Marigalld's Side Story 「The CENTURIES」
皆様お待たせ!!
遂に読んでもらえるのかぁ。
本当にワクワクしてます!
本当は何部作かに分けて書いたら
よかったんだけどそんなスペシャルは
周年記念の時までとっておこう笑
自分なりに何度も筆が止まって
あー!!もう書けねえまじで
おれ才能枯れたわ(元々ネェわ)とか
思いながら書いた作品です。
学園物描いてみたかったんだよなぁー
マリガルドのサイドストーリーが
学園物かどうかは置いといて。笑
怒涛の展開におれ自身満足しております。
コロナはまだまだ終わりませんが
みんなもウラウラして
ウィルスぶっとばそうぜ!!
では、楽しんで!!
N▶︎▶︎▶︎裁判長兼任
裁判長
「8人の男子生徒を暴行し
意識不明の重体にした罪は重くーー」
マリガルド
「待て!!アイツらが弟にした事は良いのーー」
裁判長
「ゴホン。過剰防衛とみなされーー」
マリガルド
「ふざけてんじゃあねぇぞ!!!
あっちは8人で弟の事をーー」
裁判長
「まるで反省もしていない点や
以前からの飲酒、喫煙、窃盗など
考慮した結果ーーー」
マリガルド
「このクソジジィ!!!
俺はそんな事やった事はーー」
裁判長
「未成年である事も踏まえ
被告らに欠如している人道的な判断、規律
社会的モラルを1から学ぶ為にもーー」
マリガルド
「テメェ...アイツらに金で買われーー」
裁判長
「判決を言い渡ァァァアす!!!」
マリガルド
「待て!!!」
裁判長
「静粛に!!!!ではーー」
マリガルド
「待てって言ってんだろ!!
弟はなんもやってねぇんだ!!
むしろ1番の被害者なんーーー」
裁判長
「マリガルド=ゴルギャリー=アモッシーネ
並びにフラックス=リニーム=アモッシーネ両名は
聖 ジェルモーリオ軍事更生施設に入所しーー」
マリガルド
「ジェ...ジェルモーリオだと!?!?
待て待て待て!!!
フラックスは軍事更生施設に行けるような
タフな奴じゃあねぇんだ!!」
フラックス
「ジェルモーリオって...
素行の悪い人達が行く所じゃあないか...
僕には...到底...無理だ」
裁判長
「軍事更生施設は高校の学位と同等である!!
5年制の中で1度も留年せずに卒業出来れば
在学中に成人になったとしても!!
全ての罪を不問とし卒業後は!!
ラミオラス帝国軍に入隊する事を義務付ける!」
マリガルド
「コイツぁ!!将来、電気工学を学んで
ヘッドホン作りてぇんだよ!!!
あんな地獄みてぇな場所なんかに行ったら
命がもたねぇって!!!!!」
裁判長
「これが当法廷の決定である!!!」
フラックス
「マリガルド...僕...」
マリガルド
「ふざけんなァァア!!!!!!!!」
裁判長
「これにて閉廷!!!!」
N
ーー編入日当日ーー
物々しい雰囲気を醸し出す建物は
巨大な柵と壁に覆われており
2人は一旦、立ち止まった。
マリガルド
「ここが...
聖 ジェルモーリオ軍事更生施設
軍事更生施設っていう名ばかりの戦場。
女も男も関係ねぇ。力がモノを言う世界だ。」
フラックス
「まるで...塀の中じゃあないか。
卒業したって士官になれるわけじゃあない...
下っ端の下っ端だ...
せめて、士官学校に行きたかった...
そしたらエリート教育も受けらーー」
マリガルド
「チッ。仕方ねーだろ。
下っ端がいねーと戦争になんねーんだ。
入隊志願者が少くねぇから
体よく入隊させる理由が欲しいんだよ。」
フラックス
「ひどいよ...
きっと...アイツらの親に買われたんだ。」
マリガルド
「そうだろうよ。
金も貰えて兵士も育てられて一石二鳥だしな。」
フラックス
「...うん。」
マリガルド
「気合い入れてけよ。
ナメられたら終いだかんな。」
N
そして2人は門を潜ると
目的地へ向かってゆっくり歩き出した。
フラックス
「ねぇ、マリガルド。
更生に来た人ってみんな寮生活なんだよね?
怖い人...沢山...いるのかな?」
マリガルド
「ほら着いたぞ。
俺のそばから離れんなよ。」
フラックス
「...うん。」
マリガルド
「そんじゃあ。
編入式とやらに...行く...ぞッッ」
フラックス
「ちょっ!!マリガルドってばぁ!!」
N
マリガルドは施設の集会所の扉をバァンッと蹴破った。
すると集会所にいた生徒が一気に振り向いた。
マリガルド
((なんだ...思ったより少ねぇな))
フラックス
「マ...マリガルド...」
N
マリガルドはズカズカと 睨 みを利かせながら歩き
壇上に昇ると校長と思わしき人からマイクを奪った。
マリガルド
「ウラッ!!ドケ!!!」
フラックス
「マリガルドってばぁ!!」
シラー
「何だぁ?アイツ?」
マリガルド
「スゥーーー。俺は!!
マリガルド=ゴルギャリー=アモッシーネ!!」
ウヴァー
「ねぇー。あれ。殺していいよね?」
マリガルド
「今日から俺が!!ここでテッペンを取る!!!」
マルコ
「愚か者が。
随分 と舐めていますね。」
N
罵詈雑言が飛び交う中で
マリガルドは更に机を叩き割った。
マリガルド
「ゴタゴタ言ってねぇで...
気にくわねぇ奴は!!かかって来い!!!」
N
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作者 REN’sJackson
ー千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜ー
番外篇Marigalld 's Side Story
【 The CENTURIES】
※音楽がある場合鳴り止むまで待つ
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フラックス
「マリガルドぉお!!!何言ってるんだよぉ!!」
N
時すでに遅し。
10人ほどの生徒が入り乱れマリガルドへ向かって
襲いかかって来た。
マリガルド
「盛り上がって来たじゃあねぇか!!!」
フラックス
「ヒィッ!!」
マリガルド
「ウラッッ!!!!ドリャァッ!!!
グッ!!ウォッッッ!!」
N
集会所は乱戦を極めていた。
血だらけになる拳
息を吐く間もなく殴られ殴り続けた。
そんな様子を2階から眺めている者達がいた。
シラー
「チッ。生意気な野郎だな。1年坊主が。」
N
それを赤紫髪で目の周りを黒くメイクした青年が
やぼったく意気揚々に答えた。
ウヴァー
「ヒヒヒヒッッ。君は行かないのー?
それともあの場に参加して
謹慎処分を喰らうのが怖い?」
シラー
「ウヴァーさん。あんな乱戦の中に行ったところで
誰がそいつをノシたかなんて分からねーだろ?
そんなアンタは行かねーのか?」
ウヴァー
「うーんまだかなぁ。
僕はトドメだけ刺しに行こうって思ってさ。
そっちの方が絶望するだろ?」
シラー
「チッ。相変わらず良い趣味だぜ。
マルコさん。あんたも見てるだけか?」
N
すると、白く濁った目を持つ
褐色の青年が静かに口を開いた。
マルコ
「残念です。
私の濁ったこの目に映る世界では
彼の苦しむ顔が見えない。パチン」
N
マルコが指を鳴らすと生徒達の動きが止まった。
マリガルド
「ハァ...ハァ...ハァ。
何だ...コイツら...動きが止まりやがった。
それに...教員も生徒も...誰も...止める気配が...ねぇ...
10人ブッ飛ばしても...
次から次へと増えて来やがる...
まるで...統率されてるみてぇだ」
フラックス
「マリガルド!!
だ、大丈夫!?!?」
ウヴァー
「へぇー」
シラー
「マルコさん。アイツなかなかやるじゃあねぇか。」
マルコ
「...面白いですね」
N
フラックスは血だらけのマリガルドに駆け寄ると
制服についた血をハンカチで拭った。
マリガルド
「よせ...」
N
すると、シラー、ウヴァー、マルコが
2階から飛び降りて来ると
生徒や教員達は波のように静かに割れて道を作った。
フラックス
「こんなになってるのに...
誰も...止めに来てくれないなんて...」
マルコ
「 パチパチパチ
威勢が良い1年ですね。」
マリガルド
「テメェ...誰だ。」
シラー
「おいコラ1年坊主。
誰に向かって口聞いてんだよ。」
フラックス
「マ、マリガルド!!」
ウヴァー
「ヒヒヒヒッッ。ねぇ?君は...誰?」
フラックス
「アガッ...グッ...ガッ」
N
ウヴァーはフラックスの首を片手で掴み絞め上げた。
マリガルド
「フラックス!!!!!
テメェ!!その手を放せ!!!やめろ!!!」
ウヴァー
「誰が誰に...物言ってんのさ」
マルコ
「参考資料 を。」
N
マルコがそういうと
教員の1人が小走りでやってきて
マルコに手渡した。
マルコ
「シラー。これを読み上げなさい。」
シラー
「はい。」
N
シラーはマルコから紙の束を受け取り
ペラペラとめくりながら読み上げた。
シラー
「マリガルドとフラックスは
互いに連れ子で血の繋がりはない。
優秀なフラックスは飛び級し進級。
兄マリガルドと同じ学年となる。
そして、アンテノーラ広場にて
突然、8人を理由なく暴行し重体にさせ
その両親達から起訴される。
収監を免れ、更生の一環として
ここ、聖 ジェルモーリオ軍事更生施設に
普通科高校から編入した。だってよ。」
マリガルド
「おいコラ...パンダ。
その手を放せって言ってんだろ?
メイク無しでも目の周りぶん殴って
黒くされてーのか?」
ウヴァー
「パンダって見た目と違ってさぁ
獰猛って事
知らないの...かな!!!ヒヒヒヒッッ!!」
フラックス
「ガハッ!!!!」
マリガルド
「フラックス!!!」
N
ウヴァーはフラックスを床に叩きつけると
顔をグリグリと踏んだ。
フラックス
「ガガガ...ガ」
マリガルド
「テメェ!!!!」
N
マリガルドはウヴァーに殴りかるも
パシッとシラーに拳を受け止められた。
シラー
「おい1年。大人しくしとけよ」
マリガルド
「ドケよ。」
シラー
「あん?
テメェよぉ。誰にガン付けてんだゴラァ!!」
マリガルド
「ドケ!!!!弟をーーー」
N
次の瞬間。視界が天地逆転し
マリガルドは床に叩きつけられた。
マリガルド
「ガハッ!!!」
マルコ
「主任教官 が来るまで
残り5分と26秒ですよ。」
マリガルド
((一体...何が起きたんだ))
N
宙で回転したマリガルドを横目に
マルコは懐中時計を取り出し眺めると
自身の襟元に人差し指を当てた。
マルコ
「さて。来たばかりの貴方は
右も左も分からぬ 愚か者 。
そんな貴方に教えて差し上げましょう。
ジェルモーリオ軍事更生施設の制服の襟首には
学年を示すカラーが入っているのを
知っていますか?」
シラー
「テメェは1年。色はブルー。
俺は2年。色はイエロー。
3年はピンク、4年はレッド。そして」
ウヴァー
「ヒッヒッヒッヒ
ジェルモーリオ軍事更生施設は
年間半分もの生徒が自主退所するんだよぉー
それは何故だか分かるかな?
訓練が厳しいとかじゃあない。
耐えられないからなんだ。
ここは力がモノを言う世界!!
進級して行った者達は
リタイアせずに生き残った強者!!
見えるかな??」
シラー
「ウヴァーさんとマルコさんのカラーは
グリーン。5年生だ。」
N
すると、ウヴァーは何度も何度も
フラックスの顔を踏み潰した。
フラックス
「アガガッ!!ゴホッ!!ウグッッ !!!」
ウヴァー
「これで分かったかなぁ。僕ら5年生は!!強者!!
君みたいな!!更生で!!送られた生徒には!!
力の差を!!教えてあげない...とね!!」
マリガルド
「フラッ...クス」
フラックス
「ガハッッッ!!!」
マルコ
「聖 ジェルモーリオ軍事更生施設へ
パチン」
N
マルコが再び指を鳴らすと
フラックスとマリガルドへ向かって
生徒達が走り出した。
マルコ
「ようこそ」
※音楽がある場合鳴り止むまで待つ
N
ここはラミオラス帝国 首都シンシャドゥールから
北西に位置し様々なマフィアやゴロツキが溢れる
情熱と葡萄の街トレモッロ。
ワイン業が盛んでラミオラス帝国の4割は
トレモッロ産のワインである。
ただし、治安は非常に悪く
警察も全てマフィアの言いなり。
ラミオラス帝国軍にその実態がバレていないのは
全て警察を金で買収しているからである。
トレモッロでは勉学に励むかワイン関連に就職するか
マフィアになるか入隊するかの選択肢が主であり
少年犯罪も帝国内ワースト1位。
それを逆手に取ったラミオラス帝国軍は
高校卒業資格も取れる
聖 ジェルモーリオ軍事更生施設を建て
更生の一環として
ラミオラス帝国兵を育てる事に注力した。
マリガルド
「チッ。やっとかよ。」
N
ーー編入式から1週間後ーー
マリガルドは停学処分を課せられ
別棟にある懲罰棟から
ようやく出て来れたが
既に年も明け夜になっていた。
マリガルド
「チッ。もう夜かよ。
解放するなら朝にしてくんねぇかな。
っつか更生施設に独房なんてあんのかよ...
クリスマスも年末も棒に振っちまった」
N
マリガルドは校舎へとトボトボ歩いていった。
すると、蛍光灯が見える少し先に人だかりが見えた。
シラー
「おーいフラックス!!
兄貴がいねぇとテメェは何も出来ねーのかぁ?」
フラックス
「や、やめてよ!!返してって!!」
シラー
「 返してって!!だとよ。
ハッハッハッ!!力ずくで奪ってみるか?」
フラックス
「そ、それは...」
N
すると、シラーはフラックスから奪ったCDを見た。
シラー
「なんだぁ?これ?出所祝いにCDかよ。
プッハッハッハッ!!」
フラックス
「出所...なんて...言わないでよ。」
シラー
「まさか...公現祭ファヌーサのプレゼントか!?」
フラックス
「か、返してよ!!」
N
公現祭ファヌーサとは
トレモッロ独自の祝日である。
ファヌーサという精霊が
前年までの1年間良い子だったものにプレゼントを
悪い子だったものには
靴下に炭を入れておくという伝承から始まったが
今では友人や家族で
プレゼントやお菓子を贈るというのが一般的である。
シラー
「よく見たらマルゲリータの新曲かよ。
靴下に入んねーぞ?ハッハッハッハ!!」
フラックス
「も、もういいだろ?」
シラー
「俺はこの女が嫌いだ。
シケた曲しか歌わねえから
テメェみてぇにウジウジしてムカつくんだよ。
まぁ...この乳だけは拝みてぇけどよぉ!!
ハッハッハッ!!!!」
N
シラーとその取り巻き達は大声で笑っていた。
シラー
「あっ。そーだ。それよりもよぉ」
N
すると、シラーはタバコに火をつけると
フラックスに吹きかけた。
シラー
「 ふぅーーー 。
タバコ買ってこいよ。」
フラックス
「ゴホッゴホッゴホッ。
タ、タバコなんて、ぼ、僕買えないよ」
N
シラーはフラックスの胸ぐらを掴みながら
低い声で言った。
シラー
「言う事聞けねぇなら
もっと楽しませてやーーーー」
マリガルド
「おい。何してんだ」
フラックス
「マリガルド!!」
N
マリガルドはシラーの肩を掴んだ。
シラー
「離せ。
聞こえねぇのか?離せって言ってんーーー」
マリガルド
「ウラッッッッ」
シラー
((早い!!))
マリガルド
「なっ!?」
シラー
「調子こいてんじゃねー...よ!!」
マリガルド
「グッ...んの野郎!!!」
フラックス
「だめだ!!!」
N
フラックスが間に入ると両手を広げた。
マリガルド
「ドケッ!!フラックス!!」
フラックス
「ダメだよ!!今日出て来たばかりじゃあないか!
もし、主任教官 に見つかったらどうするんだ!!
僕たちは卒業しないといけないんだよ!?
これ以上問題起こしちゃダメだ!!」
マリガルド
「それはお前を守らねぇ理由にはならねぇ。」
フラックス
「...マリガルド」
シラー
「生意気な事言ってんじゃあねぇ。
ここは力こそ全て。テメェらみてぇな雑魚は
すぐに消されちまって終わりだ。」
N
そして、チャイムが鳴り響く
シラー
「チッ。時間か。」
N
シラーは腕時計を見て
ため息をついた。
シラー
「はぁ。
運が良かったなマリガルド、フラックス。
次、俺に生意気な事言ったらブチのめす。
行くぞテメェら!!!」
フラックス
「あっ。」
マリガルド
「フラックス。大丈夫か?」
フラックス
「うん...大丈夫。」
マリガルド
「俺がいねえ間に何かされたか!?」
フラックス
「僕は大丈夫。
さっきだって殴られた訳じゃないし...」
マリガルド
「あのまま居たら分かんなかったろうが!!」
フラックス
「確かにいつも絡んでくるけど...
殴られたりしないから」
マリガルド
「そう言う問題じゃねぇえって。」
フラックス
「だけど...CDが...取られちゃった。」
マリガルド
「取り返してやるから。待ってろ。
けど主任教官 に見つかっちまったら
またブッ込まれちまうな...どうすっか。」
N
主任教官 とは
普通学を教える教員と
帝国軍から派遣され
生徒達の訓練を実施する教官といった2つの役職があり
その全てを指揮、管理し罰を与える事ができる存在。
マフィアや金では決して動くことはなく
ジェルモーリオの安寧と秩序がギリギリの所で
保たれているのは主任教官 の存在が大きい。
フラックス
「ごめんね。マリガルド。
僕が弱いばっかりに...」
マリガルド
「なんだよいきなし。」
フラックス
「いつもいつも僕を...」
マリガルド
「いんだよ。気にすんな。」
フラックス
「いつも、いつも守って貰ってばっかで」
マリガルド
「やめろって。」
フラックス
「僕を庇うから
マリガルドはいつも殴られてさ...
僕と...血も繋がってないのに」
マリガルド
「血の繋がりなんて関係ねぇよ。
お前は弟で俺は兄貴だ。
それだけでいいじゃあねぇか。」
フラックス
「マリガルド...」
マリガルド
「お前は頭が良い。
だから飛び級して今じゃ俺の同い年と肩並べられてる。
お前には夢があんだろ??
俺はそれを応援してぇ。
ジェルモーリオに来てよ
親がいなくたって家よりうまい飯が喰えるし
訓練と勉強以外は自由に出来る。
やかましいバカ共がいなきゃな。
だから俺がココでテッペン取ればよぉ
お前が沢山勉強出来んだろ?
卒業して大学まで行って良い所に就職したら
俺に仕事紹介してくれよな!!」
フラックス
「それまで無職でいる気!?」
マリガルド
「俺は勉強出来ねーからな!!!!」
フラックス
「まぁ...良いけど。」
マリガルド
「相変わらず優しいなお前!!」
フラックス
「いや、そこは仕事見つけようよ。」
フラックス
「マリガルドの方が優しいじゃないか」
マリガルド
「ん?何か言ったか?」
フラックス
「ううん。何でもない!!」
N
2人は談笑しながら
寮へ向かって歩き始めた。
マリガルド
「そうだ。
ありがとな。フラックス。」
フラックス
「え?」
マリガルド
「CD。」
フラックス
「あ、うん。でも...」
マリガルド
「公現祭ファヌーサだからくれたんだろ?
今日取り返したら一緒に聴こうぜ。」
フラックス
「ダメだよ!今日はもう終わっちゃうし
取り返しても明日になってから開けないと!!」
マリガルド
「別にいいじゃねーかよ。」
フラックス
「炭に変えられちゃうよ!?ファヌーサに」
マリガルド
「子供かよ!!12時過ぎたらいいだろ?」
フラックス
「そうだ...マリガルド!!先帰って
お風呂入ってて!!」
マリガルド
「ん?」
フラックス
「ト、トイレ行って来る!」
マリガルド
「トイレ!?夜は危ねぇから俺も行くわ」
フラックス
「や、やめてよ!!1人で行けるから!!」
マリガルド
「そ、そうか。でけぇ方か!?
ちゃんとケツ拭けよ!!」
フラックス
「うるさい!!!!」
N
そう言ってフラックスは
お腹を押さえながら
反対方向の建物へ向かって走り出した。
フラックス
((待ってて!!マリガルド!!
僕が取り返してみせる!!))
N
ーーウヴァーサイドーー
聖 ジェルモーリオ軍事更生施設
集会場 裏備品倉庫にて
ウヴァー
「ねぇ...これっぽっちしか持って来てないの?」
N
カーテンは閉め切られ
切れかかったランプがパチパチと音をたてていた。
そこには怯えた生徒達が
ウヴァーにナイフを向けられ
その後ろにはヨダレを垂らしながら
痙攣する男女が絡み
恍惚とした表情で天井を見上げる者がいた。
この集会場 裏備品倉庫は5年生の溜まり場になっており
教員達もその存在には目を瞑っている。
ウヴァー
「主任教官 はこの時間に
見回りしたりしないよー?
おっと。教官にチクった所で
その事実は揉み消されるから意味なんかない。
教官達はたまたま、ここの前を通らないし
ここでの出来事はたまたま知らない。
分かるかなー?この意味。ヒッヒッヒッヒ」
N
そう言ってウヴァーは生徒の頬をナイフで切った。
すると、その生徒は悲鳴を上げた。
ウヴァー
「これ...欲しいんでしょー?
だったらさ...ちゃんとお金持ってこないとさぁー
ダメじゃん?じゃないと...あげられないから。」
N
ウヴァーは白い錠剤が何粒も入っている透明な小袋を
掲げて見せていた。
生徒は頬を押さえながらその粒を座った目で眺めていた。
ウヴァー
「あ。そうだ。
今日はあの生意気な1年が
帰って来るんじゃなかったー?ねぇ?マルコ」
マルコ
「そうです。」
N
マルコが一言、発すると全員が怯えたように 俯 いた。
ウヴァー
「だよねぇー。
どうする?あんな感じで啖呵切られたらさぁ
メンツ無くない?ブッ殺そーよ。」
マルコ
「そうですね。いかに無力かを教えて差し上げましょう。」
ウヴァー
「そうこなくっちゃ!!」
マルコ
「明日は公現祭ファヌーサです。
主任教官 や教官、教員達は
聖 ジェルモーリオ軍事更生施設には
もういない。
本来ならば家族と友人で過ごす祝日ですが
更生で来た者は家に帰る事や外出は許されない。
さて、ウジ虫の諸君。一つ提案があります。
ウヴァーが持っているブツよりも上等なブツが
ここにあります。」
N
マルコは白い粉が入った小袋を掲げて見せると
空中にばら撒いた。
ウヴァー
「な、なんだこりやぁ...なんだこりやぁあ!!!!
ヒッヒッヒッヒ!!!!ヒッヒッヒッヒ!!!!!」
N
マルコ以外のその場にいた者は
ガクガクと震え始めると
高揚感や幸福感
全ての感覚が研ぎ澄まされ絶頂を迎えた。
ウヴァー
「たまんねぇ!!!!たまんねぇ!!!
たまんねぇよ!!マルコォォォオ!!!!!!!」
N
しかし、その効力は30秒ももたなかった。
ウヴァー
「マルコォオ!!!なぁ!!もっとくれよ!!
なぁって!!!!!」
N
ヨダレを垂らし瞳孔が開いたウヴァーは
マルコに詰め寄った。
マルコ
「哀れな」
ウヴァー
「なぁ!!なぁってば!!マルーーー」
マルコ
「鎮まりなさい。」
ウヴァー
「ガハッ」
N
マルコはウヴァーの顔面に掌底を喰らわせると
タイミングよく扉がギィっと開き
ウヴァーはそのまま外へと吹き飛んだ。
シラー
「ウヴァー...さん?」
マルコ
「2秒前。命拾いしましたね。シラー」
シラー
「すんません。あの...ってこれは!!」
N
シラーは目の前に広がる光景を見て目を疑った。
マルコ以外の人間は呻きながら
床を舐め続けていた。
マルコ
「良かったですね。シラー。
もしかしたら貴方も同じ運命を
辿っていたかもしれません。」
ウヴァー
「ヒッヒッヒッヒ!!
こんな経験...初めてだぁ!!!!
全身が愛撫される感覚!!!
全てを掌握出来た感覚!!!
僕が神になった感覚!!!最高だぁあ!!」
N
よろよろと歩くウヴァーの顔は完全にキマっていた。
シラー
「ウヴァーさん!!しっかりしてくれよ!!」
ウヴァー
「ヒッヒッヒッヒ!!!」
マルコ
「たったの 一吸いで理性と神経を一瞬でトリップ出来る。
この代物の名は..."禁忌ノ果実"
見る夢はハチミツより甘く本能を掻き立てる。
そして、何よりもこの禁忌ノ果実は
喰らうべき人間を選別し内なる人の欲望を剥き出す!
そして!!!選ばれた人間は更に高みへ!!!
選ばれぬ人間は更に地獄へ突き堕とされる!!
見てください。床をペロペロと舐めるこの姿は
まさに地獄に堕ちた餓鬼そのものでしょう?」
ウヴァー
「僕は床なんて舐めてないよー?
って事は選ばれたって事かな!?ヒッヒッヒッヒ。」
マルコ
「そうですね。
何がしかの役には立つかもしれません。
だが先程はたった 一吸い。
しかし、マリガルドを連れて来た者には
5グラム差し上げましょう!!!」
N
その瞬間、この場が歓喜に溢れた。
ウヴァー
「やったぜぇ!!!!!!!!」
マルコ
「この禁忌ノ果実が欲しくば
明日、マリガルドを私の前に連れてきなさい。
公現祭ファヌーサを
赤く!!血黒く染めるのです!!!」
ウヴァー
「僕が1番乗りで捕まえて来るよ!!
ヒッヒッヒッヒ!!!!!」
N
そう言ってウヴァーと他の者達は走り出した。
フラックス
((ど、、どどどうしよう!!
マリガルドに知らせないと!!!!))
N
扉越しに聞いていたフラックスは逃げる様に走った。
ウヴァー
「バァッ!!!!」
フラックス
「ヒィッ!!!!!」
ウヴァー
「ねーねーねー。何か聞いた?」
フラックス
「な、何も聞いてません!!
ぼ、僕迷っちゃって!!あの...」
ウヴァー
「ここさぁ、集会場裏の倉庫だよ?迷うかなー?」
フラックス
「み、道を覚えてなくて...」
ウヴァー
「ふーん。」
N
ーーマルコサイドーー
シラー
((ヤベ。CD持って来ちまった))
マルコ
「どうしましたシラー。」
シラー
「すんませんマルコさん。
野暮用、思い出したんでお先に失礼しーー」
フラックス
「ガハッ」
マルコ
「...ウヴァー。」
シラー
「テメェは!!」
ウヴァー
「僕良いこと思いついたー。
こいつ人質にとってマリガルド呼び出したら
勝手に来るよねぇ。」
マルコ
「話しは聞かれていた。という事ですか。」
ウヴァー
「そうだねー。」
フラックス
「き、聞いていません」
マルコ
「私の目は騙せませんよ。 愚か者 。
見え透いた嘘はワインよりも赤く映ります。」
フラックス
「ガッ!!」
N
マルコは白く濁った目でフラックスを見つめていた。
その圧倒的な存在感にフラックスは
押し潰されそうになっていた。
ウヴァー
「相変わらず凄いねー」
シラー
「肌が刺された様にヒクつきやがる」
ウヴァー
「ねぇ、マルコォ。少し遊んでいい?」
シラー
「待ってくれ。
それは俺がずっと目をつけてた獲物だ。
ウヴァーさん。横取りしないでくれ。」
ウヴァー
「今なんて言った?」
シラー
「このCDを俺が奪ったんだ。
コイツが追って来るって思ってよ。」
ウヴァー
「ってことは?
ここにおびき寄せたのはシラーってこと?」
シラー
「ぁあ。だからーーガハッッ」
N
シラーはマルコに蹴り飛ばされた。
マルコ
「だから?なんです?」
シラー
「グッ...それは...俺の獲物って事っす」
ウヴァー
「勘違いしないでよぉ。」
フラックス
「ガハッ!!アグッッ!!ゴホッ!!グッ!!」
ウヴァー
「誰が!!誰の!!獲物なんて!!
僕には!!関係!!無い!!!!!
僕が!!さっき!!見つけたんだから!!ね!!」
マルコ
「ジェルモーリオは私が支配しています。
髪の毛一本でも全て私のモノ。
それを自分の獲物だと言うのですか?シラー。」
シラー
「い、いえ」
ウヴァー
「ヒッヒッヒッヒ!!!」
フラックス
「ガハッ!!!ゴホッゴホッゴホッゴホッ」
マルコ
「私に逆らうのですか?私の父は
トレモッロ最大のマフィア
デラットーリ ファミリーのボスです。
そして、貴方の家は
場所 代をファミリーに収める借金まみれの
ただのビスケット屋
生まれながらにして貧しく負け犬。
そんな貴方が自分の獲物だから手を出すな。と?
笑止!!!!」
N
マルコはグッとシラーの首を掴んだ。
シラー
「グッ」
マルコ
「貴方の両親など。いつでも破滅させる事が出来ます。
それを望んでいるのでしょうか?」
シラー
「す、すみません」
マルコ
「貴方みたいなクズは
生まれて来る事自体が間違っているのです。
そう。神の悪戯とでも言うのでしょうか。」
N
マルコはシラーを突き飛ばした。
シラー
「グッ」
マルコ
「さて、そろそろ私は出なければ。
祈りの間に行きます。
ウヴァー。遊ぶならほどほどに。」
フラックス
「待て...ゴホッゴホッゴホッ」
マルコ
「...なんです?」
フラックス
「生まれて来る事自体が...間違ってる...だって?
そんなヒドイ事...よく言える...
誰も...他人の命を...否定する権利なんて...ない」
シラー
「何...言ってやがる」
ウヴァー
「うるさいよぉ」
フラックス
「ウグッッ !!!!」
マルコ
「あと、200秒。」
フラックス
「本当のクズは...
親の力で...他人を...ねじ伏せる...
お前みたいな奴だ!!!」
シラー
「やめろフラックス!!」
ウヴァー
「こーろそ。」
マルコ
「待ちなさい。」
ウヴァー
「いーのー?」
マルコ
「どうやら本心の様ですね 愚か者 。
この状況下でよくそんな事を言えたモノです。」
フラックス
「神に祈る...資格なんて!!お前には...無い!!」
マルコ
「勉学は出来ると参考資料 には
書いてありましたが...
置かれている立場は理解できないみたいですね。
まるで、自分が特別な様な口ぶりは賞賛しましょう。
そんな人間が堕ちていく様は
さぞかし爽快でしょうね。
ウヴァー。口を開くのを手伝ってあげなさい。」
ウヴァー
「はーい。」
N
シャキッッとバタフライナイフを取り出すと
ウヴァーはフラックスの頬にあてた。
フラックス
「ヒィッ」
ウヴァー
「あーん。ってして?
あーーーーーん」
フラックス
「な、何をする...んだ!!」
マルコ
「残り120秒。」
シラー
「フラックス...」
ウヴァー
「うーん。めんどくさ。はい。」
フラックス
「ギャァァァァア!!!!!!!」
N
ウヴァーはフラックスの口をナイフで裂いた。
シラー
「フラックス!!!!」
ウヴァー
「はい。開いたよー」
フラックス
「んーーー!!んーーーー!!!ん!!!!」
N
フラックスは痛みのあまりジタバタしながら
床をノタ打ち回っていた。
マルコ
「間に合って良かったですねウヴァー。」
ウヴァー
「ヒッヒッヒッヒ」
マルコ
「シラー。これを 愚か者 に飲ませなさい。」
N
マルコはシラーに禁忌ノ果実を1粒手渡した。
ウヴァー
「マルコォオ!!こんな奴にあげるのかい!!?
僕にくれよぉおおおお!!!!!!
錠剤があるなんて!!聞いてないよぉおお!!
粉じゃなくて錠剤をくれよぉおお!!!
頼むよォォォオ!!!!」
マルコ
「残り60秒。」
N
ウヴァーはそう言った瞬間
すぐに口を閉ざすとフラックスの髪をガッと掴んだ。
フラックス
「イギッッ」
N
裂かれた口はダラーンと力無く開いた。
シラー
「すまねぇ。」
マルコ
「何をしているのですか?」
ウヴァー
「何してんの?早くしなよ!!!」
N
ウヴァーはシラーから禁忌ノ果実を奪い取ると
フラックスの口に突っ込んだ。
マルコ
「さぁ、堕ちなさい。」
フラックス
「アガッッアガゴガゴゴガガゴカ」
シラー
「マルコさん!!!
これは流石にヤバいって!!!」
ウヴァー
「うわぁ...いいなぁ」
マルコ
「0秒。私は出ます。
ウヴァー。目的はマリガルドですよ。
愚か者 じゃあない。
本番は明日です。いいですね」
ウヴァー
「わかってるさぁ。」
マルコ
「シラー。後始末。頼みました。」
フラックス
「ガハッ」
N
フラックスは気を失ってしまった。
それを見たマルコとウヴァーは
薄笑いを浮かべながら消えていった。
シラー
「まずい!!!!」
N
シラーは奥から大量の水をバケツに入れて
フラックスに飲ませると喉に指を突っ込んだ。
シラー
「吐け!!!!吐け!!!!!」
フラックス
「ゴホッゴホッゴホッゴホッ」
シラー
「フラックス!!」
N
フラックスは目を泳がせながら
高笑いをしていた。
フラックス
「アハハハハハ!!!!!!!
なんて!!気持ちいんだぁ!!!!!
こんな快感!!僕は経験した事がない!!!
全身が疼いて疼いてハチ切れそうだ!!!!
アハハハハハ!!!」
シラー
「しっかりしろ!!!フラックス!!!!!」
N
そしてしばらくフラックスは気を失ってしまった。
シラー
「フラックス!!!おい!!!フラックス!!」
N
ーーマリガルドサイドーー
フラックスが消えて数時間後。
午後11時55分
マリガルド
「さむっ。フラックスの奴どこ行ったんだよ。
どこ探しても見つかりやしねえ」
N
マリガルドは消灯時間がとっくに過ぎた寮で
右往左往していた。
マリガルド
「寮長も教官も教員も事務の人間もいねぇな...。
ぁあ、公現祭ファヌーサか。
ったくよ。公務員はいいよなぁ。」
N
マリガルドは一旦、部屋に戻ると
フラックスの部屋番号の書かれた紙を見た。
マリガルド
「フラックスは3階の奥の部屋か。
戻ってるかもしんねぇから行ってみっか。」
N
マリガルドは部屋を出て階段へと向かった。
すると、ザーッザーッとスピーカーから
校内放送が流れる。
マリガルド
「...何だ?」
マルコ
((聖 ジェルモーリオ軍事更生施設の諸君。
私はマルコ=フィオーレ=デラットーリ。))
マリガルド
「マルコ!?」
マルコ
((ゲームを始めようじゃあないかマリガルド。
これは私からのささやかなギフトだ。))
マリガルド
「ギフト!?」
マルコ
((勝てばフラックスを返してやろう。))
マリガルド
「なんだよ...それ!!!」
マルコ
((心配する事はない。
簡単な鬼ゴッコだよ。
鬼から逃れながら、無事フラックスを見つけられれば
貴方の勝ちだ。貴方が息絶えたり
捕まればゲームエンド。
手段は自由。何を使っても構わないよ。
鬼も手段など選びはしない。))
マリガルド
「なん...だと!?!?
フラックスに手を出すんじゃねぇ!!!」
マルコ
((全校生徒 VS マリガルド
救いたくば生き残るがいい!!
さて、そろそろ0時だ。
紅茶でも飲んで待っているよ。
公現祭ファヌーサを楽しみたまえ!!))
N
校内放送が切れた瞬間。
各寮のドアがガチャ。ガチャ。ガチャ。ッと
一気に開き始めた。
マリガルド
「ふざけやがって!!!!!!」
N
そして、生徒達が一斉に襲いかかって来た。
マリガルド
「クソが!!!!!!!」
N
マリガルドは迫り来る凶器・拳・レンガを次々と躱し
拳で沈めていった。
マリガルド
「ウラウラウラウラウラ
ウラウラウラウラウラウラウラッ!!!!」
N
しかし階段を上ろうにも下ろうにも
四方八方から襲いかかって来る。
マリガルド
「ガッ!!グッ!!!!ガハッ!!!!
クソが!!ラチがあかねぇ!!!!
ウラッ!!!!!!ウラウラウラウラウラ!!」
N
マリガルドは部屋に入るとそのままの勢いで
窓ガラスに突っ込んだ。
マリガルド
「ヤベッ!!ここ4階かよ!!!」
N
咄嗟に2階の出っ張りに腕を伸ばし
引っ掛けると勢いを殺して地上へと着地した。
マリガルド
「グッ!!どうなってやがんだ!!!!
フラックスはどこに連れてかれた!?」
N
すると、前方から生徒達が走って向かって来た。
マリガルド
「クソ!!!!
どいつもコイツも!!!!
正々堂々とかかってこいやぁあ!!!!!!
ぅおおおおおお!!!!!!!!!!」
N
ーーフラックスサイドーー
シラー
「落ち着いたかよ。」
フラックス
「...グッ。シラー...ヒィッ」
シラー
「ビビんなくていい。
俺は何もしねぇよ。
ほら、飲め。自販機で茶ぁ買って来た。」
フラックス
「あ、ありがとうございます。イダッ。...口が...。」
シラー
「とりあえず下手くそだけど縫っておいた。
ここは保険医はたまにしか来ねぇから
ある程度の傷は自分でどうにかする必要があんだよ。
痛み止めは溶かして
たらふくブッ込んだから許せ。」
フラックス
「なんで...僕を」
N
するとシラーはタバコに火をつけると
深く吸い込んだ。
シラー
「ふぅーーーーーー。
聞いてたろ?俺はマルコの言いなりだ。
家族を人質に取られてる。」
フラックス
「...そうなんですか。
じゃぁ、なんで僕を毎回助けてくれたんですか?」
シラー
「フフフフッ。なんだバレてたか。」
フラックス
「だって...絡まれる度にシラーさんが割って入って
僕に絡んできてくれるから殴られずに済みました。」
N
するとシラーはタバコの灰を床に落とし
フラックスを見た。
シラー
「お前は俺と似てる。」
フラックス
「え...。」
シラー
「俺も勉強ばっかしててヒョロヒョロだったんだ。
1年の頃はボコられてたからな。
そのおかげで強くなった。
ボコられても諦めねぇで喧嘩売り続けてたら
あくる日マルコとウヴァーがやって来た。
アイツらはバケモンだった。
次元が違った。特にマルコはヤベェ。」
フラックス
「そんなに...」
シラー
「殺されると思った時
マルコが言ったんだ。
従うなら慈悲をやるってな。
それからだ。俺は奴らのパシリ。
ヤベェ事を見ても見ぬふりをした。
そんでお前らが入ってきた。
俺は思ったね。
ぁあ。コイツらヤられるってな。
案の定コレだ。
あ、ほら。これ返すわ。
元々持っていく気は無かった。
すまねぇな。」
フラックス
「ありがとうございます。」
シラー
「フラックス。何であん時...俺を庇って
マルコに楯突いたりしたんだ。」
フラックス
「...僕とマリガルドは
知ってると思いますけど互いの連れ子で
親から...あまり好かれていないと言うか。
僕達が邪魔だったみたいで...
よく、疫病神とかいらないとか
言われて育って来てるんです。
その度に...マリガルドが僕の盾になってくれて
言ってくれた言葉なんですよ。」
シラー
「...アイツ良い奴なんだな。」
フラックス
「はい。最高の兄です!!
だけど...そんなマリガルドと比べて僕は...」
シラー
「僕は...か。フラックス。
参考資料 みたけどよぉ。お前本当はーー」
フラックス
「あれ?なんか外が騒がしく無いですか?」
シラー
「...さぁな。
とにかくお前をここからーーーーー」
ウヴァー
「逃がす?」
フラックス
「ヒィッ!!」
シラー
「ウヴァー...」
N
ーーマリガルドサイドーー
マリガルド
「ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラ
ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラ!!
ハァ...ハァ...ハァ...クソが!!!
どこにいやがる!!!フラックス!!!!
マルコォォオオオオオオ!!!!!!!」
N
マリガルドは次々とドアを蹴破り
来る者を全員ブッ飛ばしていった。
マリガルド
「ハァ...ハァ...ハァ...
きっとマルコは偉そうな所にいるに決まってる。
おい!!!テメェ!!!!」
N
マリガルドはブッ飛ばした生徒1人を
殴り起こすと胸ぐらを掴んだ。
マリガルド
「マルコはどこにいる!!!!答えろ!!!」
N
すると生徒は怯えた声で祈りの間と答えた。
マリガルド
「祈りの間!?
聞いたことねぇ!!!どこだ!!!案内したら
もう骨は折らねぇでやる!!!」
N
ーー数分後ーー
マリガルド
「ウラッ!!!」
N
案内した生徒を再び殴り倒した。
すると護衛かの様に道を塞いできた生徒達をブッ飛ばし
祈りの間の扉を蹴り開けた。
マリガルド
「ここか...ウラッ!!」
N
そこは薄明かりに打ちっぱなしのコンクリート
更に奥には巨大な銅像があった。
そしてそこに鎮座していたのは
祈りを捧げているマルコだった。
マルコ
「...1人。ですか。」
マリガルド
「マルコォォオオオオオオ!!!!!」
マルコ
「17秒」
マリガルド
「はぁ!?」
マルコ
「祈りの残り時間です。
ここは私が作らせた神聖な場。
黙っていなさい。」
マリガルド
「知るかよ。
フラックスを渡せ!!!」
N
しかしマルコは無視をした。
マリガルド
「チッ。ぶん殴って聞き出してやらぁ!!!
ウラウラウラーー」
マルコ
「1秒!!!!!!」
マリガルド
「ガハッ!!!!グフッ!!ゴハ!!」
マルコ
「1秒1秒1秒1秒1秒ぉぉおおおお!!!!
我々は時間に支配されている!!!!!!!
それに抗う術は!!!
時間に従うのではなく!!
時間を有効に利用する事!!
私達が時間を消費してやっているその事実を
神に知らしめる事以外方法はない!!!!!
分かっているのか!!!!!!!!!
我々は生まれながらにして
時間に支配されているという事を!!!!!」
マリガルド
「ゴホッゴホッゴホッ
イカれ...てんのかよ...グッ」
マルコ
「フゥー!!フゥーー!!フゥーー!!。
...さて、紅茶でもいかがかな?」
N
マルコはそう言って
紅茶をポットに入れるとカップに注ぎ始めた。
そして、マリガルドの少し前に置いた。
マルコ
「座りたまえ。」
マリガルド
「ハァ!?」
マルコ
「座りたまえ。」
マリガルド
「グッ!!何だこの圧。」
N
マルコから迸る何かが
マリガルドの全身に重くのしかかった。
マルコ
「...そうか。貴方もか。」
マリガルド
「なん...だと?」
マルコ
「紅茶の熱さは
時に支配されている。
冷める前に飲む事が抗う術。」
マリガルド
「消えーーー」
マルコ
「飲みたまえ。」
マリガルド
「ガハッ!!」
N
マリガルドは空中に飛び上がったマルコのカカト落としを
まともに喰らってしまった。
マルコ
「さて、噂通りの不屈さよ。
あの方が仰っていた通り
私の手中に収めるべき剣に間違いない。
さて。紅茶が冷めるまで4秒」
マリガルド
「いらねえ...よ!!!!」
マルコ
「ガッッッ!!!!」
N
マリガルドは紅茶をマルコに投げつけた。
マルコ
「不届き者がぁあ!!!」
マリガルド
「うるせぇ!!!
フラックスはどこだぁ!!!!!!!」
マルコ
「知りたければ私を倒すがいい!!!!」
マリガルド
「ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラ
ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラ
ウラウラウラウラウラウラウラウラウラッ!」
マルコ
「ボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラ
ボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラ
ボラボラボラボラボラボラボラボラボラッ!」
N
ーーフラックスサイドーー
ウヴァー
「ヒャッハーー!!!!
ほらほらほらほらほら!!!!!!」
シラー
「ウグッッ !!!グッ!!!ガッ!!」
フラックス
「シラー...さん」
ウヴァー
「何で!!景品を逃そうとした!?
裏切り!?裏切り!?裏切りなの!?!?!?」
シラー
「ガッ!!!」
N
ウヴァーは大道芸人の様にトリッキーな動きで
シラーを次々と嬲っていた。
ウヴァー
「マルコが知ったらどうなるかな?」
シラー
「知った事かよ。
俺は抜ける!!!!!
こんなくだらねぇ事しかしねぇ
ジャンキーなクレイジーさ加減には
付き合ってらんねぇんだよ!!!!」
ウヴァー
「抜ける?
それって死ぬって事?」
N
ウヴァーはバタフライナイフを取り出すと
シラーに向けた。
ウヴァー
「親もぉー。親戚もぉー。
みんな死ぬって事でいいかな?
許されないよねぇ」
シラー
「グッ!!
お前に...そんな権限も!!
力もねぇ!!!!!!」
ウヴァー
「誰も僕があるなんて言ってないよぉ。
マルコがそれを許さないって言ってん...だよ!!」
シラー
「下がっとけ!フラックス!!!!」
ウヴァー
「ヒャッハーーーーーー!!!!!!!」
シラー
「ぬぉおおおおお!!!!!」
ウヴァー
「ザリザリザリザリザリザリザリザリザリ
ザリザリザリザリザリザリザリザリザリザリ
ザリザリザリザリザリザリザリザリザリザリッ!」
シラー
「ゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラ
ゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラ
ゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラッ!」
ウヴァー
「ガハッ」
シラー
「グフッ」
フラックス
「シラーさん!!」
ウヴァー
「ヒッヒッヒッヒ!!!!!
あーあー。深くイッチャッた?
さばくのに手一杯だったしねえ。」
シラー
「ゴフッ」
N
シラーは胸を押さえてそのまま倒れてしまった。
ウヴァー
「さぁーーてと。
フラァァックス!!!!
僕とぉーー!!あーそぼ!!!!」
シラー
「グッ」
ウヴァー
「ん?どけろよその手。」
シラー
「逃げ...ろ...フラックス」
ウヴァー
「うーーーん。
その裂けた口が良い感じだよぉー。
僕がメイクを施せば
それっぽくなるよねぇぇぇ。」
フラックス
「や、やめて...」
N
フラックスは腰を抜かしたまま
出口へと何とか身体を動かした。
ウヴァー
「ほい。」
フラックス
「アガッッ」
N
ウヴァーはバタフライナイフを
フラックスの背中に投げつけた。
ウヴァー
「はーーい♪フラァァックス」
N
ーーマリガルドサイドーー
マリガルド
「ガハッッ!!!!!
グッ...フラックスは...どこだ!!!!」
マルコ
「その身体...筋組織がまるで鋼の様...ですね!!」
マリガルド
「グッ!!!!テメェこそ!!
目が見えてんのか見えてねぇのか!!どっちだ!!」
マルコ
「どちらでも!!ありません!!よ!!!」
マリガルド
「目が見えねぇ!!ふりしやがって!!!!」
マルコ
「浅はか。ハァッ!!!!」
マリガルド
「重...い!!!グァァァ!!!!」
N
マルコの掌底がマリガルドの胸を捉えると
床に沈んだ。
そして、更にマリガルドの顔を踏みつけた。
マリガルド
「ゴフッッ!!」
マルコ
「天授万才を知っていますか?
生まれ持った特別な才能を持つ者
この世界において真の天才と呼ばれる者を指します。
単に与えられた者。
そして何かと引き換えに与えられた者。
私は色弱と引き換えに他の感覚が鋭敏なのです。
濁り切ったこの目でも貴方の呼吸。
筋肉の軋み。そして匂いを全身で感じ取れる。
貴方の髪は赤い様ですが私には白く見える。
赤とは...何色ですか!?」
マリガルド
「ガハッ」
マルコ
「空は...美しいですか!?」
マリガルド
「グフッ」
マルコ
「私は...こんな能力などいらなかった。
だがどうでしょう。私は強い!!」
マリガルド
「アガッッ!!!」
マルコ
「この能力があれば
銃弾だって 避 けられます。
ジェルモーリオなど他愛もない。
私はここから全てを支配する!!
利用できるものは全て利用する!!!
ジェルモーリオの次はトレモッロ!!
そしてラミオラス帝国!!!
そして!!!!世界!!!!!!!!
だが...神は抜け目がない。
命は有限であり、老いる。森羅万象の全ては!!
時間に支配されている!!!!!
だから私は抗い続けているのです。」
マリガルド
「まさか...ラミオラス帝国人のくせに...鞘神を
時空間を支配する...嵯峨鼠鼠を信仰してんのかよ。」
マルコ
「笑止。私の話しさえも理解出来ないのですか。
祈る神はナーベルクの鞘神だけではない。
私はこの世界の頂点に君臨する創造神に
祈りを捧げているのです。
嵯峨鼠鼠は私からすれば時の呪縛の権化
最も忌み嫌うべき存在です。」
マリガルド
「ケッ。通りで宗教クセェ訳だ。
俺は神になんて祈らねぇ!!!!
この拳一つで!!ブッ飛ばす!!」
マルコ
「不信心。その知性を感じられぬ言葉の数々も
傲岸不遜な態度も
私が調教して差し上げましょう。
貴方はテッペンを取ると息巻いている様ですが
上には上がいると思い知るがいい。
この世界は貴方の狭い領分で
判断しない方がいいですよ。 愚か者 」
マリガルド
「ペラペラと喋る坊主...だぜ!!!!」
マルコ
「何!?」
N
マリガルドはマルコの足を掬って
その勢いで素早く立つとマルコの顔を殴り飛ばした。
マリガルド
「ウラッ!!!!」
マルコ
「ガハッ!!」
N
立て続けの連戦で疲労は限界。
血のシャワーを浴びたかの様に滴る血液は
マリガルドの髪色よりもドス黒かった。
マリガルド
「テメェの...一発は...確かに重い。
鈍器で殴られてるみてぇだ。
だけどよ...軽いんだよ。
全部が軽りぃ!!!!
世界を支配する?
俺には知ったこっちゃねぇ。
俺は死神だろうと神だろうと
邪魔すりゃあブッ飛ばす!!!!!
それがテッペンを取るってこったろ!!!」
N
マリガルドがそう叫ぶと
空気が振動を伝え部屋中に轟いた。
マルコ
「貴方は...私に支配されるのですよ。
テッペンなど夢のまた夢。
私無しでは生きられない身体にしてあげます」
マリガルド
「テメェは俺が倒す!!!
マルコォォオオオオオオ!!」
N
マルコは透明な小袋から白い粉を取り出すと
迫り来るマリガルドに投げつけた。
マリガルド
「グッ!!なんだこれ!!」
マルコ
「墜ちろ!!!マリガルドォォオオオオオオ!!!」
マリガルド
「何だ...これ」
マルコ
「フハハハッッ!!!!!!!」
マリガルド
「アガガガガゴガガガゴ!!!」
N
するとマリガルドの全身が痙攣し始めた。
マルコ
「お前が高みに来れるはずが無い!!!
快楽と悦楽の狭間に溺れるがいい!!
マリガルドォォオオオオオオ!!
ボラボラボラボラボラボラボラボラボラ!!」
N
マリガルドはマルコによる怒涛の連撃の中で
走馬灯の様にフラックスの事を思い出した。
配役変更
----------------------------
N▶︎▶︎▶︎リゴル
ウヴァー▶︎▶︎▶︎N
----------------------------
N
ここはトレモッロ4番地区の古びたアパートメント。
その1番端の部屋からいつも怒号や泣き声が響いていた。
近所の人々も不審に思うが我関せずと
誰も手を差し伸べる事は無かった。
そして、マリガルドもそれに対して
疑問に思う事は無かった。
それが当然だと思っていたからだ。
例えガスや電気、水道が止まっても
公園に行けば水は飲める。
噴水に行けば身体を洗える。
電気が無くても寄り添えば温め合える。
フラックスがいれば乗り越えられる。と。
フラックス
「父さん。もう...お酒は飲まないでよ。」
N
リゴルは空いた酒瓶をフラックスに投げつけると
壁にぶつかってパリンッと割れた。
リゴル
「こんなクソガキ...置いて!!
テメェの母親は他の男と逃げた。
クソアマがぁあ!!!!!」
フラックス
「ウッ...」
リゴル
「父さん?俺はテメェの父親じゃあねぇ!!!!
二度と!!!俺を!!そう呼ぶな!!!!」
フラックス
「ガッ!!グッ!!やめてよ!!父さん!!」
リゴル
「その長いブロンドを見ると!!腹が立つ!!!
母親にそっくりじゃあねぇか!!」
フラックス
「な、何をするんだ!!」
リゴル
「いつもみてぇに可愛がってやるから来い!!」
N
リゴルはフラックスの髪を引っ張ると
服を脱がし始めた。
マリガルド
「おい!!クソ野郎!!!
何してやが...る!!!ウラッ!!!」
リゴル
「ガッッ!!イッデェ!!!!!テメェ何しやが...
マ、マリ坊じゃあないか!!」
マリガルド
「マリ坊って...呼ぶんじゃあねぇ!!!!」
リゴル
「マリ坊、マリ坊、マリ坊、マリ坊!!
父親を殴るなんて、ひどい奴だなぁ!!
誰のおかげで...ここまで生きて来れたか言ってみろ!!
この金食い虫が!!!!!
テメェはロクで無しのビチグソだ!!!!」
マリガルド
「どっちがロクで無しなんだよ!!!
軍を退役してから飲み歩きやがって!!!
今月の電気も!!ガスも水も止まったぞ!!
どうすんだよ!!!!」
リゴル
「テメェらで、働いたらいいじゃねぇか。
なぁ?...オメェは母親に似て美人だからよぉ
男は喜ぶぜぇ」
N
リゴルは舐め回す様な目でフラックスを見た。
マリガルド
「やめろ。妹に手ぇ出すな。」
リゴル
「なんだぁ!?母親が居なくなったんなら
養子のお前が俺に奉仕する。
不思議な話しじゃあ無い。そうだろ?フラキシス。
オメェの白い肌は最高だからなぁ、グヘヘへ」
マリガルド
「テメェ...最低だな。
まだ、殴られ足んねえのかよ!!!」
リゴル
「や、やめてくれって
お、お前は俺を殴るだけで
何の役にも立たねえデクの棒だろ?
俺だって軍にいた頃はーー」
マリガルド
「軍の話なんてどうでもいいんだよ!!」
リゴル
「ガッ!!ガハッッ!!ウグッ!!」
マリガルド
「昔のことばっかり話しやがって
今のテメェはどうなんだよ!!!
飲んだくれの最低男だろうが!!!
俺が根性叩き直してやーーー」
フラックス
「やめてよ!マリガルド!!」
マリガルド
「離せフラキシス!!」
フラックス
「父さんだって...
母さんがいなくなって寂しいんだよ!!」
マリガルド
「...フラキシス。
おい、クソ親父。」
リゴル
「ヒィ...ヒィ!!」
マリガルド
「明日も酒飲んでたらブッ殺す。
行くぞ。フラキシス」
フラックス
「え...どこに?」
マリガルド
「ここ以外のどっかだ。」
N
そう言ってマリガルドはフラックスの手を引いて家を出た。
リゴル
「テメェらなんか!!疫病神だ!!!!
金食い虫!!!!!出ていけ!!
俺の家から出ていけ!!!!」
N
リゴルの叫ぶ声が家の外まで響いていた。
マリガルド
「あの野郎!!!!!」
フラックス
「...マリガルド。気にしないで。」
リゴル
「フラキシス!!マリ坊!!
テメェらの母親は2人共とんだアバズレだった!!!!
誰の子だかも分かりゃしねぇ!!!!
テメェらが生まれてきた事自体が!!
間違ってたんだよ!!!!!!」
マリガルド
「んの野郎!!!!!!!」
フラックス
「マリガルド!!!」
N
マリガルドはアパートメントの階段を駆け上がっていくと
フラックスもそれを追いかけて行った。
リゴル
「堕しゃぁ良かっーーー」
マリガルド
「ウラッ!!!!」
リゴル
「アガッッ!」
フラックス
「もうやめてよマリガルド!!!!」
マリガルド
「誰も...他人の命を...否定する権利なんて...ねぇ!!
生まれちまったらソイツの命はソイツのもんだ!!
例えテメェがこさえた命だとしても!!!
テメェのもんなんかじゃあねぇんだよ!!!!」
フラックス
「...マリガルド。」
N
マリガルドは怯える父親を渇いた目で見ると
フラックスを連れてその場を去った。
フラックス
「...マリガルド。どこ行くの?」
N
マリガルドは無言で近くの広場へと足を運んだ。
フラックス
「マリガルド?」
マリガルド
「フラキシス俺はよぉ。
高校中退して働きに出ようと思ってんだ。」
フラックス
「どうして!!そんな事しなくていいよ!!」
マリガルド
「いつまでもアイツの所に居られねぇだろ。」
フラックス
「じゃあ私もやめる」
マリガルド
「ふざけてんじゃあねぇ。お前は頭がいい。
飛び級して入学したじゃあねぇか。」
フラックス
「その入学金も制服も全部マリガルドが
働いた金じゃあないか!!!!
もう私はマリガルドに迷惑をかけたくないよ!!」
マリガルド
「俺はいいんだ。」
フラックス
「良くない!!!!」
マリガルド
「もう少し待ってくれな。
知り合いが家と仕事を探してくれてるからよ」
フラックス
「...そんな。」
マリガルド
「心配しねぇでお前は大学に行け。
ナーベルクとの戦争がいつまで続くか分かんねぇけど
戦争してるからって勉強しねぇ理由にはなんねぇ。」
N
するとフラックスが静かに口を開いた。
フラックス
「...ねぇ、マリガルド。髪...切って。」
マリガルド
「何だよ急に。」
フラックス
「父さんが私を色目で見てくるのは
母さんと似てるからだと思う。
だから私は今日から男になる。」
マリガルド
「ハァッ!?何言ってんだよ!!」
フラックス
「だから、マリガルド。髪切ってよ。
私が男になればもう父さんに...」
マリガルド
「分かった。もういい。それ以上言うな。」
フラックス
「私、ちょうど胸もないし
バンドで止める必要ないしね。」
マリガルド
「何言ってんだよ。」
フラックス
「そうだマリガルド!!
私に名前付けてよ!!」
マリガルド
「名前?」
フラックス
「うん。名前。
マリガルドに付けて欲しいな。」
マリガルド
「名前かぁ...。フラキシス...フラキシス...フラキシス
...フラックス!!ってのはどうだ!?」
フラックス
「フラックスかぁ...いいと思う!!!
ねぇ、マリガルド。これからも一緒にいてくれる?」
マリガルド
「当たりめぇだ。
俺らはずっと一緒だっつーの。
俺らの運命はいつだって」
フラックス
「共にある。」
N
そして1ヶ月後、事件は起こる。
マリガルド
「おい役立たず!!!」
リゴル
「な、なんだよぉマリガルド!!」
N
顔が腫れたリゴルは
マリガルドに媚びへつらっていた。
マリガルド
「妙に羽振りが良いじゃあねぇか。
水も電気もガスも動いてやがる。
おまけに冷蔵庫に食いもんも入ってやがるしよぉ。
一体...何をしやがった。」
リゴル
「や、やめてくれよぉ!!
俺は何もしてないぜぇ!?
退役軍人には年金が入るんだぜぇ?」
マリガルド
「何!?テメェそんな事黙ってたのかよ!!!
今まで酒と女に使いやがったのか!!!!」
リゴル
「そんな大した額じゃあねぇんだ!!
扶養 した家族によっても額が変わるしよぉ!!」
マリガルド
「 扶養 !?俺とフラックスの分も貰ってんなら
生活費ぐらいちゃんと出しやがれ!!!」
リゴル
「こ、これからそうするよぉ!!
来月から少し生活が楽になるからよぉ!!」
マリガルド
「チッ。
にしてもフラックスは遅せぇな。
ちょっと探してくるわ。」
N
そう言ってマリガルドは家を出た。
リゴル
「来月からは...な。」
N
町を出ると年末ムード1色となり
年越しの祝いの飾りが町を彩っていた。
通りがかりの路地で見覚えのある声が聞こえた。
フラックス
「アガッッ!!グッ!!ガハッ!!!」
マリガルド
「フラックス!!!!!」
N
フラックスは8人の男に血反吐を吐きながら廻されていた。
フラックス
「や、やめ!!痛い!!!!アガッッ!!」
マリガルド
「...フラックス。」
N
フラックスのその姿を見て
マリガルドは呆然としてしまった。
そして、フラックスと目が合ってしまった。
フラックス
「マ、マリガルド...。」
マリガルド
「フラックス...。」
フラックス
「...見ない...で...見ないで...
見ないでくれぇええええええええ!!!!」
マリガルド
「フラァァアックス!!!!!!!!!!!!!」
N
鬼神の様に怒るマリガルドは
我を忘れ走り出した。
マリガルド
「やめろォオオオオオオオ!!!!!」
N
血が飛び骨が軋み頭蓋を割った。
悲鳴など関係無しに
殴り
殴り
殴り
殴り
殴り
殴り
殴った。
この時、マリガルドは世界が滅びても
構わないとさえ思った。
フラックスさえ
無事でいるのなら。
フラックス
「...マリガ...ルド...マリガル...ド...
マリガルド!!!!!!!」
マリガルド
「ゥッ...フラックス...無事だった...
いや、無事じゃねぇな。
イデデ...もう大丈夫だ。...一緒に帰ろう。」
N
マリガルドは立ちあがろうと手をつこうとしたが
その両手には手錠がハメられていた。
マリガルド
「なんだ...よ...これ。」
N
マリガルドは周りを見渡すと
アンテノーラ広場には10台もの救急車と
沢山の人だかりが出来ていた。
フラックス
「マリガルド!!!弁護士が来るまで
何も喋ってはいけない!!!!
分かったね!!!!!!」
マリガルド
「何だよこれ。
俺らが悪りぃってのか!!!!!
コイツらが!!フラックスにした事知らねーだろ!
ふざけんな!!!ふざけんなぁ!!!!!」
N
しかし、弁護士も呼ばれる事なく
恐るべき速さで裁判が開かれた。
ーーそして現在ーー
配役変更
----------------------------
N▶︎▶︎▶︎ウヴァー
リゴル▶︎▶︎▶︎N
----------------------------
マルコ
「堕ちたか。」
N
地に伏せるマリガルドは
暗闇の中に光るナニカに語りかけていた。
マリガルド
((俺は...フラックスを守りたかった。
その為に全てをブッ殺してきた。
もう俺は...アイツのあんな姿...見たくねぇ。
見たくねぇんだよ。
神も仏も誰も助けてくれねぇんなら
俺は祈らねぇ。俺は屈しねぇ。俺は負けねぇ!!
俺は俺のこの拳で!!道を切り開く!!
誰にも邪魔させねぇ!!!それが俺の!!
勝者への道筋だ!!))
N
マリガルドがそう叫ぶとその光は
胸の中へグッと入っていった。
マルコ
「何!?この禍々しい汽は!!
ッッ!?これは...刃汽!!
まさか!!選ばれたのか!!!!
あり得ない!!在ってはならない!!!
私が選ばれるべきだ!!!!!
時の神を滅するのはこの私!!!!
貴様は!!私の剣となり
私の道具となるのだ!!!!!」
N
するとマリガルドはガッと目を開き
ゆっくり立ち上がった。
マリガルド
「テメェ...フラックスはどこだ。」
マルコ
「グッ...言ったでしょう。
私を倒す他ないと。」
マリガルド
「もう一度聞く。
フラックスはどこだぁあ!!!!!」
マルコ
「笑止!!!!!
二度も同じ事を聞くんじゃあない!!!!」
マリガルド
「殴血上がれ!!!!!!!」
『 鐡化武装 !!!!』
N
その掛け声と共に刃汽が巻き上がり
排気ガスとエンジン音が轟いた。
そして、煙が晴れるとマリガルドは
鎧の様に大きな拳を2つ 顕現し
スッと構えた。
マリガルド
「な、なんだ...これ。」
N
マリガルドは拳を握ったり放したりすると
鐡化武装 もそれに連動して
同じ様に動いていた。
マリガルド
「すげーー!!!!!」
マルコ
「...神滅に選ばれ...た。
奴は神を滅する能力を...
自ら 顕現したというのか!!!
何故!!あんな奴が神滅適合者に!!
何故!!私ではない!!!私ではないのだ!!
ォオオオオオオオ!!!!!!」
マリガルド
「悪りぃが加減できねーぞ。」
マルコ
「ボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラ
ボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラ
ボラボラボラボラボラボラボラボラボラッ!」
マリガルド
「んなもん効かねぇんだよ!!!!」
N
マリガルドは全てを 避 けると
マルコを 鐡化武装 で払った。
マルコ
「グッ!!!
あり得ない!!!!
あの方はそんな事!!一言も!!
言っていなかった!!
私は貴様に能力を与える為に
禁忌ノ果実を与えた訳ではない!!
私は貴様を支配する為にーー」
マリガルド
「ごちゃごちゃ言ってんじゃねぇよ!!
テメェの都合なんて知ったこっちゃねぇ!!
支配してぇなら勝手にしてろ!!!
テメェの夢の中でな!!!!!!」
マリガルド
「ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラ
ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラ
ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラ
ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラ
ウラウラウラウラウラウラウラウラウラッ
ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラ
ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラ
ウラウラウラウラウラウラウラウラウラッ
ウラウラウラウラウラウラウラウラウラッ!」
マルコ
「アガッッ!!ウグッ!!グオッ!!
イギッッ!!アグッッ!!ガハッ!!」
マリガルド
「ウラッッ!!!!!」
マルコ
「ガッハッッッツ!!!!!
ゴホッゴホッゴホッゴホッ。
何故...私では...な...いのだ...何故だーーー」
マリガルド
「ウラッッ!!!!!!」
マルコ
「マリガルドォオオオ!!!」
N
最後に突き上げた拳は祈りの間の天井を突き破り
マルコを遠くまで吹き飛ばした。
マリガルド
「ハァッ...ハァッ...ハァッ。
フラックスは...どこだ。って...いねぇじゃねぇか。」
フラックス
「僕はここだよ。マリガルド。」
マリガルド
「フラックス!!!!
お前...大丈夫...なの...か?」
N
そこに現れたのは
シラーとウヴァーの足を両手に引きずるフラックスだった。
マリガルド
「お前...その口...どうした...裂けてんじゃねぇか...
それにその2人...」
フラックス
「ぁあ、これ?」
N
そう言うとフラックスはシラーを
マリガルドに向かって投げた。
シラー
「ウグッッ !!逃げろ...マリガルド...アイツは...」
ウヴァー
「に、に、人間じゃあない!!」
フラックス
「僕は君に感謝してるんだよウヴァー。」
ウヴァー
「ヒィッ」
フラックス
「だから僕の能力となって糧になるんだ。
何故かって?君のおかげで僕はとっても今!!
気持ちいいのさ!!!!
本当はね。マリガルドが一番望ましいんだけど...
どうやら彼は違う能力を手に入れたみたいだし。
神と神は交わる訳ないだろ??」
ウヴァー
「な、な、な何を...するんだ!!」
マリガルド
「何言ってんだよ...フラックス!!
正気に戻れ!!!!クソ!!!!
シラー!!!テメェ!!フラックスに何をした!!」
シラー
「アイツは...ウヴァーに禁忌ノ果実を...
飲まされた。さっきまでは...大丈夫だったのに
急にアイツが...」
フラックス
「声がさぁ...聴こえるんだよー。
もう偽らなくていい。って。
もう怖がらなくていい。って。
もう何もいらないってさ。」
シラー
「フラックスはおかしくなっちまった。
すまねぇマリガルド...」
マリガルド
「テメェらのせいだろうが!!!!」
フラックス
「僕は今...マリガルドより強い。
証明してあげるよ。」
マリガルド
「何言ってんだ...証明なんかしなくていい!!
もう終わったんだ!!!終わっーーー」
フラックス
「終わってなんかない!!!
勝手に終わりにするな!!!!!
いつもいつもいつも
得意げに僕を守ってさぁ!!
さぞ良い気分だったろうね!!!!
無力な僕を守って自分の存在価値を証明してきた!
僕を利用してきたんだろ!!!!」
マリガルド
「...お前。そんな事思ってたのかよ。
俺はただーーー」
フラックス
「うるさい!!!!
いつも僕ばかりが痛くて苦しくて辛くて!!
マリガルドに助けられる度に惨めだった!!
僕の気持ちなんて分かる訳ないだろう!!!」
マリガルド
「やめろ...俺は」
フラックス
「血も繋がって無いのに
兄貴面しやがって!!!」
マリガルド
「やめろ...って」
フラックス
「もう用は無いよ。
僕は自分の力で生きていける!!
悪いけど、僕の代わりは自分で見つけてくれよな。」
マリガルド
「フラックス...」
フラックス
「マリガルドと比べてウヴァーは
僕に戦える能力を与えてくれた。ね?」
ウヴァー
「う、うんそうだよ。」
フラックス
「だから一緒に戦ってくれるね?」
ウヴァー
「え?それはーー」
フラックス
「ありがとうウヴァー。」
ウヴァー
「アガッッ」
マリガルド
「何してんだ!!!」
N
フラックスはウヴァーの足を持ってハンマーの様に
振りかざすと飛び上がった。
マリガルド
「やめろ!!フラックス!!!!!」
ウヴァー
「ギャァァァァア!!!」
フラックス
「うるさいよ。ウヴァー」
ウヴァー
「ウガッッ!!」
N
迫り来るフラックスは
ウヴァーをマリガルドに向かって叩きつけた。
マリガルドは 咄嗟にシラーを抱えて 避 けると
グッとフラックスを 睨 んだ。
ウヴァー
「ア...アッ...アッ」
シラー
「ウヴァーを殺す気なのか...フラックス!!!」
フラックス
「殺すも何も一緒に戦ってるんだよね?ウヴァー?」
ウヴァー
「アガッッ...アッ...アッ」
マリガルド
「フラックスを正気に戻さねぇと!!
シラー!!なんか方法はねぇのかよ!!!!」
シラー
「分からねぇって!!!!」
フラックス
「強くなったって証明してみせるからさ!!
戦おうよ!!!!僕はマリガルドを超えないと
意味がないんだからさ!!!!!」
N
フラックスは走り出すと
ウヴァーを 鐡化武装 に叩きつけた。
ウヴァー
「ガッ」
マリガルド
「このままじゃ死ぬぞ!!
やめろフラックス!!!!!」
フラックス
「そっか。ウヴァー痛かったよね。
これ、あげるよ。」
N
フラックスはポケットから
禁忌ノ果実を取り出すと1粒飲ませた。
ウヴァー
「イヒッ!!イヒッ!!イヒッ!!
ヒッヒッヒッヒ!!!!!!!!!」
シラー
「あれは禁忌ノ果実!!
なんでアイツがもう1つ持ってんだよ!!」
マリガルド
「なんだあれ...ウヴァーがイカれちまった!!」
ウヴァー
「ヒャッハー!!!!!!
もっとくれよ!!!フラックス!!
もっと!!!!!!!頼むよぉぉ!!!」
フラックス
「マリガルドを倒したら
マルコを殺してもらいに行こうよ!!」
ウヴァー
「そうか!!殺せばいいのか!!!
そうしよう!!!!!!」
マリガルド
「シラー!!!マルコを探してこい!!!
アイツならどうにか出来るだろ!?」
シラー
「分かった!!!
で、どっちに行った!!!!」
マリガルド
「知らねーよ!!!!!!」
シラー
「お前戦ってたんだろうが!!!!」
マリガルド
「ブッ飛ばしたんだよ!!
きっとあっちだ!!!!」
シラー
「どっちだよ!!!
ったく!!!!!とにかくーー」
フラックス
「逃すと...思ってんの!?」
ウヴァー
「逃がさないよーーーん!!!」
シラー
「何!?」
フラックス
「ウラッッ!!!!!」
シラー・ウヴァー
「アガッッ!!!」
N
フラックスはウヴァーをシラーに向かって叩きつけた。
マリガルド
「やめろ!!ウラッ!!!」
ウヴァー
「ガッハッッ」
フラックス
「いちいち受け止めただけで悲鳴あげないでよウヴァー」
ウヴァー
「ご、ごめんよぉ」
フラックス
「あ、そうだ。シラーに協力してもらおうか!!」
N
すかさずフラックスはシラーの足を持つと
ウヴァーと同じ様に振り回した。
マリガルド
「やめろフラックス!!!」
フラックス
「うるさいよ。ウラッッツ!!」
マリガルド・シラー・ウヴァー
「ガハッ」
フラックス
「まだまだ。」
マリガルド
「クソっ!!!
もうやめろ!!!!!」
ウヴァー
「ヒャッハー!!!!!!」
フラックス・マリガルド
「ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラ
ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラ
ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラ
ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラ」
シラー・ウヴァー
「グハッ!!アガッ!!ウグッッ !!ギヒッ!!
グハッ!!アガッ!!ウグッッ !!ギヒッ!!
グハッ!!アガッ!!ウグッッ !!ギヒッ!!
グハッ!!アガッ!!ウグッッ !!ギヒッ!!」
フラックス
「ウラッッ!!!!」
マリガルド
「ウラッッ!!!!」
ウヴァー
「グハッ」
フラックス
「あれ?シラー息してない。死んじゃった?
禁忌ノ果実飲ませなかったからかなー。」
N
フラックスはシラーをポイっと投げ捨てた。
シラー
「ウグッ!!」
フラックス
「生きてんの?
まぁいいや。
それにしてもウヴァーは流石だね。」
ウヴァー
「イヒッ!!ヒッヒッヒッヒ!!」
フラックス
「あと、問題は耐久性かな?
ビジュアルも申し分ないしなぁ」
マリガルド
「ハァッ...ハァッ...耐久性だぁ?
フラックス...見てみろ。
ウヴァーは背骨以外...折れてやがる。
そこまでして...俺に証明したかったのかよ」
N
するとフラックスはウヴァーを抱きしめた。
ウヴァー
「アグッッ」
N
フラックスはゆっくりとウヴァーの背中を
ボキボキと折っていく。
ウヴァー
「ガガガッガガガッガガガッ」
フラックス
「ねぇウヴァー。君は僕に能力を与えてくれる。
これからもそうだろ?」
ウヴァー
「アガッッ!!アガッッガッ!!」
フラックス
「うん。君の"怨"は僕と共に背負うから
一緒にいてくれるかい??」
ウヴァー
「ガッ!!ウグッ!!アガガガ!!」
フラックス
「ありがとう。」
ウヴァー
「...ゥッ」
N
フラックスは血まみれのウヴァーに
深く深くキスをすると
絶望と言うには深淵過ぎるほどの闇が
フラックスを包んでいく。
シラー
「ゴホッゴホッゴホッ...
なんだありゃあ!!!!!」
マリガルド
「シラー下がれ!!!!!!
なんかヤベェのが来る!!!!!」
N
フラックスはウヴァーの身体を
ズズズッと床に吸い込ませると
呪詛を唱えながら一気に引き抜いた。
フラックス
「怨限限・怨限限
甘露 の壺にて髑髏 疼かん。
怨限限・怨限限
冥々恨めし屍人よ嗤 え!!!」
『 愛玩躯 !!!殺戮道化師・UVA !!!』
N
ウヴァーだったものは
2メートルはあろう棍棒に姿を変え
その先端にはウヴァーと思わしき頭部が乗っかっていた。
ウヴァー
「ヒッヒッヒッヒ!!!!!!!!」
マリガルド
「なんだ...ありやぁ...喋ってやがる!!」
ウヴァー
「楽しもうよ!!フラックス!!!!!!」
シラー
「一体...何だよ本当に...バケモンじゃねぇか!!」
フラックス
「声が聞こえないのかい?
僕には神の声が聞こえる!!!!!!
僕は選ばれたんだ!!!!
驚きだろ?マリガルド!?
君は神滅適合者!!!!
僕は尸諫術士!!
初めから決まっていたんだ!!!
神滅と大悪魔に選ばれ!!こうして戦うことにね!!
僕らの運命は!!共になんか無かった!!」
マリガルド
「...フラックス」
シラー
「尸諫術士...
アザジェノスで祀られてる大悪魔の代行者
お前は神を唯一破壊できる神滅の代行者
一体...どうなってやがんだ!!!!!」
マリガルド
「俺にだって...分かんねぇよ!!!
全部、禁忌ノ果実って薬のせいだろ!!
お前はいいから逃げろ!!
フラックスはもう...正気じゃねぇ。
尸諫術士かなんか知らねぇけどよ
こんなんが相手じゃ
俺もどうなるか分かんねぇ!!!
シラー!!今すぐラミオラス帝国軍に伝えろ!!!」
シラー
「そんな事したらお前らがどうなるか...」
マリガルド
「行け!!!!!」
N
シラーはマリガルドに言われるがまま走っていった。
フラックス
「逃す訳ないじゃん。ウヴァー。」
ウヴァー
「ヒッヒッヒッヒ!!!!
逃がさないよーーー!!!!」
N
ウヴァーはグングン伸びると
シラーに巻きついた。
ウヴァー
「ヒャッハー!!!!!!!!」
シラー
「クソ!!」
マリガルド
「オラッッ!!!!!」
フラックス
「邪魔しないで!!よ!!ウラッッ!!」
マリガルド
「グッ!!!重い!!!ウラッッ!!!」
ウヴァー
「ヒッヒッヒッヒ!!!」
マリガルド
「今だ!!!!行け!!!!!」
N
マリガルドが 鐡化武装 で
ウヴァーを叩きつけるとシラーは解かれ
一気に走り出した。
シラー
「ハァッ...ハァッ...ハァッ。
クソ!!どうなってんだよ!!!!」
N
するとフラフラと歩くマルコを見つけた。
シラー
「マルコ!!!!!」
マルコ
「この私が...こんな目に...
マリガルド...マリガルド...許しはしない!!!」
シラー
「おい!!!
あの薬は何なんだ!!!!!
フラックスがおかしくなっちまった!!!
どこで手に入れたんだ!!!!!」
マルコ
「シラー?何を言って」
シラー
「お、おい!!あっちに向かうのはよせ!
バケモン同士が戦ってんだよ!!
もう遊びじゃ済まされねぇ!!!
早く帝国に知らせねぇと!!!!!!!」
マルコ
「...帝国?
公現祭ファヌーサの出来事を
全て公にしろと?」
シラー
「そうだ!!!もう無理だ。
どうにも出来ねぇんーーーーウグッ」
マルコ
「何を言っているのですか?
全てを話したらどうなると思います?
そのペスカトーレの様な脳みそで考えて下さい。
私の支配は...どうなる!!!!!!
まだ公現祭ファヌーサは
21時間40分27秒あるのです!!!!
目的を不達成としたら時の神の思う壺!!!
その意味も!!理解出来ないのですか!!!!!」
シラー
「そんな事言ってる場合かよ!!!!
俺はアンタが止めても行く!!!」
マルコ
「なりません。」
シラー
「許可なんていらねーんだよ!!!
俺はーーーーウグッッ グッグッ」
マルコ
「なりま...せ...ん!!!」
N
マルコはシラーの首を力の限り絞めた。
シラー
「ア...ガッ...ガッ...ガッ...アガッッ」
マルコ
「貴方は何も分かっていない!!!
これは!!ただのゲームではない!!!
あの方から課せられた試練なのです!!!
そう!!神は!!!
乗り越えられぬ試練など!!与えやしない!!
約束したのです!!!あの方と!!!!」
シラー
「...マル...コ...」
N
シラーの鼓動は止まりその場で倒れてしまった。
マルコ
「フゥー。フゥー。フゥー。
決して!!!何人足りとも!!
邪魔などさせない!!!!
私が神に選ばれるがために!!
フッフッ...フハハハハハハフハハハ!!!!!」
N
ーーマリガルドサイドーー
マリガルド・フラックス
「ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラ
ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラ
ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラ
ウラウラウラウラウラウラウラウラァッッ!!
アガッッ!!ウグッ!!!」
ウヴァー
「フラックスゥッ!!!!
早く殺しちまおうぜ!!!!!
なぁあ!?なぁ!?!?
ヒッヒッヒッヒ!!!!!!」
フラックス
「やっぱり...強い...なぁ...マリガルド」
マリガルド
「目ぇ覚ませ!!!!
こんなの!!お前が望んだ世界じゃねぇだろ!!」
フラックス
「マリガルド...マリガルドには分からないだろう?
強者の見る世界と弱者の見る世界は
色も!!角度も!!景色も違う!!!!
僕は強くなりたかった!!!!」
マリガルド
「お前は...強かった。
どんな事があっても耐えて来たじゃねぇか!!」
フラックス
「その痛みに耐える事が
どれほどの苦しみか分かるのか!!!
罵倒と虐待の日々!!!
父さんが夜な夜な這ってくる事に怯えながら
生きてきた日々を!!
お前になんか分かるのか!!!!!!」
マリガルド
「それは...。
すまねぇ。俺が...守ってやれれば...」
フラックス
「俺が守ってやれれば?驕るな!!!!!
その度に僕は無力さを感じた!!!
マリガルドがいなければ生きていけないんだと!!
僕は...僕は...1人で立ち上がって生きたかったんだ!!
なのに!!お前がいるせいで!!!!!
頼ってもいいと思わされる!!!!!!
こんな惨めな僕は!!強者の庇護の中でしか
この人生を歩いていけないんだって
そう思わされる!!!!!
まるでカゴの中の鳥だよ僕は...」
ウヴァー
「そうだ!フラックスは可愛い可愛い鳥ちゃんさぁ!
マリガルドっていう奴に飼われてるのさ!!
だから証明すんだろ?ヒッヒッヒッヒ!!
マリガルドなんてもう要らないってな!!」
フラックス
「そうだね。」
ウヴァー
「ヒャッハー!!!!
殺したらよう!!!殺したらよぉお?
何してくれんーーーウガッッ」
フラックス
「生意気言うなよ。
お前は僕の愛玩躯 。
僕が求めてもお前が求めるなんて
おかしいじゃあないか。
怨嗟の極みに落とされたいの?」
ウヴァー
「じょ、冗談だよぉ!!ヒッヒッヒッヒ」
フラックス
「だよね!!」
マリガルド
「...お前、ずっとそんな事思ってたのか」
N
マリガルドは 鐡化武装 を下すと
祈りの間の天井に空いた空を眺めていた。
フラックス
「さぁ!!!行くよウヴァー!!!!!
ハァアァァァア!!!!!!!!」
ウヴァー
「ヒャッハー!!!!!!
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!!!」
N
フラックスはウヴァーを構えると
槍の様にマリガルドを何度も突き貫いた。
フラックス
「ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラ
ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラ」
マリガルド
((俺は間違ってたのか?
フラックスを助けるつもりだったのに
俺はアイツを苦しめてたのか??
分かんねぇ...分かんねぇよ))
フラックス
「ウラッッ!!!!!」
N
マリガルドは勢いよく吹き飛び
コンクリートの壁にめり込んだ。
フラックス
「ハァッ...ハァッ...ハァッ...
僕が...マリガルドを...倒した!!」
ウヴァー
「これで自由だね!!!!」
マリガルド
「フラックス...」
フラックス
「何?まだ...息あんの?」
マリガルド
「ごめんな」
フラックス
「何?...泣いてんの?」
マリガルド
「お前が...こんなに...苦しかったなんてよぉ
俺には...分からなかった。
辛かったよなぁ。痛かったろうなぁ」
フラックス
「やめろよ。」
マリガルド
「俺が...守ろうとする度に
傷付いてたなんて...思っても見なかった...
ごめんなぁ...フラックス」
フラックス
「やめろって言ってんだろ!!!」
N
マリガルドは涙を拭いながら
ゆっくりと立ち上がった。
マリガルド
「けどよぉ。人の道を外した弟を
俺は見てらんねぇ...お前は間違ってる」
フラックス
「説教かよ。お前は何様だ!マリガルド!!!」
マリガルド
「俺はお前の兄貴だ!!!!!!」
フラックス
「ッッ!!!」
マリガルド
「俺はお前の歩いてく道を正さなきゃなんねぇ。
本当は分かってんだろ?
お前は優しい子だ。こんな事する訳がねぇ!!
いい加減にしろフラックス!!!!!」
フラックス
「いつまでも兄貴面すんなよ。
僕は強い!!!!お前より遥かに!!!」
マリガルド
「そうかよ。
そう言えば証明してぇって言ってたな。
言っても聞かねぇんじゃ拳骨じゃ済まねぇぞ!!!
始めようぜ。兄弟喧嘩をな!!!!!」
フラックス
「ウヴァー。
僕の怨を目一杯込める。
それでマリガルドを倒したら晴れて自由だ。
行くよウヴァー!!!!!」
ウヴァー
「ヒャッハー!!!!!」
マリガルド
「来い!!フラックス!!!」
フラックス・マリガルド
「ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラ
ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラ
ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラ
ウラウラウラウラウラウラウラウラウラッッ!!」
----------------------------
フラックス
「そうだマリガルド!!
私に名前付けてよ!!」
マリガルド
「名前?」
フラックス
「うん。名前。
マリガルドに付けて欲しいな。」
マリガルド
「名前かぁ...。フラキシス...フラキシス...フラキシス
...フラックス!!ってのはどうだ!?」
フラックス
「フラックスかぁ...いいと思う!!!
ねぇ、マリガルド。これからも一緒にいてくれる?」
マリガルド
「当たりめぇだ。
俺らはずっと一緒だっつーの。
俺らの運命はいつだって」
フラックス
「共にある。」
----------------------------
フラックス・マリガルド
「ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラ
ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラ
ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラ
ウラウラウラウラウラウラウラウラウラッッ!!」
フラックス
((何なんだ!!こんなボロボロなのに!!
まだ殴り返してくる!!!
このままじゃ...押し負け...る!!!!))
マリガルド
「目ぇ覚ましやがれ!!!!!」
N
鐡化武装 のエンジンが
轟音を立てて吹かされていく。
ウヴァー
「マリガルドォォオ!!!!!!!!」
フラックス
「ォォォオ!!!!!!!!!」
マリガルド
『怒鐡㩮!!』
N
振りかぶる 鐡化武装 は
打撃の瞬間エンジンを起動させ
超高速でウヴァーごとフラックスを打ち抜いた。
マリガルド
「ウォオオオオオオオッッラッツ!!」
フラックス
「ガハッッッ!!!!!」
N
聖 ジェルモーリオ軍事更生施設の建物を
何度も貫きながら
フラックスは吹き飛んだ。
フラックス
「ガッガッガッガッガッガッ」
※音楽がある場合鳴り止むまで待つ
マリガルド
「ハァッ...ハァッ...ハァッ。
...フラッ...クス...
グッ...ゴホッゴホッゴホッ!!
なんだ...これ...血?」
N
すると、 鐡化武装 が
ガタガタとエンジン音を立て始め
赫く光り始めた。
マリガルド
「何だよ!!!これ!!!!!
止まれ!!!止まれ!!!!!!
止まれぇえええええええ!!!!」
N
マリガルドはその場で倒れてしまった。
N
マリガルドは目が覚めると
聖 ジェルモーリオ軍事病院にいた。
マリガルド
「ここは...」
シラー
「やっと目が覚めたかよ。」
マリガルド
「シラー!!!イデッ!!」
N
マリガルドとシラーは同じ病室のベッドで
寝かされていた。
シラー
「お前3日は寝てたぞ。」
マリガルド
「そんなにか。
って!!!フラックスはどうした!!!」
シラー
「落ち着け」
マリガルド
「グッ...探しに行かねぇと!!」
シラー
「やめとけ。
さっき 探索者 が来てた。
シンシャドゥール管轄の特殊警察部隊が
こんなド田舎のトレモッロに何のようなんだか。
それとお前の身体、あちこち調べられてたぞ。」
マリガルド
「何でだよ。」
シラー
「神滅がなんちゃらとか言ってたなぁ。
すげえ綺麗な人だったけど...名前が...ええっと
そうだ!!ベロニカって言ってた。
ナニされたんだよ?え?」
マリガルド
「ふざけんな。
そう言えばなんか
鐡化武装 を感じなくなったな...」
シラー
「思い出した!!
鐡化武装 は今後、使用禁止だそうだ。
神滅の核は預かったってよ。」
マリガルド
「核!?そんなん持ってねぇーぞ!!」
シラー
「知らねぇよ。未熟なもんが扱うと
刃汽暴走が起こって
本来なら身体が耐えられなくて死ぬんだってよ。
天授万才だから助かったらしいな。」
マリガルド
「なんだそれ!!!
俺だって...よく分かんねぇ...んだよ。
ってか何でそんな事 お前にペラペラ話してんだよ。」
シラー
「取引したんだ。軍とな。」
マリガルド
「取引!?」
シラー
「ぁあ。家の事でな。
そんな事よりお前...
第一魔装研究所で身体いじくられたらしいけど
大丈夫か?」
マリガルド
「...覚えてねぇ」
シラー
「今回は運が良かったな。被験体M」
マリガルド
「被験体M!?」
シラー
「ベロニカって人がお前の事
ずっと被験体Mって言ってたんだよ。
お前被験体Mって呼ばれてるらしいな!!
ドMじゃあねぇか!!!ハッハッハッハ!!」
マリガルド
「やめろよ!!!
ってか急に馴れ馴れしくすんな!!
テメェはフラックスをいじめてたろうが!!!」
シラー
「まぁ...そうだな。
それと、マリガルド...フラックスの事なんだが...」
N
神妙な面持ちで
シラーはマリガルドに言った。
マリガルド
「フラックスがどうかしたのか!?」
シラー
「あの後来たラミオラス帝国軍と戦ったらしい。」
マリガルド
「軍が!?それでどうなった!!!」
シラー
「あの場にいたラミオラス帝国兵を皆殺しにした後
死んだらしい。」
マリガルド
「...そんな!!!!
フラックスは善悪の判断がちゃんと出来る奴だ!!」
シラー
「俺にはそう見え無かったぜ」
マリガルド
「俺のせいだ!!!俺が...全部。」
シラー
「やめろ。
悪りぃのはフラックスでもお前でもねぇ。
全てマルコだ。」
マリガルド
「...マルコはどうなった?」
シラー
「分からねぇ。」
マリガルド
「そうか。
あの野郎いつかブッ殺してやる」
シラー
「今回の件は全てマルコと
フラックスによる犯行ってみなされて
後は全員、不問だそうだ。その代わり。」
マリガルド
「その代わり?」
シラー
「ジェルモーリオを必ず卒業しろとさ。
貸し1つだそうだ。」
マリガルド
「誰がそう言ったんだ?」
シラー
「ベロニカって人がよ。
もちろんありのまま話したさ。
一語一句間違えちゃあいねぇ。」
マリガルド
「...そうか。」
N
するとシラーはタバコに火を付け深く吐き出した。
シラー
「ふぅーーーーーーー。
マリガルド。フラックスの墓参り行くか?」
マリガルド
「...ぁあ。」
シラー
「なら支度しろ。
今回は歩いて帰れってよ。」
マリガルド
「いいのか!?
俺、外出禁止だよな?」
シラー
「これもベロニカさんの好意だろ。」
マリガルド
「そうか。」
シラー
「マリガルド。
フラックスは俺に言ってたぜ。
お前は最高の兄貴だってな。」
マリガルド
「...フラックスの奴...
そんな事言ってたのかよ」
シラー
「ふぅーーーー。
良かったな。」
N
すると病室内の煙感知機が
盛大に鳴り出した。
シラー
「ヤベ。」
マリガルド
「ヤベ!!じゃあねぇだろうが!!
大体!!病院で吸うなんて頭イカれてんのかよ!!」
シラー
「お前だって普通に
吸ってたの見てたろ!?!?」
マリガルド
「それはテメェがごく普通に
我が家ばりに吸うから
気にも止めなかったんだよ!」
シラー
「なんだ!?俺のせいだってのか!?」
マリガルド
「なんでテメェのせいだって
思えねぇんだよ!!!!!
俺のどこが悪りぃんだよ!!!!」
シラー
「ヤベェヤベェ!!
荷物まとめてあっから
そのカバン取れ!!!早く!!!!!」
マリガルド
「ハァッ!?」
シラー
「いいから!!!」
マリガルド
「これか!?」
シラー
「バカ!!それはオメェのだよ!!」
マリガルド
「これか!!」
シラー
「それしかねぇだろ!!
ほら!!行くぞ!!
これ以上問題起こしたら
まじで退学になっぞ!!!!!」
マリガルド
「で、どっから逃げんだよ!!!」
シラー
「3階から飛び降りるに決まってんだろ!!」
マリガルド
「シャッ!!行くぞ!!」
シラー
「受け入れるんの早ッッ!!
3階ってまぁまぁ高けぇぞ!!!」
マリガルド
「じゃぁお前はその扉から出れば良いだろ!」
シラー
「捕まるだろ!!!」
マリガルド
「俺は時間が稼げて逃げる!!頼むな!!」
シラー
「頼まれねぇわ!!!!!」
N
そう言って2人は3階から飛び降りると病院を後にした。
シラー
「なぁマリガルド!!!」
マリガルド
「んだよ!!!!」
シラー
「もう、ジェルモーリオには
マルコもウヴァーもいねぇ!!!」
マリガルド
「だから何だ!!!!!!」
シラー
「お前言ってたろ?初めによぉ!!」
マリガルド
「あん!?」
シラー
「誰もお前には勝てねぇ!!!
それをこの前、証明した!!!!」
マリガルド
「そうだな!!!」
シラー
「俺に異論はねぇ!!!!!
マリガルド...テメェが!!!!!」
マリガルド
「フッ」
シラー
「テッペンだぁあ!!!!!!!!」
N
----------------------------
作者 REN’sJackson
ー千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜ー
番外篇Marigalld 's Side Story
【 The CENTURIES】(完)
※音楽がある場合鳴り止むまで待つ
----------------------------
配役変更
----------------------------
N▶︎▶︎▶︎シヲン
ウヴァー▶︎▶︎▶︎N
----------------------------
N
おまけ
N
ここは世界地図の中央にある
アザジェノス帝都バビロンテノーラ。
そして、その帝都に聳え建つのは
アザジェノスの皇帝が君臨するシウダペルーダ城。
シヲン
「おはようフラキシス」
フラックス
「ウッ...ここは」
シヲン
「やぁ。ようやく目が覚めたね。」
N
フラックスが目覚めたのは
シヲンの玉座の目の前だった。
フラックス
「僕...確か...ラミオラス帝国兵に。
僕は...マリガルドに...マリガルドに!!!」
シヲン
「長い長い眠りから漸く覚めたのに
まだそんなつまらない事を思い出してるのかい?」
フラックス
「どうして、ここに...」
N
すると紅蓮の甲冑に
赤いフードの男が口を開いた。
配役変更
----------------------------
シラー▶︎▶︎▶︎ルドバキア
----------------------------
ルドバキア
「陛下の前だ。頭を垂れろ」
シヲン
「まぁまぁ。
地に伏せているのにそれ以上、頭を垂れろなんて
無理は言っちゃダメだよ」
ルドバキア
「ハッ。失礼致しました。マスターシヲン」
シヲン
「さて、客人は揃った。ね?マルコ。」
N
マルコはずっと跪いていた。
シヲン
「禁忌ノ果実を上手く使ってくれたみたいだね。
お陰で予想を超えた収穫が手に入った。」
マルコ
「有り難き幸せ」
フラックス
「禁忌ノ果実...」
シヲン
「フラキシス。少し混乱している様だね。パチン」
フラックス
「ウッ!!!」
N
シヲンはフラックスの耳元で指を鳴らすと
フラックスの生気がみるみると回復していった。
フラックス
「ゴホッゴホッゴホッゴホッ。」
シヲン
「楽になったかい?」
フラックス
「あ、ありがとうございます」
シヲン
「もう自分を偽らなくていい。
女性である事を恥じるべきではない。
それに、恐れる事もない。
フラキシス。君は能力を手に入れたんだ。
とても邪悪で素晴らしい能力をね。」
フラックス
「...僕は...。」
シヲン
「私。だろ?」
フラックス
「私は...強くなった...
あれ...この声って」
シヲン
「うん。そうだよ。
僕の声が届いてたみたいだね。
しっかりと言うこと聞いて君はとても強くなった。
まさか尸諫術士としての能力を開眼して
愛玩躯さえもその場で
顕現させてしまうなんて
君の才能には驚いた。ねぇ?マルコ」
マルコ
「はい。尸諫術士は鞘花や神滅適合者と同等です。
貴方は神に選ばれた。」
シヲン
「そして、その兄であるマリガルドは
神滅の 覚醒者となった。
マリガルドはともかく君の血筋も
後で遡ってみるとしようか。」
フラックス
「あ、貴方様は...」
ルドバキア
「この御方はアザジェノスの皇帝シヲン様である。
この世界の絶対的な存在!!神と同等である。
平伏せよ!!!」
シヲン
「神と同等ねぇ。僕、神が嫌いなんだけど。」
ルドバキア
「失言をお許し下さい。マスターシヲン。」
シヲン
「釈尊もロージアもさぁ。
神を気取り過ぎだと思わない?
オルケイディアぐらいさぁ
小ぢんまりとしてたら可愛いのに。
って言っても分かんないか。」
N
シヲンはカツカツとブーツを鳴らして
マルコの前で歩みを止めた。
マルコ
「マスターシヲン」
シヲン
「マルコ。禁忌ノ果実の扱いには
充分、気を付ける様に言ったけど。
これはどう言う事?」
マルコ
「マスターシヲン。マリガルドを御所望だと言う事は
重々承知しておりました。
しかしながらマスターシヲン。
私はフラックスに可能性を感じておりまーー」
シヲン
「フラキシス。彼女の名はフラキシスだよ。」
マルコ
「し、失言をお許し下さい。
フラキシスに可能性を感じており
マリガルドだけではなく
フラキシスを連れてくれば
御喜びになると考えました。」
シヲン
「それで?マリガルドはどこかな?」
マルコ
「それは...」
シヲン
「ルドバキア。僕はなんて言ったかな?」
ルドバキア
「ハッ。マスターシヲンは
禁忌ノ果実をマリガルドに使い
連れて来いと申しておりました。」
マルコ
「し、しかしながら!!!
禁忌ノ果実はただのドラッグではないのですか!!
それがまさか神滅適合者に覚醒するなど!!
奴は遥かに強く私の力などでは到底ーー」
シヲン
「粉末と錠剤。僕は君に2つ持たせた。
禁忌ノ果実は貴重な実から作り出す
薬毒系の魔導具。」
マルコ
「魔導具...」
シヲン
「内なる欲望を掻き出し
理性に縛られた脳の制限を解除する。
副作用として起こる快楽と苦痛の狭間に
耐える事が出来れば
擬似的な神卸の儀を行えるんだよ。
しかし失敗すれば良くて廃人。最悪、死ぬ劇薬。
禁忌ノ果実はね
ソープワイトでさえも作り出せない古代技術なんだ。
そんな貴重な禁忌ノ果実を凡人に振りまき
錠剤を2つも無駄にした。
マルコ。君も体感したから分かると思うけど
マリガルドは筋肉が鋼の様に硬く
絹の様に滑らかな天授万才。
僕の見立てでも勝算は2割だった。
なのに...まさか、連れて来れないとは...。」
マルコ
「マ、マスターシヲン...私はーーー」
シヲン
「マルコ。その若さで刃汽を扱えるのは
別に特別でも何でもない。
僕からすれば君の天授万才だって
大した事はない。僕はね。君の神々に対する
執着に興味があっただけなんだ。
1つ言っておこう。
彼やアセヴィと比べれば君はただの凡人。
マリガルドを覚醒させるトリガーに
過ぎなかったんだよ。」
マルコ
「そ、そんな...では...私はお膳立て...だったと
私の掛けた時間はーーー」
シヲン
「この期に及んで時間を気にしているのかい?」
マルコ
「い、いえ!!決してそんな訳ではーー」
シヲン
「僕は君に対して失望したよ。
わざわざ父親に金を持たせて男に襲わせ
君がいる聖 ジェルモーリオ軍事更生施設に
送る手筈を整えたというのに。
おっと、気にしないでおくれフラキシス。」
フラックス
「...え」
マルコ
「し、しかしながらーー」
シヲン
「しかしながら?なんだい?
君の発する言葉に
僕を納得させられる言葉を吐き出せるのかい?」
N
マルコは額から尋常ではない汗を吹き出していた。
シヲン
「この問題を解けと言ったのに
出来ないから違う問題を解きました。
で、この世界の誰が納得するんだろうね。」
マルコ
「私は...マリガルド以上にフラキシスの可能性を
マスターシヲンにお渡しすることがーーグチョッ」
シヲン
「パチン。
僕は君に可能性を感じた事など1度も無いよ。」
N
シヲンが指を鳴らすと
マルコはその場で折り畳まれてしまった。
ルドバキア
「よろしいのですか?マスターシヲン。
使用人にすると仰っていたのに...」
シヲン
「僕さぁ、嘘吐き嫌いなんだよね。」
ルドバキア
「ハッ。マスターシヲンの仰せのままに。」
シヲン
「さて、長話しに付き合わせてしまって
すまないねフラキシス。
存在しない時の神?に盲信する彼が面白くってね。
つい揶揄ってしまったんだ。」
フラックス
「あ...あ...いえ...私は...」
シヲン
「良い子だ。フラキシス。
では、本題に入ろうか。」
フラックス
「本題...」
シヲン
「君はまだまだ愛玩躯の能力を1%も出せていない。
このままじゃ来たる運命の終末の舞台にさえ
立てないだろうね。」
フラキシス
「運命の終末...?」
シヲン
「気にしなくていいよ。
そうだ、ルドバキア。君の愛玩躯で
修行を付けたらどうだい?」
ルドバキア
「ハッ!!
仰せのままに!!!」
シヲン
「きっと修行に付き合うならピッタリだよ。」
間
シヲン
「君のLAILAHならね。」
フラックス...いやフラキシス。
どう?マルコと思わせて
フラキシスが今回のボスだったのですが
ミスリードはうまく行ったかなと思います。
そして新たな尸諫術士が出てきましたねぇ。
それに、ライラ。え!?ライラ!?
気になる方はアセヴィズサイドストーリーを
読んでくださいねぇ!!