Season21 The nights of sorrow
ラナンキュラスvsジギタリアスは
書いてると心苦しくなるなー。
だけど、ツバキのセリフに
書きながら
Jacksonはグッと来てしまった。
ツバキという人間に味が出た様な、、
普段、何を考えているのか
仲間をどうおもってるのかが
伝わるシーンになったんじゃないかなーと
思いました。
では!!最高潮のバトルを楽しんで!!
N♀
前回までの千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜は
葡萄染麒麟の解放の影響により
煉獄 冥府大監獄北東にある水門では
屋内にも関わらず雷雲が立ち込め
雨が降り注いでいた。
激戦を繰り広げる八刃花隊隊長ラナンキュラス
そして、ラナンキュラスの副隊長でもあり
恋人でもあった
アイビー=へデラ=ポーチスを殺した張本人
海王軍副団長 及び 海王水軍 大提督ジギタリアスとの
血塗られた因縁の対決は苛烈さを増していた。
互いに致命傷を負いながらも
命を削ることにより回復した両者
そして、ジギタリアスが
対鞘花特殊魔装兵器神滅には
真の能力があることを明かす。
ラナンキュラス
「まさか!!!!!!」
ジギタリアス
「ぁあ。そうだ。
これから本当の力を解放してやるよ。
ラナンキュラス。
これで終いだ。」
ラナンキュラス
「本当の力...だと!?させるか!!!!!」
『雷迎招ーー』
ジギタリアス
『『最大輪!!!!!!!!』』
----------------------------
N♀
作者 REN’sJackson
ー千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜ー
煉獄 冥府大監獄篇
Season21
The nights of sorrow
----------------------------
N♀/機械音
ーー声紋認証 完了ーー
ーーー対鞘花特殊魔装兵器神滅ーーー
ーーー起動しますーーー
ジギタリアス
『 大海ノ 支配者 !!』
ラナンキュラス
「これは...」
N♀
十本もの鎖と錨が
ドロドロと溶けて空中に霧散すると
巨大な丸い門が空中に五つ出現した。
ラナンキュラス
「なんて凄まじい刃汽...
これほどまでに強大なのか!!!」
ジギタリアス
「ガッハッハ!!!
どうだ坊主!!!!
これが神滅の本来の能力
"最大輪"だ!!!」
ラナンキュラス
((神滅については
レンゲイとアナスタシアから聞いてたが...
詳細は分からなかった...
これが神滅適合者...))
ジギタリアス
「さぁ!!!こっからが本番だ!!!」
『女王喰いの復讐戟!!』
N♀
ジギタリアスの背後に浮かぶ五つの門から
幾千もの白く輝く槍が出現し
一斉にラナンキュラスに襲い掛かった。
ラナンキュラス
「グッ!!まずい!!!!」
『降身雷!!』
ジギタリアス
「ガッハッハッハ!!!
坊主!!!逃げれると思うか!!!!!!」
N♀
ラナンキュラスは自身に雷を落とし
雷速状態になると
射出された様々な形の武具を
前に進みながら次々と避けていく。
ラナンキュラス
「勢いが衰えない。
まさか...無限射出!?」
ジギタリアス
「まだまだまだまだ!!!
ゾリャリャリャリャリャリャリャリャー!!」
ラナンキュラス
「グッ!!
葡萄染麒麟でも斬れないこの硬さ...
なら!!直接お前を叩くだけだ!!
『導雷!!!!!』
N♀
ラナンキュラスは上空に葡萄染麒麟を向けると
ジギタリアスに真っ直ぐ雷が落とされた。
そして、その一瞬のスキをみて
更にラナンキュラスは斬り掛かった。
ラナンキュラス
「フフッ。まだ、終わらないよ。」
『雷迅虞斬』
ジギタリアス
「ニィッ!!効かねぇよ!!
ゾリャァ!!!!!!!!!」
ラナンキュラス
「なに!?直撃したはず!!
グッグァァア!!!」
N♀
ドドドドドドドと女王喰いの復讐戟の猛攻が
ラナンキュラスに襲い掛かった。
ラナンキュラス
「グァァア!!!!!」
ジギタリアス
「この姿を見せて殺し損ねた奴はいねぇ。
あの女の所まで俺が連れて行ってやるよ!!
なぁ、ラナンキュラス!!!」
ジギタリアス▶︎▶︎▶︎N
N
ーーツバキサイドーー
冥府大監獄にある右処刑場にて
鞘花同士の戦いが繰り広げられていた。
エリカ
「アハハ!!!!
ツバキお兄ちゃん!!もうギブアップかな?
チョコレート食べるぅ?」
N
ツバキは空間を隔てる断絶月時雨を展開し
エリカによる亡者の群れ血塗ノ亡霊から
身を守っていたが
地面から湧き出る血染ノ串刺蝙蝠に
身体中を貪られていた。
ツバキ
「グッ!!グアッ!!グッ!!」
エリカ
「血染ノ串刺蝙蝠の味はどう?
ツバキお兄ちゃん!!
もしかして...はじめてのキスなのかな?」
ツバキ
「グッ!!!!」
エリカ
「え!?結界解いちゃっていいの?
あっ。空間移動するのかー。
ズルいね!!!!
でも!!!ほら!!!!
まだ蝙蝠は終わらないよ!!!」
N
エリカは空中を次々と移動するツバキに対し
追撃するように血染ノ串刺蝙蝠を向けた。
ツバキ
「グッ...
空中には吸血コウモリ...下は亡霊か...
下劣な輩とは...貴公の事を言うのであろう」
エリカ
「下劣なんてお下品な言葉を使うんだね!
レディに対して失礼だよ!?」
ツバキ
「グッ...笑わせる」
エリカ
「んもう!!やっちゃって!!!!」
『血染ノ串刺蝙蝠!!』
『血塗ノ亡霊!!』
ツバキ
「二度も同じ手は喰わぬ。
消えて無くなるがいい。」
『天消天涯 花時雨』
N
ツバキは空間を移動しながら
天井へ嵯峨鼠鼠を向けると
半透明の花びらが右処刑場全体に降り注いだ。
エリカ
「ん?何これ...雨?...綺麗な花びら...」
N
パチン、パチンと音を立てながら
次々と血染ノ串刺蝙蝠と
血塗ノ亡霊が消えていった。
ツバキ
「冷たき雨は夢をも醒ます。」
エリカ
「へぇ...」
N
エリカは冷めた目つきで
身を守る為に深緋兎を
傘の様な緋色の盾に変化させると
消えていく自身の技を眺めていた。
エリカ
『血塗少女ノ深緋傘』
「ぁーあ。みんな無くなっちゃったよ。
あれ、結構疲れるのになー。
崩れるならまだしも消えちゃうから
再利用もできないじゃーん。
小さな空間を丸ごと消すなんて
流石だね。ツバキお兄ちゃーーーー」
N
ガンッと血塗少女ノ深緋傘に
強い振動が走った。
エリカの足元は深く沈むも
エリカ自身は顔色さえも変えていなかった。
ツバキ
「なんだと」
N
ツバキは強く振り下ろした嵯峨鼠鼠を弾き
またもや空間を移動すると体勢を整えた。
エリカ
「雨が降ったら傘を差すなんて当たり前じゃーん。
ん?どうしたの?不思議なの?
なんでエリカの傘が花びらの雨に触れても
消えないかって?
ねー!ねー!気になるんでしょー?」
ツバキ
「嵯峨鼠鼠に削れぬものなどない。」
N
そして、またもや空間移動し
エリカの背後をとった。
ツバキ
「もらっーー」
N
しかし、エリカはターンをすると
血塗少女ノ深緋傘で
斬撃を弾いた。
エリカ
『血塊杭』
ツバキ
「ガッハッ」
エリカ
「両肩に穴が空いて噛み付かれて
今度はお腹まで貫かれて
まだ生きてるの?...はぁ。鞘花ってさ
なまじ強いから中々 死ねないんだよねぇ。」
ツバキ
「グッ...ガハッ」
N
ツバキは血をドバッと吐くと手で拭った。
エリカ
「アハハ!!!痛そう!!苦しそう!!
不思議でしょー?空間ごと削れる能力なのに
なんでエリカのは削れないか!!あっ。
可哀想なツバキお兄ちゃんは知らないのかな?」
ツバキ
「...何をだ。」
エリカ
「そもそも鞘花同士で争う事なんて
した事ないんでしょ?
想定もしてなかったんでしょ?
まさか、冥府大監獄に来て
鞘花と相対するなんて
思っても見なかったんでしょ?」
ツバキ
「...だから何だと...言うのだ。
鞘花だろうと...何だろうと
我が...覇道の前に...立ちはだかれば 斬る。
それだけだ。」
エリカ
「本当に阿保なんだね!!ツバキお兄ちゃん」
ツバキ
「何だと...」
エリカ
「たぶん鞘花同士が戦う事なんて
神様達も想定してなかったんだよー。
鞘花の力に上位も下位もない。
ただ、練度によって実力が変わるけどねー!
だから最初に聞いたでしょ?継承かってね。」
ツバキ
「練度は...高め積み上げるもの。
継承だろうが...発現だろうが...関係ない」
エリカ
「ツバキお兄ちゃんは鞘花になって
どれくらいなのかなー?」
ツバキ
「貴公には...関係の無いこと。」
エリカ
「エリカより長いわけないのは
まぁ、間違いないけどね!!」
ツバキ
「下らぬ。」
エリカ
「分かったでしょ?
エリカの方がずーーーっと鞘花として長いんだよ?
必然的にエリカの方が練度が上なの!!
だからエリカに勝てるわけないじゃん!!
練度の低い攻撃がエリカに効くわけないでしょ?
アハハ!!アハハ!!!!」
ツバキ
「何を...言っている。
貴公の血塗少女ノ深緋傘は
何層も...血塗られている。
その表皮を...削っているだけだ。」
エリカ
「本当にそうかな?」
『血染ノ串刺蝙蝠!!』
N
エリカはまたもや血液で作られたコウモリの大群を
ツバキに向けて放った。
ツバキ
『天元八卦 白驟雨』
N
ツバキはすぐさま嵯峨鼠鼠を
エリカに向けて
8個の空間を生み出すと
血染ノ串刺蝙蝠を吸い取り
それぞれの空間からエリカを囲む様に跳ね返した。
エリカ
「グッ!!跳ね返すなんて!!
自分の技が効くわけないっ!!でしょ!!!
んもう!!邪魔!!!」
ツバキ
『照刃 二十九 •遣照廻回』
N
次々とエリカは自分の技である
血染ノ串刺蝙蝠に飲まれていくと
グチャっという音と共に
血染ノ串刺蝙蝠は血に還っていった。
その隙を見逃さなかったツバキは
照刃で傷を癒していた。
エリカ
「ぁあ!!!せっかく付けた傷なのに!!」
ツバキ
「練度で実力に差が出ると言ったな。
まさか、時の長さにより練度が変化する。
などと言うつもりか。
貴公は何か勘違いしている。
鞘花の強さは覚悟の強さ。
鞘は相応の覚悟に呼応する。
覚悟の無い貴公は永劫 私には勝てぬ。」
エリカ
「実力差を見れば分かるじゃーん。
さっきまで死にそうだったのに!!」
ツバキ
「ならば、問おう。
貴公は何の為に戦っている。」
エリカ
「何の為に?
何それ面白い!!!!
考えた事もないからエリカ分かんないなぁ。
んーーー。
みんな死んじゃえ!!って
思ったら深緋兎が
選んでくれたんだよねー!!!」
ツバキ
「神は理由もなく鞘花を選ばぬ。
ましてや発現ならば なおのこと。」
エリカ
「知らないよぉーー!!!
深緋兎だって
何も言ってくれないもん!!!」
ツバキ
「鞘が口さえもきかぬとは
まさか、姿さえも見たことが無いのではあるまい」
エリカ
「え?一回だけあるよ?
無きゃ鞘花になれないじゃん!!
ツバキお兄ちゃんって阿保だね!!」
ツバキ
「そうか。」
エリカ
「グヌヌッ...鞘の力なんて
ただの殺しの道具だし!!」
ツバキ
「殺しの道具...
それは見方によっては間違いない。
戦乱の世ではそれも正義となり得る。
だが、今の問答ではっきりと分かった。」
エリカ
「何が?」
ツバキ
「貴公は弱い」
エリカ
「今、なんつった?」
ツバキ
「貴公は弱い。遥かに弱い。
私の足元にも及ばぬ弱さ。」
エリカ
「ハハッ...もういっぺん言ってよ!!
エリカが...弱い?アハハッアハハッ!!!!
さっきまでボロボロだったくせに!!
エリカに攻撃も通らなかったくせに!!!!
ツバキお兄ちゃんが言う覚悟が足りないから?
アハハッ!!アハハッ!!!
...お兄ちゃんの尺度でエリカを測るな!!」
ツバキ
「測るまでもなし。消え失せるがいい」
エリカ
「じゃあ!!お兄ちゃんの覚悟ってのは
なんなんだよ!!教えてみろーーーーー」
ツバキ
「私は皇帝になる」
エリカ
「はぁ!?
皇帝になれないから養子に出されたんだろうが!!
頭腐った事言ってんじゃねぇよ!!!!」
ツバキ
「嘲笑うがいい。エリカ=ヒース
そして、我が覇道の前に亡れ」
エリカ
「ふざけんな!!!!!」
『血壊 ノ 奇術師!!』
ツバキ
『偃套月時雨』
N
互いの刃汽が迸り
空間が次々と歪んでいく。
ツバキは煌めく空間のマントを素早く羽織り
血壊 ノ 奇術師を弾いた。
ツバキ
「何度も同じ手にかかるほど私は甘くない。
これより先は貴公の血壊 ノ 奇術師は通じぬ。
血塗ノ亡霊も
血塊杭も
血戦ノ聖母も
血染ノ串刺蝙蝠も通じぬ今の貴公に
一体、何が出来るというのだエリカ=ヒース」
エリカ
「ツバキお兄ちゃん...
こんなにエリカを怒らせた人は初めてだよ。
千刃花の隊長達なんて
ただのバカの集まり!!!!!
自分に酔った殺したがり!!!!!
みんな死んじゃえ!!!死んじゃえ!!!」
ツバキ
「私の前であれらを
侮辱することなど許さぬ。
それ相応の誇りと覚悟を持って戦っているのだ。」
エリカ
「何が誇りだ!!!何が千刃花だ!!!
ただの馴れ合いでしょ!?!?
エリカ独りでそんな奴ら殺せるもん!!!」
ツバキ
「馴れ合いなどではない。
千刃花隊士はナーベルクの誇り
そしてそれが...私の誇りだ。」
エリカ
「その誇りも目の前で殺されて
守れなかったくせに!!!!!」
ツバキ
「愚弄するな。」
エリカ
「きっしょ。ウザマル梵天過ぎる!!!!
分かった!!!!
そんなにエリカより強いっていうなら
エリカを殺してみなよ!!!!!!」
N
するとエリカは自身の喉元に
深緋兎を突き立てた。
ツバキ
「何の真似だ。」
エリカ
「もう知らないからね。
怒らせたのはツバキお兄ちゃんだよ!!!」
N
そして一気に喉元を貫いた。
----------------------------
配役変更
ツバキ▶︎▶︎▶︎N
----------------------------
N
ーーラナンキュラスサイドーー
ラナンキュラス
「ガハッ...」
N
ラナンキュラスの身体は血に染まっていた。
ラナンキュラス
「なんて...威力なんだ...グフッ」
ジギタリアス
「おーおーおー。
まだ息があるとはなぁ!!
大したもんだ!!!坊主!!!
女王喰いの復讐戟の猛攻に耐えるたぁ
雷の鞘花だけはある。」
ラナンキュラス
「僕は...絶対に...お前を許さない!!
アイビーを殺した...お前を!!!!!!
僕は許さない!!!!!!」
ジギタリアス
「何かと言えば、またあの女の話しかよ。
はぁ。分かった。俺の負けだ。
真実を言ってやりゃあ。」
ラナンキュラス
「何だ...と?」
N
ジギタリアスはラナンキュラスの背後に
一瞬で移動すると耳元で囁いた。
ジギタリアス
「アイビーは生きてる。」
ラナンキュラス
「何...!?
それは...本当か!!!!」
ジギタリアス
「嘘だ。」
N
そして音もなくラナンキュラスの身体を
白金の武具が貫いた。
ラナンキュラス
「ガッッッッ!!...貴様」
ジギタリアス
「クックックック...
ガッハッハッハガッハッハッハ!!!!
ンなわけねーだろうが!!!!!
バカが!!!!!!
本当に甘っちょろいな坊主!!!
ほら!!よっ!!!!!!!!」
N
ジギタリアスはラナンキュラスを蹴り飛ばすと
女王喰いの復讐戟の無限連射で
更に貫いた。
ラナンキュラス
「貴様あぁあぁあぁあ!!!
ガッ!!グッ!!ガハッ!!アグッ!!
アガッ!!グァァア!!!!!」
N
意識が遠のいていくラナンキュラス
絶望の淵に立ち
痛みをも忘れ、我をも忘れ
生きることさえも忘れかけていた。
ラナンキュラス
((アイビー...僕は...君の仇さえも取れない。))
ラナンキュラス
((ごめんよ...アイビー))
ラナンキュラス
((僕は...もう...))
N
すると、冥府大監獄の水門の景色が
みるみる変わっていくとラナンキュラスは
暗がりの夜空が見える薄暗い雲の上に立っていた。
ラナンキュラス
((ここは...))
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エリカ兼任▶︎▶︎▶︎???
----------------------------
???
「ラナン...ラナンキュラス」
ラナンキュラス
((アイビー!? アイビーなのかい?))
???
「ラナンキュラス...」
ラナンキュラス
((違う...この声は))
???
「ラナンキュラス...ラナンキュラス」
N
すると、アイビーの姿が目の前に現れた。
ラナンキュラス
「アイビー!!!! 君は!!どうして!!
アイビー!!!グアッ!!!」
N
そして、ドーンッと轟音と共に
アイビーの姿は消えてしまった。
???
「ラナン...ラナンキュラス」
ラナンキュラス
「誰だ!!!!」
N
雷が空に煌きゴロゴロと遠鳴りが響く。
ラナンキュラスは夜空を見上げると
紫の雷が目の前に落ちた。
ラナンキュラス
「グッ!!!君は!!!
葡萄染麒麟!!!」
----------------------------
配役変更一覧
N♀▶︎▶︎▶︎葡萄染麒麟
ツバキ▶︎▶︎▶︎ナレーション続投
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N
ラナンキュラスの前に現れたのは
紫色の羽衣に
白い角を額にはやした
髪の長い女性が立っていた。
葡萄染麒麟
「ラナンキュラス...久方ぶりよのぉ。
こうして相対するのは。」
ラナンキュラス
「やぁ、久しぶりだね。
相変わらず君は美しい。」
葡萄染麒麟
「フン。世辞は要らぬ。」
ラナンキュラス
「お世辞なんかじゃないさ。
それで、一体どうしたんだい?」
N
またもや遠鳴りが響く
葡萄染麒麟
「どうしたと聞けるほど
余裕には見えぬが?」
N
葡萄染麒麟は両手をパンと
叩いた。
葡萄染麒麟
「パン。懐かしいか?」
N
そこにはアイビーの姿があった。
ラナンキュラス
「何のつもりだい?
まさか...さっきの記憶も
君の仕業だったのか!!
どうして昔の記憶を見せる様な真似をーー」
葡萄染麒麟
「己の弱さを見せてやったまでの事」
ラナンキュラス
「何だと...」
葡萄染麒麟
「今のお前では死ぬ。
先ほどの癒雷はもう使えぬ。」
ラナンキュラス
「僕は...もう...」
葡萄染麒麟
「本来であれば私は回復に特化していない。
桜雌鹿とは違う事は
お主が一番分かっているはずだ。
あんな戦い方、ラナン...お主らしくもない。」
ラナンキュラス
「心配しなくとも鞘を奪わせたりしない。
冥府大監獄には
リナリーやジジにチョウラン君もいる。
鞘花に有望な者たちだ。」
葡萄染麒麟
「ラナン...お主は分かっていない。
大切なものが見えておらぬ。
いざ、仇を目の前にした途端
我を見失うとは情けない。
それでも雷の鞘花か?」
ラナンキュラス
「葡萄染麒麟...
君も分かってるだろう?
僕の気持ちを」
葡萄染麒麟
「...分かっておる。」
ラナンキュラス
「ジギタリアスは簡単には倒せない。
それに、水門は僕らの避難経路の一つだろう。
倒さなければいけない。ただ、奴は強い。」
葡萄染麒麟
「取り繕うな。ラナンキュラス。
お主...ここで死ぬ気であろう。」
N
一瞬の間の内、
ラナンキュラスはゆっくりと口を開いた。
ラナンキュラス
「あぁ。」
葡萄染麒麟
「やはりな。
ジュダスに説教をしていた時
少しだけ違和感があった。
ジュダスが仇打ちとして
お主と相対していたとき
僕はそれを止める事もできない。
気持ちが痛いほど分かるからね。と言ったな。
八刃花隊の隊長としての
義務と誇りをうたい、火の粉を払うと言いながらも
復讐を容認していた。
それは何故か。
お主自身も復讐の為にここに来ているからだ。
自身の復讐が叶うまでは死ぬわけにいかないと
言わんばかりにな。」
ラナンキュラス
「そうだ。」
葡萄染麒麟
「人は奪い合う運命であり
それすなわち、与え合う運命でもある。
誰が為に何故奪うのか
それは自身の為か はたまた人の為か
どの世も争いは人を狂わす。」
ラナンキュラス
「何が言いたいんだい?」
葡萄染麒麟
「お主は男として愛する者を奪われた。
そして、隊長として愛する者を奪った。
前任から私の能力を受け継いだ時
私には未来が見えていた。お前の運命がだ。
本当に覚悟があるのだな?」
ラナンキュラス
「もちろんさ。
道連れにしてでもジギタリアスを殺す。」
葡萄染麒麟
「そうか。」
ラナンキュラス
「フフッ。あのさぁ。
神に頼み事をするのも変だけど
ダンジョン化などせずに
真っ直ぐジジの元へと
飛んで行ってくれたりしないかな?
彼なら立派な鞘花になれる。」
葡萄染麒麟
「運命は決まっている。知っておろう。
世界に運命の終末が迫っている。
私は相応しい者を鞘花に選ぶだけだ。」
ラナンキュラス
「運命の終末...
天空山の予言か...
それは伝説じゃなくて本当なんだね。」
葡萄染麒麟
「なんだ?気になるのか?
今日、死ぬつもりの貴様には関係のない事だ。
アイビーの幻影でも追いかけていろ。」
ラナンキュラス
「フフッ。ぁあ。永遠に追いかけるさ。
彼女のいない世界に僕はあまり興味がないんだ」
葡萄染麒麟
「忘れるでない。
何の為に私を継承したのかを。
その曇切った心では
ジギタリアスは倒せぬ。
アイビーの為に死ぬ気であるのなら
アイビーを忘れ、鞘花として戦え。
ジギタリアスは弱さを突いてくる。
仇を取るのであれば殺す前に死んだら意味などない」
ラナンキュラス
「そうだね。その通りだね。
ありがとう。」
葡萄染麒麟
「出し惜しみなどするな。
使えるものは使え。
全てを出し戦え。
ジギタリアスに刻むのだ
貴様の魂と我が名を。
傷は抑えてやる。
ただし、長くはもたぬぞ。」
ラナンキュラス
「ぁあ。ありがとう」
葡萄染麒麟
「フン。」
N
葡萄染麒麟は
ラナンキュラスに背を向けて空を見上げた。
葡萄染麒麟
「なんと...切なき夜か...
あの日から星一つ見えておらぬ」
ラナンキュラス
「...葡萄染麒麟」
葡萄染麒麟
「なんだ。」
ラナンキュラス
「お別れを言いに来てくれたんだね。」
葡萄染麒麟
「たわけが。」
N
バチバチッと音を立てて
葡萄染麒麟が消えると
ラナンキュラスは目を覚ました。
ラナンキュラス
「ウグッ...」
----------------------------
配役変更
葡萄染麒麟▶︎▶︎▶︎N♀
----------------------------
ジギタリアス
「...まだ生きてやがるのか...ん?
傷が塞がってやがる...何をしやがった。」
ラナンキュラス
「グッ...言ったろ...お前を殺すと。
全てを賭けてお前を殺す!!!!」
ジギタリアス
「言ってろ!!!坊主!!!!」
『女王喰いの復讐戟!!』
ラナンキュラス
『帝釈天ノ刃!!』
N
ラナンキュラスは雷を落とし
葡萄染麒麟を柄のない刀へと変化させた。
ジギタリアス
「ゾリャァァァァア!!!!!」
N
ラナンキュラスは次々と
五つの門から飛び出す様々な武具を
斬り裂いていった。
ジギタリアス
「ほう!!何でも斬れるってわけかい!!」
ラナンキュラス
「帝釈天ノ刃は雷速で振動する刃
どんな硬さがあろうとも
帝釈天ノ刃の前では意味などない!!
『降身雷!!』
N
ラナンキュラスは自身の身体に
雷を落とした。
ジギタリアス
「雷速状態からの攻撃!!!
おもしれぇ!!!これならどうだ!!!」
ラナンキュラス
「何!?」
N
ジギタリアスも雷速状態となった。
ジギタリアス
「 大海ノ 支配者 から生まれる武具は
全て因果喰の性質を持つ!!
つまり!!雷撃を武具が受ければ
坊主の雷さえも隷属される!!
喰らったもん全てが俺の支配下だ!!」
ラナンキュラス
「なんて、厄介な能力だ!!」
ジギタリアス
「遊ぼうぜ!!!ラナンキュラス!!」
『賭博悪喰!!』
N
大海ノ 支配者 から
武具が射出されるとジギタリアスの手に収まった。
ラナンキュラス
「受け止められないよ。」
N
雷速で振動する帝釈天ノ刃は
ジギタリアスの武具を真っ直ぐ斬り落としていった。
ジギタリアス
「なるほどな!!」
N
もう一方の手を伸ばしたジギタリアスに
新たな武具が飛んできた。
それを掴むと間髪いれずに
ラナンキュラスを攻撃した。
ジギタリアス
「ガッハッハッハ!!
どんなもんが来るか分からねーが
武具には困んねーんだよな!!」
ラナンキュラス
「全て斬り裂くのは変わらない!!」
N
ジギタリアスは武具が斬られる度に
新たな武具を 大海ノ 支配者 から飛ばしてもらい
雷速同士の超雷速攻防戦を繰り広げていた。
ラナンキュラス
「真っ直ぐ斬られないように
受け流しながら戦って!!いるのか!!!」
ジギタリアス
「当たり前だろうよ!!
俺の武器を斬り裂く刃を
警戒しねぇ!!訳が!!!ねぇ!!!
神が生み出す!!最高硬度の貴金属だからな!」
ラナンキュラス
「最高硬度...不倒不苦痛も!!かい!?」
ジギタリアス
「そんなもんも!!あったなぁ!!」
ラナンキュラス
((斬り裂いても斬り裂いても
武具が次々と出てくるのか...
僕じゃ無ければこの硬度...
恐らく斬り裂く事さえも不可能
敵側にこんな危険な能力があるとは))
ジギタリアス
「なんだ!!動きが鈍ったぞ!!
考え!!事!!か!?」
ラナンキュラス
「グッ!!やはり!!
ここで殺す!!ジギタリアス!!
ハァァァア!!!!
グッ!?何!?」
N
ラナンキュラスは女王喰いの復讐戟による
無限射出された武具の残骸に囲まれ
逃げ場を無くしていた。
ジギタリアス
「ガッハッハッハ!!
みんな気づかねーんだよ。
女王喰いの復讐戟を闇雲に
撃ってたわけじゃねぇ。
俺が戦いやすい様に戦場を構築したんだよ。
お前みたいな雷様相手を
身動き取れなくするには
逃げ場を無くすしかねぇからな!!!
さぁ!!パチン!!」
N
ガガッと武具が射出されて
ジギタリアスの背後が武具で埋め尽くされた。
すべての刃が内側に向いており
ラナンキュラスは文字通り囲まれてしまった。
ジギタリアス
「さぁ、ステージは整った。
インファイトしようぜ!!!!!」
N
更に射出されたグローブの様な武具をはめると
両拳を叩きつけジギタリアスはニィッと笑った。
ジギタリアス
「デスマッチと行こうじゃねぇか!!!」
ラナンキュラス
「望むところだ。
その武具も帝釈天ノ刃で
斬り裂くまで...だ!!!!」
ジギタリアス
「お前の太刀筋はだいたい
頭に入った!!!ゾリャ!!」
ラナンキュラス
「何!?はじかれた!?」
ジギタリアス
「ガッハッハッハ!!!!
終わりだぁぁぁあ!!!ゾリャァァァァア!!」
N
ジギタリアスは帝釈天ノ刃を弾き
ラナンキュラスの顔面へと拳を叩き込んだ。
ラナンキュラス
「ガッッッ!!!!
負ける訳には!!!!行か...ない!!!」
ジギタリアス
「ウォォオオオ!!!」
ラナンキュラス
((なん...て...怪力...だ))
ジギタリアス
「ゾリャァァァァア!!!
N
ラナンキュラスは吹き飛ばされ
背面に並べられた刃に
その身を貫かれた。
ラナンキュラス
「グァハッ!!!!!」
N
ドッと口から血を吐くと
ラナンキュラスは薄っすらとする視界で
ジギタリアスを睨んだ。
ジギタリアス
「ガッハッハッハ!!!
殴り合いで俺が負ける訳ねぇ!!
ガッハッハッハ!!!!!
しかし、あの日からどう変わったか
楽しみにしてたが
まだ、女の幻を見てやがる!!!!
そんな刃で俺が斬れると思ってんなら
めでてぇ奴だな!!!!!!」
ラナンキュラス
((身体が...動かない...僕はここで...))
ジギタリアス
「仲間の事なんて なんも考えてねぇ!!
お前の誇りは
あの夜から消えちまったんだよ!!」
ラナンキュラス
「仲...間...誇り...」
N
その時、ラナンキュラスは葡萄染麒麟の言葉を
思い出していた。
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配役変更
N♀▶︎▶︎▶︎葡萄染麒麟
ツバキ▶︎▶︎▶︎N
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ラナンキュラス
「お別れを言いに来てくれたんだね。」
葡萄染麒麟
「たわけが。」
ラナンキュラス
「フフッ。」
葡萄染麒麟
「餞別に神からのお告げをやろう。」
ラナンキュラス
「なんだい?」
葡萄染麒麟
「敵と仇を違わぬ事だ。」
N
そして、バチバチッと音を立てると
葡萄染麒麟は消えた。
ラナンキュラス
「グッ...ゴハッ...
ハァ...ハァ...葡萄染麒麟...
君の...言う通り...だね...」
ジギタリアス
「何言ってやがる...」
ラナンキュラス
「男として...アイビーの仇を取る
だが、八刃花隊の隊長として
ジギタリアスを倒す。
どちらも...僕である事には...変わらない。
だが...今は...例え、憎き仇が目の前に居たとしても
僕は......
千刃花 八刃花隊隊長として
仲間を守る!!!!!!
それが!!!僕の誇りだ!!!!!!!」
ジギタリアス
「何!?急に刃汽量が跳ね上がった!!」
ラナンキュラス
「力を貸してくれ!!!葡萄染麒麟!!!!」
ジギタリアス
「何!?!?グッッ!!空気中に電撃が迸る!!
グッ!!近づけねぇ!!!!!グッッ
おいおい...周りの武具が溶けてんじゃねぇか...
それに...この刃汽の上昇率...
まさか!!!鞘花の"千年万花"か!!おもしれぇ!!!
その賭け!!乗ってやるよ!!!!」
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配役変更
葡萄染麒麟▶︎▶︎▶︎N♀
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N♀
ーーエリカサイドーー
エリカ
「ウグッ」
ツバキ
「自らの喉元を貫くとは...」
エリカ
「殺し合おうよ...ツバキお兄ちゃん」
N♀
血が逆巻き、渦を作り出すと
津波の様に一気に右処刑場を包み込んだ。
ツバキ
「この刃汽...
"千年万花"を発動するつもりか。」
エリカ
「アハハ!!アハハ!!!そうだよ!?
あまりにも生意気だからエリカ怒っちゃった!!
チョコレートも食べてくれないし!!!
エリカの事バカにするし!!!!!
エリカが弱いとか言うし!!!!!!!
グチャに!!グチャに!!
グチャグチャにしてやる!!!!」
ツバキ
「下らぬ。」
エリカ
「はぁ...ふざけてんじゃねぇよ。クソネズミが。」
エリカ
「お遊びは終わりにしよ?ツバキお兄ちゃん♪」
ツバキ
「終わりだと?
貴公は何か勘違いしている。」
エリカ
「はぁ?」
ツバキ
「千年万花 は
鞘花の技にして最強の奥義
故に、この私にも
千年万花があるという事を
失念しているわけではあるまい。」
N♀
そしてツバキは嵯峨鼠鼠を
グッと構えて言った。
ツバキ
「貴公こそ、終わりだ。」
エリカ
「ふーん。
じゃぁ比べっこしようよ!!!!
どっちの千年万花が強いかさぁ!!!」
N♀
すると、エリカは更に自身の喉元を深く貫いた。
エリカ
「アガッッ」
『千年吸血処女!!』
ツバキ
『千年鬮鼠•無間廻廊』
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ラナンキュラス
『千年雷煌•麒麟武甕槌!!!!』
ジギタリアス
『共喰•無敵幽霊戦艦!!』
N♀
血を血で洗う血戦が
今、幕を開ける。
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N♀
ー千刃花〜帝国特務戦闘部隊〜ー
煉獄 冥府大監獄篇
Season21
The nights of sorrow (完)
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配役変更一覧
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葡萄染麒麟▶︎▶︎▶︎プラム
エリカ▶︎▶︎▶︎N
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おまけ
N
ここはナーベルク帝国の首都
ルシファンブルク郊外にある庭園
夜風が涼しく星が輝く夜
一刃花隊隊長であるツバキと
華四百花であるプラムが
夜空の下、和装姿で歩いていた。
プラム
「こんな夜遅くに2人で散歩なんて
久しぶりですわね。
いつもなら迎えをよこすのに...
義忠様...
どうかなさったんですか?」
ツバキ
「いや、ただの気まぐれだ。」
プラム
「フフッ。相変わらずですね。
あっ、見てください。義忠様!!
こんなにも月明かりが眩しいですわ!」
N
ふと見上げた夜空は
首都ルシファンブルクを照らす様に
美しい月明かりが輝いていた。
ツバキ
「ぁあ」
プラム
「...あの頃が懐かしいですね。」
ツバキ
「そうだな。」
プラム
「無茶ばかりしてた学生時代
あの子達にはだいぶ無理をさせられましたね。」
ツバキ
「甚だしい限りだ。」
プラム
「あの頃 描いていた夢は今も変わらないままなのに
時折、寂しくなるのは何故でしょうか。」
ツバキ
「我らが大人になったのかも知れん。」
プラム
「そうですね。
失うものなど無いと思ってましたから。」
ツバキ
「そうだな。」
プラム
「歳月が過ぎる度に大切なものが
刻一刻と無くなってしまうんじゃ無いかと
思います。
義忠様...義忠様も私と同じでしょうか?」
ツバキ
「同じかも知れん。」
プラム
「フフッ。義忠様も
失う事が怖いと思う事がお有りなんですね。」
ツバキ
「...そうかも知れぬ」
プラム
「本当に久しぶりですね。
互いに忙しくなってから
こうしてお話しすることも
難しくなりましたね。」
N
するとツバキは突然、足を止めた。
プラム
「どうかなさいましたか?」
ツバキ
「明日、ジジと共に
煉獄 冥府大監獄へと向かう。
過酷な任務となろう。」
プラム
「はい。」
ツバキ
「場合によってはーー」
プラム
「義忠様は皇帝になられるお人。
このナーベルク帝国に必要な人なのです。
そんな事を言ってはなりませぬ」
ツバキ
「杞憂だったか...」
プラム
「また、会えると信じていますわ。」
N
そして、無言の時が過ぎていく。
2人はしばらく夜空を見上げていた。
ツバキ
「...プラム」
プラム
「はい。」
ツバキ
「...月が綺麗だな。」
プラム
「...月はずっと綺麗でしたよ。」
ツバキ
「そうか。」
プラム
「はい。」
ツバキ
「私も、そう思っていた。」
(完)
月が綺麗ですね。
この言葉は夏目漱石の有名な言葉です。
それに対してプラムり
月はずっと綺麗でしたよ。と答えます。
プラムとツバキ2人の事を考えながら
物語を描いていくと
2人ならこういう距離感なんだなーと
思いました。
きっと、ツバキとプラムだからこそ
描けたのだと思いました。