Vol.11 矛×盾
ファンクラブにて
Secret Side Story 慎ましく咲く君の花を
公開致しました。
この話にも関連のあるワードが出てくるので
あれ?この単語聞いたことないな。
と思った方はぜひ
ファンクラブに入会していただけると
配布いたしますので
皆様のご入会お待ちしています。
さて、花粉症の時期ですねぇえええ!!
俺も花粉症三年前からデビューしました!
今年は症状が出る前に病院行ったから
苦しくないぜ!!!!!!!
それと、
バレンタインくれた人ありがとう!
スタッフがおいしくいただきました!
嘘です。笑
チョコレートも嬉しい!!
だけど入浴剤も嬉しいです!ください!
なんつって笑
お風呂いーよねー
今日はそんな話しです。
嘘です。
では、楽しんで!!
N2
((怖す強す壊す…
作る 創る 築る…
気付かないのか…
この世界の真理とは…
二律背反だという事に…))
N1
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作者 REN’sJackson
ー千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜ー
ナーベルク士官学校篇
Vol.11 『 矛 × 盾』
※音楽がある場合終わるまで待つ
----------------------------
N1
ブルダニア諸島には
アトラース島、メノイ島
エピメンタ島と並び
その後方を見守る様に
プロメーテ島が位置している。
それは元々、教官をはじめ職員達が
各島々に通いやすくする為であり
ナーベルク士官学校に
従事する人の住居や施設が
建設された人工的な島であった。
しかし、近年Dクラス増設の為
プロメーテ島を解放したが
今も尚この島に住人達は住んでいる。
そして、ナーベルク士官学校の職員会議も
プロメーテ島で行われていた。
アザミ
「フゥーー
かったりぃな。」
N1
職員室の屋上でタバコを吸う
A-1st担任であるアザミは
夕暮れの空を眺めていた。
すると、ガチャっと扉の音がした。
エロディウム
「あ、あのぅ…ア、アザミ先生…」
アザミ
「あん?」
エロディウム
((か、か、か、かカッコイイ!!!))
N1
B-1st担任エロディウムは
顔に大きく傷跡が残るアザミに
見惚れていた。
しかし、目があった瞬間
顔を赤らめ、咄嗟に扉の陰へと
隠れてしまった。
エロディウム
((もう!私ったら!!ダメダメ!!
だから変な人だって
思われちゃうのよ!))
アザミ
「何の用だエロディウム。
全体職員会議は終わったろ?
せっかくクソガキ達の顔を
見なくて済む休日に集まったのに
ほぼ1日潰れちまって
俺は機嫌悪りぃんだ。フゥーー 」
エロディウム
「そ、その…1stクラスの担任だけで
会議するってクリシャンテ校長が仰ってて
それで…あの…私…その…」
アザミ
「パス。
俺は今から帰って寝る。」
エロディウム
「そ、それは!!…困りますぅ。」
アザミ
「はぁ…。
六大貴族の事か??」
エロディウム
「…きっとそれだけではーー」
アザミ
「俺は特別扱いする気もねぇし
する必要もねぇってさっき言ったろうが。
生徒はアイツらだけじゃねぇんだからな。
俺たちは2年生も3年生も
見なきゃなんねぇのを忘れたのか?」
エロディウム
「で、でも…」
アザミ
「フゥーー
分かった。」
エロディウム
((なんだかんだ言っても
アザミ先生は優しいなぁ…))
アザミ
「何笑ってんだ?」
エロディウム
「あ!!いえ!!別に!!その!!」
アザミ
「ほら、行くぞ」
N1
一方、校長室にて
シルバ
「アザミの野郎は何やってんだよ!!」
N1
C-1st担任であるシルバは
腕を組みながらソファにモフッと座ると
魔進 をイジるD-1st担任
オンジュームに 睨 みを効かせていた。
オンジューム
「そんなカリカリしたって
すぐ来るわけないのさ!!!!
そんな事よりも
スパナ取ってくれないかい?」
シルバ
「オメェはさっきから
うるせぇーんだよ!!!!
校長室で何やってんだ!!
こんな所で
ガラクタいじってんじゃあ...ねぇ!!」
オンジューム
「ガラクタ!?
それはガラクタなんかじゃ!!」
N1
シルバはスパナを魔進に投げつけた。
オンジューム
「ちょ!!何をするんだい!!??
スパナはそんな事する為に
あるんじゃないよ!?」
シルバ
「校長室はオメェの工作室じゃあ...
ねぇんだよ!」
N1
更にシルバは工具を投げつけた。
オンジューム
「オーマイガッ!!!!!
シルバ先生のご乱心だよぉおお!!!
あ!!そうだ!!
僕の息子 の写真でも見て落ち着きーー」
シルバ
「ほぼテメェと同じ顔じゃあねぇか!!
余計、イラつくんだよ!!!」
N1
そう言ってシルバは
オンジュームが見せた写真を蹴り破った。
オンジューム
「マイサーーーーン!!!」
エロディウム
「し、失礼しまーす。アザミ先生を…」
アザミ
「俺早く帰りてぇ…んだが…」
エロディウム・アザミ
「???」
オンジューム
「アパパパパパー!!!」
シルバ
「逃げるんじゃあねぇ!!」
アザミ
「おい、校長室で何やってんだ。」
N1
シルバの体術を華麗に 避 けるオンジューム
それを追いかけるシルバ
2人の異様な光景に
アザミとエロディウムは固まっていた。
エロディウム
((シルバ先生怖いぃい))
アザミ
((コイツらは毎度毎度うるせぇな))
アザミ
「ガキじゃねぇんだかーー」
クリシャンテ
「何事だ。」
アザミ
「クリシャンテ…」
N1
スッと何事もなかったかの様に
突然現れたクリシャンテは
2人の間に割って入った。
シルバ・オンジューム
「ッッ!?」
エロディウム
「クリシャンテ校長!!」
シルバ オンジューム
「クリシャンテ!!」 「校長!?!?」
クリシャンテ
「毎度毎度、私の部屋を荒らしおって…」
『剋刃 三十四•浮天波無』
『剋刃 三十六・空乗波濤』
「複合合成刃術」
『剋刃 七十・天歩艇音』
N1
するとクリシャンテの手の動きに合わせて
波動が緩やかな波となり
散らかった様々なモノが
鮮やかに元の位置に片付けられていった。
エロディウム
「わぁ…凄い。
こんな使い方もあるんですね…」
N1
と。同時にオンジュームの魔進 も
瞬時に解体されてしまった。
オンジューム・エロディウム
「あっ」
クリシャンテ
「オテンバが過ぎるぞシルバ。
もう生徒では無い事を自覚しなさい」
オンジューム
「ぼ、僕の魔進 …」
シルバ
「ケッ!!
オメェもアザミも来るのが
遅ぇから苛立ってんだろうが!!
今日はガーベラと
飯を食いに行く約束してんだよ。
遅れたらどう落とし前を
付けてくれんだぁ?…ぁん!?」
N1
そう言ってシルバは
オンジュームの魔進 を踏み壊した。
オンジューム
「あっ」
エロディウム
「オンジューム先生…大丈夫ですか?」
オンジューム
「だ、大丈夫さ…
待ち時間に亜音速ラジコンを
作ってただけさ…」
エロディウム
「亜音速!?」
オンジューム
「そうさ!!
ルシットミルックスで
地面からもカメラで取れたら
臨場感たっぷりだろ!?
アパパパパパー!!!!!!」
シルバ
「速すぎて客が目で追えねぇだろって
何回言わせんだ!!」
オンジューム
「!?!?言われてみればそうだね!!」
シルバ
「初耳みてぇな顔してんじゃあねぇよ!」
エロディウム
「あ、あの…私は今日…
魔獣生物 学の権威が集まるパーティが
この後すぐに入ってるので
帰ってもいいですかぁ??」
シルバ
「はぁ!?
そんなパーティより
ガーベラの方が大事だろ!!!」
エロディウム
「だ、ダメですぅ!!!
研究費も集まる大事なパーティなんですぅぅ!
それにナーベルク士官学校の予算の負担が
グッと抑えられるんですぅ!!!!」
クリシャンテ
「由々しき問題だな」
シルバ
「知った事かよ!!
こちとらこの世界で
たった1人のガーベラが
腹空かせて泣いてんだ!!」
エロディウム
「ぇえ!?
お腹空かせて泣いてるんですか!?
それは一刻も早く帰らないと!!」
シルバ
「だろ!?」
アザミ
「騙されんな。
六大貴族が腹空かせて
泣くわけねぇーだろ。」
エロディウム
「え!?嘘なんですか!?」
オンジューム
「アパパパパパー!!!!
エロディウム先生は相変わらずなのさ!!
これぐらいシルバ先生も
可愛げがあったらどんなに良かったか!!
おっと!!口が滑ってしまったのさ!
アパパパパパパパー!!!!」
シルバ
「テメェ…ブン殴るぞ!!」
クリシャンテ
「早く帰りたければ
迅速に話を進めれば良いだけの事だ。」
N1
クリシャンテは
本棚にある1冊の本を手前に引くと
校長室がみるみる変化していった。
目の前には世界地図
ズラリと並ぶ机と椅子
そして、大きなホワイトボードが
1つ置かれていた。
エロディウム
「あわあわあわあわ!!
部屋が急に!!!」
アザミ
「何だ…初めてかよ。」
シルバ
「ここは全方位完全遮断領域室ってんだ。」
オンジューム
「僕と校長が作り上げた秘密の部屋さ。
外部からの如何なる侵入も
完全に遮断する空間なのさ。」
クリシャンテ
「ダリア城にも同じような空間がある。
例え鞘花でも
ここに侵入する事は出来ない。
"最近は更に面白いもの"を手に入れてな。
実験段階だがこのシステムを
持ち運べるかもしれん」
オンジューム
「何と!?それは素晴らしいのさ!!
刃術の外側に手を出したんだね!?」
N1
クリシャンテは不敵に笑うと
中央の席に着いた。
それに倣い他の4人も席についた。
クリシャンテ
「まずは先程の全体職員会議でも上がったが
1週間後に行なわれる
チーム対抗刃術バトルロアイヤルについて
少し話したい。」
アザミ
「なんでわざわざ俺らだけなんだ?
それなら他の教官も呼ぶべきだろ」
エロディウム
「そ、そうです。」
シルバ
「例年通り、各学年の1stが
代表選抜戦に勝ち上がったからだろ。」
オンジューム
「今年のA-1stは
粒揃いのレベルを超えてるのさ!!」
クリシャンテ
「代表選抜戦から2ヶ月
この短い期間で驚くほど
腕を上げておる。」
エロディウム
「確かに凄いと思いますけど…」
クリシャンテ
「私はルールを変更しても良いとーー」
シルバ
「正気かよ。危険だクリシャンテ」
クリシャンテ
「察しが良過ぎるのも
シルバの良い所でもあり
悪い所でもあるな」
エロディウム
「ど、どういう意味ですか?」
オンジューム
「アパパパパパー???」
クリシャンテ
「例年は各学年ごとだったが
今年はそれを破棄して
全学年総当たりにする。」
エロディウム
「そ、それって…
1年生と卒業間近の3年生が
大会で当たるという事ですか!?」
アザミ
「3年からしたら
刃術の実力を
帝国にプレゼンする大切な場だ。
その後の将来を左右する大会でもある。
俺は納得出来ねぇな。」
オンジューム
「おもしろいんじゃないかな!!
六大貴族はある意味で客寄せパンダ。
ナーベルク士官学校の宣伝にもなるのさ!
知ってるかい??ルシットミルックスは
過去最高の視聴率だったらしいよ!?」
シルバ
「そんな事たぁ…どうでも良いんだよ。
刃術バトルロアイヤルは
実戦形式で行なわれる。
下手したら死人だって出んだぞ。
傷だって…
自分で治さないといけねぇんだ。」
クリシャンテ
「無論…この2ヶ月間
合宿も交え私は1年生をみっちり鍛錬し
そう判断した。
特に成果を上げたのは誰だと思う?」
N1
クリシャンテの問いかけに
一同は口を揃えた。
かと思えば違った。
アザミ
「いねぇ」
エロディウム
「ラナンキュラスくん…」
オンジューム
「ルビウスくんかな!!」
シルバ
「分かってねぇな。
B-1stのゼンゼマンだよ。」
オンジューム
「いや!ルビウスくんさ!!
彼の潜在能力は素晴らしいのさ!!」
エロディウム
「で、でも…ラナンキュラスくんは
カッコ…じゃない!!!
天授万才です!
それに優しくて
理知的でなんかこう…懐かしいような…」
アザミ
「そりゃぁ
兄貴のクリスと似てるからな」
エロディウム
「そ、そ、そ
そんな事ないですから!!
私はもっと渋くて
不器用な人が好きなんです!!」
N2
エロディウムは顔を真っ赤にして
頬を膨らませていた。
アザミ
「知らねぇよ」
N2
するとシルバが口を開いた。
シルバ
「分かってねぇーな。
刃汽の異質さで言ったら
明らかにゼンゼマンだ。」
アザミ
「ゼンゼマン?誰だそれ」
エロディウム
「ジミー=ナスヴェッター=ゼンゼマンは
ウチの生徒ですぅ!!」
アザミ
「いたっけか?」
オンジューム
「あのノスタルジックおさげの子さ!!」
アザミ
「いねぇよ。」
シルバ
「いんだよ!!」
N2
それを見ていたクリシャンテは
深くため息をついた。
クリシャンテ
「ハァ…何かと騒ぎおって…
成長率でいうならルビウス。
才能で言うならラナンキュラス。
しかしジミーは異質さはあれど
それもまた個性の範疇。
特筆すべき事はそれだけだ」
シルバ
「いや、明らかに違げぇよ。
奴には何かある。」
クリシャンテ
「何かとは何だ?」
シルバ
「別に今は…何もねぇけどよ…」
クリシャンテ
「まるで犯罪者かのように生徒を見るのは
やめなさい。教え導く者は平等に
生徒に対して接するべき。」
シルバ
「…クッ」
N2
諭されたシルバは
苦虫を噛んだ様な顔をしていた。
アザミ
「で?気になったのはどいつだ?」
エロディウム
「クリシャンテ校長に
気にかけてもらえるなんて驚きです!」
オンジューム
「相当な資質なんだろうね!!
アパパパパパー!!!!」
N2
するとクリシャンテは
意外な人物の名を言った。
クリシャンテ
「デルフィ=インダダーク」
アザミ
「はぁ!?」
エロディウム
「デルフィさん??」
シルバ
「まじかよ…」
オンジューム
「驚いたねぇ」
クリシャンテ
「彼女は試験最下位だったが
この2ヶ月間、指導して
分かった事がある。」
アザミ
「何をだよ。」
クリシャンテ
「ムラだ。」
シルバ
「ムラ!?」
クリシャンテ
「デルフィは波形が壊れたかの様に
突然、刃汽量が増える。
それが潜在的なものなのか
元々あるものなのかは分からんが
その振り幅はとてつもなく広い。
私自身も最初は刃汽知覚を疑った。」
N2
ざわつく4人は
納得のいかない答えに
違和感を覚えた。
シルバ
「悪りぃけどよ。
俺はデルフィが卒業出来るか
怪しいと思うぜ」
エロディウム
「でも…デルフィさんは
シルバさんを出し抜きましたよね?」
シルバ
「あれはプラムの作戦勝ちだろうが!」
オンジューム
「結果は残している事に
変わりないのさ!
アザミ先生は教え子の事を
どう見てるんだい?」
アザミ
「A-1stは
ジジ達が群を抜いてる。
その陰に隠れてちゃ気付かねぇよ。
シルバの時もプラムという秀才と
ゼンゼマンの異質さに
隠れてただけかも知れねぇ」
クリシャンテ
「今年の1年生は豊作。
故に実戦や経験を積ませ育てていきたい。
総合的には六大貴族が圧倒してるのは
間違いないがそれだけじゃない才能が
今年は溢れている。」
オンジューム
「この国の未来の為に
成長を促したいって事だね」
シルバ
「それでも3年生とは開きがあり過ぎる」
エロディウム
「危険過ぎますよね。
3年生の中には
下級隊士レベルの人達もいますから。」
アザミ
「そっちの方が燃えるだろうけど
俺が心配してるのはそっちじゃねぇ」
クリシャンテ
「花形の3年が
1年に負けるかもしれない。
そう…思っているのだな?」
アザミ
「帰郷祭は
ただの祭りじゃねぇ。
進路が決まる大切な場だ。」
エロディウム
「それって…アザミ先生は…」
オンジューム
「今の3年がアキレイ君たちに
負けると、そう考えているんだね?」
アザミ
「どうだかな。
斬術に関して言えば
ツバキの右に出るもんはいねぇ。
チームとして導く能力は
ルシファンブルク姉弟が圧倒的だ。
体術ならマーティンは負けなし
刃術センスに関しちゃ
バンジャマンは脅威だ。
それらに対応するドレークは
油断ならねぇ存在。
おまけに他の能力も
他の追随を許さねぇ。
コイツらは間違いなく
将来、国を背負える。」
シルバ
「珍しく褒めるじゃあねぇか。」
アザミ
「褒める?
ふざけんな。事実だ。
お前らもヒシヒシと感じたろ。
明らかに何かに引き寄せられてる。
上手く言えねぇが…
奴らが歩く道は既に敷かれていたレール。
そう思わせるぐれぇ成長速度も
幸運を引き寄せる能力も異常だ。」
クリシャンテ
「全ては運命の終末 に
導かれるがままに…」
N2
クリシャンテが感慨深くそう呟くと
空気が少しだけ張り詰めた。
エロディウム
「え、何ですかそれ?」
シルバ
「クリシャンテ…お前…それ…」
オンジューム
「何なのさ!それ!!」
アザミ
「年寄りがよく使う言葉だ。
天空山の偉い僧侶が書いた預言書の一節に
運命の終末 って
言葉が書いてあんだよ。」
オンジューム
「天空山!?!?預言書!?
そんなファンタジーな話しなのかい!?」
アザミ
「知らねぇよ。
その全容を知る者に会ったことはねぇ。
クリシャンテだって
詳細は知らねぇよ。」
エロディウム
「そ、その運命の終末 に
導かれてるのがツバキくん達なんですか!?」
クリシャンテ
「奇跡や運命は重なるもの…」
シルバ
「ぁあ。
良くも悪くもな…」
オンジューム
「子供達 は
僕らが導いてあげるべきだと
僕はそう思っていたいけどね!!」
エロディウム
「あの…アザミ先生…
どうかしましたか?」
アザミ
「いや…別に。」
N2
様々な死線をくぐり抜けたアザミは
時折感じていた。
自分達は歯車の一部であり
大いなる能力によって
導かれているのではないのかと。
クリシャンテ
「明らかな死をその身に受けても尚
立ち上がって来た者達。
現実離れした事象の数々。
我々は幾千もの闘いの中で
それを見て来た。」
シルバ
「ぁあ。
奇跡はほんの一握りの者にしか
降りて来ねぇ。
だがそれが奇跡なんかじゃあねぇ
って事か。逆もまた然りだな。」
オンジューム
「生き残るはずの者が
死ぬ事だってあるのさ。」
エロディウム
「結局、先の事なんて分かりませんね。」
クリシャンテ
「新たな時代が幕を開けるのかもしれん」
アザミ
「新たな時代が
幕を開ければ良いけどよ。」
エロディウム
「どう言う意味ですか?」
アザミ
「それはこの時代が
幕を 鎖 すって意味もあんだろ?」
オンジューム
「アパパパパパー!!!
その通りさ!!!
でもその時代がいつからいつまでによって
だいぶ変わると思うけどね!」
アザミ
「とにかく俺は反対だ。
1年生は1年生だけでいい。」
クリシャンテ
「なるほど。
アザミは良き指導者だな。
ちゃんと他の生徒の事も考えている。
しかし、ナーベルク士官学校は
国の為にある。大局を持ってして
世界と帝国を推し量るべし」
シルバ
「俺も反対だ。
奴らにはまだ早すぎる。危険だ。」
クリシャンテ
「その危険を回避するのが
我々の務めだ。シルバ」
エロディウム
「わ、私は賛成です。
ルシットミルックスの視聴率も
まぁ…そうですけど
次代にも良い影響を与えると思います。」
オンジューム
「僕もナイスアイデアだと思うよ!!
彼らは追い込まれて成長する事を
この身を持って体感したからね!!
でもそれは他の生徒も同じさ!!
そもそも3年生が1年生に負けるなんて
彼らのプライドが許さないだろうね!」
クリシャンテ
「では、3対2で可決とする」
シルバ
「チッ。」
アザミ
「エロディウム時間は良いのか?」
エロディウム
「あ!!!
もう行かないと!!!!」
N2
エロディウムは
立ち上がりあたふたしていたが
出口が見当たらなかった。
エロディウム
「どこから出れば良いんですかぁあ!!!」
クリシャンテ
「 パチンッ」
エロディウム
「あっ!!」
N2
クリシャンテが指を鳴らすと
エロディウムは消えてしまった。
シルバ
「おい、何の真似だ。
会議は終わったんだから
元の部屋に返せよ。
こっちはガーベラが待ってんだ。」
オンジューム
「アパパパパパー!!!
指を鳴らして術式を組み替えるとは!
流石はクリシャンテ校長!!!」
クリシャンテ
「組み替えと言うより消去に近い」
アザミ
「まさか…まだ用があるってのか?」
クリシャンテ
「そう急くではない。」
シルバ
「おい!!俺は急いでんだよ!
ガーベラが待ってんーーーー」
N2
するとクリシャンテは
強大な刃汽を発した。
シルバ・アザミ・オンジューム
「ッッッッ!?」
オンジューム
「…アパパパパパ…」
シルバ
「おいテメェ。
もう一度聞くぜ?
何の…真似だ。
俺らがそんなんで
ビビると思ってんのか?」
アザミ
「俺もシルバも元隊長格。
いちいち刃汽で脅すなんて
どういうつもりだクリシャンテ。」
クリシャンテ
「聞き分けのない子に
仕置きをするのは当然。
ましてや、校長の言う事を聞くのは
至極真っ当だと思うが?」
オンジューム
「アパパパパパ…
お、落ち着きなよぉ…」
N2
ゴゴゴゴッッと
刃汽が激しくぶつかり合い
振動し始めた。
その時、ズヌッッと
床の影の隙間から人が現れた。
シルバ・アザミ・オンジューム
「ッッッッ!?」
オンジューム
「ここは全方位完全遮断領域室のはず…だよね?」
アザミ
「テメェは!!!」
シルバ
「何でお前が…」
クリシャンテ
「よく来た。
オルケイディアニ刃花隊 隊長
アゲハニ刃花隊 副隊長代理」
N1
----------------------------
作者 REN’sJackson
ー千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜ー
ナーベルク士官学校篇
Vol.11 『 矛 × 盾』 (完)
※音楽がある場合終わるまで待つ
----------------------------
配役変更一覧
----------------------------
エロディウム▶︎▶︎▶︎N
N1▶︎▶︎▶︎オルケイディア
N2▶︎▶︎▶︎アゲハ
----------------------------
N
おまけ
オンジューム
「アパパパパパー!!!!!
千刃花の大隊長ぉお!?
これは驚きなのさ!!!!」
クリシャンテ
「ハァ…入る時は迎えに行くと
あれだけ念を押したのを忘れたか…
ここは全方位完全遮断領域室だぞ?
そう易々 と入られては困る」
オルケイディア
「全方位完全遮断領域室など笑わせる。
私にとって…
そこらの部屋となんら変わらん」
アゲハ
「久しぶりだねぇ。アザミ副隊長。
シルバ副隊長。
おっと、2人とも"元"だったね。
それと…初めまして。
君が…オンジューム先生だね。
この素敵な小部屋を作ったと聞いて
思わず笑ってしまったよ。
なんて陳腐なんだろう。ってね。」
オンジューム
「アパパパパパ…は、初めましてなの…さ」
N
するとアゲハはガッと
オンジュームに近づいた。
オンジューム
「ッッ!?」
アゲハ
「別に悪気はないんだ。
そう身構えなくていいよ。フフッ」
N
アザミは喉元に突き立てた祈木の刀を
アゲハから離した。
オルケイディア
「やめろアゲハ。
不用意に人に近づくな。」
アザミ
「おい…マリア
何でソイツを外に出した…」
オルケイディア
「何で…だと?
私のする事に進言出来る立場か?アザミ。
お前がまた副隊長に戻ると言うのなら
少しは耳を傾けてやっても良いが」
アザミ
「戻る気はねぇよ」
シルバ
「オルケイディア…
ソイツは…監獄行きだったろ!!!
なんで復隊してんだ!!」
オンジューム
「か、監獄!?!?監獄ってまさか…」
クリシャンテ
「大迷牢 ・異獄 千枚門 。」
N
大迷牢 ・異獄 千枚門 とは
世界3大監獄の1つである。
刃汽の無い者はセントラル刑務所に
収監されるのに対して
刃汽を有し大罪を犯した者が
大迷牢 ・異獄 千枚門 に収監される。
アザミ
「アガパンサスは…俺の部下を殺した。
それも1人だけじゃねぇ…何十人もだ。」
アゲハ
「そんな昔の事
よく覚えてるよねぇ」
シルバ
「正気とは思えねぇ…
そんな奴が千刃花を名乗るなんて
千刃花の理念…いや
帝国の理念に反してるじゃあねぇか!!」
オルケイディア
「1つ勘違いしている。
千刃花を名乗れるか否か…
それを決めるのは大隊長である私だ。
千刃花における大隊長の決定は
帝国の決定と同義。
貴様らにどうこう言われる筋合いなど...
微塵もない」
シルバ
「何だ…と!?」
アザミ
「だから何だ。
とっとと失せろ」
シルバ
「誰もテメェが出てくるなんて
望んじゃあいねぇんだよ。」
アゲハ
「いやだなぁ
確かに部下を結果的に殺してしまったけど
5千の敵は殺せたんだよ??
目的は達したのに…
何で僕が責められるのかなぁ。」
N
ニタニタと不気味な笑みを浮かべながら
アゲハはフッと目の前から消えた。
アゲハ
「ねぇ…教えてよ。」
シルバ
「ッッ!?」
N
アゲハはシルバの耳元で囁やくと
一瞬遅れをとった後
シルバは素早く宙を返り
戦闘態勢に入った。
シルバ
((早い!!!!
この俺が反応出来なかった!!))
アザミ
「おい、アガパンサスいい加減にしろ。
次ナメた真似したら…」
アザミ・アゲハ
「殺すぞ?」
アザミ
「何!?」
アゲハ
「アザミ副隊長が
よく僕に向かって言ってたね。
久しぶりに聞けて嬉しいよ。」
シルバ
「焼き殺す!!!」
オルケイディア
「くだらん。
戯れるのはやめろ。」
アゲハ
「フフッ。はいはーい」
アザミ
「チッ」
アゲハ
「シルバ元副隊長
刃汽を収めてくれないかい?」
シルバ
「テメェこそな…」
N
睨 むシルバに対して
圧倒的な身長差で見下ろすアゲハは
不気味な笑みを浮かべていた。
クリシャンテ
「オルケイディア。
何故アゲハを連れてきた。」
オルケイディア
「出所祝いに
飼い犬の散歩でもしようと思ってな。
しかし霧の迷宮を彷徨えば
少しはマトモになったかと期待したが
大して変わらんかったな」
オンジューム
「き、霧の迷宮って…」
クリシャンテ
「知らぬも無理はない。
概要は謎に包まれておる。
千枚門には
深層心理に刻まれた罪悪の記憶を
永遠にループさせる能力がある。
一度入れば最期
どう足掻こうとも自力では脱出不可能」
オンジューム
「世界3大監獄の名に相応しい
と、とんでもない所だね…
気が触れてもおかしくないのさ!!」
アザミ
「コイツはずっとこうだ」
アゲハ
「フフッ」
オンジューム
「そ、そうなのかい!?!?」
N
オンジュームは改めてアゲハを見た。
オンジューム
「・・・」
N
奇抜な髪色に髪飾り
大きなピアスに蛇の様なヌメッとした話し方
どれを取っても異常にしか見えなかった。
オンジューム
「よ、よく出れたねぇ…」
クリシャンテ
「アゲハの功績を考えれば
妥当とも取れるが…
条件付きなら可能とも言える。」
オルケイディア
「貴様にも関係ない。
華四百花 なら自分で調べて
胸の内にしまっとけ。
私の気分を害す為に呼んだのなら
全員殺して…帰るとするか」
アゲハ
「ねぇ…アザミ元副隊長。
オルケイディア隊長の方が
僕よりずっと危ないと思わないかい?」
アザミ
「 パンッ!!」
アゲハ
「おっと…」
アザミ
「俺に近づくな」
クリシャンテ
「お前がアゲハという危険分子を
持ち込んだせいで話しが進まん。」
オルケイディア
「私のせいにするな。」
クリシャンテ
「まさか予測出来なかった。
とでも言うのか?」
N
オルケイディアは
眉をピクッと動かすと
クリシャンテを 睨 んだ。
オルケイディア
「貴様は私が此奴を連れてくるなど
予測出来なかったろう?」
クリシャンテ
「一本取った気になるなオルケイディア」
オルケイディア
「フンッ。
無論、連れてきたのには訳がある。」
クリシャンテ
「何?」
N
するとオルケイディアは
オンジュームを指差した。
オルケイディア
「その男と引き合わせる為だ。」
オンジューム
「ぼ、僕かい!?」
シルバ
「オンジュームだと?」
アゲハ
「はぁあーい」
N
オンジュームにニッコリと
手を振るアゲハの目は
笑っていなかった。
オンジューム
「ぼ、僕は何の用事もないけどね…」
シルバ
「まさか…この島を!!」
オルケイディア
「そうだ。
ナーベルク帝国は大幅に
科学力では劣っている。
しかし、人材がいない訳ではない。
ただ、集まらなかっただけだ。」
クリシャンテ
「なるほど…
そこで魔進 科学の専門家と
引き合わせたのか。」
オルケイディア
「アゲハは
ナーベルク帝国第1級 科学建築技士。
つまり、建築科学の専門家だ。
此奴が科学面から
アプローチしてきた建築物は数え切れん。
そして、この人工島 …
プロメーテ島を作った責任者に
名を連ねる1人でもある。
こんな奴でもな」
オンジューム
「な、な、なんだってぇええ!!
アゲハなんて名前
...どこにもなかったよ!?」
アゲハ
「ちょっと…悪戯が過ぎて
途中で名前を抹消されちゃったんだ」
オンジューム
「一体何をしたのさ!!」
アゲハ
「気になるのかい?」
オルケイディア
「やめろアゲハ。
オンジュームもいらん詮索をするな」
オンジューム
「わ、分かったのさ…」
シルバ
「オルケイディア…
この前…兄貴に持ちかけた話って」
オルケイディア
「そうだ。
人体医学に関してはグレイ家の協力を仰ぎ
兵器製造に関しては
マーティン家に協力を仰いだ。
もちろん他にもな。
だが任務の都合上
悪いが鞘花であるカルミアは
参加出来ない。
その代わりにシルバ。
お前に白羽の矢が立った。」
シルバ
「俺が??何をさせる気だ。」
オルケイディア
「それが今回の議題だ。
クリシャンテ。」
クリシャンテ
「太いスジから情報を仕入れた。
結論から言わせてもらうが
ラミオラス帝国軍が
ここナーベルク士官学校を襲う。」
アザミ
「何だと!?」
オンジューム
「それは本当かい!?」
シルバ
「何でだよ…」
アゲハ
「フフッ。理由なんて
いくらでもあるんじゃない?
きっと熟す前の青い兵士を
プチっと潰す為だよ。
興奮しちゃうよねフフッ」
オンジューム
「考えてみれば
むしろ今までよく無事だったのさ。」
クリシャンテ
「何故このタイミングなのかは分からん」
アザミ
「何かと何かが重なったって事か…」
N
この時、シルバとアザミ、オンジュームは
同じ事を考えていた。
シルバ
「ツバキ達…」
オルケイディア
「鍔騎の者がどうかしたのか?」
シルバ
「いや、何でもねぇよ。」
N
ゆっくりと目線が合う3人
オンジューム
「とにかくそれは一大事なのさ。
僕らの学校が標的になる。」
アザミ
「事前に分かってんなら
千刃花を配備するべきだ」
クリシャンテ
「その通りだが…
いつ来るとまでは分からない。
千刃花は帝国の守護が任務。
ナーベルク士官学校の為に
常駐する事は出来ないのが現状だ」
アゲハ
「それを憂いながら
準備を進め僕らは戦うしかない。
まさに相手にとっては好機
僕らにとっては窮地。
生徒の死傷数はある程度…
換算しても構わないね?」
アザミ
「あん?」
シルバ
「ふざけてんのか?
昔みてぇに部屋に閉じこもってりゃあ
良かったのによ!!!
監獄ブチ込まれても出てきやがって!!
俺がここで!!ぶっ殺してやるよ!!」
アゲハ
「相変わらず血気盛んだねぇ。
僕も本当はアトリエにいたいさ…
でも、話聞いてからさぁ
血の匂いしかしないんだよねぇココ。
だから来ちゃった。」
N
するとオルケイディアは
アゲハを 睨 んだ。
アゲハ
「はいはい」
オルケイディア
「これは任務だ。
黙って私の言う事を聞け。
貴様らもだ。」
N
オルケイディアはそう言うと
全員を 睨 んだ。
シルバ・アザミ
「ッッ…」
オルケイディア
「まずは新たな兵器の開発に着手する。
ここプロメーテ島には更に司令部を作り
ダリア城と連携を取りやすくする。
お前達にも教官としての業務以外で
協力してもらうが...構わないか?
シルバ、オンジューム。」
シルバ
「分かった」
オンジューム
「了解さ!」
オルケイディア
「それと定期的にアゲハを送る。」
アザミ
「何…だと?」
オルケイディア
「オンジュームとグレイ家
マーティン家の者で兵器開発を進めろ。
研究施設はブルダニア家が用意する。
ここプロメーテ島にあった方が
何かと楽だろう」
クリシャンテ
「生徒達には悟らせるな。無論、保護者にもだ。
いざとなれば生徒は兵士となり
戦ってもらう事になるだろう。
それに備えて戦闘訓練の強化を行う。
斬術、体術、銃術、刃術に
より力を入れていくつもりだ。
全ての項目に刃術を織り交ぜる。」
シルバ
「体術を駆使した刃術戦って事か」
クリシャンテ
「そうだ。
オンジュームには
訓練用の魔進 を量産してもらう」
オンジューム
「僕1人じゃあ難しいのさ!!
あ!!授業の一環にして良いかい!?」
クリシャンテ
「良いだろう。」
オンジューム
「みんなと作るのが楽しみだねー!!」
クリシャンテ
「後でエロディウムにも言っておくが
一般武器の使用法も
多く授業に取り入れてもらう。
形状変化を作るのにも
様々な武器を知る必要があるだろう」
N
するとアザミがゆっくりと口を開いた。
アザミ
「まさか全学年総当たりにしたのも
これを見越してたのか?」
シルバ
「実戦経験を積ませたかったのか…」
クリシャンテ
「当たり前だ。
私の学校は私が護る。
ひいてはナーベルク士官学校全員で護る。
これが私と…
オルケイディアが出した答えだ。」
オルケイディア
「ナーベルク士官学校の教官は
実務経験が豊富で戦闘の訓練が
必要ない者が選ばれる。
更に1stクラスの担任ともなれば上級教官。
火急の事態においてはあくまでも兵士。
それを忘れるな。
フッ…心配する事はない。
ナーベルクを担う子供達を
千刃花は見捨てない。
必ず我々が護る。」
アゲハ
「死なせたくないなら
賢く立ち回るんだねぇ。
護ると言っても
その絶対数は限られるんだから。
生きると言う事は
それ即ち死ぬと言う事と同義さ」
N
ヌメリと放ったその一言は
まさに真理を突いていた。
オルケイディア
「いいか!!!ラミオラス帝国は
ここプロメーテ島で迎え討つ!!」
アザミ・シルバ・オンジューム
「ハッッッ!!」
※音楽がある場合終わるまで待つ
アゲハ
「鬼が出るか蛇が出るか…
はたまた、矛となるか盾となるか…
全く、理と言うのは
厄介なジレンマだねぇ」
やっと出せたアゲハ。
ずーーーーっと出したかった。
でも出せなかった笑
そしてアゲハは訳あり物件なので
ほぼ外には出ませんが
有事の際は別だぜ!!!
基本はアトリエに篭ってますね。
現代ではどうなんでしょうね。
あのニ刃花隊ですからね。。
これから活躍が楽しみですな!!!!
またVol.12で会おうぜ!!