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プロローグ 月光の岬
月光がそびえ立つ岬を照らし出す午前2時。
辺りは静かで物音ひとつなく、ただ岬に広がる草原を風が駆け抜ける音だけが聞こえる。
そんな草原に一人の少女が立っていた。
茶色がかったショートボブの髪を風に揺さぶられながら、ただ月が映し出される海上を見渡していた。
風で彼女が着ているワンピースが躍る。
風が一瞬やむ・・・
そのタイミングを待っていたかのように、自然と息を吸い、彼女は歌いだした。
「 あなたはどうして 空をかけるの
あなたはどうして つばさを持つの
わたしはあなたのように 強くはないの
わたしはつばさを 持っていないの
教えてよ あなたは何と戦うの
答えてよ 私はどうすればいいの
戦いは 何を生み出すの
争いは どうして起こるの
教えてよ 教えてよ
私は いつまでも 答えを待っているわ
」
彼女が歌い終わった瞬間、目の前を大きな鷹が二匹、轟音と熱風を立てながらよぎって行った。
そして、急旋回から急上昇を行い、満月の空へと消えて行った。
少女の涙を残して・・・