Vol.7 隠×鬼
グーデンターク!!
僕らのヒーローアカデミアって
何で感動するんだろう…。
と、自己分析した結果
キャラクターの熱い想いに
俺のコスモが燃えたぎって
俺の中のチュニチュニの実が
魂の形に始解したら
千年万花するからなんだね。
そう、この話しの挿絵を描いてる時
ヒロアカ見ると筆が乗って乗って
波乗りジョニーでした!!
お陰で5章最多の挿絵9枚!!
下手なりに頑張って描きましたよ!ぇえ!
しかも登場人物女子のみ!!
千刃花の中では
レアな回となっております!!
そして、原点に立ち返って
書いてみました。
初心忘れるべからずだね!!!
では、新キャラを加えたVol.7
楽しんで!!!
ジミー
((青い炎 揺らめく彼方
螺旋を描き 刻む墓標
故郷と故郷が繋がるのなら
奪るべき道はただ一つ
ただ…ただ、一つ))
※音楽がある場合、鳴り止むまで待つ
プラム
「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…
ッッ!?行き止まり!?」
N1
密林の中を逃げるプラムだったが
開けた視界に広がるのは
夥しいほどの絶壁だった。
シルバ
「チョロまかと逃げ回りやがって…
なぁ!?プラム!!!」
プラム
「ハァ…ハァ
息…一つ…乱れて…ないのですね」
N1
ゆっくりと間合いを詰めるシルバに対して
プラムは後退りしていた。
シルバ
「当たり前ぇだろうが。
一体、誰にモノ言ってんだよ。
プラム。お前はよくやった。
小さい頃からジジやツバキ達と
遊んでただけはある。だが…」
プラム
「だが…なんですの?」
シルバ
「お前にはアイツらと比べて
大きな欠点がある。」
プラム
「欠点…ですか」
シルバ
「そうだ。それは体力だ。
ここぞって時にスタミナが切れてたんじゃあ
すぐ死ぬぜ??
千刃花には頭脳明晰ってだけじゃあ
入隊なんてできねぇんだよ。
そんくらい…お前だって分かってんだろ?」
プラム
「そんなこと…シルバさんに言われなくても
分かっていますわ!!!」
シルバ
「だからここで俺が終わらせてやるってんだ」
プラム
「だからこそ私はーーーー」
シルバ
「じゃあな」
プラム
「シルバさーーーーーー」
N 1
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作者 REN’sJackson
ー千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜ー
ナーベルク士官学校篇
Vol.7 『 隠 × 鬼』
※音楽がある場合終わるまで待つ
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N1
ーー約1時間前ーー
B-1stの一同は
担任であるエロディウムに課外授業と言われ
C-1stのエピメンタ島にある
広大な密林に来ていたが
そこに待ち受けていたのは
C-1st担任シルバ=グレイだった。
戸惑うB-1stの生徒達だったが
基本的な人命救助の授業を終えた所
突如、巨大スクリーンが現れ
300秒のカウントダウンが始まった。
ざわつき始める生徒達に対して
サングラス越しにシルバは 睨 みを効かせた。
すると、生徒達は
恐怖のあまりピシャッと静まり返った。
シルバ
「よーし。」
N1
そして、白衣をズルズルと引きずり歩きながら
ニヤついた顔で口を開いた。
ジミー
((小さすぎて白衣を引きずってる…
可愛い…))
シルバ
「今から秋に開催される帰郷祭
チーム対抗刃術バトルロワイヤルに向けた
代表選抜戦を行う」
プラム
「代表選抜戦!?そんな!!
いきなりなんて...あんまりですわ!」
シルバ
「ナマ言ってんじゃあねぇよプラム。
生きるか死ぬかに事前予告なんかねぇんだよ。
こうやって話してる間にも
刻々と時間は過ぎてくぜ?」
N1
シルバはスクリーンに映し出された秒数を
グッと指差した。
シルバ
「残り260秒」
ジミー
「ヒィッ」
シルバ
「怖気付いたか?ゼンゼマン」
N1
俯 きながら頷く
薄紫髪の三つ編みをした 女生徒 は
顔のそばかすを隠すように両手に顔を埋めた。
プラム
「ジミーさん大丈夫ですわ。
心配は要りませんよ」
シルバ
「ほぅ?
流石はルシファンブルク家の長女様だ。
んで?何が心配いらねぇんだ?
こっちはルールも説明してねぇのによぉーー」
ジミー
「は、早くルールを説明してください…
もう残り200秒ですから…」
シルバ
「ぁん??」
ジミー
「ヒェェ!!」
シルバ
「俺の言葉を遮ってんじゃねぇよ!!ぁん?
低い声でボソボソ喋りやがって!!
テメェに言われなくても今からすんだよ!!
黙って聞いてられねぇんなら…削ぐぞ!!
耳!!!!!!!」
ジミー
「ミミィィ!!!!」
プラム
「シルバさん!!」
N1
するとシルバは深くため息をついた。
シルバ
「ハァ…ルールは至ってシンプル。」
プラム
「シンプル??」
シルバ
「そう!!ズバリ!!かくれんぼだ!!
日が暮れるまでに
俺から逃げる事ができれば合格。
だが、俺はそんな甘くねぇ。
簡単に見つけ出す。
だから長く逃げ切れた上位6名が秋の本戦へと
進む事ができんだ。」
ジミー
「私…隠れるのは…と、得意」
プラム
「シルバさんから隠れるなんて無理ですわ。
私は何度もジジ達が
捕まるのを見てきてますから」
シルバ
「まぁ、それだけじゃあ
つまらねーだろ?
捕まるってのは俺に拘束されるって事だ。
今日この日のために
麻の縄をたんまり用意した!!」
N1
シルバはそう言うと
近くに置いてあった巨大なリュックから
縄を取り出した。
シルバ
「それと言い忘れてたぜ。
ボーナスをやる。
俺に1度でも攻撃を加える事ができたら
まぁ、万に一つもありえねぇが
1ポイントやるよ。
例え上位6名に残ってもそれ以下に
ポイント保有者がいた場合
そいつが6位の奴と交代だ。
な?おもしれぇだろ??」
ジミー
「ポ、ポイント保有者が有利なのね…
ニッヒッヒッ」
プラム
「シルバさんらしいですわね。」
シルバ
「おっと…使える奴がいたら釘刺しとくが
刃術並びに殺しは禁止だ。
それが発覚次第、即失格。
万が一事故で死んだ場合も
関わった奴ら全員失格。
内容によっちゃあ退学もあり得る。
それ以外は自由だ。」
ジミー
「殺すなんて…あり得ないですよ」
シルバ
「例年、無くも無いから言ってんだよ」
ジミー
「ヒェェ」
シルバ
「それと… パチンッ」
N1
シルバは指を鳴らすと
デルフィ
「ラブリィ!!!
手を上げるアキレイ様の三角筋が素敵!!
キャーーー!!ジジ様に今、 睨 まれ…って
あれ!?!?ここはどこ!?!?」
N1
そこにグニュンっと空間系刃術で現れたのは
長いモスグリーンの髪を巻いた厚化粧の 女生徒
A-1st所属
デルフィ=インダダークだった。
シルバ
「今回は各1stの入学試験
最下位だった奴の交換留学も行う。
そしてB-1stに選ばれたのはコイツだ。
おい、自己紹介しろ」
デルフィ
「え、え!?え!?!?
シルバ先生!!!って事はここは…
C-1st!?!?」
シルバ
「自己紹介しろっつってんだよ」
デルフィ
「そして、そんなアタシはデルフィ!!
先祖代々、ナーベルク士官学校を卒業した
由緒ただしい普通の家庭の一人娘。
アタシを見れば男は
みんなお茶の子さいさい!!
すぐに何でも奢ってくれるわ!!
オーホッホッホッ!!!!」
ジミー
「ヒェェ」
デルフィ
「あら??
よく見たらシケたガリ勉男子ばっかりね!!
ウチと比べたら華が無いわ!!
こういうのは…
イケてないグループっていうのかしら…
ちなみに余談だけど…アタシ
QWeのフォロワー"五万人"」
ジミー
「ヒィィ!!!!」
デルフィ
「それでここはどこかしら?
待って!?このイケてる輝きは!!
まさか!!プラム様!?!?!?
ってここは…B-1st!?」
N1
すかさずプラムが背後に映る様に
Mangoroid で自撮りを始めた。
デルフィ
「はい!!ラブリィ今日も沢山ゲット!!
たまたま映ったプラム様の加工は無しーー」
シルバ
「って事で残り100秒。
100秒経ったら
俺はテメェらを追いかける。」
デルフィ
「え!?」
シルバ
「覚悟いいか?
裏切りも手ぇ組むのもテメェらの自由だ!!
チーム対抗刃術バトルロワイヤル
代表選抜戦…はじめ!!!!!」
N1
その瞬間、B-1stの面々が
一気に走り出した。
デルフィ
「え!?え!?え!?」
プラム
「来て下さい。」
デルフィ
「えーーーー!?!?」
N1
プラムはデルフィの耳元で囁くと
手を引っ張って走り出した。
デルフィ
「ど、どういう事!?!?」
シルバ
「ケッ。プラムの奴もう見定めたのか…
相変わらず狡賢な女だぜ。」
デルフィ
「ちょっ!!ちょっと!?」
シルバ
「でもよ。ここは方位が狂った"試しの森"。
俺以外は把握さえできねえ密林世界だ。
見せてみろプラム。
六大貴族の底意地をよ。」
N1
シルバは腕組みをしてカメラ目線でドヤッと
言い放った。
そう、この代表選抜戦の模様は国内大手である
映像配信サイト"ルシットミルックス"
通称"M e l u "で生中継されていたからだ。
シルバ
「さてと…」
N1
シルバはスクリーン上に
映し出された映像を眺めた。
シルバ
「うちの生徒はエロディウムが
担当してるんだっけな…
確か… 魔獣生物 の卵探しだっけか?
おーおーおー。逃げ回ってんなぁーー。
喰われねぇといいけどよ。
んで…アザミん所はD-1st相手に
爆撃式千本ノック。
技術者目指してる奴らも不憫なこった。
だが…1番やべーのはオンジュームの所か…
平和を謳う奴の言葉に
惑わされんじゃねぇぞお前ぇら」
N1
ーー残り20秒ーー
シルバは試しの森を見つめ
拳をパキパキと鳴らしながら
アキレス腱をグッと伸ばした。
シルバ
「5…4…3…2…1
行くぜ!!!!!!!!」
N1
ーープラムサイドーー
試しの森を駆け抜けていくデルフィとプラム
デルフィ
「ちょっと!!どういう事!?」
プラム
「だから…話した通り…です」
デルフィ
「代表選抜戦って
アタシA-1stなんですけど!?」
プラム
「入学試験が最下位の貴方は…B-1stで
選抜戦を…受ける。という事です」
デルフィ
「アタシが最下位!?!?
ちょっとプラム様!!
ギリギリで受かったアタシって…
映えると思いません!?
オーッホッホッホ!!」
プラム
「も、もういいですわ。
それよりもここら辺で…隠れましょう。」
デルフィ
「隠れる!?」
プラム
「話しを聞いて…いないのは
話してみて…分かりました。
そういう性分なのも…
理解できました。」
N1
プラムは立ち止まり息を整えると
辺りを見渡した。
デルフィ
「隠れるなら木の上なんてどうかしら?」
プラム
「ダメです。シルバさんは木から木へ
飛び移りながら移動してきます。」
デルフィ
「猿!!!」
プラム
「アキレイが何度それで捕まって
木に吊るされたか…」
デルフィ
「あのアキレイ様を吊るしたの!?!?」
プラム
「アキレイだけじゃないですわ。
ジジや義忠様、リナリーも
ラナンもクリスもみんな吊るされました。
唯一、吊るされなかったのは私と
アナスタシアだけでした。」
デルフィ
「そ、錚々たるメンツね…」
デルフィ
((キャー!!このアタシが
プラム様と対等に喋ってるぅう!!))
プラム
「体力が有り余るアキレイでさえ逃げ切れずに
見つかる相手です。
試験となれば尚の事でしょう。
さぁ、とりあえずこの茂みの先へ…」
N1
すると、茂みがガサゴソと揺れた。
プラム
「デルフィさん止まって下さい」
デルフィ
「え?」
ジミー
「こ、こんにちわぁ…あ、あのぉ…」
N1
地面からガバッと現れたのはジミーだった。
デルフィ
「ぎゃぁあーーー!!」
プラム
「ジミーさん!!」
デルフィ
「誰よ!!この陰気臭い子!!
今時、三つ編みおさげなんて
骨董品よ!?!?
しかも地面に潜 ってたの!?!?」
ジミー
「わ、私はその…
ジミー=ナスヴェッター=ゼンゼマンです。
れっきとしたB-1stの生徒ですよ?
と、とにかくコチラへ。ニッヒッヒッッ」
デルフィ
「怖っ!!!
ア、アタシ達は遠慮しとくわね!」
プラム
「茂みの揺れはジミーさんの仕掛けですか?」
ジミー
「は、はい。裁縫が得意なので
いつも糸と針とワラ人形を
持ち歩いてるんです。
糸を引っ張ったら…ほら。
茂みが揺れる様にワラ人形を
縫い付けました。」
デルフィ
「裁縫が得意なのは分かるけど
ワラ人形はいらなくない!?!?」
ジミー
「ニッヒッヒッ…」
間
ジミー
「落ち着くんです。」
デルフィ
「怖っ!!!!」
ジミー
「さぁ…どうぞ」
デルフィ
「行かないわよ!!」
プラム
「この試験は上位6名が突破するんです。
チーム対抗刃術バトルロワイヤルは
チームが原則。という事は
個人プレーではなくチームプレーが試される。
自ずとチームを組む様に
仕組まれていると思いませんか?」
デルフィ
「…た、確かにそうかもしれないけど
アタシみたいなイケてる女子が
こんなジミ子と組むなんて
考えたくもないわ!」
プラム
「そんな事を言ってる場合じゃないですわ。
シルバさんの足なら
あと、数分でここを通過します。」
デルフィ
「え!?もうすぐじゃない!!!」
ジミー
「ニッヒッヒッ。
では、プラムさんだけでも
私が作った塹壕へ」
プラム
「この短時間で塹壕を作ったんですか!?」
デルフィ
「塹壕って何よ!!」
N1
塹壕とは
戦闘陣地の一種とされ
敵の銃砲撃から身を守るために
陣地の周りに掘る穴または溝である。
ジミー
「プラムさん…さっき言ってたでしょ?
何度も捕まるのを見た。って。
それって…
隠れてたから見てたんじゃないの?」
プラム
「…そうですわ。」
ジミー
「ニッヒッヒッ…
じゃぁ私と組んだ方がいいですよ。」
プラム
「なるほど…。デルフィさん。
私は塹壕に行きます。」
デルフィ
「プ、プラム様!!」
N1
ジミーはニヒッと笑いながら
自身が掘った簡素な塹壕へと
プラム達を招き入れた。
デルフィ
「せっかくの化粧がヨレちゃうじゃない…」
N1
ジミーが作った塹壕は
人が3人ギリギリ入れる広さで
しゃがんで身を潜 める事ができた。
ジミー
「安心してください。
私…人から隠れるの得意なんです。
ニッヒッヒッヒッ」
デルフィ
「怖っ!!!!
さっきからアンタ不気味過ぎない!?」
プラム
「ジミーさん。良い所に作りましたね。
周りが深い茂みに覆われて
確かにこれでは見えづらいですわ。
どうやって作ったんですか?」
ジミー
「わ、私の得意系統は…」
N1
ジミーは祈木の刀を手に取り
刃汽を込めると
刀身が激しく揺れはじめた。
プラム
「これは…波動系統」
ジミー
「塹壕は祈木の刀で
掘ったんです。ニッヒッヒッ」
プラム
「また珍しい系統変化ですわね。
それにしても…こんな短時間で作れるなんて
掘る事に特化した修行でもしたんですか?」
ジミー
「隠れるのが得意なので…自然と。」
デルフィ
「馴れ初めみたいに言わないでくれる!?」
プラム
「不思議な人ですね。
それでも助かりました。ジミーさん。
あとは…外の様子が塹壕から
見えたら良いんですが…」
デルフィ
「本当!陰気臭い子ね!!
ぁーあ!バッチリお化粧したのに
服も顔も土だらけじゃない!!」
N1
デルフィは
腰に差していた祈木の刀を手に取ると
鏡の様に光を反射させて化粧を直し始めた。
プラム
「デルフィさんは光彩系統なんですね。」
デルフィ
「そうよ!それがどうかしたの?」
N1
プラムは祈木の刀を持つデルフィの手を
グイッと引き寄せた。
デルフィ
「ちょ!ちょっと!!!」
プラム
「外の様子はある程度これで分かります。」
ジミー
「し、しばらくは潜伏できそうですね。」
デルフィ
「プ、プラム様!!アタシ化粧をーー」
ジミー
「シッ!!来ます!!」
N1
するとジミーがデルフィの口を塞いだ。
デルフィ
「何すんのよ!!」
プラム
「お静かに!!」
シルバ
「さぁて… クンクンクン 」
プラム
((まずい…))
シルバ
「ん?どこに隠れてやがる。ヨッと!!!」
N1
木から飛び降りたシルバは
辺りを見渡していた。
塹壕から距離にして
わずか数メートルにシルバは立っていた。
シルバ
「刃汽知覚なら一発だが
教官は禁じられてるからなー。
おい!!!場所は分かってんだよ。
今すぐ出てきたら優しく吊るしてやるぜ?」
ジミー
「ヒェェ!!」
デルフィ
「ちょっと!!ジミ子!!!…あっ!!」
N1
シルバの脅しに声を上げてしまった2人は
咄嗟に自ら口を押さえた。
しかし、プラムはそれに動じなかった。
デルフィ
((えーー!!なんで!?バレないの!?))
シルバ
「見ぃつけた!!!」
N1
シルバは地面を蹴り上げた。
シルバ
「よぉ!!さっきぶりじゃあねぇか!!」
N1
少し離れた木の陰に隠れていた生徒を
ニコニコ笑いながら縄で縛り始めた。
ジミー
「ヒェェ!!!」
プラム
「落ち着いて下さい。
私達はバレていません。」
シルバ
「ワーッハッハッハッ!!
俺から隠れようなんざ
100万年早ぇんだよ!!
よしッ!!次!!!!」
N1
シルバは縛り終わると生徒を担ぎ
颯爽と密林の中に消えていった。
プラム・ジミー・デルフィ
「ふぅーーーーー」
デルフィ
「助かった。」
ジミー
「ど、どういう事でしょうか」
N1
するとプラムは
自身の祈木の刀を見せた。
ジミー
「旋風系統…」
デルフィ
「風?風がどうしたの?プラム様」
プラム
「これはただの風じゃありません。」
デルフィ
「まさか!?刃術!?」
ジミー
「ヒィ!!じ、刃術は禁止されてます!」
プラム
「ウフフ。そうですわね。
でも、これは刃術ではありません。」
N1
そう言って取り出したのは
コルクでフタをされた小指ほどの小瓶だった。
その中には半透明の粉末が入っており
プラムはそれを2人に見せた。
ジミー
「こ、これは…」
プラム
『"沈黙の香"』
デルフィ
「香!?そんなの初めて聞く単語よ!?」
プラム
「はい。私が開発しましたから
初めて聞いて当然ですね。
香つまり香りは
魔草植物から精製した特殊な物なんです。
ほのかに香るミントの様な匂いが
とても、爽やかで特徴的なんですよ?」
デルフィ
「待って待って!!
そもそも魔草植物って!?!?」
N1
魔草植物とは
刃汽、もしくは
特殊な能力を持つ植物の総称である。
魔獣生物 と同じく等級で分かれており
S級・A級の魔草植物は非常に危険とされている。
その実態は未だに不明瞭な点が多く
他の草木にまぎれ、とても見つかりにくい。
なかには擬態する物も多い為
謎に包まれている。
ジミー
「聞いたことないです。」
デルフィ
「アタシもよ!初耳だわ!」
プラム
「 魔獣生物 ばかり注目されますが
魔草植物も同じくらい危険で
とても有用性が高いんですよ。
現にこの"沈黙の香"は
音に擬態する擬音捩花 から
作り出した香で
嗅いだ者は周囲30センチの音を
無意識に強く集約してしまうんです。
つまり遮音剋刃と同じ効果が得られます。」
デルフィ
「す、凄い…流石はプラム様!!」
ジミー
「あのシルバ先生も騙せちゃうなんて…
ニッヒッヒッ…凄すぎる」
プラム
「ウフフ。
まだ実験段階で効果は長続きしませんし
公にも発表できません。
しかし、魔草植物に関する論文を公表して
図鑑を完成させた暁には
より魔草植物の認知を広め
種の保存をしていきたいと
私は思っております。
でも…道のりはまだまだ遠いですね。」
N1
小瓶を眺めながら夢を語るプラムを見て
ジミーは複雑な想いを吐露した。
ジミー
「うらやましい…」
プラム
「うらやましい?」
ジミー
「プラムさんは…夢があるんですね。」
プラム
「あら?ジミーさんには夢がなくって?」
ジミー
「私は…その…あの…そんな大層な夢なんて」
デルフィ
「ジミ子のクセに何もったいぶってんのよ。」
ジミー
「別に…もったいぶってなんか…」
デルフィ
「アタシはね。親も兄弟も戦争で死んだけど
いつか千刃花に入って
殺された家族の仇を取りたいって思ってる。
それでインダダーク家を復興するの。
1人じゃさ…寂しいからね。」
プラム
「…デルフィさん。」
ジミー
「ぜ、全然、
普通の一般家庭の一人娘じゃ...ない」
デルフィ
「うっさいわね!!
ほら、アタシが言ったんだから
ジミ子も言いなさいよ!!」
ジミー
「わ、私は…」
デルフィ
「私は?」
プラム
「いいんですよ。ジミーさん。
ご無理なさらずに。」
ジミー
「アキレイさんと結婚したい。
ニッヒッヒッ」
デルフィ
「ぇえええええ!!!!!!!!」
プラム
「ウフフウフフッ!!!
アキレイ?と?ウフフッ」
デルフィ
「アンタみたいなジミ子が
あんな眩しくてスタイル良くて
筋肉質で勇ましいアキレイ様と結婚なんて
天地がひっくり返って
シャッフルしても無理よ!」
N1
するとジミーはプラムの手をとった。
ジミー
「プラムさん!
どうすれば結婚できますかね?
わ、私これでも裁縫は得意なんです!!」
デルフィ
「知ってるわよ!!」
ジミー
「見てくださいこのワラ人形」
プラム
「え?」
N1
そこには"愛喜恋良 "と書かれていた。
ジミー
「ニッヒッヒッ」
デルフィ
「怖っ!!
縁起悪いからやめなさいよ!!」
プラム
「ア、アキレイは恋とかそういうのには
無頓着ですから…
ど、どうでしょう」
デルフィ
「アンタさっきアタシ達が
アキレイ様の話ししてたから
出てきたんでしょ!!!」
ジミー
「はい。」
デルフィ
「この正直者!!!」
プラム
「それに妹のリナリーの事が
大好きですし…」
デルフィ
「え!?アキレイ様ってシスコン!?
何よそれ好物!!!」
ジミー
「そ、そうですよね。
リナリアさんがいる限り
私になんて振り向いてくれないですよね。」
デルフィ
「待って待って!
リナリア様がいなかったら
アンタに振り向く原理を説明して!」
プラム
「お、落ち着いて下さいジミーさん。
アキレイは簡単に人を悪く見たりしないです。
一度お会いしたらいかがでしょうか?」
デルフィ
「プラム様!!アタシも是非!!
アタシはツバキ様がーー」
プラム
「ダメです。」
デルフィ
「懇意にしてるジジ様にーー」
プラム
「リナリーがいます」
デルフィ
「気に入られてるラナンキュラス様がーー」
プラム
「いけません。もて遊ばれます。」
デルフィ
「最近仲良くしてるメガネでもーー」
プラム
「構いません。」
デルフィ
「よっしゃぁぁあ!!!」
プラム
「ここを勝ち抜けば
アキレイとジミーさん
ルビウスとデルフィさんと
晩餐会を致しましょう。」
ジミー
「ほ、本当ですか!?」
プラム
「ぇえ。ですから
まずは生き残りましょう。
これから私達はチームです。
早速、作戦を立てていきましょう」
ジミー・デルフィ
「はい!!!!!!!」
N1
人心掌握術
プラムが最も得意とする分野である。
劣等感を持つ者に対して
自分の夢や秘密を共有させて仲間意識を持たせ
相手が望む欲求を満たす事により
人をコントロールする。
更にこの時、プラムはより効果を高める為に
秘密裏に"陶酔の香"を使用し
意識的な感覚をマヒさせていた。
ツバキ達が懸念していたのは
プラムのコントロール化に置かれた人々が
自分の為と思いつつプラムの為に
無茶をしてしまう事であった。
間
N1
ーーシルバサイドーー
シルバは周囲の木にB-1stの生徒達を
吊し上げていた。
シルバ
「13人だな!!!
壮観!壮観!!
ったくテメェらまだまだだな!!
ワーッハッハッハッ!!!
さて…とっ」
N1
するとシルバの上から
1人の生徒が祈木の刀を振り下ろした。
シルバ
「はぁ。もっと上手くできねぇのかよ。」
N1
ヒョイっと避けたシルバは
その生徒を蹴り飛ばした。
シルバ
「あと8人。
一発入れば1ポイントだが
俺相手じゃあ無理だわな。
その気概の良さだけは買ってやるよ。
逆さ吊りにしねぇだけ有難く思え。
昔ジジ達は逆さに吊ってやったんだぜ?」
N1
口に布を押し込んでいるせいで
何も言えない生徒達は唸りながら
ユラユラ揺れる事しかできなかった。
シルバ
「詰め物ぐれぇで
ゴタゴタ言ってんじゃあねぇよ!!
これが戦争だったらテメェら捕虜になって
拷問受けてんだぜ???
それとも何か?受けてぇ。ってんなら
やってやろうか?ぁん???」
N1
シルバがそういうと
ピタリと生徒達は静かになった。
シルバ
「物分かりが良いじゃあねぇか。
とりあえずB-1st 20人は必ず吊るす。
その中の上位6名は秋の本戦に行く。
でもな。
テメェらの夢は潰えた訳じゃあねぇ。
帰郷祭で得するのは
優勝したチームだけだ。
後は、半年に一回のテストや日々の授業を
真面目に受ければ順当に進級できる。
そもそも1stになれたお前らだ。
普通の連中とは違うエリートって事を
忘れるんじゃあねぇぜ。
ぜってぇ、ここで腐るんじゃあねぇぞ。」
N1
シルバの飛ばしたゲキは
B-1stの生徒達の心を打った。
シルバ
「さて。」
N1
シルバは木に登り周りを見渡した。
シルバ
((流石だなプラム。
テメェらだけは
痕跡1つ残してねぇ))
シルバ
「他の連中を捕まえて
とっとと終わらせるか。
あ、そうだ…良い事、思い付いちまったぜ」
N1
ーープラムサイドーー
再びプラム達は走っていた。
ジミー
「は、早いですよぉお」
プラム
「デルフィ…さん!!」
デルフィ
「ちょっと!!!そんな動きじゃ
すぐに追いつかれてオジャンよ?」
プラム
「流石はA-1stですわね。
息も切れないなんて…」
ジミー
「とんでもない…スタミナです」
デルフィ
「とんでもないスタイル?」
ジミー
「い、言ってません!!」
デルフィ
「言いなさいよ!!」
プラム
「ここら辺で…良いでしょう。」
N1
プラムが立ち止まった場所は
密林のど真ん中だった。
デルフィ
「さっきの場所にずっと居たらダメなの!?」
プラム
「ダメですわ。
ここは試しの森と言って
磁場が狂った特殊な森ですの。
なので一つの起点を作って
そこを基準にシルバさんは
移動するはずですわ。
あそこを通ったという事は
起点に繋がるルートという事。
何度も通る度に香に気付かれてしまう。
だから移動したんです。
ジミーさん。
"愛喜恋良"は何体お持ちですか?」
ジミー
「ニッヒッヒッ... 4 」
デルフィ
「なんでそんな持ってんのよ!!」
ジミー
「不吉な数字だから…」
デルフィ
「いや逆に理由が知りたい!!」
プラム
「理由はともかく糸を使ってあの罠をーーー」
ジミー
「ギッ!!」
デルフィ
「ジミ子!!!!」
配役変更一覧
----------------------------
N1▶︎▶︎▶︎范=鳥梅兼任
シルバ▶︎▶︎▶︎N2 兼任
----------------------------
N2
ジミーは密林から現れた 女生徒 に
蹴り飛ばされてしまった。
ウーメイ
「こうして…あなたとーー」
プラム
「何の真似でしょうか」
N2
そこに現れたのは
B-1stの生徒であり
長い黒髪を頭の上で結った下級貴族
范家の長女だった。
デルフィ
「ちょっと!!アンタ何してんのよ!!
クラスメートでしょ!?!?」
ウーメイ
「私は捕まった最後の7人目。
だけど見逃して貰った。」
ジミー
「グッ…見逃すってそんなの有りですか?」
デルフィ
「そ、そうよ!!!」
ウーメイ
「何とでも言え。
私は生き残りたいんだ。
だからシルバ先生と取引きをした。」
デルフィ
「そんな!!」
プラム
「いいえ。間違っておりません。
裏切りは自由とシルバさんは言ってました。」
ジミー
「生徒同士で争わせるなんて
ニッヒッヒッ。面白い」
ウーメイ
「私を含む7人が今この試しの森にいる。
私が1人でも捕まえる事ができれば
お前は合格だって約束してくれた。
だから…捕まって。手荒な真似はしたくない」
プラム
「ウフフ。まるで簡単に捕まえられるとでも
言いたげですわね。」
ウーメイ
「プラム様。申し訳…ありません!!」
デルフィ
「早い!!」
N2
ウーメイはジミーを狙い
祈木の刀で斬りかかった。
デルフィ
「ジミ子!!」
N2
しかしジミーはその場から動かなかった。
デルフィ
「アンタ何してんの!!逃げなって!!」
ウーメイ
「終わり」
ジミー
「ニッヒッ」
ウーメイ
「何!?」
N2
ジミーは祈木の刀を地面に刺し
振動により地面を柔らかくしていた。
ウーメイ
「足がハマっーーーー」
デルフィ
「ナイスよジミ子!!」
ジミー
「私、罠を張るのも得意なんです。」
デルフィ
「もらった!!」
ウーメイ
「刀身が見えない!!光彩系統か!!」
デルフィ
「オーホッホッホ!!!…ホッホッ??」
ジミー
「何…これ」
デルフィ
「身体が…」
ジミー
「動か…ない」
N2
ウーメイの祈木の刀は
緑色にポコポコと泡立っていた。
ジミー
「ニッヒッヒッ…これは…薬毒系統…神経毒」
ウーメイ・プラム
「かかった。」
ウーメイ
「何!?」
N2
プラムはウーメイの首筋に
祈木の刀を向けていた。
プラム
『"解毒の香"』
ウーメイ
「…何…だと?」
プラム
「お二人ともお疲れ様でした。」
デルフィ・ジミー
「え?」
プラム
「お陰でどんな能力か分かりましたし
最小限の被害でチェックメイトですわ。」
ウーメイ
「…そんな」
プラム
「浅はか。
シルバさんの口車に乗せられて
私達を狙ってくるなんて」
ウーメイ
「プ…プラム様…ご慈悲を」
プラム
「ご慈悲?
シルバさんから既に貰っていなくって?
范=鳥梅。」
ジミー
「ヒィッ」
N2
プラムはにっこり笑うと
ウーメイの首めがけて
祈木の刀を振り下ろした。
ウーメイ
「どうか…お許しください」
デルフィ
「プラム様!!!!」
シルバ
「おっと…プラム。ヤりすぎだ。」
プラム・ジミー・デルフィ
「!?!?!?!?」
N1
首に到達する前にシルバが祈木の刀を
足で受け止めた。
シルバ
「ったく。ウーメイの奴
泣きながら失神してんじゃあねぇか。
そんなに辛い事でも言ったのか?」
プラム
「何の事ですか?
それよりもシルバさん。
見逃すなんて安い真似
似合いませんよ」
シルバ
「こちとら視聴率がかかってるもんでねぇ」
デルフィ
「視聴率!?」
シルバ
「気にすんな。
ここの試験は俺の独壇場だからよ。」
デルフィ
「シルバ先生…」
シルバ
「んだよ。だから気にすんなってーー何!?」
N1
デルフィはシルバが振り向いた瞬間
祈木の刀から強烈な光を放った。
シルバ
「チッ!!!!」
N1
更にジミーは祈木の刀で
柔らかくなった地面を深く抉った。
シルバ
((足を取られた!!!
范の時と同じ手かよ!!))
シルバ
「やるじゃあねぇか!!!!
同じ事を2回するバカとは
生憎思ってなくてな!!」
N1
しかしシルバが目を開けた時
3人はバラバラの方向へ逃げていった。
シルバ
「俺が追うのは…視聴率が上がる方に
決まってんだろうが!!!!!」
N1
シルバはプラムを追って走り出した。
シルバ
「逃すかよ!!!」
N1
更に速度を上げるシルバは
すぐ後ろまで迫っていた。
プラム
「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…
ッッ!?行き止まり!?」
N1
密林の中を逃げるプラムだったが
開けた視界に広がるのは
凄まじいほどの絶壁だった。
シルバ
「チョロまかと逃げ回りやがって…
なぁ!?プラム!!!」
プラム
「ハァ…ハァ
息…一つ…乱れて…ないのですね」
N1
ゆっくりと間合いを詰めるシルバに対して
プラムは後退りしていた。
シルバ
「当たり前ぇだろうが。
一体、誰にモノ言ってんだよ。
プラム。お前はよくやった。
小さい頃からジジやツバキ達と
遊んでただけはある。だが…」
プラム
「だが…なんですの?」
シルバ
「お前にはアイツらと比べて
大きな欠点がある。」
プラム
「欠点…ですか」
シルバ
「そうだ。それは体力だ。
ここぞって時にスタミナが切れてたんじゃあ
すぐ死ぬぜ??
千刃花には頭脳明晰ってだけじゃあ
入隊なんてできねぇんだよ。
そんくらい…お前だって分かってんだろ?」
プラム
「そんなこと…シルバさんに言われなくても
分かっていますわ!!!」
シルバ
「だからここで俺が終わらせてやるってんだ」
プラム
「だからこそ私はーーーー」
シルバ
「じゃあな」
プラム
「ウフフッ
シルバさんも…お気をつけて。」
シルバ
「ぁん!?!?」
N1
突如、デルフィとジミーが閃光の中から
シルバの上空に現れた。
シルバ
「ッッ!?」
デルフィ
「オーホッホッホ!!!」
ジミー
「ニッヒッヒッ!!!」
シルバ
「グラサンしてる俺に光が効くかよ!!
デルフィ=インーーーー」
プラム
「" 愛喜恋良 "!!!」
ジミー
「ニヒッ!!!」
N1
ジミーはワラ人形を
シルバに向かって叩きつけた。
シルバ
「な、何だこりゃ!?アキレイ!?」
N1
そしてシルバが気を取られている間に
プラムは素早く祈木の刀で
強風を起こすとシルバの身体は半歩引いた。
シルバ
「グッ!!!」
デルフィ
「ジミ子!!」
N1
その瞬間、デルフィは更に強烈な閃光で
目を眩ませた。
シルバ
「眩しっ!!
光度を上げやがったのか!!」
N1
サングラスが減光出来ないほどの光を
デルフィが作り出し
シルバが目を瞑った一瞬のスキをついたジミーが
祈木の刀で地面を強く叩いた。
ジミー
「ニヒッ」
シルバ
「何!?」
N1
ドォオォオンッと大きな音を立てて
5メートルほどの落とし穴にシルバが落ちた。
シルバ
「チッ。」
N1
すると穴の外から3人の喜ぶ声が聞こえた。
プラム
「2人とも流石ですわ!!」
デルフィ
「え!?プラム様が褒めてくれた!?!?
ま、まぁアタシが作り出した光っていうか
アタシ自身が眩し過ぎるから
仕方ないわよね!!!オーホッホッホ!!」
ジミー
「わ、私の作った穴が凄いんです。」
デルフィ
「アンタねぇ!いくらなんでも深すぎよ!!」
ジミー
「だ、大丈夫ですか?シルバ先生…」
シルバ
「クックックッ…ワーッハッハッハッ!!
こりゃあたまげたぜ!!!」
デルフィ・ジミー
「ん???」
N1
突然笑い出すシルバを見て
顔を見合わせるデルフィとジミー
すると、プラムが顔を出した。
プラム
「だからこそ私は
頭脳明晰だけで
千刃花に入隊してみせます。」
シルバ
「そうかよ。
で?どうやったんだ?
試しの森は方位も方向も
感覚じゃあ分からなくなるハズだが
初めて来るテメェらが分かるわけねぇよな?」
N1
すると3人は顔を見合わせて笑った。
プラム
「フフッ」
デルフィ
「オーホッホッホ!!」
ジミー
「ニヒッヒッヒッ」
間
ジミー
「知りません。」
デルフィ
「プラム様はよく分からないけど
凄く良い香りなのよ!!
そして何よりも凄い!!なんか凄い!!
その次にこのアタシ!!
オーホッホッホ!!!!!」
プラム
「作戦勝ちですよ。」
シルバ
「ケッ
誘き寄せられたのは俺の方ってか。
それで?試しの森で何したら
一箇所に集まれんだよ。
木にでも傷を付ければ俺にだって分かる。
木の実でも落としたってそうだ。」
N1
すると意地悪い顔をしたプラムは
ニコリと笑った。
プラム
「強いて言うなら…"魅惑の香"ですかね?」
シルバ
「なんじゃそりゃあ。
ハァ…全員を吊るして終わりたかったのによぉ
日が暮れちまったぜ。ヨッと」
N1
シルバは跳躍すると
簡単に穴から抜け出した。
ジミー
「ヒィッ!!!」
デルフィ
「…嘘!!」
シルバ
「ぁーあ。汚れちまったじゃあねぇか!!」
N1
そう言ってシルバはプラム達を見た。
シルバ
「まぁ、テメェらほどじゃあねぇか。」
プラム
「ぇえ。」
シルバ
「んじゃあ…
ジミー=ナスヴェッター=ゼンゼマン!!
デルフィ=インダダーク!!
そして!!!!
プラム=クラーク=ルシファンブルク!!
各3名に1ポイントずつ進呈!!!!
並びに!!
B-1st代表に任命する!」
デルフィ
「当たり前ですわ!!オーホッホッホ!!」
ジミー
「ようやく…会えるね…アキレイ君
ニヒッヒッヒッ」
プラム
「さて、帰ったら晩餐会の事
知らせなくては、いけませんね。」
ジミー
「ニヒッヒッヒッ」
デルフィ
「アンタ…さっきから怖いのよ」
ジミー
「プラムさん…惚れ薬って作れます?」
デルフィ
「ちょっとジミ子!!何に使うつもりよ!」
ジミー
「それは…ねぇ?ニヒッヒッヒッ」
プラム
「私には必要ないので
作りませんし作り方も知りません。」
ジミー
「…" 愛喜恋良 "が可哀想」
デルフィ
「どういう基準で!?」
ジミー
「い、いつだって基準は…」
間
ジミー
「私」
デルフィ
「怖っ!!」
プラム
「あらあら、もう仲良くなられたんですね。」
デルフィ
「べ、別に仲良くしてる…
わけじゃないんだからね!!
そ、そんな事よりもプラム様!
香って有りなんですか?」
プラム
「忘却の香」
ジミー デルフィ
「ヒェェ!!」 「えぇ!?」
プラム
「なーんてものは、有りません。
香はただの粉香水ですわ」
デルフィ
「嘘おっしゃい!!」
N1
去っていく3人の背中を見たシルバは
深くため息をついた。
シルバ
「ハァー。プラムの奴
帰り道も分かってるって事は
ここの地図も頭に入ってたのかよ。
ケッ。ちっとナメてたなぁ…
人心掌握に長けた頭脳明晰の才女…か。
誰かさんにそっくりじゃあねぇかよ。」
デルフィ
「ねぇねぇ!!
今からパーッとアタシの部屋で
打ち上げしない????」
プラム
「遠慮します。」
ジミー
「い、嫌だ」
デルフィ
「何でよ!!!
ほら!!プラム様!!
記念に1枚撮りましょうよ!!
はい、ラブリィ!!!」
シルバ
「ハァ…ったく
とんでもねぇ奴もいたもんだ」
デルフィ
「って!!ちょっと!!!!
なんでアンタが映ってんのよジミ子!!」
プラム
「ウフフッ。」
ジミー
「ニヒッ」
間
シルバ
「ジミー=ナスヴェッター=ゼンゼマン。
アイツ…危険だな。」
N 1
----------------------------
作者 REN’sJackson
ー千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜ー
ナーベルク士官学校篇
Vol.7 『 隠 × 鬼』
※音楽がある場合終わるまで待つ
----------------------------
N2
おまけ
ウーメイ
私があの方と出会ったのは
梅の香りが微風に乗る
雲一つない晴れた日だった。
"皇帝の盾"ルシファンブルク家の姫君
プラム=クラーク=ルシファンブルク様。
下級貴族である范家は
ルシファンブルク家との結び付きが強く
行事などで幼い頃はよく顔を合わせていた。
しかし、言葉を交わすなど有り得なかった。
私はいつも遠くでプラム様を見ていた。
まるでプラム様の成長を
私は見守っているようだった。
配役変更一覧
----------------------------
デルフィ▶︎▶︎▶︎范 = 蘋果
----------------------------
ウーメイ
「お母様。」
N2
ウーメイは母であるピンゴァに
呼び出されていた。
その真剣な顔付きには
いつもの厳しさが、より増して見えた。
ピンゴァ
「ウーメイ。
プラム様がどこに行ったか知らないかしら」
ウーメイ
「どう言う事ですか??」
ピンゴァ
「どうやら…
まだ帰っていないみたいなの。
ジジ様に聞いても知らないの一点張りで」
ウーメイ
「知りません」
ピンゴァ
「…そう。
来年、士官学校も控えているのに
お怪我でもなさったら大変です。
私達も探しに行かねば…」
ウーメイ
本当は知っていた。
でも言えなかった。
六大貴族ともなると
四六時中、執事に囲まれて過ごす。
それを嫌気に思ったプラム様は
時折、魔進 を乗り継いで
セントラルを囲むアーテル側の樹海へと
1人で出かけている。
もちろん、ジジ様も知っていたが
興味がない御様子だった。
ピンゴァ
「ほら、支度なさい。
ルシファンブルク家に何かあったら大変だわ」
ウーメイ
「…はい」
プラム
私は嫌だった。
どこにいても誰かの視線に晒され
息が詰まるような毎日に。
かと言ってジジの様に反発して折檻を
受けるのも嫌だった。
女に生まれた私は更に厳重に護られ
息をつく暇もなかった。
だけど、この子だけは…この子だけは違った。
堅苦しい言葉も表情もいらない。
この子だけが私の自由だった。
N2
セントラル樹海アーテル付近にて
プラム
「お待たせ!!
ごめんね。1週間も会いに来れなくて」
N2
そう言ってしゃがむプラムは
自分の手のひらに綿毛をフワリと乗せた。
プラム
「可愛いお声を
このプラムにお聴かせくださいなぁ?」
N2
プラムがそう言うと
綿毛をクルッと回転させ
光り輝く白と淡い花のドレスを纏った妖精が
カレンな姿を現した。
プラム
「うわぁ!!スウィンピー!!こんにちわ!」
配役変更一覧
----------------------------
ジミー▶︎▶︎▶︎スウィンピー
----------------------------
スウィンピー
「キューーン !!」
プラム
「くすぐったいよぉ!!」
N2
頭についた3枚の葉を回転させ飛行すると
スウィンピーはプラムに飛びつき
頬づりをした。
スウィンピー
「キューン!!キューン!!」
プラム
「ごめんねぇ、寂しかったでしょ??」
スウィンピー
「キューン…」
プラム
「また短い時間だけど
色んなこと教えてよ!!」
N2
そう言うとスウィンピーは
様々な木々の前を飛び奥の花の前で止まった。
プラム
「これは何??」
スウィンピー
「キューン!!キュン!!…キューン」
プラム
「え!?分かんないよ。」
N2
するとスウィンピーは自分の首を絞めて
グッタリするジェスチャーを始めた。
プラム
「え!?死んじゃうってこと!?」
スウィンピー
「キューン!!キューン!!」
プラム
「ちょっと待っててね。
えーっと…」
N2
プラムは花の図鑑を持ち出して
ペラペラとめくっていた。
プラム
「あ、これね!!
エンジェルトランペット!?
この白い花が??
猛毒で幻覚作用があるのね…」
スウィンピー
「キュキューン!!」
プラム
「ありがとう!!
でも…スウィンピー。
本当に知りたいのは魔草植物なんだけど
また教えて欲しいなー!!」
スウィンピー
「キューンキュキューン!!」
プラム
「怒ってる…のかな?
それとも反対してるのかな!?
でも…魔草植物の事聞いても
誰も知らないんだもん。
ブルダニア家のランタナ卿なら
知ってるかもしれないけど…」
N2
寂しげな顔を見せるプラムに
スウィンピーはクルクルと回って
両手を上げた。
スウィンピー
「キューン…」
プラム
「教えてくれるの??」
スウィンピー
「キューンキューン!!」
N2
スウィンピーが案内したのは崖だった。
プラム
「アレは何??この音は…水の音…滝!?
裏には滝があるの??」
スウィンピー
「キュキュキューンキュキューン!」
プラム
「うーん。わかんないよー」
N2
するとスウィンピーは
口笛をピィーッと吹いた。
プラム
「わぁ!!」
N2
突如、崖から一気に青い花が咲き
滝の音も静まった。
更にプラムに手を叩く様にジェスチャーすると
再び青い花は消え、やまびこの様に
手を叩いた音が反響していた。
プラム
「凄い!!!!どう言う事なの!?!?」
N2
それからプラムは様々な音を出して見たが
音だけ真似をされ
花の姿には変わらなかった。
しかし、スウィンピーが口笛を吹くと
青い花が次々と咲いた。
プラム
「スウィンピーの言う事なら
聞いてくれるのね。
これってもしかして…魔草植物?」
スウィンピー
「キュン!!!」
プラム
「ちょっと待っててね。
今日もこれを持ってきたの。」
N2
プラムは文字盤を取り出して
スウィンピーに向けた。
プラム
「お名前を教えて欲しい。
この魔草植物の花の」
N2
するとスウィンピーは
一文字一文字を踊る様に踏み
最後にはお辞儀をした。
プラム
「パチパチパチパチ
スウィンピー!!とっても素敵!!
いつ見ても素敵なステップね!
それにこの花は…
擬音捩花って言うのね!
ありがとう!!!
それで、どんな能力があるのかしら?」
ウーメイ
「離れて!!!!」
プラム
「え!?…あなたは…」
N
ウーメイの声が聞こえると
スウィンピーは綿毛に戻ってしまった。
プラム
「…何しに来たのですか?」
ウーメイ
「その 魔獣生物 から離れて下さい。」
プラム
「 魔獣生物 ?
何の事でしょうか?」
ウーメイ
「今見えた妖精型の 魔獣生物 です。」
N2
そして、そこにピンゴァが現れた。
プラム
「ッッ!? ウーメイ…あなた。」
ピンゴァ
「プラム様!!
穢らわしいそいつは
人語を理解していました。
間違いなくA級 魔獣生物 です。
危険ですから!!さぁ、こちらへ。
全く!!!!
こんな事になっていたなんて
カシャバ様とノスポーラ様が聞いたら…
ぁあ!!悍ましい!!」
プラム
「何の事をおっしゃっているか
分かりかねますピンゴァ様。
私が 魔獣生物 と?」
ピンゴァ
「今、この目で見ましたよ!!」
プラム
「私が話していたのは
この綿毛です。
最近、疲れていて…
1人になりたかったんです。」
ピンゴァ
「このピンゴァ。
ジジ様に何度騙され痛い目を見たか。
プラム様。私は騙されません。
確かに 魔獣生物 でした!!」
プラム
「 魔獣生物 ?
そんなものどこにいるの?
私には見えませんけど…
ウーメイ。あなたにはどう映ったの?
プラムの目を見て答えなさい」
ウーメイ
「そ、それは…」
ピンゴァ
「んまぁ!!カシャバ様譲りの気迫!!
でも、私には意味のない事よ。
本物はもっと凄いんですから!!!」
プラム
「知っていますとも!!!
私の父なのですから!!!」
N2
すると、迎えの魔進 が見えた。
プラム
「そんな…お母様を呼んだんですか!?」
ピンゴァ
「当然です!!
お父上じゃないだけ
良かったではありませんか!」
プラム
「退いて…」
N2
プラムは涙目になりながらにっこり笑うと
ウーメイとピンゴァを通り過ぎた。
そして、プラムは家に帰ると
樹海へと行くことを禁じられた。
後日、カシャバの要請により
千刃花の手によって
魔獣生物 討伐の編成部隊が組まれた。
討伐の一報を聞いたプラムは
一晩中、泣き崩れたという。
ウーメイ
出会ってから10年余り
最初で最後のプラム様と交わした言葉は
私の中で史上最低の出来事だ。
でも、あの時…少しだけ嬉しかった。
プラム様が私の名前を知っていたから。
人は当然と言うかも知れないけれど
私にとって泣いて喜ぶほど嬉しい事だった。
ただ…それだけに悲しかった。
本当は、もっと優しさに溢れて
いつもの様に気高い声で
私の名を呼んで欲しかった。
あなたによく似た…私のこの名を。
N2
ーーそして現在ーー
試しの森にて相見える過去の因縁
プラム
「お陰でどんな能力か分かりましたし
最小限の被害でチェックメイトですわ。」
ウーメイ
「…そんな」
プラム
「浅はか。
シルバさんの口車に乗せられて
私達を狙ってくるなんて」
ウーメイ
「プ…プラム様…ご慈悲を」
プラム
「ご慈悲?
シルバさんから既に貰っていなくって?
范=鳥梅。」
N2
プラムはにっこり笑うと
ウーメイの首めがけて
祈木の刀を振り下ろした。
ウーメイ
「どうか…お許しください」
(完)
ぜひ、このおまけや
シルバの一言を意識して
頭から読んでみてくださいね。
考察のしがいがあると思います。
そして
バトル、笑い、感動が詰まったVol.7を
読んでくれてありがとう。
プラム大活躍の回だったでしょ?
こんなにプラムを掘り下げられる日が
来るとは到底思えなかったね!!
長く連載してると決まった設定をいつ出せるか
進み具合によって調整するのが難しい。
狙って出せた事はあまりないね。
きっと現代のプラムは
もっと強くなってるでしょう!!
楽しみに再登場を待っててな!!
では、次はVol.8でお会いしましょう!!




