Asevi's Side Story 「The JEKYLL and HYDE」
この夏、ぴったりなホラーテイストのアセヴィズサイドストーリー!!
あ、でも本編は夏要素ないので
春夏秋冬楽しめるけどね!!
今回は"人間の二面性"をテーマに
それぞれのキャラクターを
意識して書きました。
各キャラクターの人間くさい部分
そして、アセヴィという数奇な運命を辿った狂人の過去を
垣間見る事が出来ると思います。
誰しもが幸福な世界などなく
誰しもが偽って生きている。
そんな人としての根幹な部分を
この物語を通じて感じてもらえたら嬉しいです。
千刃花はみんながいてこそ。
そしてアセヴィはこの過去があってこそ。
では!!楽しんで!!
リンデーン▶︎▶︎▶︎N
ライラ▶︎▶︎▶︎女性A兼任
♪1
N
とある一室にて。
女性A
「そ、そんなあ!!!
嘘!!死んでる!!!!!」
アセヴィ
「そんな怯えた顔しないでよぉ」
女性A
「ねぇシェイ...な、なんで...こんな事...するの?」
アセヴィ
「え?こんな事って...こんな事ッッ?」
女性A
「アガガガガガッッッッッ」
アセヴィ
「これからゆっくりと楽しましょう?」
女性A
「アッ...アッ...アッ...シェ...イ
...私達...友達...でしょ?
そうでしょ?シェイ!!」
アセヴィ
「友達?友達って
都合の良い女の事を指すのかしら?」
女性A
「ち、違うよ?」
アセヴィ
「へぇ。違うの?
ムフフフッムフフフッッ!!
その顔に刻んであげるわ。
私は嘘つきです。ってね。」
女性A
「やめて...お願い...よ」
アセヴィ
「やめて...お願い...よ?
ムフフフッムフフフッッ!!!」
女性A
「アガッ!!ガハッ!!ウグッ!!!」
アセヴィ
「スクリームが足りない!!!!!
そんなじゃ物足りないのよぉおお!!!
もっと!!もっと!!!
怯えて!!苦しんで!!もがいて!!!
懇願しな!!!このビチグソがあ!!!!」
女性A
「ゴホッゴホッゴホッ
あなた...誰...本当に...シェイ...なの?」
アセヴィ
「シェイ??」
女性A
「ガッ!!」
アセヴィ
「誰よそれ。
私の名は!!!アセヴィ!!!!」
♪2
N
----------------------------
作者 REN’sJackson
ー千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜ー
番外篇 Asevi's Side Story
【 The JEKYLL and HYDE 】
※音楽がある場合鳴り止むまで待つ
----------------------------
♪3
N
ーー数日前ーー
ここはシンシャドゥールにあるコールセンター
業界大手の電子機器メーカーのお客様相談室。
ボードで簡易的に仕切られた1人1台のデスクと
パーソナルコンピューターをあてがわれ
1日に数百件もの電話対応をしている。
ライラ
「大変お待たせ致しました。
フォッキンベッジお客様サポートセンター
担当ライラがお受け致します。
はい...はい。かしこまりました。
では、お問い合わせ内容を復唱させていただきます。
ご購入されたばかりの電子レンジを
使用しようとボタンを押下するも電源が入らず
デリバリーしたお弁当を温められないので
返品をご希望されている。という事で
お間違いないでしょうか?はい...はい。
ご迷惑をおかけ致しまして
大変申し訳ございません。
では、私から一つ確認させていただいても
よろしいでしょうか?
...お客様。電源コードは挿さっていますか?
...はい。そうですね。電源コードを挿さなければ
お弁当を温められません。はい。
大変恐縮ですが電源コードを挿し
それでも稼働しない場合、もう一度
お電話をいただくようお願い致します。
はい...はい。生卵は加熱しないでください。
本日はお問い合わせありがとうございました。
担当、ライラがお受け致しました。
失礼致します...フゥ。」
シェイ
「...ライラ??」
ライラ
「ちょっとシェイ!!今の聴いてた??
電源コード挿さないで使えるわけないよね!?
なんでそんなことも分かんないのかしら!!」
シェイ
紫色のショートヘアに甘ったるい香水の香り
日焼けした肌。スタイルのいい身体
眩しいくらいに白く輝く歯。
わたしが泥なら彼女は雲。
...全てを凌駕するライラに
わたしはいつも憧れていた。
アセヴィ
((嫉 ましい?))
シェイ
((やめて...))
アセヴィ
(( 羨 ましい??))
シェイ
((出てこないで...))
アセヴィ
((私達とは違うものねぇ。))
ライラ
「あ!シェイ!!今夜さぁーーー」
シェイ
「やめて...よ...」
ライラ
「...シェイ??大丈夫??」
アセヴィ
シェイ は典型的な地味な女
声にさえ覇気はなく俯いてばかりで
人と話す時も目を合わせない。
いつも他人の目線を気にかけて
歩く時も足早に過ぎていく
何かあればすぐに謝ってばかりで
聞いてるこっちがイライラする。
シェイ
「あっ。ごめんなさい。ライラ
ち、違うのこれは...その...」
ライラ
「大丈夫??最近疲れてない??」
シェイ
「ちょっと...夜眠れなくて...」
ライラ
「OK!じゃぁ今夜はパァーッと飲も!!」
シェイ
「え?わたしはいいよ。1人でーー」
ライラ
「ねぇ、聞いて!!
ゼクシーウエスタンでやる今日のライブさ!!
友達の知り合いが出るんだけど
その知り合いのギターがめっちゃかっこいいの!
ねえ!行こ!!??」
シェイ
「そ、そうなんだ...
わたし、ライブハウスとかバンドとか
よ、よく分からないから...」
ライラ
「大丈夫だって!!
とりあえずヘドバンして
叫んで飲んでればいいから!」
シェイ
「ヘドバンとか...ちょっと」
ライラ
「いっつも陰気くさいんだから
もっと騒いだ方がいいよ!!
顔半分だけ伸ばしてる前髪も変だよ!?」
シェイ
「こ、これはーー」
ライラ
「いいから!いいから!!
はい、チケット!!!」
シェイ
「...うん。」
ライラ
「あ、やばっ!!
チーフこっち見てるから電話でて!!
ほら!!シェイ!!!
大変お待たせ致しました。
フォッキンベッジお客様サポートセンター
担当ライラがお受け致します。」
♪4
アセヴィ
((ムフフフッ。絶好の機会じゃない?
ねぇ?シェイ??))
シェイ
((もう...あんな事するのやめて...))
アセヴィ
((あんな事?それってどんな事?
ナニか教えてよぉーん。ムフフフッ))
シェイ
((そ、それは...))
アセヴィ
((心配する事ないわ。
私が代わりに楽しんであげるから))
シェイ
((余計なことしないで!!
わたしはただ、人生をやり直したいの!!))
アセヴィ
((やり直す?ムフフフッムフフフッ!!
ほら、グラスに映る自分を見てシェイ。))
シェイ
((...やめてよ))
アセヴィ
((人生とは...苦しみそのものよ。))
♪5
N
ーールドバキアサイドーー
ルドバキア
「この1か月失踪事件が多発
被害者には女性が多く
共通するのはクラブやバーを訪れた後
失踪している...か」
N
ルドバキア=バートン
ラミオラス帝国軍所属 特殊保安局 刑事
シンシャドゥール内で起きる怪奇事件や誘拐などを
調査し事件を解決する事を
主な役割としている特殊警察部隊である。
一般のラミオラス帝国兵は軍人であるが
特殊保安局は警察の上位組織であり
通称"探索者"と呼ばれている。
ルドバキア
「意外に正確な情報が出回ってるな。」
N
ルドバキアは新聞を片手に
タバコを嗜みながらコーヒーを飲んでいた。
ルドバキア
「ナーベルク帝国との戦争も激化を辿る一方
シンシャドゥールでは殺人事件が横行しており
予断を許す事はない。
帝国内の安寧を守らずして
この戦争に勝利できるのか。
近頃の帝国の動きには目を疑う事ばかりだ。
...こんな記事を書いて大丈夫か??
我が国の勝利を疑う様な事を書いて
記事を締めくくっているなんて
愛国心の無い記者もいたもんだ。
ジャーナリズムもほどほどしなければ
身の危険すらあるというのに。」
N
ルドバキアはそう言うと
自宅を出て四輪駆動魔進に乗りこんだ。
ルドバキア
「...確か18時からだったか」
N
山林を抜けシンシャドゥールに向けて
1時間ほど魔進を走らせると
外はすでに夕暮れだった。
ルドバキア▶︎▶︎▶︎N
♪6
N
ーーシェイサイドーー
ライブハウス ゼクシーウエスタンにて
入り乱れる観客に大音量の音楽
骸骨饗宴夜と銘を打たれたイベントは
ガイコツとキャンドルで溢れ
ゴシックな雰囲気を作り出していた。
今回のイベントは
ドレスコードが黒服と決められており
葬式さながらに異様な雰囲気を醸し出していた。
シェイはなんとか人混みをかき分け
カウンターの隅に座ると
ドリンクチケットをバーテンに渡し
カクテルを呑んでいた。
シェイ
「なんでわたしがこんな所に...」
アセヴィ
((代わりなさい。
私が代わりに楽しんであげるから。))
シェイ
((問題起こすでしょ?))
アセヴィ
((問題??どこに行っても
私達に付き纏うものじゃない?
私は好きよ?この雰囲気!!!
まずはそこの殿方 をトイレに連れ込んでーー))
シェイ
((やめてよ!!
わたしそんな事もうしないから!))
アセヴィ
((お嬢さんは...満更でもないみたいよ?))
N
ライラをふと見ると
見知らぬ男と仲睦まじそうに
腰を合わせながらダンスを踊っていた。
アセヴィ
((どう? 羨 ましい?
それとも嫉 ましい?))
シェイ
((わたしは...静かにしていたいの))
アセヴィ
((嘘つき))
ライラ
「シェイ!!!こっちこっち!!」
N
するとスポットライトがステージを照らす。
リンデーン
「「今日は来てくれてありがとう!!
今夜はブチあがろうぜ!!!!」」
N
男はギターを片手にかき鳴らし
声を高々に叫んでいた。
ライラ
「ね?カッコイイでしょ」
シェイ
「う、うん。」
N
黒髪に真っ黒なアイメイク
そして悪魔の様な格好をしたピアスだらけの男は
フライングブイをかき鳴らし
ステージを縦横無尽に駆け回った。
そして、歓声とアンプから出るギターの轟音が
その場にいた全ての者を飲み込んでいった。
ーー1時間後ーー
リンデーン
「「今日はありがとう!!!
また暴れようぜ!!!!!」」
ライラ
「めっちゃカッコ良かったねぇ!!」
N
ライブも終わりその箱は
そのまま打ち上げ会場へと変わった。
♪7
リンデーン
「ねぇ!!君!!」
ライラ
「ちょっとちょっとちょっと!!
彼がこっち来る!!!」
シェイ
「行って来なよライラ」
ライラ
「ど、どうしよう!!
メイク崩れてない??」
シェイ
「大丈夫よ。」
ライラ
「シェイ、今夜は先帰ってていいから!」
シェイ
「う、うん。」
リンデーン
「君だよ!君!!」
ライラ
「リンデーンさん!!今日は凄くカッコーー」
リンデーン
「君!!なんて言うの?」
ライラ
「え?」
N
予想外の出来事に
一瞬、時が止まったかの様に見えた。
リンデーンはシェイに向かって話しかけていた。
シェイ
「わたし...ですか?」
リンデーン
「そうだよ!!君!!」
ライラ
「そんな事よりもぉ!!
とってもギターかっこよくてシビれちゃった!
それにとってもーー」
リンデーン
「うんありがとう!
それで君の名前は?」
シェイ
「え?わたしは...シェイ。」
リンデーン
「シェイって言うんだ!!
俺はリンデーン!!
今日はどのバンドを見に来たの?」
ライラ
「もちろんリンデーンさんのバンドを
見に来たんです!!
だって今日は骸骨饗宴夜でしょ!?
メインの 骸骨仮面拳隊 以外を観に来る人って
いるんですか????
まぁシェイは...来るの嫌がってたんですけどぉ
私が無理矢理誘ったんですぅ!」
リンデーン
「そうなんだ!
ステージから見てたよシェイ!!
こんなに乗らない観客は初めてだなぁって!」
ライラ
「シェイはちょっと変わった子で
根が暗いし友達もあまりいないから
こう言う場所はーー」
シェイ
「ごめんなさい。わたし...その初めてで」
リンデーン
「悔しかったなぁ!!
でも俺そういう子嫌いじゃない。
良かったらこれから2人で飲まない?」
ライラ
「...え?」
シェイ
「わ、わたしとですか?」
リンデーン
「そう。他にいる?」
シェイ
「その...わたしよりライラが...」
リンデーン
「ライラ?だっけ??
ビール2つ持ってきてよ!」
ライラ
「え?...うん。」
N
不満げに返事をしたライラは
渋々ビールを2つ持ってきた。
リンデーン
「ありがとう。
ちょっと話そうよシェイ。」
ライラ
「何なのよ...」
N
するとリンデーンはシェイの肩を抱いて
奥のカウンターに座った。
シェイ
「あの...わたし...でいいんですか?」
アセヴィ
((私が行くわよ?))
シェイ
((余計なことしないで))
リンデーン
「今日はお友達と2人?」
シェイ
「はい。」
リンデーン
「凄く綺麗な子だったね!」
シェイ
「ライラは美人ですから」
リンデーン
「でも、ぁあ言う子は沢山見てきたからなぁ
ファンって感じで来られちゃうと
俺も身構えてカッコつけたくなるからさ
シェイみたいに興味ないって
スタンスの方が気が楽なんだよね。」
シェイ
「興味は...はい。
というかよく分かりませんでした。」
リンデーン
「え?俺の音楽ダメだった?
今日の曲は全部俺が作ったんだぜ?」
シェイ
「凄い...全部ですか?」
リンデーン
「そ。全部ね!!
だから余計に乗らないシェイが目について
後半は全部シェイに向けてギター弾いてたもん!
乗れよ!!かわい子ちゃん!!ってね!!」
シェイ
「かわい子ちゃん?」
リンデーン
「うん。かわい子ちゃん。」
シェイ
「プフッッウフフッッ!!」
リンデーン
「なんで笑うんだよぉ!!」
シェイ
「だって!!かわい子ちゃん!
なんて今どき言う人がいるなんて」
リンデーン
「ようやく笑ってくれたね。」
シェイ
「え?」
リンデーン
「笑った方が可愛いぜシェイ。
どんな時でも笑ってた方がな。」
シェイ
初めてだった。
心の底から楽しくて笑ったのは。
わたしを不気味がって誰も近づこうともしない。
時折、ライラの様に興味本位で近づいて来ては
地味なわたしをそばに置いて
優越感に浸る人もいたけど
そこに友情なんて感じた事はなかった。
それに...リンデーンは
何処か弟のホタルに似ていた。
リンデーン
「それでな!!俺家に帰っても
ずっとギター弾いてるんだけど
気づいたら何時間も経っちゃうんだよ!!
お陰でバイトもクビになってばっか!!」
シェイ
「ウフフッそれはダメですね!!
仕事はしないと!」
リンデーン
「分かってるんだけどさぁー
ツアー回ってると中々定職にはつけないじゃん?
俺の夢はさぁ!!
ラミオラス音楽チャートで
一位をとることなんだ!!
だから沢山色んな人に聞いてもらわないと!」
♪8
シェイ
「夢があっていいですね。」
リンデーン
「シェイには何かないの??」
シェイ
「わたしですか?
わたしは...普通が欲しいです。」
リンデーン
「普通?それはどう言う事?」
シェイ
「誰もが手に入れられる普通。
忙しなく働いて時間に追われて
ご飯を食べてテレビを見てお友達と出かけて
お風呂に入って...恋をして。」
N
するとリンデーンはシェイの言葉に耳を傾けながら
天井を見上げていた。
リンデーン
「分かるわそれ。
俺も音楽やってなくて
普通に仕事して遊んで恋をして
家庭を持ちたいな。
安心する自分の居場所ってやつ?
フフッ。でもさ、音楽が好きだから
どう転んでも諦められないっていうか...」
シェイ
「普通を...捨てたんですか?」
リンデーン
「...捨てた。って言っていいのか分からないけど
まだ大丈夫。って思っちゃうんだよね。
その普通はいつでも手に入れられるから。」
シェイ
「いつでも手に入れられる。かぁ。」
リンデーン
「どうしたの?しみじみしちゃって」
シェイ
「いえ。何でもないです。
この世界に普通を手に入れられる人って
どれくらい居るんだろうって思っちゃって。」
リンデーン
「何だそれ!まるで普通じゃないみたいな
言い方するんだな!!」
アセヴィ
((普通なんて退屈
普通なんて 窮屈 。
シェイ、あんたに普通なんて言葉は
夢現の 世迷言よ。))
シェイ
((そんな事ない!!!))
アセヴィ
((そんな事があるのよ。))
シェイ
((なんで否定的な事ばかり言うの!?))
アセヴィ
((それが、私だからよ。
そんな事よりもほら、後ろの男を見なさい。
あんたの異様な気配を感じて
ずっとこっちを見てるわよ。))
N
シェイは後ろを振り向かずに
グラスに映る男を見た。
リンデーン
「どうした?」
シェイ
「わたし飲み過ぎちゃったみたいだから
もう帰らないと。」
N
そう言ってシェイは急いで席を立った。
リンデーン
「待ってくれ。
俺まだシンシャドゥールにいるから
よかったらランチでも行かないか?」
シェイ
「そういうのは...ちょっと」
N
するとリンデーンはシェイの手を掴んだ。
シェイ
「ちょっと」
リンデーン
「普通を手に入れたいんだろ?」
シェイ
「それは...」
リンデーン
「明日は祭日だし
予定がなければ行こう。な?」
シェイ
「...ごめんなさい。
明日はライラと買い物に...」
リンデーン
「オーケー。じゃあ
連絡先を教えてくれ。電話する。」
シェイ
「...電話なら...。」
N
シェイは連絡先を渡すも
急いでゼクシーウエスタンを出て行った。
アセヴィ
((あんたの魂胆なんて見え見えよ))
シェイ
((今回は...そんなんじゃない!!
お願いだから...大人しくしてて...))
アセヴィ
((人は浅ましく愚かで醜い。
煌びやかに見えれば見えるほどにね。))
シェイ
((...確かにそうかもしれない。
でも...わたしは!!!))
アセヴィ▶︎▶︎▶︎N
♪9
N
ーー翌日ーー
ルドバキアは報告書を
パーソナルコンピューターに打ち込んでいた。
ルドバキア
((昨日は特に何も無かった。
しかし、あの妙な刃汽の揺らぎ...
あまりにも振れ幅が大き過ぎる。
あの女は一体何者なんだ?
やはり少し...調べる必要があるな。))
N
ルドバキアはピシッとネクタイを締めると
鏡越しに映るベッドを眺めた。
ライラ
「もう朝なの?」
ルドバキア
「おはよう。ライラ...だっけ?」
ライラ
「何?もう行くの?」
ルドバキア
「もうすぐ出る所だ。
ライラ。俺は仕事に行かなければならない。
チェックアウトを済ませないと。
君も急いだ方がいい。
今日は予定があるんだろう?」
ライラ
「予定?そんなのどうでもいいわよ。
今日は祭日だし多少遅れても...ね?」
ルドバキア
「何だい?昨晩だけでは足りなかったかい?」
N
ルドバキアはパーソナルコンピューターを閉じて再びベッドに戻ると
ライラの首筋にそっと口付けてゆっくり押し倒した。
ライラ
「アッ...別に...そんなんじゃないわ」
ルドバキア
「そうだ。聞きたいことがある。」
ライラ
「何?」
ルドバキア
「昨日君が一緒にいた女性は友達かい?」
ライラ
「シェイの事?」
ルドバキア
「シェイ?」
ライラ
「シェイ=アンドロメダよ。
ボブカットの地味な子でしょ?」
ルドバキア
「シェイ=アンドロメダ」
ライラ
「やめてよ。アッ。
あの子の話しするのは...アッ」
ルドバキア
「どうして?」
ライラ
「別に。アッ。」
ルドバキア
「そうか。
どうやらチェックアウトは
まだ出来そうにないな。」
N
するとルドバキアは上着を脱いで
ライラにまたがった。
ルドバキア
「手錠は好きかい?」
ライラ
「...んもう。イケないポリスメン❤︎」
ルドバキア
「逮捕...してやろうか?」
ライラ▶︎▶︎▶︎N
♪10
N
ーーシェイサイドーー
シンシャドゥールのショッピングモールにて
シェイは1人で買い物をしていた。
するとPinphone が鳴り響く
シェイは着信先も見ずに通話に出た。
シェイ
「ライラ??」
リンデーン
「よ!シェイ!!」
シェイ
「リンデーン?」
リンデーン
「昨日ぶりだね。
どこにいる??」
シェイ
「今は...ショッピングモールにいるけど...」
リンデーン
「ライラはいないの?」
シェイ
「何でそれを...」
リンデーン
「だって...」
シェイ
「え?」
リンデーン
「後ろにいるもーん」
N
シェイが振り返ると
そこには手を振るリンデーンが居た。
リンデーン
「奇遇じゃーん!
ちょっと楽器屋で
ギターの弦を買ってたんだよね!」
シェイ
「そ、そうなんだ...」
リンデーン
「もしかして...ライラにすっぽかされた?」
シェイ
「...いつものことだから。」
リンデーン
「そっか。
じゃぁ今日は俺がその埋め合わせしてやるよ!」
シェイ
「え!?いいって」
リンデーン
「これも何かの運命だろ?
ついでだしさ!!!」
♪11
シェイ
それから わたしは
リンデーンと他愛もない話しをしながら
ショッピングモールで買い物をした。
楽しかった。
嬉しかった。
それと同時に
悲しかった。
わたしには普通など
手に入れる事が出来ないと分かっていたからだ。
アセヴィ
((あんたは人殺し。
近づく者全てを傷付ける。
母を殺し、あまつさえホタルとツツジをも殺した。
平穏を望むなんて烏滸 がましい。
烏滸 がましい。
烏滸 がましい。))
シェイ
((そう、烏滸 がましい。
あの日、飛び出したわたしは
シンシャドゥールまで歩いた。
靴をすり減らし身体を汚し
食べるものも無く心をカラにして
ひたすら歩いた。
あの悪夢はわたしじゃない。
わたしがやったんじゃない。
弟や妹、母を殺したのはわたしじゃない。
自らを呪いながら今日まで生きてきた。))
アセヴィ
((年齢を偽り、仕事を転々とし
普通になりたくてあんたは人を騙し続けた。
自らを否定し 自惚れ陶酔した。
あんたは化け物。醜い化け物。
いつもよぎるのは自死への渇望と
それを拒絶する葛藤。
誰もあんたに生きて欲しいなんて思ってない。
あんたの本性を知れば人は遠ざかる。
世界はそんなに優しくなんかない。))
リンデーン
「ウィンドウショッピングだけでも
こんな楽しいんだな!!!
本当に買うものはないの??」
シェイ
「ライラのショッピングに
付き合うだけだったから。
リンデーンが来る前に服も買っちゃったし...」
リンデーン
「じゃあ寄ってみたい店があるんだけど
行ってみていいかな??」
シェイ
「いいけど...どこ行くの?」
リンデーン
「こっちこっち!!」
♪12
N
リンデーンが向かって行った先は
シンシャドゥールの中でも危険区域と言われている
風船キャット通りだった。
アセヴィ
((あら??中々センスいいじゃない?
神滅崇拝のオカルト通り。
知った上で行くのかしら??))
シェイ
「待って!!そっちは!!」
N
リンデーンは足早に路地裏に
入って行ってしまった。
ーー風船キャット通りーー
そこは不気味な露天商や店が所狭しと
立ち並び昼間からドラッグをキメた人々が
フラフラと歩いていた。
リンデーン
「昼間なのになんか暗いよなぁ」
シェイ
「ここはシンシャドゥールでも
危ない通りだから。早く済ませて帰らないと。」
リンデーン
「大丈夫だって!!なんかあったら
俺が守ってやるからさ!!」
アセヴィ
((笑える。
吹けば飛んでしまいそうなヒョロヒョロが
よくそんな事を口にできたものね!!
心配する事ないわ。
なんかあったら私がその男ごと
ちゃんと殺してあげるから。))
シェイ
「本当に...危ないから」
リンデーン
「えっ...確かここら辺って聞いたんだよなぁ...
なかなか見つけられなくてさぁ
昨日もライブ前に来たんだけど...あれ?ここだ!!」
N
リンデーンが立ち止まると
ホコリだらけの看板に
手アカだらけの窓。
掠れた文字でこう書いてあった。
"骨董屋惡魔"
リンデーン
「おっかしいな...。
昨日もここの前...通ったのに
何で見つけられなかったんだろ。」
アセヴィ
((...ここ。))
シェイ
((...うん。))
アセヴィ
((ゾクゾクするわぁ!!
面白そう!!!!))
リンデーン
「すげぇ名前だな。とりあえず入ろうぜ。」
シェイ
「...うん。」
N
店内はランプの揺らぐ灯りと
不思議な香の香りが充満していた。
古びた鏡や水晶や時計、ミイラの様な手に
トカゲの死骸。そしてその奥には
ツノの様な置物が飾ってあった。
リンデーン
「ライブの衣装にもってこいだなぁ。」
配役変更一覧
----------------------------
ルドバキア▶︎▶︎▶︎老店主兼任
----------------------------
N
すると奥から店主と思われる
いかにも胡散臭い老人が
フードを被ったまま店内の奥から出てきた。
その掠れた低い声は
ねっとりと耳に絡みついた。
老店主
「おや?お客が3人も。
今日は珍しいねぇギッヒッヒッヒッヒッ」
リンデーン
「俺ら以外に客いたんだな...」
老店主
「そこの人や。
ワシの指に何か見えるかね?パチン」
N
そう言って指を鳴らすと
老店主の指先からモワッと紫色の煙が立ち昇った。
しかし、リンデーンはキョトンとしていた。
リンデーン
「何も見えないけど手品か??」
老店主
「ではそこの人や。
ワシの指に何か見えたかね?」
アセヴィ
((今...煙が見えたわよね?
何かしらあれ...))
シェイ
「何も...」
老店主
「そうか。なるほどなるほど。」
リンデーン
「もういいか?
ちょっとライブで
良い感じの飾りになりそうなもんを
探しに来たんだよ。
例えば...そのツノ?みたいなやつとか」
N
リンデーンは老店主の頭上に
飾ってある大きなツノを指差した。
老店主
「これですかいのぉ?」
リンデーン
「そうそう。
その角笛みたいな黒いやつ」
老店主
「お目が高いですな。
あれは 魔獣生物
六芒星の黒山羊が
神話の時代に堕としたと言われている
失われた角。」
リンデーン
「ド、 魔獣生物 ?
そんなの絵本の中の話しだろ?」
アセヴィ
((なんて...神々しいのかしら...
今にも吸い込まれそうな邪悪を放ってる))
N
すると老店主は大きなツノを手に持った。
老店主
「そこのお方は気に入ったようじゃな」
シェイ
「え?わたしですか??」
リンデーン
「シェイもこういうの好きなのか??
カッコイイもんなぁ...」
老店主
「何か感じるかね?」
アセヴィ
((ぁぁあん!!ビンビン感じるわ!!
今まで感じた事の無いような湧き上がる快感!!
今すぐにでも!!!!
ジュポジュポしたいくらいに!!))
シェイ
「...特には」
老店主
「ギッヒッヒッヒッヒッ
じゃが気を付けねばならん。
失われた角は選ばれし者の前に現れる。
そして、一度このツノを身につければ
魂を吸われ快楽に溺れた後に死ぬ。
だが引き換えに...
まるで悪魔の様な力を手にする事ができる。
感じないかのぉ?
溢れ出すこの禍々しさを」
リンデーン
「こ、怖い事言うなよ。
ち、ちなみにそれはいくらだ?」
老店主
「こんな危険なもの売るわけなかろうが。」
リンデーン
「そ、そうだよなぁ。」
老店主
「じゃが...」
リンデーン
「じゃが?」
老店主
「日当たり2万オラスでレンタル可能じゃ」
リンデーン
「レンタルすんのかよ!!」
老店主
「生活があるんじゃ
背に腹は代えられぬのじゃ。」
リンデーン
「くだらねぇ。もう行こうぜシェイ。」
N
そう言ってリンデーンは先に店を出て行った。
シェイ
「待ってわたしも行くーー」
老店主
「ギッヒッヒッヒッヒッ
刃汽を感じられたかね?」
シェイ
「え?」
アセヴィ
((気味悪いジジイね。
とんだ変態だわ。))
リンデーン
「はぁ、結局話だけ聞いて
何も買わなかったなぁ。
腹減った。なんか食べて帰ろうぜ。」
シェイ
その後わたし達はハンバーガーショップで
食事を済ませた後、その流れで
街はずれの公園近くまで散歩をした。
♪13
リンデーン
「あ、雨だ」
N
突然、降り出した夕立に
傘を持たない2人は慌てふためいた。
とっさに差し伸べられたリンデーンの手を
シェイはギュッと掴み
2人はそのまま雨の中を走った。
リンデーン
「やべ!!!」
シェイ
「ど、どこ行くの??」
リンデーン
「俺が泊まってるモーテル近いから
雨宿りしていきなよ!!」
シェイ
「え!?」
N
シェイは言われるがまま
リンデーンが泊まる
安モーテルまでついて行ってしまった。
リンデーン
「あんまし良いとこじゃ無いから
俺以外客いないんだけど...」
アセヴィ
((あんたこの後、どうするの?殺す気?))
シェイ
((ち、違うよ!!))
アセヴィ
((ふーん。))
リンデーン
「狭いけど気にすんなよ??」
♪14
N
リンデーンがドアを開けると
大きなアンプに昨日ライブで見たフライングブイと
アコースティックギターが壁に立てかけてあった。
リンデーン
「ほら、風邪ひくからこのタオル使えよ!」
シェイ
「あ、ありがとう。」
N
シェイは髪の毛が乱れない様に
ゆっくりと丁寧に髪を拭いた。
アセヴィ
((豚箱の方がマシね。))
シェイ
「ちょっと!!」
リンデーン
「ん!?どうした??」
シェイ
「あ、ギター聴きたいなぁ...なんて。」
リンデーン
「お!!いいの?
俺ギター握ったら中々離さないよ?」
シェイ
「うん。」
リンデーン
「じゃぁ...こんな曲はいかがかな?」
♪15
N
するとリンデーンはアコースティックギターを
手に持ってベッドの上であぐらをかくと
おもむろにクラシックを爪弾いた。
その柔らかい音が全身に鳴り響く。
温かな音色がシェイの心を包んでいった。
リンデーン
「どう?意外だろ??」
N
するとシェイの目から涙がこぼれ落ちた。
リンデーン
「ど、どうしたんだよ。」
シェイ
「ううん。何でもない。」
リンデーン
「...シェイ。
君の心は...とても美しいんだね。」
N
そう言ってゆっくりと近づくリンデーン
古びたスプリングがギシギシと軋む。
ドクン、ドクンと鼓動が頭の中まで響き渡る。
リンデーンはゆっくりとシェイに近づき
前髪を掻き分けた。
間
リンデーン
「ウワッ」
アセヴィ
((シェイ!!!!!!!!))
シェイ
「ッッ!!!やめて!!!!!!」
リンデーン
「グッ!!ご、ごめん!!」
♪16
N
シェイはそのまま雨の降る外へと飛び出し
泥だらけになりながら走った。
シェイ
「ハァ!!ハァ!!ハァ!!!
見られた!!!見られた!!!見られた!!
わたしの傷...見られちゃった...
もう...リンデーン...は」
アセヴィ
((...シェイ。))
シェイ
「見られちゃったよぉお!!!
ハァ...ハァ...ハァ。」
アセヴィ
((笑いなさい。))
シェイ
「無理だよぉおお!!!」
アセヴィ
((辛い時こそ、笑えば楽しくなる。
痛めつけられても気持ちいいと思えば楽になれる。
だから...笑えばいい。笑えばいいの))
シェイ
「アセヴィィィィイ!!!!!!」
アセヴィ
私達は思い出した。
どんなに辛くても笑っていたホタルを。
苦しい毎日に
たとえ苛まれようとも
眠れるまで笑ったあの夜を。
N
そして、ボロボロのアパートにたどり着き
玄関を開けるとそこには
アセヴィ
((どういう事?))
シェイ
「なんで...」
N
なんと、そこには
失われた角が置いてあった。
アセヴィ・シェイ
((嘘...でしょ))
N
シェイは窓をガラッと開け
下の川に投げ捨てた。
シェイ
「なんなの!!!」
リンデーン▶︎▶︎▶︎N
♪17
N
ーー翌日ーー
ライラ
「大変お待たせ致しました。
フォッキンベッジお客様サポートセンター
担当ライラがお受け致します。」
シェイ
わたしは何事も無かったかの様に
会社に出勤した。
同僚のライラも予定をすっぽかした事さえ忘れて
いつも通り接してきた。
ライラ
「ねぇ聞いてよシェイ
さっきのお客さぁ意味分かんないんだよ!?」
シェイ
「...そう。」
ライラ
「どうしたの?シェイ?
なんか元気無くない??」
シェイ
「別に。」
アセヴィ
((いつか殺すって今決めたわ))
ライラ
「あ、今日のランチはパス!!
ちょっとデートに行ってくるから!!」
シェイ
「好きにすれば?
どうせ私と行ったって
自分が可愛く見られたいだけでしょ。」
ライラ
「あれあれあれ?
なんか今日は生意気だぞぉ??
シェイのくせにぃぃこのこのこのぉ」
シェイ
「やめてよ。」
♪18
ライラ
「チッ。ウザ。
それにキモいしクサイ。
なんなのその前髪。
暑苦しいんだけど。
ほら、見せてよ。何隠してるの?」
シェイ
「やめて!!!」
N
するとライラは席を立つと
突然、倒れた。
シェイ
「ライラ?」
ライラ
「チーフゥゥウ!!!!
シェイが私を突き飛ばしたのぉ!!」
シェイ
「え?わたし...そんな...」
N
チーフが駆けつけると
理由も聞かずに
シェイを怒鳴りつけた。
他の社員の前で何度も何度も何度も何度も。
アセヴィ
この世界は
不条理、理不尽、不平等。
美しき者が讃えられ
醜き者は虐げられる。
そこに正義などあるのか。
そもそも悪しか存在し得ないではないのか。
弱き者は一生弱く強き者は一生強く在る。
"普通"とは正義なのか悪なのか
シェイはただ、"普通"の中で生きていたかった。
それが幸せだと信じていたからだ。
しかし、この世界は残酷だった。
あまりにも息苦しかった。
シェイ
わたしは仕事を早退した。
こんな事に負けてはいけないと
分かっていても腹立たしさのあまり
涙が止まらなかった。
♪19
N
シェイは会社のオフィスを出て
街を歩いていた。
するとPinphone が鳴り響く
シェイは着信を確認すると
そこにはリンデーンの文字が浮かんでいた。
昨晩から何度も着信があったが無視をしていた。
シェイ
「なんなのよ!!こんな時に!!」
N
すると男が話しかけてきた。
ルドバキア
「あの、どうかしましたか?」
N
男はランチが入っている紙袋を2つ持っていた。
シェイ
「いえ、何もありません。」
ルドバキア
「そんな。女性が泣いているのに
理由が無い訳がないでしょう?
ほら、落ち着いて。ここに座ってください。」
アセヴィ
((シェイ...この男))
シェイ
「黙ってて!!!!」
ルドバキア
「落ち着いてください。
もし良かったらランチでもいかがです?
一緒に食べる人がどうやら...
時間が取れなくなった様で。
捨てるのもなんですし良かったら。ほら。」
シェイ
「...はい。」
N
すると男は隣に腰掛けて
ランチをシェイに渡した。
2人は黙々と食べながら
無言の時間が過ぎていく。
シェイ
「ごちそう...さま」
ルドバキア
「それで?何があったんです?」
シェイ
「その...」
N
そしてシェイは今日の出来事を
自身でも驚くほどに
包み隠さず全て話してしまった。
絶妙な相槌に絶妙な間
そして絶妙な仕草。
まるで裸にされている様な気分だった。
ルドバキア
「...そうですか。同僚と...ねぇ。
仲直り出来そうですか?」
シェイ
「分かりません。
利用されていたに近いですから。」
ルドバキア
「人間には誰しも二面性があります。
どんな聖人君子でもね。
努努忘れる事なかれ。
そう言った事に深く関わると
ロクな目に遭いませんよ。
いつか痛い目に遭わない様に
気を付けてくださいね。」
シェイ
「もう遭いましたから。」
ルドバキア
「ハハッ。そうですよね。
では、私は仕事に戻りますので。」
シェイ
「ごちそう様でした。」
ルドバキア
「いいえ。
こちらこそ色々教えてくれてありがとう」
N
ルドバキアはそう言って
街の喧騒へと消えていった。
ルドバキア
((やはり彼女は危険だ))
N
シェイはそれからと言うものの
無気力なままボーっと
何時間もベンチに座っていた。
シェイ
「もう...帰らないと」
N
シェイはゆっくり立ち上がると
月明かり照らす街中を一人で歩いていった。
アセヴィ
((これが望んでた普通かしら?))
シェイ
「うるさい」
♪20
N
ーー30分後ーー
シェイのアパートにて
シェイ
「何でまた、失われた角が
ここにあるのよ!!
わたし捨てたのに!!!!」
アセヴィ
((...シェイ覚えてる?))
シェイ
「何を?」
N
するとシェイは老店主の言葉を思い出した。
----------------------------
老店主
((ギッヒッヒッヒッヒッ
でも気を付けねばならん。
失われた角は必要な者の前に現れる。
そして、一度このツノを身につければ
魂を吸われ快楽に溺れた後に死ぬ。
だが引き換えに...
まるで悪魔の様な力を手にする事ができる。))
----------------------------
シェイ
「必要な者の前に現れる」
N
すると、Pinphone が鳴り響く
シェイ
「何...こんな時に」
N
そこにはライラの文字が浮かび上がっていた。
シェイ
「何を今更」
N
しかし着信は鳴り止まない。
シェイは怒りのあまり
勢いでPinphone を壁に投げつけた。
すると、その衝撃でスピーカーホンに切り替わり
通話に出てしまった。
そこから流れる音声は
まさに卑猥で
無情で凄惨足るものだった。
ルドバキア▶︎▶︎▶︎N
♪21
----------------------------
ライラ
「ねぇ、リンデーン。アンッ
今日はシェイに...酷い目に遭ったのよ?」
リンデーン
「酷い目に?かい??
俺も!!昨日酷い目に遭ったさ!!」
ライラ
「こっち来て...アンッ。リンデーン
そこ、もっと!!!そこ!!」
リンデーン
「ここ!?かい!?」
ライラ
「アハハ!!いい気味ねぇ!!シェイ!!」
リンデーン
「そういえば!!昨日見たんだ...
シェイの左側の顔。」
ライラ
「嘘でしょ?...アンッ
ねぇ...どうだった?」
リンデーン
「気持ちが悪かったよ!!
ヤケドだらけなんだ!!!!
ハハハッッ!!ハハハッッ!!」
ライラ
「やっぱりシェイって気持ち悪かったのね!!
あのブス!!!地獄に堕ちればいいのに!!」
リンデーン
「シーッ。あまり大声だすと
モーテル追い出されちゃうよ?」
ライラ
「だって...リンデーンがテクニッーーー」
----------------------------
N
シェイはPinphone を叩き割った。
アセヴィ
((言ったでしょ?
世界はそんなに優しくなんかないって))
シェイ
「烏滸 がましかったんだね...。
わたしは一生、幸せになれない。
"普通"なんて望んじゃいけないんだよ」
アセヴィ
((いいの。それでいいのよ。
昔から何も変わってないの。
私達の本質も残酷な運命も。
用意された道が極寒の大地だとしても
私達は 裸足 で歩いて行かないといけない。))
シェイ
「ごめんね...ツツジ...ホタル。
お姉ちゃん...やっぱりダメだ。
2人の分まで幸せに...なれないみたい。」
アセヴィ
((血だらけになっても
手足がもがれようとも
笑ってさえいれば
その道でさえも楽しいって思えるはず。
あの時と同じよ。
いや、それが出来なかったからこそ
私は シェイを生み出したのかもしれない。))
N
そして
シェイは失われた角に手を伸ばした。
重くザラついた表面に触れると
迸る様に黒く輝き出した。
シェイ
((さようなら悪心のわたし))
アセヴィ
((さようなら良心の私))
N
そしてシェイは
鈍く黒づいた失われた角の底を
頭部にグッと突き刺した。
すると、禍々しい刃汽が
シェイに吸い込まれ
痛みから逃げようとするシェイを
逃さぬ様にと言わんばかりに
脳を鋭い針が貫いた。
シェイ
「ァァァァァァァァ"!!!!
ァァァァァァア"!!!!!
ァァァァァァア"!!」
N
アセヴィは目覚めると
鏡の前に立った。
ふと、自身の顔をみると
黒づいた失われた角は白づき
身体の一部として頭部に付いていた。
それを見たアセヴィは不気味に微笑むと
前髪を引きちぎり
ヤケドを晒し
唇に紅を引いた。
よりオドロオドロしく
より禍々しく
シェイが アセヴィへと成る為に。
アセヴィ
「ムフフフフッッ!!
ムフフフフッッッッ!!
ムフフフフッッ!!!!!」
※音楽がある場合は鳴り止むまで待つ
♪22
N
そして気付けばアセヴィは
モーテルの近くまで鼻唄を歌いながら歩いていた。
アセヴィ
「フンフンフン♪フン♫
フンフンフン♪フン♪
フーンフーフンフンフーンフフーン♪」
シェイ▶︎▶︎▶︎N
N
アセヴィは2人がいるモーテルのブザーを押した。
アセヴィ
「あら?」
N
アセヴィは扉をガチャガチャと激しく音立てるも
開くことは無かった。
アセヴィ
「残念。」
N
扉の横にある窓を拳で叩き割ると
割った箇所から腕を伸ばして鍵を開け
そーっと扉を開いた
アセヴィ
「ムフフフッ
リンデーン...ライラァー」
N
しかし、すでに誰かが全裸で倒れていた。
アセヴィ
「どういーーー」
ルドバキア
「やぁ」
N
そしてゴンッと鈍器で殴られたアセヴィは
気を失ってしまった。
♪23
ルドバキア
「あまり深く関わるとロクな目に遭いませんよ。
いつか痛い目に遭わない様に気を付けてください。
って俺の忠告、なんで聞かなかったの?」
N
ポタポタと水滴が落ちる音がし
辺りは切れかかった電球の灯りに照らされていた。
アセヴィ
「...あなたあの時の」
N
アセヴィは周りを見渡すと
鎖に繋がれた裸の若い女性の死体が
天井に張り付いていた。
アセヴィ
「このニオイ...」
N
そして、隣には頭から血を流したライラと
リンデーンが吊るされ猿轡をハメられていた。
アセヴィ
「天井?ぁあ...私が逆さに吊るされているのね。
ムフフフッムフフフッ」
ライラ・リンデーン
「ンーーンー!!!ンーーンー!!」
アセヴィ
「笑えるわ!!
お似合いじゃないのよぉ!!
ライラ!!!リンデーン!!
ンフフフ!!!ンフフフ!!」
ルドバキア
「あん?この状況が分かってんのか??」
N
ルドバキアはサンドバッグの様に
リンデーンを殴り続けた。
殴る度にリンデーンは前後に振られて
血がポタポタと落ちていた。
リンデーン
「ンーーンー!!ンーーンー!!」
ルドバキア
「テメェらは!!俺に!!!
捕まったんだよ!!!!
ライラだけで!!良かったのに!!!
どいつも!!コイツも!!
邪魔ばっか!!しやがって!!!!
無駄に!!!さらっちまった!!
じゃねぇか!!!!!!
今まで!!上手く!!!
ヤレてたのに!!よ!!!!」
リンデーン
「ゴフッ」
ライラ
「ンーーンー!!!!」
ルドバキア
「ぁあ!!よしよし!!!
怖かったでちゅねぇえ!!ライラちゃーん!!
俺が守ってあげまちゅからねぇ!!!」
ライラ
「ンーーンー!!ンーーンー!!」
ルドバキア
「どうしまちたかぁ??
苦しいでちゅか????
それとも!!!コイツが!!!!
不憫で!!しょうがねぇのかよ!!!」
リンデーン
「ンーーンー!!!!」
アセヴィ
「ねぇ。ちょっと楽しそうじゃないの。
私も殴ってくれないかしら??
ねぇ!!お願いよぉ!!!!」
ルドバキア
「あん?
テメェみてぇなブスのお願い!!
何で!!聞く必要があんだよ!!」
アセヴィ
「ズルいわよぉ!!!
何で!!!殴って!!くれないの!!
いい加減にしてよ!!!!!
それでも男なの!?!?!?」
ルドバキア
「な、なんだテメェ!!!
そんなに殴られたきゃ!!
殴って!!!やるよ!!!」
アセヴィ
「アンッ!!!アーンッ!!
もっと!!イエス!!!!」
ルドバキア
「この!!ブス!!が!!!!
気持ち悪りぃ!!声で!!
鳴いてんじゃ!!!ねぇよ!!!!
だいたい!!なんだそのツノ!!!!
運ぶ時!!邪魔くせぇのに!!
取れや!!しねぇ!!!!!」
アセヴィ
「ハァ...か、い、か、ん」
ルドバキア
「な、何なんだコイツ」
ライラ
「ンーーンー!!!!ンーーンー!!」
ルドバキア
「ちょっとウルちゃいでちゅよ?
苦しいんでちゅか???
じゃぁ外してあげまちゅねぇ!!!」
N
ルドバキアはライラの猿轡を外した。
ライラ
「ゴホッ!!ゴホッ!!ゴホッ!!
シェ...イ...どうして...ここに...」
ルドバキア
「勝手に喋ってんじゃねぇよ!!!」
ライラ
「アガッ!!
お、お願い...リンデーンが..死んじゃ...う」
ルドバキア
「このビッチが!!!!」
ライラ
「いやぁ!!!!!
お願い...しま...す。リンデーンが」
アセヴィ
「ちょっと!!!正気!?
何でリンデーンも外そうとしてんのよ!!!」
ライラ
「何...言ってんのシェイ!!だって!!
リンデーンが!!!」
アセヴィ
「ハァ?」
ルドバキア
「何で俺がテメェのいう事!!
聞かなきゃいけねぇんだよ!!!!!」
アセヴィ
「アーンッ!!!」
ライラ
「お願い...ルドバキア」
ルドバキア
「チッ。」
N
ルドバキアはリンデーンの猿轡も外した。
リンデーン
「ゴホッゴホッゴホッゴホッ!!
知らなかった...んだ。あんたの女...だなんて
ゴホッゴホッゴホッ!!」
ルドバキア
「俺は男に興味は...ねぇんだよ。」
N
ルドバキアは両拳にメリケンサックをハメて
リンデーンを 睨 みつけた。
リンデーン
「やめ...やめてくれぇ!!!
お願い...だから...何でもします...からぁあ!!」
ルドバキア
「黙れ」
リンデーン
「ガハッ!!グフッ!!ゴハッッ」
ルドバキア
「いちいち!!チャラつきやがって!!!
社会のクズが!!!!
ロクに!!仕事もしねぇで!!!
のうのうと生きやがって!!
このゴキブリが!!!!!」
ライラ
「もうやめて!!!!
警察なんでしょ!??
こんな事して許されると思ってるの!?」
ルドバキア
「警察??探索者 ??
上の奴らはもっとヒデェ事してんのによぉ!!
なんで!!俺だけ!!ダメなんだよ!!
理不尽だろうが!!!!!」
リンデーン
「ゴバァァァァァァア」
ライラ
「死んじゃう...よ」
ルドバキア
「この立場だからこそ!!
全てを揉み消せるんだよ。
なんたって俺は!!!!
ラミオラス帝国軍の犬!!!
探索者 だからなぁ!!!
適当にテロリストかなんか付けとけば
粛清は正当!!!!
今は戦争中なんだぜ!!?」
リンデーン
「も、もう...許して...く...れ」
ライラ
「わ、私が...欲しいん...でしょ?
また、昨日みたいに楽しみましょ?
ね?ね!?」
ルドバキア
「自惚れてんじゃねぇよ!!」
ライラ
「ガハッッ」
ルドバキア
「俺はテメェみてぇな性格ブスなビッチ集めて
夜な夜な犯すのが!!楽しみなんだよ!!
フフフッフハハハッッ!!!!
それとなんだっけ?欲しい??
バカ言わないでくれ。
もう手に入れてんだからよ!!!
フフフッフフフッフフフハハハハ!!」
ライラ
「く、狂ってる!!」
ルドバキア
「そんな顔しないでくれよおおおん!!
そんな美しい顔で暴言吐かれたら...」
ライラ
「ヒィィッ」
ルドバキア
「興奮すんだろうがよぉおおお!!!!」
リンデーン
「ガハッ!!!ウグッ!!グハッ!!
や、やめてください!!
お願いします!!お願いしますぅう!!!」
アセヴィ
「指全部折っちゃいなさいよ!!!」
ルドバキア
「あん!?」
アセヴィ
「だからぁ!!
指全部折れって言ってんのが
聞こえないの!??!?」
ルドバキア
「おめぇさっきから何なんだよ。
テメェも!!吊るされてんのが!!
分かんねぇのかよ!!!!!」
アセヴィ
「ァン!!!もっと!!
もっと殴って!!!もっとよ!!」
N
ルドバキアは逆さに吊るされている
アセヴィの腹を何度も殴った。
ルドバキア
「ハァ...ハァ...ハァ...
テメェ...何でビビらねぇ...んだ...
ハァ...ハァ...」
アセヴィ
「ペッ。ムフフフッ!!ムフフフッ!!
もう飽きちゃった。」
ルドバキア
「はぁ!?」
アセヴィ
「嬲り方は悪くないわ。
でも、逆上しすぎよ。
心は燃え上がっても
頭はスマートじゃなきゃ。
それに...ライラも私も
何故顔を殴らないのかしら?」
ルドバキア
「何言ってやがる。」
アセヴィ
「ライラは...まぁ犯す時に顔が汚いんじゃ
ヤリがい無いものね。
でも...私は?」
ルドバキア
「テメェの汚ねぇ顔を触りたくねぇだけだ」
アセヴィ
「ムフフフッ!!ムフフフッッ!!
気持ちいい残酷な言葉ね!!!
やればできるじゃない?坊や。
私は嫌いじゃないわよ?
その引き締まった身体。
精悍な顔つき。
血走った笑顔。ムフフフッ」
N
するとルドバキアはゆっくりと
アセヴィに近づいてきた。
ルドバキア
「ぶっ飛んだ 変態女 だなぁ。
その傷...誰にやられた?あん?
事故か?彼氏か?それとも...家族か?」
N
アセヴィの眉が一瞬ピクッと動いた。
ルドバキア
「そうか...家族か。
おめぇも変態なら家族も変態か?あん??」
アセヴィ
「私に...」
ルドバキア
「なんだよ?怒ったのか?
何べんでも言ってやらぁ!!!!
おめぇも変態なら家族も変態か!!ってーー」
♪24
アセヴィ
「私に家族の話しなどするなぁ!!!!!」
ルドバキア
「ガハッッ」
N
アセヴィは頭突きをすると
ルドバキアの鼻を砕いた。
ルドバキア
「ギャァア!!!!!!!!!」
アセヴィ
「もうしばらく楽しもうと思ったけど
限界ね。あんた体力無さすぎなのよ。」
N
そう言ってアセヴィは
身体の関節を外して鎖をほどいた。
ルドバキア
「なんだ...と?
やっぱり...テメェは!!
俺の計画の邪魔しやがった!!!
許さねぇ!!許さねぇ!!許さねえ!!」
アセヴィ
「さぁて。私が見せてあ、げ、る。
豚共の調教をね!!!!」
ルドバキア
「て、テメェ無視してんーーー」
アセヴィ
「五月蝿い」
ルドバキア
「アギャァァァ!!!!!」
N
アセヴィはルドバキアの耳を引きちぎった。
ルドバキア
「ガァァア!!!耳ガァァア!!!!」
アセヴィ
「大人しくしてて。」
N
アセヴィは自分が吊るされていた場所に
ルドバキアを吊るした。
リンデーン
「シェイ...助けて...くれてーー」
アセヴィ
「ありがとう?」
リンデーン
「ァァァァァァア!!」
アセヴィ
「大切な指。あと9本。
あら?まだ9本もあるの...ね!!」
リンデーン
「アガッ!!ギャァア!!」
アセヴィ
「ねぇ、ルドバキア。
私ナイフが好きなんだけど
どこにある?」
ライラ
「ね、ねぇシェーーーガッッッッ」
アセヴィ
「羨しい顔。
嫉ましい顔。」
ライラ
「ガハッッ」
アセヴィ
「それで?ルドバキア?
ナイフはどこ???」
ルドバキア
「持って...ない...です。」
アセヴィ
「そ。」
ルドバキア
「イギャァァア!!!!」
アセヴィ
「あなたの肋骨...借りるわね。」
N
アセヴィはルドバキアの肋骨をへし折り
一気に引き抜いた。
アセヴィ
「よし。」
N
床に何度も肋骨を擦り付けて
ナイフの様に鋭くトガらせると
アセヴィはその先端をベロっと舐めた。
リンデーン
「許して...欲しい...
傷付ける気は...無かった...」
アセヴィ
「その話し?
それは気にしてないの。
誰もが驚くに違いないわ。
だって醜いでしょ?私」
リンデーン
「そんな事...ない
君の...心は...綺麗じゃ...ないか。
だから俺はーーー」
アセヴィ
「もうリンデーンったら
乙女心が分かってないのね。
振り向いた心は操れても
振り向いてない心はどう足掻いたって
操れ無いものなの。
女はね。好きだからこそ盲目になるのよ?
好きだったゴミには興味ないの。
この先...永遠に...ね!!!」
リンデーン
「嫌だ!!嫌だ!!嫌だぁあ!!
グァァァァァァァァァア!!!」
ライラ
「やめてよぉ!!シェイ!!!!
やめてぇえ!!!」
♪25
N
アセヴィはリンデーンの手首ごとへし折り
ジリジリとノコギリの様に手首をそぎ落とした。
アセヴィ
「いつか聞かせて。
あなたのギター。」
リンデーン
「グフッ」
アセヴィ
「もう弾けないかしら?」
リンデーン
「アッ...アッ...」
アセヴィ
「だったら...もう片方もいらないわよね?
だってあなたの取り柄...ないじゃない?」
ライラ
「やめてぇええええ!!!!」
ルドバキア
「あ、悪魔だ!!!
コイツは悪魔だぁ!!!!
やっぱり...あの刃汽は
只者じゃ...なかった!!」
アセヴィ
「刃汽??
よく分からない事を口にしないで。
一体なんなの?それ。
答えてくれたら...しばらくは...
大人しくしててあげる。」
ルドバキア
「じ、刃汽は
誰もが持ってる生命力に似た汽の力だ。
わ、我々探索者 は
特殊な訓練を受けて
その汽の力を...か、感じ取る事が出来る。」
アセヴィ
「感じ取れるから何なの?」
ルドバキア
「良くも悪くも...ただならぬ者は
刃汽の総量が...一般人よりも多い。
警戒すべき対象に自ずとなる。
今のお前は...私でも...は、はかり知れない刃汽だ」
アセヴィ
「ふーん。なるほど。
じゃあ私からも一つ
今日確信した事があるの。」
ルドバキア
「な、なんだ」
アセヴィ
「この世界は不条理かつ理不尽で不平等。
肉欲と食欲は似てると思わない?
赤い血が性を実感させると同時に
恐怖をも実感させる。」
N
ルドバキアは震え上がり
近づいてくるアセヴィから目線を逸らせなかった。
アセヴィ
「まさに 肉欲 と食欲。
その調和こそが人間の真理。
そうじゃないかしら?」
ルドバキア
「や、やめ!!!」
N
そう言ってアセヴィはルドバキアに
猿轡をハメた後
ライラへと近づいていった。
ルドバキア
「ンーーンー!!ンーーンー!!!」
アセヴィ
「あなたもそう思うでしょ?」
N
そういうとアセヴィはライラの鎖をほどいた。
ライラ
「...え?」
アセヴィ
「どうしたの?」
ライラ
「リンデーン!!!」
N
ライラは逆さに吊るされて
血溜まりができるほど
失血したリンデーンに駆け寄った。
アセヴィ
「ねぇライラ」
ライラ
「そ、そんなあ!!!
嘘!!死んでる!!!!!」
アセヴィ
「そんな怯えた顔しないでよぉ」
ライラ
「ねぇシェイ...な、なんで...こんな事...するの?」
アセヴィ
「え?こんな事って...こんな事ッッ?」
ライラ
「アガガガガガッッッッッ」
N
アセヴィはライラの腕を肋骨ナイフで貫いた。
♪26
アセヴィ
「これからゆっくりと楽しみましょう?」
ライラ
「アッ...アッ...アッ...シェ...イ
...私達...友達...でしょ?
そうでしょ?シェイ!!」
アセヴィ
「友達?友達って
都合の良い女の事を指すのかしら?」
ライラ
「ち、違うよ?」
アセヴィ
「へぇ。違うの?
ムフフフッムフフフッッ!!
その顔に刻んであげるわ。
私は嘘つきです。ってね。」
ライラ
「やめて...お願い...よ」
アセヴィ
「やめて...お願い...よ?
ムフフフッムフフフッッ!!!」
ライラ
「アガッ!!ガハッ!!ウグッ!!!」
アセヴィ
「スクリームが足りない!!!!!
そんなんじゃ物足りないのよぉおお!!!
もっと!!もっと!!!
怯えて!!苦しんで!!もがいて!!!
懇願しな!!!
このビチグソがあ!!!!」
ライラ
「ゴホッゴホッゴホッ!!やめて...よ。
あなた...誰...本当に...シェイ...なの?」
アセヴィ
「シェイ??」
ライラ
「ガッ!!」
アセヴィ
「誰よそれ。」
N
アセヴィはライラの顔を殴り飛ばした。
アセヴィ
「私の名は!!アセヴィ!!!!」
ライラ
「アセ...ヴィ」
アセヴィ
「シェイなら...もう死んだわ」
ライラ
「どう言う...こと??」
♪1
アセヴィ
「人は誰しも仮面を被る。
それは何故か。
この世界は不条理で理不尽で不平等であるからよ。」
ライラ
「もう...許してよ」
アセヴィ
「仮面無しでは呼吸さえもままならない地獄に
私達は産み落とされたの。
運命という十字架に縛られながらね。
リンデーンもルドバキアもライラも
立派にその仮面を被っていた。
この世界に適応している素晴らしい仮面をね。」
ライラ
「ご、ごめんなさい...アセヴィ」
アセヴィ
「あなた達から見れば
この世界は条理で溢れ
真っ当で平等だったでしょ?
だからアセヴィ は シェイ を捨てた。
私の仮面は、どうやら...
この世界に合わないみたいだから。」
ライラ
「私、あ、アセヴィが...
羨 ましかったーーー」
アセヴィ
「この女狐が!!!!!
イケシャァシャァと歌う様に
嘘つくんじゃ無いよ!!!」
ライラ
「ご、ごめんなさぃぃい!!!!」
アセヴィ
「あら??ムフフフッムフフフッ!!
失禁したの????
んもう!!可愛い子ねぇ!!」
ライラ
「ヒグッッヒグッ」
アセヴィ
「ねぇライラ。
私の仮面の下はどんな顔をしてる?
笑ってる?
泣いてる?
怒ってる?
苦しんでる?」
ライラ
「やめッやめてよぉ」
アセヴィ
「私って綺麗?」
ライラ
「き、れい」
アセヴィ
「嘘つき❤︎」
ライラ
「嫌ァァアァァァァァァア!!!」
N
アセヴィはライラの顔にトガった肋骨を突き立て
私は嘘つきです。と刻みつけた。
アセヴィ
「フンフンフン♪フン♫
フンフンフン♪フン♪
フーンフーフンフンフーンフフーン♪」
♪27
ルドバキア
「ンーーーー!!ンーー!!!」
アセヴィ
「死んじゃった。」
N
アセヴィは息絶えたライラを足蹴にした後
ルドバキアを見て猿轡を外した。
アセヴィ
「 フゥーー
どう?勉強になったかしら??
殺しはやっぱり!!
サディスティックかつマゾヒステリックに!!
あなたのは押し付けがましいのよ!!
後学のために覚えておきなさい!!
ムフフフッ!!!」
ルドバキア
「悪魔...悪魔だ」
アセヴィ
「悪魔?ンンーー!!ステキな響きよ!!
もしかしてこのツノの事言ってる??
これは...ただの飾りよ。」
ルドバキア
「なんて...邪悪なんだ...」
アセヴィ
「邪悪なのはあなたもじゃない?
警察のくせに22人も女を
監禁して殺したでしょ??
私は2人しか殺してないもの。
テンパード街道の殺人鬼も真っ青ね。
でも、こんなに自分を解放することが
気持ちいいなんて思いもしなかった。
私はこれから何にも縛られず
自由に生きていく事にするわ!!
気に入ったらストーカーして
監禁して楽しむの!!
ムフフフフフフッッ!!!!
あっ、そうだ。ここ気に入ったから
私がいただくわね。」
N
放心状態のルドバキアはゆっくりと頷いた。
アセヴィ
「ありがとう。
そういえば私あなたに
何の 羨 みも嫉みも無いから
生かしといてあげる。そのお礼に。」
ルドバキア
「アガッッッッッ」
アセヴィ
「借りてた肋骨返すわね。」
ルドバキア
「アガッアガッガハッッ」
N
アセヴィはルドバキアの肋骨を
元の場所に戻すと鎖をほどいた。
ルドバキア
「グッ」
アセヴィ
「この家...広そうね。
シャワールームはどこ??」
ルドバキア
「ゴホッゴホッゴホッ」
アセヴィ
「シャワールームはどこ!???
聞こえないならもう一つの耳の存在意義は
...無さそうね。」
ルドバキア
「扉を...出て...階段を左...」
アセヴィ
「そう。
私はこれからシャワーを浴びる。
そうねぇ、1時間くらいかしら?」
ルドバキア
「ハァ...ハァ...」
アセヴィ
「次、私の邪魔したら...分かるわよね?」
N
ルドバキアは力なくコクリと頷いた。
アセヴィ
「ムフフフッ。良い子ね。」
♪22
N
アセヴィはそう言ってシャワールームへ
向かうと蛇口をひねり
血に塗れた服ごとシャワーを浴びた。
アセヴィ
「「フンフンフン♪フン♫
フンフンフン♪フン♪
フーンフーフンフンフーンフフーン♪」」
N
しかし次第に涙が溢れてくる。
アセヴィ
「「フンフンフン...フン...
フンフンフン...フン...
フーンフーフンフンフーンフフーン...」」
N
何故なら無意識に口ずさんでいたこの歌は
リンデーンとの思い出の曲だと言う事に
たった今、アセヴィは気づいたからだ。
♪28
----------------------------
リンデーン
「ちょっと話そうよシェイ!!」
「後半は全部シェイに向けてギター弾いてたもん!
乗れよ!!かわい子ちゃん!!ってね!!」
「笑った方が可愛いぜシェイ。
どんな時でも笑ってた方がな。」
「俺の夢はさぁ!!
ラミオラス音楽チャートで
一位をとることなんだ!!」
「これも何かの運命だろ?」
「大丈夫だって!!なんかあったら
おれが守ってやるからさ!!」
「君の心は...とても美しいんだね。」
----------------------------
♪2
N
血と共に流れていく
もはや水なのか涙なのかさえも分からない。
けれど心に残った傷跡は
共に流れる事はなかった。
流れてしまえ
流れてしまえと
アセヴィは何時間も浴び続けた。
けれど顔の傷もリンデーンの笑顔も
過ごした時間も温もりも
共に流れる事はなかった。
アセヴィ
だから私は...
シェイに蓋をした。
どこか遠い 暗い場所へと隠した。
誰にも見つからない様に
誰にも触らせない様に
私が
人を捨てた
この日から
N
----------------------------
作者 REN’sJackson
ー千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜ー
番外篇 Asevi's Side Story
【 The JEKYLL and HYDE 】 (完)
※音楽がある場合鳴り止むまで待つ
----------------------------
N
おまけ
♪29
配役変更一覧
----------------------------
ライラ▶︎▶︎▶︎N
シェイ▶︎▶︎▶︎看護師
----------------------------
N
世界は七つの大国に分けられている。
最も国力があるとされるアザジェノスをはじめ
各国々は独自の特色を持ち
世界の均衡を保ち続けていた。
そして、ここは七大国の一つラミオラス帝国。
その首都シンシャドゥールから東に位置する
牛と緑の町ゴーロンは
酪農業が盛んな長閑な片田舎であるが
精神を病んだ者が療養する
ドリーナ精神科病院があった。
そして、その一室に入院する男は
事件から1年経った後でさえ
今もなお心的外傷後ストレス障害
通称PTSDに苦しんでいた。
ルドバキア
「あ、あいつは...あ、悪魔だぁあ!!
じょっ...常軌を...いっ、逸している!!」
N
かつての整った顔立ちも覇気もなく
無精髭をたくわえ
背中を丸めては毎日同じ言葉を繰り返している。
ルドバキア
「悪魔...悪魔...悪魔...悪魔...悪魔ぁぁあ!!!
もう!!やめてくれぇええええ!!!
アセヴィィィィイ!!」
看護師
「はーい。ルドバキアさん
お薬の時間ですよぉ」
ルドバキア
「もう...ダメだ...もう...」
看護師
「お口開けて下さいねぇ。」
N
看護師はルドバキアの口を無理矢理こじ開けて
薬を流し込んだ。
ルドバキア
「ゴホッゴホッゴホッゴホッ
アイツは...悪魔だ」
看護師
「んもう。いつもこんな感じなんですよ
ルドバキアさん。」
N
顔を赤らめて話す看護師の脇には爽やかな笑みを浮かべ
つば広帽子を深く被った青年が立っていた。
その青年は柔らかな空気を漂わせつつも
どこか 神々 しい雰囲気を醸し出していた。
配役変更一覧
----------------------------
リンデーン▶︎▶︎▶︎シヲン
----------------------------
シヲン
「可哀想に。こんな風になっちゃって」
看護師
「色々あったみたいです。
アセヴィって言う殺人鬼に監禁されて
拷問されたみたいで。
ほら、片方の耳も削ぎ落とされたようなんです。
そんな目にあったら心も壊れてしまいますよね。」
シヲン
「君は優秀な 探索者 だったと聞く。
さぞかし悔しかろうね。
すまないが、2人きりにしてくれるかい?」
看護師
「それはちょっと...自傷行為が酷くて
家族と関係者以外...
規則として2人きりでの面会はダメなんです。」
シヲン
「そうなんだね。」
看護師
「申し訳ありません。
屋上のガーデニングエリアであれば...」
シヲン
「僕は2人きりにしてくれと
頼んでいるんだが?」
♪30
看護師
「ですからそれはーーーあっ」
シヲン
「パチン。
言うことさえ聞けば良かったものを」
N
男が指を鳴らすと
看護師の胸に穴があいた。
シヲン
「ばぁや。」
配役変更一覧
----------------------------
アセヴィ▶︎▶︎▶︎クラメンシー
----------------------------
クラメンシー
「はい。」
N
ニュンと現れた老婆は
看護師を巨大な輪の中に入れ
消してしまった。
シヲン
「すまないね。ばぁや。
いつも面倒をかける。」
クラメンシー
「いいえ。マスターシヲン
仰せのままになんなりと。」
シヲン
「あまり僕を調子に乗らせちゃダメだよ?」
クラメンシー
「この御心全てが
貴方様のものです。マスターシヲン」
シヲン
「フフッ。」
N
ルドバキアは目の前で起こっている光景を目にしても
全く動じる事はなかった。
シヲン
「まずはこの子の耳を元に戻そうか」
N
シヲンは指で耳を描く様に空中で動かし
ルドバキアの耳を創造した。
シヲン
「うん。素晴らしい。良い出来だね。
次は心を治そうか。
心配する事はない。痛みはないよ。」
N
シヲンはこめかみにズズズと人差し指を差し込むと
みるみるルドバキアの顔に生気が戻ってきた。
ルドバキア
「...グッ」
♪31
シヲン
「おはよう。ルドバキア
長い長い旅だったね。」
ルドバキア
「ウッ...ここは...グッ!!
俺は...アセヴィに...」
クラメンシー
「マスターシヲンが助けてくれたのだ。
敬意を払い服従せぇ」
シヲン
「ばぁや。いきなりそれは無理があるよ。
先ずは話そうか。
ばぁや。」
クラメンシー
「はい。」
N
クラメンシーは再び巨大な輪を取り出すと
胸に穴が空いた看護師が現れた。
そして、シヲンは再び指を鳴らす。
シヲン
「パチン。
それで、ガーデニングエリアはどっちかな?」
看護師
「ですからそれは...あれ?私...
あ、あちらです。」
N
胸の穴はまるで無かったかのように
看護師はガーデニングエリアに続く
エレベーターを指さした。
看護師
「ルドバキア...さん?」
シヲン
「ありがとう。」
N
シヲンは車椅子にルドバキアを乗せて
クラメンシーとガーデニングエリアへと向かった。
ルドバキア
「...あんた何もんだよ」
N
シヲンは男の問いに笑みを浮かべていた。
シヲン
「今日の月は不恰好だね。
それに少し冷える。
ここは良い所だったかい?」
ルドバキア
「良い所?そんなわけないだろ?
薬を飲まされて
何も考えられ無くなった。
確かに、初めは心が壊れていたかもしれない
アセヴィに...やられて...アセヴィに...」
シヲン
「だよねー。
ちょうど肌寒いと思ってたんだパチン」
♪32
N
するとドリーナ精神科病院が
一気に燃え上がった。
ルドバキア
「何だよ...これ!!!」
シヲン
「気にしなくていいから。
少し暖を取ってるだけさ。」
ルドバキア
「暖...って!!燃えてるぞ!!」
シヲン
「僕は気にしなくていいと言っている。」
クラメンシー
「マスターシヲンの前ぞ!!!
慎め!!!愚か者が!!!」
ルドバキア
「けど...俺も死んじまう!!」
N
焦ったルドバキアは車椅子から立ち上がった。
すると禍々しいほどの刃汽が
ルドバキアを包み込み
力なく車椅子に座り込んだ。
ルドバキア
「あっ...あっ...あっ」
シヲン
「僕はね。
人は独りで死ぬべきじゃないと考えている。
だってそんなの淋しいだろ?
人間はさ、生まれ堕ちたその日から
孤独に苛まれる運命にある。
だから死ぬ時ぐらい
誰かと寄り添っていたいじゃないか。
そうだろ?ばぁや。」
クラメンシー
「仰る通りでございます。
先程の看護師に見せたご慈悲
とても感銘を受けた所存でございます。」
N
するとシヲンは何ごとも無かった様に
ルドバキアの方を向いた。
シヲン
「それで?
君はアセヴィにやられちゃったんだよね。」
ルドバキア
「そ、そうだ。悪魔だった...奴は悪魔だ...」
シヲン
「僕が彼女に能力を与えた。
なんて言ったら驚くかい?」
ルドバキア
「なん...だと?」
シヲン
「本当さ。
世界中で力がありそうな者を
気まぐれに試してみてるんだ。
僕のあげた魔導具
気に入ってくれたみたいだね。」
クラメンシー
「完璧な変装でした。
マスターシヲン」
シヲン
「ありがとう。ばあや。
アセヴィは確かに見事だったね。
それと同時に期待ハズレだった。
彼女は根が優し過ぎたんだ。
優しさと力は似てる様で程遠い。
だけどルドバキア。
君は冷徹だ。
その邪魔な矜持さえ取り除けば
立派な戦士になり得る。」
ルドバキア
「魔導具?変装??
い、一体...何の話をしてるんだ」
シヲン
「君もアセヴィの様に強くなれる。
僕ならその力を与えられる。
そう言ってるんだ。
どう??強くなりたい?」
ルドバキア
「なん...だと!?」
シヲン
「で、どう?」
ルドバキア
「あ、当たり前だ!!
俺をこんな風にしたアセヴィを
グチャグチャにしてやりてぇ!!!」
シヲン
「ぁー。アセヴィは天空山の加護が付いてる。
恐らく 菲菲の加護だろう。
運命の終末の歯車に
アセヴィが組み込まれている以上
結末は決まってるんだ。
それに少し強くなったくらいじゃ
君にはまだアセヴィを倒せない。」
ルドバキア
「どうすればいいんだ!!!」
シヲン
「もっと上を狙うといい。」
ルドバキア
「もっと...上?」
シヲン
「そうだよ。
この星空よりも遥かにもっと上だ。」
N
シヲンは腕をあげて夜空を指差した。
シヲン
「ラミオラスとナーベルクの小競り合いは
まだ続くだろう。
くだらない内輪揉めをしてる間に
僕が強くしてあげるよ。」
ルドバキア
「...強...く」
シヲン
「そう。強く。
とりあえず...
世界を支配する所から始めよっか。」
ルドバキア
「ハハッ...何言ってやがる...イカれてるぜ」
シヲン
「君には僕がそう見えるのかい?」
N
シヲンの目は決して笑っていなかった。
そして、男の今までの言動と
燃え上がる建物を見て
ルドバキアは生唾をゴクリと飲み込んだ。
ルドバキア
「俺も...強くなれるのか?」
シヲン
「もちろんさ。ねぇ、ばぁや。
僕は嘘を言った事はあるかい?」
クラメンシー
「もちろん、あり得ませぬ」
シヲン
「でしょ?」
N
シヲンは椅子から立ち上がると
ガーデニングエリアにある給水塔を
軽快にかけ昇り腰をおろした。
そして寂しげに
夜空を見上げて呟いた。
シヲン
「どうもこの国は息が詰まる」
クラメンシー
「心中お察し致します。」
ルドバキア
「あの...」
シヲン
「あっ、名乗り忘れていたね。」
N
するとシヲンは美しい顔を
ルドバキアに向けて静かに口を開いた。
シヲン
「僕の名前はシヲン
アザジェノスの皇帝さ。」
♪33
どうだった??
千刃花らしくないというか
技も出なければ戦いもありません。
毎回、サイドストーリーは
新たな挑戦をしています。
今回はベッドシーンとホラー
厨二要素を抑えつつ
どう千刃花を魅せるかが肝でした。
千刃花ラジオアメイジングも始まり
ホームページもできて
まだまだ大きくなりたいので
牛乳という名の声援を下さい。
そして、シヲンは千刃花の一章から
構想していたキャラなので
出せて良かった!
ちなみに正式にはHIDEなんですが
あえてHYDEにしましたw
ラルク最高!
じゃ!次はジニアズサイドストーリーで!!