Vol.10 己×誇
急激に寒くなりすぎて
インドアな俺は
窓を見た時に雪が降り積もっていて驚きました。
皆様も身体にはお気をつけて。
寒暖差が激しいと体調崩すからね!!
そんなこんなで今は朝の6時
千刃花の作業で朝を迎えることなんて
しょっちゅうなんですが
流石に眠い。
本編は面白いから安心して!
では!!楽しんで!
クリシャンテ
((この世界の刃が
喉元に突き付けられようとも
私の声は止むことは無い。
ましてや枯れる事も無い。
それが私の決めた…誇りなのだから))
※音楽がある場合終わるまで待つ
N
前回までの千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜は
ルビウス
「「ナーベルク帝国の諸君!!!
僕は天王軍団長ルビウス=ドレークだ!!」」
クリシャンテ
「「断じて!!屈してはなりませぬ!!!
ナーベルクの民達よ!!!!決しーー」」
ルビウス
「「ナーベルクの顔とも言える華四百花の一角。
長きに渡り国の参謀を務めつつ
ナーベルク士官学校で教鞭をとり
椿と鍔騎の両家を支えた刃術の達人。
数々の千刃花隊士を教え
革新的な刃術の応用や叡智を伝え
その多大なる功績は数知れず
ひいては華四百花にも選出された偉人
クリシャンテ=スノーマン。
だが、知っているだろうか?彼の裏の顔を。」」
クリシャンテ
「「...何?騙されるでない!!!こやつこそ!!
ナーベルクを裏切った国賊!!」」
ルビウス
「「ツバキは知っているのかい??
あなたが鍔騎家を根絶やしにした事を。」」
クリシャンテ
「「何を言っている!!!」」
ルビウス
「「先生。
あなたが僕に教えてくれた最初の刃術で
全ての幕を閉じましょう。」」
ルビウス
『滅刃の一・刀』
クリシャンテ
「義忠様!!万歳!!!万歳!!万ーー」
ルビウス
「さよなら、先生」
N
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作者 REN’sJackson
ー千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜ー
ナーベルク士官学校篇
Vol.10 『 己 × 誇』
※音楽がある場合終わるまで待つ
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N
ナーベルク士官学校。
それは帝国特務戦闘部隊"千刃花"に
入隊する事を目的とした
才能あふれる若者が集う学舎である。
千刃花に入隊する事は
難関とされており、入隊出来なかった者は
ナーベルク帝国兵として数年 従事した後
科学者や技術者、教官となる者もいれば
稀に一般企業に勤める者もいる。
厳しい入隊試験を突破した士官学校生は
即戦力として重宝され
現に千刃花に入隊した卒業生の多くは
戦果を上げて上級隊士や副隊長代理
副隊長を務めている。
その理由は明白で
飛び級を除けば三年もの月日をかけて
斬術 や兵法、歴史や魔進 学など
幅広い分野を高水準で学べる為である。
しかし、重宝される理由は
それだけでは無い。
ナーベルク士官学校では体内にある特殊な器官
"汽枢"から生まれる汽の力
刃汽を用 いて戦う刃術の術を
基礎から応用まで学べる事こそが
最大の理由であった。
N
A-1stの生徒は
午前に一般科目を終え昼休みの後
校長であるクリシャンテに
校舎屋上にある刃術修練場"空天"に
呼び出されていた。
アキレイ
「お腹すいたな!!」
ツバキ
「私の分のグミまで奪い
その台詞を吐くとは…
余程、命がいらぬとみえる」
ラナンキュラス
「まぁまぁまぁ、落ち着きなよツバキ」
ツバキ
「斬る」
アキレイ
「そう言えばさっきデルフィから
グミを貰ったんだ。
一緒に食べようツバキ!!」
ツバキ
「何…だと?」
ルビウス
「はぁ、遂に…刃術を学べるのか…
なんか、ドキドキして来た。
しかも、あの偉大な華四百花 の一人
クリシャンテ校長に!!!!」
N
ルビウスは胸を押さえながらそう言った。
ジジ
「フッ。今更、教わってもな…」
ラナンキュラス
「そうだよねー。
入学して早々に教わるって思ってたけど
思ったより遅かったしね。
本当、今更って感じだよ。」
アキレイ
「何を言っている!!
俺たちが他のみんなを
教えてあげられるじゃないか!!」
ツバキ
「何故、我らが教えねばならぬ。
そんな道理など無い。」
アキレイ
「助け合っていけば
必ず俺たちの為にもなるぞ!?
切磋琢磨という言葉があるじゃないか!」
ツバキ
「笑わせる。
我らが扱えるのは十番以下の滅刃。
人に時間を割くなどあり得ぬ。
その先の壁を
突破する必要があるのだからな」
ルビウス
「その先の壁!?」
ジジ
「知らねーのかよ。
滅刃、剋刃、照刃
この三種類の刃術は
一から五十までの番号が振り分けられてんだよ。」
ラナンキュラス
「そうさ。
その番号は分かりやすく難易度を示してる。
数字が若ければ若いほど難易度は低いんだ。
一から十九は下等刃術
二十から二十九は中等刃術
三十から三十九は上等刃術…
まぁ下等を下級とか中等を中級とか
言う人もいるんだけど
そこはあまりみんな気にしてないかな」
ツバキ
「そして、四十から四十三は高等刃術と言われ
扱える者は少ない。」
ルビウス
「ん?なんで四十番台は三で区切られるんだ?」
ツバキ
「四十四から五十は超高等刃術と
言われている。
鞘花並の刃汽量が無ければ
行使 するのは不可能だ。」
アキレイ
「ただ、系統によっては番号が若くても
扱いが難しい事もある。
氷雪に空間、薬毒に波動
全ての刃術を扱う事は
実質不可能なんだ。
それぞれ得意系統は決まっているからな!!」
ジジ
「系統だけじゃねぇよ。
人によっては剋刃が苦手だったり
滅刃が苦手だったりすんだよ。」
ラナンキュラス
「照刃はそもそも
得意な人の方が珍しいんだ。」
ルビウス
「そうなのか!?」
ツバキ
「照刃は医学知識を踏まえた上で
更に緻密かつ繊細な刃汽コントロールが
必要なのだ。」
ルビウス
「…ぼ、僕には無理かな…」
ラナンキュラス
「C-1stの座学は
医学の勉強ばかりだしね。」
N
A-1stの生徒たちは
このツバキ達の会話を熱心に聞いていた。
ジジ
「分かったかよ。」
ルビウス
「なんて奥深いんだ!!!!
もっと教えてくれ!!!」
ジジ
「ただ、この扱いが難しい刃術の数々を
さらっと使う例外もいんだぜ?
そいつは化け物だ。」
N
すると上空から声が聞こえた。
クリシャンテ
『『剋刃 三十四・浮天波無!!』
ツバキ・ジジ・ラナン・アキレイ・ルビウス
「ッッッッ!?!?」
ルビウス
「な、なんだなんだ!?身体が!?!?」
アキレイ
「グッ!!浮いた!?」
ラナンキュラス
「随分 と…手荒い…じゃないか…」
ツバキ
「なんの真似だ…クリシャンテ」
ジジ
「チッ…あれが例外だ」
N
上空を見上げると刃汽を
板の様に押し固めた波動系剋刃である
剋刃 三十六・空乗波濤に乗って
クリシャンテが滑り落ちて来た。
クリシャンテ
「いつから…
刃術の何たるかを
人に教授出来る様になったのですかな?」
ジジ
「…テメェ!!放しやがーー」
クリシャンテ
『剋刃 三十五・水牢塞』
ツバキ・ジジ・ラナン・アキレイ・ルビウス
「ゴボゴボゴボボボボ」
N
クリシャンテは光の如く
ジジ達の身体を水球に閉じ込めた。
浮天波無の無重力結界と合わせ
二重詠唱の効果により身動きが取れず
五人は虚しく白目を剥いていた。
クリシャンテ
「A-1st諸君。
私はクリシャンテ=スノーマン。
このナーベルク士官学校の校長を兼任し
刃術基礎、応用学の担当教師でもある。
パチンッ」
N
クリシャンテはそう言うと
パチンッと指を鳴らした。
ツバキ・ジジ・ラナン・アキレイ・ルビウス
「ゴホッゴホッゴホッゴホッ」
N
刃術から解放された五人は
床に手をつきむせていた。
ジジ
「ゴホッゴホッ…んの野郎!!」
ツバキ
「ゴホッゴホッ…どう云うつもりだ」
ラナンキュラス
「ゴホッゴホッ…久しぶりの再会なのに…
随分 な挨拶だね」
ルビウス
「ゴホッゴホッ…何で僕まで…」
アキレイ
「ゴホッゴホッ…クリシャンテ…」
ツバキ
「昔とは違うという事を見せてやろう。
貴公らは手を出すーー」
ラナンキュラス
「そうだね。」
アキレイ
「ぁあ!!」
ジジ
「後悔すんなよ!」
ルビウス
「え!?え!?え!?」
クリシャンテ
「ほぅ…お手並拝見ですな」
N
するとツバキ達は一斉に刃術を放った。
ルビウス
「何をしてるんだ!!!」
ツバキ
『滅刃の九• 鉄砕牙!!』
ラナンキュラス
『滅刃の十・泡沫飛沫!!』
アキレイ
『滅刃の八・爆連綴!!』
ジジ
『滅刃の三・波雷!!』
ルビウス
「皆やめろってーー」
クリシャンテ
『剋刃 四十四・断絶断壁』
N
無数の鉄のトゲ、水流の飛沫、連なる爆撃
迸る電気がクリシャンテを襲うが
クリシャンテは刃術を弾く障壁を生成し
全ての技を跳ね返した。
ツバキ・ジジ・ラナン・アキレイ・ルビウス
「グァァァァァアア!!!!」
クリシャンテ
「まだまだ甘いですな。」
ルビウス
((何で僕までぇええええ!!))
クリシャンテ
「各担任から聞いていますぞ。
校内での振る舞いは傍若無人。
六大貴族として在るまじき行為ですな。
忘れてはいけませんぞ。
偉大なのは今のあなた方ではなく
家柄だという事を。
怠けていては千刃花など夢のまた夢ですな」
ツバキ
「なん…だと?
私は…グッ…修練を怠った事などない…
此奴らと…一緒にするな。」
ジジ
「そうだ!!怠けて…なんて…」
ラナンキュラス
「心外だね…僕らは決して…」
アキレイ
「真面目に授業を!!
受けて…ムムッッ?記憶に…」
ルビウス
((君は授業中ほぼ寝てるだろ!!))
N
ツバキとルビウスを除く
ジジ、ラナンキュラス、アキレイは
しばらく考えていたが
そのまま口を噤んだ。
クリシャンテ
「義忠様。
ナーベルク士官学校は戦闘教育だけを
学ぶ場所ではありませんぞ。
仲間と共に競い合い、互いを認め高め合う。
集団の中で学べる事は沢山あるのです。
義忠様。大切なものを学んで下さい。」
ツバキ
「説法は聞き飽きた。
私はいつまでも子供ではない」
クリシャンテ
「何を言っているのですか。
私にとって義忠様は
あの頃と変わらぬ可愛い義忠様ですぞ」
ツバキ
「ッッ!?」
N
ツバキはカッと顔を赤らめると
ジジ達は笑いを堪えるのに必死だった。
ジジ
「クックックッ…可愛い…なんだって?」
ラナンキュラス
「ツ、ツバキが…照れてるッッ」
アキレイ
「フフッ…あんなツバキ見たことないぞ」
ルビウス
「プフッ!!ツバキも人の子なんだな!!」
ツバキ
「斬る」
N
ツバキは祈木の刀を抜き
ジジ達に斬りかかった。
ジジ
「や、やめろ!って!」
ラナンキュラス
「お、落ち着いてツバキ!!」
アキレイ
「き、斬りかかるならクリシャンテだろ!?」
ルビウス
「ぬぉおおお!!!」
N
その様子を見ていたクリシャンテは
思わず笑みがこぼれていた。
クリシャンテ
((義忠様にも
ご友人が出来たのですね…))
クリシャンテ
「しかし、今は授業中ですぞ!!!」
ツバキ
「ハァァァァァア!!!!」
ジジ・ラナン・アキレイ・ルビウス
「うぉおおお!!!」
N
戸惑うA-1stの生徒たちを見たクリシャンテは
思わずため息をついた。
クリシャンテ
「はぁ…止めろと言っているのが
分からないのか!!!」
『剋刃 三十二・磊枷数珠繫!!』
ツバキ・ジジ・ラナン・アキレイ・ルビウス
「グッッッッッ!!」
N
5人の両腕は枷をハメられた様に
重力の力で強制的に降ろされ
腕を刃汽の紐で繋がれた。
クリシャンテ
「来なさい」
N
そう言ってクリシャンテは
紐をグイッと引っ張りツバキ達を引き寄せた。
ルビウス
「オワッ!!」
アキレイ
「ぉお!!」
ラナンキュラス
「ちょっ!!」
ジジ
「んの野郎!!」
ツバキ
「グッ!!」
N
するとクリシャンテは
5人に拳骨 を喰らわせた。
クリシャンテ
「フンッ!!」
ツバキ・ジジ・ラナン・アキレイ・ルビウス
「ッッッッ!!」
ジジ
「何しやがる!!」
ツバキ
「この私に…拳骨 など…」
ルビウス
「これ以上噛み付かないでくれぇえ!」
クリシャンテ
「まだ仕置きが足りないと?」
ジジ
「チッ!!」
アキレイ
「イテテテ…久しぶりにやられたな…」
ラナンキュラス
「そうだね。
寝てる間に顔に落書きしたとき以来かな」
クリシャンテ
「全く…時間がだいぶ押してしまった…」
N
クリシャンテはそう言うと
5人を 睨 んだ。
六大貴族であるツバキ達を軽くあしらう
クリシャンテを見たA-1stの生徒たちは
戦慄していた。
クリシャンテ
「では、早速だが刃術の基礎について
話しますかな。
すでに誰もが知っていると思うが
刃術とは誰もが持っている汽の力を指す。
先天的に目覚めている者も多いが
そうで無い者は祈木の刀を利用し
強制的に汽の力を呼び覚ます事が出来る。」
ルビウス
「自然と使ってたけど
強制的に呼び覚ましていたのか…」
クリシャンテ
「本来ならば瞑想を繰り返し
ゆっくり目覚めさせる事が理想ですな」
アキレイ
「ラナンとジジ以外は
瞑想で呼び覚ましたんだ。」
ルビウス
「ん?どうやってやったんだ?」
ラナンキュラス
「僕は生まれた時から使えたからね。
瞑想は性に合わないから
ラッキーだったよ。」
ジジ
「俺とプラムもだ。」
ツバキ
「瞑想すれば肉体的な負担が少なく
身体に馴染みやすいのだ。」
ルビウス
「へぇー!!」
クリシャンテ
「ナーベルク士官学校ではこの祈木の刀を使い
汽の力…つまり刃汽を呼び覚ます。
刃汽は汽枢から溢れ
身体中を…巡る!!!」
N
クリシャンテは全身から
刃汽を迸らせた。
突如、深海に潜り込んだ様に
身体が重い膜で覆われた感覚が全身に走った。
しかし敵意や殺気は感じなかった。
ラナンキュラス
「…流石ナーベルク帝国最高峰の刃術使い
洗練された刃汽だね…」
ルビウス
「す、凄い…これが華四百花 」
ジジ
「当たりめぇだろ」
アキレイ
「刃術でクリシャンテの右に出る者はいない」
ツバキ
「だが、いつか越えなければならぬ壁」
クリシャンテ
「体内で生み出される刃汽系統は
无属系統。
これは誰もが使える系統変化である。
そして、刃術を放つ際に
自身の得意系統に系統変化させる事で
様々な刃術を創り出せる。
主に四肢末端に刃汽を集め
放つ事が多い。例えば…足に集めれば…」
『剋刃の三・走疾』
N
クリシャンテの足元に風が渦巻き
空天を高速で駆け抜けた。
ルビウス
「ぉお!!旋風系の剋刃ですね!」
クリシャンテ
「そして拳に刃汽を集めれば…」
『滅刃の七・渦螺旋』
N
空天の壁に向かって
勢いよく波動が螺旋を描き
ドーーンッと
轟音を立ててぶつかった。
ラナンキュラス
「壁が壊れるって!!!」
ジジ
「おいおい…
下等刃術でこの威力かよ」
クリシャンテ
「心配無用。
空天の床、壁に至る全て
刃術の威力を軽減する結界を
私が施した。」
アキレイ
「結界!?」
ツバキ
「恐らく複合 合成 刃術だろう」
ルビウス
「何だい?それは…」
ラナンキュラス
「別種類の刃術を組み合わせて
新たな刃術を生み出すことさ。」
クリシャンテ
「その通り。
剋刃 百二十八 ・ 大生門 羅刹無間堂で
ここは守られている。」
ルビウス
「百二十八!?
刃術は五十番までじゃないのか!?」
ジジ
「厳密にはそうだし、そうじゃねぇんだよ。」
クリシャンテ
「刃術を合成する時に
割り振られた数字が五十以上になる刃術同士のみ
複合 合成刃術として合成出来る。」
ラナンキュラス
「例えば、滅刃 二十二・ 飛雷鳥と
滅刃三十二・水虎水天を
複合合成すれば
滅刃 五十四飛鳥・水天雷虎砲となる。
二十二と三十二で五十四という様にね。」
ジジ
「逆に
剋刃の七• 鏡乱合と
剋刃の六・ 人念通は
合成出来ねぇんだよ。
剋刃の十三は遮々音々だからな。」
ルビウス
「そうなのか…」
ツバキ
「貴公の頭では
到底理解出来ぬのも無理はない」
ルビウス
「出来るよ!!ただの足し算じゃないか!」
クリシャンテ
「数字に関してはそうだが単純な物ではない。
複合合成 刃術は
基本的に1人で行使 する事はほぼ不可能。
繊細な刃術コントロールを要し
莫大な刃汽量も必要とするのでな」
ルビウス
「でも先生はここの結界を…」
クリシャンテ
「私は例外の一人。
莫大な刃汽量も
繊細な刃術コントロールも有している。
例外と言えばこの話しもしておきますかな。
刃術を扱える系統変化には
限りがある事を知っている者は?」
アキレイ
「无属系統を除き
得意系統を含めると四つから五つ。
だが下等刃術は
その限りでは無い。だろ?」
クリシャンテ
「その通り。
一から九の刃術は
消費刃汽量が極端に少なく
簡単に行使 できる。
十から十九もさほど難しくはない。
故に下等刃術と呼ばれておる。
それは攻撃の滅刃、補助の剋刃も同じ。
ただし、治癒の照刃に関しては
そうはいかぬ。そもそも扱いが難しいと
前提を置いて話すが
イメージとしては一から十九が中等
二十一から三十九が上等
四十から四十三は高等
四十四から五十は超高等と言われておる。
ただし、全て個人差があり
使える系統や刃術の種類によって
他者よりも多く扱える者もいる」
ツバキ
「しかし、天才はそれすらも凌駕する」
ルビウス
「天才?」
N
すると、ツバキ達はラナンキュラスを見た。
ラナンキュラス
「ん?僕が天才だって??
フフッ…そうだったら良かったけどね。
残念ながらそうじゃないと思うよ。」
ジジ
「よく言うぜ。
滅刃なら一度見ただけで
いや、見なくても本を読めば出来んだろうが」
ラナンキュラス
「そんな事ないさ。
失敗だってするし。」
アキレイ
「それは鍛錬の問題じゃないのか?
俺も真似して本を読んでみたが
さっぱり意味が分からなかったぞ!!!」
ラナンキュラス
「アキレイは字が読めなかっただけでしょ?」
アキレイ
「そ、そんな事はない!!!」
クリシャンテ
「ハーゴン殿からも聞き及んでいる。
幼少期に師もつけずに滅刃を覚えたと。」
ラナンキュラス
「待ってよ。
その後…僕は、祖母に沢山習ったんだ。」
クリシャンテ
「その祖母からも入学前に聞いたが
確かにラナンキュラスは天才…所謂
天授万才の可能性は高いですぞ」
ラナンキュラス
「え!?
僕はただ、刃術が得意なだけだって!」
ルビウス
「天授万才??
何ですか!?それは!!」
クリシャンテ
「天授万才とは
天から授かった万の才。
生まれながらにして
突出した才能を持つ者を指す。
鋼の様に身体が頑丈な者は
無意識に体内の刃汽を常に外側に放出し
それを纏いつつ平然と動けている者もいれば
滅刃、剋刃、照刃
それぞれに限り全系統を扱える者。
そして、ラナンキュラスの様に刃術の構成を
瞬時に理解しそれを難なく行使 出来る者もいる」
ラナンキュラス
「やめてくれよ。
僕は…別にそんなんじゃないって…」
N
ラナンキュラスは少し 俯 いていた。
ジジ
「チッ。辛気臭せぇ顔してんじゃねぇよ。
いつも得意げに刃術
見せびらかしてんだろーが」
ラナンキュラス
「そ、そんなつもりは無いさ」
アキレイ
「凄いなラナン!!!
きっとハーゴンさんもクリスも
鼻が高いぞ!!!!」
ラナンキュラス
「親父もクリスも関係ないって」
ジジ
「やめとけアキレイ。」
N
するとアキレイは何かを察した様に言った。
アキレイ
「すまん…気を悪くしないでくれラナン」
ラナンキュラス
「大丈夫さ。気にしないでくれ」
ツバキ
「下らぬ。
世間話をするなら後にしろ。邪魔だ」
ラナンキュラス
「ごめんよ...ツバキ。その通りだ」
ツバキ
「フンッ…クリシャンテ。
天授万才の話しをするのなら
一つ言いそびれている。」
N
ツバキがそう言うと
クリシャンテは不敵に笑った。
クリシャンテ
「そうですな。義忠様。
私がなぜ、華四百花 に選ばれ
ナーベルク最高峰の刃術使いと
言われているか…それは」
ルビウス
「それは…」
クリシャンテ
「刃術の常識に捉われない存在だからだ。」
ルビウス
「よく意味が分からないな…」
ツバキ
「ハッキリ言え」
ルビウス
「刃術の常識に捉われない存在…」
クリシャンテ
「私は滅刃、剋刃、照刃
全ての刃術において
全ての系統変化を扱える。」
ルビウス
「え?全ての系統変化を扱えるって事は…」
ツバキ
「全ての刃術を扱えるという事だ。」
ラナンキュラス
「おまけに殆どの複合 合成 刃術は
クリシャンテが生み出したんだ。
凄いだろ?」
N
するとジジはルビウスを見て言った。
ジジ
「な?化け物だろ?」
ルビウス
「そんなに凄いお方だったのか…
そんな方に教えてもらえるなんて…光栄だ!」
アキレイ
「ラナンがいつも読んでる刃術大全
"刃術の全ては私と共に"は
クリシャンテが書いたんだぞ!!
士官学校の教科書にもなっているっ!この!!
"現代刃術時代"上巻もな!!」
N
アキレイは
床に落ちていた落書きだらけの教科書を
ルビウスに見るように言った。
ルビウス
「落書きだらけで分かんないよ!!」
アキレイ
「ここだ!!
この魔進 のとなり!!」
N
腕が動かないアキレイは
ルビウスに向かって教科書を
滑らせる様に蹴った。
アキレイ
「ここだ!!!!」
N
ルビウスは目を細めて
名前を探していた。
ルビウス
「あっ!本当だ!著者に名前が書いてある!」
ジジ
「クリシャンテは
ナーベルク帝国に多大なる功績を残した。
正に刃術革命と言っても
過言じゃねぇーんだよ。」
ルビウス
「なるほど…
だから華四百花 に選ばれたのか…」
アキレイ
「華四百花 は
帝国軍に所属する者の中で
ナーベルク帝国に歴史を刻んだ者が
選出されるんだ。
最高戦力が鞘花だとしたら
最高栄誉が華四百花 と言われている。
もちろん、戦乱の世で
歴史に名を刻むぐらいだから
戦闘面においても猛者の集まりだ!!
クリシャンテの形状変化を見たら
度肝を抜かれるぞ!?」
クリシャンテ
「そこまで褒めている割に
私語も多く、聞き分けも悪いのは
何故ですかな??」
N
その言葉に場が一気に静まり返った。
クリシャンテ
「よろしい。」
N
するとクリシャンテは一歩前に踏み出した。
クリシャンテ
「全員、祈木の刀を構えてもらえますかな」
ジジ
「構えるも何も刃術解いてくんねぇと
構えられねぇんだよ。」
クリシャンテ
「フハハハッ
そうでしたな!!!! パチンッ」
ジジ
「笑い事じゃねぇーっつーの」
N
クリシャンテは指を鳴らし
磊枷数珠繫を解いた。
ルビウス
「はぁ…やっと自由になれた…」
ラナンキュラス
「忘れられてるかと思ったよ。」
クリシャンテ
「では、構えなさい」
ツバキ
「何故だ。」
クリシャンテ
「何度も同じ事を言わせるおつもりか?」
N
A-1st全員が
その言葉に恐れ渋々祈木の刀を構えた。
クリシャンテ
「よろしい。」
ツバキ
「何をするつもりだ。」
クリシャンテ
『剋刃 二十二・磁鉄甲』
『剋刃の七・ 鏡乱合』
アキレイ
「二重詠唱!?」
ラナンキュラス
「これは…」
ルビウス
「うぉ!!何か飛んできた!!」
ジジ
「手甲だと!?」
N
刃汽により鉄で生成された手甲を
鏡乱合で生徒分コピーし
自身の腕と生徒たちそれぞれの祈木の刀にハメた。
クリシャンテ
「捕捉」
ツバキ
「な、何だと!?
駆逐丸!!!!」
クリシャンテ
「 パンッ…回収」
N
クリシャンテが手を強く叩いた瞬間
祈木の刀が一斉に
クリシャンテの元へ飛んでいった。
クリシャンテ
「 パチンッ。解除」
N
バラバラと音を立てて
祈木の刀は床に落ちていった。
クリシャンテ
「今日をもって祈木の刀は
無用の長物」
ツバキ
「駆逐…丸…」
ジジ
「義忠!落ち込むな!!
俺が土産屋で新しい木刀を買ってやる!!
そうだ!義忠!!
潤街に新しく店がオープンしたらしいぞ!」
ツバキ
「いら…ぬ」
ラナンキュラス
「いや…それオモチャ売り場」
クリシャンテ
「ゴホンッッよろしいですかな?
刃術に関する
基本的な知識は皆分かったと思うが
今日は刃術の基本である
滅刃の一・刀を教える」
ルビウス
「遂に来たぁあ!!!」
ツバキ
「今更…刀など…」
ジジ
「クリシャンテ!
駆逐丸だけでも返してくれ!」
ラナンキュラス
「はぁ…僕ら暇だねー」
アキレイ
「パン…食うか?
美味しいぞ?ツバキ」
ツバキ
「…アキレイ」
N
そう言ってツバキはアキレイからパンを貰い
悲しそうに食べていた。
ジジ
「義忠がパンを貰って食っただと?
あり得ねぇ…義忠!!しっかりしろ!」
アキレイ
「あ、カビはしっかり避けて食べるんだぞ!」
ツバキ
「がはっ!!!」
ジジ
「義忠ぁぁぁあ!!!」
ラナンキュラス
「今日は空が綺麗だねー
待ってる間なにかするかい?ルビウス」
ルビウス
「いや何で僕を巻き込むんだ!
君たちは出来るかも知れないけど
僕や他の人は出来ないんだよ!!」
クリシャンテ
「全く騒がしいですな…
では、A-1st諸君。
先のチーム対抗刃術バトルロアイヤル
クラス代表選抜戦で
各々 の刃術の素質は見せてもらった。
予選を通して私は
刀を創り出せるレベルだと判断した。」
ジジ
「創り出せるレベル?」
ラナンキュラス
「僕らの刀は完成されている」
ツバキ
「同列に考えるなど笑止」
アキレイ
「だな!!ツバキ!!」
ツバキ
「黙れアキレイ。」
アキレイ
「そんなに怒る事ないだろ?
カビについては忠告したぞ!?
それでも食べたのはツバキだ!!」
ツバキ
「何だと?
言うのが遅いーー」
アキレイ
「心配するな!!
俺もこの前、二日寝込んだぐらいで済んだ!」
ツバキ
「グフッ!!」
ジジ
「義忠ぁぁあ!!」
ラナンキュラス
「はぁ…今日は退屈な授業になりそうだね。」
クリシャンテ
「では、退屈だと嘆いているのであれば
義忠様、ラナンキュラス
ジジ、アキレイ。
私にその完成された刀を
見せて貰えますかな?」
ジジ
「いいぜ。驚くなよ?」
ツバキ
「はぁ…はぁ…造作もない事」
ラナンキュラス
「みんな。僕のを見るといいよ」
アキレイ
「久しぶりにやるな!!」
N
ツバキ達は手のひらを合わせて
一斉に詠唱した。
ツバキ・ジジ・ラナン・アキレイ
『滅刃の一・刀!!』
N
手のひらをグッと広げ左右に離すと
その中から刃汽で押し固められた刀が
ズズズズッと顕現した。
すると、生徒たちから感嘆の声が上がった。
ルビウス
「これが…刀。
刃汽がヒシヒシと溢れ出てる…」
ルビウス
((やはり…
僕と君たちでは次元が違うんだね))
クリシャンテ
「何をしておる。折れているではないか」
N
一瞬だった。
ツバキ達が顕現させた刀は
真っ二つに折れ刀身が半分消えていた。
ツバキ・ジジ・ラナン・アキレイ・ルビウス
「ッッッッッ!!」
ツバキ
「これは…」
ジジ
「何…しやがった…」
ラナンキュラス
「…今の見えたかい?」
アキレイ
「いや、分からなかった…」
ルビウス
「何が起こったって言うんだ!!!」
N
その場にいる者には
何が起ったのかさえ分からなかった。
すると、クリシャンテが折れた刀身を
床に投げ捨てた。
ツバキ
「クリシャンテ…」
クリシャンテ
「折れた刀身では戦えませんな。義忠様」
ジジ
「いつの間に…」
クリシャンテ
「未熟。
それ以上の言葉が見つからぬ。
私は完成された刀を見せろと言ったはず。」
ラナンキュラス
「言ってくれるね…」
アキレイ
「どう言う事だ…」
クリシャンテ
「長さも刃汽圧縮量も足りぬ上に
密度も無い。
戦場においてそれは、ただの棒に過ぎない。
せいぜい、杖ぐらいにしかなりませんぞ。」
ジジ
「俺たちの刀が…棒だと?」
ツバキ
「アキレイ達のはまだしも…
この私の刀でさえも…か」
クリシャンテ
「完成された刀は刃こぼれなどせず
歪みもない洗練された刃。
そんな鈍では断じて無い!!」
N
するとクリシャンテは
両手を合わせ叫んだ。
クリシャンテ
『滅刃の一・刀!!』
N
夥しい刃汽が身体から溢れ出し
手のひらで一気に収束した。
その刀身は神々しく光り輝き
生徒一同は圧倒された。
ルビウス
「これが…先生の…刀なのか」
ジジ
「マジかよ…」
ツバキ
「我らとは…全てが違う…」
アキレイ
「分かるか?ラナン…」
ラナンキュラス
「ぁあ、何て刃汽圧縮量…
刃汽を放った瞬間に
周りの空気が一瞬、真空になった。
あれで斬りかかられたら
ひとたまりも無い…」
ルビウス
「正に完成された刀…」
ラナンキュラス
「悔しいけど…どうやらクリスは
あの時、僕に手加減していたようだね。」
アキレイ
「クリス?クリスがどうかしたのか?」
ラナンキュラス
「いや、何でもないさ」
クリシャンテ
「千刃花に入隊する条件は
刀を完成させる事。
ナーベルク士官学校を卒業し
千刃花へ入隊すれば
下級隊士として任務に就く。
そして任務を経て数年後には中級隊士となる。
多くの者は中級隊士で終わるだろう。」
ジジ
「中級隊士で終わる?」
クリシャンテ
「この中で千刃花の階級について
知っている者はいますかな?」
N
するとルビウスが手を挙げた。
ルビウス
「はい。千刃花は各部隊千人で
構成された特殊部隊です。
下級隊士は六百人、中級隊士は 三百九十 人
上級隊士は十人で構成され…」
ツバキ
「更に副隊長代理、副隊長、鞘花は
一人ずつ選任される。」
クリシャンテ
「その通りです義忠様。
副隊長代理以上は
何と呼ばれているかを
知っている者はいますかな?」
ジジ
「隊長格…」
クリシャンテ
「ご名答。
隊長格と呼ばれている者は
戦闘面、戦略面において、ずば抜けている
では上級隊士に序列がある事は?」
アキレイ
「上級隊士に序列??」
クリシャンテ
「そう、上級隊士は十尉から一尉まで序列があり
これは完全なる強さの序列で決まっておる。
上級十尉からは刀を変化させ
独自の武器を創り出す形状変化が
行使出来る事。
もしくは上等刃術が
行使出来る事が条件となる。
実力者が集まる上級隊士は
全ての作戦の要となる事が多い。
生半可な気持ちではなれませんぞ。」
N
その言葉の重みが
ツバキ達にズッシリとのしかかった。
クリシャンテ
「余談だが…1stクラスの担任である
アザミ、オンジューム、エロディウム、シルバは
上級一尉から隊長格の実力を有する人材だ。
でなければ1stクラスの担任など
任せられんのでな。
お主ら程度ならば
赤子の手をひねるより簡単だと言う事を
努努忘れるではないぞ」
ルビウス
「アザミ先生とシルバ先生は確か…
千刃花の隊長格だったって聞いていたけど」
ラナンキュラス
「エロディウム先生も…」
アキレイ
「オンジューム先生もなのか…」
クリシャンテ
「驕らず鍛錬に励めば臆する事無し。」
ツバキ・ジジ・ラナン・アキレイ・ルビウス
「はい!!!!!」
クリシャンテ
「まず、何故、滅刃の一・刀…と叫ぶのか。
そこから説明しなければなりませんな」
ルビウス
「質問しても良いでしょうか!」
クリシャンテ
「何だね?」
ルビウス
「不思議だったのですが
技名を叫ぶと相手に次の行動が
バレてしまって不利になるのでは?」
クリシャンテ
「義忠様。
説明してくれますかな?」
N
するとツバキは淡々と説明した。
ツバキ
「声を出す事により筋肉の収縮をうながし
放出する際の刃汽量を増大させる効果がある。
しかし、その限りではない。
刃汽の戦闘に於いて
より不利になればなるほど技の威力が上がる。
恐怖なくしては進化出来ぬ生物と同じく
刃術も例外ではない。」
クリシャンテ
「完璧な説明でしたな。義忠様。
義忠様が言うように
力を込める時、放水する際と同じく
ホースの口を絞り勢いを増す
イメージに近い。
更に、不利になればなるほど
技の威力が上がる。という点に於いてだが
これは刃術の基本戦術とも言われておる。
さて、ジジ説明してもらっても良いですかな」
ジジ
「面倒くせぇ。
これは述縛戒放って言ってよぉ」
N
述縛戒放とは
刃汽を用いて闘う際の基本戦術の一つ。
術前、術中に繰り出す技の説明や
自身の能力を説明することによって
そのリスクと引き換えに威力を増大させる能力である。
技の名を叫ぶだけでも威力は上がるが
そこに説明を含む事により
リスクが増し更に威力が跳ね上がる。
ジジ
「って事だ。もういいか?」
クリシャンテ
「分かったかな?ルビウス」
ルビウス
「ありがとうございます!!」
クリシャンテ
「では早速、実践と行きましょうぞ。
互いにぶつからぬよう
充分距離をとってくれますかな?」
N
そして、クリシャンテはA-1stの生徒たちに
刀をレクチャーし始めた。
クリシャンテ
「足を肩幅に広げ目を閉じる。
そして胸の内から込み上げる刃汽の流れを
両手に集めなさい」
ルビウス
((胸の内から込み上げる刃汽の流れを
この…両手に…))
ツバキ
「グッ!!!」
クリシャンテ
「義忠様
焦ってはなりませんぞ。
頭の中で更に刃を研ぎ澄ます。
更に…更に…」
ジジ
「いつもならすぐ出来んのに
改めてイメージしながらだとキツイな…」
クリシャンテ
「それは当然。
先程の刀は大事な工程が抜けていたのでな」
ジジ
「大事な工程?」
クリシャンテ
「汽枢から流れる
淀みない刃汽を
腕から手のひらだけに集める事が
出来ていなかった。」
ジジ
「やってるっつうの!!」
N
するとクリシャンテは
刀の峰でスネをコツンと叩いた。
ジジ
「イッテェエエ!!
そんなんじゃ集中できねーじゃねぇか!」
クリシャンテ
「足元に無駄な刃汽が流れているのに
気付かぬとは。
言ったはず。"手のひらだけ"にと。」
ジジ
「チッ」
クリシャンテ
「余分な刃汽は全て刀に注ぐ。
でなければ鈍になる」
アキレイ
「ぅおおお!!!!!」
N
アキレイの刀が激しく光り輝いていた。
クリシャンテ
「圧縮」
アキレイ
「ぬぉおおお!!!!」
クリシャンテ
「そのまま刃汽を押し固める」
アキレイ
「ングググ!!!」
N
しかしパリンッと刀身が崩れ落ちてしまった。
アキレイ
「はぁ…はぁ…はぁ…
イメージすると…途端に難しくなる…」
クリシャンテ
「ゆっくりとコップに水を注ぐ。
勢いよく注げば溢れてしまうのは
当然でしょうな」
N
ゆっくりと歩いて回るクリシャンテは
ラナンキュラスの前で止まった。
クリシャンテ
「ラナンキュラス…」
N
ラナンキュラスの周囲には
刃汽がフワッと広がり
手のひらに収束された刃汽が
美しい刀身を顕現した。
ラナンキュラス
「はぁ…はぁ…どうだい??」
クリシャンテ
「私のを一度見ただけで…」
ラナンキュラス
「コツは…掴ませて…貰ったよ…」
N
するとクリシャンテはラナンキュラスに
斬りかかった。
ラナンキュラス
「ッッ!?」
アキレイ
「ラナン!!」
N
咄嗟に刀で受けたラナンキュラスは
クリシャンテと鍔迫り合いをしていた。
ラナンキュラス
「グッ!!
不意打ちなんて…三流じゃあないか」
クリシャンテ
「フフッ…
一流の間違いじゃあないですかな?」
ラナンキュラス
「グッッッ!!」
ルビウス
「ラ…ラナン」
アキレイ
「…刃こぼれをしていない」
ジジ
「クソ…先越されたぜ」
ラナンキュラス
「あっ」
クリシャンテ
「これでも天授万才を
否定するつもりかね?ラナンキュラス」
ツバキ
「負けて…いられぬ!!」
N
ーー1時間後ーー
ツバキ達は息も絶え絶えと
床に倒れていた。
ツバキ
「ようやく…」
ジジ
「出来た…」
アキレイ
「案外…難しい…んだな」
クリシャンテ
「よくやりましたな。
他の生徒はまだ苦戦しているようだが…」
ルビウス
「なんで…出来ないんだ…どうして!!!」
N
少し離れた所で
ルビウスが叫んでいた。
それを見守る様にラナンキュラスは
本を読みながら座っていた。
ラナンキュラス
「雑念が多いんじゃない?」
ルビウス
「雑念!?…僕はただ…創り出したくて…」
ラナンキュラス
「きっとそれだよ。
創り出したい気持ち。じゃなくて
どうやって創るかに集中したら?」
ルビウス
「してるよ!!」
ラナンキュラス
「そうかなー」
N
するとクリシャンテがやって来た。
クリシャンテ
「刃汽から伝わる焦りが
刃汽コントロールの妨げになっておる。
ジジ達と自分を比べる必要は無い。
ルビウスはルビウスの道があるのだ。
まさか…
自分が劣っていると感じているーー」
ルビウス
「それは!!そ、それは…その…」
アキレイ
「そんな事ないぞルビウス!!」
ラナンキュラス
「ルビウスならきっと出来るさ。」
ジジ
「俺とお前の間に越えられない壁なんて…
あるよな?な?義忠!」
ツバキ
「当たり前だ。格が違う」
ルビウス
「おい!励ます所だろそこは!!」
クリシャンテ
「誰もが初めから出来る訳では無い。
これまでの先人たちも乗り越えてきた。
さぁ、もう一度やってみなさい。」
N
ルビウスは深く深く深呼吸をすると
静かに両手を合わせた。
ルビウス
((胸の内から溢れる刃汽を…
全て手のひらに…))
クリシャンテ
「全身に行き渡ろうとする刃汽を
抑える」
ルビウス
「グッ…」
クリシャンテ
「全てを手のひらに」
ルビウス
((そして一気に押し固める!!))
クリシャンテ
「圧縮が足りませんな。
もっと刃を研ぎ澄ます」
ルビウス
((研ぎ澄ま…す!!!))
クリシャンテ
「そして、一気に引き離す」
ルビウス
「ウォオオオオオ!!!」
クリシャンテ
「叫べ!!」
ルビウス
『滅刃の一・刀!!!』
N
光り輝く刃汽が
一気に収束すると
淀みない刀身が顕現された。
ルビウス
「出来…た…出来ました先生!!!!」
クリシャンテ
「では」
N
するとクリシャンテがルビウスの刀に
斬りかかった。
ルビウス
「ウグッ!!!」
N
プルプルと震える刀身は
見事にクリシャンテの刀に耐え切った。
するとA-1stの生徒たちから
大きな歓声が上がった。
アキレイ
「やったな!!ルビウス!!!」
ラナンキュラス
「凄いじゃないか!!!!」
ジジ
「遅えよ。バーカ」
ツバキ
「…フンッ。
こんな所で躓いていては
先が思いやられる」
クリシャンテ
「お見事」
ルビウス
「みんなありがとう…
先生もありがとうございます」
※音楽がある場合終わるまで待つ
N
ー1時間後ーー
生徒全員が刀を顕現させる事は
叶わなかった。
しかし、意外にもラナンキュラスの次に
刀を顕現させたのはデルフィだった。
驚きを隠せなかったジジ達は
複雑な心境を抱いていた。
ジジ
「あの女…」
アキレイ
「凄いなデルフィ!!」
ジジ
「バカ!!こっちに来たら面倒だろ!」
ルビウス
「大丈夫さ、ラナンかツバキを差し出せば
夢中になるから」
ツバキ
「貴公を斬って差し出すまで。
ちょうど良い。切れ味を試したい」
ルビウス
「じょ、冗談だって!!!」
ラナンキュラス
「みんな楽しそうだねー」
N
するとクリシャンテが
静かに口を開いた。
クリシャンテ
「初日で刀を完成させる事は
非常に難しい。
だが、必要な事は全て教えた。
二、三日鍛錬すれば必ずや出来る。
今日の授業はここまで!!!」
ツバキ・ジジ・ラナン・アキレイ・ルビウス
「ありがとうございました!!」
N
A-1st全員が
頭を下げるとクリシャンテは微笑んでいた。
クリシャンテ
「最後に少しだけ話そう。
敵国であるラミオラス帝国をはじめ
近隣諸国との戦争は
苛烈を極めておる。
今もなお、沢山の兵士やその家族が
傷つき死んでおる。
友と助け合い強くなりなさい。
仲間を守りなさい。
そして、生徒諸君に覚えていて欲しい。
正義があれば
必ず打ち勝てるという事を」
ツバキ・ジジ・ラナン・アキレイ・ルビウス
「…正義」
ルビウス
「…先生!!正義とは何ですか?」
N
するとクリシャンテは
ルビウスの目を真っ直ぐ見て言った。
クリシャンテ
「正義とは誇り。
その誇りは己自身で決める事」
ルビウス
「己…自身で…」
クリシャンテ
「そうだ。
人にはそれぞれ必ず戦う理由がある。
それを私は正義だと思っておる。
そして、正義は前へと進み出す動力となり
やがてその正義は自身の誇りとなる。」
ルビウス
「先生…もし…」
クリシャンテ
「胸を張って
己の正義を誇れる自分となりなさい。
これは兵士として大切な矜持!!
己の誇りを胸に突き進め!!
全てはナーベルク帝国の為に!!」
ツバキ・ジジ・ラナン・アキレイ
「ナーベルク帝国の為に!!」
ルビウス
この時…僕は思った。
戦う理由が正義なのであれば
もしそれが違えた時
果たして僕は
本当にそれを誇れるのだろうか。
是が非にもなるのであれば
その刃は誰に向かうのだろうか。
きっと、今の僕には分からない。
いや
分かりたくもない。
N
----------------------------
作者 REN’sJackson
ー千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜ー
ナーベルク士官学校篇
Vol.10 『 己 × 誇』 (完)
※音楽がある場合終わるまで待つ
----------------------------
N
おまけ
配役変更一覧
----------------------------
ルビウス▶︎▶︎▶︎N
ツバキ▶︎▶︎▶︎ジニア
ジジ▶︎▶︎▶︎レオント
アキレイ▶︎▶︎▶︎クリス
----------------------------
N
"剋刃達人衆 吊舟 "
選ばれし十人の剋刃刃術の達人。
クリシャンテが国中や
時には他国から集めた私設部隊である。
吊舟 である事は
身内でさえも明かしてはならず
任務内容は仲間でさえも話してはならない。
剋刃達人衆 吊舟 の存在は
都市伝説に近いとされていた。
レオント
「って、言われてるんだよなぁ!!」
ジニア
「ぜぇ…ぜぇ…何べんも…何べんも!!
しっつこいねん!!!!
こっちは聞き飽きてんねんて!!!それ!」
クリス
「レオントさん…も…漕いで…
もらっても…いいですか??」
N
黒く深いフードを被った三人は
とある海域のとある場所で
小さなボートを漕いでいた。
レオント
「なんかカッコいいよな!俺たち!!
秘密部隊…そして青い海!!青い空!!
ドラマティックだろ!?」
ジニア
「ど…こが…やねん!!!!!
青い海 言ーてる場合かハゲ!!!
早よ漕がんかい!!!!」
クリス
「クソ!!何故…俺が…こんな…目に!!
ぜぇ…ぜぇバンジャマン家の…男が…
する事では…ない!」
N
美しい金髪を靡かせながら
左頬にバンジャマン家の家紋が
彫られている男は
クリス=ディオール=バンジャマン
ラナンキュラスの兄であり
ナーベルク帝国兵の傍ら
普段は死刑執行人ジュジュマンとして
家業も担っている。
ジニア
「あかーん!!!もう無理無理無理!!
腕死んでしまうて!!!
あのクソヒゲジジィィイ!!
次…会うたら…
ド突いたるからな!!!」
N
ジニア=サラザール=ロペス
この男は怪盗Zとして名を広めていたが
ひょんな事からクリシャンテと出会い
千刃花に入隊しろと
言われ連れてこられた。
しかし入隊と同時に吊舟 にも入隊させられ
怪盗Zをする傍ら刃術の修行と
吊舟 の任務に引っ張り出されていた。
そして金色木乃伊を操る砂塵の鞘花でもある。
レオント
「ジニアとモンティが入隊してから
吊舟 も賑やかになったな!!
そうだ!!写真を撮らせてくれ!!」
N
長い白髪を一つに束ねた男は
おもむろにカメラを取り出して
汗だくのクリスとジニアを撮り始めた。
この男は
レオント=パーシバル=ドン=ニューヨーク
四刃花現役の隊長であり
青藍人魚を操る風の鞘花である。
レオント
「日が沈みかけてるな…」
ジニア
「アンタが…漕がへんからやろ!!」
レオント
「俺が漕ぐ訳ないだろ??
花纏捧君 で風を使えば
すぐだからな。」
クリス
「ダメです…よ
刃汽を…隠さないと…敵にバレます」
ジニア
「刃術で…移動したら…
アカンのか!?」
クリス
「あくまでも…ナーベルクの役人として…
接さなければ…いけない…と!!!」
N
クリスはオールを投げ捨て
ジニアを蹴り飛ばした。
ジニア
「あいたぁあ!!!
な、何すんねん!!!
落ちたらどないすんねん!!
このタコハゲ刺青が!!!」
クリス
「ふざけるな。
俺は来る前に伝えた。
まさか…聞いてなかったのか!?」
ジニア
「き、聞いてましたぁー!!」
クリス
「目を逸らすな!!」
レオント
「はいはいはい。喧嘩はよそうぜ!」
クリス
「レオントさんは引っ込んでてもらおう。」
ジニア
「なんや??喧嘩なら買うたんで?
お!?お!?お!?」
クリス
「貴様!!!!」
N
すると海面がゴボゴボと激しく揺れ動いた。
クリス・ジニア
「!?!?!?」
ジニア
「な、何やこれ!!」
クリス
「転覆するぞ!!!」
レオント
「だから喧嘩はよそうって言ったろ?」
配役変更一覧
----------------------------
ラナンキュラス▶︎▶︎▶︎スイレン
クリシャンテ▶︎▶︎▶︎トギリ
N▶︎▶︎▶︎ジギタリアス
※ルビウス▶︎▶︎▶︎Nはそのまま続投
----------------------------
N
クリスたちのボートの真下を突き上げる様に
潜水艦が姿を現しボートは潜水艦の上に
乗り上げる形となった。
すると、上部に付いていた蓋がパカっと開いた。
スイレン
「はいはーーい!!!
スイレンちゃんでーーーす!!!」
トギリ
「バカ野郎!!自己紹介すんなって!!
身元バレんだろうが!!!」
スイレン
「ねぇ、ギリちゃん見て!!
太陽があたしを照らしてる!!!
そう!!!あたしはまるで!!
輝く黄金のアワビ!!ピッカーン!!
キラキラキラキラ!!!!!」
トギリ・ジニア・レオント
「めんどくせぇーーーーー」
N
長い黒髪にたくましい筋肉
バッチリとメイクアップされた大男は
クリスたちにウインクをした。
隣にいた男は顔がバレない様に
フードを被りため息をついていた。
すると、甲板に
フードを被った大男が降りて来た。
ジギタリアス
「ガッハッハッハッハッ!!!!
オメェらがナーベルクの役人だってな?」
レオント
((この男の刃汽…只者じゃないな))
N
あまりの刃汽量に
自然と三人は身構えてしまった。
ジギタリアス
「ん?どうした?」
トギリ
「はぁ…おっさん。
刃汽ぐらい抑えて来いって…」
スイレン
「あんらぁ!?
でもギリちゃん、刃汽を感じれるって事は…」
ジギタリアス
「ぁあそうだな!!オメェらも
ただの役人って訳じゃねんだな!?
ガッハッハッハッハッ!!!」
ジニア
「ど、どないすんねん!!」
レオント
「さぁ…どうしようか」
N
すると、クリスがボートから一歩前に出た。
レオント
「おい!!」
クリス
「我々に詮索は無用。
直ちに取引を終え撤退させてもらう。」
ジギタリアス
「そんなつまらねぇ事言うんじゃねぇよ!!
おい!!スイセ!!」
スイレン
「ちょっと!!あたしはスイレン!!
あんな豚と一緒にしないでよオジちゃま!!」
ジギタリアス
「すまねぇすまねぇ!!
オメェの手料理でも喰わせてやんな!!」
トギリ
「おい!おっさん!!」
スイレン
「エスニック料理で
ギンギンギン魚のフォイフォイフォッカチオ
しかないけど…」
トギリ
「面倒くせぇな…
出さなくていいんだよ。」
スイレン
「え!?あたしの料理が不味いって
ギリちゃんそう思ってるの!?」
トギリ
「思ってねぇよ!!
すげぇ美味いだろうがお前の手料理」
スイレン
「んもう!!ギリちゃんったら
ほら、こっち向いて!!!
んーーーーバッ❤︎」
トギリ
「汚ねぇからやめろ!!!」
ジギタリアス
「おいおいツレねぇな!!
腹割って話そうじゃあねぇか!!
互いに顔を隠してたんじゃあ
話しも出来ねぇだろうよ!!
ガッハッハッハッ!!!!」
ジニア
「何で腹割って話さなあかんねん!!」
ジギタリアス
「そりゃあ!!!男同士だからだろうよ!!
それともここで…
殺したって構わねぇんだぜ?」
ジニア
「何やとーーー」
レオント
「その前に機密文書を渡してもらおうか。」
N
すると、刃術で封をされた
羊皮紙をクリスは取り出した。
トギリ
「先に寄越せ」
クリス
「断る」
トギリ
「無駄な争いはしたくねぇーんだ。」
クリス
「そちらが先に渡せ」
トギリ
「断る」
N
すると、緊迫した空気が流れた。
ジギタリアス
「おい、渡してやれ」
トギリ
「は!?何言ってんだよ。」
ジギタリアス
「先に渡しても構わねぇさ。
変なもん渡して来たら
殺しゃぁ良いだろうが。
簡単な話だろ?ガッハッハッハッ!!」
ジニア
((あかん…ホンマに殺される…
何やねん…あの刃汽量…))
レオント
「では、もらおうか」
トギリ
「ったく…ほらよ」
N
そう言ってトギリは手に持っていた
羊皮紙を投げ
クリスはそれを掴むとポケットにしまった。
トギリ
「確認…しねぇのか?」
クリス
「するまでもない。
我々の任務はこれを受け取る事だ。
中身など重要ではない」
ジギタリアス
「なるほどなぁ…。
中身…気になんねーのか??」
レオント
「ラミオラスとの取引自体が
すでに綱渡りだ。
互いを裏切るメリットは無い。
バレたら困るのはお互い様だろ?」
ジギタリアス
「別に俺は困らねーよ。」
クリス
「何?」
レオント
「クリス、早く渡せ」
N
クリスはトギリに向かって
羊皮紙を投げた。
トギリ
「…確かにもらったぜ。
ほらよ、おっさん。」
ジギタリアス
「どれどれ…」
N
ジギタリアスは羊皮紙の封を割り
中身を広げた。
ジギタリアス
「ガッハッハッハッ!!!
なるほどな…だが…断る!!!!」
クリス・ジニア・レオント
「!?!?!?」
トギリ
「面倒な事になりやがったな…」
ジニア
「な、何してんねん!!」
N
ジギタリアスはその場で
羊皮紙を全て破り捨てた。
スイレン
「おっまたせ!!
エスニック料理でギンギン…ギン…」
ジギタリアス
「おい、バカに伝えとけ!!!!
こんなシケた条件で
ラミオラス帝国は止まらねぇってな!!!」
クリス
「まずい…」
ジニア
「ど、どないすんねん!!」
レオント
((殺るか…逃げるか…))
ジギタリアス
「おい!!交渉は決裂だ!!!」
スイレン
「ちょ、ちょ!!どう言う事よ!!」
トギリ
「どうするよおっさん」
ジギタリアス
「おいオメェら。
役人面しても
俺は騙されねぇぜ。
一般人を装って微量に漏れ出す程度に
刃汽を調整してやがるが
それは高等剋刃。
四十三番の 汽々絶完。
それを扱えるぐれぇの達人ってこった。」
トギリ
「だろうな。」
ジギタリアス
「それによ…俺の傀驕壊操が
こんなにも昂ぶってやがる…
って事は鞘花がふーー」
N
すると、雷鳴が轟き雨が降り始めた。
トギリ
「大時化!?
スイレン!!嵐が来る!!!」
スイレン
「あたしの料理!!!!」
レオント
「逃げるぞ!!!!」
N
レオントはクリスとジニアを担ぎ
強風に乗ってその場を瞬時に離れた。
トギリ
「してやられたな…」
ジギタリアス
「ガッハッハッハッ!!
風と潮の流れが読めなかった俺が悪いって
話しだ坊主!!!」
トギリ
「笑い事かよ」
スイレン
「いやーん!!!
ちょっとアンタ達!!
料理がダメになる前にしまうの手伝って!」
N
ーーレオントサイドーー
レオントの花纏捧君 により
風に乗って空を飛んでいた。
クリス
「助かりました。レオントさん」
ジニア
「なんて刃汽しよんねん!
あのおっさん!!」
レオント
「交渉が!!決裂した!!!マズイ!!」
クリス
「まさか…」
ジニア
「中身知っとんたんか!?」
N
ーージギタリアスサイドーー
ラミオラス帝国 海王水軍"トリトン"の
巨大戦艦 " 藏亜10" 内部にて
トギリ
「逃げられちまったな。」
N
ジギタリアスはパイプをふかし
地図を眺めていた。
ジギタリアス
「ふぅーーー。
あそこには鞘花が二人いた。
オメェらを守りながら戦うには
ちっと、武が悪い」
スイレン
「嘘ぉお!?二人もいたの!?!?」
トギリ
「なるほどなぁ。
通りで強気な条件だった訳だ。
飲まなきゃ…殺すって意味だよなそりゃ」
スイレン
「交渉する気がないのは
アッチだったのね…」
ジギタリアス
「そうだな。
まさか宣戦布告を突きつけてくるたぁな。
それが嫌ならやめろってか??
舐められたもんだぜ全く。ふぅーーー。」
N
ジギタリアスは深く煙を吐くと
パイプの灰を落とした。
ジギタリアス
「どいつだか知んねぇけどよぉ。
イカれてんなぁ。
仕掛けんのはこっちだってのに。
おい、坊主。」
トギリ
「ぁあ?」
ジギタリアス
「ロージアに伝えとけ。
期日通りだ。」
トギリ
「期日通り??」
ジギタリアス
「期日通り…」
間
ジギタリアス
「ナーベルク士官学校を落とすってな。」
おまけの登場人物に
度肝がぬいたでしょ?
それにルビウスの独白。
切ないね。
何がどうなっちゃうんだか!!
それじゃ、また会おう。
ばいばいキーン!!✨