Vol.2 祈×刀
数ヶ月も待たせてしまってすまないね!
でもその間は0章を書いて連載してたんだぜ!
ついこの前はスイセズサイドストーリー2を掲載したから良かったら見てくれよな!!!
さて、今回はオーディションも開催した新キャラが出るぜ!!
どんなキャラなのかは見たら分かるぜ★
では、楽しんで!!
アザミ
((例え錆付いていたとしても
忘るること勿れ
斬り付けたその刃が
己自身にも向いているという事に))
※音楽がある場合終わるまで待つ
N▶︎▶︎▶︎アザミ
N
ナーベルク士官学校 秋の恒例行事 帰郷祭。
3年生は毎年卒業舞踏会 を行なうが
1年生と2年生は演目が毎年異なり
プラムの口からその全容が明らかになった。
今年は学年別チーム対抗刃術バトルロワイヤル
来年は様々な出し物で芸術点を競い合う
野外芸術祭 と発表されていた。
それを聞いたジジは来年に向けてラナンキュラス、アキレイ
ツバキ、ルビウス、プラムと共に
バンドを組む事を提案する。
初めは嫌がる面々だったが最終的に言いくるめられ
ガーベラ記念ドーム地下にあるスタジオ音・跳・飛 にて
練習に励んでいると
そこにまだ幼いガーベラが登場した。
すると、アキレイの妹であるリナリアの手術について
口にしたガーベラに一同は驚愕するのであった。
配役変更一覧
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プラム▶︎▶︎▶︎ガーベラ兼任
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ガーベラ
「あ、そう言えば、決まったってね!アキレイ!!」
N
アキレイは急に神妙な面持ちになった。
アキレイ
「ぁあ。そうだな。」
ガーベラ
「もちろん休むんでしょ?」
アキレイ
「そうだな。」
ツバキ
「また良からぬ事をしているのではあるまい。」
ジジ
「休む!?何をだ!?」
ルビウス
「何の話をしてるんだ?」
ラナンキュラス
「何か...あったのかい?」
ガーベラ
「何って...明日はリナリアちゃんの手術でしょ?」
N
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作者 REN’sJackson
ー千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜ー
ナーベルク士官学校篇
Vol.2 『祈 × 刀』
※音楽がある場合終わるまで待つ
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N
衝撃的な事実を知ったルビウス達は
その後解散し翌朝、共に登校した。
ルシファンブルク家専用飛行魔進 "CH-01"にて
ルビウス
((なんだなんだ...なんか昨日から気まずいぞ!!
よし、ここは僕が!!!))
ルビウス
「いやぁ!!2日も素敵なホテルに泊まらせてもらって
申し訳ないなー。所でアキレイは...
今日はやっぱりいないのかい?」
N
しばらくの沈黙の後ジジはリナリアからもらった手紙を
眺めながらボソッと呟いた。
ジジ
「いねーよ。
リナリアが手術なんだから来る訳ねぇだろクソメガネ」
ツバキ
「リナリアは幼少期から身体が弱い。」
ルビウス
「そ、そうなのか。ど、どんな病気なんだ?」
ジジ
「お前に関係ねーだろ」
ルビウス
「そ、それは...そうなんだが...」
プラム
「気になって当然ですわ。
私達は知っているのに1人だけ知らないのでは
まるで蚊帳の外じゃありませんの」
ジジ
「蚊帳の外だろうが」
ルビウス
((辛辣過ぎる!!!))
N
すると、新聞を読んでいたラナンキュラスが口を開いた。
ラナンキュラス
「別に教えてあげても良いんじゃない?ジジ。
どのみち後で知る事になるんだからさ」
ツバキ
「何を言うラナン。
ここにいる誰もがアキレイの了承を無しに
リナリアを語る事など許されぬ。
奴に直接聞けば良いだけの事。」
プラム
「確かにそうかも知れませんが
ルシファンブルク・タイムズに...」
ラナンキュラス
「リナリーの事...載ってるけど?」
ジジ・ツバキ・ルビウス
「何!?!?!?」
N
ジジはラナンキュラスの席に向かうと
ルシファンブルク・タイムズを見た。
ジジ
「...マジかよ。全部載ってんじゃねぇか!!」
ラナンキュラス
「あの新聞記者でしょ?どうせ」
ツバキ
「我らですら顔も知らぬ。
どこで盗み聞きしているのかも潜んでいるかも分からぬ
警戒せねばならん。そして、見つけ次第...斬る。」
ルビウス
「斬るな!!何ですぐに斬ろうとするんだ君は!!」
ジジ
「いや...義忠。
斬るだけじゃ足りねぇ。
アイツには散々痛い目に合わせられてるからな!!」
プラム
「私達が朝刊で知る前に
リナリアがガーベラに教える様に頼んだ。
という事なのでしょう」
ジジ
「チッ。」
ラナンキュラス
「そう言う事だね。
まぁ、アキレイは言うタイミングをずっと伺ってたんだよ」
ルビウス
「ジジがバンドの話しをするから
アキレイが言うタイミングを失っていたんじゃないか?」
ジジ
「俺のせいかよ!!」
ツバキ
「くだらぬ。奴のことだ。
そもそも言い忘れていたのだろう」
ジジ
「あり得る」
ラナンキュラス
「そうだね。」
プラム
「フフッ」
ルビウス
「彼は天然なのか!?」
ラナンキュラス
「って事で、ここに書いてある通り
リナリーは先天性の自己免疫疾患なんだよ。」
ジジ
「最近、その原因が分かった。
一般人には刃汽について
伏せられてる部分があるからよ。
細かい病名は流石に書かれてねぇがな。」
ルビウス
「自己免疫疾患って...
免疫が誤って自分自身を攻撃してしまうあれか?」
プラム
「そうですわ。自己免疫刃汽多量症と言って
リナリアの場合は強大過ぎる刃汽により
自分自身を攻撃してしまうのです。」
ルビウス
「強大過ぎる...刃汽」
ツバキ
「刃汽とは心技体のどれか一つでも欠けてしまえば
扱う事は出来ぬ。」
ラナンキュラス
「そうさ。幼い肉体に対して刃汽量が強大過ぎた。
リナリーは自分自身の刃汽に
押し潰されてしまいそうになっていたんだよ。」
ツバキ
「故に常時、体力を消費し自身で抑える事は出来ぬ。
リナリアの場合は外側に刃汽が漏れているわけではない。
多量に溢れ出る刃汽は内側に向けられ
我等でも感知する事は出来なかった。
ましてや刃汽を知らぬ一般の医師が
気付かぬのも無理は無い」
プラム
「ですから発見が遅れてしまったわけです。
それまでは原因不明の自己免疫疾患として
ずっと意味のない治療を受けていたのですわ」
ルビウス
「それが手術でどうにかなるものなのか!?」
ジジ
「ぁあ。これは一般医療じゃどうにも出来ねぇ。
癒者 による刃術的アプローチで
抑制するしかねぇそうだ。
逃げ口がねぇのに内側から刃汽が溢れて
肺や臓器を攻撃してるみてぇだからな。」
N
癒者 とは
医師免許を持ち四十番以上の照刃を扱える
治療のエキスパートを指す。
ラナンキュラス
「そうだね。最近特に体調が優れないから
忙しい中、カルミアさんに診てもらったんだよ。」
ルビウス
「カルミアって...まさか五刃花隊の隊長!?
鞘花が直々に診てくれたっていうのか!?」
ジジ
「ぁあ。そうだ。
初めはシルバに診てもらったが
原因が分からなかった。」
プラム
「それでカルミアさんに頼んでくれたんです。」
ルビウス
「流石は桜雌鹿の鞘花...」
ツバキ
「花の鞘花は生命を司る。
まさに神の能力。
貴公がどうあがいても届かぬ能力だ。」
ルビウス
「僕はいつか届いて見せるさ。
その為に僕はナーベルク士官学校に入ったんだからね!」
アキレイ
「そうだな!!」
ラナンキュラス
「フフッ。そうだね。...ん?」
ルビウス・ジジ・ラナンキュラス・プラム
「えーーー!!!!!!」
アキレイ
「何を驚いてる!!!」
ルビウス
「な、な、な何でここにいるんだ!!
今日は手術じゃないのか!!!」
アキレイ
「ぁあ!そうだ!!!」
ジジ
「ぁあ!そうだ!!じゃねぇんだよ!!テメェ!!」
ルビウス
「休むと言っていたじゃないか!!」
アキレイ
「手術は夕方だ!!
それまでは学校に行く事にしたのだ!!
卒業出来なければリナリアになんて言われるか!!」
プラム
「ど、どこにいらしたんですか!?」
アキレイ
「後ろで寝ていた!!
全く...危うく乗り過ごす所だったぞ!!
離陸する寸前、ツバキがいなかったら...」
N
ーー数十分前ーー
寝坊して走るアキレイ
アキレイ
「ハァ...ハァ...まずい!!乗り遅れてしまう!!」
N
ジジ達は既に飛行機に乗り込んでいた。
アキレイ
「おーーい!!待ってくれぇえ!!!!
まだ俺が乗っていないぞ!!!!!」
ツバキ
「...ん?...っっ!!」
アキレイ
「お!!ツバキ!!!!」
ツバキ
「...くだらぬ」
N
窓からアキレイが走ってくるのが見えたツバキは
何事も無かった様に目を逸らした。
アキレイ
「何で目を逸らした!!!
待ってくれぇええ!!!!」
N
完全防音の機内では
アキレイの声は届かなかった。
アキレイ
「ぬぉおおおおおお!!!!」
プラム
「義忠様...どうかなさいました?」
ツバキ
「何でもない。」
アキレイ
「このままでは!!泳いで向かう事になる!!
仕方ない!!!俺のオヤツをくれてやる!!!
ツバキ!!!!!!!!!!」
N
するとアキレイは右手に新作のグミを掲げた。
ツバキ
「ッッ!!!!!...あれは」
プラム
「義忠様?」
ツバキ
「プラム。離陸までどれくらいだ」
プラム
「2分ぐらいですわ」
ツバキ
「外にゴミが落ちている。」
プラム
「あら...執事に伝えておきますわ」
ツバキ
「それには及ばぬ。私が拾って来よう。」
プラム
「まぁ!!プラムは感激致しました。
義忠様ほどのお方が
ゴミを拾ってくださるなんて!!」
N
するとツバキはシュタッと立ち上がり
ジジ達を横目に搭乗口に向かった。
ラナンキュラス
「ツバキ?」
ジジ
「なんだ?便所か?義忠」
ルビウス
((ツバキもトイレ行くのか!!))
N
ツバキは搭乗ハッチを下ろすと
アキレイを冷めた目つきで見下ろしていた。
ツバキ
「貴公...何をしている」
アキレイ
「ハァ...ハァ...助かったぞツバキ...
危うく乗り過ごす所だった。
って...何故ゴミを見る様な目で見てるんだ!!」
ツバキ
「時間も守れぬ貴公などゴミとなんら変わらぬ
それに...その右手のモノを
この私に届ける為に来たのでは無いのか?」
アキレイ
「学校に...行くために来たんだ!!」
ツバキ
「そうか。そのグミを渡して早々に立ち去るがいい。」
アキレイ
「待て待て待て!!じ、時間に遅れたのは...悪かった。
その代わり...グミを2つ...でどうだ。」
ツバキ
「乗れ」
アキレイ
「恩にきる!!!!」
N
そう言ってアキレイは機内に入ると
袋からグミを2粒取り出し
ツバキの手のひらにちょこんと置いた。
ツバキ
「ッッ!?...2粒...だと?」
アキレイ
「よし!寝る!!」
N
ーーそして現在ーー
グミ2袋だと思っていたツバキは
アキレイの顔を見ながら
グッと眉をひそめていた。
ラナンキュラス
「乗ってたの気付いた人いる??」
ツバキ
「むしろ何故、気付かない。
言ったであろう。奴に直接聞けと。」
ジジ
「ほら、もう着くぜ」
N
ナーベルク士官学校の飛行場に着陸した一行
プラム
「では、皆さまご機嫌よう。
私はB-1stなので。
義忠様。御武運を」
ツバキ
「ぁあ」
N
そういってプラムはB-1stの教室がある
メノイ島に続く通路へ向かっていった。
ジジ
「さて、今日はアイツが来るぜ」
アキレイ
「ぁあ」
ラナンキュラス
「そうだね。」
ルビウス
「...何をさせられるんだろうか」
ツバキ
「やり遂げるのみ」
ルビウス
「元・上位 十士族 の1人 一颯=莇生...」
ラナンキュラス
「...アキレイの所と同じ元・上位 十士族 」
ジジ
「お前あそこら辺に嫌われてそうだよなー」
アキレイ
「何!?そうなのか!?」
ラナンキュラス
「マーティン家が頭1つ抜きん出たんだよ。
圧倒的な商才でね。」
ルビウス
「どういう事だ!?マーティン家は六大貴族だろ??」
ジジ
「メガネのくせに知らねえのか??」
ルビウス
「メガネは関係ないだろ!!」
アキレイ
「ラナンがややこしい言い方したからな!」
ラナンキュラス
「あ、そうだよねぇー。ごめんごめん。
ルビウス、六大貴族っていうくらいだから
他の貴族がいて当たり前だろ??
居なかったらどの貴族と比べて僕たちは偉いのさ」
ルビウス
「そ、そうだが」
ツバキ
「我ら六大貴族の下は上位 十士族
その下が下級貴族となる。
しかし、度重なる戦争で半分となった 十士族 は
アキレイの家が昇格したのと同時に解体され
あらゆる権限を剥奪された。
いわゆる没落したという訳だ。」
ルビウス
「没落?貴族というのは
建国に貢献した騎士や商人の子孫じゃないのか?
剥奪とはあんまりじゃないか!」
ジジ
「目に見えて衰退していったからな。
下級貴族の方がよっぽどマシだった。」
ラナンキュラス
「もちろん、とんでもない才能を
今でも多く輩出しているよ。
血は争えないね。」
アキレイ
「100年くらい前か?
俺の祖先は魔進事業で大儲けし
国内で力を得て六大貴族となったわけだ。」
ツバキ
「無論、それだけが要因ではない。
莇生家、我が母の橘花家
マーティン家、スノーマン家は
国との結びつきが非常に強いのもあった。」
アキレイ
「今では元・上位 十士族 も
莇生家と姫詩苑家、スノーマン家のみだ。」
ルビウス
「たったの3つしか残っていないのか...」
ジジ
「覚悟しとけよ。家としちゃ俺らが格上だが
ここはナーベルク士官学校。
俺たちは生徒で向こうは教官。
特にアザミの野郎はそんなシガラミ関係ねぇからな。」
N▶︎▶︎▶︎▶︎プラム
N
A-1st教室内にて
始業開始のチャイムが鳴り響く。
教室内の生徒たちは緊張感に包まれていた。
すると、カランコロンという音が廊下から鳴り響く
ルビウス
((来るぞ来るぞ!!!))
N
ガラガラッと教室の扉が開くと
A-1st担任
一颯=莇生が登場した。
アザミはいつも通り黒い甚兵衛に下駄
腰には木刀を携え、顔に大きく付いた古傷が
更に生徒たちに恐怖を駆り立てる。
アザミ
「ふぁぁ... 。おい、おめぇら」
N
その第一声に緊張が走る
アザミ
「挨拶。」
ルビウス・ラナン・ジジ・ツバキ・アキレイ
「おはようございます!!」
N
クラス全員が起立し頭を深く下げた。
もちろん、六大貴族であるジジ達も例外ではない。
アザミ
「久しぶり...だよな?
入学式以来...だっけか。ふぁぁ... 。
座学ばっかでつまんなかったろ??
なぁ?六大貴族共。おめぇらの生意気っぷりは聞いてるぜ?
それと、ドレーク。」
ルビウス
「はい!!」
アザミ
「最近絡まれてるらしいじゃねぇか」
ルビウス
「仲良くさせていただいております!!」
ジジ
「プッ...仲良くさせていただいてるってよ」
ラナンキュラス
「間違いないんじゃない?」
アザミ
「おい。ルシファンブルク。バンジャマン。」
ジジ・ラナンキュラス
「はい!!」
アザミ
「誰が喋っていいって言ったんだ?」
ラナンキュラス
「いいえ。誰も言っていません!!」
ジジ
「...申し訳ありませんでした」
ルビウス
((怖ぇえー!!!ラナンキュラスもジジも
アザミ先生に圧倒されてる!!!))
アザミ
「戦場では上官のいう事は絶対。
許可がない限り喋んじゃねーよ。
それにマーティン。」
アキレイ
「はい!!」
N
アザミはゆっくりとアキレイへ向かって歩くと
目の前で立ち止まった。
アザミ
「なんで飯食ってんだ?」
アキレイ
「 ゴクン。
腹が減っては戦は出来ぬからであります!!」
アザミ
「そうか。」
アキレイ
「はい。」
ルビウス
「アキレイ!!!」
N
するとアザミは目にも止まらぬ速さで
アキレイを木刀で殴り伏せた。
アキレイ
「ガッ!!」
N
その瞬間、ジジ、ツバキ、ラナンキュラスは
アザミに向かって両手を構えた。
アザミ
「ほぅ...」
ジジ・ツバキ・ラナンキュラス
「アガッッ」
N
しかし、アザミはその3人さえも殴り伏せた。
アザミ
「初動は褒めてやる。
だが、近接戦闘において刃術の発動は
詠唱をするタイムラグが発生する。
俺が俺の間合いにいる奴らに
詠唱させると思うのか?」
ジジ・アキレイ・ツバキ・ラナン
「ッッッッ!!」
ルビウス
「アザミ先生発言許可を!!」
アザミ
「ドレーク」
ルビウス
「ジジ達は先生を攻撃出来るわけがありません!!
とっさに臨戦態勢をとり威嚇しただけであります!」
アザミ
「いいや。コイツら刃汽を練り始めてた。
本気で撃つ気でいたはずだ。だが遅かった。
相手が動き始めた時点で詠唱を始め
攻撃動作に入る直前には着弾してねぇと
まるで意味がねぇ。そうだろ?ツバキ」
ツバキ
「...その通りです」
アザミ
「...フフッ。
だがこのクラスで
俺の初動を止めようとしたのは
ドレーク、ツバキ、ルシファンブルクに
バンジャマンだ。
他の奴らは縮こまってただけ。
まぁ、入学して一月そこらって考えると
悪くはねぇな。
おい、マーティン。次飯食ってたら
その胃に入ってるもん全部、吐き出させる。
いいな?」
アキレイ
「は、はい」
ラナンキュラス
「グッ」
ジジ
「チッ」
ツバキ
「...グッ」
N
アザミは教壇に戻ると
クラス全体を見渡した。
アザミ
「俺のクラスは特化クラスA-1st。
主に兵力を高めるクラスだ。
戦闘刃術及び基礎戦闘技術を中心に鍛える。
目指すは千刃花へ入隊すること。
ただの帝国兵になるぐらいなら
A-2nd以下に行ったらいい。
俺は弱者を育てる気はねぇんだ。
それとな...校内では刃術禁止だ。
ましてや刃汽の基礎もままならねぇ
おめぇらが使えば
俺の給料が減って仕事が増える。
使うならバレずにやれ。
隠蔽も隊士としての力量だ。
戦争は綺麗事だけじゃねぇから...なッッ」
N
そう言うと
アザミは木刀で教壇を真っ二つに叩き割った。
アザミ
「分かったかテメェら。
つまんねぇ座学なんざもう終わりだ。
俺がテメェらを最強の隊士にしてやる。」
ルビウス
「...最強の...隊士」
アザミ
「今日から肌身離さずこれを持て。いいな。」
N
アザミはそう言うとクラス全員分の木刀を
それぞれの机の上に配った。
アザミ
「おめぇらの中に
この木刀が、何か分かる奴はいるか?」
ラナンキュラス
「...これは。」
アキレイ
「...祈木の刀」
アザミ
「そうだ。これは神木...エザの守り木を
芯として加工された木刀だ。
知ってるかは知らねぇが
エザの守り木は持っている刃汽を
記憶する能力がある。
だが樹木本体と違って永続性はねぇ。
その都度込めた分の刃汽しか記憶は出来ねぇ。
そもそも、刃汽とは何か分かるか?」
ラナンキュラス
「汽枢から生まれる生命エネルギーです」
アザミ
「そうだ。座学で刃汽について
学んだだろうが扱えるもんは少ねぇはずだ。
ありがてぇ事に祈木の刀は
慣れるまでは強制的に汽枢から
刃汽を吸い出す。
例え微弱な刃汽だとしてもだ。」
ツバキ
「...なるほど。
それでそれぞれの得意系統が
分かるという訳か。」
アザミ
「その通りだ。
刃術にはそれぞれ系統がある。
この祈木の刀は握るだけで
最も得意な刃術系統が分かる。
それで、刃術にはどんな系統があるか
分かる奴いるか?」
アキレイ
「はい!!!炎熱系です!!」
アザミ
「もっとあんだよ」
ルビウス
「空間、鋼鉄、光彩、土砂!!」
ラナンキュラス
「旋風に樹花に水流」
ジジ
「引斥、雷電」
ツバキ
「薬毒、氷雪、波動」
アザミ
「そしてどの系統にも属さない无属だ。
自分の得意系統をまず知る所から全てが始まる。
不得意な系統はまず使うことは出来ねぇ。
今日からは祈木の刀を使って
より実戦に近い訓練をする。」
ルビウス・ツバキ・アキレイ・ラナン・ジジ
「はい!!」
アザミ
「んじゃぁ。祈木の刀を握って見ろ。」
N
アザミの指示通り全員が祈木の刀を握った。
ラナンキュラス
「これは!!!!祈木の刀が濡れてる!?」
アキレイ
「煙??...焦げているのか!!」
ジジ
「痛ぇ!!何だこれ静電気かよ!!」
ツバキ
「歪んでいる。」
ルビウス
「...何も起こらないぞ!!」
ラナンキュラス
「才能無いんじゃない?」
ジジ
「クックックッ...見た目通りじゃねぇか」
ルビウス
「そんな事はない!!
って見た目通りってなんだ!!!」
ツバキ
「よく見ろ。貴公の祈木の刀の表面を」
ルビウス
「表面??ん?何か銀色っぽいな...鉄か!!」
アザミ
「刃術を使える六大貴族のおめぇらも
祈木の刀を使った系統反応は初めて見たろ。
これはナーベルク士官学校でしか
見る事が出来ねぇからな。」
アキレイ
「何!?そうなのか!?ツバキ!!」
ツバキ
「知らぬ。話しかけるな」
アザミ
「祈木の刀は滅刃の一が
扱えるようになるまでの補助輪だ。その後は回収する。」
アキレイ
「てっきり貰えると思っていた!!」
アザミ
「貴重なもんをやるかよ。」
ラナンキュラス
「先生...先生の持っている木刀。
それも祈木の刀ですよね?」
アザミ
「そうだ。」
ジジ
「なんで系統反応がねぇんだ。ってこったろ?」
ラナンキュラス
「ぁあ。」
アザミ
「簡単な話しだ。俺の得意系統は无属系統。
属性の付加が無けりゃ反応しねぇのが普通だろ?」
ルビウス
「无属系は反応が無い...
炎熱系は焦げる...水流系は濡れて...雷電系は痺れる。
歪むのは...歪むのはなんですか!!先生!!」
N
ルビウスはメモを取りながら
アザミに質問した。
アザミ
「空間だ。」
ルビウス
「空間は歪むと...」
N
ルビウスはそういってクラスを見渡し
全員の系統反応を見ていた。
ルビウス
「光彩は...消えるのか!!!
土砂は砂がポロポロ出て...樹花は花が咲くと。
なんて!!神秘的なんだ!!!!!」
アザミ
「それぞれの得意系統が分かった所で
移動するぞ。」
ツバキ
「どこへ行くのですか?」
アザミ
「修練場だよ。」
アキレイ
「修練場!?!?それは楽しみだ!!!」
ルビウス
「...く、訓練!!」
アザミ
「教室内は禁煙なんだよ。
修練場だったら文句は言われねぇ」
ルビウス
((そんな理由でーー!?!?))
N
A-1stの生徒は
別棟にある修練場へと向かった。
アザミ
「おし。」
N
コンクリートが敷き詰められた修練場の端にある壇上に
アザミは寝そべるとタバコに火をつけ生徒達を見下ろした。
アザミ
「ふぅーーーー。タバコうまっ。
よし、おめぇら。コイツを吸い終わるまでに
俺を少しでも動かせたら今日の授業は終わりだ。
帰っていいぞ。ただし、祈木の刀以外は
使用禁止だ。本気でかかってこい。」
ジジ
「おもいっきしブン殴るチャンスだな!!」
アキレイ
「そうだな!!!」
ラナンキュラス
「早めに終わらせて帰ろうか。」
ルビウス
「何で君たちそんなウキウキしてるんだ!!」
N
するとツバキが先頭を切って走り出した。
ツバキ
「...ッッ!!」
アキレイ
「俺が先だぁあ!!」
ルビウス
「アキレイ!!!」
ラナンキュラス
「ツバキ!!」
ジジ
「義忠に遅れ取るなよ!!テメェら!!」
アザミ
「まだ開始宣告してねぇのにやる気はあんだな。」
N
ツバキは壇上へ飛び乗りそのままの勢いで
アザミに斬りかかった。
アキレイ・ラナン・ルビウス・ジジ
「ウォオオオオオ!!!」
アザミ
「ふぅーーーー。」
N
アザミは寝そべったままツバキ達の猛攻を
祈木の刀で捌いていた。
ツバキ・ジジ・ラナン・アキレイ・ルビウス
「ガッッッ!!!!」
アザミ
「そんなもんかよ。」
N
目で追えぬほどの剣速に
たちまち弾き返されてしまった。
ルビウス
「これが訓練!?何の意味があるんだ!?」
ラナンキュラス
「無闇に突撃しても意味がない。作戦を立てないと。」
ジジ
「タバコ吸い終わるまでに立てて実行するって
後何秒でやるつもりだ??」
ツバキ
「無意味。奴に狙いなどない。」
アキレイ
「そうだな。暇つぶしか何かだろう」
ラナンキュラス
「そうかな?僕にはそんな風に見えないけど」
ジジ
「同感だ。」
ルビウス
「試されてるって事だろ?
でも狙いが分からないんじゃヤリようが無い!!」
ジジ
「...それだ!!挑発に乗るんじゃねぇ」
ツバキ
「なんだと?」
ルビウス
「どうすればいいんだ?」
ラナンキュラス
「何もしなくていいのさ。
どうせ吸い終わるまでに動かせないからね」
N
次々と他の生徒達が挑む中
ジジ達はその様子を見ていた。
アザミ
「ほぅ。」
N
そしてアザミがタバコを吸い終わると
立ち上がった。
ジジ達以外は立ち上がる事なく
息を上げて天井を見上げていた。
アザミ
「戦闘において敵が何を考えているのか
瞬時に判断する必要がある。
決して感情的になっちゃいけねぇ。
心は熱く。頭は冷静に。
これが基本だ。
例え無理難題を迫られてもだ。
祈木の刀を与えられて
気分が高揚したろ???
早く力を試したいと思ったろ?
ルシファンブルク達は途中で動くのをやめた。
それは冷静に戦況を読んだ結果。
そしてアイツら以外は既に虫の息。
戦争だったら生き残るのはアイツらで
そこでくたばってんのは死ぬ奴だ。
教室で俺にヤられても尚
その判断が出来たのは上出来だ」
N
そう言うとアザミは壇上から降り
各生徒に祈木の刀の扱い方をレクチャーし始めた。
アザミ
「なんで銃火器じゃなくて刀の振り方を教えてるか
分かるか?」
ルビウス
「そういえば何でだろう...」
ジジ
「分かんねえのかよ」
アキレイ
「俺でも分かるぞ!!」
アザミ
「それは...鞘花になるためだ。」
ルビウス
「鞘花になる...ため?」
アザミ
「鞘は刀の形をしてんだろ??
鞘花になった所で
刀の扱い方を知らねぇんじゃ何の意味もねー。
全てはその為だ。斬術は千刃花入隊に必須。
おしっ。
さっきので大体どんな癖かは理解した。
基礎がなってんのはツバキぐらいだ。
そもそも祈木の刀の系統も活かせてねぇ。
これからみっちり教えてやるよ。
まずは素振り1万回からだな。」
ルビウス
「1万回!?!?」
N
それから夕暮れまで1万回の素振りを終えた。
アザミ
「今日はここまで。
明日はエロディウムの授業だ。
とぼけた野郎だが舐めてかかると
痛い目みんぞ。」
アキレイ・ツバキ・ラナン・ルビウス・ジジ
「ありがとうございました!!」
N
そして、それぞれが帰路についた。
ラナンキュラス
「グッ…腕が...上がらない」
ジジ
「流石に...きつかった」
ルビウス
「僕は...帰って...寝たい」
アキレイ
「俺は...行かねばならん!!」
ジジ
「ぁあ...そうだな。」
ツバキ
「私は帰る。」
ラナンキュラス
「まさか今から楽器の練習しないよね!?」
ジジ
「するかよ!!」
ルビウス
「良かったぁ...」
アキレイ
「にしてもアザミ先生は凄かったな。」
ラナンキュラス
「そうだね。あまりに強すぎるよ。」
ツバキ
「世界は広いと痛感した。」
ジジ
「珍しいな義忠どうした?」
ツバキ
「修行が足りぬ。そう思ったまでのこと。」
ルビウス
「僕らはまだまだって事だね。」
ジジ
「おめぇが言うな」
ルビウス
「どういう意味だ!!」
ラナンキュラス
「元気だねぇルビウスは。
で?ジジはどうするの?」
ジジ
「俺は...」
N
ーー1時間後ーー
ここはルシファンブルクにある
ナーベルク帝国兵総合病院零華
特別管理病棟ーー
アキレイ
「ジジ。いつもすまない。
きっとリナリアも心強いはずだ。」
N
ジジとアキレイはリナリアがいる病室の前にいた。
しかしあまりにも厳重過ぎる警備と扉に
2人は違和感を覚えた。
ジジ
「病室変えたって聞いたけどよぉ
さすがにやりすぎじゃねぇか??
つぅか寒みぃし!!!!」
N
ジジとアキレイは警備を通る際
異様な厚着をしている人々を見ていた。
アキレイ
「リナリアの容体が急変したらしい。
俺も変わってから来るのは初めてだ。」
ジジ
「そうか。リナリア!!入るぞ」
N
扉をガラッと開けるとビョオオオッっと
一気に吹雪が吹き抜けた。
ジジ・アキレイ
「ッッッッ!!!」
ジジ
「何だよこれ!!!!!こんなんになってたのかよ!!」
アキレイ
「俺も知らん!!!一体これはどうなってるんだ!!」
ジジ
「この前会った時はそんな事無かったろ!!
自己刃汽多量症ってどういう事だ!?」
アキレイ
「知らんと言っているだろ!!!」
N
病室内は雪が積もり
リナリアから発せられる刃汽は
忽ち凍りつく。
あまりの吹雪の強さに前に進むことが出来なかった。
ジジ
「アキレイ!!一旦外に出るぞ!!」
アキレイ
「何だと!?手術前だぞ!!
寒かろうがなんだろうが俺はリナリアのそばにいる!!」
ジジ
「バカか!!そばにいたら凍りつくぞ!!!」
アキレイ
「俺は炎熱系の刃術が得意だ!!
今ここで相殺してみせる!!!!」
ジジ
「氷雪系は水流系の上位系統だろうが!!!
単純な炎熱系じゃ消えねーんだよ!!!!」
アキレイ
「俺は何があっても傍から離れん!!
ウォオオオオオ!!!!!リナリアァァ」
ジジ
「チッ!!何があっても近寄れねーんだ!!
これじゃ癒者 だって近づけねぇだろうが!!
出るぞアキレイ!!」
アキレイ
「リナリアァァ!!!」
N
ジジはアキレイを掴んで病室から飛び出した。
ジジ・アキレイ
「ハァ...ハァ...ハァ...」
アキレイ
「いったい...」
ジジ
「ハァ...ハァ...どうなって...やがる」
N
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作者 REN’sJackson
ー千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜ー
ナーベルク士官学校篇
Vol.2 『祈 × 刀』 (完)
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N
N.A.S.S .
全員
『おまけ!!!』
アザミ▶︎▶︎▶︎N
N
ーーナーベルク士官学校へ入学する以前ーー
とある休日ルシファンブルク家の 敷地内にて
ツバキは日課である刀の素振りをしていた。
ツバキ
「フッ!!フッ!!フッ!!フッ!!」
N
プラムはそれを眺めるのが日課だった。
プラム
「義忠様。お茶をお持ちしました。」
ツバキ
「悪い」
プラム
「いいえ。」
N
特に会話もなくお茶を飲み終えると
ツバキは再び素振りをし始め
プラムはそれを眺める。
ツバキ
「フッ!!フッ!!フッ!!フッ!!」
N
そして、それを更に眺めるジジとラナンキュラス
ラナンキュラス
「あの2人...老夫婦みたいだね。」
ジジ
「放っとけよ。」
N
そこに大声で乱入するアキレイ
ツバキ
「フッ!!フッ!!フッ!!フッ!!」
アキレイ
「いつにも増して精が出るな!ツバキ!!」
ラナンキュラス
「アキレイ!!空気読もうよ!」
アキレイ
「ムムッ!!何のだ!!」
ジジ
「別にいんじゃねーの。」
プラム
「まあ!アキレイにラナン!!居らしたのですね!!
義忠様!!今日の夕食は賑やかですわ!」
ツバキ
「フッ!!フッ!!フッ!!フッ!!」
アキレイ
「今日のメシはなんだ!?」
ジジ
「なんで当たり前のように食う気満々なんだよ!」
ラナンキュラス
「ケチ臭い事言わないの。」
プラム
「そうですわ。
ルシファンブルクの次期当主は器を大きく持たなければ。」
ジジ
「コイツらがズウズウしいんだよ!!」
ラナンキュラス
「やだなぁ。
僕と一緒に食べたがる人なんて沢山いるのに。
ほら、僕ってそれなりにモテるだろ?」
ジジ
「ウゼェ」
アキレイ
「来る途中厨房を覗いて来たが
今日はビュッフェみたいだな!!
俺たちが食べることは伝えといたぞ!!」
プラム
「仕事が早いですわ!!流石はアキレイ!!」
ジジ
「勝手に厨房を覗いてんじゃねぇよ!!」
N
するとアキレイ達に向かって
ツバキが刀を投げた。
ジジ・アキレイ・ラナンキュラス
「ウォッ!!!!!!」
ツバキ
「集中出来ぬ。貴公らは何しに来たのだ。
早々に立ち去るが良い。」
プラム
「流石ですわ!義忠様!!
ギリギリ当てずに投げるなんて!!
投擲の才能もお有りなんですね!!」
ジジ
「あ、危ねぇだろ!!義忠!!」
ラナンキュラス
「フフッ。集中出来ないのは...ツバキ。
果たして僕らのせいなのかな?」
ツバキ
「なん...だと?」
アキレイ
「そうだぞ!ツバキ!!一心不乱に振れば
雑念も取り払われるぞ!!!!」
プラム
「アキレイ!!ラナン!!
義忠様はまだ修行の身ですよ!?」
ツバキ
「私の...修行不足だと??」
アキレイ
「プラムの言う通りだ!!!」
ツバキ
「不覚!!」
N
そしてツバキは再び刀を振るうのであった。
ツバキ
「フッ!!フッ!!フッ!!フッ!!」
ラナンキュラス
「案外、ツバキって単純なんだね」
ジジ
「うるせぇ!!黙ってろ!!」
ツバキ
「フッ!!フッ!!フッ!!フッ!!」
《お知らせ》
昨今、ロシア軍による侵攻で
ウクライナの国民の多くが血を流しています。
そして、その多くが罪の無い子供や老人、病人です。
無益な争いで犠牲になった人々の力に少しでもなりたい。
戦争を描く千刃花の作者として
強く強くそう思いました。
そこで、REN'sProductionとして
人道的支援を目的としたチャリティーを行いたいと思います。
千刃花の作品である
"零章 Characters Side Story 番外篇
1th Anniversary Special Edition's Side Story THE PANIC ROOM IN WONDERLAND "に
登場するムスクの谷のFull verを
音原化しその売上全てを
楽天にあるウクライナ人道支援危機緊急支援募金に寄付します。
参加していただいた皆様に
ぜひ、使用の許可をいただきたく
メッセージを送っております。
もし、参加拒否と表明された方は
音原から削除させていただき
リミックスをして 音源化し500円でチャリティー販売させていただきます。
何卒、ご協力の程をお願いいたします。
REN'sProduction 代表 REN'sJackson
詳細はこちら
https://rensproduction.wixsite.com/website/coming-soon-02