表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜 台本版  作者: REN'sJackson
五章 ナーベルク士官学校篇
167/176

Vol.10 己×誇

急激に寒くなりすぎて

インドアな俺は

窓を見た時に雪が降り積もっていて驚きました。

皆様も身体にはお気をつけて。

寒暖差が激しいと体調崩すからね!!

そんなこんなで今は朝の6時

千刃花の作業で朝を迎えることなんて

しょっちゅうなんですが

流石に眠い。

本編は面白いから安心して!

では!!楽しんで!


クリシャンテ

((この世界の(ヤイバ)


喉元に突き付けられようとも


私の声はむことは無い。


ましてや枯れる事も無い。


それが私の決めた…誇りなのだから))


挿絵(By みてみん)



※音楽がある場合終わるまで待つ





N

前回までの千刃花(センジンカ)〜帝国特務(テイコクトクム)戦闘部隊〜(セントウブタイ)



ルビウス

「「ナーベルク帝国の諸君!!!

僕は天王軍団長ルビウス=ドレークだ!!」」


クリシャンテ

「「断じて!!屈してはなりませぬ!!!

ナーベルクの民達よ!!!!決しーー」」


ルビウス (遮る様に)

「「ナーベルクの顔とも言える華四百花(カシヒャッケ)の一角。

長きに渡り国の参謀を務めつつ

ナーベルク士官学校で教鞭をとり

椿と鍔騎ツバキの両家を支えた刃術(ジンジュツ)の達人。

数々の千刃花(センジンカ)隊士を教え

革新的な刃術(ジンジュツ)の応用や叡智エイチを伝え

その多大なる功績は数知れず

ひいては華四百花(カシヒャッケ)にも選出された偉人

クリシャンテ=スノーマン。

だが、知っているだろうか?彼の裏の顔を。」」


クリシャンテ

「「...何?騙されるでない!!!こやつこそ!!

ナーベルクを裏切った国賊!!」」


ルビウス

「「ツバキは知っているのかい??

あなたが鍔騎ツバキ家を根絶やしにした事を。」」


クリシャンテ

「「何を言っている!!!」」


ルビウス

「「先生。

あなたが僕に教えてくれた最初の刃術(ジンジュツ)

全ての幕を閉じましょう。」」


ルビウス

滅刃(メツハ)イチトウ


挿絵(By みてみん)



クリシャンテ

義忠(ヨシタダ)様!!万歳!!!万歳!!万ーー」


ルビウス(遮る様に)

「さよなら、先生」





N

----------------------------


挿絵(By みてみん)



作者 REN’sJackson



千刃花センジンカ帝国特務戦闘部隊テイコクトクムセントウブタイ〜ー

ナーベルク士官学校篇

Vol.10(ボリュームテン)(オノレ) × () (ホコリ)




※音楽がある場合終わるまで待つ


----------------------------




N

ナーベルク士官学校。

それは帝国特務戦闘部隊"千刃花(センジンカ)"に

入隊する事を目的とした

才能あふれる若者が集う学舎マナビヤである。

千刃花(センジンカ)に入隊する事は

難関とされており、入隊出来なかった者は

ナーベルク帝国兵として数年 従事ジュウジしたノチ

科学者や技術者、教官となる者もいれば

マレに一般企業に勤める者もいる。

厳しい入隊試験を突破した士官学校生は

即戦力として重宝チョウホウされ

現に千刃花(センジンカ)に入隊した卒業生の多くは

戦果を上げて上級隊士や副隊長代理

副隊長を務めている。

その理由は明白で

飛び級を除けば三年もの月日ツキヒをかけて

斬術 (ザンジュツ)兵法ヘイホウ、歴史や魔進 (マシン)学など

幅広い分野を高水準で学べる為である。

しかし、重宝チョウホウされる理由は

それだけでは無い。

ナーベルク士官学校では体内にある特殊な器官

"汽枢(キッスイ)"から生まれる汽の力

刃汽(ジンキ)(モチ)いて戦う刃術(ジンジュツ)スベ

基礎から応用まで学べる事こそが

最大の理由であった。


挿絵(By みてみん)




A-1st(エーファースト)の生徒は

午前に一般科目を終え昼休みのアト

校長であるクリシャンテに

校舎屋上にある刃術(ジンジュツ)修練場"空天クウテン"に

呼び出されていた。


アキレイ

「お腹すいたな!!」


ツバキ

「私の分のグミまで奪い

その台詞を吐くとは…

余程、命がいらぬとみえる」


ラナンキュラス

「まぁまぁまぁ、落ち着きなよツバキ」


ツバキ

「斬る」


アキレイ

「そう言えばさっきデルフィから

グミを貰ったんだ。

一緒に食べようツバキ!!」


ツバキ

「何…だと?」


ルビウス

「はぁ、遂に…刃術(ジンジュツ)を学べるのか…

なんか、ドキドキして来た。

しかも、あの偉大な華四百花 (カシヒャッケ)の一人

クリシャンテ校長に!!!!」


ルビウスは胸を押さえながらそう言った。


ジジ

「フッ。今更、教わってもな…」


ラナンキュラス

「そうだよねー。

入学して早々に教わるって思ってたけど

思ったより遅かったしね。

本当、今更って感じだよ。」


アキレイ(食べながら)

「何を言っている!!

俺たちが他のみんなを

教えてあげられるじゃないか!!」


ツバキ(食べながら)

何故ナニユエ、我らが教えねばならぬ。

そんな道理など無い。」


アキレイ

「助け合っていけば

必ず俺たちの為にもなるぞ!?

切磋琢磨という言葉があるじゃないか!」


ツバキ

「笑わせる。

我らが扱えるのは十番以下の滅刃(メツハ)

人に時間を割くなどあり得ぬ。

その先の壁を

突破する必要があるのだからな」


ルビウス

「その先の壁!?」


ジジ

「知らねーのかよ。

滅刃(メツハ)剋刃(ゴクハ)照刃(ショウハ)

この三種類の刃術(ジンジュツ)

一から五十までの番号が振り分けられてんだよ。」


ラナンキュラス

「そうさ。

その番号は分かりやすく難易度を示してる。

数字が若ければ若いほど難易度は低いんだ。

一から十九は下等刃術(ジンジュツ)

二十から二十九は中等刃術(ジンジュツ)

三十から三十九は上等刃術(ジンジュツ)

まぁ下等を下級とか中等を中級とか

言う人もいるんだけど

そこはあまりみんな気にしてないかな」


ツバキ

「そして、四十から四十三は高等刃術(ジンジュツ)と言われ

扱える者は少ない。」


ルビウス

「ん?なんで四十番台は三で区切られるんだ?」


ツバキ

「四十四から五十は超高等刃術(ジンジュツ)

言われている。

鞘花(ショウカ)並の刃汽(ジンキ)量が無ければ

行使 (コウシ)するのは不可能だ。」


アキレイ

「ただ、系統によっては番号が若くても

扱いが難しい事もある。

氷雪に空間、薬毒に波動

全ての刃術(ジンジュツ)を扱う事は

実質不可能なんだ。

それぞれ得意系統は決まっているからな!!」


ジジ

「系統だけじゃねぇよ。

人によっては剋刃(ゴクハ)が苦手だったり

滅刃(メツハ)が苦手だったりすんだよ。」


ラナンキュラス

照刃(ショウハ)はそもそも

得意な人の方が珍しいんだ。」


ルビウス

「そうなのか!?」


ツバキ

照刃(ショウハ)は医学知識を踏まえた上で

更に緻密チミツかつ繊細な刃汽(ジンキ)コントロールが

必要なのだ。」


ルビウス

「…ぼ、僕には無理かな…」


ラナンキュラス

C-1st(シーファースト)の座学は

医学の勉強ばかりだしね。」



A-1st(エーファースト)の生徒たちは

このツバキ達の会話を熱心に聞いていた。


ジジ

「分かったかよ。」


ルビウス

「なんて奥深いんだ!!!!

もっと教えてくれ!!!」


ジジ

「ただ、この扱いが難しい刃術(ジンジュツ)の数々を

さらっと使う例外もいんだぜ?

そいつは化けモンだ。」





すると上空から声が聞こえた。











 


クリシャンテ

『『剋刃(ゴクハ) 三十四サンジュウヨン浮天波無フテンパムウ!!』



ツバキ・ジジ・ラナン・アキレイ・ルビウス

「ッッッッ!?!?」



ルビウス

「な、なんだなんだ!?身体が!?!?」


アキレイ

「グッ!!浮いた!?」


ラナンキュラス

随分 (ズイブン)と…手荒い…じゃないか…」


ツバキ

「なんの真似だ…クリシャンテ」


ジジ

「チッ…あれが例外だ」


上空を見上げると刃汽(ジンキ)

板の様に押し固めた波動系剋刃(ゴクハ)である

剋刃(ゴクハ) 三十六サンジュウロク空乗クラノリ波濤ハトウに乗って

クリシャンテが滑り落ちて来た。





クリシャンテ

「いつから…

刃術(ジンジュツ)の何たるかを

人に教授出来る様になったのですかな?」


ジジ

「…テメェ!!放しやがーー」


クリシャンテ(遮る様に)

剋刃(ゴクハ) 三十五サンジュウゴ水牢塞(スイロウフサギ)


ツバキ・ジジ・ラナン・アキレイ・ルビウス

「ゴボゴボゴボボボボ」


クリシャンテは光の如く

ジジ達の身体を水球に閉じ込めた。

浮天波無フテンパムウの無重力結界と合わせ

二重詠唱の効果により身動きが取れず

五人は虚しく白目を剥いていた。


クリシャンテ

A-1st(エーファースト)諸君。

私はクリシャンテ=スノーマン。

このナーベルク士官学校の校長を兼任し

刃術(ジンジュツ)基礎、応用学の担当教師でもある。

パチンッ(指を鳴らす)


クリシャンテはそう言うと

パチンッと指を鳴らした。


ツバキ・ジジ・ラナン・アキレイ・ルビウス

「ゴホッゴホッゴホッゴホッ」


刃術(ジンジュツ)から解放された五人は

床に手をつきむせていた。


ジジ

「ゴホッゴホッ…んの野郎!!」


ツバキ

「ゴホッゴホッ…どううつもりだ」


ラナンキュラス

「ゴホッゴホッ…久しぶりの再会なのに…

随分 (ズイブン)な挨拶だね」


ルビウス

「ゴホッゴホッ…何で僕まで…」


アキレイ

「ゴホッゴホッ…クリシャンテ…」


ツバキ

「昔とは違うという事を見せてやろう。

貴公らは手を出すーー」


ラナンキュラス (遮る様に)

「そうだね。」


アキレイ

「ぁあ!!」


ジジ

「後悔すんなよ!」


ルビウス

「え!?え!?え!?」


クリシャンテ

「ほぅ…お手並拝見ですな」


するとツバキ達は一斉に刃術(ジンジュツ)を放った。


ルビウス

「何をしてるんだ!!!」


ツバキ

滅刃(メツハ)キュウ)鉄砕牙テッサイガ!!』


ラナンキュラス

滅刃(メツハ)ジュウ泡沫飛沫(ホウマツシブキ)!!』


アキレイ

滅刃メツハハチ爆連綴バクレンツヅリ!!』


ジジ

滅刃メツハサンナミ(イカヅチ)!!』


ルビウス

「皆やめろってーー」


クリシャンテ (遮る様に)

剋刃(ゴクハ) 四十四(シジュウシ)断絶断壁(ダンゼツダンペキ)


無数の鉄のトゲ、水流の飛沫シブキ、連なる爆撃

(ホトバシ)る電気がクリシャンテを襲うが

クリシャンテは刃術(ジンジュツ)を弾く障壁を生成し

全ての技を跳ね返した。



ツバキ・ジジ・ラナン・アキレイ・ルビウス

「グァァァァァアア!!!!」


クリシャンテ

「まだまだ甘いですな。」


ルビウス(心の声)

((何で僕までぇええええ!!))


クリシャンテ

「各担任から聞いていますぞ。

校内での振る舞いは傍若無人ボウジャクブジン

六大貴族として在るまじき行為ですな。

忘れてはいけませんぞ。

偉大なのは今のあなた方ではなく

家柄だという事を。

ナマけていては千刃花(センジンカ)など夢のまた夢ですな」


ツバキ

「なん…だと?

私は…グッ…修練をオコタった事などない…

此奴コヤツらと…一緒にするな。」


ジジ

「そうだ!!ナマけて…なんて…」


ラナンキュラス

「心外だね…僕らは決して…」


アキレイ

「真面目に授業を!!

受けて…ムムッッ?記憶に…」


ルビウス (心の声)

((君は授業中ほぼ寝てるだろ!!))


ツバキとルビウスを除く

ジジ、ラナンキュラス、アキレイは

しばらく考えていたが

そのまま口をツグんだ。


クリシャンテ

義忠(ヨシタダ)様。

ナーベルク士官学校は戦闘教育だけを

学ぶ場所ではありませんぞ。

仲間と共に競い合い、互いを認め高め合う。

集団の中で学べる事は沢山あるのです。

義忠(ヨシタダ)様。大切なものを学んで下さい。」


ツバキ

「説法は聞き飽きた。

私はいつまでも子供ではない」


クリシャンテ

「何を言っているのですか。

私にとって義忠(ヨシタダ)様は

あの頃と変わらぬ可愛い義忠(ヨシタダ)様ですぞ」


ツバキ

「ッッ!?」


ツバキはカッと顔を赤らめると

ジジ達は笑いをコラえるのに必死だった。


ジジ

「クックックッ…可愛い…なんだって?」


ラナンキュラス

「ツ、ツバキが…照れてるッッ」


アキレイ

「フフッ…あんなツバキ見たことないぞ」


ルビウス

「プフッ!!ツバキも人の子なんだな!!」


ツバキ

「斬る」


ツバキは祈木(イノリギ)の刀を抜き

ジジ達に斬りかかった。


ジジ

「や、やめろ!って!」


ラナンキュラス

「お、落ち着いてツバキ!!」


アキレイ

「き、斬りかかるならクリシャンテだろ!?」


ルビウス

「ぬぉおおお!!!」


その様子を見ていたクリシャンテは

思わず笑みがこぼれていた。


クリシャンテ(心の声)

((義忠(ヨシタダ)様にも

ご友人が出来たのですね…))


クリシャンテ

「しかし、今は授業中ですぞ!!!」


ツバキ

「ハァァァァァア!!!!」


ジジ・ラナン・アキレイ・ルビウス

「うぉおおお!!!」


戸惑うA-1st(エーファースト)の生徒たちを見たクリシャンテは

思わずため息をついた。


クリシャンテ

「はぁ…めろと言っているのが

分からないのか!!!」


剋刃(ゴクハ) 三十二サンジュウニ磊枷数珠繫(イシカセジュズツナギ)!!』 



ツバキ・ジジ・ラナン・アキレイ・ルビウス

「グッッッッッ!!」


5人の両腕はカセをハメられた様に

重力の力で強制的に降ろされ

腕を刃汽(ジンキ)の紐で繋がれた。


クリシャンテ

「来なさい」


そう言ってクリシャンテは

紐をグイッと引っ張りツバキ達を引き寄せた。


ルビウス

「オワッ!!」


アキレイ

「ぉお!!」


ラナンキュラス

「ちょっ!!」


ジジ

「んの野郎!!」


ツバキ

「グッ!!」


するとクリシャンテは

5人に拳骨 (ゲンコツ)を喰らわせた。


クリシャンテ

「フンッ!!」


ツバキ・ジジ・ラナン・アキレイ・ルビウス

「ッッッッ!!」



ジジ

「何しやがる!!」


ツバキ

「この私に…拳骨 (ゲンコツ)など…」



ルビウス

「これ以上噛み付かないでくれぇえ!」


クリシャンテ

「まだ仕置きが足りないと?」


ジジ

「チッ!!」


アキレイ

「イテテテ…久しぶりにやられたな…」


ラナンキュラス

「そうだね。

寝てる間に顔に落書きしたとき以来かな」


クリシャンテ

「全く…時間がだいぶ押してしまった…」


クリシャンテはそう言うと

5人を(ニラ)んだ。

六大貴族であるツバキ達を軽くあしらう

クリシャンテを見たA-1st(エーファースト)の生徒たちは

戦慄センリツしていた。


クリシャンテ

「では、早速だが刃術(ジンジュツ)の基礎について

話しますかな。

すでに誰もが知っていると思うが

刃術(ジンジュツ)とは誰もが持っている汽の力を指す。

先天的に目覚めている者も多いが

そうで無い者は祈木(イノリギ)の刀を利用し

強制的に汽の力を呼び覚ます事が出来る。」


ルビウス

「自然と使ってたけど

強制的に呼び覚ましていたのか…」


クリシャンテ

「本来ならば瞑想を繰り返し

ゆっくり目覚めさせる事が理想ですな」


アキレイ

「ラナンとジジ以外は

瞑想で呼び覚ましたんだ。」


ルビウス

「ん?どうやってやったんだ?」


ラナンキュラス

「僕は生まれた時から使えたからね。

瞑想はショウに合わないから

ラッキーだったよ。」


ジジ

「俺とプラムもだ。」


ツバキ

「瞑想すれば肉体的な負担が少なく

身体に馴染みやすいのだ。」


ルビウス

「へぇー!!」


クリシャンテ

「ナーベルク士官学校ではこの祈木(イノリギ)の刀を使い

汽の力…つまり刃汽(ジンキ)を呼び覚ます。

刃汽(ジンキ)汽枢(キッスイ)から溢れ

身体中を…巡る!!!」


クリシャンテは全身から

刃汽(ジンキ)(ホトバシ)らせた。

突如、深海に潜り込んだ様に

身体が重いマクで覆われた感覚が全身に走った。

しかし敵意や殺気は感じなかった。


ラナンキュラス

「…流石ナーベルク帝国最高峰の刃術(ジンジュツ)使い

洗練された刃汽(ジンキ)だね…」


ルビウス

「す、凄い…これが華四百花 (カシヒャッケ)


ジジ

「当たりめぇだろ」


アキレイ

刃術(ジンジュツ)でクリシャンテの右に出る者はいない」


ツバキ

「だが、いつか越えなければならぬ壁」


クリシャンテ

「体内で生み出される刃汽(ジンキ)系統は

无属(ムゾク)系統。

これは誰もが使える系統変化である。

そして、刃術(ジンジュツ)を放つ際に

自身の得意系統に系統変化させる事で

様々な刃術(ジンジュツ)を創り出せる。

主に四肢末端シシマッタン刃汽(ジンキ)を集め

放つ事が多い。例えば…足に集めれば…」


剋刃(ゴクハ)の三・走疾ハシリバヤテ


クリシャンテの足元に風が渦巻き

空天クウテンを高速で駆け抜けた。


ルビウス

「ぉお!!旋風系の剋刃(ゴクハ)ですね!」


クリシャンテ

「そして拳に刃汽(ジンキ)を集めれば…」


滅刃(メツハ)ナナ渦螺旋ウズラセン


空天クウテンの壁に向かって

勢いよく波動が螺旋を描き

ドーーンッと

轟音を立ててぶつかった。


ラナンキュラス

「壁が壊れるって!!!」


ジジ

「おいおい…

下等刃術(ジンジュツ)でこの威力かよ」



クリシャンテ

「心配無用。

空天クウテンの床、壁に至る全て

刃術(ジンジュツ)の威力を軽減する結界を

私が施した。」


アキレイ

「結界!?」


ツバキ

「恐らく複合 合成 刃術(ジンジュツ)だろう」


ルビウス

「何だい?それは…」


ラナンキュラス

「別種類の刃術(ジンジュツ)を組み合わせて

新たな刃術(ジンジュツ)を生み出すことさ。」


クリシャンテ

「その通り。

剋刃(ゴクハ) 百二十八(ヒャクニジュウハチ)大生門(ダイショウモン) 羅刹無間堂(ラセツムケンドウ)

ここは守られている。」


ルビウス

百二十八(ヒャクニジュウハチ)!?

刃術(ジンジュツ)は五十番までじゃないのか!?」


ジジ

「厳密にはそうだし、そうじゃねぇんだよ。」


クリシャンテ

刃術(ジンジュツ)を合成する時に

割り振られた数字が五十以上になる刃術(ジンジュツ)同士のみ

複合 合成刃術(ジンジュツ)として合成出来る。」


ラナンキュラス

「例えば、滅刃(メツハ) 二十二ニジュウニ・ 飛雷鳥ヒライチョウ

滅刃メツハ三十二サンジュウニ水虎水天スイコスイテン

複合合成フクゴウゴウセイすれば

滅刃(メツハ) 五十四(ゴジュウヨン)飛鳥(アスカ)水天雷虎砲(スイテンライコウホウ)となる。

二十二と三十二で五十四という様にね。」


ジジ

「逆に

剋刃(ゴクハ)ナナ 鏡乱合(キョウランアワセ)

剋刃(ゴクハ)の六・ 人念通(ジンネンツウ)

合成出来ねぇんだよ。

剋刃(ゴクハ)十三ジュウサン遮々音々(シャシャオンオン)だからな。」


ルビウス

「そうなのか…」


ツバキ

「貴公の頭では

到底理解出来ぬのも無理はない」


ルビウス

「出来るよ!!ただの足し算じゃないか!」


クリシャンテ

「数字に関してはそうだが単純な物ではない。

複合合成 刃術(ジンジュツ)

基本的に1人で行使 (コウシ)する事はほぼ不可能。

繊細な刃術(ジンジュツ)コントロールを要し

莫大バクダイ刃汽(ジンキ)量も必要とするのでな」


ルビウス

「でも先生はここの結界を…」


クリシャンテ

「私は例外の一人。

莫大バクダイ刃汽(ジンキ)量も

繊細な刃術(ジンジュツ)コントロールも有している。

例外と言えばこの話しもしておきますかな。

刃術(ジンジュツ)を扱える系統変化には

限りがある事を知っている者は?」


アキレイ

无属(ムゾク)系統を除き

得意系統を含めると四つから五つ。

だが下等刃術(ジンジュツ)

その限りでは無い。だろ?」


クリシャンテ

「その通り。

一から九の刃術(ジンジュツ)

消費刃汽(ジンキ)量が極端に少なく

簡単に行使 (コウシ)できる。

十から十九もさほど難しくはない。

故に下等刃術(ジンジュツ)と呼ばれておる。

それは攻撃の滅刃(メツハ)、補助の剋刃(ゴクハ)も同じ。

ただし、治癒の照刃(ショウハ)に関しては

そうはいかぬ。そもそも扱いが難しいと

前提を置いて話すが

イメージとしては一から十九が中等

二十一から三十九が上等

四十から四十三は高等

四十四から五十は超高等と言われておる。

ただし、全て個人差があり

使える系統や刃術(ジンジュツ)の種類によって

他者よりも多く扱える者もいる」


ツバキ

「しかし、天才はそれすらも凌駕リョウガする」


ルビウス

「天才?」


すると、ツバキ達はラナンキュラスを見た。


ラナンキュラス

「ん?僕が天才だって??

フフッ…そうだったら良かったけどね。

残念ながらそうじゃないと思うよ。」


ジジ

「よく言うぜ。

滅刃(メツハ)なら一度見ただけで

いや、見なくても本を読めば出来んだろうが」


ラナンキュラス

「そんな事ないさ。

失敗だってするし。」


アキレイ

「それは鍛錬の問題じゃないのか?

俺も真似して本を読んでみたが

さっぱり意味が分からなかったぞ!!!」


ラナンキュラス

「アキレイは字が読めなかっただけでしょ?」


アキレイ

「そ、そんな事はない!!!」


クリシャンテ

「ハーゴン殿からも聞き及んでいる。

幼少期に師もつけずに滅刃(メツハ)を覚えたと。」


ラナンキュラス

「待ってよ。

その後…僕は、祖母に沢山習ったんだ。」


クリシャンテ

「その祖母からも入学前に聞いたが

確かにラナンキュラスは天才…所謂イワユル

天授万才(テンジュバンサイ)の可能性は高いですぞ」


ラナンキュラス

「え!?

僕はただ、刃術(ジンジュツ)が得意なだけだって!」


ルビウス

天授万才(テンジュバンサイ)?? 

何ですか!?それは!!」


クリシャンテ

天授万才(テンジュバンサイ)とは

天から授かった万の才。

生まれながらにして

突出した才能を持つ者を指す。

鋼の様に身体が頑丈な者は

無意識に体内の刃汽(ジンキ)を常に外側に放出し

それをマトいつつ平然と動けている者もいれば

滅刃(メツハ)剋刃(ゴクハ)照刃(ショウハ)

それぞれに限り全系統を扱える者。

そして、ラナンキュラスの様に刃術(ジンジュツ)の構成を

瞬時に理解しそれを難なく行使 (コウシ)出来る者もいる」


ラナンキュラス

「やめてくれよ。

僕は…別にそんなんじゃないって…」


ラナンキュラスは少し(ウツム)いていた。


ジジ

「チッ。辛気臭せぇ顔してんじゃねぇよ。

いつも得意げに刃術(ジンジュツ)

見せびらかしてんだろーが」


ラナンキュラス

「そ、そんなつもりは無いさ」


アキレイ

「凄いなラナン!!!

きっとハーゴンさんもクリスも

鼻が高いぞ!!!!」


ラナンキュラス

「親父もクリスも関係ないって」


ジジ

「やめとけアキレイ。」


するとアキレイは何かを察した様に言った。


アキレイ

「すまん…気を悪くしないでくれラナン」


ラナンキュラス

「大丈夫さ。気にしないでくれ」


ツバキ

「下らぬ。

世間話をするなら後にしろ。邪魔だ」


ラナンキュラス

「ごめんよ...ツバキ。その通りだ」


ツバキ

「フンッ…クリシャンテ。

天授万才(テンジュバンサイ)の話しをするのなら

一つ言いそびれている。」


ツバキがそう言うと

クリシャンテは不敵に笑った。


クリシャンテ

「そうですな。義忠(ヨシタダ)様。

私がなぜ、華四百花 (カシヒャッケ)に選ばれ

ナーベルク最高峰の刃術(ジンジュツ)使いと

言われているか…それは」


ルビウス

「それは…」


クリシャンテ

刃術(ジンジュツ)の常識にトラわれない存在だからだ。」


ルビウス

「よく意味が分からないな…」


ツバキ

「ハッキリ言え」


ルビウス

刃術(ジンジュツ)の常識にトラわれない存在…」



クリシャンテ

「私は滅刃(メツハ)剋刃(ゴクハ)照刃(ショウハ)

全ての刃術(ジンジュツ)において

全ての系統変化を扱える。」


ルビウス

「え?全ての系統変化を扱えるって事は…」


ツバキ

「全ての刃術(ジンジュツ)を扱えるという事だ。」


ラナンキュラス

「おまけにホトンどの複合 合成 刃術(ジンジュツ)

クリシャンテが生み出したんだ。

凄いだろ?」


するとジジはルビウスを見て言った。



ジジ

「な?化けモンだろ?」


ルビウス

「そんなに凄いお方だったのか…

そんな方に教えてもらえるなんて…光栄だ!」


アキレイ

「ラナンがいつも読んでる刃術(ジンジュツ)大全

"刃術(ジンジュツ)の全ては私と共に"は

クリシャンテが書いたんだぞ!!

士官学校の教科書にもなっているっ!この!!

"現代刃術(ジンジュツ)時代"上巻もな!!」


アキレイは

床に落ちていた落書きだらけの教科書を

ルビウスに見るように言った。


ルビウス

「落書きだらけで分かんないよ!!」


アキレイ

「ここだ!!

この魔進 (マシン)のとなり!!」


腕が動かないアキレイは

ルビウスに向かって教科書を

滑らせる様に蹴った。


アキレイ

「ここだ!!!!」


ルビウスは目を細めて

名前を探していた。



ルビウス

「あっ!本当だ!著者に名前が書いてある!」


ジジ

「クリシャンテは

ナーベルク帝国に多大なる功績を残した。

正に刃術(ジンジュツ)革命と言っても

過言じゃねぇーんだよ。」


ルビウス

「なるほど…

だから華四百花 (カシヒャッケ)に選ばれたのか…」


アキレイ

華四百花 (カシヒャッケ)

帝国軍に所属する者の中で

ナーベルク帝国に歴史を刻んだ者が

選出されるんだ。

最高戦力が鞘花(ショウカ)だとしたら

最高栄誉が華四百花 (カシヒャッケ)と言われている。

もちろん、戦乱の世で

歴史に名を刻むぐらいだから

戦闘面においても猛者の集まりだ!!

クリシャンテの形状変化を見たら

度肝を抜かれるぞ!?」


クリシャンテ 

「そこまで褒めている割に

私語も多く、聞き分けも悪いのは

何故ですかな??」


その言葉に場が一気に静まり返った。



クリシャンテ

「よろしい。」


するとクリシャンテは一歩前に踏み出した。


クリシャンテ

「全員、祈木(イノリギ)の刀を構えてもらえますかな」


ジジ

「構えるも何も刃術(ジンジュツ)解いてくんねぇと

構えられねぇんだよ。」


クリシャンテ

「フハハハッ

そうでしたな!!!! パチンッ(指を鳴らす)


ジジ

「笑い事じゃねぇーっつーの」



クリシャンテは指を鳴らし

磊枷数珠繫(イシカセジュズツナギ)を解いた。


ルビウス

「はぁ…やっと自由になれた…」


ラナンキュラス

「忘れられてるかと思ったよ。」


クリシャンテ

「では、構えなさい」


ツバキ

「何故だ。」


クリシャンテ

「何度も同じ事を言わせるおつもりか?」


A-1st(エーファースト)全員が

その言葉に恐れ渋々祈木(イノリギ)の刀を構えた。


クリシャンテ

「よろしい。」


ツバキ

「何をするつもりだ。」


クリシャンテ

剋刃(ゴクハ) 二十二・磁鉄甲(ジテツコウ)


剋刃(ゴクハ)ナナ 鏡乱合(キョウランアワセ)


アキレイ

「二重詠唱!?」


ラナンキュラス

「これは…」


ルビウス

「うぉ!!何か飛んできた!!」


ジジ

手甲テッコウだと!?」


刃汽(ジンキ)により鉄で生成された手甲テッコウ

鏡乱合キョウランアワセで生徒分コピーし

自身の腕と生徒たちそれぞれの祈木(イノリギ)の刀にハメた。


クリシャンテ

「捕捉」


ツバキ

「な、何だと!?

駆逐丸クチクマル!!!!」



クリシャンテ

パンッ(手を叩く音)…回収」


クリシャンテが手を強く叩いた瞬間

祈木(イノリギ)の刀が一斉に

クリシャンテの元へ飛んでいった。


クリシャンテ

パチンッ(指を鳴らす)。解除」


バラバラと音を立てて

祈木(イノリギ)の刀は床に落ちていった。


クリシャンテ

「今日をもって祈木(イノリギ)の刀は

無用の長物チョウブツ


ツバキ

駆逐クチク…丸…」


ジジ

義忠(ヨシタダ)!落ち込むな!!

俺が土産ミヤゲ屋で新しい木刀を買ってやる!!

そうだ!義忠(ヨシタダ)!!

潤街ウルウガイに新しく店がオープンしたらしいぞ!」


ツバキ

「いら…ぬ」


ラナンキュラス

「いや…それオモチャ売り場」



クリシャンテ

「ゴホンッッよろしいですかな?

刃術(ジンジュツ)に関する

基本的な知識は皆分かったと思うが

今日は刃術(ジンジュツ)の基本である

滅刃(メツハ)イチ(トウ)を教える」


ルビウス

「遂に来たぁあ!!!」


ツバキ(落胆しながら)

「今更…(トウ)など…」


ジジ

「クリシャンテ!

駆逐丸クチクマルだけでも返してくれ!」


ラナンキュラス

「はぁ…僕ら暇だねー」


アキレイ

「パン…食うか?

美味しいぞ(食べながら)?ツバキ」


ツバキ

「…アキレイ」


そう言ってツバキはアキレイからパンを貰い

悲しそうに食べていた。


ジジ

義忠(ヨシタダ)がパンを貰って食っただと?

あり得ねぇ…義忠(ヨシタダ)!!しっかりしろ!」


アキレイ

「あ、カビはしっかり避けて食べるんだぞ!」


ツバキ

「がはっ!!!」


ジジ

義忠(ヨシタダ)ぁぁぁあ!!!」


ラナンキュラス

「今日は空が綺麗だねー

待ってる間なにかするかい?ルビウス」


ルビウス

「いや何で僕を巻き込むんだ!

君たちは出来るかも知れないけど

僕や他の人は出来ないんだよ!!」


クリシャンテ

「全く騒がしいですな…

では、A-1st(エーファースト)諸君。

先のチーム対抗刃術(ジンジュツ)バトルロアイヤル

クラス代表選抜戦で

各々 (オノオノ)刃術(ジンジュツ)の素質は見せてもらった。

予選を通して私は

(トウ)を創り出せるレベルだと判断した。」


ジジ

「創り出せるレベル?」


ラナンキュラス

「僕らの(トウ)は完成されている」


ツバキ

「同列に考えるなど笑止」


アキレイ

「だな!!ツバキ!!」


ツバキ

「黙れアキレイ。」


アキレイ

「そんなに怒る事ないだろ?

カビについては忠告したぞ!?

それでも食べたのはツバキだ!!」


ツバキ

「何だと?

言うのが遅いーー」


アキレイ(遮る様に)

「心配するな!!

俺もこの前、二日寝込んだぐらいで済んだ!」


ツバキ

「グフッ!!」


ジジ

義忠(ヨシタダ)ぁぁあ!!」


ラナンキュラス

「はぁ…今日は退屈な授業になりそうだね。」


クリシャンテ

「では、退屈だと嘆いているのであれば

義忠(ヨシタダ)様、ラナンキュラス

ジジ、アキレイ。

私にその完成された(トウ)

見せて貰えますかな?」


ジジ

「いいぜ。驚くなよ?」


ツバキ(息を切らしながら)

「はぁ…はぁ…造作もない事」


ラナンキュラス

「みんな。僕のを見るといいよ」


アキレイ

「久しぶりにやるな!!」


ツバキ達は手のひらを合わせて

一斉に詠唱した。


ツバキ・ジジ・ラナン・アキレイ

滅刃(メツハ)イチ(トウ)!!』


手のひらをグッと広げ左右に離すと

その中から刃汽(ジンキ)で押し固められた刀が

ズズズズッと顕現(ケンゲン)した。

すると、生徒たちから感嘆カンタンの声が上がった。


ルビウス

「これが…(トウ)

刃汽(ジンキ)がヒシヒシと溢れ出てる…」


ルビウス(心の声)

((やはり…

僕と君たちでは次元が違うんだね))














クリシャンテ

「何をしておる。折れているではないか」


一瞬だった。

ツバキ達が顕現(ケンゲン)させた(トウ)

真っ二つに折れ刀身が半分消えていた。




ツバキ・ジジ・ラナン・アキレイ・ルビウス

「ッッッッッ!!」


ツバキ

「これは…」


ジジ

「何…しやがった…」


ラナンキュラス

「…今の見えたかい?」


アキレイ

「いや、分からなかった…」


ルビウス

「何が起こったって言うんだ!!!」


その場にいる者には

何が起ったのかさえ分からなかった。

すると、クリシャンテが折れた刀身を

床に投げ捨てた。


ツバキ

「クリシャンテ…」


クリシャンテ

「折れた刀身では戦えませんな。義忠(ヨシタダ)様」


ジジ

「いつの間に…」


クリシャンテ

「未熟。

それ以上の言葉が見つからぬ。

私は完成された(トウ)を見せろと言ったはず。」


ラナンキュラス

「言ってくれるね…」


アキレイ

「どう言う事だ…」


クリシャンテ

「長さも刃汽(ジンキ)圧縮量も足りぬ上に

密度も無い。

戦場においてそれは、ただの棒に過ぎない。

せいぜい、杖ぐらいにしかなりませんぞ。」


ジジ

「俺たちの(トウ)が…棒だと?」


ツバキ

「アキレイ達のはまだしも…

この私の(トウ)でさえも…か」


クリシャンテ

「完成された(トウ)は刃こぼれなどせず

ユガみもない洗練された(ヤイバ)

そんなナマクラでは断じて無い!!」


するとクリシャンテは

両手を合わせ叫んだ。


クリシャンテ

滅刃(メツハ)イチ(トウ)!!』


オビタダしい刃汽(ジンキ)が身体から溢れ出し

手のひらで一気に収束した。

その刀身は神々(コウゴウ)しく光り輝き

生徒一同は圧倒された。


ルビウス

「これが…先生の…(トウ)なのか」


ジジ

「マジかよ…」


ツバキ

「我らとは…全てが違う…」


アキレイ

「分かるか?ラナン…」


ラナンキュラス

「ぁあ、何て刃汽(ジンキ)圧縮量…

刃汽(ジンキ)を放った瞬間に

周りの空気が一瞬、真空になった。

あれで斬りかかられたら

ひとたまりも無い…」


ルビウス

「正に完成された(トウ)…」


ラナンキュラス

「悔しいけど…どうやらクリスは

あの時、僕に手加減していたようだね。」


アキレイ

「クリス?クリスがどうかしたのか?」


ラナンキュラス

「いや、何でもないさ」


クリシャンテ

千刃花(センジンカ)に入隊する条件は

(トウ)を完成させる事。

ナーベルク士官学校を卒業し

千刃花(センジンカ)へ入隊すれば

下級隊士として任務に就く。

そして任務を経て数年後には中級隊士となる。

多くの者は中級隊士で終わるだろう。」


ジジ

「中級隊士で終わる?」


クリシャンテ

「この中で千刃花(センジンカ)の階級について

知っている者はいますかな?」


するとルビウスが手を挙げた。


ルビウス

「はい。千刃花(センジンカ)は各部隊千人で

構成された特殊部隊です。

下級隊士は六百(600)人、中級隊士は 三百九十 (390)

上級隊士は十人で構成され…」


ツバキ

「更に副隊長代理、副隊長、鞘花(ショウカ)

一人ずつ選任される。」


クリシャンテ

「その通りです義忠(ヨシタダ)様。

副隊長代理以上は

何と呼ばれているかを

知っている者はいますかな?」


ジジ

「隊長格…」


クリシャンテ

「ご名答。

隊長格と呼ばれている者は

戦闘面、戦略面において、ずば抜けている

では上級隊士に序列がある事は?」


アキレイ

「上級隊士に序列??」


クリシャンテ

「そう、上級隊士は十()から一()まで序列があり

これは完全なる強さの序列で決まっておる。

上級十()からは(トウ)を変化させ

独自の武器を創り出す形状変化が

行使(コウシ)出来る事。

もしくは上等刃術(ジンジュツ)

行使(コウシ)出来る事が条件となる。

実力者が集まる上級隊士は

全ての作戦の要となる事が多い。

生半可な気持ちではなれませんぞ。」


その言葉の重みが

ツバキ達にズッシリとのしかかった。


クリシャンテ

「余談だが…1st(ファースト)クラスの担任である

アザミ、オンジューム、エロディウム、シルバは

上級一()から隊長格の実力を有する人材だ。

でなければ1st(ファースト)クラスの担任など

任せられんのでな。

お主ら程度ならば

赤子の手をひねるより簡単だと言う事を

努努ユメユメ忘れるではないぞ」


ルビウス

「アザミ先生とシルバ先生は確か…

千刃花の隊長格だったって聞いていたけど」


ラナンキュラス

「エロディウム先生も…」


アキレイ

「オンジューム先生もなのか…」


クリシャンテ

オゴらず鍛錬に励めばオクする事無し。」


ツバキ・ジジ・ラナン・アキレイ・ルビウス

「はい!!!!!」


クリシャンテ

「まず、何故、滅刃(メツハ)イチ(トウ)…と叫ぶのか。

そこから説明しなければなりませんな」


ルビウス

「質問しても良いでしょうか!」


クリシャンテ

「何だね?」


ルビウス

「不思議だったのですが

技名を叫ぶと相手に次の行動が

バレてしまって不利になるのでは?」


クリシャンテ

義忠(ヨシタダ)様。

説明してくれますかな?」


するとツバキは淡々と説明した。


ツバキ

「声を出す事により筋肉の収縮をうながし

放出する際の刃汽(ジンキ)量を増大させる効果がある。

しかし、その限りではない。

刃汽ジンキの戦闘にいて

より不利になればなるほど技の威力が上がる。

恐怖なくしては進化出来ぬ生物と同じく

刃術(ジンジュツ)も例外ではない。」


クリシャンテ

「完璧な説明でしたな。義忠(ヨシタダ)様。

義忠(ヨシタダ)様が言うように

力を込める時、放水する際と同じく

ホースの口を絞り勢いを増す

イメージに近い。

更に、不利になればなるほど

技の威力が上がる。という点にいてだが

これは刃術(ジンジュツ)の基本戦術とも言われておる。

さて、ジジ説明してもらっても良いですかな」



ジジ

「面倒くせぇ。

これは述縛戒放(ジュバクカイホウ)って言ってよぉ」


述縛戒放(ジュバクカイホウ)とは

刃汽(ジンキ)モチいて闘う際の基本戦術の一つ。

術前ジュツゼン、術中に繰り出す技の説明や

自身の能力(チカラ)を説明することによって

そのリスクと引き換えに威力を増大させる能力(チカラ)である。

技の名を叫ぶだけでも威力は上がるが

そこに説明を含む事により

リスクが増し更に威力が跳ね上がる。


ジジ

「って事だ。もういいか?」


クリシャンテ

「分かったかな?ルビウス」


ルビウス

「ありがとうございます!!」


クリシャンテ

「では早速、実践と行きましょうぞ。

互いにぶつからぬよう

充分距離をとってくれますかな?」


そして、クリシャンテはA-1st(エーファースト)の生徒たちに

(トウ)をレクチャーし始めた。



クリシャンテ

「足を肩幅に広げ目を閉じる。

そして胸の内から込み上げる刃汽(ジンキ)の流れを

両手に集めなさい」


ルビウス(心の声)

((胸の内から込み上げる刃汽(ジンキ)の流れを

この…両手に…))


ツバキ

「グッ!!!」


クリシャンテ

義忠(ヨシタダ)

焦ってはなりませんぞ。

頭の中で更に(ヤイバ)を研ぎ澄ます。

更に…更に…」


ジジ

「いつもならすぐ出来んのに

改めてイメージしながらだとキツイな…」


クリシャンテ

「それは当然。

先程の(トウ)は大事な工程が抜けていたのでな」


ジジ

「大事な工程?」


クリシャンテ

汽枢(キッスイ)から流れる

(ヨド)みない刃汽(ジンキ)

腕から手のひらだけに集める事が

出来ていなかった。」


ジジ

「やってるっつうの!!」


するとクリシャンテは

(トウ)ミネでスネをコツンと叩いた。


ジジ

「イッテェエエ!!

そんなんじゃ集中できねーじゃねぇか!」


クリシャンテ

「足元に無駄な刃汽(ジンキ)が流れているのに

気付かぬとは。

言ったはず。"手のひらだけ"にと。」


ジジ

「チッ」


クリシャンテ

「余分な刃汽(ジンキ)は全て(トウ)に注ぐ。

でなければナマクラになる」


アキレイ

「ぅおおお!!!!!」


アキレイの(トウ)が激しく光り輝いていた。


クリシャンテ

「圧縮」


アキレイ

「ぬぉおおお!!!!」


クリシャンテ

「そのまま刃汽(ジンキ)を押し固める」


アキレイ

「ングググ!!!」


しかしパリンッと刀身が崩れ落ちてしまった。


アキレイ(息を切らしながら)

「はぁ…はぁ…はぁ…

イメージすると…途端に難しくなる…」



クリシャンテ

「ゆっくりとコップに水を注ぐ。

勢いよく注げば溢れてしまうのは

当然でしょうな」


ゆっくりと歩いて回るクリシャンテは

ラナンキュラスの前で止まった。


クリシャンテ

「ラナンキュラス…」


ラナンキュラスの周囲には

刃汽(ジンキ)がフワッと広がり

手のひらに収束された刃汽(ジンキ)

美しい刀身を顕現(ケンゲン)した。


ラナンキュラス(息を切らしながら)

「はぁ…はぁ…どうだい??」


クリシャンテ

「私のを一度見ただけで…」


ラナンキュラス(息を切らしながら)

「コツは…掴ませて…貰ったよ…」


するとクリシャンテはラナンキュラスに

斬りかかった。


ラナンキュラス

「ッッ!?」


アキレイ

「ラナン!!」


咄嗟トッサ(トウ)で受けたラナンキュラスは

クリシャンテとツバ迫り合いをしていた。



ラナンキュラス

「グッ!!

不意打ちなんて…三流じゃあないか」


クリシャンテ

「フフッ…

一流の間違いじゃあないですかな?」


ラナンキュラス

「グッッッ!!」


ルビウス

「ラ…ラナン」


アキレイ

「…刃こぼれをしていない」


ジジ

「クソ…先越されたぜ」


ラナンキュラス

「あっ」


クリシャンテ

「これでも天授万才(テンジュバンサイ)

否定するつもりかね?ラナンキュラス」


ツバキ

「負けて…いられぬ!!」


ーー1時間後ーー

ツバキ達は息も絶え絶えと

床に倒れていた。


ツバキ(息を切らしながら)

「ようやく…」


ジジ(息を切らしながら)

「出来た…」


アキレイ(息を切らしながら)

「案外…難しい…んだな」


クリシャンテ

「よくやりましたな。

他の生徒はまだ苦戦しているようだが…」


ルビウス(息を切らしながら)

「なんで…出来ないんだ…どうして!!!」


少し離れた所で

ルビウスが叫んでいた。

それを見守る様にラナンキュラスは

本を読みながら座っていた。



ラナンキュラス

「雑念が多いんじゃない?」


ルビウス(息を切らしながら)

「雑念!?…僕はただ…創り出したくて…」


ラナンキュラス

「きっとそれだよ。

創り出したい気持ち。じゃなくて

どうやって創るかに集中したら?」


ルビウス(息を切らしながら)

「してるよ!!」


ラナンキュラス

「そうかなー」


するとクリシャンテがやって来た。


クリシャンテ

刃汽(ジンキ)から伝わる焦りが

刃汽(ジンキ)コントロールのサマタげになっておる。

ジジ達と自分を比べる必要は無い。

ルビウスはルビウスの道があるのだ。

まさか…

自分がオトっていると感じているーー」


ルビウス(遮る様に)

「それは!!そ、それは…その…」


アキレイ

「そんな事ないぞルビウス!!」


ラナンキュラス

「ルビウスならきっと出来るさ。」


ジジ

「俺とお前の間に越えられない壁なんて…

あるよな?な?義忠(ヨシタダ)!」


ツバキ

「当たり前だ。格が違う」


ルビウス

「おい!励ます所だろそこは!!」


クリシャンテ

「誰もが初めから出来る訳では無い。

これまでの先人たちも乗り越えてきた。

さぁ、もう一度やってみなさい。」


ルビウスは深く深く深呼吸をすると

静かに両手を合わせた。


ルビウス (心の声)

((胸の内から溢れる刃汽(ジンキ)を…

全て手のひらに…))


クリシャンテ

「全身に行き渡ろうとする刃汽(ジンキ)

抑える」


ルビウス

「グッ…」


クリシャンテ

「全てを手のひらに」


ルビウス(心の声)

((そして一気に押し固める!!))


クリシャンテ

「圧縮が足りませんな。

もっと(ヤイバ)を研ぎ澄ます」


ルビウス(心の声)

((研ぎ澄ま…す!!!))


クリシャンテ

「そして、一気に引き離す」


ルビウス

「ウォオオオオオ!!!」


クリシャンテ

「叫べ!!」


ルビウス

滅刃(メツハ)イチ(トウ)!!!』



光り輝く刃汽(ジンキ)

一気に収束すると

(ヨド)みない刀身が顕現(ケンゲン)された。


ルビウス(息を切らしながら)

「出来…た…出来ました先生!!!!」


クリシャンテ

「では」


するとクリシャンテがルビウスの(トウ)

斬りかかった。


ルビウス

「ウグッ!!!」


プルプルと震える刀身は

見事にクリシャンテの(トウ)に耐え切った。

するとA-1st(エーファースト)の生徒たちから

大きな歓声が上がった。


アキレイ

「やったな!!ルビウス!!!」


ラナンキュラス

「凄いじゃないか!!!!」


ジジ

「遅えよ。バーカ」


ツバキ

「…フンッ。

こんな所でツマズいていては

先が思いやられる」


クリシャンテ

「お見事」



ルビウス

「みんなありがとう…

先生もありがとうございます」


※音楽がある場合終わるまで待つ



ー1時間後ーー

生徒全員が(トウ)顕現(ケンゲン)させる事は

叶わなかった。

しかし、意外にもラナンキュラスの次に

(トウ)顕現(ケンゲン)させたのはデルフィだった。

驚きを隠せなかったジジ達は

複雑な心境を抱いていた。


ジジ

「あの女…」


アキレイ

「凄いなデルフィ!!」


ジジ

「バカ!!こっちに来たら面倒だろ!」


ルビウス

「大丈夫さ、ラナンかツバキを差し出せば

夢中になるから」


ツバキ

「貴公を斬って差し出すまで。

ちょうど良い。切れ味を試したい」


ルビウス

「じょ、冗談だって!!!」


ラナンキュラス

「みんな楽しそうだねー」


するとクリシャンテが

静かに口を開いた。


クリシャンテ

「初日で(トウ)を完成させる事は

非常に難しい。

だが、必要な事は全て教えた。

二、三日鍛錬すれば必ずや出来る。

今日の授業はここまで!!!」


ツバキ・ジジ・ラナン・アキレイ・ルビウス 

「ありがとうございました!!」



A-1st(エーファースト)全員が

頭を下げるとクリシャンテは微笑んでいた。



クリシャンテ

「最後に少しだけ話そう。

敵国であるラミオラス帝国をはじめ

近隣諸国との戦争は

苛烈カレツを極めておる。

今もなお、沢山の兵士やその家族が

傷つき死んでおる。

友と助け合い強くなりなさい。

仲間を守りなさい。

そして、生徒諸君に覚えていて欲しい。

正義があれば

必ず打ち勝てるという事を」


ツバキ・ジジ・ラナン・アキレイ・ルビウス

「…正義」


ルビウス

「…先生!!正義とは何ですか?」


するとクリシャンテは

ルビウスの目を真っ直ぐ見て言った。


クリシャンテ

「正義とは誇り。

その誇りはオノレ自身で決める事」


ルビウス

オノレ…自身で…」


クリシャンテ

「そうだ。

人にはそれぞれ必ず戦う理由がある。

それを私は正義だと思っておる。

そして、正義は前へと進み出す動力となり

やがてその正義は自身の誇りとなる。」


ルビウス

「先生…もし…」


クリシャンテ

「胸を張って

オノレの正義を誇れる自分となりなさい。

これは兵士として大切な矜持キョウジ!!

オノレの誇りを胸に突き進め!!

全てはナーベルク帝国の為に!!」


ツバキ・ジジ・ラナン・アキレイ

「ナーベルク帝国の為に!!」

















ルビウス(ナレーション)


この時…僕は思った。



戦う理由が正義なのであれば



もしそれがタガえた時



果たして僕は



本当にそれを誇れるのだろうか。




是が非にもなるのであれば

 


その(ヤイバ)は誰に向かうのだろうか。



きっと、今の僕には分からない。






いや





分かりたくもない。



挿絵(By みてみん)


N

----------------------------


挿絵(By みてみん)



作者 REN’sJackson



千刃花センジンカ帝国特務戦闘部隊テイコクトクムセントウブタイ〜ー

ナーベルク士官学校篇

Vol.10(ボリュームテン)(オノレ) × () (ホコリ)』 (完)




※音楽がある場合終わるまで待つ


----------------------------

















おまけ














配役変更一覧

----------------------------


ルビウス▶︎▶︎▶︎N


ツバキ▶︎▶︎▶︎ジニア


ジジ▶︎▶︎▶︎レオント


アキレイ▶︎▶︎▶︎クリス


----------------------------













"剋刃(ゴクハ)達人衆 吊舟 (ツリフネ)"

選ばれし十人の剋刃(ゴクハ)刃術(ジンジュツ)の達人。

クリシャンテが国中や

時には他国から集めた私設部隊である。

吊舟 (ツリフネ)である事は

身内でさえも明かしてはならず

任務内容は仲間でさえも話してはならない。

剋刃(ゴクハ)達人衆 吊舟 (ツリフネ)の存在は

都市伝説に近いとされていた。


挿絵(By みてみん)


レオント

「って、言われてるんだよなぁ!!」


ジニア(息を切らしながら)

「ぜぇ…ぜぇ…何べんも…何べんも!!

しっつこいねん!!!!

こっちは聞き飽きてんねんて!!!それ!」


クリス(息を切らしながら)

「レオントさん…も…いで…

もらっても…いいですか??」


黒く深いフードを被った三人は

とある海域のとある場所で

小さなボートをいでいた。



レオント

「なんかカッコいいよな!俺たち!!

秘密部隊…そして青い海!!青い空!!

ドラマティックだろ!?」


ジニア(息を切らしながら)

「ど…こが…やねん!!!!!

青い海()ーてる場合かハゲ!!!

早よがんかい!!!!」




クリス(息を切らしながら)

「クソ!!何故…俺が…こんな…目に!!

ぜぇ…ぜぇバンジャマン家の…男が…

する事では…ない!」


美しい金髪を(ナビ)かせながら

左頬にバンジャマン家の家紋が

彫られている男は

クリス=ディオール=バンジャマン

ラナンキュラスの兄であり

ナーベルク帝国兵のカタワ

普段は死刑執行人ジュジュマンとして

家業も担っている。


ジニア

「あかーん!!!もう無理無理無理!!

腕死んでしまうて!!!

あのクソヒゲジジィィイ!!

次…うたら…

ド突いたるからな!!!」


ジニア=サラザール=ロペス

この男は怪盗Zとして名を広めていたが

ひょんな事からクリシャンテと出会い

千刃花(センジンカ)に入隊しろと

言われ連れてこられた。

しかし入隊と同時に吊舟 (ツリフネ)にも入隊させられ

怪盗Zをするカタワ刃術(ジンジュツ)の修行と

吊舟 (ツリフネ)の任務に引っ張り出されていた。

そして金色木乃伊(コンジキミイラ)を操る砂塵の鞘花(ショウカ)でもある。


レオント

「ジニアとモンティが入隊してから

吊舟 (ツリフネ)も賑やかになったな!!

そうだ!!写真を撮らせてくれ!!」


長い白髪ハクハツを一つに束ねた男は

おもむろにカメラを取り出して

汗だくのクリスとジニアを撮り始めた。

この男は

レオント=パーシバル=ドン=ニューヨーク

四刃花(ヨンジンカ)現役の隊長であり

青藍人魚(セイランニンギョ)を操る風の鞘花(ショウカ)である。


レオント

「日が沈みかけてるな…」


ジニア(息を切らしながら)

「アンタが…がへんからやろ!!」


レオント

「俺がぐ訳ないだろ??

花纏捧君 (カテンホウクン)で風を使えば

すぐだからな。」


クリス(息を切らしながら)

「ダメです…よ

刃汽(ジンキ)を…隠さないと…敵にバレます」


ジニア(息を切らしながら)

刃術(ジンジュツ)で…移動したら…

アカンのか!?」


クリス(息を切らしながら)

「あくまでも…ナーベルクの役人として…

接さなければ…いけない…と!!!」


クリスはオールを投げ捨て

ジニアを蹴り飛ばした。


ジニア

「あいたぁあ!!!

な、何すんねん!!!

落ちたらどないすんねん!!

このタコハゲ刺青が!!!」


クリス

「ふざけるな。

俺は来る前に伝えた。

まさか…聞いてなかったのか!?」


ジニア

「き、聞いてましたぁー!!」


クリス

「目を逸らすな!!」


レオント

「はいはいはい。喧嘩はよそうぜ!」


クリス

「レオントさんは引っ込んでてもらおう。」


ジニア

「なんや??喧嘩ならうたんで?

お!?お!?お!?」


クリス

「貴様!!!!」











すると海面がゴボゴボと激しく揺れ動いた。


クリス・ジニア

「!?!?!?」


ジニア

「な、何やこれ!!」


クリス

「転覆するぞ!!!」



レオント

「だから喧嘩はよそうって言ったろ?」
























配役変更一覧

----------------------------


ラナンキュラス▶︎▶︎▶︎スイレン


挿絵(By みてみん)


クリシャンテ▶︎▶︎▶︎トギリ


挿絵(By みてみん)


N▶︎▶︎▶︎ジギタリアス


挿絵(By みてみん)



※ルビウス▶︎▶︎▶︎Nはそのまま続投


----------------------------





クリスたちのボートの真下を突き上げる様に

潜水艦が姿を現しボートは潜水艦の上に

乗り上げる形となった。

すると、上部に付いていた蓋がパカっと開いた。









スイレン

「はいはーーい!!!

スイレンちゃんでーーーす!!!」



トギリ

「バカ野郎!!自己紹介すんなって!!

身元バレんだろうが!!!」


スイレン

「ねぇ、ギリちゃん見て!!

太陽があたしを照らしてる!!!

そう!!!あたしはまるで!!

輝く黄金のアワビ!!ピッカーン!!

キラキラキラキラ!!!!!」


トギリ・ジニア・レオント

「めんどくせぇーーーーー」


長い黒髪にたくましい筋肉

バッチリとメイクアップされた大男は

クリスたちにウインクをした。

隣にいた男は顔がバレない様に

フードを被りため息をついていた。

すると、甲板カンパン

フードを被った大男が降りて来た。


ジギタリアス

「ガッハッハッハッハッ!!!!

オメェらがナーベルクの役人だってな?」


レオント(心の声)

((この男の刃汽(ジンキ)…只者じゃないな))


あまりの刃汽(ジンキ)量に

自然と三人は身構えてしまった。


ジギタリアス

「ん?どうした?」


トギリ

「はぁ…おっさん。

刃汽(ジンキ)ぐらい抑えて来いって…」


スイレン

「あんらぁ!?

でもギリちゃん、刃汽(ジンキ)を感じれるって事は…」


ジギタリアス

「ぁあそうだな!!オメェらも

ただの役人って訳じゃねんだな!?

ガッハッハッハッハッ!!!」


ジニア(囁きながら)

「ど、どないすんねん!!」


レオント(囁きながら)

「さぁ…どうしようか」


すると、クリスがボートから一歩前に出た。


レオント

「おい!!」


クリス

「我々に詮索は無用。

直ちに取引を終え撤退させてもらう。」


ジギタリアス

「そんなつまらねぇ事言うんじゃねぇよ!!

おい!!スイセ!!」


スイレン

「ちょっと!!あたしはスイレン!!

あんな豚と一緒にしないでよオジちゃま!!」


ジギタリアス

「すまねぇすまねぇ!!

オメェの手料理でも喰わせてやんな!!」


トギリ

「おい!おっさん!!」


スイレン

「エスニック料理で

ギンギンギンギョのフォイフォイフォッカチオ

しかないけど…」


トギリ

「面倒くせぇな…

出さなくていいんだよ。」


スイレン

「え!?あたしの料理が不味いって

ギリちゃんそう思ってるの!?」


トギリ

「思ってねぇよ!!

すげぇ美味いだろうがお前の手料理」


スイレン

「んもう!!ギリちゃんったら

ほら、こっち向いて!!!

んーーーーバッ❤︎」


トギリ

「汚ねぇからやめろ!!!」


ジギタリアス

「おいおいツレねぇな!!

腹割って話そうじゃあねぇか!!

互いに顔を隠してたんじゃあ

話しも出来ねぇだろうよ!!

ガッハッハッハッ!!!!」


ジニア

「何で腹割って話さなあかんねん!!」


ジギタリアス

「そりゃあ!!!男同士だからだろうよ!!

それともここで…

殺したって構わねぇんだぜ?」


ジニア

「何やとーーー」


レオント(遮る様に)

「その前に機密文書を渡してもらおうか。」


すると、刃術(ジンジュツ)で封をされた

羊皮紙ヨウヒシをクリスは取り出した。



トギリ

「先に寄越せ」


クリス

「断る」


トギリ

「無駄な争いはしたくねぇーんだ。」


クリス

「そちらが先に渡せ」


トギリ

「断る」


すると、緊迫した空気が流れた。



ジギタリアス

「おい、渡してやれ」


トギリ

「は!?何言ってんだよ。」


ジギタリアス

「先に渡しても構わねぇさ。

変なもん渡して来たら

殺しゃぁ良いだろうが。

簡単な話だろ?ガッハッハッハッ!!」



ジニア (心の声)

((あかん…ホンマに殺される…

何やねん…あの刃汽(ジンキ)量…))



レオント

「では、もらおうか」


トギリ

「ったく…ほらよ」


そう言ってトギリは手に持っていた

羊皮紙ヨウヒシを投げ

クリスはそれを掴むとポケットにしまった。


トギリ

「確認…しねぇのか?」


クリス

「するまでもない。

我々の任務はこれを受け取る事だ。

中身など重要ではない」


ジギタリアス

「なるほどなぁ…。

中身…気になんねーのか??」


レオント

「ラミオラスとの取引自体が

すでに綱渡りだ。

互いを裏切るメリットは無い。

バレたら困るのはお互い様だろ?」


ジギタリアス

「別に俺は困らねーよ。」


クリス

「何?」


レオント

「クリス、早く渡せ」


クリスはトギリに向かって

羊皮紙ヨウヒシを投げた。



トギリ

「…確かにもらったぜ。

ほらよ、おっさん。」


ジギタリアス

「どれどれ…」


ジギタリアスは羊皮紙ヨウヒシの封を割り

中身を広げた。


ジギタリアス

「ガッハッハッハッ!!!

なるほどな…だが…断る!!!!」


クリス・ジニア・レオント

「!?!?!?」


トギリ

「面倒な事になりやがったな…」


ジニア

「な、何してんねん!!」


ジギタリアスはその場で

羊皮紙ヨウヒシを全て破り捨てた。



スイレン

「おっまたせ!!

エスニック料理でギンギン…ギン…」


ジギタリアス

「おい、バカに伝えとけ!!!!

こんなシケた条件で

ラミオラス帝国は止まらねぇってな!!!」


クリス

「まずい…」


ジニア

「ど、どないすんねん!!」


レオント(心の声)

((()るか…逃げるか…))


ジギタリアス

「おい!!交渉は決裂だ!!!」


スイレン

「ちょ、ちょ!!どう言う事よ!!」


トギリ

「どうするよおっさん」


ジギタリアス

「おいオメェら。

役人面ヤクニンヅラしても

俺は騙されねぇぜ。

一般人を装って微量に漏れ出す程度に

刃汽(ジンキ)を調整してやがるが

それは高等剋刃(ゴクハ)

四十三(シジュウサン)番の 汽々絶完(キキゼッカン)

それを扱えるぐれぇの達人ってこった。」


トギリ

「だろうな。」


ジギタリアス

「それによ…俺の傀驕壊操(アトランティカ)

こんなにもタカぶってやがる…

って事は鞘花(ショウカ)がふーー」


すると、雷鳴が轟き雨が降り始めた。


トギリ

大時化オオシケ!?

スイレン!!嵐が来る!!!」


スイレン

「あたしの料理!!!!」



レオント(遮る様に)

「逃げるぞ!!!!」


レオントはクリスとジニアをカツ

強風に乗ってその場を瞬時に離れた。


トギリ

「してやられたな…」


ジギタリアス

「ガッハッハッハッ!!

風と潮の流れが読めなかった俺が悪いって

話しだ坊主!!!」


トギリ

「笑い事かよ」


スイレン

「いやーん!!!

ちょっとアンタ達!!

料理がダメになる前にしまうの手伝って!」



ーーレオントサイドーー

レオントの花纏捧君 (カテンホウクン)により

風に乗って空を飛んでいた。


クリス

「助かりました。レオントさん」


ジニア

「なんて刃汽(ジンキ)しよんねん!

あのおっさん!!」


レオント

「交渉が!!決裂した!!!マズイ!!」


クリス

「まさか…」


ジニア

「中身知っとんたんか!?」



ーージギタリアスサイドーー

ラミオラス帝国 海王水軍"トリトン"の

巨大戦艦 " 藏亜10(クラーケン)" 内部にて



トギリ

「逃げられちまったな。」


ジギタリアスはパイプをふかし

地図を眺めていた。


ジギタリアス

ふぅーーー(煙を吐く)

あそこには鞘花(ショウカ)が二人いた。

オメェらを守りながら戦うには

ちっと、武が悪い」



スイレン

「嘘ぉお!?二人もいたの!?!?」


トギリ

「なるほどなぁ。

通りで強気な条件だった訳だ。

飲まなきゃ…殺すって意味だよなそりゃ」


スイレン

「交渉する気がないのは

アッチだったのね…」


ジギタリアス

「そうだな。

まさか宣戦布告を突きつけてくるたぁな。

それが嫌ならやめろってか??

舐められたもんだぜ全く。ふぅーーー(煙を吐く)。」


ジギタリアスは深く煙を吐くと

パイプの灰を落とした。


ジギタリアス

「どいつだか知んねぇけどよぉ。

イカれてんなぁ。

仕掛けんのはこっちだってのに。

おい、坊主。」


トギリ

「ぁあ?」



ジギタリアス

「ロージアに伝えとけ。

期日通りだ。」




トギリ

「期日通り??」




ジギタリアス

「期日通り…」
















































ジギタリアス

「ナーベルク士官学校を落とすってな。」






おまけの登場人物に

度肝がぬいたでしょ?

それにルビウスの独白。

切ないね。

何がどうなっちゃうんだか!!

それじゃ、また会おう。

ばいばいキーン!!✨

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ