必要であるのであれば
トギリ副団長に私の方からも
お願いして参りますので!!!」
サラセニア
「そこまで言うのであれば!?
仕方ないですね!!!!」
サラセニア
((ンフフフ!!!!
本来ならば海王軍に
持っていかれる所だったこの2人を!!!
何とかペチュニアだけでも残せた!!!
ペチュニア さえ残せば!!
こうなる事は至極当然です!!
甘かったですねトギリ!!!!
危うく黒薔薇の隊長が
あの!!!スイセに!!
あのスイセに!!!なる所でした!!
それだけは防がねば!!!))
ペチュニア
「サラセニア様?」
サラセニア
「あ、あぁ!
もう様など付けなくてよろしいですよ。
ペチュニア隊長。
とにかく、ジギタリアス団長もしくは!
トギリ副団長に掛け合って来ます故」
ペチュニア
「ありがとうございます。」
サラセニア
「では、ラベンドとサフィニアは
もう下がりなさい。
住居へ移転するので荷物をまとめておきなさい。
マリガルドと黒百合部隊隊長が
待ってますよ。」
サフィニア・ラベンド
「ハッ!!!」
N
サフィニアとラベンドは
嬉しそうに部屋を後にした。
サラセニア
「さ、では。
モニターからは一応見ていましたが
あなたの鬼人化について
もう少し話しを聞かせてください。
言動と感情も事細かくですよ。」
ペチュニア
「はい。」
N
ペチュニア はあの時の心境と状況を
機械的に無感情にそして詳細に話した。
サラセニア
「なるほど。
艶鬼ですか。
人型に限りなく近い鬼人化でした。
それを相手に自我を保ったまま
鬼人化出来た事はとても運が良いですね。
まぁサフィニアが引き金なのか
#0038への気持ちが引き金なのか。
とにかく自制心や慈しみが
完全体への活路にも思えますが
人の心まで超科学で
証明する事は出来ないですね。
まずは鬼人化してから
身体への影響がどの程度変わったか
調べる必要がありますね。
それに...その影響か#0038か分かりませんが
体調が悪いのですか?」
ペチュニア
「いえ。」
サラセニア
「そうですか。
とにかく、すぐに調べますので
終わったら休みなさい。」
ペチュニア
「分かりました。」
N
そう言ってペチュニア は部屋を出ようとした。
サラセニア
「待ちなさいペチュニア 」
ペチュニア
「はい?」
サラセニア
「よく頑張りましたね。」
ペチュニア
「...はい。」
サラセニア
「では、研究室へ。
君主が待っていますよ。」
♪2
ペチュニア
目覚めたら知らない部屋だった。
耳障りな心電図の音
不敵に嗤う不快な声
鉄と鉄が擦れ合う不協和音
声を発しようとも閉ざされた唇
走馬灯のように駆け抜ける兄と妹の影
あの日から私の視る世界は
感情を殺した。
N
----------------------------
作者REN'sJackson
千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜
番外篇 Petunia's Side Story
【The Skinny Love 】(完)
----------------------------
※音楽がある場合 鳴り止むまで待つ
配役変更
----------------------------
サフィニア▶︎▶︎▶︎N
----------------------------
N
おまけ
N
第7 魔装研究所 サラセニア特別室にて
サラセニア
「ンフフフ...まだ息があるとはねぇ。
流石は人型の鬼人化です。」
コリス
「ゴホッゴホッゴホッ...サラセニア...様
申し訳...ありま...せん」
サラセニア
「あっ。そうだ。
あなたの擬似肉芽には
強制的に鬼人化を促す作用を
加えてありました。
驚きましたよねぇ。
ンフフフッッ」
コリス
「そ...んな...」
サラセニア
「ンフフフッッ。
死体を回収させたら一流ですねモンティは。
まぁ生きてたんで結果、死体ではないですが
新鮮には変わりない。
鬼人化して命拾いしました。
そう!!私めにとっては!!ですが。」
コリス
「助けて...くだ...さ...」
サラセニア
「シッーーーッ
あまり喋らない事ですよ」
N
すると、サラセニアは
手術台の上に乗ったコリスの頭を
電気メスでジリジリと開頭し始めた。
コリス
「アガッ!!アガッッッアガッ!!」
サラセニア
「少し痛いですが我慢して下さいね。
ンフフフ。なんですか?その目は。
どうせ死ぬあなたに麻酔をかけると?
麻酔も、タダじゃありませんよ?
布でも噛んで...なさい!!」
コリス
「ンーーーッ!!ンーッ!!」
サラセニア
「ふぅーー。
では、続いて。」
N
サラセニアは回転ノコで頭蓋を削り始めた。
コリス
「ンーーッンーーッッ!!!!」
サラセニア
「そんな怖がらないで下さい!!
あっ!お歌でも歌いましょうか!!
せーのっ。3、ハイ。
ビリビリボーイ、ビリビリボーイ
ビリビリボーイ、ビリビリボーイ
ビリビリボーイ、ビリビリボーイ
ワチュガナドゥッ!
ワチュガナドゥ!!ヘッ!!
ビリビリボーイ、ビリビリボーイ
ビリビリボーイ、ビリビリボーイ
ビリビリボーイ、ビリビリボーイ
ワチュガナドゥッ!
ワチュガナドゥ!!ヘッ!!」
コリス
「ンーー!!!!!!!!」
サラセニア
「はい!!
良かったですねぇ。脳と頸椎が無事なら
なんとか培養できそうですね!!」
コリス
「ンーー!?」
サラセニア
「あなたの魔装兵器は
細胞を取り込み能力へと変える。
さらに鬼人化により肉体との結びつきは
非常に強固となりました。
要するにエサさえ与えれば回復するのです。」
コリス
「ンンン!?ンンーー!!!」
サラセニア
「ちょっと何言ってるか分かりませんが
とにかく。欲しいのはあなたの肉体であり
あなたではありません。」
コリス
「ンンン!?ンーンーンー!!」
サラセニア
「暴れたくても暴れられませんよね?
何故か分かりますか??」
コリス
「ンーー!!!?!?」
サラセニア
「胸から下が無いからですよ。
ンフフフッ!!ンフフフッッ!!」
コリス
「ンーーーー!!
ンーッ!!!!!!!」
サラセニア
「さて、少しばかり見せてあげましょう!!」
N
するとサラセニアはシュバッと立ち上がった。
サラセニア
『『咲け•肉芽•最大輪』』
N/機械音
ーー声紋認証 完了ーー
ーーー対鞘花特殊魔装兵器神滅ーーー
ーーー起動しますーーー
サラセニア
『六ノ蟲•蠱毒ノ晩餐!!』
N
サラセニアが蛾の様な異様で禍々しい姿に変わると
コリスを 睨 んだ。
サラセニア
「面白いものを見せてあげましょう。」
『 九ノ蟲•寄生虫!!』
N
サラセニアは口からナメクジの様なモノを
グワッッと吐き出した。
サラセニア
「オェッ!!!ゴホッゴホッゴホッ!!
フッーーー。失礼しました。
これは 渦虫という特別な虫です。
コレを...あなたの脳に侵入させます。
行きなさい 渦虫」
N
そして、サラセニアは
コリスの脳に 渦虫をニュルッと入れた。
コリス
「ンーー!!ンーンー!!ンーーーー!!」
サラセニア
「コレは私めの記憶、肉体情報や
遺伝子情報を持っている虫です。
侵入さえすればそのモノを
私めに変えることが出来ます。
まぁ、通常であれば1ヶ月ほどで
寄生元が私の情報を拒否して
その反作用で死に至ります。が。
私めは今日の出来事を見て
ある仮説を立てました。」
コリス
「ンー!!ンー!!」
サラセニア
「細胞を取り込み修繕するのであれば
肉体を媒体に私めに変わるこの能力と
合わせたら?
デメリットだった寄生限界を
突破できるのでは無いかと。
記憶に関しては私めの脳が生きている限り
刃汽を通じて
寄生元の 渦虫に
アップロードされるので問題ありません。
ただ、あなたの意思がそれに反したとき
遺伝子情報を拒絶する可能性があるなら
まだ細胞が生きてる間に 渦虫を
寄生させてから殺せば
もう1人の私めを造れるとね。
欲しいのはあなたの肉体と頸椎です。
おっと、もう私めに変わって来ましたねぇ。
ンフフフッッッッンフフフッッ!!」
コリス
「ンーンー!!!ンー!!!!」
N
そして、コリスによく聞こえるように
サラセニアは耳元に近づいた。
サラセニア
「残念でしたね。
自由が欲しいと息巻いていたみたいですが
あなたは試験管の中で
私めの肉体として生きていくのですよ。
自由とは無縁ですねぇ。バカが!!
ンフフフッッンフフフッッ!!」
コリス
「ンー!!!ンー!!!!!」
サラセニア
「所詮、あなたが手に出来たのは
試験管サイズの自由だった。って事です。」
コリス
「ンー!!!ンー!!!!!」
サラセニア
「シーーーーッ
心配する必要はないですよ?
これからは...私めがお側にいます故。」
コリス
「ンー!!!ンーッ!!
ンーッッッッッッッ!!!!!」
サラセニア
「ようこそ、私めの世界へ」
※音楽がある場合、終わるまで待つ
N
そして、時は数年後
第1魔装研究所本部 所長特別研究室にて
自身の死を眺めている男がいた。
サラセニア
「ンフフフッッ!!ンフフフッッ!!!」
ンフフフッッ!!!!
復活のサラセニア!!!
そう!!裏の主人公は
君主うるさいドリアンボーイこと
サラセニア!!!!!!
ンフフフッッ!!!!!
全てはこの為の伏線なのさ!!
ドアップばっかりで
様々な表情を見せてくれるサラセニア
人気があるけど
サラセニア好きですと
声を出して言いづらいキャラNo. 1
さて、アキレイとはどうなるのかな?
ンフフフッッンフフフッッ!!