Vol.4 異×種
最近、ヤングジャンプで
連載してるキングダムに再びハマりました!!
電子書籍派なJacksonですが一応60巻までは持ってたので
残りをネットでポチッと購入。
なんと64巻までありました!!凄いなぁ。
長期連載なのに熱が冷めやらない!!
アニメもシーズン4へ突入して
激闘を繰り広げられていますが
あんなに鳥肌の立つ マンガは他にございません!!
泣く!!しかも悲しみじゃないんだよなぁ。
心から湧き上がる熱さで泣ける!!
本当に素晴らしい作品です。
千刃花もそんな作品になれたらなー。なんて
思っております。
それじゃぁみんな待たせたな!!!!
今回も新キャラが出るぜ!!!!
では、楽しんで!!
エロディウム
((生きとし生けるものよ
等しく平等であれ
その生命を繋ぐものよ
それ即ち標となれ
誰もが迷わぬ様に
光を
放て))
※音楽がある場合終わるまで待つ
N
前回までの千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜は
多量に溢れる刃汽が自身の身体を蝕む
先天性 自己免疫 刃汽多量症を
発症したリナリアは精神世界である
汽中海 に囚われてしまった。
リナリアの精神を助ける為にC-1stの担任でもあり
特別臨時癒官でもあるシルバはアキレイを
汽中海 へと送り出したが
刃汽を吸い出されてしまいアキレイも
リナリアの精神世界に囚われてしまった。
そこで急遽、ジジを送り出し
3人は無事に生還する事に成功したのであった。
ルビウス
「自己免疫疾患って...
免疫が誤って自分自身を攻撃してしまうあれか?」
ラナンキュラス
「そうさ。幼い肉体に対して刃汽量が強大過ぎた。
リナリーは自分自身の刃汽に
押し潰されてしまいそうになっていたんだよ。」
ツバキ
「故に常時、体力を消費し自身で抑える事は出来ぬ。
リナリアの場合は外側に刃汽が漏れているわけではない。
多量に溢れ出る刃汽は内側に向けられ
我等でも感知する事は出来なかった。
ましてや刃汽を知らぬ一般の医師が
気付かぬのも無理は無い」
ラナンキュラス
「そうだね。最近特に体調が優れないから
忙しい中、カルミアさんに診てもらったんだよ。」
ルビウス
「カルミアって...まさか五刃花隊の隊長!?
鞘花が直々に診てくれたっていうのか!?」
ツバキ
「花の鞘花は生命を司る。
まさに神の能力。
貴公がどうあがいても届かぬ能力だ。」
ルビウス
「僕はいつか届いて見せるさ。
その為に僕はナーベルク士官学校に入ったんだからね!」
N
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作者 REN’sJackson
ー千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜ー
ナーベルク士官学校篇
Vol.4 『 異 × 種 』
※音楽がある場合終わるまで待つ
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エロディウム
「あわわわ!!遅刻しちゃいますぅう!!」
N
深い緑髪を高く1つに束ね
A-1stの教室へと向かうエロディウムは
大きな胸を揺らしながら走っていた。
エロディウム
「ど、どうしましょう!!
アザミ先生の子達に...
笑われてしまいますぅ!!」
N
一方、A-1stの教室では
ルビウス
「な、何ぃい!?!?
ジジとアキレイが休みだって!?」
ラナンキュラス
「うん、そうだよ?
リナリーの手術は無事成功したらしいけど
心配だからそばにいるってさ。」
ルビウス
「アキレイはまだしも何故ジジまで!?」
ラナンキュラス
「ぁ...ジジは疲れたから休むってさ」
ルビウス
「あれから何があったんだ...
手術したのはアキレイの妹だろ?」
ラナンキュラス
「さぁね。詳しい事はツバキが知ってるんじゃ無い?」
ツバキ
「知らぬ。興味などない。」
ルビウス
「何故だ!君達は親友じゃないのか!?」
ツバキ
「親友...?それは私の時間を奪い
剰さえ...この私に面倒を押し付ける輩の事か?
斬る。」
N
すると祈木の刀を腰に携えたツバキは
柄に手をかけた。
ルビウス
「な!?君はそれを使いたいだけだろ!!
貰ったばかりでハシャグ子どもか!!」
ツバキ
「ッッ!!よほど斬られーー」
ラナンキュラス
「ルビウス。
ツバキにそんな事言っても通じないよ。
それに、僕らは親友なんて言葉じゃ括れないからね。」
ツバキ
「馴れ合うつもりなどない」
ルビウス
「嘘をつけ!!毎日一緒に登校してるじゃないか!
それを馴れ合いと呼ばずに何と言うんだ!!
そもそもツバキはその中の筆頭だろ!?」
ツバキ
「筆頭?貴公は何か勘違いをしている。
六大貴族に上下などない。ただ、この国を、民を
そして、皇帝を護る。それが我等の存在意義。」
N
するとラナンキュラスは突然ツバキの肩に腕を回した。
ツバキ
「な!?」
ラナンキュラス
「要するにぃ。運命共同体ってことさ!!
ね?ツゥバキ!!」
ツバキ
「離せ。」
ラナンキュラス
「おっと」
N
ツバキはラナンキュラスの腕を振り払った。
ラナンキュラス
「照れてんのー?」
ルビウス
((それって...親友以上って事じゃないか))
ツバキ
「いい加減にしろラナン。
席に戻れ。授業の邪魔だ。」
N
この時ルビウスは2人を見て思わず口元が緩んだ。
そして同時に羨ましく思った。
ルビウス
((運命共同体...か))
ラナンキュラス
「フフッ。そうだね。
ねぇツバキ、今日は何の授業だっけ?」
ツバキ
「B-1stの担任の授業だ。
何故、把握していない。」
ルビウス
「エロディウム先生かぁ!!
どんな授業になるのか楽しみだ!!」
ラナンキュラス
「ぁあ彼女かぁ。彼女ってさぁ」
ルビウス
「ん?ラナン一体、どこを見てるんだ?」
N
ふと、ラナンキュラスの目線の先にある
A-1stの扉を見ると
黒板消しが上の方に挟まっていた。
ルビウス
「何をしているんだ!!教官に対して失礼ーーー」
N
すると、教室のドアがガラガラと音を立てて開いた。
そして同時に
エロディウム
「はぁー!!間に合いまし...たっ!!キャッ!!」
N
エロディウムの頭にめがけて黒板消しが落下した。
ツバキ
「くだらぬ。」
ルビウス
「エロディウム先生!!あぶなーーー」
ラナンキュラス
「大丈夫ですか?先生」
N
ラナンキュラスは落下してくる黒板消しを
見事キャッチしていたがチョークの白い粉が
豊満な胸に降り掛かり
エロディウムはへたり込んでしまった。
ルビウス
「な!?!?いつの間に!!??」
エロディウム
「ふぇえ!!汚れてしまいましたぁ!!」
N
少し汗ばんでいたエロディウムは
ハンカチで粉を拭こうとしたが
逆に白い粉が伸びて
胸の周りはベトベトになってしまった。
ルビウス
((な、なんて事を!!!!))
N
そしてラナンキュラスはエロディウムの瞳を見つめて
甘く囁いた。
ラナンキュラス
「フフッ。危ない所でしたね。」
エロディウム
「え!?バ、バンジャマン君...」
ラナンキュラス
「弟の方ですよ。久しぶりですね。先生」
エロディウム
「あ!!」
ルビウス
「弟?」
ツバキ
「いつまで呆けているつもりだラナン。」
N
ラナンキュラスは顔を赤らめるエロディウムに対して
ニコッと笑った。
ラナンキュラス
「先生。失礼致しました。
お怪我は無いですか?」
エロディウム
「は、はい。」
ルビウス
「ツバキ...ラナンキュラスは女性に対していつもあんな感じなのか?」
ツバキ
「知らぬ。」
エロディウム
「き、着替えてきますぅ!!!」
N
そう言って走って去っていくのと同時に
チャイムが鳴り響いた。
ーー数分後ーー
エロディウムは慌てふためき教壇についた。
エロディウム
「ふぅー。間に合いましたぁ!!」
ルビウス
「間に合って...ない」
エロディウム
「み、皆さーん。
こんにちは。私はB-1stの担任
エロディウム=オンデマンですぅ。キャッ!!」
N
エロディウムは何も無いところで転ぶと
生徒達はそれを見て笑い教室内は再び騒がしくなった。
エロディウム
「イテテテテテッッ。
こけちゃいましたぁ!!エヘヘ!!」
N
席に着いたラナンキュラスは頭をかかえ
思わずため息をついた。
ラナンキュラス
「はぁ。」
ルビウス
「だ、大丈夫なのか?」
ツバキ
「今に分かる。」
ルビウス
「それはどう言う...」
ツバキ
「ナーベルク士官学校の1stクラスの担任は
伊達では無い。という事だ。」
エロディウム
「み、皆さーん??先生が来ましたよぉ。
お静かに願いまぁす。」
N
しかしー向に静かになる気配はなかった。
プクッと頬を膨らませるエロディウムは
次第に視線を落とすとボソッとつぶやいた。
ツバキ
「エロディウム=オンデマンは
数々の功績を残した学者であり」
エロディウム
「先生...投げちゃいますよぉ。」
ルビウス
「え?」
N
その瞬間ルビウスの頬を掠めたチョークが
騒ぎ立てる生徒たちのオデコを一斉に直撃した。
ツバキ
「狙撃の名手だ」
ルビウス
「えええ!?」
ラナンキュラス
「そして、兄貴の元彼女」
ルビウス
「ええええ!?!?」
エロディウム
「ゴホンッ。ドレーク君?」
ルビウス
「失礼致しました!」
ルビウス
「元彼女ってどういう事だ!?
しかもお兄さんの!?!?」
ラナンキュラス
「そのままの意味だよ。」
ルビウス
「だ、ダメだ。
情報が渋滞してよく分からなくなって来てる」
ツバキ
「いい加減にしろ。とっくに始業時間は過ぎている」
エロディウム
「やっと静かになりましたねぇ」
N
エロディウムはニコッと笑うと
プロジェクターを教壇の上に置いた。
エロディウム
「よしっ。まず、私の名前は
エロディウム=オンデマンです。独身です!!
アザミ先生のクラスは初めて受け持ちます!!
精一杯頑張るのでよろしくお願いします!!」
ルビウス
「な、なんか初々しいし
独身って情報いらなくないか??」
ラナンキュラス
「フフッ。天然って怖いよねぇ。」
ツバキ
「今年、赴任したばかりだ。」
ルビウス
「今年!?赴任して
早々にB-1stを受け持っているのか!?」
ツバキ
「とても優秀な学者とプラムから聞いている。」
N
すると顔を赤らめるエロディウムは
咳払いをして話を続けた。
エロディウム
「ゴホンッ。特進クラスでは
主に政治や歴史、考古学、教養を教えています。
ただし、それは1st以下に限ります。」
ルビウス
「先生!!B-1stは一般教養及び
ナーベルク古代史、現代史ではないのですか?」
エロディウム
「今年から変わったんですよぉ。
だから私がクリシャンテ校長から呼ばれたんです。
一般教養とナーベルク古代史、現代史は4クラス共
2nd以下を受け持つ先生が
座学で教える事になりました。」
ラナンキュラス
「クリシャンテ先生から
わざわざ声をかけられたんですか?」
エロディウム
「えぇ。その通りです。
私の専門は第1級特殊魔獣生物の保護
及びその生態と歴史。
つまり、 魔獣生物 に関する全てです。」
ルビウス
「ド、 魔獣生物 !?」
ツバキ
「何を驚いている。」
ルビウス
「入学のパンフレットには
そんな事、一言も書いてなかったぞ!?」
ラナンキュラス
「パンフレット?そんなのあったんだ。
ツバキ知ってた?」
ツバキ
「知らぬ。おおかた、教えるのを拒否し続けて
そのパンフレットやらの作成に
間に合わなかったのだろう。」
エロディウム
「そうです!!!何度も何度も断ったのに
私が探検する場所に何度も何度も足を運んでくださるから
折れちゃいました!!!」
ラナンキュラス
「フフッ。エロディウム先生らしいね。
相変わらずその押しの弱さは変わってないらしい」
エロディウム
「だって苦労して苦労してやっと辿り着いた秘境で
私を待ってるんですよ!?怖くないですか??
そもそも私は古代史も現代史も修士を取るくらいしか
勉強してないんです!!」
ラナンキュラス
「修士って...充分すごいですけど...」
エロディウム
「ま、まぁ...でも私はフリーの 魔獣生物 学者なんで
スポンサーがいないと苦しいお財布事情が...って
そんな話しはいいんですよぉ!!!!」
ラナンキュラス
「いや...先生が、勝手に話し始めたんだけど...」
エロディウム
「いいですか??
一般的にはこの分野は 魔獣生物 学と呼ばれています。
選択科目の1つであった 魔獣生物 学を
今年からB-1stで教える事になりました!」
ルビウス
「先生。教壇に立ってしまっては研究が出来ないのでは?」
ツバキ
「1stクラスの先生は
副業を許されている。C-1stのシルバや
D-1stのオンジューム。
無論、アザミもだ。担当する日以外は自由にしていい。
何週間も不在などザラにある。」
エロディウム
「という事で!!こちらを見てください!!」
N
エロディウムはプロジェクターを起動してスライドさせると
そこには 魔獣生物 の定義と書かれていた。
エロディウム
「 魔獣生物 の定義とはなんですか?」
N
するとルビウスが真っ先に手を上げた。
エロディウム
「ドレーク君どうぞ!」
ルビウス
「 魔獣生物 とは刃汽を体内に宿す生物の総称です。」
エロディウム
「その通りです!他にはどんな特徴がありますか!?」
ルビウス
「他には 魔獣生物 にーー」
ツバキ
「 魔獣生物 にはランクがあり
C級、B級、A級、S級の4クラスがある。
中でもS級の見分け方は
人の言葉を話せるか話せないかが鍵となる。」
ルビウス
「な、何で今...遮られたんだ」
エロディウム
「わかりやすい説明をありがとうございますツバキ君!!
そうなんです!A級とS級を目の前にしたら
普通は死んじゃうから近づかないで下さいね!!」
ラナンキュラス
「そもそも 魔獣生物 なんて
滅多にお目にかかる事はないのでは?」
エロディウム
「うーん。向こうから何かをしてくる事は
基本無いですからねぇ。基本は!!
例えば...お隣のサルバドル共和国の特殊部隊
九龍連 って知ってますか?」
ルビウス
「はい。」
N
九龍連 とは
サルバドル共和国軍 九族 龍装連合部隊
通称 九龍連
サルバドル共和国が世界に誇る九人の部族長で構成された
特殊部隊である。
エロディウム
「どういう風に戦うか。までは知らないですよね?
唯一の中立国であるサルバドルが何故、中立でいられるか。
分かりますか?」
N
エロディウムはプロジェクターに世界地図を映し出した。
ツバキ
「ラミオラス、ナーベルクと
アザジェノス、エルドーラを
分断するように国が広がっているからだ。」
ラナンキュラス
「だから中立に ならざるを得なかった。」
ルビウス
「4国を一手に相手取る訳には行かないという訳か。」
エロディウム
「確かにそうとも捉えられますね。
でも4国にとっては他国を分断するに都合が良いのです。
サルバドル共和国さえあればラミオラスとナーベルクは
互いを見ていれば良いですし
アザジェノスとエルドーラは
スペリオールやメタラニアの4国で争えば良いですからね。
背にラミオラスとナーベルクという巨大国家を
憂いとして残すのは得策ではありません。」
ツバキ
「だからナーベルクとラミオラス
アザジェノス、エルドーラは
サルバドル共和国に金を落とし貿易をしているのか。」
ラナンキュラス
「でもそれが 魔獣生物 と何の関係があるんですか?」
エロディウム
「良い質問ですね。
サルバドル共和国は 魔獣生物 学において随一の先進国!!
つまり 魔獣生物 が沢山いるのです。
あ、もちろん区画で管理されているので
一般には触れる機会はあまり無いんですが、
それでも他国と比べれば圧倒的ですね。
ここまで言えば分かりますか?」
ルビウス
「全く分かりません!!!」
ツバキ
「九龍連 は 魔獣生物 を利用した特殊部隊。
そう言いたいのであろう。」
エロディウム
「察しが良くて先生も楽です!!
ツバキ君が言っていた様に九龍連 は
龍装...つまり 魔獣生物 を駆使して
戦う部隊なんです!!」
ルビウス
「じゃぁ...A級までも手懐けているのですか!!?」
ラナンキュラス
「それは...強すぎるね。
他国もなかなか手を出そうとしない訳だ。」
ツバキ
「妙な噂を耳にした事がある。
サルバドルはーーーー」
エロディウム
「私はサルバドル共和国が大嫌いです。」
ツバキ・ラナンキュラス・ルビウス
「ッッ!?」
エロディウム
「サルバドル共和国では自国の為に各国から
魔獣生物 を奪い兵器にする為に
殺しています。それが 魔獣生物 狩りと
言われてる残虐な行為です。
全ての生命は平等。彼らには彼らの世界があって
それは護られるべきものなのです。
だから私は 魔獣生物 の素晴らしさ
魔獣生物 の重要性、そしてその保護を
学生である皆さんにお伝えしたくこの仕事を引き受けました。
後、校長がしつこかったから。」
ルビウス
「最後のいらなかったのでは!?」
エロディウム
「後、お金無かったから...」
ルビウス
「正直すぎる!!!!」
ラナンキュラス
「先生、ほどほどにしないと。ね?」
エロディウム
「あ、す、すみません!!
最後のは...き、聞かなかった事にして下さいね!
校長にも言っちゃダメですよ!!」
ルビウス
「なぁツバキ...大丈夫なのか?この先生」
ツバキ
「クリシャンテが選んだ人材だ。
我等が疑う余地など無い。」
エロディウム
「はい!余談も交えて色々話しましたが
次はS級 魔獣生物 について
お話ししたいと思います。
S級 魔獣生物 は人の言葉を話せる。
という以外では刃汽の総量も莫大である。
という事も重要になっていきます。
皆さんは鞘神に選ばれた鞘花が
どれほどの刃汽を持っているか
想像出来ますか?例えば...」
N
エロディウムはブワッと自身の刃汽を
外側に放った。
ツバキ・ラナンキュラス・ルビウス
「ッッッッ!!!!!!」
N
突然、水の中に放り込まれた様な圧迫感に襲われ
クラス全員が祈木の刀を構えた。
ツバキ
「只者ではない」
ラナンキュラス
「世界を渡り歩いていただけはある。
それだけの実力があって当然だね。
ほら、みんな降ろしなって。敵意は無い。」
ルビウス
「 咄嗟に...抜いてしまった。」
エロディウム
「ご、ごめんなさい!!
でも、分かって欲しかったんです!!
私なんて鞘花の足元にも及びません!」
ツバキ
「何?」
ラナンキュラス
「S級もそれくらい...という事ですか?」
エロディウム
「S級は鞘花と同等かそれ以上です」
ルビウス
「そんなに凄いのか...」
エロディウム
「なので、それに近いA級、もしくは
S級に近づくのは死を意味すると
考えて大丈夫です。
ちなみに私は鬼と巨人と不死鳥に近づいて
3度死にかけましたぁ」
ツバキ
「鬼?」
ラナンキュラス
「巨人?」
ルビウス
「不死鳥??」
エロディウム
「有名なS級 魔獣生物 を原種に持つ種族です。
獰猛で狡賢こい巨人、メイジヨン族
勇猛果敢で誇り高き不死鳥、フェニキシス族
そして、好戦的で狂気に満ちた鬼の血を引くノア族。
特にこの3種は人間という種を嫌っています。」
ルビウス
「ん? 魔獣生物 に種族があるんですか?」
ツバキ
「聞いたことがない。
魔獣生物 は 魔獣生物 で一括りでは無いのか」
ラナンキュラス
「 魔獣生物 を...原種に持つ種族」
エロディウム
「これらを"亜人"と呼びます。」
ルビウス
「亜人だって!?」
エロディウム
「亜人とはS級 魔獣生物 のハーフです。
しかも見た目は人間と変わらない事がほとんどです!
ちなみにA級 魔獣生物 から亜人は誕生しません。
そもそも生物学的に無理があると思いませんか?
種の超越はS級だからこそ出来るのかどうか
...未だに分かっていません。
まさに魔法と呼ぶに相応しい所業です。」
ラナンキュラス
「 魔獣生物 と人間が交わる...
その様なことが...あるんですか?」
エロディウム
「亜人という存在がある限り否定は出来ません。
そこで、 魔獣生物 学者達は
1つの答えを導き出しました。」
ラナンキュラス
「1つの答えとは??」
エロディウム
「よく考えてみて下さい。
そもそも人間だってそうでしょ?」
ツバキ
「人の言葉を話し刃汽をその身に宿す。」
エロディウム
「そうです。
大きな括りで見れば彼らからしてみても
私達も 魔獣生物 の1種として
考えられてもおかしくありません。」
ラナンキュラス
「僕たちが 魔獣生物 の1種...
だから子を成せると。
それは未だに解き明かされていないんですよね?」
エロディウム
「あくまでも、この考え方は 魔獣生物 学において。
という事です。
それを証明できる日がいつか来ると私は信じています!!」
N
エロディウムは顔を輝かせながら
グッとガッツポーズをしていた。
エロディウム
「ただ、分かっている事もあるんです!!
種の生存をかけた争いで勝ったのが人間であるという事。
全てのS級 魔獣生物 が
亜人を生み出したわけでは無い。という事。です!!
例に挙げたメイジヨン族、フェニキシス族、ノア族には
気をつけて下さいね!死にます!!」
ルビウス
「近付くだけでも危険だと言うんですか!?」
エロディウム
「気難しいというか...何というか...
人間と 魔獣生物 が交わった自分たち亜人こそ
最強種だと思ってる所があるんですよ。
でも、好意的な亜人も居なくは無いですよ!!」
ツバキ
「好意的な亜人...いや亜人という存在そのものもが
理にかなっているやも知れぬ。
種の繁栄の為に強者である人間を取り込む事は必然。
まさに自然淘汰と言っても過言ではない。」
ラナンキュラス
「でもツバキ。
個の力としては人間はあまりにも弱いよね?」
ツバキ
「人間は生き残る為なら手段を選ばずに徒党を組み
集団で生活するための知識を培ってきた。
その野心と繁殖本能は結果を見れば分かるだろう。」
ルビウス
「先生。亜人は 魔獣生物 に分類されるのですか?」
エロディウム
「 魔獣生物 学においては。されますね。
ただ、そこはまだ各国見解が異なります。」
ルビウス
「亜人の定義は?」
エロディウム
「ドレーク君は 魔獣生物 に興味があるんですね。
良かったらB-1stに来ますか?
先生大歓迎ですよ!!ちょうど1人抜けちゃいましたし!」
ルビウス
「え!?いや、ただ...亜人という存在がいたなんて
思いもしなかったもので...」
ラナンキュラス
「意図的に伏せられていたんじゃないかな?
だけどそれを敢えて教えるという事は
クリシャンテ先生が僕らに知って欲しいと言う訳だね」
エロディウム
「さぁ?それはどうでしょうねぇー!!」
ルビウス
「亜人が人間界に紛れていても
おかしく無いじゃないか。
それを今日まで分からなかったなんて」
ツバキ
「亜人が人間と同じ数だけいないという事は
人間に追いやられたのだろう。
特異な者は弾かれるのが世の常だという事だ」
エロディウム
「あまりにも亜人は人間にとって脅威だったんです。
それに亜人の定義には人間とは異なる能力、
または回帰能力を持つ事が条件とされているので
余計に危険なんです。」
ルビウス
「異なる能力はまだ分かりますが
回帰能力とは????」
ラナンキュラス
「ま、まさか...
魔獣生物 の姿へと回帰する。という事ですか?」
エロディウム
「そうです。亜人の中には原種の姿に回帰出来る種がいます。
これを原種回帰と呼びます。
例えば不死鳥を原種に持つフェニキシス族がそうですね。」
ラナンキュラス
「不死鳥...不死を能力に持つ 魔獣生物 」
エロディウム
「不死鳥は不死ではありません。
ただ、人の3倍生きる長寿の 魔獣生物 。
原種回帰を行えば 神々 しい光を放ちます。
そして翼から生まれる白い炎には癒しの能力、
その白い炎から生まれる灰には
神をも穿つ能力があるとされています。
なので又の名を神を打ち消す鳥と書いて
不神鳥 と呼ばれています。」
ルビウス
「不神鳥 。
神を穿つ能力があるのか...」
ツバキ
「物騒な鳥だ。神を打ち消すなどとは。」
ラナンキュラス
「まるで鞘神を否定しているみたいだ。」
エロディウム
「他にも色々いるんですけど
巨人メイジヨン族は異常なタフさを持っていたりとか
あ、そうそう!!原種回帰は出来ませんけど
亜人と人間の子供とかもいたりするんで
意外にも身近にいるかもしれませんね!!」
ルビウス
「亜人と人間のハーフ?いやクォーターですか?
それは人間なんでしょうか!?!?」
エロディウム
「人間ですよ。人間の血の方がより濃いですから。
そんなに興味があるなら本をお貸ししましょうか?
昔、スペリオールで有名な 魔獣生物 学の権威が居たんです。」
ラナンキュラス
「ドラコ=グリムウェイ...ですね?」
エロディウム
「そう!!皆さんも知っているグリム童話の著者
ドラコ=グリムウェイはその子孫なんです!!
彼が死に際に書いた未完の物語がまた面白いんですよ!!
貸しましょうか??
魔獣生物 とドラコ の綺譚奇譚!!」
ラナンキュラス
「 魔獣生物 とドラコ の綺譚奇譚?
聞いたことあるかい??」
ツバキ
「無いな。」
ラナンキュラス
「リナリーなら知ってるかな??」
エロディウム
「 魔獣生物 とドラコ の綺譚奇譚は絶版なんですよぉ!!
世界に100冊も無いんです!!
魔獣生物 の生態を楽しく詳しく知るなら
おススメです!!!」
ルビウス
「ぜ、是非!!」
エロディウム
「じゃぁ、放課後 先生の部屋まで来てくださいね!!」
ルビウス
「え!?い、いんですかぁ?」
エロディウム
「もちろんです!もっと詳しくお話ししましょ!!」
ルビウス
「はい!!」
N
するとチャイムが鳴り響いた。
エロディウム
「あ!もうこんな時間なんですね!
今日の授業はもう終わりです!!!
午後は自習だそうなので
チーム対抗刃術バトルロワイヤルに向けて
皆さん頑張って下さいね!!」
ツバキ
「バトルロワイヤル...私にチームなど必要ない。」
ラナンキュラス
「そんなこと言ってたら誰も組んでくれなくて
試合に出られないよ?」
ツバキ
「何...だと?」
ルビウス
「ぼ、僕と組むのも1つの手だぞ!ツバキ!!」
ツバキ
「自主練習は修練場を使ってもいいのか?」
ルビウス
「無視!?」
ラナンキュラス
「いいんじゃない??
アザミ先生が言ってたよ。実力で奪いとれって。」
ツバキ
「なるほど。」
N
するとツバキは荷物をまとめ立ち上がった。
ルビウス
「どこ行くんだツバキ!!
そっちは窓だぞ!?」
ツバキ
「廊下を歩いては邪魔が入る。故に窓から向かう。」
ラナンキュラス
「あ、僕も行くよツバキ!!」
ルビウス
「お、おい!!」
N
ルビウスは六大貴族が歩くと
沢山の女子に囲まれる事を思い出した。
ルビウス
「まっ待ってくれぇ!!僕も行く!!!」
エロディウム
「あ、あのぉ、では!!これで終わりたいと思います!!
皆さんお疲れ様でした!!」
ルビウス
「って!!ここ3階だぞ!?まぁまあ高くないか!?」
N
エロディウムの言葉を無視して窓に身を乗り出す3人。
ツバキ
「ついて来いなどとは言っていない。」
ルビウス
「あっ!!」
ラナンキュラス
「無理しないでねぇ!!
それとエロディウム先生。
授業楽しかったです。またお会いしましょう!!」
ルビウス
「あっ!!」
N
ツバキとラナンキュラスは華麗に飛び降りてしまった。
ルビウス
「待ってくれぇえ!!!!!」
N
ルビウスは恐る恐る窓に足をかけて
配管を伝って降りていった。
エロディウム
「怪我しないでくださいねぇー!!」
N
ーー数分後ーー
修練場にて
ルビウス
「はぁ...はぁ...やっと追いついーーーー」
ラナンキュラス
「走れ!!!!!!」
ルビウス
「走って来たばかりーーーって
なんだあれ!!!!!!!!」
ツバキ
「グッ!!!」
N
3メートルほどの巨大な魔進が
刃を振り下ろしながら迫って来ていた。
ルビウス
「ぬぉおお!!なんだこのふざけた顔の魔進は!!!」
ラナンキュラス
「知るわけないだろ!!ツバキに聞いてくれ!!」
ツバキ
「試し斬りと思い攻撃したらこの有様だ。無念」
ルビウス
「無念。じゃないよ!!!
君のせいじゃないか!!!!!」
ツバキ
「いや、この妖刀・駆逐丸なら
倒せるやもしれぬ。」
ルビウス
「ただの祈木の刀だよ!!!」
ラナンキュラス
「グッ!!出口に回り込まれた!!!!
本当に戦うしか無いみたいだ!!!!!
ツバキ!!僕らの刃術でなんとかしよう!」
ルビウス
「何ぃ!?本当にもう刃術を使えるのか!!
羨ましい!!!!!」
ツバキ
「貴公とは一緒にするな。私の教育係はクリシャンテ。
使えて当然だ。」
N
するとラナンキュラスとツバキは突然止まり
一斉に刃術を放った。
ツバキ
『滅刃の九• 鉄砕牙』
ラナンキュラス
『滅刃の十・泡沫飛沫!!』
N
鋼鉄のトゲが水流に乗って勢いを増すと
魔進に向かって一直線に突き進んだ。
ルビウス
「凄い!!こんな 咄嗟にコンビネーションをするなんて!!
これならいける!!!!」
N
しかしコンッと胴体部分に当たるも
びくともしなかった。
そう、ツバキ達の刃術はまだ未熟だったのだ。
ラナンキュラス
「あれ?」
ツバキ
「...バカな」
ルビウス
「全然ダメじゃないか!!!」
ラナンキュラス
「ア...アハハハ」
ルビウス
「仕方ない。2人は下がってろ。
僕が行く!!!!!!!」
ラナンキュラス
「...いけるのかい?」
ツバキ
「私の...刃術が効かぬとは...
あの胴体は超合金なのか!!クッ!!」
ルビウス
「み、見ていろ!!ぼ、僕が...」
N
すると魔進は更に蒸気を上げて
襲いかかって来た。
ルビウス
「あわあわあわ...に、逃げろぉ!!!」
ラナンキュラス
「だよねぇ」
ツバキ・ラナンキュラス・ルビウス
「ヌォオオオオオオオ!!!!!!」
N
----------------------------
作者 REN’sJackson
ー千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜ー
ナーベルク士官学校篇
Vol.4 『 異 × 種 』 (完)
※音楽がある場合終わるまで待つ
----------------------------
配役変更一覧
----------------------------
N▶︎▶︎▶︎アスターク
エロディウム▶︎▶︎▶︎ビランカ
ルビウス▶︎▶︎▶︎ロゼウス
ツバキ▶︎▶︎▶︎ニッチ
ラナンキュラス▶︎▶︎▶︎N
----------------------------
N
おまけ
N
ここは世界地図にある六大国の1つ
近代と魔術の国スペリオール。
この国では魔術を扱える者と扱えない者が
共存し合い生活をしていた。
神話の時代、神々の戦争の後
各国々は覇権を争い
絶妙な均衡を保ちながら戦争の日々を送っていた。
戦乱の世に勝ち残るためにスペリオールでは
魔術戦闘部隊である
聖十字スペリオール魔術兵団を結成すると
魔術の才ある子供を国中から集め、
優秀な魔術師を育成する学校を
首都イスカイザルの郊外にある
霧と湖の町カユジアに創設した。
それがスペリオール魔術戦闘育成機関である。
アスターク
「今日から...ここが俺の家だ。」
----------------------------
N
作者REN'sJackson
ー聖十字〜スペリオール魔術兵団〜ー
『スペリオールアカデミーズ』
----------------------------
ニッチ
「おい。どけよ。」
アスターク
「今日から...ここが俺の家だ。
えーっと。飛び級するとして...
再来年には最終学年の8年生か...よし。」
ニッチ
「いや、どけって。」
アスターク
「俺の華やかな魔術生活がここではじっーー」
ニッチ
「人のベッドの上で何してんだよ!」
アスターク
「ちょっと静かにしてもらっていいかな!」
ニッチ
「あっ。すんません。終わったら呼んで下さぁい。
って!ここ俺の部屋なんですけど!?」
アスターク
「参考書、マグカップ、ローブにパジャマ...
全て揃ってる。完璧だ!
それにこのクマのぬいぐるみ!
って趣味悪いな!」
ニッチ
「今言ったもん全部俺のもんだけど!?
って、趣味悪いってなんだ!」
N
少しクセのある金髪を揺らしながら
アスタークは笑顔で振り返った。
アスターク
「へ?」
ニッチ
「いいから...どけ!」
アスターク
「オワッ」
N
背丈のある黒髪短髪の青年が
アスタークの襟首を引っ張りベッドから下ろした。
ニッチ
「出てけよ!人のベッドの上を土足で上がりやがって!
お前はナーベルク人かよ!」
アスターク
「はぁ!?初対面でそんな事言われる筋合いねぇし!
失礼なクソ野郎だな!」
ニッチ
「先に言われたぁぁあ!
お前の方が失礼なクソ野郎だからな!!」
アスターク
「そんなことよりさぁ
早く出てってくんねぇか?」
ニッチ
「あっ、ワリィ。じゃぁまたな!
って!出て行く奴この世にいるの!?
分かる??ここ!!俺の部屋!!」
アスターク
「はぁ...そもそも誰?」
ニッチ
「俺のセリフだわ!お前こそ一体誰なッーーー」
ビランカ
「あったまの中はビッラビラァ〜♪
私の名前は〜ビランカちゃん♪
っと。えーっと私の部屋は...ここだっ!!」
アスターク・ニッチ・ビランカ
「ん?」
間
ビランカ アスターク ニッチ
「イヤァアァア!」「ヌォオオオ!!」「ェエエエ!!」
N
言い合う2人を他所に
栗毛色した長い髪の女子が入ってきた。
ビランカ
「女子寮に男子がいるぅう!
この!へ、へん!!ヘックションッ!」
ニッチ
「このタイミングでくしゃみ!?」
N
するとコンコンッとノックする音が聞こえた。
ニッチ
「今度は誰だよ!」
ロゼウス
「やぁ。早速、会ったんだね。」
ビランカ
「嘘ぉおおー!!まさかロ、ロゼウスさん!
超絶イケメン!えぇ!なんで女子寮に!?」
ニッチ
「ロゼウスさん!?
なんで、貴方がここにいるんですか!?」
ロゼウス
「あれ?聞いてなかったのかい?
僕はここの寮長さ。
もちろん。男子寮のね。ん?僕の事知ってるのかい?」
ビランカ
「知ってます!!」
ニッチ
「知らない人なんていませんよ!!」
ロゼウス
「そうなんだね。
もちろん僕だって君たちの事は知ってるよ。
ニッチ=バーゼル=ダンゴ
錬金術の名門、ダンゴ家の3男だろ?
そして君はグリムウェイくん
魔獣生物の権威である
パイナ=グリムウェイ教授の1人娘だろ?」
ビランカ
「わ、私の事を知ってるんですね!光栄です!!
こんな有名人が私の部屋に来てくれるなんて...
あの...握手してください!」
ニッチ
「名門なんて...そんなやめて下さいよ...
そんな天才だなんて!」
アスターク
「天才なんて言ってねぇだろ。」
N
ロゼウス=ガルガディック=アンハーデン
スペリオール魔術戦闘育成機関きっての天才。
3学年飛び級し、すでに聖十字スペリオール魔術兵団に
入団が決定している有名人である。
ロゼウス
「さっそくだけどグリムウェイくん...
あ、握手?フフッ。よろしくね。」
ビランカ
「握手してもらっちゃった!
ありがとうございます!家宝にします!
ビランカもう2度と手を洗いません!」
ニッチ
「きったねぇ!!!」
ロゼウス
「手は洗いなさい。それとグリムウェイくん。
女子寮は隣の建物だよ?」
ビランカ
「えー!そうなんですか!?
ビランカ男の子ばっかりで臭いなーって思ったんです
...この部屋。」
ニッチ
「この部屋!?シンプルに悪口!」
N
ロゼウスは微笑みながら
金髪をかきあげるとニコッと笑った。
かき上げた中指には指輪をしており
宝石が青く煌めいていた。
アスターク
「おっ!兄ちゃん!この家具全部くれるのか!?」
ロゼウス
「フフッ。それはダンゴくんの私物だよ?」
アスターク
「えー!?」
ニッチ
「だから言ったろ!
って、えー!!?兄ちゃん!?」
ビランカ
「ロゼウスさんの弟が入学するって...
噂には聞いてたけど」
アスターク
「え!?俺そんな噂あるの?さすがは俺」
ビランカ
「だって、天才の弟だよ?
あのロゼウスさんの!
ビックニュースだったんだから!」
ニッチ
「こんな奴があのロゼウスさんの!?」
ビランカ
「言い過ぎよ!ロゼウスさんの前よ?」
ロゼウス
「ぁあ見えても僕より才能はあるからね。」
ビランカ
「え!?ロゼウスさんより!?
ビランカ信じられない!」
ロゼウス
「フフッ。その内わかるさ。
さぁ。君たち。
今から荷物を運ぶから少し空けてくれるかい?」
ロゼウス
『レウェルティ•家具よ来い』
「パチン」
N
ロゼウスが指をパチンと鳴らすと
様々な家具やベッドが飛び出し
フワフワと浮いてやって来た。
ビランカ
「え...すごい量...入りきりますか?」
ロゼウス
「流石に入らないから
少し部屋を大きくするつもりさ。」
ロゼウス
『エクステンシオ・拡がれ』
「パチン」
ニッチ
「うぉ!部屋が!ん?待てよ...」
アスターク
「おお!これが魔術!
卒業するまでは学校以外で使っちゃいけないって
兄ちゃんに言われてたからさ!
俺、初めて見たぜ!」
N
空間がグニュグニュとゆがみ
引き延ばされるように部屋が広がった。
ロゼウス
「よし。これで入るね。」
ニッチ
「待ってください!ここは俺の部屋ですよね?」
ロゼウス
「ん?違うよ?
正確にはアスタークと君の部屋だ。
この寮には寮長である僕以外、基本は相部屋だよ。
それが伝統さ。」
ニッチ
「そ、そんな...」
アスターク
「え、嫌だよ俺こんな奴と。」
ロゼウス
「それなら消そうか?」
ニッチ
「ちょっと待ってぇぇえ!消すって俺を!?」
ビランカ
「え!?消失魔術を使えるのですか!?
見せてください!」
ニッチ
「いやいやいやいや待て待て待て待て
待ってくださぁぁい!」
アスターク
「今日から...ここが俺の家だ。」
ニッチ
「え!?なんで最初に戻ってるの!?
無かったことにしようとしないで!?」
ビランカ
「あったまの中はビッラビラァ〜♪
私の名前は〜ビランカちゃん♪
っと。えーっと私の部屋は...ここだっ!!」
ニッチ
「やめてぇええ!」
ロゼウス
「フフ。嘘だよ。
人を消したり時間を戻す事なんて
魔術でも出来ないさ。魔法じゃないんだから」
N
するとニッチはホッとした様に
自分のベッドの上に倒れた。
ニッチ
「心臓に悪いですよ...」
アスターク
「プフッ!騙されてやんのぉ。
魔術で出来るわけねぇだろ?」
ビランカ
「ウフフッ。面白い人だね!
魔術は万能じゃないのよ?」
ニッチ
「んの野郎...」
ロゼウス
「さて、グリムウェイくんは送ってあげるから
女子寮に戻らないとね。
ダンゴくんもアスタークも荷ほどきが終わったら
早速、授業があるからさ。
あ。君たち自己紹介したのかい?」
アスターク
「あっ、してねぇ。」
ニッチ
「言われてみれば...」
ロゼウス
「基本は挨拶。
礼に始まり礼に終わる。いいね?」
N
するとビランカが勢いよく手を上げた。
ビランカ
「はい!じゃぁ私から!
ビランカ=グリムウェイです!
夢は立派な魔術師になって
魔獣生物だけの世界を作るの!
好きなタイプは身長が高くて金髪で優しくて魔術の天才で
飛び級出来るような人です!」
ロゼウス
「素敵な夢だね。
でも 魔獣生物 の専門分野はサルバドル共和国だと思うけど
何故、魔術師なんだい?
サルバドルの龍装部隊に行けば
魔獣騎乗士だったり
覆面士だったり聖剣士や
魔弓士にだってなれると思うけど。」
ビランカ
「私は 魔獣生物 が安全で安心できる
そんな世界を作りたいんです!!
サルバドルみたいに 魔獣生物 狩りする様な国は
大嫌いなんです!!」
ロゼウス
「そうか。君みたいな人がいたら
魔獣生物にとっても
素晴らしい世界だろうね。」
ビランカ
「ありがとうございます!!」
ロゼウス
「フフッ。でも好きなタイプは
言わなくても良かったかな?」
ビランカ
「あ!追記です!よく微笑む人が好きです!」
N
ニッチはめんどくさそうにビランカを見て
ため息をつくとゆっくり口を開いた。
ニッチ
「...はぁ。俺はニッチ=バーゼル=ダンゴ
目標は聖十字スペリオール魔術兵団に入団する事だ。
強くなって鞘神みてぇな悪りぃ神を
俺がぶっ殺す!」
ロゼウス
「それは壮大な目標だね。
最近は鞘花と呼ばれてる
鞘神の力を宿した人間が
国土を広げていってる。
鞘神の殲滅は
五大陸の悲願でもあるからね」
アスターク
「その通りだ兄ちゃん!!
あっ。俺はアスターク=ラミオラス=アンハーデン
俺の目標は最高位魔術師 に選ばれる事だ!
それで魔術師になったら
俺はこの世界を支配する!」
ロゼウス
「支配か...1番険しい道だけど
アスタークなら出来るさ。」
アスターク
「そんときは兄ちゃんは参謀な!」
N
アスタークがそう言うと
ニッチとビランカは顔をしかめた。
ビランカ
「1年生が選ばれる訳ないでしょ?
最高位魔術師 は
聖十字スペリオール魔術兵団の中から選ばれるのよ?」
ニッチ
「俺たちには関係ない話しだっつぅぅの!!」
アスターク
「俺だって選ばれるとは思ってないって!!
それに知らないのか??
1年でも今年の魔道儀式に参加出来るんだぜ?
大賢者ザナドゥ様に能力を与えられた7人の魔術師
遂に今年こそ最後の7席目が埋まる!!
新たな最高位魔術師 が決まるんだ!!」
ニッチ
「参加って言っても見学だろどうせ」
N
アスタークは興奮のあまり
ニッチの言葉に耳を貸さなかった。
アスターク
「しかも今年その儀式が行われるのは
ここの中央にある湖、モピ湖だからな!」
N
モピ湖とは中央にある巨大湖である。
そこには様々な生物が住んでおり、中でも
希少種と呼ばれる魔獣生物
モッピーが生息している事から
モピ湖と名付けられ
スペリオールアカデミーを象徴する湖となった。
ただし、未だにモッピーを見た者はいない。
ビランカ
「え!?そうなの?モピ湖といえばモッピーよね!
ビランカ見てみたいなぁ!カワいんだろうな...
こんばんわ!おはようございます!
こんにちわ!モッピー♪ってなでなでしたいな...
ビランカ四六時中...一緒にいたい...」
アスターク
「なんだよそれ...モッピーって。」
ビランカ
「え?知らないの?学校のシンボルにもなってるよ?」
アスターク
「そうなのか!?」
ビランカ
「よく見なさいよほら!」
N
そういうとビランカはローブの紋章を見せた。
アスターク
「お!!本当だ!」
ビランカ
「はぁ。男子ってそういうことも分かんないのね!」
アスターク
「象じゃなかったのかーーー」
ビランカ
「それで、ロゼウスさん。
魔道儀式の件は本当に1年生でも参加出来るんですか?」
ロゼウス
「ぁあ。本当だよ。ダンゴくんが言っていたとおり
僕らはその儀式を見る事が出来るんだ。
でも何故、ここでやるのかは知らないけどね。」
アスターク
「だから言ったろ?」
ロゼウス
「ただし...」
ビランカ
「ただし?」
ロゼウス
「魔道儀式に行けるのは選ばれた50人。
ちなみにスペリオールアカデミーの在校生は864人だよ」
アスターク
「そうだぜ?しかも 魔礎 が高くて
実力がある奴しか行けない。
だから俺はまず、特別魔術クラスに行く!!」
ビランカ
「通称、特魔って呼ばれるクラスでしよ?
確か...学年関係なく毎年選ばれるのよね?」
アスターク
「最高位魔術師 になるには
特魔に選ばれるのが最低条件だろ?
魔道儀式までちょうど1年はある。
特魔に選ばれれば
魔道儀式50人の見学もきっと出来る!」
ニッチ
「そ、そうなのか!じゃぁ俺は選ばれるな。」
アスターク
「いや、俺こそ選ばれるな。」
ニッチ
「俺は明らかに選ばれるな。」
アスターク
「そうなのか!?
じゃあこの紙にサインしろ。特魔の申請書だ。」
ニッチ
「え!?そんなものがあるのか!
よし!ペンを貸してくれ!
すぐにサインしてっと...って!これ退学届!」
アスターク
「そうだけど?」
ニッチ
「シレッと何させようとしてんだ!」
N
アスタークとニッチは取っ組み合いになり
互いに罵声を浴びせ合っていた。
ロゼウス
「もう友達が出来たんだね。アスターク。
じゃぁ、行こうか。
グリムウェイくん、待たせてしまったね。」
N
そう言うとロゼウスはビランカの肩に手を添えた。
ビランカ
「え。あ、はい!」
N
ビランカはロゼウスに抱きつくと
顔を輝かせていた。
ロゼウス
「コラコラ...。さっ。
もうすぐ最初の授業だ。
荷ほどきが済んだら教室に来るんだよ。
分かったね?」
ニッチ
「俺が選ばれるんだよ!」
アスターク
「お前を選ぶわけねぇだろ!」
ロゼウス
「仲良くしないと。
この先、8年間同じ部屋なのに...」
ビランカ
「はぁ。ロゼウスさん薔薇の香りがする...」
N
ロゼウスは微笑みながら部屋を後にした。
ーー30分後ーー
スペリオールアカデミー1学年Aクラス教室内にて
ニッチ
「なんでお前もココなんだよ!」
アスターク
「そうだ。
お前の教室はどうやら突き当たり右の部屋らしいぞ。」
ニッチ
「え!?そうなの!?やべ!遅刻しちゃう!
じゃ!またな!っておい!トイレだろそこ!」
ビランカ
「もう、仲良くしなさいよ。
もうすぐ先生が来るのよ?静かにしてなさい!」
N
するとチャイムが鳴り響き
扉がバンッと勢いよく開かれると
生徒は全員、後ろを振り向いた。
そこから現れたのはなんと、ロゼウスだった。
アスターク
「え!?兄ちゃん!?」
ニッチ
「ロゼウスさん!?」
ビランカ
「先生なの!?」
N
ロゼウスの登場により周りがザワめいていた。
ロゼウス
「やぁ。27人のみんな。
僕は8年生のロゼウス=ガルガディック=アンハーデン
この伝統ある魔術戦闘育成機関
スペリオールアカデミーへようこそ。
伝統通り1年生の指導は
8年生がすることになってるんだ。
そしてこれが...」
N
ロゼウスは靴をカツカツと鳴らしながら
教壇の前に立つと指をパチンと鳴らした。
ロゼウス
『レディーレ•魔光指輪』
「パチン」
N
すると、開いた扉から
次々と指輪がそれぞれの机へ向かって
フワフワと飛んできた。
ビランカ
「うわっ!凄い!」
アスターク
「これが兄ちゃんが言ってた...魔光指輪!」
ニッチ
「よっしゃー!」
ロゼウス
「まだ浮かれるのは早いよ。」
N
ロゼウスは再度指を鳴らすと
生徒それぞれの手のひらに指輪が落ちた。
ロゼウス
「パチン」
「では早速だけど配った魔光指輪を
利き腕の反対の中指に、はめてみよう。」
N
生徒達は目を輝かせながら指輪を
それぞれ中指にはめると
魔光指輪は強く輝き出した。
アスターク
「うぉ!眩しい!なんだよこれ!」
ニッチ
「グッァ!熱い!身体が熱い!」
ビランカ
「何これ...身体中から蒸気みたいなのが見える!」
ロゼウス
「いいかいみんな!落ち着くんだ。
魔光指輪が君たちの 魔礎 を分析してる。
その光の思うままに魔光指輪を受け入れるんだ。」
N
魔光指輪の光が増し
教室内は強烈な光に包まれた。
アスターク
「グッ!ぐぁぁあ!」
ニッチ
「アガッ!」
ビランカ
「いやぁぁあ!」
ロゼウス
「徐々に光が収まる!」
アスターク
「収まるって!兄ちゃん!」
ビランカ
「ど、どうすればいんですか!?」
ニッチ
「先生!」
ロゼウス
「心配することはない。さぁ!目を閉じて!
そして魔光指輪をはめた腕の手首を抑えたら
中指を立てるんだ!」
ニッチ・ビランカ・アスターク
「ググググッ」
ロゼウス
「 魔礎 を中指へ集中させるんだ!
そして...叫べ!」
ロゼウス
『オルトース•魔光指輪!』
アスターク・ニッチ・ビランカ
『オルトース•魔光指輪!パチン』
N
生徒が一斉に唱えると光が更に強くなり
一気に魔光指輪に収束した。
ビランカ
「はぁ...はぁ...出来た...」
ロゼウス
「みんな良くやったね。
では魔光指輪を見てみよう。」
アスターク
「こ、これは...」
ニッチ
「黒い...指輪?」
ビランカ
「ロゼウス先生とは違う...」
N
ビランカはロゼウスの中指に
輝く魔光指輪を見ていた。
ロゼウス
「さて、魔光指輪を説明できる人は
この中にいるかな?」
N
すると、いの一番にビランカが手を上げた。
ロゼウス
「グリムウェイくん。どうぞ。」
N
ビランカは咳払いをすると立ち上がり
胸を張って答えた。
ビランカ
「ゴホン。この魔光指輪は
錬金術師によって作られたスペリオールの歴史上
最も古い魔具の1つで
私達の身体にある魔術の源、
魔礎 を抑制し操る指輪です。」
ロゼウス
「その通りだ。
ありがとうグリムウェイくん。座っていいよ。
では、他に分かる人は?どうだい?
ダンゴくん。君なら知ってるだろ?」
N
ニッチはしぶしぶ席を立つと話し始めた。
ニッチ
「 魔光指輪 には等級があります。
魔礎 の量と質によって
宝石の種類が変わっていきます。」
ロゼウス
「ありがとう。流石は錬金術師の家系だね。
君なら知っていると思っていたよ。
ちなみに他国では 魔礎 の事を
刃汽と呼ぶこともある。
じゃぁ、アンハーデンくん。他にはどんな事があるかな?」
アスターク
「アンハーデンくん!?」
ロゼウス
「ここでは僕は先生だ。
僕の弟だとしても生徒は平等さ。
だから僕の事は須く先生と呼びなさい。
いいね?」
アスターク
「はーい。」
ロゼウス
「では、どうだい?」
アスターク
「 魔光指輪 には上から第一光石
その下には第二紅石、第二蒼石、第二翠石が同列にあり
そこからまたランクがあって上から
第三水石、第四白石、
第五紫石その下に
第六金石、第七銀石、第八銅石とあります。」
ロゼウス
「よく出来たね。じゃあ、なんで中指にするか
その理由を説明できる人はいるかい?」
ビランカ
「はい!中指に 魔礎 を放出したり、
集めたりする神経が集中してるからです。」
ロゼウス
「その通りだ。中指を立てたりする行為が
何故イケないことか知ってるかい?」
ニッチ
「それはバカにする意味を持つ行為だからですよね?」
ロゼウス
「フフッ。違うよ。
中指を立てるのは魔術で攻撃する構えだ。
宣戦布告、もしくは攻撃準備と捉えられる。
だから不用意に中指は立ててはいけないよ。」
ビランカ
「そ、そんな事しませんよ!
未熟な私たちが
魔術を使って暴発でもしたら
ビランカ大変な事になりますから!」
アスターク
「だから俺たちはここで学ぶんだろ?」
ニッチ
「指を鳴らすのも中指に流れる 魔礎 を弾いて
魔術を発動する為ですよね?」
ロゼウス
「ご名答だ。みんな。3人に拍手を。」
N
クラス全員が3人に向かって一斉に拍手をした。
ロゼウス
「では、もう少し 魔光指輪 について説明していこうか。
君たちに配ったのはもちろん第八銅石の指輪だ。
そこに 魔礎 を込め続け研鑽すると
次第に 魔光指輪 自体も成長していく。」
ビランカ
「先生!!卒業する頃には
どれくらい魔光指輪は成長するものなんですか?」
ロゼウス
「うーんそうだね。
8年生になる頃には才能ある者なら第四白石
大抵の者は第五紫石ぐらいにはなれるだろうね。
魔術兵団になるには最低でも第五紫石は必要だ。」
ニッチ
「くぅーー!!第五紫石かぁ!」
アスターク
「使える魔術も 魔光指輪 の等級が上がれば上がるほど
沢山増えていくんだぜ?」
ロゼウス
「そう。例えば前戦で活躍する副団長、幹部の将校達は
第二紅石、第二蒼石、第二翠石が必須だ」
ニッチ
「第一光石はどうなんですか?」
ロゼウス
「団長...もちろん最高位魔術師 は第一光石だよ。
第一光石になる為には魔道儀式を通して
大賢者ザナドゥ様に能力を与えられる必要がある。」
アスターク
「魔術兵団の団長達は
それでようやく最高位の称号を得るって訳さ!」
ロゼウス
「そうだね。そうしてようやく最高位達は
固有の真呪文書を手にする事が出来るって訳だ。」
ビランカ
「先生!!
あ、あの...先生の 魔光指輪 の等級って」
ロゼウス
「僕かい?」
N
そう言うとロゼウスは
中指にはめた指輪をみんなに見せた。
すると、 蒼々しく光り輝き始めた。
ビランカ
「それって...」
ニッチ
「まさか...」
アスターク
「当たり前だろ?俺の兄ちゃんだぞ?」
ロゼウス
「フフッ。僕は第二蒼石さ。」
N
クラス全員驚きのあまり開いた口が塞がらなかった。
ニッチ
「副団長クラスじゃねぇか...」
ロゼウス
「このクラスになると魔術全般は使える。
もちろん、禁忌呪文だってね。」
ビランカ
「ダ、ダメです!!それは文字通り禁止されています!!」
ロゼウス
「果たしてそうかな?
知られなければ、いいと思うけど。
それに僕なら君たちを一瞬で意のままに出来る。」
N
ロゼウスは指を鳴らして呟いた。
ロゼウス
『パントミームス•踊れ』
「パチン」
N
すると、生徒の1人がバレエの様に突然、踊り始め
クラス中に笑いが起こった。
ビランカ
「ウフフッ!凄い!」
ニッチ
「なんでも出来るのか!踊れ踊れ!」
アスターク
「...兄ちゃん」
ロゼウス
「次はワルツなんてどうだい?」
「パチン」
N
ロゼウスは指をさらに鳴らすと
生徒は優雅にワルツを踊った。
ビランカ
「ダンスパーティーに役立つわね!」
ニッチ
「先生!!2倍速でお願いします!!」
ロゼウス
「フフッ。いいよ。」
N
すると、さらにドッと笑いが起こった。
ロゼウス
「もっと面白い事を見せよう。」
間
ロゼウス
『トルトューラ・首を絞めろ』
「パチン」
N
生徒は自身の首を抑えながら足をバタつかせていた。
教室内は一気に恐怖で包まれた。
ロゼウス
「これが禁忌呪文。
どうだい?面白いかい??」
ビランカ
「やめ、やめて下さい!
先生!それは体罰です!」
ニッチ
「し、死んじまうよ!先生!」
アスターク
「兄ちゃん!」
N
騒然とする教室内でロゼウスだけが微笑んでいた。
ロゼウス
「フフッ」
ロゼウス
『カデラートデモンストランダム・終焉せよ』
「パチン」
N
ロゼウスが指を鳴らすと生徒はバタンと倒れた。
ニッチ
「な、なんてことしやがる...」
ビランカ
「ひどい」
アスターク
「ッッ!!」
N
アスタークは駆け寄って生徒を見た。
アスターク
「これは...。」
ロゼウス
「僕は嘘をついた。
生徒は27人なんかじゃあない。26人さ。」
アスターク
「人形?」
ビランカ
「え?人形なの?」
ニッチ
「でもずっと教室にいたよな?」
ロゼウス
「生徒に手を出す訳ないだろ?
ましてや人間に対して禁忌呪文なんて使ったら
僕は退学になってしまう。
安心してくれ。これは訓練用の“魔術人形リカドーラ”
魔術で人間を模した人形さ。」
ビランカ
「ふぅ...良かった。」
ロゼウス
「だが」
N
するとロゼウスはキリッとした顔で生徒全員を見た。
ロゼウス
「見て分かったと思うが魔術は危険だ。
未熟な者は人を簡単に殺す。
知識のない者は扱ってはならない。」
ビランカ・ニッチ
「...はい。」
ロゼウス
「いいかい?全ての魔術には反転魔術が存在する。
炎なら水、静なら動。
魔術を覚えたらその反転する魔術を
必ず覚えなければならないんだ。
では、反転出来ない魔術はなんだと思う?」
アスターク
「人を...殺してしまった時。」
ロゼウス
「そのとおりだ。
殺した者を生き返らせる事は出来ない。
魔術は魔法なんかじゃないんだ。
禁忌呪文を繰り返し使って心が引き裂かれれば
闇に堕ちる。そして...」
アスターク
「魔女になる。」
N
アスタークがその言葉を発した瞬間
小さな悲鳴が上がった。
ロゼウス
「魔術と魔法の違いは?アンハーデンくん」
アスターク
「魔術は理論的かつ証明できるもの
魔法は非理論的で証明出来ない未知のもの。」
ロゼウス
「そうだね。人は説明出来ないものを魔法と呼んだんだ。
今でも魔術で魔法を再現しようと試みる者が沢山いる」
アスターク
「もし...証明できたら??」
ニッチ
「それは...世紀の大発見だぜ!!
きっと想像できないぐらい凄い魔術なんだろな...」
ロゼウス
「世紀の大発見...もしくは世紀の大罪人だね。
では、禁忌呪文が何故、禁忌とされているか。
分かるかい??」
アスターク
「人が...人で無くなるから」
ロゼウス
「御名答。
それを"魔女堕ち"と呼ぶ。
禁忌呪文を寵愛した魔女アダナキシアは
自身を魔術として封印し
自分と同じ様に禁忌呪文に惹かれた者を
須く愛し引き寄せた。
魔女の寵愛を受けた者は恋に堕ちたかの様に
盲目になり、アダナキシアの奴隷と化す。
つまり、心を失ってしまうんだ。」
ニッチ
「だから...人で無くなるって事なんですね。」
ロゼウス
「そうだね。ダンゴくん。
他にも禁忌呪文にはどんなものがあるかな?」
ニッチ
「...錬金術を使った...金や宝石の錬成です。」
ロゼウス
「目的によっては禁忌呪文では無いけど
それは錬成した本人が一番よく理解しているはずさ。
金に無心した者は...容易く闇に染まる。」
ニッチ
「あの...もし、魔女堕ちしてしまって心を失ったら
どうなるんですか!?!?」
ロゼウス
「...さぁね。どうなるかは僕も知らない。
そんなに気になるかい?ダンゴくん」
ニッチ
「ちょっと...興味本意で」
ビランカ
「私...聞いたことある。
魔女アダナキシアは...自分を愛さない者を嫌うって
例えばーー」
アスターク
「神。とか」
ニッチ
「神?神ってあの神?」
アスターク
「鞘神もそうだし」
ビランカ
「神滅とかも」
ニッチ
「じゃぁ大悪魔 とか...それは違うか」
ロゼウス
「それぐらいにしておこうか。」
ニッチ
「す、すみません」
ロゼウス
「それと、みんなに1つ約束して欲しい事がある。」
アスターク・ニッチ・ビランカ
「約束?」
ロゼウス
「今の話しを聞いたら
魔女という言葉がどれ程の重さであるか
理解出来たと思うけど
稀にその言葉を、中傷する際使う愚か者がいてね。
人に対して魔女だなんて言葉は
絶対に使わないで欲しい。それが僕との約束だ。」
N
そう言うとロゼウスは生徒全員を見渡した。
ロゼウス
「時に言葉は...
簡単に心を引き裂く"魔法"になり得るのだから」
アスターク・ビランカ・ニッチ
「......ッッ」
N
ロゼウスのその言葉に生徒全員が息を呑んだ。
ロゼウス
「さて、改めて言おう。
ようこそ。スペリオールアカデミーへ。
僕が担任のロゼウス=ガルガディック=アンハーデンだ。」
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N
作者REN'sJackson
ー聖十字〜スペリオール魔術兵団〜ー
『スペリオールアカデミーズ』
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亜人、この設定をようやく明かせる日が来ました。
ドラゴンを掘り下げないと語れなくてですね。
五章でようやく語れる日が来るとは...
エロディウムありがとう!おっぱい最高!!
すでに登場してる亜人いるので全部読み返してみてね!
そして、スペリオールアカデミーズ!!
じつはボイコネというアプリで一話だけ載せたんですが
ボイコネから移植して来ました。
ボイコネ版は特別読み切りみたいなもんで
今回はちゃんと本編に絡む形でリニューアル
3分の2が変わってます笑
なので知ってる方も知らない方も楽しめるんじゃないかな。
とっても重要なお話しなのでよく読んで考察してね。
本編が進んでいけば出てくるかもね!
ちなみに、ニッチはモンティのご先祖さまだぜ笑
良かったらジニアズサイドストーリーも
合わせて読んでみてください。
じゃ、vol.5で会おう。
ps.毎月第2土曜日11:00からの
千刃花ラジオアメージングもよろしくね。
ツイキャスラジオでやってるよ!